分岐
2025年03月10日
ポイントを作る
市販品のポイントのフログで落ち込むのが嫌だという話も聞く。どうすれば良いかと聞かれる。答えは単純でフランジウェイを狭くすることである。ウィングレイルを太くするのが簡単だ。ノーズレイルを伸ばすのも忘れずにやるべきだ。筆者の非対称フランジウェイの記事を見せると、意外にも興奮する人が多い。すぐやってみて、うまく行ったと聞く。
その人に「ポイントを自作すれば良いのに」と言うと、ご機嫌が悪くなる。
「そんな難しいことは出来ない」のだそうである。
筆者は中学生のころから線路は自分で敷き、ポイントを作っていた。難しい仕事ではない。NMRA規格は決まっているので、そこだけ気を付けるべきだが、あとはごく適当に作っても脱線はしない。


2024年06月09日
続々々 分岐を3D‐プリントで作った⁉
また、その分岐の枕木の長さは正しいとは言えなかった。さらに言えばフログ近傍の枕木の間隔は狭いはずだ。
彼らはレイルを削ったことが無いと言う。大きなヤスリを買ってみようかと言っているので驚いた。良い万力も持っていないようだ。この際小さなフライスを買うように勧めたがどうなるだろう。
トング・レイルをどうするかはまだ全く考えていないらしい。板金を曲げて作るなどと恐ろしいことを言う。加工硬化させていない材料ではたちまちヘタってしまう。そういう経験がないのだ。
Nゲージから参入した人たちで、鉄道工学の本を読んだことも無く、ハンダ付けの経験も少なそうだ。放置すれば必ず失敗することが見えているので、つい口を出してしまったが、余分なことであったような気もする。
模型を作る前に実物、他の模型の調査をして、どうすれば良いものができるかを考えるべきだ。作ってみて自己満足に陥っているようにしか見えない。世の中のものがどのように出来てきて、どんな進歩があったのかを知ろうとしないようでは、ろくな物が出来ない。
せっかくLow-D車輪を使っているのに、消化不良で悲しい。
緩和曲線が無いのも気になった。大したことではないのだから設置すれば走りが格段に滑らかになるのだが、分からないようだ。カクカクと曲がるので、気分が良くない。大半径の曲線を一本挟むだけなのだが、スペイスが足らないと言う。不思議な言い訳である。
Low-D車輪の話題が出たついでに広告をさせて戴く。OJ用 Φ19長軸車輪(バックゲージ21.5 mm)の在庫がある。
ご希望の方はコメントを通じて申し込んで戴きたい。メイルアドレスを書き込む部分があるが、どういうわけか動作しないのでこちらからは読めない。本文に連絡先を書かれたい。
2024年06月07日
続々 分岐を3D‐プリントで作った⁉
その会場では両渡りが展示してあったのだが、そのクロシングがこれまた奇妙なのだ。フランジウェイが広いので間が抜けている。こういう場合はゲージをわずかに狭めると同時に、護輪軌条を拡げる。全車輌が通過できるバックゲージ+0.2 mm程度の余裕を与えれば極めて滑らかに走るようになる。
走行性能を確保しながら、ファイン化が実現できるのだ。
そのポイント、クロシングでは、すべてのガードレイルが完全な直線であったのには驚いた。フログ部分で所定の寸法になるようにわずかの弓型にすべきである。本物を見てごらん、と言っておいた。この模型の作者は、実物の観察が足らないと感じた。分岐を渡る時の車輪とレイルヘッドの当たり具合をじっくり見るべきだ。通れば良いわけではない。
Nゲージのポイントは、ただ通ればよく、落ち込みとか音に関しては考えているようには見えない。
また、フログの材質には大きな問題があった。
2024年06月05日
続 分岐を3D‐プリントで作った⁉
模型の車輪がファイン化するとどうなるかということを、厳密に考える人はきわめて少ない。フランジを低くするとか、踏面を細くするなどという奇妙な結論に走る人が多かったが、それも少し減って来たように思う。
正解は、「ファイン化するとフランジが薄くなる」のである。これについては30年以上前に吉岡精一氏と意見が一致し、互いに「日本で初めて気が付いている人に出会った」と意気投合した。フランジ角度がある程度決まっているから、フランジ高さは自然に決まるのだ。すなわち、フランジの高さを先に決めているのではないのだが、ここを勘違いする人は相変わらず多いと感じている。
Low-D では線路規格の許す限りフランジを薄くしている。一方、フログのフランジウェイは規格の最小限度まで狭くする。
バックゲージ(back to back)は決まっているので、フログの反対側のガードレイルは少し軌道中心に寄ることになる。
PECOはそうしている。ネジで動かせるようになっているのだ。これは、線路ゲージを動かさない(すなわち、既存の製品を使う時の方便である。)とした時の話だ。分岐全体を作るのなら線路ゲージをその部分だけ僅かに狭めれば良いことだ。そうしても、誰も気が付かない。これは直線側だけにする方が良い。曲線は軌間が狭いと通らないものもあるかも知れないからだ。もちろん、フログが直線を交差させた形のものなら問題ない。
2024年06月03日
分岐を3D‐プリントで作った⁉
材質もそうだが、フランジウェイが広い。ここが広いと欠線部が長くなり、落ち込みが大きいから、より早く消耗する。
見せてくれたものは、あまりにもおかしな設計で驚いた。これでは駄目である。経験のない人が作ったものであることがすぐわかった。
分岐の製作には、経験が必要だ。どうすると壊れないか、どうすると静かに通過するか、をいくつか作ってテストする必要がある。それをすっ飛ばして作り、「すごいだろー」と見せられても眩暈がする。
バックゲージを合わせましたとは言うけれども、それでは足らない。最近はよりファイン化が進んできたのでフランジが薄い。すなわちフランジウェイを狭くできるのだが、やっていない。
このあたりのことが全く分かっていないようで、左右均等の広いフランジウェイの奇妙な分岐ができたのだ。
2022年06月12日
ポイントマシン
レイアウトの下側に付けると良いのだが、困ったことに裏に太い鉄骨の構造物がある。それを避けるためには面倒なリンクを付けねばならず、構造が複雑になる。長年の保守のことを考えると構造はできる限り、単純明快にしておきたい。

この写真で、下の緑の箱がトータスである。一つ20ドル弱であろう。上に載っているのが、エスキャップのギヤードモータである。長さは30 mm程度で、道床の中に収まる。

抵抗は微妙に発熱することになるが、触っても全く感じない。動作して、押し付けられて止まったあとの電流は 12 mAだ。もう少し抵抗を増やしても良いと感じる。2 kΩでもまだまだトルクを感じるからだ。
この種のモータは、防衛産業からはたくさんジャンクとして出てくる。これらは10年ほど前、テキサスのバッタ屋で買ったものだ。しかし今回のウクライナ戦争で、ジャンクの量は激減するだろう。
2021年08月30日
ダブルスリップの工事

F氏が手伝ってくれると申し出てくれたので、3日ほど掛けて下準備した。一日で終わるはずだったが、難しいことがたくさんあり、結局丸3日掛かった。リンク機構を付けてから、元の配置に戻した。まだ電動機構との接続はしていない。軽く動くのを確認してからである。フラックスを洗い落としてから軽く油を注し、余分なところに引っ掛かりがないことを確認せねばならない。通過頻度の高い場所であるから、確実に動くことが要求されている。極性の異なる尖端軌条が近いところにあるので、気を付けている。
機能優先にした。もう一つのダブルスリップは観客の目に触れないところだから、もっと簡単な方式を採るつもりだ。それはモータを4つ付けることだ。DCCのプログラミングで、いかようにも出来る。
この部分のレイルは、カツミ製のブラスレイルで、加工後に硬質ニッケルめっきを厚く掛けた。このめっきはとても硬く、そう簡単にはめっき膜を破れない。ヤスリが滑るほどである。砥石を使ってめっきを剥がし、小さな部品をハンダ付けした。
ダブルスリップは可動部が多いが、欠線部は少ない。可動フログが閉じているので、通過音は小さい。欠線部のあるフログも、Low-Dのタイヤ厚みで静かに通過できる。薄い車輪では、とんでもないことになる。
結局、下り本線は1週間ほど運休した。
2021年03月31日
double slip linkage

支え部分は、捻られないようになっている。滑動を妨げないようにして、直線運動を回転運動に変換している。Φ4のボールベアリングを使って、摩擦を減らしているのだ。
当初はリンク機構を隠すつもりだったが、見えた方が良いという意見が多く、全露出型となった。イコライズする様子が見えて面白いと感じる人も居るだろう。もちろんスライドする部分には、蓋をかぶせる。


本当は切り粉を掃きながらやるのだが、荒削りなのでさぼっている。仕上げ削りではこんなことはしない。刃を替え、ゆっくり送ってぴかぴかにした。

箱状の路盤を増設した。それに取り付けた上で、路盤に固定する。塗装すれば目立たない。
2021年03月11日
続々 double slip mechanism
簡単で壊れにくい構造は、リンク機構である。これは、例があまり発表されていないように見えるが、蒸気機関車のロッドはまさにこれで、多少の動軸の上下動があっても、問題なく動く。スイスあたりの電気機関車の駆動方式は、さらに大きな動きを許容する。このロッドには垂直に動くスライダがあるからだ。筆者はこれに目を付けた。
2:1に内分する点に、テコから直角(枕木方向)に張り出した別のテコを付け、長い既存のテコがレイル方向にずれないように長孔で保持してトルクを生み出す、という方法である。文章では分かりにくいので、図示する。

支点は、スライダの溝の中を滑るボールベアリングが嵌まった軸である。上下の抵抗は、無視できるほど小さい。この方法の利点は、イコライザとしてのテコの平面上で力が掛かるので、捻りが生じないことである。機構は極めて簡単になる。動く角度が小さい範囲では、3点への力は均等であると見做せる。
T字型のリンクの根元は補強しておく必要があるが、面積があれば普通のハンダ付けで十分だ。
本日は東日本大震災から10年目の日である。当日、日本を離れていて、帰国できるかどうか心配していたことを思い出す。テキサスのデニスは「うちに来い。いつまで居ても良い。」と言ってくれた。
帰国の日、日本に近い太平洋上で、飛行機から親潮と黒潮の潮目が見え、そこに膨大な量の漂流物があるのを見た。建物も船も、おそらく遺体も含まれていただろう。むごいことであった。
2021年03月03日
続 switch motor

バラすと歯車が5段に入っていて、減速比は1:200ほどだ。とても調子が良い。民生用として大量生産されているもので、消費電力は極めて少ない。
Honeywellにはstall motor(止まってしまっても良いモータ)があり、それは特許であった。エアコンのバルブや、ダクトの開閉に用いているものだ。その特許が切れてから、上記の安くて電流の小さなモータはポイントマシン用に使われ始めた。トルクは強大である。
ダブルスリップの連動装置に使える。観客から近いところにあるので、動くところが見える。故障せず、長持ちするリンク機構が必要である。それによって、この種の機構に興味を持つ人が増えれば嬉しい。

これらは全てブロックから削り出している。長年の使用に耐えねばならないからだ。
ポイントマシンでいくつかのスウィッチが駆動され、信号機の燈火が変化する。それだけでも面白い。
この種のモータはたくさん入手してあるのだが、結局のところ、アメリカ製のものしか使えない。力と耐久性とを考えると、そうなってしまう。それ以外のものはすぐ壊れてしまうものが多いと感じる。
2021年03月01日
switch motor
優秀なモータは5 mA以下で回転する。1.5 kΩの抵抗を直列に介して 12 Vを掛けると 6 mAで起動し、無理に回転を止めると8 mA弱で一定となる。抵抗では 0.1 Wが熱になるが、尖端レイルは押し付けられている。その力は十分大きく、脱線は起こらないだろう。抵抗は熱くなるはずだが、30分待っても温かく感じなかった。十分安全である。もちろんモータは単なる銅線であるから、熱は発生しないと考えて良い。


ここで問題を一つ。このダブルスリップの「1つのモータで動く3組の尖端レイル」の圧着力をすべて等しくしたい。この図の構成では圧着はするが、均等ではない。どのように改良すれば良いだろうか。矢印の長孔は十分に長いものとする。
2020年10月20日
Switch Signal Light

初めは協同ライト社製の部品を使って作るつもりであったが、昔のものであるから電球が大きかった時代のもので、最近のLEDには大き過ぎる。中にパイプを入れようとも思ったが、うまくできそうもないので、全く異なるものを作った。

ポイントマシンに付けたマイクロスウィッチで作動させる。この部分は枝線以外はDCCにもDCにもなる予定であるので直線側が green でなければDCCにならないようにする。すなわち転車台と本線を直結する時だけDCC専用となる。
DC・DCC共用本線使用時は入力電流を示す特別な信号が必要である。


N氏より、綴りの間違いを指摘して戴いた。感謝する。
2019年01月24日
日本語の ”ファインスケール” という言葉
先に結論を言おう。もう、「ファインスケール」という言葉を使うのをやめよう。理屈を理解している人にとっては迷惑千万である。「軌間が縮尺に近いとファインスケール」と言うべきかは、疑問が残る。「ファインである」という言い方は問題ない。コースに対するファインであることは疑いのない事実だ。
ファインは細かいという意味だ。美しいという意味もある。それにスケールを付ければ、なんとなく気分が良くなる人がいるのだろう。しかし、米語には無い使い方である。
コメントを投稿して戴いたEmpirebuilder氏と意気投合したところは多々あるが、その中でも、「線路規格は縮尺を問わず一つである。」というところが大切である。
HOでも16番でも、On30でも同じ線路規格であるべきなのだ。1/80の線路規格はNMRAの規格と異なるわけがないのだが、これらは違うと思っている人がたくさん居る。
30年ほど前、JORC(Oゲージの団体)が発足するときに、1/45、32 mmゲージの規格を決めようと言い出した人たちがいて、驚いた。筆者にも声が掛かって、規格委員になってしまった。
「冗談じゃないですよ。NMRAの規格と異なるものを作ったら、皆さんの持っているものは走らない可能性があります。」
と叫んだのだが、全く理解しない人が半分くらい居て、紛糾した。2年くらい訳の分からない事をやっていたようだが、結局何も決まらず(当たり前である)流れた。この時、正しいことを言ったのは、筆者の他に吉岡精一氏だけである。議事録を見ると、とんでもないことがたくさん書いてあった。筆者は、ばかばかしいので、最初の一回しか出ていない。
その後、筆者の提供した車輪を大半の方が使って、何の問題も起こらなかった。線路はNMRA準拠のものを輸入したり作ったりしている。1/45 と 1/48 の線路規格が異なる訳がないのだ。今でもおかしなことを言う人は、たまにいる。
輪軸、線路の規格は足し算、引き算で理解できる、小学生の算数なのだ。これが分からない大人がいるというのは一体何なのだろう。
2018年06月16日
O Scale West での講演 4

「そうだ。あそこだ。」と相槌を打つ人が居た。やはり見ている人は見ているのだ。



「これなら絶対に合う。」と面白がった。このアイデアは簡単にして、確実な物なので、評判が良い。一見高級そうに見えるアイデアも、破綻することが多いからだ。この種の話は、実際にレイアウトを作っている人が多いので、興味のあるところなのであろう。その点、日本とは大違いだ。日本では机上の空論をとくとくと語るだけで終わってしまうこともあるが、実際にやってみるとそれだけでは済まないこともあるのだ。

「magicだ。」と評判であった。
コルクに効果があると信じていた人は多い。Homasote という古新聞を厚さ数十mmに固めたものもあるが、これまた殆ど効果がない。現物を持っているが、さすがにそれは持って行けなかった。ホマソートは密度が大きくないので、効果は薄いのだ。
「コルクはどうして駄目なのか。」
という質問があった。逆に、
「車の床下などに防音用にコルクが使ってあるなら教えて欲しい。たいていはゴムかPVC(ポリ塩化ビニル)、あるいは鉛のシートでしょう。」
と聞くと、皆なるほどと思ったようだ。さすがに車の国である。単なる先入観か、間違ったうわさを信じているだけのことだと分かったのだ。prejudice 先入観という言葉を出すと、どよめいた。
売ってくれないかという打診もあったが、さすがにこれは重くて送料がかさむ。
「アイデアは差し上げますから、事業化してください。押出ノズルは$1000ドルくらい、材料は1ヤード(1m弱)当たり50セントもしないでしょう。たくさん売って金を儲けて、その1/4ほど戴ければ十分だ。」
と答えたら、一人がやってみたいと言うので、サンプルはそのままお渡しした。どうなるだろう。
「私はサイエンティストなので、『本に書いてありました。』、『専門家が言っていました。』などということは全く信用しない。すべて実験に基づいて決定している。」と言うと、大拍手であった。シリコン・ヴァリィの人たちは科学者が多いからだろう。
2018年02月09日
既製品のダブルスリップ
シノハラがHOのダブルスリップを出している。杉山氏は買ってみて走らせたのだが、全く駄目で、ことごとく脱線する。ゆっくり走らせても脱線するので、じっくり観察したそうだ。
細かいレイルが、微妙な量、上下していたのだそうだ。要するにすべてのレイルが同一平面上にはないのだ。そこで氏は、飛び出しているものをヤスることにした。定規を当てて、出ているところを削り始めたのだが、とても難しい。そこで、大きな油目のヤスリを全体に当てて、数十回軽くヤスったのだそうだ。
すると、出ている部分が完全に削れて、低い部分と同じ高さになった。車輌を高速で走らせても、全く脱線しなくなったという。先日、M氏のレイアウトでそれをお伝えしたら、早速試されて、快調になったそうである。
杉山氏は、
「メーカーで、出荷前に大きな定盤上にサンドペーパーを貼って、その上にダブルスリップをうつ伏せに置いて、ざっとヤスればすぐできるのにね。」
とおっしゃった。その後数十年経ったが、目立った進歩はないようだ。
筆者が作るダブルスリップは、それをお聞きして、レイル表面の整列には気を遣っている。
杉山洋二氏はTMSの100号時代あたりから載っている電車模型の大家であった。近鉄を1/80、18 mmゲージで作られた方である。
2017年12月03日
共通点
要するに通電しても仕事にならない「辷り」を生じさせて、無視できるほど僅かな発熱を承知で使っているのである。その動作をメカニズムで実現したかった。共通点は「辷り」である。
モータが動き、ラックとピニオンで所定の位置まで行って当たると、発生する推力によって軽く押し付けられている。
電力供給が止まれば、逆に押されて戻るようにしたい。機械的辷りを作り出さねばならない。単純な摩擦式ではいずれ壊れる。電気的な処理方法はあるだろうが、筆者の方針には合わない。
このメカニズムは、様々な図を描いて検討した。ノッチの向きもそうだが、直線で曲線を近似するのをやめて、外側にもう一つの回転するドーナツ状の板を作り、それから内側へトングが出る方法も考えた。しかし、それはあまりにも複雑で、摩擦が大き過ぎる。
簡単にして、何十年も全く故障なく使える、というものでなければならない。今回採用のアイデアは15年ほど前に思い付いたのだが、なかなか使う機会が無かった。
さて、どんなメカニズムであろうか。
2017年07月31日
tongue rail





角度が大きく見えるが、望遠レンズなので、圧縮されて見えるだけである。脱線しないポイントを作るコツはここである。先端が厚いと良くない。
Low-Dのフランジ角は小さいのでまず大丈夫だが、機関車の中にはRP25もどきが潜んでいる。
2016年07月25日
客車ヤードの配置


順に7番、8番、9番、10番と急なものから緩やかなものへと使えば、もう少し機能的だったろう。そんな話を鉄道関係者としていたら、
「そんなことはありません。ヤードなんかは手持ちのもので作るのです。余っている分岐で現物合わせですよ。速度が遅いので、線形なんか気にする必要はありませんから。」
とのことであった。
確かに、港の近くのヤードの線形はかなり無茶だ。ありえない形をしているものがある。
2016年05月20日
隠しヤード

この幅でゴムを貼るというのはかなり難しい。曲がっている部分だけに全面的に接着剤を付け、平らな部分は点付けで行こうと思う。釘を併用して貼れば、落ち着くだろう。
面積が大きいと、よほどうまく圧力を掛けないと均一には着かない。場合によっては細かく切って、貼るということも考えている。
ゴム板の上にエラストマを貼り付けた部分に線路を敷いて、貨車を走らせた。枕木に大きめの穴をあけ、線路は緩く取り付けてある。実に静かで、感動的である。車輪の転動音だけしかしない。
今回はこの黒ゴムが1 m幅で10 mあったので、惜しみなく使っている。ヤードの奥の方は足らないので、仕方なく、ポリ塩化ビニルの 3 mmと 2 mmのシートを重ねて使う。ありがたいことに、端材の廃品を大量に戴いたので、活用する。
隠しヤードの奥は転車台の横まで伸びている。その部分の工事をしないと先に進めない状況になってきた。
2016年04月08日
客車ヤード

合板に当てて、フェルトペンで外形を写した。それをレシプロ・ソウで切り抜く。はみ出した分は、別の板を当ててつなぎ、切り落とす。

路盤高が30 mm になるので、裏に18 mmのディスタンス・ピースを貼り付ける。縁取りは5.5 mmのシナ・べニアである。

完成すれば、プルマン客車10〜12輌編成が5本収容されるヤードとなる。本当は16輌編成を置きたかったが、無理せず2分割することにした。
2016年04月02日
escape track


この部分は用地が狭く、♯10分岐を使わないと、幅がすぐはみ出してしまう。左向きの分岐をだましながら曲げて右向きにしてしまう。枕木を外せばこれは容易だ。尖端レイルの反りを調節する必要がある。

2016年03月29日
続々 wye (Y) switch

机の上を整理して並べてみた。複線間隔を所定の値にするときのフログ間距離を求めねばならない。計算値と、並べたときの実測距離が一致したので、一安心だ。このキットはレイルをかなり短く切っているので、必要なフログ間距離を得るには、ある程度の長さのレイルを足さねばならない。
材料箱を探すと、短いレイルを捨てずに取ってあった。ちょうど良いものがたくさんあり、2,3 mm切るだけでぴったりであった。
これで第三期工事の準備は終わりである。

曲線部は複線間隔を狭くできない。しかも長い客車であるから、本線と同じにする。この部分の分岐の配置はかなり雑然とした感じになるが、なるべくS字カーヴを避けた機能第一の設計になる。客は乗っていないのだから、それでよい筈だ。実物のヤードも継ぎ足したり、障害物を避けて極端な曲線になっていることがある。
この写真の曲線の線路は、隠しヤードへの線路である。その右の5線は客車ヤードの線路位置を示している。直線部分はこれだけで、あとは曲線である。 観客からは見えにくい位置なので、線路の素性は様々である。
2016年03月27日
続 wye (Y) switch

この方法では、#4は自然と正しい角度になる。後で測定してみたところ、計算値とも合致した。平行になる直線部分の間隔は90 mmとした。曲線部分は100 mmにしているので、やや狭くなった。少しでも狭くしないと、ヤード有効長が減るからだ。車体幅は大体63 mm以下なので、80 mmくらいにならないかとも思ったが、すでに尖端レイルの位置が、フログにかなり近い。これ以上線路間隔を寄せることは避けるべきだ。
エポキシ基盤を切り出してあったので、ハンダ付けして位置関係を決めてしまった。例の水道工事用のフラックスをほんの少し付けて、熱いコテでハンダを送り込む。古いキットでレイルが錆びていたので、必要箇所は軽くヤスリを掛けておいた。実に素早く完成させることができた。水を掛けながらブラシでよく洗って、フラックスを落とした。ここまでの時間は2時間弱であった。
例によって、#4の尖端レイルはフライスで落とし、ストックレイルも削り込みを入れておいた。分岐の工作は楽しい。型紙さえあれば簡単に作れる。やろうと思えば、いくらでも細かく作れる。脱線も皆無である。どうしてみなさんは分岐を作らないのだろう。車輛工作より簡単で経済的である。曲線分岐とか、任意の角度のクロッシングを作るのは興味深い。自宅のレイアウトには、直線と緩い曲線とのクロッシングがあるが、脱線しないものである。通過音が楽しい。
次はこれにつながる分岐をあと二つずつ付けると、8線になる。その型紙も切り貼りで作れる。当初10線にしようと思っていたが、それほどのスペイスもないことが分かった。機廻り線を付けたらもうぎりぎりだ。
2016年03月21日
wye (Y) switch

計算が面倒なのと、計算して作ったのに通らないということもありうるので、できている道床に紙を当てて、現物合わせで型紙を作った。それに半径2800mmの曲率ゲージを合わせ、リード部は緩和曲線のゲージを使った。フログは曲線フログであり、なかなか優美である。
写真のフログ図面は枕木間隔の目安として置いただけで、ずれているのは承知している。
尖端レイルはすぐに遠ざかるので、短くて良い。補強も要らない。あっという間にできてしまった。それに比べると、番手の大きな分岐は様々な点でむずかしい。特にフログ部分のフランジウェイ幅の管理が大変だ。以前、ジグを苦労して作ったが、そのジグが壊れてしまい再度作る気が失せてしまった。それよりも、適当に作ってから、洋白の薄板を叩いたものをウィングレイルに貼り重ねて狭くする。これが一番簡単である。はみ出たハンダはレイルよりはるかに軟らかいので簡単に削り取れる。

その分岐は曲線フログではない。角度は検討済みである。
2016年03月13日
三枝分岐の改良
とりあいカーヴの半径が2800Rである。どんな機関車も通るはずであったのに、UP9000が通らなかったのだ。直線が円曲線に接する構造であると、緩和部がないからその接点辺りで不具合を生じやすい。この機関車はすべてのフランジを付けたまま、2800Rを通るように設計して作り直したものなので、これが通らないのは許せない。
前述のようにリード部分を長くして緩和曲線のようにした。尖端レイルが205 mm(実物で約10 m)もあり、機関車が通ると、派手に撓(たわ)んで、気持ちが悪い。どうしても曲率を保ちたいので、補強を入れることにした。


見かけは良くないが、尖端レールの形を保持するのには最適の方法だ。今作っている側線のうち、この部分だけは強度が必要だ。重い機関車が曲線側を通る。その他の分岐は直線の方しか機関車が通らない。あまり良く見えないところだから、実用性を最優先した。信頼性のない分岐は使いたくないからだ。

曲線ゲージに沿わせて完全に一致したものを貼るので、工作は簡単だ。ハンダめっきしてクランプで挟み、加熱するだけである。
裏にリンクとなる1.2 mm の板の小片を貼り、相手方とネジ留めする。

2016年03月09日
側線を敷く

いつもこの格好で作業している。この薄汚い褐色のジャケットはUPで作業用に支給される物だ。Tom Harveyにもらった。Union Pacificのロゴが入っていたが、それはもう剥がれ落ちた。帽子は亡くなったLorell Joiner氏にもらったものだ。
簡単な作業のはずだが、いくつもの面倒な作業があり、1日1つ出来れば良いほうだ。三枝分岐は4日も掛かっている。 路盤の高さがあるので、脚立に跨っての作業である。だんだん奥に行くので、そのうちに路盤に寝そべってしなければならないかもしれない。そういうときは線路を保護するように、何かの養生板を敷くことになろう。
アメリカでよく見るのはこれだ。既製品もあるし、自作品も見たことがある。博物館では、線路の周囲に透明プラスティックの保護板を付けるので、これは使えない。ただ、工事中には役に立つだろう。ただし、足元にスペイスがないと押し込むことができない。
ハンダごての持ち方に注目してほしい。先が小指側に来ている。こういう方法で持たないと、先端に力が入らない。熱いこてをレイルの下部に押し当て、一気にハンダの凝固点を越えさせるのがコツだ。もたもたしているとハンダがたくさん溜まってしまう。なるべく短時間にしないと、エポキシ基盤とは言え、銅箔が傷む。ハンダこては先端が平らな専用品だ。
尖端レイルの支持方式に悩む。故障が少なく、簡便な作り方で、そこそこの見栄えが必要だ。 使用頻度が少ない側線は問題が起こりにくいが、現在工事中の部分は機関区への通路で、重量級機関車が頻繁に通る。丈夫に作らねばならない。
根元はリン青銅の薄板で作り、弾性を利用したヒンジである。尖端に近い部分にはリンクで結合させるが、一つでは途中が撓む。長年に亘って無事故で使用したいので、リンクを2、3箇所付けるつもりだ。
当初はポイントマシンを線路下に内臓するつもりだったが、今後の保守を考えると、半露出とすべきであるという結論になった。
2016年01月26日
フランジ
108輌の長い貨物をゆっくり走らせて、そのフログの部分で観察する。どの車輛も静かに通過する。すべて合格だと思った瞬間、SPのカブースの台車がゴンと持ちあがった。そのカブースは韓国製で、車輪を替えてなかった。25年前から走っていたが、台車をばらすのが面倒で、そのまま使っていたのだ。
車輪を見ると、踏面のめっきは半分剥がれて浮き上がり、フランジがかなり擦れている。彼らがRP25であると言っている怪しいフランジだ。バックゲージは28.32から28.42程度のばらつきだった。ホンの僅かだが、狭いので乗り上がる。
早速外して、Low-Dのジャーナルにモリブデン・グリスを塗って嵌め替えた。もちろんこれで、なんの問題もなく走るようになった。(家に帰って、他のカブースも点検したところ、狭いのがもう1輌見つかった。カブースに対する注意力がなかったことが明らかになって、反省した。)


この車輪は一点接触しかしていないことは証明された。
フランジが擦るような車輪は損失が大きいから避けるべきだ。筆者は、これを言い続けている。しかし驚いたことに、「二点接触は問題ではない。」という反論があるそうだ。ライオネルだってそうなっているが誰も問題にしない、ということらしいが、論点が違う。条件が全く異なるものを比較出来ない。
百歩譲って、ライオネルが効率を考えているのなら、それもありかもしれない。しかしライオネルは単なるおもちゃで、効率という概念はこれっぽっちもない。ガラガラ、ギャーギャーという音を立てて走る。音がするということはそれだけでアウトだ。ライオネルの付随車の車輪は左右が別回転するものもあるが、そちらの方は考察されていないようだ。
博物館にお手伝いに来られた方は、どなたも走行の静かさに感動される。長い貨物列車が音もなく走るのだ。転動面の滑らかさが大きく貢献している。このカブースを最後に、めっきした車輪は一つもなくなった。めっきされたものは明らかに平滑性が劣るから、転動音がするのだ。
2016年01月24日
フログの改良
その分岐のフログは悲惨な形だ。鋭角の nose rail が短く、丸く仕上げてある。欠損部が長いので、車輪はガタンとはまり込む。音もするし、車体が傾く。機関車のように軸重が大きいものが通ると、かなりの衝撃を感じる。これでは駄目だ。


ウィングレイルは、細い洋白板を逆ピンセットで挟んでハンダ付けする。簡単に出来る。バックゲージ、チェックゲージを入念に測定し、基準を満たすことを確認する。

ウィングレイルが 0.3 mm 太くなっても誰も気が付かない。試運転の結果は大変良く、通過音はほとんどない。前回、この不備を指摘してくれた所属クラブのH氏が、「素晴らしい! 完璧な修理だ。」と褒めてくれたのは嬉しい。
2015年12月15日
double slip
まずは動画をご覧戴きたい。台車がイコライズのみでバネが入ってないものを選んだ。どんな音がするかをお聞き願いたい。ダブルスリップは欠線部は意外と少ない。二つのフログだけであって、他は斜めにつながっているから、うまく作ればそこから音はしないし、車輛の動揺も少ないはずだ。
すべてのレイルが同一平面上にあるということが非常に大切である。製作に当たって、平面性を重視し、ハンダ付けするときに十分な重しを載せて行った。プリント基板を細く切ったものを枕木にしているが、当初安い紙エポキシを使ったのは大失敗だった。すべて反ってきて平面性が失われた。仕方がないから、一本ずつ外して再度重しを載せてハンダ付けをした。
気を付けないといけないのはレイルの捻じれである。押し出しの型が良くないのだろうか、少し捻じれている場合がある。万力に挟んで逆に捻じって補正する。めっきは硬質ニッケルで、ヤスリが掛かりにくいほど硬い。十分な耐久性がある。
動作させるリンク機構は、単純化するためにモータ2台で駆動する。またリンクは露出させる。メンテナンスを考えると裏側に置くのは避けたい。今回の線路配置では最初からそのつもりで、ダブルスリップの隣に空き地を作った。もちろん完全露出ではなく、モータ部は隠し、リンクのみを見せる。イコライザが作動するところも見える。
HOの既製品の上を通過する様子をたまに見るが、欠線部が多く、プラスティックでできた欠線部のフランジウェイを高さの異なるフランジで踊りながら通過する場合がある。可動フログにすれば一挙に解決するはずだが、その工作をしたというのは寡聞にして知らない。
追記
youtubeの動画が直接見られないという苦情を戴いている。再度リンクを置き直したので改善されたと思うが、ダメな時はコメントを通じて、ご連絡戴きたい。
2015年11月05日
alignment
さて、新レイアウトの直線は10 m ほどしかないが、それが完璧に直線になってないと、視点を下げて見たときに、面白くない。昔ながらに糸を張って作ってもよいが、レーザがあるのでそれを使って直線を作った。あらかじめ作ってある道床を並べる予定であったが、アラインメントがいまひとつ良くなかった。完全に新しい線路をジグを使って敷いた。完璧なものができた。

仮置きではあるが、一直線上に並べてみると、なかなか壮観である。これも文明の利器のおかげである。糸を張っていたら、こうは行かない。
あと電気配線が完成すれば、試運転ができるところまで来た。複線の本線が開通すると、二列車を走らせて遊んでしまいそうである。脱線はしないはずなので、走らせておいて、作業を続行することになる。見入ってしまいそうではある。
2015年07月26日
続 frog numbers
Fast Tracks の♯4のYポイントのフログ角は14.04度で、#8は7.13度である。すなわちどちらも簡易式での値だ。NMRAのRP準拠と言っているので、NMRAも怪しい。このままでは操車場の線が平行にならない。
以前にフランジの件で書いたように、NMRAにはまともな人材がいないようだ。いずれアメリカの雑誌に書いて、反応を見てみよう。
多少角度が違っても、線路を敷くときに少し曲げれば難なく敷けるのであろう。実物であれば、乗り心地が大幅に悪くなるので大問題になるが、模型であれば構わないということなのかもしれない。
しかし、きちんとしたものを売れば、その会社の評価も上がるはずだ。この会社には直接言ってみよう。改善されれば大したものだ。
先回のTMSの旧号はすぐ探せた。それを読んだ場所、時期がわかっていたので、その前後を探したら、ちょうど中心の6月号にあった。南海の凸電が表紙だ。鉄道模型に熱中していた少年期が思い出される。
他の記事も拾い読みしたが、ディテールをどうするかという記事ばかりだ。動力機構とか線路関係の記事などほとんどありはしない。この状態が50年も続いた結果が、現在につながっている。
細密な完成品がこれだけ豊富にあるのに、動力機構が素晴らしいと感じるものはまずない。どれもこれも、効率が悪く、音が出やすい設計のように、筆者には思える。ほとんどがギヤボックスがなく、むき出しの歯車をつけている。
ある先輩はこう言う。「日本の鉄道模型はフルパワーで30分走るとおかしくなる。たいていギヤが減ってしまう。」
そうだろうと思う。両方ブラスの歯車を使っているからだ。小さいほうを快削鋼にするだけでも20倍くらい持つ。もちろん潤滑は大事だ。油を差しても、走り出したら無潤滑の状態に近い。そろそろ気が付いてもよさそうなのだが、走らせている人は少ないのだ。
追記
fast track には優先車線という意味がある。アメリカの高速道路では最中央の1ないし2車線は優先車線であり、2人以上乗車の際には使える。一人で乗っていると捕まれば数百ドルの罰金である。
それを走るためのリアルな人形を売っているようだ。おそらく摘発されると大変なことになるはずだ。
高速道路上の実際の表記は少し変えて、Fast Trakになっている。
2015年07月24日
frog numbers

以前にも述べたが、フログの番手についての正しい解説は模型雑誌中、非常に少ない。
正しいことを書いた号もあったようだが、ほとんどは怪しい方法(いわゆる簡易式)を紹介している。
リンクされた2つの記事を全てお読みになれば、言わんとすることはお分かり戴けるはずだが、記事が長くて難解だというご意見も頂戴している 。気の短い方は【追記8】の部分だけ読まれると良い。それをさらに要約するとと、次の三つである。
a) 簡易式が紹介されることが多かったが、これは誤り。
b) 正しくは正規式で計算すべき。
c) ただし、シザーズ・クロッシングやY分岐を正しく構成するためには、#8〜#14までは正規式で計算するが、それより小さな/大きな番手は、正規式の値を倍/半分にする。
稲葉清高氏がすべての番手を正規式で計算するわけではないと指摘されたことは、分岐を単独でなく、組合せ使用する時の矛盾を解決する方便である。正規式でできた分岐のみを組合わせると、できた線形が平行にはならないのだ。つまり、実物の本線用の分岐には#4〜#7の片分岐などないという前提だ。こうなると、番手で指定するよりも、角度で指定するほうが面倒がなくなる。欧州ではそうしているという話もある。
稲葉氏の指摘は、極めてぼんやりとは認知していたような気がしないでもない。しかしその模型を作ったことがなかったので、詳細は詰めてなかった。シザーズ・クロッシングや今回初めて作るY分岐を設計すれば気が付いたのだろう。本物の鉄道会社あるいは製鋼所に勤務して、分岐の設計が仕事であれば、当然気が付く。
50年前のTMSの新製品紹介で、シノハラの♯4Y分岐の紹介があり、その簡単な解説を読んだときは非常にすんなりと理解した。それはその筈で、当時は筆者の頭の中は簡易式しかなかったし、その記事の解説も簡易式に基づいた(としか考えられない)説明になっていたからだ。
「左右それぞれ8番並の曲がり方をする。直線コースのない8番ポイントともいえるわけ」と書いている。


「大物車が来なければよい。」と言うのだ。そうすれば、かなり低くできる。「Hi-Cubeの貨車が入れば文句なし」、ということであれば、かなり助かる。写真はハイキューブをくぐらせたところである。
本線とは異なり、木製の足で支えた路盤であって、ネジ式のアジャスタをつけているので、勾配の変更はかなり容易だ。
2015年07月12日
続 double slip
先回魚田氏のレイアウトのことを持ち出したが、彼のスケッチを見たことがあるのは、たぶん筆者だけだろう。驚いたのは、敷地の対角線上に最大限の長さでヤードを置き、それにダブルスリップが5連置いてあった。
「このダブルスリップはどこで調達するの?」と聞くと、筆者に作らせるつもりであった。当時はアメリカに、そのような特殊スウィッチ専門の職人がいたので、「そこに頼めば?」と話を逸らせたのだが、しつこく頼まれた。
何とか逃げようと思っているうちに、悲報を受け取った。
魚田氏は、ダブルスリップの価値を見抜いていたのだ。シカゴに行ってたくさん連なった現場を見たらしい。写真集もよく見ていて、「こんな便利なもん、他にあらしまへん。たくさんつこうて、楽(らく)しますわ。」 筆者のレイアウトに来て、電磁式解放ランプの作動状況を調べていた。
ハンプを作ってリターダを働かせるアイデアを紹介すると、早速線路配置を少し変えていた。やるつもりだったのだろう。そのリターダは圧縮空気の噴射でブレーキを掛けるものである。50年代のMRにアイデアが紹介されていた。
Low-Dのピヴォット軸なら、実感的な運転ができそうだ。実は今回のレイアウトで。それをやりたかったのだが、スペイスが少し足らない。
隠しヤードの脇にそれを作りたかったが、地下への斜面がかなり長く、場所が足らない。残念だ。先週はその斜面を作った。結局、勾配は1.9%とした。緩くすると、地下に下りた時には、すでにヤードの有効長を消費してしまっている。
2015年07月10日
double slip



そういえば、昔小田急線の海老名駅のあたりにも、ダブルスリップがあったように思う。当時は大変な田舎で、スペイスを節約する必要などないと思った。昭和40年ころの話だ。

起震装置で、神戸の大地震の地震波を再現するのだが、最初の縦揺れが凄い。あの2回の縦揺れで、ほとんどの古い建物が壊れたのだ。魚田真一郎氏の早すぎる死を思い出し、しばし瞑目した。
彼が生きていたら、神戸にも60坪のレイアウトが完成していたはずだ。あの年の春、新しいビルを建てる予定だったのだ。昭和30年ころの鉄骨のビルは崩れ、彼の夢は断たれた。残念でならない。
近鉄南大阪線の誤りであった。
2015年05月22日
switch machine


これは1950年代のOゲージ用のポイントマシンである。HO にも使えるとは書いてある。
全長15 cmもある。3 Aくらいで小気味よく作動する。アメリカの好景気の時代に作られたもので、材料をふんだんに使い、職人が手作りで仕上げたものだ。おそらく、製造者は電気部品製造に従事していたのであろう。基本を正しく守り、インチキはない。
今でも古いレイアウトにはこれが使われているのを見る。以前紹介したのはB29爆撃機の爆弾倉を開くロータリィ・リレィを流用したものだ。時代は違うが、これも確実に作動し、何十年ももつだろう。
アメリカのOスケールのショウに行って、古いものを山積みしている店で丹念に探すと、このようなものがいくつか見つかる。昔のModel Railroaderの広告に載っていても現物を見ることができなかったものばかりだ。
買ったらすぐに作動を確認したが、潤滑がないので、磨り減るだろうと思った。さりとて、油を差すと埃を寄せて却ってダメになりそうだ。こういう時は固体潤滑に限る。早い話が鉛筆の芯の粉である。6Bの芯を刃物で削って粉にし、それを摺動部、回転部に押し込む。動きが格段に良くなる。ここで紙やすりを使って粉にする人をたまに見かけるが、絶対に避けるべきである。砥粒が剥がれ落ちて混じり、中で磨り減りを助長する。
この種の潤滑材は最近は鍵屋さんで見かける。鍵穴に入れるのだ。スプレィ式のを見たことがある。粉末が出るらしい。
以前液体潤滑剤の宣伝で、油を鍵穴に噴霧するのを見たことがあるが、あれは決してやってはいけない。その場は良いが、二週間もすると埃を寄せて固まり、まったく作動しなくなることがある。そういう場合は錠を分解してシリンダを揮発油でよく洗って乾かす必要がある。もちろんそのあとで固体潤滑材をまぶしてやる。
KadeeのGreas-emという商品は、まさにグラファイト粉末であって、6Bの芯と同等である。
2015年04月24日
続々 3-way switch
クラブの人たちがやって来て、「すごいね、これ。こんなのよく作れるね。」とお褒め戴くが、たいしたことではない。一言で言えば、骨(コツ)はフライス作業が出来るかどうかである。
尖端軌条をヤスリで作るのは大変である。完全に垂直に削り落す技能を、身に付けなければならない。かなりの修練が必要である。フログ角を計算通りに削るのも大変難しい。過去にいろいろなテクニックが公開されているが、どれもなかなか難しいと感じる。
フライス盤さえあれば、あっという間である。問題は斜めに保持する工夫である。筆者は正直板という直角の支え金の代わりに、斜めに切ったブラスの板を用意する。レイルの側面(正確にはウェブという)に2,3か所ハンダで仮留めをする。そうすれば斜面はいつも完全に保持される。レイルヘッドと底面を万力で挟んで締める。後は削り落すだけである。
レイルは、ブラスといえども難削材である。一般に引抜き材は粘い。難削材用の刃物を用意する。何回も往復するとずれることがあるので、なるべく一回で落としてしまう。回転は中程度、送り速度は小さくする。
ストックレイルの尖端軌条が当たるところもフライスで落としてしまう。ここの落とし方がまずいと、密着しないから脱線の元になる。
市販のポイントはあまり好きではない。フログの構成が甘いと感じる。機械美が感じられない。HOの既製品の三枝ポイントはオモチャっぽい。指の腹でなでると同一平面上にないように感じる。これでは脱線する。
最近亡くなったある先輩は、「大きな油目のヤスリで上面を丹念に落としてしまうと完璧になりました。」とおっしゃった。その程度のクォリティならば、自作の方が良い。
フログ位置を正確に求め、そこから始めると楽である。直線を先に敷き、あとは矛盾が生じないように工夫して付ける。決して難しくないから、挑戦されると良いと思う。
2015年04月22日
続 3-way switch

以前作ったのは図のような方法である。 モードは3種で1,2,3である。フログを2群に分け、A群とB群と名付ける。ポイントマシンにマイクロスウィッチを付け、その動きによって作動させる。
モードによってポイントマシンが作動すると、必要とされる極性の電気が供給される。
1のモードでは、右のBのフログの極性は不問である。そのポイントマシンは動いても動かなくても良い。
2のモードでは、AがSで、BがNでなければならない。
3のモードでは、A、BいずれもSでなければならない。
DCCならば、フログジューサがあるから何も考える必要が無くなってしまったが、部分的にDCに切り替えることもありうるので、 このような方策をとった。
全てのポイントはDCCでコントロールする。しかし通電するのはDCCだけではないということである。機関区に駐泊している機関車はDCのもある。それらが、本線へ進んで行く時の電流はDCであるからだ。
2015年04月20日
3-way switch
日本語では三枝ポイントという。一箇所で3方向に分かれるのは作りにくいし保守が大変だ。この作例のように前後にずれていると簡単である。これを tandem 3-way switch という。 ヤードの途中で機関庫の方に行く分岐を必要としたので設計した。右方に行く曲線は半径2800mmである。先端軌条は円曲線とした。珍しいパターンである。Hはヒール、Pはポイント、Fはフログである。ヒールとは尖端軌条の付け根、ポイントは尖端の意味である。
左方へは先端軌条が直線の8番分岐である。そのとりあいカーヴが2720mmであるので、それ以上の半径の円曲線なら、問題なく右に分岐できる。
原寸大の作図をして、その上でハンダ付けする。やり方の基本はフログ位置を決め、ガラスエポキシの枕木にハンダ付けする。直線を先に付けて、後はゲージの矛盾がないようにハンダ付けすれば良い。
この工作は3時間程度で終わった。ニッケルめっきは硬く、糸鋸が滑る。あらかじめヤスリで傷を付けておかないと時間がかかって仕方がない。また、糸鋸がすぐ切れなくなる。
フログおよび尖端軌条はフライスで削いで、めっきを掛けてある。問題はストックレイルである。尖端レイルがきちんとはまり込んで隙間が出ないように、仕上げた。 尖端軌条を結ぶリンクが付けてないので、保護のためテープで仮に押さえてある。枕木はガラスエポキシの基板である。安い店で大量に買った。所定の幅に切るには、超硬の丸鋸で切った。一部のガードレイルが付けてない状態で写真を撮った。
枕木長さがやや飛び出しているものもあるので、卦書いて丸鋸で切り取る。
2014年12月15日
シザーズ・クロッシング
この分岐はOJゲージである。相対する分岐がイコライズされていて、リンク機構で見事に切り替わる。
リンクは実物を縮小したもので、ややこしい形をしているが、実に手際よく作られている。 拡大するとこんな形である。この形は最近はあまり見なくなった。昔は主要駅の構内には必ずあった。
このシザーズ・クロッシングが何のために作られたのかは、はっきりしない。これほど精魂込めて作られたものなのに、クラブ員の誰も、その存在を知らなかった。
博物館に来た時は埃だらけだったので、よほど古いもので、Sゲージではないかとさえ思われていた。丁寧に埃を取ると、プラスティック枕木を使用してあることが分かり、シノハラのSゲージ用フレクシブル・トラックから作られていることが判明した。
剛氏の細密工作が施された瀬戸電の一群を運転するためだろうか。それにしては分岐の番手が大き過ぎる。開館後に、訪問者による解明がなされることを期待する。
2014年08月30日
Dennis のDouble Slip



実にうまく作動するので感心して見ていた。
「すごいだろう。このプラスティック板がミソなんだ。これは良いアイデアだろう?お前はどうやっているのだ?」と聞くので、以前に示したアイデアを絵に描いた。
こういう動きをするんだ、と鉛筆数本を組み合わせて動きを説明した。デニスは眼を輝かしてそれを見た。「大したアイデアだ。動きが面白い。動作を見ていると興奮するな。」と興味深そうだった。
「お前はいつもそういうMechanism(機構学)のアイデアを出してくる。そういう話はとても好きだ。」
と興味は尽きないようだった。
2014年08月12日
続々々 吉岡精一氏の死去
「同じ番手のポイントなら、OゲージとOJゲージのどちらのとりあいカーヴが大きいか?」と聞かれた。
「そりゃOゲージでしょう。」と答えると、「作図したのか?」と問われた。
「いえ、してませんが、」と答えると、「あてずっぽうでは駄目だよ。作図してみなさい。」と言われた。
作図して求めることの大切さを教えてくれたのである。「どんなことでも作図しなさい。絵を描くと気付くことがあるのですよ。」
全くその通りで、気付かないことでも図の上では明確に現れることがある。
筆者がアメリカにいたときは、頻繁にお手紙を戴いて、指示通り色々なものをお送りした。赤外線によるリモコンのパワーパックなど、走らせるためのものが多かった。
「アメリカにも行ってみたいが、忙しくてね。」とのことでいらっしゃることはなかったが、組み立て線路の設計が佳境に差し掛かり、分厚い封書がよく届いた。
「帰国するときには、アメリカ製のエンジン付き芝刈機をひとつ買って来てくれ。」という連絡が入り、引っ越し荷物に入れて送った。
「良く刈れるけど、刈った跡が荒っぽいな。」と、長く伸びた草を刈り、仕上げは日本製を用いてらしたようだ。
30年以上の長きに亘り、細かく指導して戴いた。感謝に堪えない。
先日亡くなった伊藤剛氏とは非常に親しいお友達で、頻繁に手紙をやり取りされていた。
筆者は剛氏の逝去を知らせる手紙を書いたのだが、それが届いたとき、吉岡氏は既に入院中であった。御家族がそれを読んで聞かせられたのだそうだが、もはやご返事を戴くことはできなかった。
御冥福をお祈りする。
2014年07月16日
側線のインターロッキング
難しそうに聞こえるが、要するに進路に応じて給電するというだけのことである。DC二線式の基本的な概念である。N氏のレイアウトの側線は本線通過中に給電されてはいけないわけで、それはポイントマシンの接点で選択されていた。
レマコのポイントマシンはやかましいし、接点がすぐにおかしくなる。多少古いマシンを使ったこともあるだろうが、調子が悪い。切り替わるべき時に、接点がパチンと行かない。押すレバー状のものに少し厚みを足して、スウィッチが切り替わるように直したのだが、すぐ故障して短絡した。
レマコの接点は使うべきでないと判断し、ポイントマシンからの駆動ロッドの途中に角を出して、マイクロ・スウィッチを押すようにした。信頼性のある方法である。しかも押すとつながる方向にした。離れるとつながるようにすると、故障した時、事故を起こす。
全て安全方向に考えた。DC運転は難しい。これがDCCなら、何も考えることがないのだが。
しばらくテキサス方面に来ているので、8月上旬まで休載する。
2014年06月24日
乗越しフログ
近所の駅の退避線の出発信号機の下には、乗越しフログの付いた脱線ポイントがあった。銅レイルのレイアウトには、直線部分があり、そこですれ違いができるようになっていた。そこに脱線ポイントを作った。当時のOゲージはフランジが高めであったので、ドリルレースで少し削って1.5 mmにした。全ての車輪を削るのは大変だったので、機関車と一輌目だけである。脱線側に行って突っ込むのは、それぐらいだからだ。
ただ、実物がやっているのだから作ってみたくなったわけである。レイルの上にかぶさるポイント・レイルには、均一な斜面を付けないと飛び上がって脱線する。フランジ分の1.5 mmを持ち上げると、車輌はかなり傾く。しかし、フログの辺りに行くと、持ち上がって同じ高さになる。
遊びに来た友人がそれを見て、わざわざ脱線させて遊んだ。彼はよほど気に入ったらしく、後々までその時の話をする。そのポイントでは、正しく本線に行った回数と、脱線させた回数が同じくらいだろう。本線のポイントとはリンクで連動させた。
台車にバネが入っているのでそれほどショックはなかったが、たまに固定軸の機関車を走らせると、ゴンというショックがあった。
引越しの時に破損して、修理することなくそのまま分解してしまった。昨年、整理していたら、かぶさるレイルが見つかったのだが、うっかり廃品回収に出してしまった。既に熔かされているだろう。
模型の写真を探しているのだが、なかなか見つからない。
どなたか、乗越しフログを作られた方はいらっしゃらないだろうか。
追記 土橋和雄氏から写真を送って戴いた。関西本線井田川駅構内である。(8/30/2014)


2014年05月05日
DCC化
レイアウトを持ち、日頃運転をしている人はDCC化している場合が多い。車輌工作至上主義の人は、DCC化には全く無関心である。DCC化するとウォーク・アラウンドをやってみたくなるのは必然である。レイアウト規模がある程度大きくなると、ワイヤレスでやってみたくなる。ワイヤレス方式はたくさん出て来て選べるようになったので、色々なところで採用例をみるようになった。
2008年にこのブログでウォーク・アラウンドをあまり見ないと書いたら、コメントでKMCの方からそんなことはないという「ご忠告」を戴いた。それも昔の話になった。
現在計画中の新レイアウトは60坪あり、複線である。複線の片方はDCC専用にする。もう一方は本線のみ、DC, DCCを切り換えられるようにし、その側線はDC専用とする。どちらもウォーク・アラウンドにする。DCのウォーク・アラウンドは30年前に完成させてある。ただしテザード(スロットルのケーブルを順次差し替えて行く方式;要するに「ひも付き」のことである)である。
魚田真一郎氏に長らく貸してあったが、震災の直前に返してもらって難を逃れた。当時もう一台作ってくれと頼まれて居たが、もうそういう時代ではなくなった。魚田氏はウォーク・アラウンドの価値を認めた最初の日本人であったような気がする。彼が生きていたら、様々な試みがなされていただろうと思う。
ヤード部分は全てDCC化する。そうでないと配線が面倒だからだ。今回の記事に書いた6回路用のをいくつか使って見よう。何も考えずにヤードと渡り線ができるというのは、ありがたい。
2014年05月03日
続々 Frog Juicer

この図は両渡り、シザース・クロッシングである。4つの区間にFrog Juicerから供給している。確かにこの方法なら、配線に頭を使うことが無くなる。ただ繋げば完成である。
今まではポイントがあるとそこで頭を使って、動作パターンを絞り、無電区間が無くなる最適な方法を見つけ出した。タンデム三枝ポイントなどは意外と難しい。
この方法ならあっと言う間だ。

操車場などのポイントが連続した部分(ladderと言う)のフログも、6出力のジューサを買えばあっという間だ。
技術の進歩はとどまるところを知らない。より簡単になっていく。
最近、DCCの記事が少ない、と色々な人に言われている。実は、アメリカではあまりにも普遍化してしまい、既製品には最初から付いているので、何も書くことがない。 日本はあまりにも遅れている。
2014年05月01日
続 Frog Juicer
講演などではコンピュータを持って行って、プロジェクタで映写するのがふつうである。その時、当然のように「ジュースは用意してあるから…」 ( juice provided ) という案内が来る。行ってみると、氷水は用意してあるが、オレンジジュースはない。そこで「話が違う!」などと怒ってはいけない。
壁に付いているいわゆるコンセントのことを、"juice"と言うのが普通になった。70年代は半分くらいの人が使う言葉であったが、最近はまず100%の人が使う言葉になった。
Juiceは果実の絞り汁、ビーフステーキなどの肉汁のことだが、エネルギーの源という意味があり、それが流れ出してくるものという意味で、電源を指す言葉に転化したのだ。しばらく前は、ガソリンもジュースと言っていたが、最近はあまり聞かない。
Juicerは文字通り、電源を供給するものである。瞬時の短絡によるDCC電圧降下を検知し 、左右のレイルからのどちらを給電するかを判断する。最大 2 A まで通過させることができるから、HOクラスでは全く問題ない。一部のOゲージ車輌は数アンペアも喰うものがあるらしいので、それには対処できない。つまりHO以下専用であろう。
ポイントマシンには補助接点があり、それを使えば極性切替えは簡単である。電流容量も大きい。筆者は自作のギヤード・モータによる転換を採用しているので、補助接点はマイクロスウィッチを使っている。
このようなDCCディヴァイスが登場したのは、おそらく、HO以下ではポイントマシンを内蔵しているポイントが増えてきたからであろうと思う。マシンは付いているが接点がない、あるいは足らないのではないかと思う。筆者にはその方面の知識がないから確証は持てないが、それ以外には思い付けない。
ややこしい渡り線や、搾線(ガントレット)などでは役に立つかもしれない。
2014年04月29日
Frog Juicer
ポイントのフログでは左右の線路が交差するので、極性の切替えが必要となる。昔の市販線路の一部には、絶縁フログがあり、そこは無電区間であった。すなわち、集電車輪数が少ない車輌は立ち往生することがあった。
二軸車ではこの問題は大きく、より接地性を高めるためにバネ可動やイコライジングの必要性があった。それでも集電不良は多く発生した。
のちに英語で、all-rail switchという言葉が出てきた。これはフログを絶縁材料で作らずに、ポイント全てを金属のレイルで作るものであった。フログに給電する極性を何らかの方法で転換した。すなわちフログ部は他のレイルとは切り離されて、独立した電気区間となっている。
DCの時は尖端レイルが接触するストック・レイルから電流を供給すれば、分岐した枝線にもその極性が伝わり、都合が良かった。すなわち、分岐の切り替えによって、その先の枝線の通電を制御できて、好都合だったということもある。
しかしそれでは接触していない(車輪が通過しない)尖端レイルには、その近傍のストックレイルと逆極性の電気が来ていて、ショートの危険が増す。NMRAの規格は30年ほど前更新されている。以前は、この逆極性の時も尖端レイルとストック・レイルとの近接を認めていたが、突然改訂され、離す量を大きくするように要求してきた。理屈はそれでよいのだが、実物より離れる量が大きいのであまり恰好が良いとは言えなかったのだ。 フログだけを独立区間として電気極性を転換すると、左右の尖端レイルはストック・レイルと同極性であるから近接しても良く、NMRA規格でもそれを認めている。これはDCCの導入によってより加速された。
DCCでは、分岐後の枝線にも常にDCC電圧が掛かっている。通電していてもデコーダが遮断するので問題がないのである。フログの極性は尖端レイルの動き(throwing)だけに依存すればよい。その給電方法は、マイクロスウィッチによる転換が主流であった。このようにDCC化を前提に作られた商品を DCC friendly であると称する。
Fast Tracks社はFrog Juicerという装置を発売した。
2014年04月27日
続々々々 線路を敷く
尖端レイルを左右連動させる部分は、2つは直動であるが、一つは簡単なリンクを作った。
分岐の間にポイント・マシンをおくことにして、直角に動きを変えたのだ。クランクを1つ作って、長いロッドで操作する。ロッドが座屈するのを防ぐために、中間を受けた。
レマコのモータ式はストロ−クが大きいので、動作域の両端はバネで押えるようにした。そうすれば、尖端レイルはバネで圧着する。
尖端レイルの根元のヒンジは細いリン青銅板である。それほど薄くない。ある程度の剛性を持たせたいので0.4 mm厚とした。ヒンジ部から2 mmほどはハンダが回らないように留意した。そうしないと非常に狭い範囲に力が集中して折れてしまうからだ。
電気的に切り離したいところのギャップは1 mmとし、レイル底面に接着剤を塗って、匐進(ふくしん)を防ぐようにした。
2014年04月23日
続々 線路を敷く

正直板というのは名古屋を中心に使われている言葉らしい。関東でもたまに聞く。
斜めに支える工夫が無いわけでもない。そういう工具も売っているが、高価だし、使用頻度が低くて買う必要もない。レイルの側面に嵌る厚さのブラス板で十分だ。ずれない程度のハンダ付けをし、マシンバイスに銜える。この種の仕事をするときに用いるバイスはある程度高級なものが必要である。締めるとアゴが浮いてしまうようなものは不合格である。筆者は締めつけネジが45度の角度で締まるものを用いている。良い写真が見つからないので、リンク先を参照されたい。同一ではないが、このような形のものである。
簡単なジグで所定の作業が間違いなく行える。実はこれが一番大切なことである。ややこしい工程を経たり、とんでもないジグを作るのは素人である。プロの工作を横で見ていると、「あっ、なるほど」という易しい工夫がある。
最近、日本でいや世界で最高峰、との評価の高い達人の書かれた文章を読んだ。まさにこのことが書いてあった。
フレクシブル・トラックは所定の位置に取り付けられ、砂利撒きも終わった。あとは細部の仕上げだけで、他のセクションを担当された方との打合わせが必要である。
秋までに多数のポイントを作らねばならないので、その練習として楽しく作業出来た。
2014年04月21日
続 線路を敷く
レイルを斜めに保持するのだが、下から支える工夫が必要である。適当なブラスの板を斜めに切ってレイルの溝にはさみ、両端を軽くハンダ付けする。そしてレイルを万力に銜えて削る。簡単な作業である。要するに斜めの正直板である。こういうのは正直板とは言わないのだろうか。
尖端は1/20の角度にした。はじめ1/25にしていたがやや薄過ぎた。
左右に振った時に接触するだけでは、電気抵抗が大きいので、尖端レイルにも給電する。
今回のレイアウトは素人も使うことを前提にしているので、荒っぽい取り扱いでも壊れにくくなければならない。また確実な工作が必要である。
ポイントマシンはネジ式のを戴いた。補助接点がたくさんあるので助かる。以前はマイクロスイッチをあちこちにつけて給電方向を決めていた。
ストックレイル(尖端レイルが接触する部分)は僅かに削り込んで、尖端レイルの先がはまりこむようにした。こうすれば脱線の可能性が大幅に減る。
昔の三線式Oゲージは、ポイント≒脱線器のようなものであった。色々な工夫をしたが脱線を皆無にすることができなかった。現在では脱線などしたことがない。イコライジングによる軸箱可動、バネ、フランジ形状、それと、このストックレイルの削り込みの効果である。