Climax

2024年12月30日

3-truck の Climax

C-Climax (1) F氏にお渡ししたのは 2-truck の Climax だったが、F氏はBob Stevenson氏にコンタクトし、もう1輌分とさらに1台車の部品を購入した。それを猛烈な勢いで作り始めた。

C-Climax (2) F氏は Bob に直接電話を掛け、詳しい話を聞いたそうだ。当初の 2-truck の部品は間違っていたところがあったようで、正しい部品を手に入れた。しかし、設計のまずさは如何ともならず、結局のところF氏は駆動部分をすべて自作することになった。車輪は心が出ていないので、完全に作り替えた

 様々な部品を手作りしたり、筆者の在庫品から融通して、2年近い時間を掛けて完成したのだ。この機関車の煙突は細いものになった。2-truck の方の太い煙突には、中に小型のスピーカが入っている。 

 滑らかな走りである。当初は押して動くようにするつもりであったそうだが、ギヤ比がある程度高い構造なので、下手をすると壊れる可能性がある。無理に押すのは遠慮している。

 塗装をするべきなのだが、ブラスの鈍い艶が何とも言えない。日本製のブラスではないので、緑がかった光沢である。F氏の奮闘を称えて、しばらくこのままで飾っておきたい。


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2024年12月28日

Climax の rollout 

 F氏に組立調整をお願いしてあった Climax が完成した。帰省の途中に博物館に寄って下さったのだ。試運転を見せてもらった。よく走る。
 その後で、3階に資材を運び上げるのを手伝って戴いた(後述)。
 
B-Climax (3) この機関車のキットは Lobaugh の製品だ。1960年頃に発売になったが、それが走るところを見た人が居ないと言われて来た。
 144輌作られたそうだが、誰一人として完成させられなかったようだ。要するに、根本的に無理な設計であって、動くわけがないのだ。これは Rollin Lobaugh 氏が既に老齢で、直接手を下した模型ではなかったというのが原因だ。彼は動きにはうるさい人だった。筆者は何輌か持っているが、当時としてはよく出来た走行装置を持っている。モータはコアレスに替えるが、他は手を入れなくてもなかなかよく走るのだ。なんと潤滑油を入れ替えると、押せばかろうじて動くものがある。当時から2条ウォームを採用したものがあったからだ。ウォームの前後にはボールベアリングが装荷され、スラストを受けていた。そのボールベアリングのグリースが粘いので、洗って入れ替える必要がある。

 O Scale West などの会場で完成品をたまに見たが、staticな模型(動かない模型)であった。飾りに置いておくものだと言う。それにしては高かったので誰も買わなかった。。

B-Climax (1) それから30年、筆者の長年の友人の Bob Stevenson氏が Lobough の在庫、金型一式を買い取ったと知った。彼は筆者に電話を掛けて来た。
「Hey Tad、お前の好きなLobaugh の Climax だぞ。買うだろ?」価格は約400ドルだった。当時の物価水準では高くはなかった。しかし当時、筆者は忙しく、組む時間がとれなかった。

 その後土屋氏が、「何かキットを組みたい。とびきり難しいのが欲しい。」とおっしゃるので、とりあえず譲り渡した。数年後土屋氏は亡くなり、未成品が残された。

B-Climax (2) それをF氏に見せたところ、「組み立てて走らせてみたい。」とおっしゃるのでお願いした。その後の奮闘は時々お知らせしているが、かなり困難なものだったようだ。動力伝達部分は100%作り直している。  

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2023年10月18日

Climaxの食違い交差軸受 

 F氏から工作の途中の写真をいくつか送って戴いた。

Climax shaft (4) 食違い交差の軸受である。同じ寸法になるように工夫して機械加工している。こういう場合のジグの設計は経験が要る。どうすれば最も簡単で、しかも正確にできるか、を考えねばならない。F氏はいつも巧妙・簡潔な発想で解決している。見習いたい。

Climax shaft (3) 切り込み量を測定している。この種の測定具は使い方次第で大きな威力を発揮する。



Climax shaft (1) この万力は2つのネジで締めるので、アゴの端であっても平行に締める事ができる。これは木製の万力でも同じことである。



Climax shaft (2) できたものを並べたところだ。これをハンダ付け用のジグの上で組む。硬いハンダを使うので壊れることはない。

 フライス作業は楽しいが、頭を使う仕事だ。

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2023年10月04日

Climax の台車を作る

Climax truck1 クライマックスの伝導方式を示す写真である。ギヤボックスは無いが、2つの軸が正しい位置に来るように、位置関係を保つ部品がある。

 傘歯車には、thrust(軸方向の推力)が発生するので、それを承けねばならない。ギヤボックスがあれば、ラジアル・ベアリング(法線方向の力を支える軸受)で、かなりのスラストを受けられるが、ここにはそれがない。外に独立したスラスト・ベアリングを置かねばならないわけだ。F氏は歯車の噛み合い部以外の摩擦を最小限にするために、あらゆる方策を講じることにしたようだ。

 動輪軸は Φ3 でかなり細い。駆動軸はそれを跨いでいる。歯車はどうしても調子が悪いようで、新規に発注すると言う。
 そのような製作所はどこにあるのかと心配したが、思わぬ方法であった。たくさんのギヤの中からまともなものを探し出し、それを彫金の工房に持ち込むのだそうだ.3次元測定器でデータを取り、それで樹脂型を作る。後に金属で置換をする。どれくらいの価格なのか、ヒヤヒヤしていたが、それほど高いものでもないらしい。 

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2023年10月02日

Climax の動輪

Climax drivers F氏から動輪を全部作ったと連絡があった。非常に速い工作で驚いた。 全部で5台の台車であるから、動輪は20枚である。




Climax Drivers(2) 絶縁紙を貼るのにかなり手間取ったようだ。先述の角を斜めに落とすところの手加減が難しかったという。タイヤ内側のテーパ角度は大きくはできない。これが大きいと、入りやすいが、抜けやすい。しかも今回はステンレス鋼なので、塑性変形しやすい。無理に叩き込むと、動輪径が大きくなるはずだ。

 すなわち、絶縁紙をエポキシ接着剤で隙間なく固めて、飛び出したところがないか指先で撫でて確認する必要がある。その上で、嵌まり込む部分をヤスリで角を落とす。45度に削ってタイヤに当てるのだ。間違いなく入りそうであれば、ゆっくり押し込む。
 プレスがあれば良いが、ゴムハンマでまんべんなく叩くと、少しずつ入る。絶縁紙の一部は、削れて押し出されて来るだろう。それが全周に亘って、均一に出て来なければならない。

 難しそうに聞こえるかもしれないが、それほどでもない。6年ほど前に名古屋のクラブで "Old Black Joe" の部品頒布を担当したが、全員が簡単に組めて、車輪の心が出ていて素晴らしいと伝えて来た。

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2023年09月30日

続々 Lobaugh の Climax

Climax driver center F氏は、持ち帰った輪心にタイヤをたちまち嵌めてしまった。腕の良い方である。絶縁側は、今試している模様。

  タイヤを掴む時には、そのまま掴むわけにはいかないから、専用のヤトイが必要だ。これらは pot chuck と呼ばれる。F氏は各サイズのヤトイを作って持っている。

 筆者は踏面側を掴んでフランジ内側を削り、次はネジで締めるヤトイに取り付けて表側とフランジを削る。最後にフランジを掴んで車輪のジャーナルに近いところを落とす。12個やると、かなり疲れる。これが筆者にとっては限界値である。
 最初にフランジを掴むと、おかしな製品もあるから、失敗する可能性がある。韓国製の機関車では、フランジと踏面とが同心ではなかった事があるのだ。信じがたい話だが、おそらく太さの足らない丸棒を心の出ていない3爪チャックで掴んでタイヤを挽いたのだろう。そんなものが検査に通っているというのがおかしい。

 旋盤は大小2台持っていると具合が良い。筆者は小さい方をコレット専用機にしている。実は、もう一台欲しいところだ。 

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2023年09月28日

続 Lobaugh の Climax

Climmax (2) この機関車の最高速度はせいぜい30 km/h以下である。引張力はそこそこにあるが、出力は引張力と速度との積であるから、モータは小さくても全く問題ない。出力 1 W程度のギヤードモータを搭載していて、音もなくゆっくりと走る。

Climax C この機関車は2台車であるが、F氏は御自分用のは3台車にした。テンダを新造したのだ。



 食い違い傘歯車の噛み合わせが今ひとつだ。心は出ているが、肝心の歯型が、部分的におかしいのだろう。ダイヤモンドの砥石で歯を修正する必要がある。本物の製造工程にも、ヤスリで歯を削っている場面があったことを覚えている。 

 ダイヤモンド・スタック(煙突)の中にはスピーカが入っている。DCCサウンドを出すためだ。 

 動輪とギヤの問題が解決すれば完成であるから、楽しみにしている。 

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2023年09月26日

Lobaugh の Climax

Climmax (3) Climaxを持って、F氏が来訪した。未完成だが、静かに走る。この機関車はLobaughが最後に出した機関車キットで、完成したものが走るところを誰も見たことがないという噂の製品であった。博物館で何年も保管していたところ、F氏がぜひ組んでみたいと申し出られたので、お願いした。

Climmax (4) F氏は現在のLobaughの在庫をすべて持っているBob Stevenson氏にコンタクトして、もう一輌買ってしまった。そして2つを並べて作っている。とてもまともには組めないものであるから、ほとんどの部品をスクラッチから作り直し、歯車も一つずつ修正している。駆動方式は全く新しい方式を採用して、横から大歯車が見えなくなっている。
 まだエンジン部分が取り付けてないが、8割方 完成の域にある。

Climmax (2) 動輪の鋳物は良いのだが、偏心していた。またフランジ形状が望ましくなかったが、直すのは難しい。そこで、先日のタイヤを見せると目を輝かせた。カツミの鋳物の輪心、絶縁紙と車軸とをお渡しした。F氏は旋盤工作の達人であるので、全く心ブレの無い動輪を作れるはずだ。


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2023年03月22日

続 Climax

Climax F2 どちらも押して動くようにするために、駆動装置を徹底的に改良している。そうなると歯車の噛み合わせは重要だ。
 
 平岡氏の歯車設計の式を眺め、難しそうだがやってみるかとも思った。しかし、動けば良いだけなら、3Dプリントという手もある。
 円筒にインボリュート歯を付け、それを絞って円錐にして傘歯車を作る。その断面を解析して円錐に貼り付ければ、それと噛み合うような食い違い傘歯車を作れるかもしれない、と3Dの専門家と協議していた。そこに、Lobaughのギヤでも動くようになったとの報らせがあり、ひとまずオリジナルのギヤでの走行となった。
 F氏はこれらを Free to Roll にして、同一線路上で片方を押せば他方が動くようにしたいと言う。歯車が多くて効率が稼げないから、かなり難しそうではある。 

 このキットを完成させて走らせることが出来た、という話は過去数十年間、聞いたことがないので、現在の販売元は大喜びらしい。走行動画を公開すれば売れるかもしれないからだ。 

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2023年03月20日

Climax

 当博物館には、Climax式の機関車のキットがあった。1960年頃、Lobaughが売り出したもので、ギヤは食い違い傘歯車であった。本物を縮小しただけのようで、かなり歯が細かく、わずかの心ブレでも不調になるものであった。雑誌の記事にその完成品の写真があったが、走ったとは書いてなかった。調子が悪いことは有名で、筆者の友人も「駄目だ。」と言っていた。150輌弱製造され、売れたのが100輌程で残りはLobaughに死蔵されていたようだ。筆者の親しい友人 Bob がそれを買い取り、少し改良部品を付けて売りに出したのだが、ほとんど売れなかった。それを1輌手に入れて土屋氏にお渡ししたが、半製品で博物館に寄贈されたのだ。

Climax F F氏が組んでみたいと希望されたので、お渡しした。部品が間違っていたりして大変だったようだ。そうこうしているうちに、F氏はその販売元から、ご自分の分も買った。2輌まとめて組立ての途中である。 


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2023年03月18日

平岡氏の記事

平岡幸三氏平岡幸三氏2平岡幸三氏3平岡幸三氏4 内野氏のところから来た膨大な資料の中に、日本機械学会誌の切り抜きがあった。それは平岡氏がClimaxの1/16模型を作られた時のことを書かれた記事であった。

 誰も実現していないことを初めて達成した時のことが書いてある。興奮して夜中にも拘わらず、小さかったお子さんも叩き起こして見せたとのくだりは、筆者も似たようなことがあったことを思い出させた。

 この記事は学会でもかなり評判が良かったそうだ。この記事をスキャンして発表しようと思った。しかしネット上でも発表されているとお知らせ戴いたので、紹介する。

 クライマックスは歯車が命である。昔どこかで見た本で、適当に鋳物を作って、その歯面にヤスリを掛けて仕上げている場面があった。かなりいい加減だ。回転速度は大したことがないので、ゴロゴロガラガラと走っていたのだろう。そのうち擦り減って落ち着くというわけだ。


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