2-8-4 Berkshire

2025年01月21日

Lobaugh の 2-8-4(CNW)

cnwberkd Lobaugh は1950年代にこのChicago &Nothwestern 2-8-4を発売していた。このキットは Harmon から「後は頼む」と譲り渡されたものだ。50年前に組み始めて、そのまま放置してあったらしい。今でも根強いファンが居て、古いキットを組んで楽しんでいる写真はここからお借りしている。

 他にも彼が組んだものはあったが、仕掛品はこれだけだった。驚くべきことにディカールが付属していた。1950年代のかなり印刷の甘いものではあったが、使えるかもしれない。早速、膜の補強剤を塗っておいた。駄目なら買い替える。

 Lobaugh はその当時からロストワックス鋳物の部品を付属させていた。惜しむらくは、従台車、テンダ台車が軸箱が非可動で、走らせるとオモチャっぽい音がすることだ。すべての軸箱を可動にした。ウェイトは全く付けていないのだが、とても重い。構成材料が分厚いものばかりだからだ。

 ボイラは厚肉ブラスパイプを焼き鈍して外型の中に入れ、その内部にプランジャを油圧で押し込み膨らませて作っている。金属バットと同じ製法であり、外型に彫り込んであるディテールが転写されつつ、テーパのあるボイラが出来る。リヴェットなどは完全に表現されているし、各種の補機などの取付穴も同時成型である。それをフライス盤で削ってラニングボードの嵌まり込む溝を付けている。外型は2つないし、3つに分かれるようになっているようだ。火室部分だけが 0.8 mm 程度の厚さの板金工作である。

Lobaugh CNW J4 主台枠は砲金鋳物を機械加工して作られ、ネジも立ててある。動輪軸受はバックゲージ全体に伸びた角材に精密な穴をあけたもので、油膜が摩擦を低減している主台枠は孔をあけ過ぎで、少々弱いことは先に述べた。

square canon box 動輪軸は角棒に油穴をあけた構造で、面圧が低く、油膜が切れないので、ボールベアリングに劣らないほど滑らかに走る。

 当時は機関車だけを売っていた場合もあり、テンダは好きなように自作するのが普通だった。木製のテンダもよくあったのだ。
 日本製の模型が輸入されるようになり、テンダだけ欲しがる顧客がたくさんいた時代だ。様々な日本製テンダが売りに出ていた。多少形が違っていても文句は言わない人が多かった。あるいは自分で改造する人も居た。

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2025年01月19日

Lobaugh の姿勢

2 kinds of brassCNW J4 2種の機関車がある。手前は Lobaugh 製   C&NW の Berkshire であり、向こう側は KTM(祖父江)製の Texas である。
 地下室の整理をして発掘した機関車の修理・整備・塗装を始めたのだが、あまりにも表面が汚いとやる気が失せる。筆者の処方で酸洗いした。

 2種のブラスの色に注目されたい。写真ではその違いが分かりにくいが、肉眼では全く異なって見える。ロボゥのブラスは黄色いのである。どちらかと言うと黄緑色に見えるほどだ。
 対するKTM 製は赤い。洗い立てはピンクに近い。銅の含有率を調べると、日本製は80%だ。アメリカ製は75%ほどである。快削性が異なり、日本製には粘りがある。曲げやすく、曲げたものを伸ばしてもう一度曲げても割れない。アメリカ製はそういうことをすると割れてしまうが、糸鋸、ヤスリ掛けは容易だ。
 1960年当時、Max Gray は日本のブラスをred brass と呼んで持ち上げた。yellow brass より高級だとしたのである。 

 筆者はアメリカ製のブラス板を各種持ち帰って、祖父江氏に比べてもらった。両方使ってみて、「あたしゃぁ、やっぱ日本製だね。絞り出せねぇと困るんだよぉ。」と言った。

Lobaugh 2-thread worm この機関車のウォームギヤは逆駆動できる。ウォームは 3/16インチ(4.76 mm)のシャフトそのものに歯切りした2条ウォームである。進み角は 13度 である。グリースが固いので分解して洗い流した。溶剤に溶けない部分もあったので、削り落としてモリブデングリースを塗った。ボールベアリングはスラストを受けるように出来ていて、軟らかいグリースを入れたら、実に滑らかに動いた。
 単純な話だからすぐお分かりになる話だが、進み角を大きくするには、径を小さくせねばならない。実は40年ほど前、最初の3条ウォームを作った時にこの方法で 5 mm軸そのものに歯切りすることも考えた。そうするとボールベアリングの大きなものを採用せねばならなくなり、周速度が大きくなって軸受の中での損失が増えると考え、軸を細くしたのだ。このロボゥの時代はモータがオープン・フレイムの時代だから、その効率は低く、問題にならなかった。当然のことながら、”Free to Roll” とは謳っていなかった。マグネットモータが廻りにくくて、押しても殆ど動かなかったのだ。
 歯数は 2/35 で、互いに素になっていることは言うまでもない。良く出来ている。どこかのお間抜けな3条ウォームと比べるのも空しいが、機械工学の分かっている人の製品は大したものである。

Lobough C&NW J4 動輪軸の軸受は角棒に穴をあけた構造で、面圧が低く、ボールベアリングに劣らないほど滑らかに走る。油を注す孔がある。動輪の組立てはキィが差し込んであるから、分解は容易だ。

 ロボゥという会社は、精密機械工作(特殊ネジの製作)を稼業としていた。模型部門は社長の趣味を副業として発展したが、社長の死と共に消滅した。筆者はかなりの数の製品を持っているが、どれも正しい理論に基づいて作られ、当時としては世界最先端の模型を作っていたはずだ。動力部はモータを取り替えるだけで、素晴らしい動きをする。

 筆者の高効率ギヤ装置には最適の大きさのボールベアリングが使用されているので、半径比による損失が最小となっていて、それが高効率の実現に貢献している。また、歯車の材質を吟味し、仕上げ精度をさらに上げているので、ロボゥより良くなっている。ギヤを設計するというのは寸法を算数で決めることではなく、歯形をかなり面倒な計算で求めねばならない。歯車屋に行って「これと同じものを作れ」と言ってもできない。そういうことをした人は居るようだが、出来て来たものは動きが渋いのは仕方ない。

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2012年08月16日

続々々 David のレイアウト

 アームストロング氏のレイアウトは、氏の故郷の地名から名付けられていた。 Canandaigua Southern Railroad である。発音が難しい。「キャナンデイグァ」と言うと、かなり正しい音である。これはニューヨーク州の北の方にあるかなり大きな湖の名前だ。このあたりには氷河の流れた跡を留める氷河湖が並んでいる。

712_5279-2 この機関車はアームストロング氏のスクラッチビルトである。煙室はNPにありそうな形だ。火室部はベルペア火室である。この機関車は過去のMR誌によく出て来る有名な機関車である。非常に調子良く走る。

712_5276-2 この一群の貨車もアームストロング氏から譲渡されたものである。どれもスクラッチビルトである。アームストロング氏の器用さには恐れ入る。氏はMRの漫画に登場する人物の原型である。メガネを掛けた垂れ目でちょび髭の痩せたオヤジは、まさにこの人である。

712_5233-2 中間駅にカブースが停まっている。この鉄道はNickel Plate Railroad(NKP) である。極めて初期のTMSには、「NKPはNYCの支線である。」などととんでもないことが書いてある。知らないことは書かなければよかったのにと思う。正式名称はNew York, Chicago and St. Louis Railroadであり、略称はNYC&St.Lであった。最初の三文字を見てNew York Central Railroadと関係があるとでも思ったのだろう。
 ディヴィッドのレイアウトはニッケルプレート鉄道を主題としている。NKPは愛称である。1964年にNorfork & Western Railroadに吸収された。比較的遅く(1960年)まで蒸気機関車を走らせていたので、走行のカラー動画がたくさん残っている。以前椙山氏のところで映画をよく見せて戴いた。Lima社のBerkshire(2-8-4)が有名である。
 このレイアウトには、その機関車が20輌以上ある。

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2012年07月06日

Kleinschmidt氏のコレクション

COM_4372-2COM_4371-2COM_4373-2 クラインシュミット氏はあちこちの模型ショウで出物があると買っている。最初に見せてくれたのはこのガーラットだ。
 縮尺は1/32位だろうか。妙に大きかった。30年くらい前に手に入れたそうだ。実物が狭軌なので、それをOゲージにするために全体を大きくしたのだろう。この手法は佐野衡太郎氏のガーラットでも採用されている。誰が作ったのかは分からないが、よく出来ていた。大きいので、Oスケール・レイアウトで走らせると、あっちこっちでひっかかりそうな感じである。要するにシーナリィが無い線路上を走らせていたのだ。

COM_4375-2COM_4376-2COM_4377-2 LobaughのC&NW Berkshireである。この機関車はかなり大量に生産された。筆者も持っている。組んで塗装してあるものは珍しい。しかもオリジナルのディカールが貼ってある。
 従台車の構造はオリジナルとは異なる。実物を摸した構造である。当初のデザインは側枠が独立していて、回転中心は無かった。これはその構造が気に入らなくて造り替えたものであろう。
 主台枠も後ろが絞られ、良く出来ている。テンダの床板が日本製のようにも見える。祖父江欣平氏の手法が見えるのである。
 一つの推測として、ロボゥのキットを祖父江氏が組み直したものではないか、と思った。1950年頃にはそういう仕事をしたことがあると祖父江氏から聞いている。その時のノウハウ吸収が、大きな転機となったそうだ。

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