台車
2009年11月13日
車輪の色
車輪の色と言えば亡くなった友人のGaryの言葉を思い出す。
「車輪の色は2系統に分かれる。フリクション・ベアリングとローラー・ベアリングの車輌では色が違うのだ。」
確かにロ−ラー・ベアリングは油漏れがないので車輪が乾いていて、錆びている。要するに錆びた鉄の色である。フリクション・べアリングは油が漏れ出て輪心はべとべとである。
彼はさらに続けた。「カーリターダを通る車輌のタイヤ側面は光っている。通らない車輌のタイヤは汚れている。」
要するに、ハンプ・ヤードで入れ替えをするような貨車と、特定の線区しか走らない車輌とは違うということだ。
つまり、機関車のタイヤ側面が光っているのは理に合わないことになる。貨車もタンク車のようなハンプ禁止車輌は車輪の側面が汚れているということである。また、牛を積む貨車などは解結しないで行ったり来たりしているので車輪側面は汚れているはずだということだ。
2010年01月15日
続 忘れ物 見つかる

そうなると、欲しがる人は一定量あるので価格が吊り上がり、オークション・サイトでも手に入れるのが難しくなった。
O Scale West のようなスワップ・ミートでは、たまにその価値を知らずに売る人がいるので、ごっそり買い占めたのであった。それを忘れたので、大損害であった。
仕方なく、e-bay で手当たり次第に落としている。結構高いものについた。その中で見つけた「アサン・ベッテンドルフ台車3組」というものをいくつか、他のタイプのアンドルーズとかシミントン台車と同時に沢山落札した。
それが届いてびっくりしたことに、それはWeaverの安物のデルリン台車であった。早速苦情のメールを送り、「あなたの写真をよく見てくれ。これはアサンではなく、安物のウィーヴァである。これはあなたのミスであって、私の責任ではない。従って、払い戻しを請求する。そしてここにある不良品はあなたの負担で送り返すが、良いか?」
すると1時間もしないうちに、「あなたは正しい。これは私のミスである。恥ずかしい。直ちに返金する。そちらにあるゴミは好きなようにしてくれ。返してもらう必要は無い。」と言ってきた。総額の4割くらいの返金で、トータルとしては随分安く上がった。
売主は非常に潔い人で、好感が持てた。また、買おうと思う。
2010年01月17日
equalized と sprung その1
オークションで落としたデルリン製コイルバネ付きのAthearnの台車を、重いブラス製車輌に付けると、とても静かである。一方、同じデルリン製ではあるが、イコライズだけのWeaverの台車が、重いブラス製車輌に付いているとやかましい。
レイルの継ぎ目、ポイントのフログでコンコンという音がする。バネがついていれば、ショックを吸収するので、タタンタタンと小気味よく響く。
今回の事件が解決したので、重いブラス貨車に仮に付けてあったウィ―ヴァの台車を、アサンのバネ付き台車に取り替えた。
スケールスピードで時速60マイルの貨物列車が、実に静かに走るようになった。新しい車輪の真円度が高いので転動音が小さくなったこともあるが、レイル・ジョイントを踏む音が格段に小さくなったことが大きい。
カブースの台車はLobaughのブロンズ製である。イコライズするだけの青銅鋳物である。見掛けはとても良いのでそのまま使っているが、ポイントを通る音が凄まじい。カツンカツンと脳天に響く音がする。イコライズだけでは駄目なのである。フログがその瞬間に確実に壊れていく。
同じカブースでsprung(バネの効いた)台車を付けたものがある。それを走らせると気持ちの良い音がする。
イコライザにバネを付けてはいけないとおっしゃる方たちに、その音を聞かせて差し上げたい。Oゲージともなると慣性が大きく、バネなしイコライザはすぐにへたってしまうし、レイルにも良くない。フログは速やかにつぶれてしまう。
貨車でさえもこの調子であるから、重い機関車でバネが付いていないとどうなるかは、想像に難くない。
レイルの継ぎ目、ポイントのフログでコンコンという音がする。バネがついていれば、ショックを吸収するので、タタンタタンと小気味よく響く。
今回の事件が解決したので、重いブラス貨車に仮に付けてあったウィ―ヴァの台車を、アサンのバネ付き台車に取り替えた。
スケールスピードで時速60マイルの貨物列車が、実に静かに走るようになった。新しい車輪の真円度が高いので転動音が小さくなったこともあるが、レイル・ジョイントを踏む音が格段に小さくなったことが大きい。
カブースの台車はLobaughのブロンズ製である。イコライズするだけの青銅鋳物である。見掛けはとても良いのでそのまま使っているが、ポイントを通る音が凄まじい。カツンカツンと脳天に響く音がする。イコライズだけでは駄目なのである。フログがその瞬間に確実に壊れていく。
同じカブースでsprung(バネの効いた)台車を付けたものがある。それを走らせると気持ちの良い音がする。
イコライザにバネを付けてはいけないとおっしゃる方たちに、その音を聞かせて差し上げたい。Oゲージともなると慣性が大きく、バネなしイコライザはすぐにへたってしまうし、レイルにも良くない。フログは速やかにつぶれてしまう。
貨車でさえもこの調子であるから、重い機関車でバネが付いていないとどうなるかは、想像に難くない。
2012年05月31日
続々 Illinois 鉄道博物館 再訪


エンドの鋼鈑の厚さは1.5インチ(38 mm)もある。そこに、クレーンで吊り上げるときの穴があり、フックを掛けるときの保護用に円筒を熔接で付けてある。これは各鉄道会社の仕様に依るのだろう。







この台車の現物を見るのはなかなか難しい。1950年代にさまざまな原因で脱線が起こり易いとされ、ほとんどが廃車になったからだ。この博物館には、原型のTroop Sleeperが保存されている。
2018年09月18日
leaf spring

貨車の台車はコイル・スプリングで懸架されている場合が多い。コイル・スプリングは 摩擦損失が殆どないので、振動が減衰しにくい。普通の貨車はともかく、カブースは、それでは具合が悪い。乗員が振動(共振振動数の問題が大きい)でどうかなってしまう。客車のような減衰力のあるバネで懸架されるべきだ。
模型の台車のうち、リーフ・スプリング(重ね板バネ)を付けているものは少ない。仕方がないから作る。バネの形をした鋳物を半分に切り、台車のコイルバネの部分を削って、嵌め込む。ハンダ付けかエポキシ樹脂で接着する。
たまたまリン青銅板でできたバネを見つけた。KTM製のローラ・ベアリング台車のコイルバネを外して嵌めると良さそうだということに気が付いた。後述するが、かなりの手間を掛けて嵌め替えに成功した。同時に、ボールベアリングを仕込んだ。もう一回やれと言われても、やりたくない面倒な工事であったが、取付けに成功した。
この台車はKTMの製品中、断トツによく出来ている。アイデアはケマルヤン氏で、設計は酒井喜房氏である。軸の摩擦が少なく、長持ちする。この車輪の形状が不思議なのである。
2019年04月21日
新しい台車を履く

床下の道具箱やステップがこんな色をしているわけがないので、とりあえずそこだけ塗ってみようと思っている。

扉の鎖錠装置はあり合わせのものだが、非常に良くない。これも作り直す。屋根の色はいわゆる roof brown である。昔はこんな色の貨車があったのだという例として古い塗装で作った。

手摺は好みで白にしてある。本物は黄色が多かった。
台車を履き替えると、気分が変わる。今までの鬱屈した状態から解放されたような気がする。車輪はすべて当鉄道の様式に塗ってある。平軸受の場合は外は油汚れの色、内側はさび色である。
2019年09月27日
3Dプリンタによる台車
S氏に作って戴いていた台車が何種類か届いた。
客貨車の台車はナイロン製、POM製が良い。ショートによるトラブルから逃れられる。軸受の耐久性は全く問題ない。毎日走らせているが、減ってきた兆候はない。おそらく50年以上持つであろう。壊れたら差し替えれば良いので、気にする必要はない。
3Dプリンタで作ると、人智を超えた構成に出来る。組立てなくても、込み入った形がそのまま出力される。作ろうと思えば、しなやかな鎖でさえも、そのまま出来る。外見だけのコイルバネは、再現できる。もっとも、荷重を掛けるバネは金属製にするべきである。
車輪を嵌め込むときに部品を脇に寄せ、それを戻してネジ留めすればおしまいだ。ネジも切った状態で出力されている。部品には弾力があるので、曲げても復元する。
今回どうしても欲しかったものは、この木製台枠のカブース台車だ。Low-Dの33インチ車輪に適合する貨車用台車である。 ブラス製のものも何種類か作ったが、決して満足できない。たまにショートする。その点、これは素晴らしい。(やろうと思えば、絶縁車輪の向きを変えて、1台車で2極の電源も採れる。)
ざらついて見えるが、30 cmの鑑賞距離からでは実に自然な感じである。高精細のものもあるが、実用上はこれで十分だ。HO以下の場合は別の材料の方が良いかもしれない。Oスケールは強度が大切である。
もちろん塗装するのでかなり滑らかになる。焼結ナイロンは多孔質で、瞬間接着剤、塗料は吸い込まれていく。写真の状態は染色を施したものである。生地は白い。
この台車を付けるのは、この車輛をはじめとする数輌のUPカブースである。1950年頃までのUPカブースはこの色であった。Red Caboose という話は、しばらく前にした。この写真は仮の状態で、収まり具合を見ている。以前に比べて、高さが低くなり、安定感がある。まだ細かい部品は付けてない。
客貨車の台車はナイロン製、POM製が良い。ショートによるトラブルから逃れられる。軸受の耐久性は全く問題ない。毎日走らせているが、減ってきた兆候はない。おそらく50年以上持つであろう。壊れたら差し替えれば良いので、気にする必要はない。
3Dプリンタで作ると、人智を超えた構成に出来る。組立てなくても、込み入った形がそのまま出力される。作ろうと思えば、しなやかな鎖でさえも、そのまま出来る。外見だけのコイルバネは、再現できる。もっとも、荷重を掛けるバネは金属製にするべきである。
車輪を嵌め込むときに部品を脇に寄せ、それを戻してネジ留めすればおしまいだ。ネジも切った状態で出力されている。部品には弾力があるので、曲げても復元する。

ざらついて見えるが、30 cmの鑑賞距離からでは実に自然な感じである。高精細のものもあるが、実用上はこれで十分だ。HO以下の場合は別の材料の方が良いかもしれない。Oスケールは強度が大切である。
もちろん塗装するのでかなり滑らかになる。焼結ナイロンは多孔質で、瞬間接着剤、塗料は吸い込まれていく。写真の状態は染色を施したものである。生地は白い。

2019年09月29日
続 3Dプリンタによる台車

すっきりしている。今までのはWalthersの文鎮のようなダイキャスト台車であった。それを糸鋸で切り抜いてヤスリを掛け、バネを接着すると可動のように見えた。膨大な手間を掛けて改造していたが、新しい台車を見ると古いものは投げ捨てたくなった。
ブレーキシュウまできちんと付いている。隙間が少なかったようで、少し削る必要があった。次回生産では改良する。摩擦が極端に少なく、するすると走って行ってしまう。

ところが、S氏はそれを思わぬ方法でクリアした。本当に、イコライザが軸重を均等にしているが、組立ては一瞬で終わる。そのアイデアは素晴らしい。

未塗装で、光をしかも上から当てているので、ざらつきが強調されているが、実際はもう少し滑らかに見える。
【後半部分を差し替えました。】
2019年10月03日
台車各種
Walthers, Lobaugh, 3Dプリンティングの台車を比較してみる。
Pullman 4輪台車である。これらが同じ台車とは信じがたい。
左のダイキャスト製はバネが抜けてない。これを抜いたところで形が悪すぎるので、40年以上放置である。車輪だけLow-Dにしている。背が高い。
中のLobaughは形が良い。バネを切り抜いて適当なコイルバネを接着してある。実感的だと評判であったが、やや小さい。
右は今回の台車だ。図面通りだ。
こうしてみると、ボルスタ高さ、軸距離など思いのほか、異なっている。
Pullman 6輪台車である。左の二つはコイルバネが抜けていない。切り抜いたものもあるが、いまひとつである。
今回の台車はブレーキシュウもついているし、しかもそれがタイヤ踏面の位置にある。ナイロンだからこそできることだ。絶縁材料は助かる。
造形的にはLobaughのものが良い。凹凸の深さも適当で、黒く塗ると十分に気分が出る。しかし、抵抗が大きく、ショートする。
今回の試作で、いろいろな改良点が分かったので、次期量産品は素晴らしいものとなるだろう。アメリカに送って評判を聞いてみる。

左のダイキャスト製はバネが抜けてない。これを抜いたところで形が悪すぎるので、40年以上放置である。車輪だけLow-Dにしている。背が高い。
中のLobaughは形が良い。バネを切り抜いて適当なコイルバネを接着してある。実感的だと評判であったが、やや小さい。
右は今回の台車だ。図面通りだ。
こうしてみると、ボルスタ高さ、軸距離など思いのほか、異なっている。

今回の台車はブレーキシュウもついているし、しかもそれがタイヤ踏面の位置にある。ナイロンだからこそできることだ。絶縁材料は助かる。
造形的にはLobaughのものが良い。凹凸の深さも適当で、黒く塗ると十分に気分が出る。しかし、抵抗が大きく、ショートする。
今回の試作で、いろいろな改良点が分かったので、次期量産品は素晴らしいものとなるだろう。アメリカに送って評判を聞いてみる。
2020年04月23日
3D printing
今回の出力は多岐にわたる。構造・機能部品もあるし、台車関連もある。
台車の中ではこの軽量台車が出色である。これは1930年代のUPの特急M10002辺りから始まった軽量客車用の台車で、バネ下質量が小さい。またブレーキ装置が台車に付き、応答性が良い。もちろん、ブレーキロッドがちぎれる事故とは無縁になる。高速列車用として不可欠の要素をちりばめた台車である。S氏が「出来る」と言ってくれたので、ソフトウェアの作成をお願いした。

この二つの図は極めて初期の構想図である。やめてしまったアイデアもあるし追加したものもある。重ね板バネは内部まで作ってあるが、揺れ枕は作動させなかった。

車輪径はやや小さく、36インチ(915 mm)ではない。貨車用の33インチよりも少し大きいようだ。確認できないが、34インチのようだ。
模型ではフランジが大きいので33インチを嵌めるとちょうど良く見える。36インチではブレーキが掛かってしまう。
これをブラスで作ろうと思うとかなり難しい。5段くらいのロストワックス鋳物の集積を覚悟せねばならない。各部の組立精度の確保も難しい。飛び出したブレーキロッドもそう簡単にはできない。作っても曲がってしまうのがオチだ。また、ブレーキシュウを付けてあるが、近接させることができる。ショートの心配が無いからだ。
こういうものは3Dに限る。バネを廃し、ボルスタの捻りで逃がしている。十分なcompliance (追随性)を発揮する。弾力があるのでバネの効果もある。仮車体を載せて走らせると極めて静かである。ボルスタは垂直荷重には耐えるが、捩り剛性を小さくする設計にしてある。
ナイロンは結晶性プラスティックで、へたらない。熱可塑性ではあるが流動する温度は高く、常温では”流れ”ない。いわゆるプラモデルの材料のポリスチレンなどは、常温でも力を掛けていると少しずつ”流れて”、撓んだり潰れたりする。
写真は高精細の近接撮影であるのでざらついて見えるが、30 cm程度の鑑賞距離であって、車体の下に付いているのであるから、全く気にならない。HO以下で矯めつ眇めつ見るには、やや粗いかもしれない。走行を主とするなら(そういう人は少ないが)全く問題ないだろう。





模型ではフランジが大きいので33インチを嵌めるとちょうど良く見える。36インチではブレーキが掛かってしまう。
これをブラスで作ろうと思うとかなり難しい。5段くらいのロストワックス鋳物の集積を覚悟せねばならない。各部の組立精度の確保も難しい。飛び出したブレーキロッドもそう簡単にはできない。作っても曲がってしまうのがオチだ。また、ブレーキシュウを付けてあるが、近接させることができる。ショートの心配が無いからだ。
こういうものは3Dに限る。バネを廃し、ボルスタの捻りで逃がしている。十分なcompliance (追随性)を発揮する。弾力があるのでバネの効果もある。仮車体を載せて走らせると極めて静かである。ボルスタは垂直荷重には耐えるが、捩り剛性を小さくする設計にしてある。
ナイロンは結晶性プラスティックで、へたらない。熱可塑性ではあるが流動する温度は高く、常温では”流れ”ない。いわゆるプラモデルの材料のポリスチレンなどは、常温でも力を掛けていると少しずつ”流れて”、撓んだり潰れたりする。
写真は高精細の近接撮影であるのでざらついて見えるが、30 cm程度の鑑賞距離であって、車体の下に付いているのであるから、全く気にならない。HO以下で矯めつ眇めつ見るには、やや粗いかもしれない。走行を主とするなら(そういう人は少ないが)全く問題ないだろう。
2020年04月25日
続 3D printing

これを3Dプリントできればと思い、S氏に相談すると、それほど難しくないと言う。イコライザは例の支えを入れる手法で作り、コイルバネで荷重を受け持つ。基本的にプルマン6輪台車と同じである。揺れ枕は作らなかった。ボルスタアンカはΦ1のステンレス線である。
この台車は銀色に塗装すると金属製に見える筈だ。荷物車、社長専用車などに使う。
やはり客車の台車はプラスティック製に限る。絶対ショートしないし、軸の抵抗が少ない。現在使用中の金属製台車はすべて用済みとなる予定だ。そうすると、パシフィックでプルマン10輌が牽けるはずである(現在は6輌)。


2020年04月27日
続々 3D printing


これでDaylight用の客車台車を作っている。本体はブラスの厚板をレーザで抜いたものだ。これはハンダ付けして組んである。
ブレーキ装置で悩んでいた。ロストワックス鋳物では必ずショートする。ブレーキ関係をプラスティックにすれば問題は解決だ。ほとんどの製品では、ブレーキ・シュウが台車枠の位置にある。ショートしないように工夫したつもりだろうが、非常に大きな減点箇所である。そんな台車など要らない。ブレーキ・シュウの位置は大切である。
他の機能部品はいくつか問題があるので、発表はしばらく控えたい。積層方向によって、精度が変化する。3Dプリントは簡単そうに見えるが、高精度を期待すると、難しいものである。 次回の試し打ちでうまく行けばよいが、なかなか難しそうである。
2020年05月31日
続 Streamliner の組立て
電気絶縁方式を考えておかねばならない。連結器はMonarchで金属製であるから、台車を絶縁せねばならない。また、木製床板であれば心配ないのだが、ブラスの床板であると導通してしまう。半固定編成にして解結しないという前提でないと、つなぎ方によってショートしてしまう。
電気的には、3Dプリンタによる樹脂製台車は好都合である。金属製台車は絶縁された床板に用い、樹脂製台車は金属製床に用いることにした。さらに、編成時はよく考えて、金属製床と木製床の車輛をなるべく交互につなぐように心がける。そうすれば間違ってショートすることはない。中には金属床板に樹脂製のボディ・ボルスタを付けてあるものもあって、ややこしい。
これらの客車は入手した先が異なり、また作られた時の状況が異なるので、1輌ごとに作りが全く異なる。床高さもまちまちで、車体高さと連結器高さを同時に独立して調整せねばならない。列車としてのまとまりは、揃った屋根高さ、一定の連結面隙間によって得られる。簡単なジグを作って不揃いは修正した。規格があって、同時に作ってあれば非常に楽であったろうと思う。その修正は大変な手間である。だから、現在作っている12輌には完全な互換性を持たせる。
色調は多少異なってもさほど問題ない。本物の編成でも褪色具合の差があって、かなりの違いがあるのが普通だ。
生地完成のものは13輌あったので、よく洗って、準備した。長年の保管中に一部破損しているものもあり、整備するだけで5日を要した。屋根上のディテールは、昔の申し訳程度のエッチングパーツではなく、3Dプリンタで作った本格的なものを使用した。小さな部品でも、これを付けると、全体が引き締まる。塗装済みの車輌に付けたものを示した。色や艶が多少異なり、剥げているところはタッチアップする。
電気的には、3Dプリンタによる樹脂製台車は好都合である。金属製台車は絶縁された床板に用い、樹脂製台車は金属製床に用いることにした。さらに、編成時はよく考えて、金属製床と木製床の車輛をなるべく交互につなぐように心がける。そうすれば間違ってショートすることはない。中には金属床板に樹脂製のボディ・ボルスタを付けてあるものもあって、ややこしい。
これらの客車は入手した先が異なり、また作られた時の状況が異なるので、1輌ごとに作りが全く異なる。床高さもまちまちで、車体高さと連結器高さを同時に独立して調整せねばならない。列車としてのまとまりは、揃った屋根高さ、一定の連結面隙間によって得られる。簡単なジグを作って不揃いは修正した。規格があって、同時に作ってあれば非常に楽であったろうと思う。その修正は大変な手間である。だから、現在作っている12輌には完全な互換性を持たせる。
色調は多少異なってもさほど問題ない。本物の編成でも褪色具合の差があって、かなりの違いがあるのが普通だ。

2020年06月24日
bolster anchor の向き
ボルスタ・アンカの向きについてさらりと書いたら、早速詳しく解説せよ、との要望があった。
ここで述べることはアメリカの台車についてであり、日本国内でどのような基準で作られているか、については全く知らない。また、一部の機種で見られる仮想心皿方式のリンクは、ここでは考えていない。
しばらく前、シカゴのコンヴェンションで撮った写真があるので、紹介したい。
この写真の裏返したものは正しいボルスタ・アンカの向きを示している。どちらも車体の中心の方に向かってボルスタ・アンカが伸びている。一つの台車の中ではアンカーボルトは線対称である。
向こう側の横に寝たのはダメである。連結器の方向を向いている。
もう一つの写真を見てみよう。これもダメな例である。二つの台車のボルスタ・アンカが、どちらも連結面方向に伸びている。UPでは採用していない。どちらでも良さそうだが、何らかの理由があるはずだ。
様々な間違いを含む模型に遭遇する。もっとも多いのはボルスタ・アンカが台車の中で点対称になっているものである。これは奇妙だ。
先回紹介した記事には、「UPに関してはアメリカ随一の知識と腕のある模型人による塗装だ」と持ち上げてあるが、何を考えているのかよく分からない。
ここで述べることはアメリカの台車についてであり、日本国内でどのような基準で作られているか、については全く知らない。また、一部の機種で見られる仮想心皿方式のリンクは、ここでは考えていない。
しばらく前、シカゴのコンヴェンションで撮った写真があるので、紹介したい。

向こう側の横に寝たのはダメである。連結器の方向を向いている。

様々な間違いを含む模型に遭遇する。もっとも多いのはボルスタ・アンカが台車の中で点対称になっているものである。これは奇妙だ。
先回紹介した記事には、「UPに関してはアメリカ随一の知識と腕のある模型人による塗装だ」と持ち上げてあるが、何を考えているのかよく分からない。
2020年06月30日
Kemtron の台車
Kemtronの台車は十分量用意してあった。安いものではなかったが、他に良い台車が無かったので、イコライザ可動であるから買っておいた。友人が手放すのをすべて買ったのだ。
ロストワックス鋳物(厳密にはinvestment casting というべき) だから、湯口を切り、ヤスリ掛けをして、ボールベアリングが入るように座グリした。ここまでの処理だけでも、かなりの手間がかかる。ハンダ付けすれば組めるわけであるが、スプリングが無いので組まなかった。
正規のキットにはブラスワイヤで作られたスプリングが入っていた。それを自作せねばならない。旋盤でブラスワイヤを巻いてバネにし、切断して座面をベルトサンダで削り落とした。かなりの手間である。1回に30本も作ると疲れてしまう。ブラスワイヤは、加工硬化してほどほどの固さになる。ヘタることはない。
在庫の半分は組んで塗装してあった。その中に一つだけまずいものが見つかった。ボルスタ・アンカが点対称である。ということは左右が同じものであるということだ。それではと、組んでないものを点検した。その鏡像が見つかると信じていたのだが、…。
残りを半日かけて組んだ。最後の残りの2つが同じ形なので、問題の台車枠の鏡像であって、めでたしめでたしだと思っていた。しかし、とんでもないことに4つが合同であった。ということは、点対称の台車が2つ出来てしまう。
これには参った。今さら間違っていたと連絡しても、相手がまだ部品を持っているとは思えない。眺めているうちに、ボルスタ・アンカを外して、新しく作る部品と置き換えるのが最も簡単であろうことに気付いた。糸鋸を駆使して、切り捨てた。
手前が、アンカを外した状態である。左後のように作らねばならない。アンカ・ボルトはやや太い。細くしたいが、そうすると車体の同じ側で太さが違うのが見えてしまい、みっともない。同じ太さの材料を旋盤で挽き出すことになった。
ロストワックス鋳物(厳密にはinvestment casting というべき) だから、湯口を切り、ヤスリ掛けをして、ボールベアリングが入るように座グリした。ここまでの処理だけでも、かなりの手間がかかる。ハンダ付けすれば組めるわけであるが、スプリングが無いので組まなかった。
正規のキットにはブラスワイヤで作られたスプリングが入っていた。それを自作せねばならない。旋盤でブラスワイヤを巻いてバネにし、切断して座面をベルトサンダで削り落とした。かなりの手間である。1回に30本も作ると疲れてしまう。ブラスワイヤは、加工硬化してほどほどの固さになる。ヘタることはない。
在庫の半分は組んで塗装してあった。その中に一つだけまずいものが見つかった。ボルスタ・アンカが点対称である。ということは左右が同じものであるということだ。それではと、組んでないものを点検した。その鏡像が見つかると信じていたのだが、…。

これには参った。今さら間違っていたと連絡しても、相手がまだ部品を持っているとは思えない。眺めているうちに、ボルスタ・アンカを外して、新しく作る部品と置き換えるのが最も簡単であろうことに気付いた。糸鋸を駆使して、切り捨てた。

2020年11月27日
"しょうなんでんしゃ"の記事
むすこたかなし氏の連載記事が興味深い。HOの様々な車輪を調べてよく転がるものを選び、さらに曲線上の挙動を観察している。そして、フランジが曲線上で当たる実例を詳細に調べている。
筆者が2014年に15年以上の検証実績を発表したが、それに関する追試の報告は全くなかった。今回が最初の追試であると思われる。Oゲージはさておき、HOでの挙動は実例がなく、興味深い。
勾配を下っている途中の曲線上で止まってしまう実例を、紹介している。中にはそういうのもあるだろう。フランジが団子のような格好の、RP25準拠風のものだ。フランジが当りやすい形をしている。フランジを内側に押すと、しばらく転がって、また止まるというのが、実に面白い。これは、フランジが問題点であることを示している。
この種の追試は大歓迎だ。追試もしないで批判をする人がかなりあったが、そういう人は、学校で理科の時間に何をしていたのだろう。「観察する」ということが、最も大切なことである。観察した上での考察は価値があるが、先入観のみで語る人が多くいるのには驚いた。しかもそれは自称専門家の方が多い。
今回はかなり細かく観察している。むすこたかなし氏は全く専門家でないので、より客観性が高まっている。
軸受を改良してもフランジの改良をしなければ、ほとんど利益がない。また、タイヤは摩擦係数の小さな金属でないと脱線しやすくなる。摩擦係数が小さければ、フランジ近辺の摩擦損失も小さくなる。そういう意味でステンレス素材は望ましいのだが、これについては今まで誰も反応しなかった。
何度も書くが、めっき製品は外見を良くしているだけで、走行音は小さくない。チャンスがあれば、めっき面を電子顕微鏡で見てみるとよい。どの程度の粗粒面かが分かる。どなたか電子顕微鏡にコネクションのある方は、写真を発表されたい。
HOは車輪径が小さく、Oに比べるとテコ比で損をしているはずである。テコの原理によって、車輪径と軸の半径比が大きいほど軽く廻せるのだ。ピヴォット軸受がなぜ軽く廻るかというのは、まさにこのテコ比を利用している。
要するに、軸受部を相応に細くできないから、緩い勾配では動き出しにくい。O scaleでは、そのタンジェントが0.0023の勾配で動き始めるものもある。またここでの実験では、まだステンレス車輪を使っていないので、その分の損失もあるだろう。
実物業界の方で、模型も実物と同じ理屈だとおっしゃる人が居るが、曲率、材質、質量が異なるものでも同じと言い張るのだろうか。それなら証拠を出すべきであろう。模型は実物とは異なるのだ。
模型は実物を小さくしたものである、というのはファンタジィである。
今後の展開を期待する。
筆者が2014年に15年以上の検証実績を発表したが、それに関する追試の報告は全くなかった。今回が最初の追試であると思われる。Oゲージはさておき、HOでの挙動は実例がなく、興味深い。
勾配を下っている途中の曲線上で止まってしまう実例を、紹介している。中にはそういうのもあるだろう。フランジが団子のような格好の、RP25準拠風のものだ。フランジが当りやすい形をしている。フランジを内側に押すと、しばらく転がって、また止まるというのが、実に面白い。これは、フランジが問題点であることを示している。
この種の追試は大歓迎だ。追試もしないで批判をする人がかなりあったが、そういう人は、学校で理科の時間に何をしていたのだろう。「観察する」ということが、最も大切なことである。観察した上での考察は価値があるが、先入観のみで語る人が多くいるのには驚いた。しかもそれは自称専門家の方が多い。
今回はかなり細かく観察している。むすこたかなし氏は全く専門家でないので、より客観性が高まっている。
軸受を改良してもフランジの改良をしなければ、ほとんど利益がない。また、タイヤは摩擦係数の小さな金属でないと脱線しやすくなる。摩擦係数が小さければ、フランジ近辺の摩擦損失も小さくなる。そういう意味でステンレス素材は望ましいのだが、これについては今まで誰も反応しなかった。
何度も書くが、めっき製品は外見を良くしているだけで、走行音は小さくない。チャンスがあれば、めっき面を電子顕微鏡で見てみるとよい。どの程度の粗粒面かが分かる。どなたか電子顕微鏡にコネクションのある方は、写真を発表されたい。
HOは車輪径が小さく、Oに比べるとテコ比で損をしているはずである。テコの原理によって、車輪径と軸の半径比が大きいほど軽く廻せるのだ。ピヴォット軸受がなぜ軽く廻るかというのは、まさにこのテコ比を利用している。
要するに、軸受部を相応に細くできないから、緩い勾配では動き出しにくい。O scaleでは、そのタンジェントが0.0023の勾配で動き始めるものもある。またここでの実験では、まだステンレス車輪を使っていないので、その分の損失もあるだろう。
実物業界の方で、模型も実物と同じ理屈だとおっしゃる人が居るが、曲率、材質、質量が異なるものでも同じと言い張るのだろうか。それなら証拠を出すべきであろう。模型は実物とは異なるのだ。
模型は実物を小さくしたものである、というのはファンタジィである。
今後の展開を期待する。
2020年12月15日
3Dプリントによる国鉄型台車
S氏にお願いし
た国鉄型台車が到着した。この写真はかなりの近接撮影であってざらつきが気になるが、実際の鑑賞距離ではほとんど見えない。Oスケールでの鑑賞距離は50 cmほどだろう。HOゲージならば、滑らかさを追求した別の出力方式を採る必要があるだろう。本物の図面から描き起こし、模型化の手順を経ているので、走行性能は抜群である。 実物をそのまま縮小した訳ではない。
故稲葉氏の遺品である昭和29年の客車列車を保管することになり、その台車を交換する必要に迫られた。OJに改軌する必要があるのかもしれないが、とりあえずOゲージの台車を履かせて、12輌編成の特急、急行列車としたかった。機関車はEF58をお預かりしているので、その下廻りを新規に作れば一応の体裁は整う。その部品は揃った。
OJ長軸が作ってあるから、車輪を嵌め替えればOJ用にもなるが、ブレーキ位置が異なる。しかし台車自身それほど高価なものでもないので、OJ用のも作ってもらった。こうすれば台車ごと嵌め替えれば対応でき、楽である。
もちろん、ブレーキ装置は車輪踏面に当たるような位置に来ている。
TR47、TR23を作ってもらったので、ピヴォット軸を嵌めれば走らせることが出来る。軽い車体なので、それで十分だ。ただ、床下器具は接着剤が劣化しているので、全部剥がして優秀な接着剤による再接着が必要だ。今のままでは、走行中に落下する。
車輪はスポーク輪心ではないが、TR47では全く目立たない。TR23には、新設計のスポーク輪心を再利用するプロジェクトの完成を待ちたい。このスポーク車輪の再生は新年には出来るだろう。今、ネジ太さの微妙な調整で手間取っている。
この新台車は、素材の性能を生かしたひねりの利く設計を採用している。すなわち、台車そのものが線路の凹凸に追従するから、バネ装置を省略できて経済的で、しかしながら走行性能は抜群である。端梁は、180度屈曲させ、ひねりに対応する。イコライズされているわけではないが、弾性のある素材を使っているからこそできる技である。走りは静かで、脱線も少ない。
(左の写真ではその180度ひねりの部品を、仮に上に載せて撮影している。実際には右のように上面が面一になる。)


故稲葉氏の遺品である昭和29年の客車列車を保管することになり、その台車を交換する必要に迫られた。OJに改軌する必要があるのかもしれないが、とりあえずOゲージの台車を履かせて、12輌編成の特急、急行列車としたかった。機関車はEF58をお預かりしているので、その下廻りを新規に作れば一応の体裁は整う。その部品は揃った。
OJ長軸が作ってあるから、車輪を嵌め替えればOJ用にもなるが、ブレーキ位置が異なる。しかし台車自身それほど高価なものでもないので、OJ用のも作ってもらった。こうすれば台車ごと嵌め替えれば対応でき、楽である。
もちろん、ブレーキ装置は車輪踏面に当たるような位置に来ている。
TR47、TR23を作ってもらったので、ピヴォット軸を嵌めれば走らせることが出来る。軽い車体なので、それで十分だ。ただ、床下器具は接着剤が劣化しているので、全部剥がして優秀な接着剤による再接着が必要だ。今のままでは、走行中に落下する。
車輪はスポーク輪心ではないが、TR47では全く目立たない。TR23には、新設計のスポーク輪心を再利用するプロジェクトの完成を待ちたい。このスポーク車輪の再生は新年には出来るだろう。今、ネジ太さの微妙な調整で手間取っている。
この新台車は、素材の性能を生かしたひねりの利く設計を採用している。すなわち、台車そのものが線路の凹凸に追従するから、バネ装置を省略できて経済的で、しかしながら走行性能は抜群である。端梁は、180度屈曲させ、ひねりに対応する。イコライズされているわけではないが、弾性のある素材を使っているからこそできる技である。走りは静かで、脱線も少ない。
(左の写真ではその180度ひねりの部品を、仮に上に載せて撮影している。実際には右のように上面が面一になる。)
2021年04月12日
客車列車



故稲葉氏のご家族からお預かりしている客車群を、稼働状態にせねばならない。10輌組んでつないでみたところ、連結器が切れたのが8箇所あった。当時のダイキャストは、お話にならないほど質が悪い。
新しい連結器に取り替える。切り離すことが無いから、単なる棒でも良いが、収納が難しい。3Dでも作ってみる。


ナイロン製台車でのピヴォットの効果は素晴らしい。
2021年04月14日
OJ用 Low-D 車輪
Low-Dを再生産するときに、OJも作ってくれという要望があった。車輪厚さを 3.5 mmとして、バックゲージを 21.5 mmとした以外は、Oスケールと同一である。これは吉岡精一氏の助言を受け容れた設計である。車軸はΦ4である。絶縁側は圧入、他方はネジ込みである。また、ジャーナル部はΦ1.5のボールベアリングが嵌まるようになっている。
実は 、発注数を間違えて、長軸(先回の台車に使用)が多少余っている。ご希望の方にはお頒けする。 コメント欄を通じて申し込まれたい。email address は本文中に書いて戴かないと、こちらでは読めない。短軸もあるが、これは数が少ない。
OJのレイアウト上で試運転させてもらったが、極めて快調であった。ポイント上の挙動も全く問題ない。普通の車輪との転がり抵抗の違いは、顕著である。特に曲線上の挙動は全く別物である、との評価を得た。走行音がとても静かであることも特筆すべきことである。めっきされたものとは、大いに異なる。
実は 、発注数を間違えて、長軸(先回の台車に使用)が多少余っている。ご希望の方にはお頒けする。 コメント欄を通じて申し込まれたい。email address は本文中に書いて戴かないと、こちらでは読めない。短軸もあるが、これは数が少ない。
OJのレイアウト上で試運転させてもらったが、極めて快調であった。ポイント上の挙動も全く問題ない。普通の車輪との転がり抵抗の違いは、顕著である。特に曲線上の挙動は全く別物である、との評価を得た。走行音がとても静かであることも特筆すべきことである。めっきされたものとは、大いに異なる。
2021年04月22日
TR73 3軸台車

砂鋳物には抜き勾配があるので、そのまま組むべきではない。しかしそんなことは無視して、大きな頭のネジで締めてある。矢印の部分は特にひどい。そのまま締めてあるので、ネジの頭の片方しか当たっていない。強く締めると疲労して折れるだろう。
フライスで上面を直角に削り、ネジ頭を沈める。その他の抜き勾配をヤスリで軽く修正するだけで、見かけはぐっと良くなる。スポーク車輪が欲しいが、とりあえず手元の Low-D を嵌めた。軸箱が小さいので、内径 1.5 mm、外径 4 mmのボールベアリングを使う。今まで内径 2 mm、外径 5 mmを使っていたが、径が小さくなると、抵抗は明らかに少なくなる。
部材同士の当たり面がざらついていると、ネジが締まりにくいので、さっと削って密着するようにする。こうするだけで、ネジは緩みにくい。
TR73がもう一組ある。使える車種はわずかだ。

この種のブリキ製キットがたくさんあるので、いずれ組んでみたいが、知識量が無いので、今のところ難しい。「つばめ」「はと」編成の連結順は見つかったが、車輛の向きに関する情報は少ない。あまり良い資料には出会えない。昭和28年(1953年)の名古屋電化の頃の記録を探している。これは妹の生まれた時期で、母の実家に行くときは特急つばめをC62が牽いていたのを目撃したが、帰るころには電気機関車だったことを記憶している。
マイロネフなどの車輌記号の文字順は、車輌ごとに構造と共に変遷している。マイネロフ37という並び方もある。寝台車だからネロで、食堂車だからスシとか、友人と話し合った中学生時代を懐かしく思い出す。
2021年04月24日
続 TR73 3軸台車

組み終わると、あまりの転がりの良さに驚く。うっかり机の上に置くと、わずかでも勾配があれば走り出し、落ちて壊れる。必ず裏向きに置かねばならない。展望車は窓が大きく、中が良く見える。ある程度の造作を作らねばならないが、重くなってもこの台車なら問題ない。
故稲葉元孝氏の組まれたものでは、中間軸の軸バネが抜いてあるのに気付いた。ライオネルと同じ発想である。中間軸は浮いていても構わないという考え方だ。当時はブリキ製のガラレール(2線式に打ち替えてある)である。前後軸のバネが効いていれば、中間軸はどうでも良かったのかもしれない。分解して、新たな軸バネを入れた。レイルの継ぎ目での音は素晴らしくなった。
昭和29年にして、すべて絶縁車輪を採用していたというのは、素晴らしいことである。椙山氏の指導力は偉大である。
2021年04月30日
バネを入れる

この方法は一度紹介したことがある。絹糸を用いるのが正統派だ。今回は思い付いて、デンタル・フロスを用いた。デンタル・フロスは、ワックスが塗ってあるので滑りが良い。すなわち抜き取るときに支障がない。また、絹糸よりずっと重いので、短くてもバネが爆ぜた時に飛んで行きにくい。
要するに、縮められたバネに蓄積されたエネルギィは、バネそのものを数メートル飛ばすほどもあるが、糸を引っ張っていては、せいぜい10 cmしか飛ばない。だから、紛失する可能性はなくなる。
カーペットを敷いた部屋では、バネを飛ばすとカーペットのループの中に食い込んでしまい、引っ掛かる。うっかり引っ張るとバネが変形してオシャカになってしまう。飛ばさないためには、この種の防護策が必要である。

(本日の写真はKS氏による)
2021年06月17日
M10000の改良

この写真の上の方に写っているのは、内側台車の軸箱の孔を広げて、ボールベアリングを入れるためのジグである。万力に銜えると、軸の心が出るように段取りしてあったが、取り止めた。内側台車は叩き潰して廃棄した。設計があまりにも下手で、直す価値がないし、退路を断つと良いものができるという経験が多いからだ。また、外側台車にしても誰も気が付かないはずだ。
1 mm板を台車側枠とした。その末端には、さらに板を貼り足して厚くした。ピヴォットの軸穴を、専用カッタで厚さの3/4掘った。台車は3つしか無いので、全て手作業である。一つずつ、最良の結果が出るように磨り合わせて組んだ。穴の深さを調節し、ガタが最小になるようにしたのだ。互換性は無いから、刻印を打ってある。

台車枕梁は 12 mm角材から削り出しである。流線型カヴァは、仮に置いてある。ネジ一本でピタリと留める方式を採る。こういうところで2本もネジを締めるのは好きではない。
モリブデングリスを付けると素晴しい転がりで、ボールベアリングをはるかに凌ぐ。小さなモータで快適に走るはずだ。本物の車輌も、そういう走りをするものである。
2021年06月19日
続 M10000の改良
流線型外被の付いた台車は、車体に当たる。模型だから実物より車輪が厚く、ゲージも少し広いからだ。
どんな工夫をしても当たるから、車体の一部を切り取るか、台車外被の上の方を切り取るしか無いだろう。
台車には弾性懸架がないから、その上の部分で衝撃を緩衝せねばならない。電線を通すゴムのグロメットがたくさんあるので、使ってみた。厚み方向には、良いクッションである。最近のは品質が格段に良くなって、20年経ってもへたらない。
車内には座席がついているので、乗客を座らせた。窓からちらりと見えるだけなので、少々出来の悪いのを使った。足を切ったり、尻を削ったりして、かなり無理をして入れている。椅子、床の塗装は元の持ち主による。
最初付いていた後ろの方の動力台車部分には、座席がついてない。設計当初はあったのだろうが、走らなかったので動力台車を追加して、座席を外したのだろう。愚かな発想だ。
24人分の座席を作らねばならない。この種のものを揃えて作るのは大変である。アルミ板を切って作り始めた。
重い車輛なので、少しでも軽くしないと抵抗が大きいからだ。この模型は前頭部、後尾とも一体ロストワックス製の重い部品でできているから始末に負えない。また造形は美しいとは言えない。遠くから見るべきもののようだ。
実物の車体は、飛行機と同じ作り方のジュラルミン製である。
どんな工夫をしても当たるから、車体の一部を切り取るか、台車外被の上の方を切り取るしか無いだろう。



24人分の座席を作らねばならない。この種のものを揃えて作るのは大変である。アルミ板を切って作り始めた。
重い車輛なので、少しでも軽くしないと抵抗が大きいからだ。この模型は前頭部、後尾とも一体ロストワックス製の重い部品でできているから始末に負えない。また造形は美しいとは言えない。遠くから見るべきもののようだ。
実物の車体は、飛行機と同じ作り方のジュラルミン製である。
2021年07月23日
続 直角カルダン駆動
最近、電車の動力をすべて入れ替えたいという要望が、友人からある。
「今までは外見を素晴らしくすることには努力してきたが、走りは今ひとつだ。このままでは面白くない。」と言う。
友人たちは、筆者の車輛が音もなく走り、押して動き、なおかつ滑走するのを見ると心を動かされるようだ。
博物館の線路には、ギヤボックスがない車輛の進入は禁止であるから、その本線上を走らせてみたいというのもある(油を撒き散らされては困るから、未整備車はお断りしている)。
この台車を見せられた。外見は素晴らしい出来である。作者のH氏はもともと本物の電車を作る会社に居た。押さえどころがしっかりしているので、シャープで実感的である。もちろんイコライザは可動である。キングピン位置が高いので、軸重移動はかなりある。
モータ軸を延長して2軸に吊り掛けている。この模型では、油が飛ぶので、ウォームの寿命は短い。頻繁に取り替えねばならない。これを3条ウォームでやりたいそうだが、スペイスが足らない。
1軸駆動なら出来るが、それでは嫌だと言う。乗越しカルダンで2軸駆動でも嫌なのだそうだ。実物にもこの種の配置のカルダン駆動はある。さりとて、先回の動力を付けると、床下器具をなぎ倒すことになる。
「全軸ボールベアリング装荷にすれば、動軸が少なくても十分走りますよ。」と言うと、やる気が出たようだ。おそらく合葉式直角カルダンになるだろう。その方式ならば、駆動軸がおとなしいので、床下の改造は最小限で済む筈だ。
New O gauge, New OJ gauge の時代は来るだろうか。
「今までは外見を素晴らしくすることには努力してきたが、走りは今ひとつだ。このままでは面白くない。」と言う。
友人たちは、筆者の車輛が音もなく走り、押して動き、なおかつ滑走するのを見ると心を動かされるようだ。
博物館の線路には、ギヤボックスがない車輛の進入は禁止であるから、その本線上を走らせてみたいというのもある(油を撒き散らされては困るから、未整備車はお断りしている)。

モータ軸を延長して2軸に吊り掛けている。この模型では、油が飛ぶので、ウォームの寿命は短い。頻繁に取り替えねばならない。これを3条ウォームでやりたいそうだが、スペイスが足らない。
1軸駆動なら出来るが、それでは嫌だと言う。乗越しカルダンで2軸駆動でも嫌なのだそうだ。実物にもこの種の配置のカルダン駆動はある。さりとて、先回の動力を付けると、床下器具をなぎ倒すことになる。
「全軸ボールベアリング装荷にすれば、動軸が少なくても十分走りますよ。」と言うと、やる気が出たようだ。おそらく合葉式直角カルダンになるだろう。その方式ならば、駆動軸がおとなしいので、床下の改造は最小限で済む筈だ。
New O gauge, New OJ gauge の時代は来るだろうか。
2021年07月25日
枕梁を更新する
貨車の台車は、 Athearn のデルリン台車に敵うものはない。その低摩擦は、Low-Dと組合わせると無敵である。ピヴォット軸受であるが、軸重100 g重までなら全く問題ない。しかし、長期に亘って使用していると、たまに事故もある。
台車枕梁が破損するのである。一番多いのは黄色矢印の部分のひび割れである。徐々に疲労し、脱線などの衝撃で折れてしまう。折れなくても片側が開いて、枕梁が曲がる。すなわち、車軸が外れ、脱線する。この設計はまずい。力のかかるところの肉厚が、一番小さいのだ。ネジによる応力割れもある(後述)。
二番目に多い事故は、赤色矢印の爪状部分の破損だ。これが赤の線で欠けてしまう。脱線などで、衝撃があると欠けるのだろう。これが無くなると台車枠は外れ、脱線転覆する大事故につながる。
台車枠は、デルリン(いわゆるポリアセタール)であるのに、枕梁はポリスチレンである。とても弱い。リモネンを使って接着しても、他のところが割れてしまう。
こんなところにポリスチレンを使うのは間違いだ。こういうところこそ、結晶性プラスティックを使うべきだ。どうしてデルリンを使わないのだろう。

二番目に多い事故は、赤色矢印の爪状部分の破損だ。これが赤の線で欠けてしまう。脱線などで、衝撃があると欠けるのだろう。これが無くなると台車枠は外れ、脱線転覆する大事故につながる。
台車枠は、デルリン(いわゆるポリアセタール)であるのに、枕梁はポリスチレンである。とても弱い。リモネンを使って接着しても、他のところが割れてしまう。
こんなところにポリスチレンを使うのは間違いだ。こういうところこそ、結晶性プラスティックを使うべきだ。どうしてデルリンを使わないのだろう。
2021年10月19日
怪しいボールベアリング

驚いたことに、それにはボールベアリングが装着されている。Lobaughの台車枠に、座グリをして、ボールベアリングを入れたのだ。車輪は当然Low-Dだ。そんな音などするはずがないのである。
裏返して車輪を廻すと4軸とも、キリキリと音がする。信じられない話だ。ばらしてから、ボールベアリングそのものに軸を通して廻してみると、ガタガタと振れる。また、ガリガリとひっかかる。このベアリングは友人から、
「すごく安いけど、十分な性能だから」
と言われて買ったものであることを思い出した。
当時、新しく改造した機関車のテンダに入れたのだ。驚いたことにそのテンダから異音が発生した。ジャラジャラという音だ。すぐにばらしてベアリングを外して廃棄した。残りの数十個も捨てたが、10個ほどは行くえ不明であった。それがこうして見つかったわけだ。
見かけは普通の両シールド・ボールベアリングの形をしているが、時々回らないものもある。切り粉が入っているのだ。溶剤中で振り洗いすると、なにかが出てくる。最低だ。
洗った後、グリスを薄めて漬けておき、溶剤を飛ばすと少しは使えるらしい。しかし、使い続けることは無理だろう。一体どのような用途向けに作られたものなのだろうか。役に立たないことは明白だ。製作は資源と時間の無駄である。
詳しくは知らないが、中国製だと聞いた。
2022年01月19日
先輪はなぜ小さいのか
先輪の軸重が少なくても脱線しない理由を、問われた。それを疑問に持つ人が少ないのは不思議だったので、良い機会であるから説明したい。
これも、まず作図をすることから始めるべきだ。ここに図を出してしまうと「ふーん、そうか」で終わってしまう。読者が手描きで良いから作図をしてみるべきなのだ。
フランジがレイルヘッド側面に当たる図を描けば、同じフランジ高さであっても、小半径の先輪が如何に脱線しにくいかわかるはずだ。
蒸気機関は実用最大回転数が限られているから、高速を出すには大動輪を持たせるしか方法がない。最大、直径 2 m程度である。このような動輪では脱線しやすいので、先輪は不可欠なのである。
最近「蒸気機関車の◯◯」という3冊の本を読む機会があったが、説明に怪しいところがかなりある。工学に疎い人のような気がする。しかし、大上段に構えて書いているので、初学者が読むと信じてしまう人もいるだろう。間違いを指摘して差し上げたいが、これをやると「『悪口を言われた。』と取られる可能性が高いから気をつけろ。」と友人に釘を差された。
振り返ると、筆者は人生の中でサイエンティストとしか話をしなかった。間違いを指摘して感謝されたことは数多くあるが、逆恨みされたことはまず無い。しかしこの趣味界では、サイエンティストでない人のほうが多い。どうするべきか思案している。
これも、まず作図をすることから始めるべきだ。ここに図を出してしまうと「ふーん、そうか」で終わってしまう。読者が手描きで良いから作図をしてみるべきなのだ。
フランジがレイルヘッド側面に当たる図を描けば、同じフランジ高さであっても、小半径の先輪が如何に脱線しにくいかわかるはずだ。
蒸気機関は実用最大回転数が限られているから、高速を出すには大動輪を持たせるしか方法がない。最大、直径 2 m程度である。このような動輪では脱線しやすいので、先輪は不可欠なのである。
最近「蒸気機関車の◯◯」という3冊の本を読む機会があったが、説明に怪しいところがかなりある。工学に疎い人のような気がする。しかし、大上段に構えて書いているので、初学者が読むと信じてしまう人もいるだろう。間違いを指摘して差し上げたいが、これをやると「『悪口を言われた。』と取られる可能性が高いから気をつけろ。」と友人に釘を差された。
振り返ると、筆者は人生の中でサイエンティストとしか話をしなかった。間違いを指摘して感謝されたことは数多くあるが、逆恨みされたことはまず無い。しかしこの趣味界では、サイエンティストでない人のほうが多い。どうするべきか思案している。
2022年05月23日
吊掛け駆動
いわゆる吊掛け式とは、一体何だろう。
元々は、電気機関車の台車内の構造を表す言葉である。重いモータが車軸に付いていると、線路の不整でモータが上下に揺さぶられて、壊れやすいし、線路も傷む。そこで、モータ軸を車軸と近い高さにし、モータの質量の半分を台枠に結び付ける。そうすると、線路からの衝撃はかなり減り、不都合なことが減る。車軸は片足持ち上がる可能性もあるので、固定は一点である。
その台枠に結びつけるモータの突出部分を英語で "nose"と言う。飛び出しているからだ。英語で吊掛け式は、nose suspension drive という。趣味人でこの英語表現を知っている人には会ったことがなかったが、最近電鉄会社OBと話したところ、この表現が出てきて驚いた。会社によっては、ノーズという言葉を社内で使っていたようだ。
この部分はモータの質量を承けるだけではなく、反トルクをも承けている。”吊掛け式”と称する機関車や電車の模型を見せてもらうと、その部分が怪しいものをよく見る。ノーズ部分をきちんと作ったものを見ることは少ない。起動、停止によって、モータがガバガバと上下するものがあるが、それでは全くダメである。反トルク承けが付いていないものは、うまく走るはずがないのだ。
蒸気機関車の模型では、直角伝動だから、モータはかなり後ろに来る。すなわち、モータの重さは、動軸にほとんど掛からない。しかし、そのノーズは先述の1点支持になるべきなのだが、このあたりの構造が怪しい模型がとても多いと感じている。
元々は、電気機関車の台車内の構造を表す言葉である。重いモータが車軸に付いていると、線路の不整でモータが上下に揺さぶられて、壊れやすいし、線路も傷む。そこで、モータ軸を車軸と近い高さにし、モータの質量の半分を台枠に結び付ける。そうすると、線路からの衝撃はかなり減り、不都合なことが減る。車軸は片足持ち上がる可能性もあるので、固定は一点である。

この部分はモータの質量を承けるだけではなく、反トルクをも承けている。”吊掛け式”と称する機関車や電車の模型を見せてもらうと、その部分が怪しいものをよく見る。ノーズ部分をきちんと作ったものを見ることは少ない。起動、停止によって、モータがガバガバと上下するものがあるが、それでは全くダメである。反トルク承けが付いていないものは、うまく走るはずがないのだ。
蒸気機関車の模型では、直角伝動だから、モータはかなり後ろに来る。すなわち、モータの重さは、動軸にほとんど掛からない。しかし、そのノーズは先述の1点支持になるべきなのだが、このあたりの構造が怪しい模型がとても多いと感じている。
2022年06月02日
イコライザ付き台車
最近、電車の台車の図面を熱心に見ている。戦前の台車は興味深い。イコライザがついているものに興味がある。
イコライザの形は工夫されている。イコライザが軸箱に当たるところには、軸箱との相互の位置がズレないように、凸凹があって噛み合うようになっている。すなわちイコライザが折れてしまわない限り、軸は平行に保たれる。軸箱守との隙間が多少あっても、構わないということだ。ガタがあって操舵台車のようになるという珍説を聞いたことがあるが、そういうことは起こり得ない。

この台車のイコライザは2枚合わせである。よく見ると奥の方が低い。板バネを避けるようになっているのだ。真横から見ると確かに低くなっているが、よほど注意深く見ない限り、低いことには気付かないだろう。
模型の場合は外の一枚だけという場合が多い。HO以下では、動くのはまず見ない。
本物の台車の保守は、イコライザだけを見ていれば良かったそうで、仕事は楽であったという。ヒビが入るところはイコライザだけだったからだ。
イコライザの形は工夫されている。イコライザが軸箱に当たるところには、軸箱との相互の位置がズレないように、凸凹があって噛み合うようになっている。すなわちイコライザが折れてしまわない限り、軸は平行に保たれる。軸箱守との隙間が多少あっても、構わないということだ。ガタがあって操舵台車のようになるという珍説を聞いたことがあるが、そういうことは起こり得ない。


模型の場合は外の一枚だけという場合が多い。HO以下では、動くのはまず見ない。
本物の台車の保守は、イコライザだけを見ていれば良かったそうで、仕事は楽であったという。ヒビが入るところはイコライザだけだったからだ。
2022年06月24日
続々 8軸ディーゼル電気機関車を作る
4軸台車は、実物の保線屋からは嫌われていた。軸距離が長く、横圧でポイントを壊すのだそうだ。軸重は30トンもあるので、破壊力はあるだろう。
台車は必要数以上に用意した。Bill Melis の型を持っている人が居るので、それから作ったものもあるし、KTM製をアメリカで買ったものもある。
細かいパーツは自作の部品をロストワックスで作ったから、問題ない。但し、台車は2種あって、互換性がない。

KTM製は台車ボルスタの鋳物が薄くて、弱そうだ。Billの方はかなり分厚い材料を使っているが、1本なので、台車枠がガタつくおそれがある。ガタをなくすには、このようにピンを植え込んでハンダ付けしておく。ネジ一本で完璧な組立てが可能である。ピンが長いと組立てに手間がかかるので、太さくらいの飛び出しで十分だ。先は角を落としておくと、組立てが容易だ。
台車は必要数以上に用意した。Bill Melis の型を持っている人が居るので、それから作ったものもあるし、KTM製をアメリカで買ったものもある。
細かいパーツは自作の部品をロストワックスで作ったから、問題ない。但し、台車は2種あって、互換性がない。


2022年07月26日
続 EMDの機関車群 5
先回の最初の写真の一番右は、左から2番目と同等であるが、ショート・フッドを切り縮めてキャブの窓を増やしている。これを作った人は、現物を見て作ったのだろうが、その現物が何なのか不明だ。Southern Pacific にあったという話は聞いたが、写真が見つからない。
どの機関車にも、Winterization Hatchが付いている。これはアメリカのジャンク市で見つけたものだ。もちろん日本製のアフターマーケット商品である。 売れなくて、非常に安くなったものを買った。
これらの台車はKTM製の中古部品を集めた。GP7,GP35に使ったものを部品として分売していたのだ。安くはなかったが、CLWのものよりは廉価であるので、買い集めた。祖父江氏の設計で、非常に頑丈であり、筆者の好みである。重ね板バネの表現がやや浅いが、砂型鋳物の限界だろう。軸箱蓋は張り替えた。一部の台車には板バネを貼り重ねたが、さほどの効果もなかった。台車のディテールは、車体全体の印象には負けるのだ。
韓国製の台車もあるが、弱くて実用に耐えない。補強しても構造に無理があるから、効果がない。内側台車にして、外にぶら下げるだけにするのが良いだろうと思う。
これらの機関車は軸重が350 gfもある。ウェイトを積んでいないのにブラスとモータだけで、これほど重い。台車にはボールベアリングが入っているから動くが、摩擦軸受ではすぐヘタってしまう。また、ちょっとした軽衝突でも、連結器周りはかなり破損する可能性が高いので、補強を十分に入れている。
どの機関車にも、Winterization Hatchが付いている。これはアメリカのジャンク市で見つけたものだ。もちろん日本製のアフターマーケット商品である。 売れなくて、非常に安くなったものを買った。

韓国製の台車もあるが、弱くて実用に耐えない。補強しても構造に無理があるから、効果がない。内側台車にして、外にぶら下げるだけにするのが良いだろうと思う。
これらの機関車は軸重が350 gfもある。ウェイトを積んでいないのにブラスとモータだけで、これほど重い。台車にはボールベアリングが入っているから動くが、摩擦軸受ではすぐヘタってしまう。また、ちょっとした軽衝突でも、連結器周りはかなり破損する可能性が高いので、補強を十分に入れている。
2022年12月14日
台車の向き
先日のこの記事を読んだ友人から、訂正記事を出すべきだと連絡があった。確かに指摘の通りなので、読者の皆さんにもお知らせする。
その台車にはドライヴ・シャフトが付けてあった。次の日に人に見せねばならないので、あわてて組んで、間違えたのだ。ドライヴシャフトの向きと、ブレーキの引き棒の向きが反対であった。

これらの図は古いTMSの2桁号時代の伊藤 剛氏の記事から採っている。これを見れば一目瞭然であるから解説は要らないだろう。
最近所属クラブの例会でその友人に会った時に、この日光モデルの台車を見せてもらった。なんと、左右別の型が彫ってある。要するにブレーキのテコが正しい方になるようにしてあるわけだ。これを買った人のうち、模型製作時にそこに気が付いて正しい方向に台車を向けた方は、どの程度居るのだろう。気になる。
その台車にはドライヴ・シャフトが付けてあった。次の日に人に見せねばならないので、あわてて組んで、間違えたのだ。ドライヴシャフトの向きと、ブレーキの引き棒の向きが反対であった。



2023年06月20日
3Dプリントの台車
最近3Dプリントが普及するにつれ、様々な方から、3Dプリントで作った台車等を見せられる。形はすこぶる良く、台車のひねりも多少は利いて、脱線も少ないと思うのだが、材質はほとんどの場合、駄目である。ABSや、PLAなどを使っているのだが、いずれ撓んで反ってしまうだろう。
Oスケールの方が、「おっしゃる通りで、撓みました。台車枠が開いてしまって、用をなさなくなります。」と素直に認めてくれた。大きなものはその結果が早く出る。こういう方がいらっしゃるのは助かる。もっと大きな声で他の人達にも知らせてほしいものだ。
HOなどの小さな模型であると、モーメントが小さく車重も軽いのでその撓み(長時間掛けると流れてしまい、永久的な曲がりとなる)は見えにくい。しかし、10年、20年というタイムスパンで見ると、駄目になることは必定だ。10年持てばよいのですと、断言する人もあるが、それでは困る人もいるだろう。
先日見せてもらったOJの台車には驚いた。すべての部材に鉄筋が入っている。タミヤの六角シャフトを挿し込んであるのだ。これは熱処理してあるので、そう簡単には曲がらない。この写真の中に6本の鉄筋が入っている。
3Dで中空の部品を作るのは、簡単である。筆者も思い付いたが、流れない結晶性プラスティックを使えばこれを凌ぐので、採用しなかった。
結晶性プラスティック製の台車を大量に作って、友人に渡した。近々、素晴らしい車輌がロールアウトする筈で、楽しみにしている。
Oスケールの方が、「おっしゃる通りで、撓みました。台車枠が開いてしまって、用をなさなくなります。」と素直に認めてくれた。大きなものはその結果が早く出る。こういう方がいらっしゃるのは助かる。もっと大きな声で他の人達にも知らせてほしいものだ。
HOなどの小さな模型であると、モーメントが小さく車重も軽いのでその撓み(長時間掛けると流れてしまい、永久的な曲がりとなる)は見えにくい。しかし、10年、20年というタイムスパンで見ると、駄目になることは必定だ。10年持てばよいのですと、断言する人もあるが、それでは困る人もいるだろう。

3Dで中空の部品を作るのは、簡単である。筆者も思い付いたが、流れない結晶性プラスティックを使えばこれを凌ぐので、採用しなかった。
結晶性プラスティック製の台車を大量に作って、友人に渡した。近々、素晴らしい車輌がロールアウトする筈で、楽しみにしている。
2023年09月18日
17.5 mm車輪の台車群
17.5 mm Low-D車輪を作った。インチで言えば、33インチである。これはピヴォット軸で、貨車の車輪として大量の注文がある。いつもはアメリカから一度に数百も注文が来るが、今回はまだ静かだ。先に国内で捌けるだろう。ピヴォット台車の存在を知らない人が多いが、3Dプリントで色々なものを作っている。日本型も製作は可能であろう。
これらはカブース用台車である。あまり良い製品がないので、作ったのだ。まだコイルバネが入れてない。
左から、UPのwood beam を用いたものである。樫の木で骨組を作った台車である。静かだったという話があるが、それは疑わしい。脱線すると壊れたという話もある。
中はBettendorf 社製の leaf spring 付きの台車で、緩衝力があり、乗り心地が良かったそうである。
右はUPの高速台車である。ボルスタ・アンカ がついている。これもコイルバネはまだ入れていない状態だ。コイルバネは形だけのものである。
左は軽量連接客車用の台車だ。1935年にUPの49erの新車輌用に開発されたもので、車輪径は34インチである。カンザス州の工場で作られた。
ブレーキ装置が斜めに付いていて、これをブラスで作ったら、一体何個のロストワックス鋳物を積み重ねなければならないか、考えただけで疲れる。内部のバネまで再現されていて、素晴らしい。わずかにひねる事ができるので、脱線しにくい。
ナイロン素材の柔軟性は素晴らしく、バネがなくても極めて優秀な弾性を持つ。走行音は静かだ。
右はNational B type springplankless truckである。普通の台車にはコイルバネを受ける座板が左右を結んでいるが、それをなくして軽量化したものだ。UPのタンク車にはたくさん採用されていた。

左から、UPのwood beam を用いたものである。樫の木で骨組を作った台車である。静かだったという話があるが、それは疑わしい。脱線すると壊れたという話もある。
中はBettendorf 社製の leaf spring 付きの台車で、緩衝力があり、乗り心地が良かったそうである。
右はUPの高速台車である。ボルスタ・アンカ がついている。これもコイルバネはまだ入れていない状態だ。コイルバネは形だけのものである。


ナイロン素材の柔軟性は素晴らしく、バネがなくても極めて優秀な弾性を持つ。走行音は静かだ。

2023年09月20日
続 17.5 mm車輪の台車群

1970年ころにこれらの台車群が発売された。以前はzamak製のダイキャストであったが、同じ型で湯を替えたのだ。他にもAndrews 台車があるが、今回は割愛する。
3本のコイルバネが見える。台車枠は自由にひねられ、素晴らしい追随性を示す。脱線しないというのは大きな利点だ。compliance 追随性は、このようなコイルバネでなくても実現できる。要するに左右の台車枠が捻り易ければ良いのだ。そういう意味では3Dプリントの台車は一体成型であるが、ボルスタ部分の捻り剛性を少し減らした設計にしてあるので、とても追随性が良い。compliance は、最近は別の範疇でカタカナで使われることが多いが、これは本来の意味である。
車軸は普通鋼で、RP25車輪は軽いデルリン製であった。筆者は1973年にこれを初めて見て、直ちに購入した。忘れもしない、1組が1.98ドルであった。昼のハンバーガ・セットの価格の1.5倍であった。指で廻してみて、それが軽やかに廻るのには驚いたが、この車輪が金属製であったらと思った。それから10年以上経った1986年、これにはまるステンレス製RP25車輪を1000軸作り、仲間内で頒けた。吉岡氏からは、「RP25は正しい設計とは言えない。もっと良い形状のものを開発すべし」と尻を叩かれたが、この転がりには皆が驚嘆した。
その後、Low-D の設計が完了し、 この17.5 mmピボット軸だけで2万軸作った。その9割がアメリカに行った。
この台車は、50年経っても全く性能には変化がなく、たまにボルスタが折れることがあるが、3Dプリントで作ったナイロン製に取り替えれば生き返る。軸受は専用の tuner と呼ばれる工具で深さを調節して、わずかのモリブデン・グリースを付けている。0.2%の坂を下り降りる。
この台車の軸長は他の製品に比べてやや短い。すなわち、軸端の距離が短いので、Low-Dをはめるには、上記の工具で軸穴を深くする必要がある。その加工は簡単である。デルリンには快削性があるからだ。