4-4-2 Atlantic
2022年01月01日
またまたトルクアーム
トルクアームの話をしたい。ある友人が、この種の話を年に一回くらい、書くべきだと言う。何回も同じ話をしないと、読者は忘れてしまうのだそうだ。模型雑誌が扱わないので、代わりにやれということなのだ。 作用・反作用は、ニュートン力学の3つの柱の一つである。しかし、これを無視した模型機関車は極めて多い。輸出されたHOのブラス製機関車のうち、作用・反作用を考慮した構造のものは、1%に満たないだろう。
いつも、古い機関車を改造して、性能をUPする作業をしている。
この機関車では、キャブの中に無理やりモータを押し込むために、出力軸を通常の逆方向に出している。ギヤボックスはブラス板で作られていて、それにはトルクアームが付いている。
写真をよくご覧戴きたい。トルクアームの向きが随分傾いているように見えるが、これは正しい設計である。法線に対して直角である。すなわち接線と平行なのだ。バネ支持ではなく、ネオプレンゴム(変化しにくく、永持ちする硬いゴム板)を挟んだ構造で、軸の位置はほとんど変化しない。ただ、静かに走るようになる。これはMax Grayのアイデアである。
いつも、古い機関車を改造して、性能をUPする作業をしている。
この機関車では、キャブの中に無理やりモータを押し込むために、出力軸を通常の逆方向に出している。ギヤボックスはブラス板で作られていて、それにはトルクアームが付いている。

2016年09月04日
Greenfield Village
このグリーンフィールド・ヴィレジには1991年から鉄道が整備された。もちろんヘンリィ・フォード自身の意思によって線路敷設は予定されていたのだそうだが、時間が掛かった。

機関庫は1884年に建てられたものを移設した。転車台は手動である。
稼働可能な蒸気機関車は3輌あって、先の4-4-2、4-4-0とこのメイソンボギーがある。
かなり大型である。訪問時には機関庫に入っていたが、走っている動画はかなり見つかる。
機関庫の中にはピットも切ってあり、動輪の嵌め替えもできるようになっている。工具類の並べ方は参考になる。
煙突は上下できるようになっていて、煙を庫内に充満させることがない。見学スペイスは高く、作業の邪魔にはならない。原則として機関車を奥に突っ込む。そうすれば作業スペイスが確保できる。
テンダは後ろに尻を出しているときもある。昔、テンダばかり買う男がいたので、何をするのだと聞いたら、こう言った。
「機関庫に並べるのだ。」


稼働可能な蒸気機関車は3輌あって、先の4-4-2、4-4-0とこのメイソンボギーがある。



テンダは後ろに尻を出しているときもある。昔、テンダばかり買う男がいたので、何をするのだと聞いたら、こう言った。
「機関庫に並べるのだ。」
2016年08月23日
Atlantic


機関庫内にいたcurator(日本語では学芸員)に、この装置のことを聞いてみた。多分知らないだろうと思っていたのだが、実に正確にその機能を説明してくれた。その瞬間に機関車の姿勢が変わることまで知っていた。さすがはヘンリィ・フォード博物館である。
博物館はキュレイタで持っている。能力のないキュレイタしかいない博物館は、「仏作って魂入れず」である。日本の博物館には、不合格点しか付けられないものがかなりある。
2016年08月19日
続 Russian Iron
ラシアン・アイアンの表現は塗装による再現もあるだろうが、筆者の興味のある方法は化成処理である。これは顔料を含む電荷をもった粒子の懸濁液(suspension)であろう。電圧を掛けると電気泳動を起こし、被着物の表面で析出する。自動車の車体を防錆加工する時の電着塗装と同じ原理を用いている。
この製品はある程度の厚さに着いたところで、加熱処理をして定着させている。見たところ、めっき面のような光沢と適度な色を持っている。
残念ながら、筆者のコレクションにはこれを施すべきものがない。どなたか試されたら、報告をお願いしたい。
さて、Greenfield Villageの鉄道には素晴らしい4-4-2がある。この色をご覧戴きたい。塗装ではない。表面処理でこの色を出している。
文字では表現できない色だが、黒みがかった銀色である。30年ほど前、木曾森林の0-4-2のGゲージ程度の大きさの置物が売り出されたが、その色と似ている。上廻りのみならず、下廻りにもかなり施されている。
この角度から見るとよくわかるが、ボイラーバンドも同じ処理である。とても立派な機関車である。キャブは木製だ。この機関車はヘンリィ・フォ−ド本人がとても気に入っていて、早い段階から購入して保存していたものだそうだ。
この種の表面処理は機関車ではあまり見ないが、古い大型のキッチン・ストーヴ(調理用のかまど)や、暖炉に施されているのを見たことがある。
この製品はある程度の厚さに着いたところで、加熱処理をして定着させている。見たところ、めっき面のような光沢と適度な色を持っている。
残念ながら、筆者のコレクションにはこれを施すべきものがない。どなたか試されたら、報告をお願いしたい。

文字では表現できない色だが、黒みがかった銀色である。30年ほど前、木曾森林の0-4-2のGゲージ程度の大きさの置物が売り出されたが、その色と似ている。上廻りのみならず、下廻りにもかなり施されている。

この種の表面処理は機関車ではあまり見ないが、古い大型のキッチン・ストーヴ(調理用のかまど)や、暖炉に施されているのを見たことがある。
2016年08月15日
the Henry Ford
アメリカに行っていた。友人に案内を頼まれて、シカゴ、デトロイト方面に行ったのだ。降って湧いた話で、何の準備もなく出発した。 向こうに着いてから、会うべき人と連絡した。
最近はこの手の話がよくあって、今後この種の通訳・ガイド・ビジネスができるかもしれない。
表題のヘンリー・フォード博物館はこれで5回目だと思う。最初は1973年で、
まだ隣のGreenfield Villageがそれほど充実していなかった。76年もさほど変わりがなく、89年はかなり建物が増えていたと感じた。
名古屋に、トヨタの作った産業技術記念館という博物館がある。明らかにこのヘンリー・フォード博物館の劣化コピィである。真似をするなら、完全な真似をすべきであった。
周辺の道路にある行先表示は、最近は表題のような表現になった。固有名詞にtheが付くようになったのだ。「あなたの行きたいヘンリー・フォード博物館はここです。」という意味になったわけだ。
2009年に鉄道施設の拡充があり、扇形機関庫、転車台が整備された。収蔵されているのはかなり大型の4-4-2などで、非常に美しい。塗装でなく、鋼の表面を緻密な酸化被膜で保護した、いわゆるRussian Ironである。
この色については様々な場所で論議されているが、あまり正しいことは示されていない。塗装による再現の話題もあるが、それを見ても正しいとは思えない。反射光であるから、塗膜の中での反射では解決するわけにはいかないのだ。
最近はこの手の話がよくあって、今後この種の通訳・ガイド・ビジネスができるかもしれない。
表題のヘンリー・フォード博物館はこれで5回目だと思う。最初は1973年で、
まだ隣のGreenfield Villageがそれほど充実していなかった。76年もさほど変わりがなく、89年はかなり建物が増えていたと感じた。
名古屋に、トヨタの作った産業技術記念館という博物館がある。明らかにこのヘンリー・フォード博物館の劣化コピィである。真似をするなら、完全な真似をすべきであった。
周辺の道路にある行先表示は、最近は表題のような表現になった。固有名詞にtheが付くようになったのだ。「あなたの行きたいヘンリー・フォード博物館はここです。」という意味になったわけだ。
2009年に鉄道施設の拡充があり、扇形機関庫、転車台が整備された。収蔵されているのはかなり大型の4-4-2などで、非常に美しい。塗装でなく、鋼の表面を緻密な酸化被膜で保護した、いわゆるRussian Ironである。
この色については様々な場所で論議されているが、あまり正しいことは示されていない。塗装による再現の話題もあるが、それを見ても正しいとは思えない。反射光であるから、塗膜の中での反射では解決するわけにはいかないのだ。
2010年02月26日
イコライザの設計 その11
それでは、アトランティック(4-4-2)のイコライジングを考えてみよう。方針として、先輪には動輪の1/2の軸重、従輪には2/3の軸重ということにする。
先台車と第一動軸を第一群とし、第二動軸と従輪とを第二群としよう。テコ比を求めて戴きたい。
そして機関車の重心をどこに持って行くべきかを決める。下の図中、q : r を求む。
勿論、この時、動輪の質量、ギヤボックスの質量などは全て無視しているので、実際にはそれを加味すべきであるが、ここでは省略した。
モータ出力と動力伝達機構の効率が測定してあれば最大引張力が計算できるので、モータが焼けないような質量を決定できる。機関車が完成した後、重心が既定の位置に来るよう、天秤で吊って、所定の質量の重りを載せれば完成した機関車ができるはずだ。
「完成した機関車」というのはあまりお目に掛からない、起動時にスリップできないような機関車はモータが焼ける。モータの選定、ギヤ比の選定、動輪上重量のいずれか、あるいは全部が間違っている。
アトランティックは動輪上重量が比較的少ないので、出発時のtraction (引張力)が不足する。いくつかのアトランティックはイコライザの支点を移動させる装置を持っていた。
これをtraction increaser 引張力増大装置という。
そして機関車の重心をどこに持って行くべきかを決める。下の図中、q : r を求む。
勿論、この時、動輪の質量、ギヤボックスの質量などは全て無視しているので、実際にはそれを加味すべきであるが、ここでは省略した。
モータ出力と動力伝達機構の効率が測定してあれば最大引張力が計算できるので、モータが焼けないような質量を決定できる。機関車が完成した後、重心が既定の位置に来るよう、天秤で吊って、所定の質量の重りを載せれば完成した機関車ができるはずだ。
「完成した機関車」というのはあまりお目に掛からない、起動時にスリップできないような機関車はモータが焼ける。モータの選定、ギヤ比の選定、動輪上重量のいずれか、あるいは全部が間違っている。
アトランティックは動輪上重量が比較的少ないので、出発時のtraction (引張力)が不足する。いくつかのアトランティックはイコライザの支点を移動させる装置を持っていた。
これをtraction increaser 引張力増大装置という。