ちょっとした工夫

2025年03月24日

饋電

 アメリカでレイアウトを見学するときには、饋電(きでん)の手法を興味深く観察する。最近の傾向としては全てのレイル一本ごとに饋電している例が大半だ。レイルジョイナは通電の目的ではなく、物理的なレイルの保持をさせているだけである。すなわち、レイルの相対的な位置を決めているだけで、通電についてはほとんど考えていないから他の確実な方法によらねばならない。
 垂直に饋電線をハンダ付けする方法では、レイルの匐進を確実に止める効果もある。レイルの寒暖の差による伸縮は継目板の中で解決されるから保線も楽である。

饋電 レイルごとに饋電線をハンダ付けしている例が多い。それで良いのだが、あまりにも数が多いので少し減らしたかった。筆者はこの写真のような方法を採っている。
 二つのレイルをレイルボンドでつなぐと同時に饋電線としているのだ。これで饋電線の数は半減する。

Feeder 道床を貫通して饋電線はぶら下がり、その先で太い被覆銅線(3.5 ㎟)に圧着端子で付けてある。銅線にはあらかじめ饋電線の数だけチューブ状の圧着端子を通してある。部分的に被覆を剥がして圧着端子を移動させる。そこにレイルからの饋電線を差して締めるだけで、完全な接続が完了する。たまたま 3.5 ㎟ が大量にあったので使っただけで、小規模なレイアウトであればもっと細くて良い。
 レイル・ジョイナによる接続部の接触抵抗は無視できないのだ。
 とにかく饋電線から来た電流はレイル一本の長さ以下しか流さないという原則を守ると通電不良は起こらない。 

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2025年03月08日

歯車の無い蒸気機関車

 歯車の無い機関車を高校生の時に作った。2つのシリンダの中にコイルを2つずつ入れてソレノイドとし、鉄心を前後に動かすのだ。Bタンクにそれを付け、4つの端子に順に電流を通すと廻った。要するに、ポイントマシンを両側面に付けたようなものである。バチャバチャとかなりひどい音がしたが、廻ったことは間違いない。

 前後進ができるようにしようと思うと、その通電シークェンスを逆にせねばならず、それをどうやって切り替えるかを議論した。中に制御用のモータを入れ、シークェンサを廻すことにした。そのモータを逆転すればよいわけだ。出力は電流値で決まる。コイルの抵抗は決まっているので、電圧に応じてトルクが変化する。友人とそれで盛り上がったが、それ以上の進展はなかった。残念ながら、その友人Y君若くして他界した。

 それから25年後、UP9000 のジャンクを手に入れた時、またもその夢が想い起された。3気筒だから、動きはより滑らかになるはずだ。当時話題になったリニアモータの小さいものを3つ入れて、コンピュータによるシークェンス制御で順にサインカーヴに似た曲線で動かせばよいはずだ。中央シリンダの持ち上がっている角度も計算に入れなければならない。リニアモータの専門家に聞いてみると、当時はシリンダに入るほど小さなものはまだ開発されていないとのことだった。
 仕方が無いのでボイラの中に3つの大型リニアモータを入れ、ロッドでピストン・ロッドを動かすということを、当時は大真面目で考えていた。

 今はかなり小さいものがあるようだ。こういうことを考えるのは楽しい。3気筒の機関車はもう1輌あるので、まだあきらめてはいない。  

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2025年03月02日

折込んだタップの処理

rusted out 1 うっかりタップを折ってしまった。ガラしか使わなくなったので、ここ数年タップを折らずに来た。トルクしかかからないから、M1.4でも折ることはない。今回は M2 を切っていたので折れるはずはなかった。ところが作業中に電話が掛かり、片手で保持したままポケットの電話を探っていたところ、ぽきりとやってしまったのだ。作業中は電話を遮断すべきだった。
 タッピング用の潤滑剤を塗っているので、極めて簡単にネジが切れる。この潤滑剤を使わない人が居るというのは理解できない。クラブの会合で、小容器に入れたものを50円で販売するが、飛ぶように売れる。実はその容器が50円なので、実質的にタダで頒布しているわけだ。
 折れた断片が入ったまま放置してあったが、今回思い立ってステンレス・食塩水による除去作業をした。

rusted out 2 まず溶剤を使って潤滑剤を取り、強力な洗剤で良く洗う。完全に油気を取らねばこの方法は機能しない。ステンレス板(磁石に付かないもの)の小片を紐で縛り付ける。今回は長いものを入れるので、牛乳パックを使う。海水程度の食塩水を必要量入れて1週間ほど放置するだけだ。水が蒸発するので時々足す。適当な形状のステンレス容器があれば良いのだが、今回の主台枠を入れるためには大きなものが必要になり、水溶液もたくさん要る。
 作業後、ステンレス容器に錆が付いたのを洗うのはかなり面倒であるが、このような牛乳パックならそのまま捨ててしまっても良い。

rusted out 3 ステンレス片が密着していることが肝要である。要するに、銅合金にステンレスの何かが付着していれば、食い込んだ鋼の工具は溶けていく。すなわちステンレスのネジをねじ込んでおいても、同じ結果が得られるわけだ。


 油は完全に取れていたようで、1週間でタップは見事にサビの粉になっていた。歯ブラシでよく擦って砲金の面を清掃した。


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2025年02月12日

石炭を積む

 open top hopperが空で走っているのは避けたい。空でも良いという人もいるが、筆者の作ったホッパは中が汚い。ハンダ付けで複数の板をつなぎ合わせたものもあるから、楽屋裏を見せたくないのだ。今回、クラブの会合に持って行かねばならないので、急いで仕上げる必要があった。

 石炭をぎっしり積むと重過ぎるし、石炭がもったいない。黒い厚紙で作ったハリボテを用意し、そこに厚さ 5 mm程度を積む。

coal mockup 側板内側に角材をスーパーXで貼り付ける。そこにハリボテを載せる。これもスーパーXで付けると取れない。酢酸ビニルエマルション・セメント(通称白ボンド)を刷毛で塗って石炭をばらまく。


coal load 隙間にさらに接着剤を付けて石炭クズを押し込み、全体が不自然な形にならないようにする。大事なのは安息角を保つようにすることだ。
 アメリカの石炭は細かくしたものを積んでいる場合がほとんどだ。イギリスでは塊が積んである場合がある。 

 今回の仕事のために石炭の塊を崩した。なかなか面倒な仕事である。目に沿って楔を入れて割り、袋の中で割る。篩(フルイ)で振って大きさ順に分け、さらに砕く。一度やると半年はやりたくない。

 以前やったように、スポンジを薄く切って黒く塗るという手もある。どちらが良いかは微妙な問題もある。 

newly paintedcabooses in Kobe (1)cabooses in Kobe (2) その他最近塗った車輌群である。

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2025年01月03日

続 新設レイアウト

 レイアウトの骨組は鉄骨を使う。棚の廃棄品を大量に貰って来たので、それをある程度組んで高さが決まれば熔接してしまう。そうすればそう簡単には壊れない路盤ができる。

 その部屋は正方形に近く、長さが取れないので、対角線方向に長さを取る。13 m 程度はある。しかし、階段室があってそれが邪魔になる。階段室の角の二つの壁を貫通させて斜めに通す必要がある。

 階段室の一部を壊すことも考えたが、線路の高さで壁に孔をあけ、中空を走るようにする。もちろん空気の流通を無くすようにトンネル状になるが、長さが 2 m 近いので、事故時にも取り出し易いように内部の高さを300 mm程度にする。要するに合板で300 mm角の筒を作り、補強材を入れて撓まないようにして、階段室の壁にあけた孔に突っ込むというわけだ。階段室の中ではかなり高いところにあるので、支障はない。見かけは多少なりとも考えて、みっともないことは避けたい。

 エンドレスの内側はデッド・スペイスであるから、有効利用する。ロストワックスの工房を置くのだ。床がコンクリートだから、熔湯が落ちても良い。贅沢にグレーチング(すのこ)で浮かしてやることができれば、熔湯はこぼし放題だ。
 遠心鋳造機と真空鋳造機がある。  

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2024年12月24日

続々 Deagostini の C62

 さらにA氏から近況を知らせるメイルが届いた。


C62 tender (2) テンダに慣性増大装置を搭載中である。ギヤを節約する目的があったのかは分からないが、2軸をチェインで結んでいる。この方法を採れば、キングピンのところに ユニヴァ―サル・ジョイントを一組ずつ置けるので、どんな場合でも角速度が等しくなり有利である。慣性増大装置へのエネルギィの出し入れには大きなトルクが掛かっていて、相手の慣性モーメントが大きいわけだから、角速度が一定でないとかなりギクシャクしてしまう。これを避ける賢明な方法である。
 
C62 tender (1) フライ・ホィールはチェインで駆動する。ギヤ・タワーを使い、半ピッチの位相差を持たせた二重のチェイン駆動である。これだけ重いと1本では持たない。
 この方法はA氏はいくつか試されたそうだが、確かに音が静かになるそうだ。デルリンのチェインは多少伸びるので、この方法が有意義である。伸びない金属製チェインではこういうことが出来ないのは当然である。

 車軸に付けたギヤで増速するので、そのままフライ・ホィールを駆動している。これは筆者の機関車と同様である。  

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2024年11月24日

続々 UP GP9

hand stanchions 長い手摺は金属製である。プラスティックの射出成型品が弱いので、それをブラスで作り直すつもりで手順を考え、覚悟を決めていたが、思わぬ形で解決した。現在はAtlas 社が組んで売っているので、そのメンテナンス・パーツが手に入ることが分かったのだ。高いものではなかった。stanchion(縦の柱の部分)は鋼板をプレス成型してある。とにかくブラスに比べて堅いので有難い。針金部分の剛性は素晴らしいものだ。ブラス製では絶対になしえない剛性がある。
 現在の Atlas 社製は、ダイキャスト製の台枠である。プラスティックの車体と位置は合っているが、下側の孔を拡げておく必要がある。
 スタンションのピンの太さを測定して拡げたが、塗装したら入りにくくなった。塗膜を外して接着するとスーパーXは素晴らしい強度を発揮する。

 窓ガラスを嵌め、マーカライトなども透明部品を付ける。これがなかなか大変な仕事だ。この車体を購入してから早くも15年も経ってしまった。
 走行は楽しめる。ヤードから25輌の貨車(約10 kg)を牽き出し、1.9%の坂を登る。ぎりぎりであるが、それが楽しい。もう一輌作って固定連結で重入換機として活用することになっている。

Lithium Batteries 電池がリチウムイオン電池で、直列充電ができないのが今のところ唯一の難点である。12 V 近辺で直列充電ができる電池を探している。もう一台の機関車の中に入れて、駐泊所の線路間に突き出した接点から充電したいのだ。ラジコン用の12 V Ni−MHがあるが、これはどの程度信頼性があるのだろう。直列充電で偏りが出ないのだろうか。大きさは入りそうだ。この機関車と組む補助機関車は、受信機が無いのでボディ・シェルの中は空いている。幅が 25 mm、高さが45mm 長さが150 mm以下なら問題ない。
 リチウムイオン電池3本であると、各電池の電圧を個別に測りながら充電しないと危険であろう。端子を4本にする回路も考えているが、もっと楽で確実な方法を探している。
 端子を増やすには線路の間以外にも給砂装置のホース状のものを活用するという手がある。奥まった所なら、ストラクチュアの壁から突き出させるのでも良い。もちろん普段は隠れていて、所定の位置に停車すると伸びて接触する構造にするわけだ。
 とにかく、発火することが無いように最深の注意を払いたい。 

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2024年10月13日

続 レイアウトを作ろうとする人へ

 撓まない梁を使って「平面度の高い路盤を作ること」の価値を見出された方々が増えて来たのは、心強い。

 確実に言えることは、わが国ではレイアウトを作った人の絶対数が少ない。過去の事例を遠くで見ただけで、その剛性を実感していないのだ。台枠に乗ってみればいかにそれが脆弱なものかわかるはずだ。工事中には上に乗る必要がある。完全に復帰する撓みならば問題ないが、その時すでに不可逆的な変形があれば、その台枠は廃棄するべきである。(乗ってミシッと音がすると、一部が壊れた音である。完全には元に戻らないと考えて良い。木ネジだけで組んであると、この音がするが、接着剤が使用してあればかなり持つ。)
 
「『それは dda40xさんのようなOゲージをやっている人の話で、HOやNには関係ないでしょう』と言った人が居る」という話が出て来たが、「それはおかしい」と言ってくれたのには救われた。
「だってさ、同じように撓んでもHOなら、相対的に2倍、Nなら4倍近く、大きく感じるわけだろう?」
 その通りなのである。小ゲージなら、より精密に水平を出す工夫が必要なのだ。こういうことが分からないのは、自分で手を動かしてレイアウトを作ったことが無いからだ。本を見て、自分もそれを作った気分になっているからだろう。

 さらに本音も聞けた。
「あの人はうるさい人で、言っていることは理想論であって僕らには関係ない。」と言う人がいるらしい。決してそうではない。
 上と重複するが、
「ラフでも構わないOゲージで精密な路盤を作らねば結果が出ないのだから、より細かいゲージであればもっと精密に作るべきなのだよね。」と言ってくれた方が何人かあったので少し安心した。


「貴方は鉄レイルを使っていて錆びないか?」という質問も多かった。これについては、窓から入る空気の中の塩の話をすると非常に興奮する人が多い。
 海岸から100 kmまでは風送塩がある。日本でそれ以上の距離がある地域は極めて限られている。長野県の茅野辺りの直径15 kmほどの範囲だけである。「その地域に日本の精密機械産業が集積している。」と言うと、みな膝を打つ。先人は、よくぞこの地域を探り当てたものだ。
 レイアウトの場合は窓を開けず、エアコンで湿度を55%以下に保ち、空気清浄機を24時間動かせば、錆びさせないことは可能である。塩化亜鉛を使ったハンダ付けは外でやるべきだ。


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2024年10月11日

レイアウトを作ろうとする人へ

 合運の会場では多くの友人と会った。どなたもこのブログでのレイアウトに関連する記事についての感想を聞かせてくれた。

「今までのレイアウトの作り方で良い、と思っている人が多いのは問題だね。もう60年くらい同じことをやっているじゃないか。」
 たしかにその通りだが、TMSの特集シリーズくらいしか参考書がないから、進歩が無いのだ。材料や施工について知識のある人がほとんど居なかったわけだ。

「Model Railroaderに紹介された L-girder は剛性が足らないよ。」
 これも、他に比べる対象が無いのでその弱さに気付かないということだろう。この発言の方は実際に作って確かめている。

「路盤が波打っているのはよく見るね。著名なレイアウトなんだが、行くとそこが気になるよ。最近、高効率ギヤを付けた機関車を持って行くと、波打っているのが極端によく分かるんだ。今まではガリゴリ走る機関車ばかりだったので、それに気が付かなかったのだよね。」

 これは高効率ギヤの実力をよく把握された方のご意見である。低速で負荷を掛けて滑らかに走っていると、僅かな走行抵抗の変化が速度変化として現れるというわけだ。 

路盤の高さも高い方が良いということに気付いたよ。今からでも少し持ち上げてみる。実はね、僕の友人がdda40xさんのレイアウトは『Oゲージだから高くしてある。』と言うんだ。それはおかしいよね。HOはさらに高くすべきだし、Nはもっと上げなきゃね。」と言う。
 この人はよく分かっていらっしゃると感じた。”鑑賞距離”という概念が身に付いている人である。HOはOより近くで見るはずだ。
 また、実際に鉄道を見る角度を思い出すべきであろう。せいぜい跨線橋の高さからしか見ていない。

 電車の模型で屋根に凝っている人が多いのはなぜか、ということを話題にする人も居た。どうやらこの辺に答がありそうだ。

 実際にレイアウトを持ち上げた人の話をした。下にものを置くスペイスが増えるのは良いことだと感じる人は多い。


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2024年09月19日

続 GarGrave track

 GarGrave の線路の紹介をしたところ、問い合わせをいくつか戴いた。枕木にレイルがどのように組み合わされているのか知りたいというものである。

 この線路はいわゆる flexible track であり、ある程度自由に曲げられる。しかし枕木は外れない。枕木とレイルとの間には強い摩擦力が働いているが、曲げられたときには多少動く。しかし抜けることがないのは素晴らしい。

GarGraves ties その構造はこの写真でお分かりだろう。枕木に逆向きの楔型の溝が切ってある。レイルの下部は長く伸びていて、開いている。組立時にはレイル全体をクランプするジグを使うはずである。30本程度の枕木を 3 ft (約90 cm)の区間、所定の位置に保持しておいて、そこに脚を閉じたレイルを押し込み、束縛を解いて脚を開かせるという手順だと思われる。あるいは枕木に横から滑り込ませているかも知れない。この逆楔を切る方法はなかなか難しい。2段階で切っているのだろうか。

 鋼板の弾力が大きいだろうから、締め付けにはかなりの力が必要だ。油圧か空圧で締め付けざるを得ない。楔型であるからレイルと枕木は良く密着する。良く出来た設計である。

 脚の部分が伸びているから断面積が大きく、電気抵抗の低減にも寄与する。また、この鋼板はスズメッキされているがその表面が実に滑らかである。昔カツミが売っていた三線式のガラレールの仕上がりとはずいぶん違う。メッキの仕方が違うので、錆びにくい。また平滑度が素晴らしい。50年も放置してあったが錆びていない。中央レイルは酸化被膜を付けてある。これも錆びにくいが、スズめっきほどではない。先端が磨り減ると錆びやすくなるはずだ。しかし相手は厚くスズめっきされたローラ式ピックアップであるから、それもほとんど心配がないようだ。しかもその回転軸には油が注してあるからそれが下に伝わって来るのもあるだろう。

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2024年09月11日

続々 角スタッドを用いたレイアウトの骨組み

なぜ金属製の台枠を推奨するのか。」という質問が来た。

 答は簡単である。木製の台枠では10年以内に撓みが目で見えるようになる。これはどんな策を講じても避けられない。60 cmのスパンであっても途中は撓む。また普通の合板では、梁の間が必ず撓んで垂れ下がる。日本の鉄道模型人はこのような実例を見ることがほとんどないのであろう。筆者は数多く見ている。それを克服するにはこうすればよいというのが今回の提案である。
 
 読者の方から興味深い事例を教えて戴いた。某レイアウトでは路盤の撓みで客車の床下機器がレイルを擦ったそうである。ありうることだ。また、建物自体も木造住宅では経年変化で水平が失われることもある。機関車牽引の列車では勾配の変化を敏感に感じられるのだ。

 水平確認は大変重要なことである。駅構内などは完全に水平でなければならないので、レーザによる水平面の創出には最大限の努力をした。現在、レーザによる墨出機は決して高価なものではない。レンタルも一日数百円で見つかるはずだ。
 
 筆者の博物館に来た人は、路盤に目を近付けて見る。完全な水平面であることに驚く。「凄いね!」とは言うが。どうやってやったのだと聞く人は稀だ。路盤の骨組みを撓みの無い材料で作れば可能なのだが、そこまで追求する人は極めて少ない。

 博物館のレイアウトを見せても、路盤について質問した人はほとんどいない。わが国ではレイアウトを作ろうとする人はとても少ない。しかし、これはレイアウトを作ろうとする人には避けて通れないことなのである。教科書が昔のTMSでは、結局は同じ間違いを繰返すことになりかねない。
 コルク道床を売っていないので、わざわざ特注で作って張り、やかましい線路になったという報告すらある。自動車のどこにコルクが防音材・制震材として使ってあるというのだろう。ポリ塩化ビニルあるいはゴムのシートが張ってあるはずだ。遮音は質量で効く。重い材料を使わないと駄目なのだ。

 レイアウト建設はわが国では例が少ないので、失敗例を踏襲してしまうことが多いと見ている。当博物館に来訪する方々は静粛性に驚く。長い列車が走るとき、レイルの継ぎ目の音が聞こえることに驚くのだ。こちらは当たり前だと思っているが、来訪者たちは驚異的であると言う。また、極めて軽く動く車輌が、ヤードのどこにでも止まっていられるということも信じられないそうだ。

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2024年09月09日

続 角スタッドを用いたレイアウトの骨組み

 角スタッドは継ぎ足せない。接続金具を使ったとしても継ぎ目は弱く、曲げには耐えられない。
 ホームセンタでは各種の長さで売っているので、設計をよく考えて無駄のない長さの購入をお勧めする。
 
直角に継ぐ 直角に繋ぎたい時があるかも知れない。その部分の曲げ強度は保証できないが、ずれを防ぐことは簡単にできる。
 この直角金具両方に当てて、インパクト・レンチでタッピング・ビスを8本ずつ打つと完了だ。かなり頑丈に付く。タッピングビスの下穴は不要で、直接ねじ込めばよい。3秒で終わる。

 インパクト・レンチは不可欠だ。ドリルで孔をあけてビスを手でねじ込んでいると、腱鞘炎を起こしてしまうだろう。この道具を使うと1箇所3秒だ。

鋼アングルによる支え ややこしい形をしていて木材では強度が出せないところは鋼材で作ったが、木製の棚にネジ留めしてある。もちろん接着剤を塗って取り付けた。
 アングルなどの鋼材に角スタッドを取り付けるときは、取り付け面の反対側の面にたけのこ状のステップドリルでドリルビスのネジ頭が通るほどの孔をあけ、インパクト・レンチに長いビットを付けて締める。10秒足らずで完了する。この時ネジが落ちないように、磁化したビットを使うか、ネジが落ちないようにテープで巻く必要がある。

角スタッド工法 普通のレイアウトなら、撓みが生じないように2x8材を立てて水平に置き、その上に直角に角スタッドをコース・スレッドで留めれば出来上がりだ。足は2x2材で十分だ。甲板のランバーコアは、角スタッドに直接コーススレッドで留める。こうすれば、非常に堅固な路盤が出来る。甲板の継ぎ目には裏から継ぎ目板補強の合板を接着剤とコーススレッドで貼ると丈夫になる。
 角スタッドのスパンは 90 cm程度にすると角スタッドの敷設密度が減らせる。

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2024年09月05日

レイアウト路盤で平面を出す

 所属クラブでレイアウトの路盤作りについて討論されている。

one-main 殆どのレイアウトは木造である。この数十年は Model Railroader で推奨された L-girder という1x4材を組み合わせた骨組みに、合板を載せるという構造が多くなった。また、日本風の床下地のような組み方の作例もある。後者は大工に発注して作らせた場合だろう。筆者はアメリカの友人の使った手法を元に、より合理的な試作品を作った。木ネジだけではなく接着剤を使って、より剛性を高めている。

 木製の路盤は撓(たわ)む。10年もするとスパンが 60 cmしかなくても垂れて来る。目を近付けて透かして見ると、無視できないほどの撓みがある場合が多い。スパンが 90 cmになるとまず駄目である。日本のように湿度が高い国ではこれは顕著である。

img56997597 これは木材の持つ特性で、撓まないようにすることはできない。材料の縦の寸法を大きくし、スパンを小さくする以外ないが、条件が厳しいことが多い。2x8材を使えばかなり良いがそんなことをする人はいないだろう。

 そこで筆者が採用したのは軽天材料である。これは厚さ 0.5 mm 強の亜鉛引き鉄板を曲げて角パイプにしたもので、角スタッドと呼ばれる。実に軽く、剛性が高い。その表面にはシボ加工がしてあり、加工硬化している。何よりも優れているのは、経年変化が事実上ないことである。45x65 の材が使い易い。
 切断はディスク・グラインダでも良いが、慣れれば角から金バサミで切り込める。ネジ留めは実に簡単で、専用の金具をタッピング・ビスで瞬時に留められる。価格は木材の 1/3 程度である。ホームセンタで簡単に入手できる。

 これを横に寝かせ、その上に合板(プライウッド)ではなくランバーコアを張ると良い。これは剛性が大きく、波打つことが無いし経年変化が少ない。15 mm以上の厚さである。角パイプにはコーススレッドで簡単にネジ留めができる。

 レイアウトの足は木材で構わない。木材は縦の圧縮方向には強い。角パイプを数本並べてその支えの梁を2x8材で作り、足は2x2でも良い。壁に取り付けることもできる。

 この方法は質量が小さくなり、住宅への負担が少なくなるし、出来上がったものの平面度が極端に良くなる。レーザを用いた水準器で測ると、完全な平面と言って良いことが分かる。経済的であるところも大きな利点である。

 線路が水平でないと、その上にある勾配は一定でなくなる。せっかく計算して牽くはずの列車がスリップしてしまうことになるのだ。木製に拘る人は多いが、10年先を考えているとは思えない。


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2024年08月26日

YouTube

 Santa Fe のパシフィックが慣性でスリップして走るのを見せて欲しいという要望が来ていた。動画はいくつか撮ってあったが、YouTube にUPしていなかった。今回二つ紹介したい。

 一つ目は博物館の空き線路での走行披露である。この動画は先日渡米した時、あちこちで見せて非常に評判が良かったものだ。手前のプラットフォームの屋根支柱は Dennis がロストワックスで作ってくれたものだ。これを見てDennisは、
「おい、どこかで見たことがあるな。どこの製品だ?」と嬉しそうに言った。「クロム・グリーンの柱というのは良いもんだ。」とのことである。
 わざと、逆転スイッチの音を入れた。0.5 Vほどで起動して少し急加速をするとスリップしているのが分かる。7 V で巡航する。5 V まで電圧を下げて逆転すると、動輪が止まり、スリップする。それ以上の電圧を掛けていると、逆回転ブレーキになる。
 機関車が止まると同時に電圧をゼロにすると実感的だ。こうしないとすぐに逆回転が始まり、スリップする。起動は極めてゆっくりにすべきだ。

 二つ目の動画はより近くで写したものだ。これはこの6月に神戸の会場で撮った。線路は軽い三線式で中空のを持って行った。これは GarGraves の三線式であり、木製の枕木に鉄板製のレイルが打ち込んである。スパイクはない。ただ、レイルの下がまっすぐ伸びていて、それが枕木に打ち込まれている。50年前に買ってほとんど使わずにいたが、今回のように携帯して持ち込む時にはとても軽くて有り難い。
 これを見て、中央レイルに何か秘密がありそうだと考えた人も居たようが、残念ながら無関係である。
 
 これは Phantom Line と呼ばれるライオネルなどのトイ・トレイン用レイルだが、中央レイルが黒くて”幽霊のように見えない”というのが売りだった。見えてはいるが、日本の3線式のような感じは受けない。鉄板製だがスズめっきの質が良いのか、意外に錆びない。また電気抵抗も小さい。洋白などとは比べ物にならないくらい良い。


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2024年08月02日

ショック・アブソーバの構造

 ショック・アブソ−バをどのように作ったのかという質問が多かった。初めはラジコン用のショック・アブソーバを使うつもりだった。分解してみるとその構造はかなりいい加減で、gland packing(軸が出入りする部分)のOリングの摩擦が大きい割に、内部でヒステリシスを作り出す弁が無いものであった。要するに出入り両方に同程度の減衰力を与えるもので、お話にならない。現在市販されているものも、高価な商品以外は同様である。
 仕方がないので内部のピストンに可動式の弁を付けようと思った。作り始めたが、全体を大きく作り直さねばならず、床下に出っ張って横から見えてしまうのだ。細いものを作ろうと思うと、構造を限界まで単純化せねばならない。

air damper そこでエア・ダンパにしてはどうかと考えた。辷り込みの角パイプを用意し、内部の空気を殆ど押し出せる位置にピストンを置き、air escape(空気の抜ける小穴)をあけた。リード・ヴァルヴを作り、研いでハンダ付けした。要するに「往きはよいよい、還りはこわい」にして、外部の大きなバネで縮みを復元するわけだ。還りの空気はリード・ヴァルヴからの漏れである。ヒステリシス曲線を描くと囲まれた部分の面積はきわめて大きくなる訳だ。押す瞬間にはプスッと音がし、戻るときはク−という。

 作図して5つほど作ったが、良いものを2個残して捨てた。多少の潤滑油が必要である。これが無いと空気が漏れる。
 リード、細孔付近ともに砥石で良く研いで、隙間を極力無くすことが肝要である。ヤスリでは粗いから空気が漏れ過ぎる。ハンダ付けは一番遠いところで確実に付ける。塩化亜鉛が洗い難いので、水の中に2日ほど漬けて完全に洗う必要がある。もちろん水は頻繁に取り替える。

 固定された車止めに激突させても、極めて落ち着いている。撥ね返ることもない。48年経っても間違いなく作動した。現物をご覧になった人は一様に驚き、褒めて下さった。

 現在、ブラス製の客車を14輌ほど量産中である。総質量は 25 kg以上だ。何かの間違いでぶつかると、先頭車はもちろん、後続の客車に大被害が出ることは必定である。列車前方にこのダンパの付いた車輌があれば、被害はかなり軽減されるはずだ。
 その車輌は荷物車である。幌が無いので車輌間隔が衝突時に縮んでも差し支えないことを利用する。普段は適切な連結間隔であることは言うまでもない。

 車止めにはこの方式お勧めする。 

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2024年07月23日

光硬化型接着剤

 最近光硬化型の接着剤をよく使う。これは近紫外光を放出するLEDによって数秒以内に固まるもので、とても便利である。

 瞬間接着剤のように思わぬ時に固まってしまって、再度はがして付け直すということが全く無くなった。じっくり位置を確認したのち押さえ込んで光を当てればよいのだ。固まった後はヤスリで削ると快削性があることが分かる。エポキシのようにヤスリに粘り付くことはない。

 ホームセンタでも売っているが高い。それはたぶん日本製だろう。通販で安いものは中国製のようだ。うんと安いものがあったので注文したらアフリカのどこかの国からの発送だった。電池は放電しているし、接着剤は容器から出て来なかった。全くダメで、返金を要求すると直ちに返金があったから良いが、釈然としない。

 電池の能力が落ちていると、近紫外光が出ない。すなわち固まりが悪い。こういう時は直射日光にしばらく当てると完全に固まる。 
 
 分子構造は三次元網目状になるので、時間が経つと流れるというわけではない。ただ、長時間光に当たると何が起こるかは不明であるので、塗装するのが良いだろう。

 接着以外に、使い方を工夫すると様々な用途に使える。

1.穴を埋める。 爪楊枝を切って差し込み、それに沁み込ませる。光を当てて固めてまだ多少でも凹んでいたらそこに接着剤を落として再度光を当てる。ヤスリで削ってやれば完了だ。

2.リヴェットを足すことができる。うっかり削ってしまった時には、細い針の先に接着剤を付けて、少量を板の上に盛る。大きさを確認して光を当てると丸いリヴェットができる。大きさや曲率が気に入らない時は、拭き取れば何度でも作り直せる。形が決まったところで硬化させればよい。  

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2024年06月13日

ある構想

 友人が真顔で言う。
「鉄道模型のある養老院を作ってくれよ。あなたは人望があるから、声を上げれば手を挙げる人が居るはずだ。」

 世の中には面白いアイデアを詰め込んだ老人施設がある。ギャンブルを楽しむ施設などがあるのだから、鉄道模型のある施設でも何ら問題ない。
 当博物館の隣は銀行だったのだが、過疎化が進んで店を畳み撤収してしまった。建物は立派なものが残っている。駐車場も広い。その向こうは大きな呉服店であったがこれも店を畳んで安く売りに出ている。向かいの大きな医院も廃業して久しい。この町にはそういう空家がたくさんあって、売りに出ているものがたくさんある。

 工作室を完備した老人ホームというのは楽しそうだ。建物は沢山あるから、ゲージ別に分けるのが良いだろう。医院の駐車場は建物1階部分に屋根付きの大きな面積のものがあるから、ライヴ・スティームも可能だろう。

 先日地元の有力者にその話をしたら、「面白い。町興しの一つの材料になるかも知れない。」と言った。 

 筆者には人望もないし、運営のノウハウもないから、すぐにできるわけでもないが、話としては面白い。家族に死に別れて一人住まいするよりも、汽車に囲まれた人生の方が楽しいと感じる人には良さそうだ。
 この話は50年近く前、椙山満氏からも聞いたことがある。椙山氏は医師であったから、そのようなニーズを感じていたのかもしれない。

 ある人は茶化してこう言った。「制御系の経年劣化が予想されるので、レイアウト上の事故が心配だな。」 

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2024年06月07日

続々 分岐を3D‐プリントで作った⁉

 3D-プリントなら自分でスパイクする必要が無いので、レイルが嵌まる部分を少しずらすことは訳ない。ガードレイル側を 0.5 mm程度寄せるぐらい一瞬でできる。おそらく人間の目では検出できない程度のズレである。車輌はフログの護輪軌条上の誘導でまっすぐ走るので、ますます気付かない。

 その会場では両渡りが展示してあったのだが、そのクロシングがこれまた奇妙なのだ。フランジウェイが広いので間が抜けている。こういう場合はゲージをわずかに狭めると同時に、護輪軌条を拡げる。全車輌が通過できるバックゲージ+0.2 mm程度の余裕を与えれば極めて滑らかに走るようになる。
 走行性能を確保しながら、ファイン化が実現できるのだ。

 そのポイント、クロシングでは、すべてのガードレイルが完全な直線であったのには驚いた。フログ部分で所定の寸法になるようにわずかの弓型にすべきである。本物を見てごらん、と言っておいた。この模型の作者は、実物の観察が足らないと感じた。分岐を渡る時の車輪とレイルヘッドの当たり具合をじっくり見るべきだ。通れば良いわけではない。

 Nゲージのポイントは、ただ通ればよく、落ち込みとか音に関しては考えているようには見えない。

 また、フログの材質には大きな問題があった。


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2024年06月05日

続 分岐を3D‐プリントで作った⁉

 数年前、ファイン化という言葉をよく聞いたが、最近は下火になった。「線路ゲージが実物と同じものがファインスケール」などと、おかしなことを言い立てる人は明らかに減って来たので安心している。

 模型の車輪がファイン化するとどうなるかということを、厳密に考える人はきわめて少ない。フランジを低くするとか、踏面を細くするなどという奇妙な結論に走る人が多かったが、それも少し減って来たように思う。

 正解は、ファイン化するとフランジが薄くなる」のである。これについては30年以上前に吉岡精一氏と意見が一致し、互いに「日本で初めて気が付いている人に出会った」と意気投合した。フランジ角度がある程度決まっているから、フランジ高さは自然に決まるのだ。すなわち、フランジの高さを先に決めているのではないのだが、ここを勘違いする人は相変わらず多いと感じている。

  Low-D では線路規格の許す限りフランジを薄くしている。一方、フログのフランジウェイは規格の最小限度まで狭くする。
 バックゲージ(back to back)は決まっているので、フログの反対側のガードレイルは少し軌道中心に寄ることになる。
 PECOはそうしている。ネジで動かせるようになっているのだ。これは、線路ゲージを動かさない(すなわち、既存の製品を使う時の方便である。)とした時の話だ。分岐全体を作るのなら線路ゲージをその部分だけ僅かに狭めれば良いことだ。そうしても、誰も気が付かない。これは直線側だけにする方が良い。曲線は軌間が狭いと通らないものもあるかも知れないからだ。もちろん、フログが直線を交差させた形のものなら問題ない。

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2024年05月12日

resistance soldering

 Dennis の工房には工夫が満ち溢れている。炭素棒の保持具は面白い。筆者の作例では、握りの軸の延長上に炭素棒がある。それでも良いのだが、曲がっていると楽だろうな、とたまに感じることがある。

carbon rod soldering (2) これを見て戴きたい。厚いブラスの板に貫通孔をあけ、それをスリ割フライスで切ってある。炭素棒を差し込み、ネジを締めるのだ。下の板はアースとなるブラス板だ。


carbon rod soldering (1) 簡単にして確実な保持方式であり、力も入れやすい。握りは熱くなるので、熱絶縁が必要である。ベークライトの板と管で作った握りである。電流は20 A程度で、スライダックで一次側を調節している。

IMG_4168 Dennisはこの種の工夫をする能力に長けている。ありとあらゆる工具を使いやすい形に改良している。 これを見習って作ってみたい。握りは木製にするのが簡単そうだ。ヤスリの握りで大きなものがあるがそれを少し加工すればできそうだ。

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2024年05月10日

続 Dennis' workshop

IMG_4045 (1) このように広い工作室を持つことは、わが国ではかなり難しい点もあるが、その中に置いてあるいくつかの工具は日本でも買えるので、それについて説明していきたい。


IMG_4010 まずこのプレスである。何度も紹介しているが、プレスを持っている模型人は少ない。相も変わらずコンコン改軌をしているらしい。この大きさ程度のプレスを持つだけで、精度の高い車輛ができるということを認識してほしい。プレスは高価なものではない。


IMG_4011 これはシァ、ベンダ、3本ローラが一つになったものである。中国製で使い心地は今一つであるが、整備次第でもう少し良くなるであろう。本当は単能機3つある方が、はるかに使い心地は良い。


IMG_4014 これはハンダ付け専用のテイブルである。各種のジグがあり、押さえ付けて炭素棒でハンダを融かす。直角ジグはいくつか作ってある。フレキシブル・シャフトの回転工具もある。


IMG_4022 (1) クランクピンを作っているところである。快削鋼で作るので、つるつるに仕上がる。M2のネジを切るタップが必要となり、持って行った。彼の地ではメートルネジの工具は手に入れにくい。 

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2024年05月08日

Dennis' workshop

 Dennisは長らくロストワックス鋳物の工房を経営していたが、体調の問題があって、設備一式を友人に譲って廃業した。

Workshop (1)Workshop (3)Workshop (2) その後工房を整理し、広い日当たりの良い工作室に作り替えた。車庫にあった大きな2トン近くある旋盤、フライス盤を処分し、小型のものに買い替えた。寒い冬にも座ったままで作業できるというのは有難いと言う。テキサスでも西部の高地にあるので、寒い時期の車庫での作業は辛かったそうだ。

Workshop (4) 床のモルタルをつるつるに仕上げ、樹脂を浸み込ませてあるので埃も立たない。小さな部品を落とした時は掃除機の袋を新しいものに替え、全体を掃除すると必ず見つかるという。これは見習いたい。

 蒸気機関車の整備はお手のもので、クランクピンを新製し、クランクを植え替えることなど朝飯前だ。すべての工作を3/100 mm以下の誤差に収めている。韓国製の全くダメな機関車を捨て値で手に入れ、下廻りを全て作り替えて最高の走りを作り出す。これは筆者の方針と完全に一致するので、長く付き合っているのだ。  

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2024年03月18日

TV camera

 クラブの長老H氏からTVカメラを付けて欲しいと依頼があった。レイアウトの車庫の奥には目が届かないが、安心して最奥まで列車を収めたいのだ。H氏は片手が不自由なので、高いところにカメラを付けたり細い穴にケーブルを通したりするのは難しい。工具一式を積んで喜んで出かけた。30分のドライヴである。

 どんなカメラなのかと聞くと、しばらく前に購入した防犯カメラで中国製であった。マニュアルはあるが、マニュアル通りには作動させられない。あると書いてあるボタンがなかったり、無茶苦茶である。
 8心のLANケーブルが要る。これはバッタ屋でお値打ちに調達したものだが、ちょうど良い長さであった。

TV camera 接続して調子を見るが、ちっとも言うことを聞かない。壊れているのか、機種が違うのか、ヴァージョンが違うのか分からない。30分くらい格闘して偶然にもよく写った瞬間に写真を撮った。設定の再現性を確認して操作手順書を作った。こういう仕事は楽しくない。中国製のものは買うべきではないことを再確認した。

 ともかく、カメラはヤードの全体を俯瞰している。H氏はとても喜び、早速運転を開始した。走らせて楽しむ模型人である。自宅にレイアウトを持っていない人は、つまらぬ(失礼!)ディテール付けの競争に向かうのだろう。我々はよく走る模型の製作に勤しんでいる。

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2024年03月06日

Sn 63% - Pb37% solder

 63%ハンダの使用量が多く、余分な60%ハンダから作っておくことにした。母体となる60%ハンダには、どういうわけか70という番号が打ってある。
 
 これが 210 gある。それにスズを何 g 足すと63%ハンダになるか…という中学1年生の数学である。
 スズはかなり前に手に入れたものだ。たまたま東急ハンズで見かけて買ったような気がする。昔はこんなものまで売っていたのだ。

63% solder 棒状のスズを大きなハサミで切って、所定の質量を量り取る。それをるつぼの中で融かしたハンダに足せば良い。針金で掻き回して均一にする。温度が高くないので、ダンボール箱を傾けた溝に流して三角の断面にすれば良い。あっという間に固まって出来上がりだ。これが鉛であると、300 ℃以上でダンボールは燃え上がってしまうことがある。燃えなくても焦げてしまうだろう。屋外のデッキの上でやっているが、こぼれたとしても火事になる心配はない。

 加熱すると瞬時に必要な範囲が完全に融け、加熱をやめて息を吹きかけると、瞬時に固まる。
 50% や 60% のハンダとは全く異なる世界である。63%ハンダは白い。固まるときにはこしあん状態にはならないので、失敗することもない。このこしあんの状態で少しでも動かすとハンダにヒビが入って失敗である。

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2023年12月05日

続 旋盤上で回転砥石を使う

 ドレメルを保持して何を削ったのかという質問があった。
 これが欲しくなった最初のきっかけは、当時持っていた小型旋盤の3爪チャックがかなり偏心していたので、それを削って修正したかったからだ。小型旋盤用のコレット・セットがなかったので、心を出して掴めなかった。爪は十分硬く、熱処理がしてあることがわかった。

rotary tool on the lathe 目的の太さ近傍の鋼の丸棒を掴み、薄いディスク状に切り落とす。それを爪を開いて一番奥に入れる。直角をよく確かめながらチャックを締め上げる。そうしておいて回転砥石を中に差し込んで削り、3つの爪に砥石が当たることを確認する。これで削れた中の面は心が出ている。爪を外しディスクに当たっていたところを別の砥石で磨り落としてワークに当たらないようにする。これで完成だ。 
 こうすることにより、車輪を掴んで軸穴を加工するのは簡単になった。

 最近、この話をクラブ内で公開すると、その方法はAmazonで売っている部品の使い方説明に載っていると知らせてくださった方があった。誰でも思いつくやり方なのだが、当時はこの方法を編み出したことが嬉しくて、何人かの友人に見せて得意になっていた。若かったのだろう。


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2023年11月27日

countersunk screw

 子供の頃、皿ネジがミシンの針板に使ってあるのを見た。ネジの頭が出ないので都合が良いものだと思っていた。父にその話を切り出すと、「そういうものではない。」と言うので驚いたことを覚えている。
「確かに頭が出ないことも利用しているが、目的は他にある。」と言った。

 皿ネジの嵌るところは90度に仕上げてある。ドリルの先は118度である。すなわち、ドリルの先で凹ませたものを皿ネジで締めると隙間が空くから、90度のカッタで切り込まねばならない。こうして締めると、その部品は2次元の締め付けができる。要するに位置が決まって動かない。皿ネジ穴を作るには専用工具を使うべきなのだ。

 今回の固定には皿ネジを使って2本で固着している。これは便利である。ネジの耐剪断力が十分であれば、組立分解が容易だ。たくさんのネジを使う必要がない。コメントを戴き解説を書く必要があると感じた。

 構造をよく考えて設計すると部品が減り、工程も大幅に減らすことができる。これは父にうるさくいわれたことである。

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2023年11月05日

続 糸鋸弓の故障

 修復するには、このネジの規格を調べる必要がある。はじめはインチネジだと思い込み、手持ちの全てのネジゲージに合わせてみたが、合うものはなかった。それではメートルネジで、と調べてみた。径から考えるとM5のようだが、合わない。

 手持ちの全てのタップを動員して調べたところ、M5-P0.9という旧JISネジのタップがスルスルと通った。同じネジのダイスにももう一つの雄ネジが通ったので、これで間違いはない。
 最近はネットショップがあるので助かるが、これはそう簡単には見つからない。頭が六角穴のキャップボルトを買いたいが、極めて難しそうだ。今までは蝶ネジの頭が邪魔であったが、それが小さくなると取り扱いやすくなるはずだ。
 製品が見つからなければ、雌ネジも捨てて、全て新しく作ることになるだろう。

fastening screw on coping saw 今回のネジの故障の原因は、四角ナットの片方で刃を押さえたことによる。すなわち、四角ナットがいつも傾いて締められたのだ。これを避けるには、反対側に糸鋸刃と同程度の厚みの板を付けるべきだ。0.3 mm程度の板を貼るだけで解決するだろう。あるいは工具鋼のかけらから、そのような四角ナットを削り出せば良い。暇をみて、やってみたい。今回の四角ナットは、刃を押さえる側がプレスによってギザギザの模様が付けられている。すなわち加工硬化しているので、雄ネジがより駄目になりやすかったのだろう。
 国産の弓には、厚目のバネ板で挟んでからネジで糸鋸刃を締めるものがあるが、それはネジに対するストレスが小さいはずだ。 

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2023年10月30日

続 installing the flywheel

 前後の蓋を作る。フライホィールの孔に押し込めるように、+0.03 mmに削る。僅かのテーパを付け、先の部分は手で嵌められる程度にする。残りの部分は万力で締めて入れるわけだ。ブラスであるから締めれば入る。ロックタイトを塗って押し込む。フランジ部分から少しはみ出すので、十分に回っていることが確認できる。それを拭き取って、溶剤で湿らせた紙タオルできれいにする。

hollow flywheel シャフトは Φ5である。リーマを通してあるからギリギリで入る。このとき向こう側の孔に命中しないと大変である。こういう時は、相手側の内側を円錐形に凹ませておく。押し込めば一発で通る(この写真を見て角に傷がついていると思ったが、切り粉が載っていただけであった)。


temporary placing 軸にロックタイトを塗ってゴロゴロと廻しながら待つと、固まる。

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2023年09月24日

絶縁車輪を組む

 輪心に、絶縁紙を巻き付けて貼らねばならない。簡単そうに見えても、これにはかなりの骨(コツ)がある。完全な接着がされていないと、タイヤを押し込んだ時にばらばらになる。また、タイヤの内側には微妙なテーパが付けてある。押し込み始めには全周が嵌まっていなければならないのだ。

 瞬間接着剤で貼る手もあるが、全てを均等に密着させて貼るのは、かなり難しいのではないだろうか。筆者は下記の方法で貼る。

pinching insulator 絶縁紙を細く切るが、厳密に幅を合わせる必要はない。長さは、[所定の寸法+5 mm]に切り、末端を折る。
 そこをつまんだ時に、全体に張力が与えられるような位置を折るのだ。エポキシ接着剤を塗り、巻き付けてつまむ。このまま10分置くとほぼ固まる。そこで、外してつまんだところを切り取る。重ならないように長さを正確に決めて切る。その部分を押さえるようにクランプで締める。この時は、接着剤はまだ完全には固まってはいないので、押し込まれて滑らかにつながる。長さが足らなくなって、わずかの隙間が空いても構わない。
 写真左は輪心表側である。クイル駆動のレリーフを貼るために、凹凸をサンダで削り取ってある。右は裏側である。裏のボスは、祖父江氏の手法であり、張り出している。当然、この車軸はその分短い。この写真でも分かるように、絶縁紙は少し裏側にはみ出している。後で切り落とすから、気にする必要はない。 

 接着剤の硬化後、よく切れるナイフで、はみ出した絶縁紙や接着剤を落とす。全体に軽くヤスリをかけて、押し込み側の角を落としておく
 平らな金床(かなとこ)の上に置き、タイヤをゴムハンマで丹念に叩き、少しずつ沈める。裏が面一(ツライチ)になったら出来上がりである。絶縁紙が少しめくれた所があれば、エポキシ接着剤を爪楊枝で押し込み、固まったら削り取る。この作業の時、踏面、フランジにはヤスリ等を当ててはいけない。

 この作業は両手指がエポキシまみれになるので、あまり好きな作業ではない。横に溶剤スプレイを置いて、紙タオルの小さく切ったものを湿らせて拭き取る。とても手間のかかる作業である。

 プロの手法はその点は大したものだ。おそらく、速度が2桁以上違う。

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2023年06月22日

饋電線

 クラブの大先輩のH氏から電話があって、工事の手伝いに行った。以前からの懸案であった側線へのポイントマシンの取り付け、配線の依頼であった。H氏は片手の自由がきかないので、この種の下に潜り込んでの作業はできない。その種の仕事のお手伝いは、喜んでさせて戴いている。H氏の様々な工夫を見せて戴くのが楽しみだからだ。

Mr.H's layout (1) 今回は裏側をよく見せて戴いた。裏には裸銅線が張り巡らせてある。レイル1本毎にフィーダ線がハンダ付けしてあり、それは路盤下でこのようにハンダ付けされている。

 低電圧であるから、被覆の必要はない。複線線路の順に設置してあるから、間違うこともない。その部分を磨いて銅線を巻き付け、フラックスを塗ってハンダ付けをする。あっという間の仕事である。
 ポイントは筆者が作成したもので、トングレイルの方向によってフログの極性が変化する。ポイントマシンの接点にフログをつないで完成である。

Mr.H's layout (2) 試運転の結果は上々で、今後が楽しみだ。このレイアウトは電車主体の運転を楽しむもので、曲線の半径は小さい。直線部が長いので、気分が良い。近鉄電車の6連が軽快に走る。 

 右下の部分は跳ね上げ式の橋で、出入りが楽である。持ち上げると橋のかなり手前から給電が遮断されるので、安全は確保される。 

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2023年05月27日

walk-around layout

 32年前に取り壊したレイアウトの解説を希望されているが、写真が見当たらない。引越し時にどこかに紛れてしまったようだ。

walk around sectional layout 記憶をたどるとこういうことになる。右端の戸棚は自作で、350 mm高、1800 mm幅の扉が手前に倒れて、平面になる。それには、さらに左へ展開できる路盤があって広げていたが、キッチンカウンタの高さが少し上がったので、一部を切り落とさねばならなかった。というのは蝶番で線路が畳まれて、重ねて戸棚の中に収納されていたからだ。蝶番の高さが上がれば、跳ね上げられた部分は天井に当たるのは当然だった。
 その延長は3つのセクションに分かれ、軽く作ったが、ポリ塩化ビニルの路床で音が軽減された。あちこちに下駄を履かせ、高さを整えた。下駄には番号を振り、組立の時間を節約した。

 転車台は簡便な作りで手動である。径は570 mmで、大きな機関車は載らないが十分楽しめた。この動きを楽しむには、高さが大きなファクタであることがよく分かった。 

 赤の矢印は、SWAC のジャック位置である。引抜いて次のところに挿せば、問題なく制御できる。これは魚田氏が大変気に入った。
 後に、右下の方へと仮設の線路を延長して、緩和曲線のデータを取ったが、それは短期間だ。 

LDK2LDK 図だけでは分かりにくいので写真を添えるが、低い戸棚は全く別のものが置いてある。これは貸す直前の状態で、エアコン、ガスヒータ、ガス台、食洗機、壁紙などは当時のものである。 

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2023年05月25日

spline joint

 床材を張る部屋が一つしか無い時は良いが、廊下の左右両方に部屋があって、連続的に床を張らねばならない時はどうするかが問題になる。 
spline joint こういう時は廊下の一方の壁に沿って最初の1本を打ち付ける。それは完全な直線上になければならないので、糸を張って確認する。廊下全体を張ったら、各部屋の入り口を連続して張る。部屋の中まで同じ調子でできるだろう。しかし反対側の部屋をどうするかだ。床材のその方向には、tongue(飛び出している部分)が無い。

making a spline 床板の切れ端から、溝にやや固めに入る細い材料 spline を切り出し、紙ヤスリで研いで押し込める程度の厚さにする。 強力な接着剤を塗って押し込む。このスプラインは、長さは30 cmくらいにすると失敗がない。一本ものである必要はないので、何本かに分けて嵌め込むと良い。筆者はこのスプラインを作るのが得意で、Ben が褒めてくれた。 普通の人にはできないのだそうだ。
 こうするとどちらにも凸部がある部材ができるので、そこから反対方向に張り始める。この部材には、最初に両方向から釘を打っておく。そうしないと反対側に打った時にずれるおそれがある。

 この種のテクニックは友人の大工から学んだのと、本を読んだことから得た。400ページくらいの本で、それを読むと体力と機械があれば家を建てられる。日本の大工の腕とは異なる次元のテクニックなのだ。最近は日本の大工も機械を使うようになったので、それにやや近付いていると感じている。 

spline splineは自分で作るものと思っていたが、調べると市販されている。1.2 mの長さで3.5ドルだそうだ。自信のない人には、ありがたいだろう。 問い合わせたところ、30 m分で160ドルというのもあった。この材料は堅木でなければならない。

 数学を勉強された方はスプライン曲線という概念をご存知だろう。有限個の点を通るなめらかな曲線を作る工夫だ。この図では三次スプライン曲線になるが、曲がり方が大きいので、多少ずれる。 
 spli〜で始まる言葉は、ほとんどが木を細く裂いたものに関係がある。splint は骨折の治療に用いる副木(そえぎ)である。ギプスが実用化されるまではこれしかなかった。  

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2023年04月07日

六角ジョイントのナット

 六角ジョイントのM1.4ナットに孔をあけるやり方が話題になっていた。はっきり言ってしまえばそれほど気にしなくても良い。というのは、多少のフレがあっても、それは吸収されてしまうからだ。とは言え、フレはないほうが気分が良い。

 紹介されていた方法は、六角ナットを保持するドーナツ状のヤトイを作って万力に銜え、万力の位置をXYテーブルで微調整して孔をあけるというものだ。この用途には十分ではあるが、心出し器なしで、これで心を出すのはかなりの熟練が必要だ。真似をして失敗する人もあるだろう。

 最近会った友人がどうやったら良いだろうと聞くので、こう答えた。
「六角ナットにM1.4のブラスのネジを入れてハンダ付けする。それを旋盤のチャックに銜えて、センタドリルでΦ1穴をあける。次いで希望の径のドリルを使って穴をあけてやると六角部分はドリルに突き刺さって回収されるはずだよ。2つ3つなら一度にできる。」
 これなら自然に心は出る。リーマを通したほうが良いだろうが、その時軸が傾かないようにする。

 ネジは無駄になるが、高いものではない。ブラスネジは軟らかくてよく削れるはずだ。これは無くなるヤトイである。この手法は歯車の軸孔径を大きくする時などにも使う。その時はちょうど嵌まるシャフトを作る。覚えておいて損はないテクニックである。三爪チャックではつかみにくい。小径のコレットがあると良い。コレットの平行部分が長ければ、たくさんのナットをネジで軽く締めてハンダ付けし、その一連のナットをコレットに入れて締めると心は出る。一気にドリルで貫通させることも出来るだろう。もちろん後でハンダを外す。

[追記] いろいろな質問が来るが、結論として、「多少の振れなどはすべて吸収されますから、とんでもない振れでなければ、問題ありません。」とお答えしている。 

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2023年03月06日

伊藤 剛氏の Gandy Dancers

 伊藤 剛氏の線路工夫を修理中のA氏から、動画が送られてきた。これは皆さんにも見て戴こうとYoutubeに upしてもらった。

 これである。工夫の動きが少々速いが、このような具合である。細い鎖が体の中を通っていて、それを引くとツルハシが持ち上がる。上体も同時に動き、きわめて実感的である。

 さて、列車が来ると退避するが、そのときにはノートの綴じ具をレールとしてスライドさせている。本体の基盤は、耐久性のある材料で作り直す。 

 機能が復元されれば良いので、思い切った修理になるはずだ。 

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2023年03月02日

続 Benderの破損

Bender プレスで押すというのはこのような状態である。上のネジ部分を外し、押す刃の部分が自由になるようにした。
 プレスのラム(上下する棒)で押し付けるだけのことである。とても使いやすい。以前のネジを廻す方法は、決して楽な方法ではない。この写真でも分かるが、ネジの当たる部分には派手に傷がついている。筆者も拇指の問題があり、手術はしたがあまり無理はしたくないので、ネジを廻すことは避けたい。

 外してみて分かったが、この上の刃の部分の出来は非常に良くない。砥石で擦ってなめらかにした。製品では縦フライスでさっと削っただけで丸い切削痕が付いていた。材質はおそらくS45Cあたりだろう。一度熱処理して、再度研ぎ直すつもりだ。 

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2023年02月28日

Benderの破損

 この Bender を長年使ってきた。これは30年以上前にアメリカで買った。NorthWest Short Lineという会社が作っていたが、今は中国製になったようだ。
 数年前にネジを取り替えた。以前のネジは、廻す部分が小さく、しかも長期間使っているうちに、つまみが欠けてきたのだ。要するに厚いものや、幅の広いものを曲げるのは、過大な負荷だったということなのだろう。日本製のインチねじの頭にプラスティックの大きな握りを付け、調子良く使っていた。 

bendeer 今回はホッパの排出口のゲートを作るために t 0.5の板を曲げた。間口は 36 mmである。この程度の厚みなら行けると思ったが、これも過大な負荷であったようだ。
 この種の工具はブレーキと呼ばれている。工場では油圧で動く型で曲げている。

Bender 2本の押しネジがねじ曲がった。ネジが熱処理されていなかったからだろう。以前のネジは表面が黒かったのだ。
 ネジを糸鋸で切り落とし、外した。さてどうするか、である。また同様のネジを使っても同じことになる。また、インチサイズのネジは日本では買いにくい。

 こうなったら別の方式を考えるべきだろう。幸いにも、プレス機がある。上の刃をプレスのラム(垂直に動く押棒)で押せばよいのだ。 

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2023年02月22日

FEF4 のデモ運転

FEF4 先日の神戸の行事に慣性増大装置付きのFEF4を持っていった。6 mの線路と電源も携行した。テンダが重いので、機関車全体では 7 kg弱である。

 線路を敷いてすぐ、運転を開始した。単機でも出発時に動輪がスリップするのを見るのはクラブ員も初めてで、集まって見て戴いた。

 運転は難しいので、最初は許可しなかった。思うところで止められないので、大事故が起こる可能性があるからだ。実際のところ、筆者の運転でも2回停め損なった。しかしそれは超低速運転だったので、大したことにはならなかった。動いているのが見えなかったのだ。
 停止から極めてゆっくり起動することができ、その速度を保てる。それを見て驚く人も多い。怪しい低速コンテストとは全く異なる動きだ。

 先輩からはこのような言葉を戴いた。
「実物で見られる動輪の空転や、停止直前の滑走は、質量の大きさから来るものです。Oゲージ程度の大きさでは、到底実現不可能と思っていたものなので、大変興味深く見せて戴きました。何十年もの間研究された結果とお聞きし、趣味の神髄を味わわせて戴きました。」

 こういう感想を戴くのは嬉しい。


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2023年02月16日

続々々 Gandy Dancers

gandy dancers (3) 親方は、作業する場所の近くに居て線路を監視し、列車が近づくと笛を吹く。すると、4人一組の工夫は退去する。



gandy dancers (4) 文字で書くと簡単なのだが、この一連の動作はなかなかややこしい。親方はいつも首を左右に廻して見張っている。笛を吹くときは手が上がって、笛が口に咥えられる。ピーッという音は実際の笛ではなく電子音だった。首を廻す動きはこのメカニズムによる。親方の帽子が下のほうに見える。

 工夫は横にスライドするが、そのレールが面白い。文房具の綴じ具の断面が hat section 帽子型の断面になっているのを利用している。滑りはすこぶる良い。   

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2023年02月14日

続々 Gandy Dancers

gandy dancers (2) 通称エンヤコーラである。剛氏の遺品群を預かった時、この作動を再現したいという気持ちが強かったのだが、開けてみるとバラバラになっていて、かなり難しい状態であった。この写真は、箱の上に描いてあった剛氏による判じ物である。

 クラブ員の力でなんとか再現したいが、難しい点があった。それはmechanical sequential control 機械式シークェンス制御である。アナログ回路でタイマを作動させ、順次リレィが切り替わって、カムにより人形が動くと同時に、接点が切り離されたりつながったりする。
 すぐに調子が変わってしまう。剛氏が調整すると、15分ほどはなんとか動くが、その後は難しかった。

 コンピュータを使ったシークェンス制御でないと、とても無理ということは分かるのだが、専門家が居なかった。筆者が最初から勉強し直すのでは5年は掛かるだろう。オーストラリアの吉岡氏が、
「俺がやってみる。」
と手を挙げてくれたのだが、残念なことにその直後に急死されたので、そのままになっていた。 
 吉岡氏は剛氏と密に連絡を取り、方針を固めたところであった。急死の報を受け、剛氏は落胆して電話で、
「もう(再生は)だめかな。」
と漏らされたのは、亡くなる少し前だった。 

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2023年01月31日

続 モータ軸からピニオンを外す

removing projection welding A氏が持ち帰って、すぐ連絡があった。
「モータを回転させながら、回転砥石で擦ったら、すぐ取れたよ。」


 さすがである。歯車の軸方向の先端にはわずかに突出した部分があり、その部分を抵抗熔接(projection welding)してあるのだ。接着より確実で早い方法であろう。熔接された部分さえ無くなれば、何の抵抗もなく抜けるわけだ。
done! 今までの苦労は何だったのだろうと思えるほど、エレガントな解法であった。

 軸先端は微妙に細くなる可能性はあるが、問題ない。筆者はこの種のギヤ付きモータを多数持っているのだが、外すのが面倒であまり使っていなかった。そのモータの大きさも出力も適当であるので、大いに利用したい。  

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2023年01月29日

モータ軸からピニオンを外す

 A氏が来訪したときに、いくつかコアレスモータを進呈した。それらはテキサスのジャンク屋で買ったもので、軍用の取り外し品である。10年以上前に買ったものだ。おそらく、ミサイル等の操舵部品として装着されていたものが、定時交換されてジャンクとなり、放出されたと思われる。ほとんど新品同様なのだが、たまには動かないものもある。 
 ウクライナで多量のミサイルが発射されたので、しばらくは供給がなくなるだろう。 

projection welding さて、いくつかの軸にはピニオンがついている。これを外すのはなかなか大変であった。今までは万力に銜えて糸鋸で軸と平行に切り、それをニ回やると外れた。切る方向は直角にすると切る量が減るが、やはり大変な仕事で面倒である。

 A氏は、
「これはプロジェクション熔接の可能性が高い。」
と言う。もの作りの現場に居た方だから、広汎な知識をお持ちだ。

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2023年01月27日

続 track in track

 HOの線路のフィーダ(饋電線)は、1 mごとに確実に付けるつもりだ。横には巻尺を貼り付ける。サンプリング速度が大きければ、レーザ測距計でも良い。

 ここまで書けば、何をしようとしているかはわかる人は多いだろう。

 測定というものは定常状態で行うものである。さて、何の測定をするのであろうか。
 その測定に必要なものは、
巻尺
時計 (あるいは動画を撮って、毎秒のコマ数 fps を調べる)
の2つである。
 別にOゲージでなくても構わないが、より大きなものの方が、相対的に摩擦は小さく、誤差は小さくなるから、二重に敷いたわけだ。
 何が定常状態になるのだろう。 

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2023年01月25日

続 新年会

DE50 (3)DE50 (1) DE50を見たことがある人は少ないはずだ。筆者は中央線、関西線での試運転を見るチャンスがあった。エンジンの音がDD51とは全く異なったのを覚えている。ほとんど使われないまま、お蔵入りになったのは残念だ。

DE50 (2) この模型では、エンジンルームのドアが全て開く。ドアハンドルは内側に錘が付いていて、閉じた状態で安定化する。いつぞやのHOモデルとはさすがに違う。


DD54 (2)DE50(4)DE50(5) 3軸台車は実物のように3軸は独立していて操舵する。リンクは全て実物どおり作動し、バネの横剛性で復元する。急曲線を通るときの挙動が本物と同じで、見ているだけで楽しい。中に巨大なフライホィールが見える。慣性増大装置付きなのである。 

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2023年01月23日

新年会

NMRC 所属クラブの新年会があり、新入会員のA氏のデモ運転があった。おそらく誰も見たことのない種類の運転を披露して戴いた。


 45mmゲージでスクラッチ・ビルドされた国鉄のディーゼル機関車2輌が、自律して複線をランダムに往復している。たまたま線路が空いた状態であると、ポイントが切り替わり、渡り線を通る。素晴らしい音響効果があると同時に霧化装置からの煙も出る。動きも重々しい。機械にも電気にも強い方なので、今後が楽しみだ。

DD54 (1) DD54である。実物は整備に関する問題が解決せず、短命に終わったが、造形はとても良かったと思う。この模型は素晴らしい牽引力を持ち、本物のように惰行する。メカニズムは極めてよく出来ている。 

 今までにこの会では、素晴らしい仕上がりの作品をいくつか拝見してきたが、外見だけではなく、中身に注力した模型はあまり見ることがなかった。そういう点でも、会員の気持ちがそちらに向くことになれば、このように中身がある模型が発表されるきっかけとなろう。 

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2023年01月21日

track in track

track in track Oゲージの線路の中にHOゲージの線路を置いてみた。意外なことにぴったり嵌まる。浮かないように小釘で打っておくことにする。直線部で分岐に掛からないところだけだから、 長さは 7 mに限られたが、十分に仕事ができるだろう。


 さて何をしているのだろうか。HOゲージの線路は、Oゲージ車輌の走行の邪魔にはならないことが判明したので、しばらくはこのまま仮固定しておくつもりだ。 

 準備はできたが、肝心のHO機関車がない。唯一の機関車は、デモンストレータとして貸し出しているので、しばらく戻って来ないだろう。

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2023年01月07日

続 突切りバイトを作る

 刃先は、200 ℃を超えると焼きが戻り始める。ということは、ハンダが剥がれない温度範囲で使えば、全く問題ないわけだ。このような理屈を理解していれば、安心して使える。

 筆者を攻撃した人たちは、刃先が剥がれるから危ないと言っていたが、剥がれることはないし、たとえ落ちてもそれは下に落ちる。その瞬間はロクロ屋で見たことがある。油が切れたからだ。すなわちその批判は、客観性のない無意味な攻撃である。実際にやったことがない人なのだ。

 キィ材を使うのは昔ロクロ屋で教わった。安くて実用的である。S45Cという鋼材は、剛性が大きいので都合が良い(快削黄銅の2倍のヤング率がある)。太さは 8 mm角程度が良い。すくい角は 0 度から始めて、各種作ってみるべきだ。どの程度が良いかは、すぐ分かる。快削黄銅なら、切り粉が細かく切れて出て来るのが理想的である。これは人によって好みがあり、筆者が見た親方の中には、すくい角を付けた上で、刃先から1 mm以内のところにコブ状の膨らみを残して切り粉の連続性を断ち切る(要するに折るわけだ)人も居た。これは、後には ”chip breaker”と呼ばれるようになった。

 上記のリンクの中にカンナの刃を二重にする話がある。これは日本の二枚刃のカンナも同じである。アニメイションが実にわかりやすくて良い。
 金属であっても似た現象はあるだろう。切り粉は粉々になったほうが、仕上がり面に傷がつかず、綺麗になるように思う。そういう点ではすくい角は少ない方が良いだろう。実際にやってみて好みの角度を探すべきだ。

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2022年12月12日

ある読者の意見

 しばらく前の貨車を塗った記事を読まれてコメントを送ってきた方があった。それを本文で使うことを許可されたので、紹介する。

 素晴らしいです。これらは以前の記事の「真鍮製模型を目方で買う」のジャンクを組んだものですね。既製品より細密で頑丈であるわけで、理想的な模型です。
 車輪の内側が錆びていて、外側が油で濡れているのは感動的です。最近のTMSは「フォトジェニックなものを載せている」と、今野氏の文章にありましたが、こういうところに注意を払ったものをまず見ません。裏側のメッキが光っているものが多いのは残念です。

 今野氏の文章を引用している。鉄道は重いものが動くというところが魅力なのである。グワーンと動き出して、ゆっくり動き、なおかつなかなか止まらない。それを見たいのだ。筆者の仲間内では、物理的な慣性を追求しているが、正しく動けば電気的な模擬法でも構わない。そういうことを真面目に考えないと、「おもちゃだ。」と言われてしまう。現実にある場所で小学5年生の坊やがそれを言ったので驚き、少し話をした。彼らはCGによるリアルな動画を見ているので、そう感じたという。これは無視できない意見だった。
 最近複数の場所で走っている鉄道模型を見るチャンスが有ったが、どれもこれもチョコマカと走っていた。見る気が失せる。

 車輪の裏の件はそのように感じる方が多いなら、素晴らしいことだ。床の裏まで正確に作ったという模型の車輪がぴかぴかでは情けない。少々付け加えると、最近のローラーベアリングを使った台車の車輪は外側が油で汚れていない。日本なら塗料が塗ってある。アメリカの場合は、錆色である。クラックの発見の邪魔になる塗装をしないことになっているのだ。
 
 今野氏が今後何をなさるつもりかは存じていないが、期待したい。 


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2022年11月18日

続 慣性増大装置

 この動きについて、いろいろな人から感想を戴いた。実物の鉄道の慣性の大きさ(すなわち、摩擦の少なさ)には改めて感じ入るものがある、というものが多かった。

HO gauge momentum emphasizer これはHOゲージ用である。T氏が作ったものだ。最初はこの径の材料を挽く旋盤がなかったので、5円玉を重ねて作った。次に筆者に連絡があったので、ちょうど良い材料を挽いて差し上げた。軽く動くが、如何せん、小さいので素晴らしい効果と言えるほどではない。しかし、1 mほどは惰行する。
小形の4-4-0あたりに牽かせると、逆回転ブレーキを実現できるはずだ。
 設計をさらに工夫すると、もっと軽く動くようになると思う。

 今回は大型のマウンテン(4-8-2)しかないので、とてもその慣性を実感するほどのことは出来なかった。そのマウンテンはHO用の高効率ギヤを搭載し、極めて滑らかに走る。低速も高速も自在で、しかも静粛なことこの上ない。

 ある人が見ていて、走行音がしないのには驚いたようだ。高効率ギヤの組見本を触って、その滑らかさ、静粛性に感嘆した。押したときの感触にも驚いたようだ。
まがい物とは全く違いますね。モータが付いていないような感触です。」
と言う。実際には押すと発電してライトが点く。

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2022年11月16日

慣性増大装置

 13日のKKCの総会で、3種の慣性増大装置を披露した。

 OゲージはいつものFEF4ではあるが、例の「逆起電力キャンセラ」を追加搭載している。逆回転ブレーキが、熟練しなくても出来る様になった。等価慣性質量は170 kgで変化はない。

G gauge momentum emphasizer 今回はA氏にお借りしたGゲージの補助テンダを披露した。質量は約 5 kgだが、等価慣性質量は 700 kgである。要するに軽自動車ほどの質量を、摩擦の非常に小さな台車に載せているのと同等である。押しても動かない。しばらく力を入れていると、少しずつ動き、止まらない。長さ5.4 mの線路をゆっくりと端から端まで転がった。ギヤはOゲージ用の高効率3条ウォームである。全く無音で動力採取、放出が出来る。チェインは2本掛けで、計4本ある。2本ではとても持たない。各2本を、位相を半分ずらして取り付けている。本物のような鋼製のチェインであれば、このようなことをすると直ちに壊れるが、この模型のチェインはPOM製で少し伸びるのだ。だからこの形が音の点で最良となる。 

 A氏は自宅庭に敷いた線路で運転しているが、この車輌は実物換算350 mの惰走をしたそうだ。曲線上の記録であるから、直線なら実際はもっと走るはずだ。

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2022年11月12日

銀ハンダ

 銀ハンダのことをここに書いても、実用化する人はほとんどいなかったようだ。最近このブログで拝見し、心強く思った次第である。
 筆者は銀ハンダを多用する。それは温度差を利用して、細かい部品が落ちないようにするためである。もちろん、硬さを利用して、間違った孔の埋戻しに使う。小さなブラス片を押し込み、塩化亜鉛を塗ってガスバーナで炙れば良い。ロストワックスの鬆(す)を埋めるときも使う。
battery lid 銀ハンダというものは、あまりうまく流れてくれない。ガスバーナで焙ってもこの程度である。すなわちこれを使う限り、ハンダで埋まってしまうということはまずないのだ。



 この部品は、ディーゼル電気機関車の脇のデッキ上にあるバッテリィ・ボックスの蓋である。ラッチを立てて引き上げるようになっている。ここが単なる歩み板では面白くない。思い付いて孔をあけ、裏からロストワックスの部品をはめた。この部品は売るほどあるのだ。孔を正確にあけなくても、バーナで炙って裏から銀ハンダを押し付けると、適当に流れて孔の隙間が埋まる。その時、細部が埋まってしまうことはない。このときの裏の盛り上がり具合をご覧になると、流れにくさが実感できるはずだ。63%を用いると、一瞬で裏に廻ってハンダが全体に均一に付いてしまう。上の部品は部品がまっすぐ付いていないことに気が付いてやり直した。

 こうして出来た部品を炭素棒で所定の位置に取り付ける。強く加熱しても、細かい部品が落ちることはないから気楽だ。 


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