工学

2026年04月21日

コメント到来

 昨日非常に面白い動画をコメントで報せて戴いたので改めて紹介する。

 Youtube にウォームギヤを逆駆動させた応用例として手廻し遠心分離機を廻している動画がある。

 最初の話は外国の短編らしい。
 2番目の話は日本の人が紹介しているが、内容は上とほとんど変わらない。これにはコメントがたくさん寄せられているが、大半はウォームは逆駆動できないという固定観念から逃れられていない。自動車のステアリング機構にはかなりの確率で搭載されているが、逆駆動できないと感じるのだろうか。路面の状況によってかなりの力をステアリング・ホィールで感じることが出来る。

 オルゴールのガヴァナを見てもウォームだとは思わないらしい。進み角という言葉で説明している人も居るので捨てたものでもなさそうだ。2条だと動き易く、3条であればさらに動き易いものができるとあるのは正しいコメントだ。
 中には鉄道模型に使ってあるものもあると言及されている。これは嬉しい。

 歯数を互いに素にすると具合が良くなることが多いという話、モリブデングリースを塗るとさらに良くなる話をコメントして戴くと良いだろう。さらにI田氏の模型の動きなどを紹介して戴くと面白いかも知れない。

 進み角を大きくしていくとある角度以上では歯形を修正すべきであることも大事なファクタだ。そういうことは歯車の本を読むとちゃんと書いてある。できればそれを計算して確認しておくことが大切だ。最近はコンピュータがあるので楽なはずだ。40年以上前、筆者はそれを3箇月も掛けて手で計算した。
 そういう手順を経た歯車でないと、音がして効率は低いのだが、それを理解していない人は多い。

<追記> I田氏のブログに実例の動画が紹介されている。

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2026年02月24日

Marklin Metall  

Marklin metall (1)Metall 地下室の整理をしていたら、この家に引っ越して以来全く開けていない箱を見付けた。  
 中身はこれであった。ドイツに赴任していた友人に頼んで持ち帰ってもらったものだ。かれこれ40年近く前のことだ。子供たちが夢中になって遊ぶかと思ったがそれほどでもなく、筆者がいろいろなものを作って楽しんだ。

Marklin metall (3) 1960年ごろだが、このおもちゃの日本製のコピィ商品があった。兄は工夫していろいろなものを作っていた。面白かったのは連発式ゴム鉄砲であった。よく考えてあった。
 そのコピィ商品のオリジナルが欲しかったわけだ。ネジは大量に付属していたが、少々出来の悪い鉄製ネジであった。黄色のめっきが掛けてあったがとても錆びやすかった。仕方が無いのでM4ネジを箱買いして取り換えた。

 その後忘れていたのは、メルクリンのカタログを見ても載っていなかったからだ。調べてみると2000年にはもう廃盤となっている。部品は欧州のオークションサイトでかなり見つかる。その後 LEGO の天下となり、金属製のおもちゃは無くなってしまったようだ。

Marklin metall (2) 久し振りに遊んでみるとなかなか楽しい。床のタイルは 30 cm角である。孫が適齢期になったので与えてみよう。金属製の玩具に親しむ機会がないと、頭の中が正しく整理されないような気がする。 

 現在においてもこの種の金属製玩具があるべきではないだろうか。 

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2025年12月11日

LPG専焼 GTEL

LPG GTEL2 UP57は、LPGを燃料とした試験機だ。テンダは12,500ガロン(約47立方メートル)の鋼製タンク車である。当時はこの種の鉄道車輌用大型LPGタンクの製造経験が少なかったらしく、t 22と異常に厚い鋼板製であり、コルクの保温ジャケットを巻いている。台枠は当然のことながら鋼製である。
 全体はアルミニウム・ペイントが塗ってあり銀色である。Ajinからの出荷時にはこのテンダは艶のあるニッケルめっきが施してあった。インポータの知識不足でステンレス製だと思い込んだのだろう。

 連絡用のホース群(大2本、小3本)には適当な材料を探しているが、なかなか難しい。しかも解結の時は面倒である。太いホースの片方は蒸気ヒータの配管である。ガスの消費量が大きく、多量の気化熱を与えないと走れなかったのだ。タンク底部には蒸気ヒータがあり、蒸気圧を上げて液体を上に押し上げる。さらにタンク上部の四角い部分には蒸気による気化器が設けられ、そこで気化させた燃料のみを送り出していた。

 この実験機はロスアンジェルスとラスベガスの間を走った。LPGの容量が少なく、ワイオミングの本線上を走らせるには航続距離が足らなかった。燃料には不純物がなかったので、タービンの羽根に汚れが付かなくて具合が良かったそうだ。
 というのは重油はバナジウム化合物を含むので、海風が吹くところでは、海塩に由来するバナジン酸ナトリウムのガラス状膜がタービンブレードに着く。だからロスアンジェルスのような海浜都市には重油焚きのタービン機関車を近寄せたくなかったというのも、この実験の目的の一つである。
 しかし騒音の問題が解決できなかったので、結局のところガスタービン機関車は、主として砂漠地帯のユタ、ワイオミング州でしか使われなかった。

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2025年10月20日

金属工作はできても…

 ある方からメイルを受け取った。ウェブ上の記事を切り抜いたもので出所は分からなくしてある。「これ、どう思われます?」とのことだ。
 写真が添付されていた。蒸気機関車のモータをテンダに載せて機関車にドライヴ・シャフトで結んである。ユニヴァーサル・ジョイントの位相は合っていず、直交している。それを指摘するととんでもない返答が来た。下記はその要約である。

1(工作者は)角度は考えていない。
2 ピンの角度には意味があるのだろうか。回転しているから問題ないのでは。
3 調べてみたら、同じ位相にしないと等速にならないとある。模型は90度のものが普通だ。もし等速にしようと思えば、二つの継手が等角でなければならない。模型のレべルで等速など意味がないから作り直さない。

 

 結局、せっかくの忠告は無視され、ゴムチューブを使った怪しいメカニズムが搭載されている。等速の条件は返答の通りだが、不等角でも不等速はかなり軽減される。トラックの推進軸を見れば多少不等角ではあるが大いに貢献していることは分かる。直交していては全くだめである。 
 1/80の模型で実際に調子が悪かったものが、等速に近付けただけで劇的に改善された例は多い。

 吉岡精一氏はこの種の人たちに対し、このような警告を述べた。
「メカニズムを研究、応用しようとしない人たちは、結局中学生レベルで終わりなのです。ガリガリ、ギャーという音を立てても『よく走る』というのですから。大人であれば、優れた模型とは何かと考えるべきです。そうしないと次の世代が育ちません。」

 この作例の方は外見の工作の腕は良い方らしいので、これがいずれ雑誌に載るのではないかと危惧する。間違いの再生産が続くわけだ。雑誌の編集者の程度が知れることになってしまう。

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2025年08月03日

またまた「互いに素」(5)

 ここでの問題点は、「どうして日本の鉄道模型には互いに素の歯車が使われていないか」 である。

 最近は怪しくなってきたが、メルクリンには正しいものが多い。ライオネルも正しい。これについては、機械文明の発達とともにその能力を持つ趣味人が模型を製造したからだ、という説明は説得力を持つ。
 翻って日本ではどうかとなると、これは少々怪しい。戦前の「子供の科学」、「模型鉄道」などをざっと見ただけだが、見つけ出せない。 
 おそらく、外観から鉄道に興味を持つようになった人が多かったのだろう。それは今も同様だ。メカニズムからこの趣味に入る人は珍しいはずだ。
 そして韓国、中国は惨憺たる状態だ。何も考えていない。

 しかし、日本も工業立国としてやってきたのだから、昔のヨーロッパ、アメリカ並みの歯車列(gear train)を使っても何らおかしくない。歯切り装置はそこそこに良いが、肝心の歯数に関しては空白の様だ。
 自動車産業の人達は当たり前のように互いに素の歯車列を生産している。しかしそれが模型に入ってこない。
 彼らは学校では習わなかったにせよ、職場でこれは常識だと言われて納得したはずだ。模型の歯車列を見て何も思わないのだろうか。

 もう少し出力の大きな事例では電車のモータの歯車列がある。最近は歯の研削精度が極端に上がったのと、表面硬度をうんと大きくすることが出来るようになったので、互いに素は過去の物とされていることもある。しかし、ゴミを噛んだりした時のことを考えると互いに素にさえしておけば、致命的な損傷を受けることからは逃れられるだろう。 

 模型の場合は、切削精度は高くなく、ゴミを巻き込む可能性は高い。互いに素を避ける理由など全くない。むしろ、互いに素にしておけば助かることはあるはずだ。模型雑誌にこの件に関することが載った例は筆者の執筆記事以外にあったのだろうか。

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2025年08月01日

またまた「互いに素」(4)

 工学を修めて自動車会社に勤めていた友人が興味深いことを言った。
「学生時代の本を全部調べたが、歯数を互いに素とすべしという話は書いてなかった。」
 これには驚いた。ついでに最近の小学校の算数や理科の教科書も見たようだ。歯車比が割り切れる例しか書いてなかったと言う。用意された例題も全て割り切れるものだけだったそうだ。

 これは由々しき問題ではないか。教育の課題の一つとして「問題を解決する」というのがあるが、人生というものは答が用意された問題が順に並んでやってくるわけではない。「問題を見つけ出す」ということが最も大切な筈だ。
 日本ではくだらない学歴志向があり、問題が解ける人は賢いということになっている。すなわち、問題を解く練習をたくさんした人は賢く見えるらしい。

 アメリカで暮らしている時に、もっと大切なことがあることに気が付いた。問題を見つけ出す能力、それを協働して解決する能力を伸ばすことが主眼になっていたのだ。 

 筆者は教師業をしていた時間が長いが、演習の効果というものをあまり評価しなかった。これは学生側からは評判が良くなかったが、後者の「問題解決に向けた姿勢」というものは大いに評価されているようだ。講義の中での疑問、発想について面白いという感想を多く受取った。多くの卒業生から、その件について今でも頻繁に連絡を貰う。研究や仕事の上で大きなきっかけとなり、素晴らしく役に立ったのだそうだ。その結果、理学や工学で博士号を取った人が100人以上居る。これは嬉しい。 

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2025年07月30日

またまた「互いに素」(3)

 「押して動く機関車」あるいはそれを実現するための歯車装置が売り出されているが、うまく動かないものがあるそうだ。

 押せば動くのだが、特定の場所で引っ掛かるという。それも例の研磨で直る可能性があるが、気が進まない話だろう。筆者が40年前に発表した時に、守らなければならない全ての項目は公表してある。にもかかわらずそれを守らず、わざわざ出来の悪いものを作っている。文字が読めないのか、それとも記事と違うものを作れば盗作と言われないだろうと考えたのだろうか。

 筆者はこれについて特許を取るつもりは全くなかった。公知の事実を組み合わせただけで何も工夫はない。3つの項目さえ守れば、誰でもできることだった。その第一は「歯数が互いに素」であった。
 これすらも実現できないほど模型製作会社は出来の悪い人を集めているのだろうか。韓国製で4/40というのを見て天を仰いだが、後に日本製でも4/40を見付けた。案の定、引っ掛かる。最低だ。

 互いに素であれば、3分も廻せば最高の性能が発揮できる。これは筆者の友人が彼の最初の1つを組んだ時、立ち会って確認した。
 組んだものを廻しながら、 
「ゴロゴロするよ。そんなの関係ないんじゃないの?」と言ったが、しばらく廻しているうちに、「凄い!全く抵抗を感じない。」と叫んだのだ。
 彼はそれ以降、ことある度に「互いに素でなくっちゃ、だめなんだよ。」と言って歩いてくれた。 

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2025年07月28日

またまた「互いに素」(2)

gears-inside-a-windmill-in-the-small-town-of-zaanse オランダの風車の話を聞いた。以前にも扱ったが、そこで使われている木製歯車互いに素になっている。 これは経験から来たものだろう。割り切れると特定の歯にいつも負荷が掛かり、折れたりしたと推測する。そこで頭の良い人が、歯数を一つ増やしてみたところうまく行ったのだ。(その増やした歯のことをある言葉で表す筈なのだが、思い出せない。)

 ところで、日本の模型の歯車はそのほとんどが割り切れる。おかしいとは思うが、実際にあまり不都合を感じていないそうだ。しかし、この間見せてもらったものは走らせると、かすかにゴン、ゴン、ゴンという周期的な音が発生している。分解して見せてもらうとやはり歯数は割り切れる。
 持ち主は悲しそうな顔をしたので、「バラして虫眼鏡で歯先を見てご覧。」と伝えた。
「何かおかしなところがあるに違いないから、その部分を1200番くらいのサンドペーパを折ったもので磨ると直るよ。良く洗って組立てるとうまく行くはずだ。」と補足した。

 しばらくして電話があり、うまく行ったようで嬉しそうだった。歯切りの時のめくれがあったそうだ。ゴミを噛むと同じ事になるから、「ギヤボックスの中をよく洗うように。」と勧めておいた。


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2025年07月26日

またまた「互いに素」(1)

 最近、この互いに素についての話題をよく振られる。当たり前過ぎて話題にもならない筈なのに、色々な人がそれぞれ異なる面白いことを教えてくれるのは興味深い。

 歯車の歯数が互いに割り切れると何が起こるかということは、筆者が小学校の時に気が付いたことだ。というよりも気が付かされたことだ。
 当時の筆者は車のカタログを見るのが好きな少年だった。毎日カタログを隅から隅まで見て、丸暗記するほどだった。その中でギヤ比は割り切れないことに気が付いた。父にその理由を聞くと、「割り切れたら何が起こるか考えてみよ。」としか言わなかった。彼は答を言わない人だったので、かなりの期間それについて考えた。

 割り切れると、同じ歯が何回か廻って同じ歯に当たることに気が付いた。何もなければ良いが、その歯に傷が付いていたら、ゴミを噛んでいたら、ということを考えた。多分自分で気が付いたわけではなく、誰か大人の会話の中にそのヒントがあったに違いない。
 絵を描いて確かめて父に報告すると、「よくできたな。」と褒めては貰えたが、「これは常識なのだぞ。」と付け加えられた。

 それ以降、この内容について非常に敏感になり、間違った設計が世の中に沢山あることに気が付いた。しかしそれらは手廻しの器械などで、さしたる不都合は起こらなかった。

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2025年07月04日

Revell の gas truck

Revell gas truck 1955gas truck (1) このセミトレーラ・トラックは1/48 サイズである。神戸の集会に持って行った。興味深く見てくれた人が居たのは嬉しい。この縮尺の自動車模型は種類が少ないので、アメリカのたいていのOゲージャは持っているのだ。
 しばらく前にテキサスのデニスがお土産にくれたものだ。消火器は銀色であり、箱絵はあまり正しくない。

 これは1955年にRevell 社が売り出した製品だ。当時日本ではまだプラスティック・キットが無かったころである。これは古いものではあるが面白い設計がされていて驚いた。

gas truck (2) キャブが前に傾くようにできている。その軸はこの曲がった部品である。曲げてあるから、横にぐいと押すと、多少しなって穴にはまる。実にうまい工夫で、こんな弱いポリスチレンであっても割れたりはしない。

tortion bars 裏を見るとトレーラのサスペンションが重ね板バネでないことに気が付く。なんとトーション・バーである。このリンクの9番目に絵がある。こんな重いものでも支えられたのであろうか。Fruehauf(日本ではフルハーフと言うが、米語での発音はフルゥホウフに近い。)の設計である。ショックアブソーバがあるが、どうなっているのか、もう少し詳しく知りたいものだ。


 筆者はトーション・バーには良い思い出が無い。1960年頃父が買ったトヨペット・コロナ(2代目)の前輪のサスペンションがこれであった。父は「スペースの要らない方法で賢い」と褒めていたが、一月も経たないうちに右が折れて、みじめな姿で帰って来た。
 トヨタ自動車の友人に電話を掛け、怒っていた。ショット・ピーニングの不良だそうで、他にも複数の事故があったそうだ。トヨタはそれに懲りたのか、その後トーション・バ―を採用した車は出していないようだ。 

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2025年04月27日

HOサイズの慣性増大装置

 Oゲージや1番ゲージでは、確実に作動するモデルができたが、HOの作例は動作が今一つであった。
 A氏が、意表を突く設計の模型を作り、YoutubeにUPされたのでお知らせしたい。

 HOでは小さいので、片持ちのフライホィールを採用している。径を大きくすれば、さらに慣性モーメントを稼げるし、中を削れば質量も増えないだろう。

 この動画である。ご覧戴きたい。

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2025年04月15日

続 トルクチューブ式ギヤボックス

 先日、工学系の友人たちと話すチャンスがあった。現物を見せると、不思議そうな顔をする人もいる。
「この軸にいくつのボールベアリングが入っているの?」

3-bearing  正直なところ、そこを突かれるとまずいと思っていたので、ドキリとした。
「3つなんだ。良くないよね。」
「そうだね、2つにすべきだよ。作った時は心が通っていても、何が起こるかわからないからね。」

 その通りなのである。祖父江氏は、この構造をブラスの機械加工のブロックと丸棒を組合わせて作ったので、極めて剛性が高い物が出来た。完全に心が出た状態を保てるだろう。ところがこれはナイロンの 3D プリント製で、力が掛かれば多少は撓む可能性がある。
 飛び出している部分の先端の軸受は無くても問題はなさそうだ。駆動軸に六角ジョイントを付けるから、そこが多少ズレても駆動力伝達には何ら影響はないだろう。

 とりあえず2種の試作をしてみて実際の運用に投入し、様子を見て方針を決めたい。


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2025年04月13日

トルクチューブ式ギヤボックス

torque tube Oゲージ蒸気機関車用のギヤボックスが必要になって来た。手持ちの金属製のギヤボックスを使い尽くしたのだ。新開発の物はGゲージにも使えるタイプである。
 この絵を見ればお分かりのように、トルクチューブが飛び出している。このチューブは外径 6 mm、内径 5 mmのブラスパイプで、たまたまあったものを利用したが、その精度には驚いた。内外ともぴったりの寸法である。

 今でもトルクチューブの意味をよく聞かれる。一言で言うと、設計、施工が極端に楽になるということである。
 もし、モータとギヤボックスを一体にして吊り掛けにしようと思うと、ギヤボックスからモータへの取り付けネジの位置を考えてその組立、分解の方法を考えねばならない。さらに、それを台枠に可動で取付ける手法も簡単ではない。軸重も均一になりにくい。大きな重いモータを使わざるを得ない時は、かなり困る。もっとも、このリンクの方法はあまりにも古い。現在はもう少し賢い設計だろうが、それでもモータをどのように取り付けるか、は少々考える必要がある。
 トルクアームは多少楽ではあるが、機関車ごとに支持点を設計し直さねばならない。

torque tube トルクチューブなら、どんな機関車も全く同じ手法で作れる。35年ほど前、この方法で作った機関車を祖父江氏に見せたところ、
「こいつぁ面白ぇ方法じゃねぇか。楽だよねぇ。みんな同じ設計でいけるぜ。」と賛同を得た。それ以降祖父江氏の工房で完成される機関車にはすべてこの方法が採用された。いわゆる Sofue Drive はこれを指すのだ。この写真の後部エンジンの駆動がそれである。前部エンジンのギヤボックスは、裏側からトルクアームで支えてある。これは関節式機関車であるから避けられない構造であった。


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2025年03月28日

続 今野氏の意見

 細かく作った模型を褒めるという尺度はあるだろう。それはそれで仕方ないが、意味があるかというと少々怪しい。
 
 その昔、もう35年ほど前だが、吉岡精一氏はこう述べた。
本物の図面通りに作りました、って得意そうに言う人は多いが、それが出来るかどうかということは置いといても、そんなに難しいことではない。頭を使わなくても良いのだからね。
 模型は小さいから、縮尺通りに作っても挙動が異なるんだ。そこを考えられるかどうかというのはその模型人の力量そのものなんだよ。
 ヤング率は一定だから小さなバネは相対的に硬くなり、ものは壊れなくなる。しかし模型をひっくり返したりして保持する仕方が本物とは異なるから、逆に壊れやすくなることもある。機関車のキャブなんて本物の通りに作ったら 0.05 mm厚以下になるだろう。でも手で持つのだからある程度の剛性は必要だよね。」

 要するに、軽々しく「本物通りに作ったと言うなよ。」ということなのである。
 
 しかし今回の記事を見ると、「本物通り」という言葉が聞こえてくるような気がする。そんな筈はないのだけども・・・。

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2025年03月20日

HOギヤボックスの問題点

gb_gata ゆうえん氏から戴いたコメントによると、かなりの種類の市販のHOギヤボックスは設計が正しくなく、ガタがあって音がするということだ。
 要するに、設計の段階でガタを無くするということを全く考えていなかったということである(図はゆうえん氏による)。

 ウォームギヤの特質として、バックラッシをゼロにすることが出来るということがある。ゼロにすると、ギヤの精度のばらつきによって引っ掛かって廻らないことがありうるので、ほんの少し隙間が必要かもしれない。潤滑油が通るだけの隙間という表現が当たっていると思う。

 この図では黒い部分が隙間で、動軸は上下するから、ウォームホィールの歯のどこにウォームの歯が当たるかは全く見当もつかない。その結果ガリガリゴリゴリという音が出るのだ。

 図の赤線部分を削り取って動軸を寄せるとかなり良くなるそうである。しかし、それが設計時の位置なのかは不明だろう。また、反トルクをどこで承けるかを考慮してない場合も多いように見受けられる。トルクアームなどの簡単な装置を付けるネジ孔すらないというのは設計の不備であろう。

 高効率ギヤは静かであるという定評を戴いているが、それはこの嚙み合わせ距離が正確に再現されているということなのである。まともなボールベアリング支給された軸、正しい工具(リーマ)、ロックタイトを使えばだれでも所定の性能が出る。ここまで書いても、言うことを聞きたくない人がいるそうだ。本当に不思議だ。

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2025年03月06日

Mr.James Tangney

 この人の名前は1970年代の NMRA の Bulletin(会報)に出て来る。NMRAの選んだ Master Model Railroader(達人)に選ばれている。筆者は会ったことはないが、友人から評判を聞いたことがある。すごい腕の持ち主であったようだ。

Nov 1990 Bulletin  date もともとは飛行機の模型の世界の人だったそうだが、鉄道模型に急にはまってしまったという。深い工学の知識と凄まじい実践力の持ち主で、誰もできなかったことを成し遂げるのが趣味だったそうだ。1980年代に、HO貨車のブレーキハンドルを巻き上げると実物通りにリンクが作動しブレーキが掛かる模型を発表したのは記憶にある。
 歯車、モータは自分で作り、自家鋳造で細かいものを作るのが趣味だったという。

CB&Q Pacific この写真はNMRAの会報1990年11月号から複写したものだ。 CB&Q の機関車であるが、裏から見ても歯車が見えない。シリンダの側面は外されて中のピストンが見える。すなわち、主台枠内部からピストン棒を駆動しているのだ。残念ながら、その解説記事がいまだに見つからない。

 例の機構で、日本型でなく米国型の機関車のシリンダの内部から駆動したものと同様のものである。こちらの方が時期的に早い。山崎喜陽氏が、それよりも早い時期にD51の記事が出ているので、「D51の記事を送ってみる」と勢い込んで書いていたが、その後それに関する記事はないようだ。ということは不発に終わったと思われる。もしTMSの記事の方が早かったのであれば、意気揚々と何か書いたに違いない。ということはどんなやり取りがあったのだろう。

 筆者の疑問点はもう一つある。これが Tangney 氏自身の発想なのか、ある日本人の発想が彼の友人の NMRA の有力会員を経て伝えられ、本来の開発者の偉業を称える形で発表されたのか、である。
 筆者はその開発者から日本での理不尽な発表のされ方を聞いていたので、Tangney 氏に直接会って経緯を聞きたかったが、残念ながらそれは叶わなかった。 
 その頃のBulletinを順に見ているのだが、なかなかそれに関する記述が見つからない。この件に関して何か情報があればありがたい。

 筆者もギヤが見えない機関車を作ったことがある。

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2025年02月16日

設計力

 先日の記事の評判が良かったのには驚いた。様々な方から「最近の記事で最高に面白い。」という言葉を戴いている。
 ほとんどの模型人は外見の良し悪ししか興味がないのだ。そこにこの素晴らしい動きの可能な模型が登場したので、このような会話があったのだ。全くの無音で作動する。歯車の性能がものを言う。組立マニュアル通りであれば完璧に動作する。


 Z 氏のようなことを言う人は意外にも多い。理屈なんてどうでもよいと思っているようだ。物体が止まっているのも、動いているのも理由がある。止まっているものを動かすのは力が要る。この加速度という概念が分からないと理解ができない。生活の中で車が動いたり止まったりするのは見ているはずなのだが、模型を正しく動かすにはどうしたらよいかとは考えたくないらしい。買ってきた歯車とモータをゴムチューブで繋げば出来上がり、ということにはならない。それを実現する力の伝達方法もそう簡単ではない
 大きなものは壊れやすく、小さなものは壊れにくいということも分からない人が多い。このあたりのことはこの記事にまとめてあるが、読んでいる人は少ない。読んでも理解しようとしない人も多い。


 コンピュータが発達して来て、数式を入れるとグラフが出るようになった。なぜそういう式になるのかを考えられなくても、やった気になるらしい。20年ほど前、キィボードの一つを押しただけなのに「僕が計算しました。」と言う人が現れた時は愕然としたものだ。
 歯車を発注すると「私の設計です。」と言った人が居るのにも驚いた。測定器のスウィッチを入れて出力のグラフを得ると「測定しました。」と言う人が居るが、それにはもう驚かなくなった。
 ものを言う前に考えるということを人生の中で学ばなかったのだろうか。

 ものづくりは難しいものだ。日本が国際社会でそれなりの地位を占めるようになれたのは、このものづくりの哲学が正しかったからだ。某隣国製品がどれをとっても駄目なのはその辺に大きな違いがあるからである。しかし、模型の分野ではそれと大差ないことを臆面もなくやる人が居る。しかも「私は正しい」と思っているというから驚く。


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2025年02月08日

素晴らしい動きの模型を作る能力

 所属クラブの新年会があった。会員は自慢の模型を持って集合する。ひな壇に並べられ、皆が鑑賞して意見を言い合う。
 それとは別に、線路が敷かれ、動きの素晴らしい模型群がその動きを披露する。以下はA氏の模型の動きを見て交わされた会話である。

X すごいですね。こんな動きをするとは思わなかった。起動して動輪がシュルってスリップしますね。
Y こんな模型は普通の人にはできないよ。本当にすごい。
Z 工作機械を持っているからできるんだよ。
W それは聞き捨てならない表現だな。
Y そうだよ。機械を持っているだけではできないさ。設計する能力が無きゃね。
Z 工作機械を持っていなきゃできないよ。
Y 違うんだよ。工作を出来るか出来ないかの前に、そういうものを設計できるかどうかが大きな問題だよ。
Z でも理屈は単純だから機械があれば出来るんじゃないの。

 要するにZ氏は機械を持っている人は誰でも出来ることだと言っている。

Y Zさんは勘違いしているよ。この素晴らしい工夫を凝らした機関車をどのように作るか、その事前の性能策定が必要なのだ。これは作者の能力そのものなんだ。誰でも出来ると思ったら大間違いだよ。
W ほらこの継手の位置を見てごらん。台車の回転中心の上にある。dda40xさんのブログに書いてあった角速度を一定にする工夫だ。分かっている人が作っているという証拠だ。世の中には間違った作例は無数にあるが、これは完璧だ。
X そういう基本的なことを押さえた上で、設計されているのだね。重いものを力を入れて廻すのだから、角速度が一定というのは大事だ。

 Z氏は間違いを認めざるを得なかった。この後、Y,W氏に詳しく話を聞いて、この模型の凄さを再認識した筈だ。

 クラブはこのような教育の場でもある。 


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2024年12月26日

TMS 301号

TMS 301号 ゆうえん氏のコメントにあった50年以上前のTMS誌を開いてみた。1973年7月号である。そこには「国鉄蒸機のテクニック」と称する、なかおゆたか氏の記事があった。

 読んだ覚えはあるが、ほとんど記憶には残っていない。あらためて読んでみると、確かにゴム・ジョイントの話が出ている。図を見れば読まなくても分かる程度の話だ。他の部分も特に学びがあるという記事でもない。

TMS 301号 一つだけ気になるのは、スプリングジョイントの方が耐久性があると書いていることだ。それだけではなく、伝達効率も良い筈である。金属バネでは内部損失が少ないからだ。しかし、この図にもトルクアームが無い。作用反作用の理解がないわけだ。だからスプリングジョイントを採用すると、トルクアームが無ければギヤボックスが暴れてとんでもないことになる。
 また、ギヤボックスが左右に傾くのを防ぐために詰め物をするなどと書いている。また、左右に振れると音が出るという解釈も書いてある。

 何のためのギヤボックスなのか、よく考えて欲しいものだ。ギヤボックスは、歯車にトルクが掛かった時に軸距離が離れようとする(反発力)のを押さえ込む装置である。すなわち軸にはガタがあってはならないのだ。ギヤボックスが傾くということは、ガタがあって当然だということを言っているわけだ。

 なかお氏は工学から遠いところの方だったから、ある程度は仕方ないが、こういう文章を書くからには専門家の意見を聞いてみるべきであったように思うのは、無理な話であろうか。 

 それから50年以上も経つが、同じ記事を再録するというのも、これまた不思議な話だ。工学的知識のある人に読んでもらった上で、今ではこういう工夫もありますという記事が欲しかった。 

  50年以上前のTMSは、工学的知識のない人が「こうすると良いという記事」を書いていた場合が多い。井上豊氏がそれを見かねて連載記事を書いたが、焼け石に水であった。合葉氏が「正しい鉄道模型」という言葉を出されたが、それを言わねばならないほどひどい状態だったのだ。今でもあまり違わないのかもしれない。

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2024年12月16日

モリブデン・グリース

 モリブデン・グリースの話題を出したところ、友人から問い合わせがあった。「このURLに書いてあることは正しいのか?」と。

 これはひどい。彼はGoogleで調べると最初に出て来るという。とんでもない記事だ。
 こういうことを書く人は、まったく勉強したことが無い人なのだろう。正しい部分が無い。この3行はここまで外して書くのも大変だと思うくらいひどい。

「二硫化モリブデンの粒子は硬いので真鍮などの軸受を擦り減らしてしまう。」とあったのには吹き出してしまう。とんでもない勘違いだ。
 二硫化モリブデンの結晶構造は板が重なった状態で、その板の隙間が滑りやすい。非常に大きな圧力を掛けて滑らせても、その板は壊れることがない。たとえ壊れても次の板が巻き込まれて潤滑する。これを極圧潤滑材という。油膜が切れてしまうほどの圧力が掛かるところでも、問題なく潤滑できる。
 これは結晶だから効き目があるわけで、液体では意味がない。

 エンジンオイルに混ぜても粒子が大きいので、すべてフィルタに引っ掛かるから無駄である。よくこの種の粒子の入った油が時々売り出されるが、皆同じ結果になるから、無駄な抵抗である。

 模型では極圧剤が効果を発するのはクランクピン、ウォーム歯車である。グリースが固いようなら、ミシン油等を少し垂らして解き、柔らかくして塗ると良い。

 高効率ギヤには軟らかめのを薄く塗る。全部の歯に塗る必要はない。ごく適当にウォームホィールの数箇所に塗って数分走らせると、全部の歯に均等に塗ることが出来る。互いに素のおかげである。


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2024年12月12日

等角逆捻り機構の評価

 中学・高校時代の友人が訪ねて来た。久しぶりだ。彼は御子息に見せたいと連れて来たのだ。息子さんは子供の頃から「草・花・虫派」でプラモデルや電気工作にはあまり興味を示さなかったそうだが、博物館のレイアウトでの摩擦が少なく慣性のある走行には目を見張った。
 友人からは、「理科や数学の勉強を実地に生かす実例を教えてもらった。」と感謝された。帰宅してからも、息子さんから何回も「凄かった。」と話が出たそうだ。


等角逆捻り「ほらこんな工夫があるんだ。」と何台かの貨車を見せた。その時に前回の塗装事故が判明したのだ(写真は塗替済だが、艶消しをしていない)。 

 友人は目を輝かして見て、評価した。
「これは面白い。三点支持の欠点を一掃している。格段の進歩だ。」と言った。60年前、彼は筆者の作った三点支持の模型に対し「こんなの面白くない。静止していればよいけど、走る方向によって挙動が違うなんて…」と言っていたことを思い出す。

「これは中点連結定理で証明した人が居て、急速に進化したんだ。初めは理屈が分からなかったから、怪しい解釈をしていたけど、その後は完全に解明されて、その応用発展例がいくつかある。ほらね…」と筆者の作った物をいくつか見せた。

 彼の驚異的な頭脳は、中点連結定理という単語を言いかけただけで直ちに反応し、一瞬にしてすべてを理解したのには驚いた。彼は数学者になるつもりだったが、家業を継ぐ運命を背負っていた。結局は廃業し、生理学の研究者になった。彼の生家は大正年間に建てられた重厚な病院建築で、映画のロケ地に選ばれたこともある。きわめて多忙な研究生活で、模型をやる暇がなかったが、ほとんどすべてのことを理解しているのは恐れ入る。30年以上前だが、アメリカで筆者の居住地から比較的近いサン・ディエゴに住んでいたので、家族で訪ねて行ったのが最後だ。その後彼は帰国したが、たまに電話で話をする程度だった。
TMSの968号を立ち読みしてくれ。」と連絡すると、あちこちに連絡してくれて、来訪者が急増した。


 複数の基本的な動作模型を見せ、その応用系の模型も手で触れてもらった。「これは凄い。」と息子さんといじくり回した。 
 等角逆捻りという言葉を持ち出すと「なるほどね」と納得し、制御された2点支持という概念に、たちまち到達したのはさすがだ。

 ロンビックが世に出た頃に彼に見せていれば、彼が一瞬で解決してくれたのかもしれないと思うと、感慨深いものがある。 

 その後で、歯車の「互いに素」の話を出すと、二人とも敏感に反応した。英語では "mutually indivisible" と言うのだよと言うと、息子さんは英語には不自由しないので、「ズバリの表現です。」と言う。
 あとでその記事が載っているModel Railroaderを見せると、読んで「その言葉が使ってありますね。」と言った。
 この息子さんが汽車の模型の方に進んでくれたら、さまざまな問題を提起し、解決に向けて努力してくれそうな気がしたが、彼も忙しい人生を送るのだろう。 
 彼らと話すと、天才という言葉が頭にちらつく。人類に貢献してくれるはずだ。

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2024年03月26日

installing triple-thread worm gears

 貫名氏らの改造の経験者に話を伺うと、市場にはおかしな模型がかなりあるとのことだ。

 まず韓国製の機関車は鬼門だそうだ。車軸断面が真円でないことがあるという。精密に仕上げてあるボールベアリングが入らないということがあるらしい。丸くない車軸の存在というのは考えにくいことである。動輪ごと取り替えてしまうのが良いそうだ。 
 
 日本製の機関車について言えば、天賞堂のは良いという。カツミも問題はない。
 S店のはきわどいらしい。軸が太いのがあるそうだ。一般論で言えば、軸はマイナス方向の公差で作られているはずだ。太くては軸受けに通らない。また、動輪との篏合部にテーパが付いているものがあり、嵌めるときに苦労する。機械工学の基本から外れているようだ。

 1970年代の輸出用の機関車を作っていたメーカのものは、なかなか大したものだったらしい。部品の精度が良いそうだ。
 
 改装した機関車はどれもよく走る。何が違うのかと聞かれるが、答は単純だ。
「すべてが違うのです。」 

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2024年03月22日

続 visitors to the museum

 見学者は路盤が完全な平面であることに驚く。
 多くの事例では路盤が波を打っている。それは筆者自身があちこちで実例を見ている。支柱のスパン(径間)が短くても、それをつなぐ梁自体が撓むのだ。アメリカではLガーダという名前のアングル状の木製部材を作って支えている。それの一辺は3インチ半(89 mm)で、高さがある。それを使って荷重を支えるのだが、剛性はそれでも十分ではない。年月の経過とともにこの梁のクリープが起こり、路盤は波打つ。もちろんスパンを小さくするとクリープは小さくなるが、クリープがなくなるわけではない。日本では角材を使っている場合が多いようだ。梁の高さが不足している場合が多いという。

 当鉄道では薄鋼板製の角パイプを梁に使っている。価格は木材の数分の一であり、クリ−プは無視できるほど小さい。これを使うことを発表して十年近く経つが、採用したという話は聞かないのが不思議だ。

 甲板の下を覗き込んで写真を撮る人は多い。支柱と熔接することもできるし、ネジ留めも難しくない。作るのは簡単で、安価で、性能が良いのだから使ってほしい。甲板を張るのもタッピング・ネジを使う必要はなく、普通のコース・スレッドが簡単にねじ込める。 

 来訪者は線路に目を近付け、平面度を確かめる。「完璧ですね。すごいですね。」とは言ってくれるが、採用する人が居ないのは寂しい。また曲線で1.56‰の勾配が均一であることも「素晴らしい」とは言ってくれるが、やり方のノウハウについての話題は出たことが無い。 
 道床のエラストマは、指で押して「意外と硬い。」という意見が多い。エラストマはその質量が効いていることに気付いて欲しい。走行音が静かなのは車輪の精度が特別に高いということもあるが、この道床の上にフレクシブル線路をルースに置いてあることの寄与が大きい。1.5 mほど、ゴムの細片を撒いて接着剤で固めた部分があるが、その部分の音は大きいのだ。

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2024年02月19日

hi-efficiency triple-thread worm gear

 神戸では、高効率ギヤについていくつかの事例をもとに会話があった。 どなたも同じことを言う。
モータの出力が直接動輪に掛かりますね。」

 高効率であることを、最も端的に表す表現である。六角ジョイントの使用体験も聞いた。貫名氏は短いものが使いやすいとおっしゃる。長いものと短いものの両方を使用した上での感想であるから、価値のある情報である。短いものをガタを少なくして使うと、隙間にバネを入れる必要がないそうだ。

 高効率ギヤモータ軸とギヤ軸が同一直線上になるようにトルクアームを調整するのがコツだ(先回の写真を再掲)。モータは固定され、動軸とは無関係である。

 モータは、筆者はコアレスモータを推奨しているが、貫名氏はある理由があって有鉄心モータを使っていると言う。
 押すと動いてその電力で他の機関車が走るというのはコアレスモータでないとうまく行かないのは当然である。ところが貫名氏のレイアウトは山岳レイアウトであり、斜面で滑り落ちるのはまずいという特殊事情があるのだそうだ。コアレスモータを使うとヘッドライトを点けて、するすると一番下まで行ってしまうらしい。  


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2024年01月26日

slow speed contest?

 友人から、超低速コンテストについての話題を振られた。筆者としては物理的な考察しか言うことはなく、主催者側の目的とか、応募する人が何を考えているかなどは、見当もつかない。 

 滑らかに動く必要がある。聞くところによると "3秒以上止まってしまうと失格" などという規則があるそうだ。笑止千万である。一瞬でも止まれば何の意味もない。こういう規則を作る人が居るということは、主催者は何も考えていないということだろう。

 スケールで時速50キロが出なければならないそうだが、これは当然だろう。以前T氏がギヤを切り替えて対応し(これは賢い方法だ)入賞した。それを排除するために手を触れずに低速と高速の試験をするようになったらしいが、ギヤの切替えなどラジコンでやろうと思えば容易なはずだ。しかし、切替えなどしなくても可能なメカニズムがあるのだから、すでに勝負はついている。今年もやるとすれば、本記事を参考にされると良いだろう。

 最大の不可思議な点は、無負荷での試験であるということだ。長い編成を押したり引いたりして入れ替えをしているのを見た世代なら、低速運転の意味は分かる。現代ではそういう鉄道風景を見ていないので、ただ言葉の上での「低速」を思い付いただけなのであろうと推察する。テンダ機関車であるなら、テンダで軽くブレーキを掛けると滑らかに動くであろう。ただし、機関車の動力伝達機構がまともな設計である場合に限る。

 先日のコメントで筆者の機関車のスムーズな起動を見た人が述べているが、全く引っ掛かること無く極めて遅くできる。それには秘密など無い。次の項目が満たされていれば良いだけである。

・動輪が真円に旋削してある 
・動輪の心が出ている
・軸断面が真円である
・クランク半径が等しい
中国製のボールベアリングを使わない
・高効率ギヤを使う (高回転部にスパーギヤがあると駄目)
・モリブデン・グリースを塗布する
・なるべく大径のコアレスモータを使う
シリコーンゴムの継手を使わない
トルクアームまたは吊り掛け式等の反トルク承けのあるギヤボックスを使う
・集電ブラシを吟味する

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2024年01月16日

inertia emphasizer

 最近ある会合で、筆者の慣性増大装置を搭載した機関車の実演を行った。発車時に動輪が空転するのを見て、友人がこう言った。
「スリップしますね。dda40xさんの機関車らしくないじゃないですか。」
 これには驚いた。その方は筆者と同世代の人だったので、当然実物の機関車がスリップする状況を見ていたはずだと思ったが、東京の育ちで蒸気機関車が走るのを、ほとんど見たことがないとのことだった。彼は電気機関車ファンである。
 筆者は田舎育ちで、機関車はスリップするのが当然だと思っていたから、これにはいささかショックを受けた。朝の快速列車が遅れると、回復運転のための猛ダッシュでは、かなりの空転が見られた。機関士は加減弁を上手に操り、派手な空転はさせなかったが、音を聞いていると空転しているのが分かった。毎朝駅に行って、その快速列車の発車を見てから幼稚園に行っていたのだ。


HO ジャンク箱にHOの慣性増大装置らしきものがあった。これは Walthers のカタログに載っていたことを覚えている。多分Roundhouseの製品だ。左にモータがあり、右はハズミ車のつもりらしい。これでは駄目だ。径が小さいし、回転数も足らない。増速が望ましい。角速度が増せば、その2乗で効く。
 工夫をすれば、径はこの2倍程度にはなる。これも径の2乗で効くから4倍ほどになるだろうし、軸受も細いものを使えばその効果を損なうこともない。とにかくこのままでは駄目である。かえって無い方が摩擦の点で有利かもしれないとさえ思った。軸はダイキャストの鋳肌そのままである。研磨した鋼製にするべきだ。
 下手な工夫で損失を生んでいる典型的な例であろう。 

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2023年12月03日

続 不可思議なブレイス 

H21 endsillH21-drawing Pennsylvania鉄道の生き字引のbrass-solder氏から連絡があり、非常に鮮明な写真を送って戴いた。この機種には、普通とは異なる筋交いが入れてあることが分かった。端梁は異常に太く、それでポーリングを承けるようだが、その頻度は極端に少ないと思われる。

 さらに連絡があり、この種の珍しいブレイスはH21とGLAという機種だけにあることがわかった。その他は常識的な配置だそうだ。

 H21の端梁は異常に太く、ぶつけてもそう簡単には曲がらないような気はするが、同じ質量でなら、通常型のブレイスのほうが頑丈であると思う。設計者が計算上これで良いと言ったのかもしれないが、後に元に戻ったわけで、なんとも不思議な話だ。筆者は、この種の些細なことも非常に気になるタイプの人間で、随分頭を悩ましたが、これでスッキリして眠れると思う。もっと早くbrass_solder氏に相談すべきであった。

 実は今ペンシルヴェイニア鉄道のカブースが5輌、塗装待ちなのであるが、随分調べても分からなかったことが、今回のついでに聞いたら氷解した。いずれ紹介したい。


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2023年12月01日

不可思議なブレイス

 Atlas 社の製品で、H21という70トン積みホッパ貨車がある。ペンシルヴェイニア鉄道で石炭を運ぶものだ。この貨車のブラス製品は、かれこれ40年のうちに3輌集まり、塗装してディカール貼りを施すばかりだ。このプラスティック模型は上から見るとよくないということを書いたのだが、その端梁のブレイス(筋交い)は不可思議であることは書かなかった。あまりにも衝撃が大きく、うろたえてしまったのだ。
 石炭を表す黒い板は少し沈めたが、縁取りが太いのは隠しようがない。いずれ削り落とす。

PRR H21 端梁にはポーリング・ポケットがあるから、そこを突いたときに端梁が曲がらないように支えているはずだ。ところがこの模型はそうではない。連結器座を支えている。これは単純な間違いなのか、それとも本物がこのような構造であるのかは、この10年で随分調べたが分からない。

PRR HT 一般的にはこの図面のようになっている。これはCar Cyclopedia 1936年版である。これはHTで、H21の進化版の90トン積みである。H21は1920年代の設計のはずだ。端梁は外に向かって斜めに支えられている。極めて順当な設計である。

unusual braces ところがカーサイクロを片っ端から見ていくと、たまにはこういうのもある。筋交いが逆方向である。どすんと突かれたときに壊れないものか、筆者にはよくわからない。側面の梁は厚いとは言えない。このような図面はこの例しか見つからない。 

 上のH21の写真を見ると端梁は異常に厚く、そう簡単には曲がらないだろうが、裏から支えてあれば設計は楽であるはずだ。
 気分が良くないのでしばらく見ないことにしていたが、ディカールを貼るための資料として出して来て、見てしまった。しばらく寝付きが悪くなるだろう。


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2023年11月23日

ある言葉

 先日の会合で、ある方が興味深い言葉を発せられた。
「dda40xさんが等角逆捻り機構のところで、『あなたの模型はその程度のものですか?』と言われないようにしたいと書かれているので、その気持を大切にしたい。」とおっしゃったのだ。
 筆者は、鉄道模型のメカニズムについて改善を模索してきた。最近になって、一応人に見せても恥ずかしくないレヴェルになってきた。技術者であった父に見せたとしても、「よし、これなら良い。」という言葉を貰えるようになったと自負する。

 模型の展示運転を見ていると、まともに走らないものがある。1 mしか走らないもの、傾いているもの、ギャーという音を立てて走るものに出くわす。どれも素晴らしくきれいに仕上がっているのに、もったいなことだ。しかし、車輪の裏塗ってある人極めて少ない

 筆者の模型は、とにかくよく走るようにしている。5 km程度は無給油で走り、脱線しない。間違って軽衝突があってもそう簡単には壊れない。事実上無音で走る。これらの条件を満たさないものは人には見せないことにしている。
 模型には本物とは根本的に異なる部分がある。それを克服して、本物のような動きをさせるということが如何に難しいか、を感じることが大切である。

 冒頭の方とはじっくりお話をさせて戴いた。素晴らしい模型を作られるであろうと確信が持てた。 

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2023年07月26日

床板を厚くする

 床板を 1.5 mm厚にすると書いたところ、
「何を言っているのだ。そんな厚くする必要など無い。どうかしている。」と言う人もいるが、
「そうですね、1.5 mmがちょうど良いです。1 mmでは薄過ぎますね。」と言う人もいる。

  前者はHOの人で、後者はOの人である。やったことがないことを、自分の少ない経験だけから間違った推測をし、相手を非難している。
 この種のことはは今までに数多く経験してきた。結果は当然後者が正しい。経験した人でなければわからない。大きなものは壊れ易いのである。突き出している部分の曲げモーメントは単純計算では長さの3乗に比例するので、大きさが半分になると、小さいものは壊れにくいのである。

 客車の側板、屋根が 0.7 mm、妻板が 2 mmの板で出来ている客車は1.5 kgほどある。それが10輌つながって、秒速25 cmで動いているのであるから、衝突などで急停止すると、連結部はめり込む。

 当鉄道では、連結器を留めているブラスのM2のネジ2本が剪断されるようにしたものも多い。そこでエネルギィを吸収するわけだ。
 下から差すネジは全て鋼製にしていたが、最近はロックタイトを使って抜けないようにして、ブラス製ネジを使っているのは、こういう理由である。 

 こういうことは模型を走らせている人でないと実感できない。衝突で壊したことがない人は、ファンタジィの世界に浸っているわけである。物理法則は、あまねく世の中を包んでいる。大きさが違うとどうなるかを考えないと、おもちゃの世界から脱却できない。 

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2023年07月22日

床板を作り直す

床板が短い ジャンクの客車は、その前後に手に入れたものを合わせると10輌ほどある。どれも連結器が車体に付いていて、軽衝突でさえもめり込む構造だ。全て車端部の連結器座を外して作り直しているが、かなり面倒な作業であった。

Matsumoto Mokei's2 参考にと、HOの写真を読者の方が送って下さった。これはマツモト模型の製品だそうだ。筆者の客車と良く似た構造だが、車端部の床板(色がない部分)は、筆者の物にはない。


 たまたま1.5 mm厚のブラス板を大量に手に入れたので、それをシャーリング屋に持ち込んで切ってもらっている。薄い床板を廃し、厚く作り直すのだ。連結器座まで一体にする。 
 厚さが5割増すだけで、剛性は格段に大きくなる。今までは 1 mmの床板から、3 mmの平角棒を延長して付けていたが、1.5 mmの板が全面に張られることになる。単純計算では、1.5倍の3乗で効くので、3倍以上堅くなる。

 床板取り付け位置を微妙に深くする必要があるが、そのような補正は簡単だ。その部分だけ、フライスで彫り込むという手もある。 

 t1.5ブラス板は余分があるので、地金価格でお分けしている。残念ながら快削材ではない。コメントの本文に連絡先を必ず書いて連絡されたい。

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2023年06月28日

ギヤの音

 静かで滑らかな走行を目指したい。これは筆者が高校生以来、目標にしていることだ。
 様々な模型を見る。ほとんどが妙な音を発している。モータ音、ギヤ音、車輪とレイルとの間の音。 
 どれも解決できないものではない。しかし、誰もそれらについて議論を始めようとしない。外観には異常に拘るのに、音の件については見て見ぬふりをしているように見える。

 ギヤの音は最も解決しやすい。駄目なものを捨てて、正しいものにすれば良いだけである。自力でギヤを設計して発注するのは、敷居が高いかも知れない。しかし、すでにあるのなら、改装は簡単である。

 最近見た O scale の電車はいわゆる吊掛け駆動であった。ピニオンは8枚歯だ。これは見るからに駄目な歯型である。ギヤ比を稼ぐためにはそうせざるを得ないらしい。そのピニオンは Tamiya が出しているジュラコン(POM)製である。
「プラスティックであるから静かです。」とは言うが、筆者にはその音が聞こえる。根本的に駄目な組み合わせである。確かに動くが、決して静かではない。静かな駆動の実例を知らないのだ。 

 大体、8枚歯の歯車などお話にならないものである。14枚未満のものは使うべきでない。

 様々な動画を見ると、とんでもない音を出している機関車に遭遇する。ウォームギヤなのにガリゴリ音を出して、「滑らかに走る!」と自慢げなものもあった。良いものを見たことがないのがその原因なのだろう。高効率ギヤをお持ちの方はなるべく露出を多くして戴きたい。

 博物館の転車台駆動装置には17:100のスパーギヤの減速装置がある。これは静かである。初めは12:100にしたが、ギヤ音が無視できなかった。歯数が少ないと駄目であるのは当然で、その音を聞こえないことにしてしまうのは無理な相談だ。もちろん互いに素でないのも許せない。

 そういう点でもこの種の吊掛け式には無理がある。モジュールを小さくすれば14枚歯のピニオンとができる筈だが、開放されていれば埃を巻き込む。
 見せてもらったものは、
「プラスティックだから油が要りません」と言うのだが、それはでたらめな理屈だ。潤滑は必要だ。

 要するに動きます、というだけのものである。走ります、とは違う。完全密閉されたギヤボックスを持ち、無音で長寿命のものではない。軽い電車を走行会場で2,3周させておしまいなら良いのかも知れないが、一日中走らせれば摩滅するだろう。それで良いのだろうか。

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2022年10月09日

続々 内野日出男氏の工作

brake shoe(1) これはブレーキ・シュウである。本物のようにアームがシュウの溝の中に納まる。これを旋盤で挽いてヤスリで削り出してある。難しいのは、8個取りの角度を等しくすることだ。


brake shoe(2) 違う角度から見てみよう。溝がよく見える。8個の穴は自作のインデックス装置で位置を決める。内野氏は48歯の歯車を用いていた。48は、2、3、4、6、8でも12でも割り切れるから、便利な数字である。旋盤のねじ切り用の歯車を用いている。

 indexing device(1)歯の溝にはまる割出しクサビはブラス製で、バネが付いていた。三つ爪のチャックに銜えたワークを、所定の数の歯を飛ばして廻す。所定の角度を廻してドリルで孔をあける。3爪スクロールチャックは、ユニマットのものだ。中心のネジはM12-P1である。 

indexing device(2) 歯車を外したところである。クサビを保持する部分は、歯車の大きさに合わせて前後出来るようにしてある。すなわち割出し数に合わせた設定ができる。しかし、ほとんどの場合、48歯で用は足りるだろう。回転しないように軸を固定する装置はついていないが、小径の穴をあける程度だから、問題はない。フライスを使うと回転してしまうだろう。

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2022年09月12日

HOのギヤボックスの見分

3-thread worm gear 友人がHO用として売られているギヤを見せてくれた。よく売れているそうだ。ところが、彼の知り合いの博物館の人が、「すぐダメになる」と言うので「どうしてだろう」と、筆者に見分を依頼してきたのだ。

 開けてみて驚いたのは、3条ウォームギヤが入っていたことだ。その割には押しても動きにくい。多少は動くが、動きは渋い。
 しかし、じっくり見ないと3条ウォームには見えない。進み角が小さいからだ。なぜ小さいか、よく考えてみよう。

  以前にも見かけたが、太いウォームに3条を彫っても、細い1条の普通のウォームと進み角は大差ない。どうしてもっと細いウォームを作らなかったのだろう。それは軸の太さに拘っているからである。

 軸が Φ2 もあるのだ。これではダメだ。軸と一体にしてギヤを細くすべきであった。そうすれば、進み角は大きくなる。

 博物館での連続使用でダメになる理由だが、それは進み角の小ささによる低効率から来ているのだろう。摩擦熱が大きいので、POM製のウォームホィールが融けるのでは、と推測する。また、グリースがたくさん入っている。多すぎるのではないか。その撹拌抵抗だけでかなりの損失である。スラストを受けるボールベアリングもない。
 設計は元KTM社員のT川氏らしい。彼とは親しかった。どうして筆者に相談してくれなかったのだろう。いくらでも助言をしてあげたのに。

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2022年09月06日

続 六角ジョイントの効果

 何度も同じことを書くのは気が退けるが、六角ジョイントの評判はすこぶる良い。
 ギヤボックス、ギヤセットの組の数の2倍程度が出て行った。すなわち、既存のギヤボックスを残し、ゴムジョイントを置換するだけの軽い工作をした人たちからの連絡である。順次紹介させて戴く。


・「驚いた」の一言です。今まで一体何をしていたのだろうと思いました。これさえあれば、電流を半分にすることが可能です。もちろんギヤボックスはトルクアームで支えています。

・今まで、ゴムジョイントの調整は腹立たしい事の連続でした。前進を良くすると後退がダメでした。ところがこれを付けると、一発で解決です。これは工作力がなくてもできますから、どなたにもお薦めできますね。

・中にケイディーのバネを入れるのがミソですね。賢い方法です。六角ナットも正確に孔を拡げなければならないと思っていましたが、よく考えてみると、多少のフレは吸収されてしまうのですね。それに気がついてからは、取替のスピードが3倍になりました。

・これでゴムジョイントは完全に駆逐されるでしょう。最初から曲がっているものを売っているのもおかしいし、軸との摩擦が少ないので抜けてしまいますからね。



「トルクアームの価値に気がついたのが遅すぎた。」と、悔やむ声が多い。ある程度のジョイント交換をしてから、高効率ギヤに嵌め換えた人たちの声は過去に紹介している。 

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2022年06月06日

モータの選定

 brass-solder氏のブログが興味深い。列車を牽かせると、「直線は速く、カーブでは減速する」とある。素晴らしい観察である。
 本物と同じように、走行抵抗が変化しているのだ。今までのゴリゴリ走る模型では気づかなかったことであろう。登り下りがあると、もっと楽しい結果が出るだろう。

 モータの出力が、もろに牽引力に表れる。伝達効率が良いからである。低回転では出力の小さなモータなのだろう。低回転でトルクの大きな特性を持つモータを手に入れれば、かなり楽な運転ができると思う。経験者に、どんなモータとの組合わせが良かったのか、お聞きしている。結果は発表したい。

 無負荷では速過ぎると感じるだろうが、実物でも単機でフルスロットルというのは全く意味がないことである。機関車は負荷を与えた状態での挙動が全てである。今までのHOの運転ではこのような状態を考慮することがなかったのだろう。

 重りを積むとどうなるのだろう。出力の小さなモータを搭載した場合は、軸受での摩擦で、出力がかなり減殺されてしまう。小さなモータなら、軽い機関車にせねばならない。本物と同じである。
 I田氏の動画では、軽い機関車で重い列車を牽き出している。こういう運転を楽しみたい。

 当ブログで最初から言っていることだが、牽かれる車輌の責任である。軽く動く車輌を用意し、高効率の機関車をつなぐとどうなるかということを実験せねばならない。「重く、効率の悪い機関車で、摩擦の大きな車輌をゴリゴリ牽く」という状態から脱すると、鉄道模型って、こんなに楽しかったのだろうかという気がするはずだ。


 当博物館では、いつもそれを考えて運転している。停止から、じわっと120輛編成を牽き出して、1.56%の坂を登らせるのだ。下手をするとスリップするから、スロットルは細心の注意で操作する。サウンドがついているから、スリップすると楽しいのではあるが。

 しばらく前、所属クラブで伊藤剛氏を偲んで、OゲージのOld Black Joe競作をした。その時、モータ、チェイン、スプロケット、ギヤボックス、車輪は全て筆者の提供である。その時の感想は、皆さん同じで、
「こんなによく走る機関車は初めてだ。吊掛け式の1段歯車駆動のような感じだ。モータの出力が、直接連結器に表れる。」
と言った。今回もそれと同じで、モータの出力が小さければ、それなりの出力である。牽かれるものを整備すると、実感的な運転ができるはずだ。しかし、個別駆動の吊掛け式より、牽引力がはるかに優ることまでは気付いた人は少ない。


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2022年02月14日

入賞作

 読者氏からのコメントを読んで、やはり、という感じがした。TMSの新年号表紙の後ろにあるシャシを見た瞬間、反っている感じがしたのだ。目の錯覚か、レンズの特性か、それとも製版上の問題か、と思っていた。読者氏は実物を見たそうで、かなり派手に曲がっていたと言う。これは褒められた話ではない。車体と組合わせればなんとかなったのかもしれないが、大きな構造物が出ているので、運搬中に加速度が掛かると曲がるだろう。また、走るときにレイルに触らないようにできているのだろうか。しかし、線路には上り下りもある。

 機関車というものは、運転中にさまざまな加速度が掛かるものである。また、筆者は常に軽衝突を想定している。貨物列車に追突した時、ブラス製貨車の何輌かは破損しても、機関車の構造体には何ら影響が出ない程度の堅さに作っている。

 過去の入賞作を見ると、首を傾げるものも多々ある。椙山氏の仰った「コンテストは魔物だ」という言葉が、重みを増す。

 これは作者の問題ではない。コンテスト主催者側の問題である。模型の構造について、何が必要かを理解しているとは思えないのである。そういうものを入賞させると、それが一人歩きを始めてしまう。これが良いのだと読者に思わせてしまうようでは、これこそ「鉄道模型の発展に資する」とは言えない。

 入賞作は、それを真似て作っても問題が起こらない程度の出来でなければならないはずだ。スケールスピードも大切である。走らせて文句無いものしか、入賞させるべきでない。ヤマ氏は、走行テストをして、鉄道模型の名に相応しくないものは落としていた、と書いてあったように記憶する。 

 手厳しい感想を書いたが、例によって、悪口を言っていると感じる人が多いそうだ。そうではない。改善策を提示しているのだ。TMSはこの1年ほど、「鉄道模型の発展に資する」という言葉を、毎月掲げてきたではないか。それに沿った編集を心懸けるという意味だ、と信じたい。読者氏も提言しているように、建設的な討論がなされるべきである。

 古いTMSが博物館に揃っている。70年前からの過去のコンテストの記事を読み始めている。今回の件と共通した、ある問題点が、そこにはあるように感じている。

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2022年01月17日

続 面圧を下げる

 表題の記事を書いてから会った何人かの方が、もっと詳しく書くべきだと言う。動軸にはボールベアリングを入れるべきだと信じている人が多いが、そんなものはHOの大きさでは意味がないと言う。それより、正しい軸箱を装備して、適切な潤滑をするほうが、ずっと価値があると力説する。

 畏友U氏はボールエンドミルを使い、僅かな隙間を得るために、少しずらして刃物を通したのだそうだ。いずれにせよ、そのあとで1200番以上のサンドペーパで磨く必要がある。
 筆者はLobaughの軸受を再度洗って、潤滑油を入れ直した。素晴らしい滑りで、ボールベアリングと同等である。

2120 2Kawai HO 21202120 いつも有用な情報を下さる01175氏から、またもや貴重な写真を送って戴いた。
 カワイモデルの特製品の2120だそうだ。軸受には円筒を使っている。バネが掛かる部分にはバネ座も用意されているから、用意周到だ。注油すると非常によく走るとのことである。この種の知見がTMSに紹介してあったとは思えない。

 話は変わって、電車用のいわゆるインサイドギヤの車軸部分は板そのものが軸受である。当然油膜切れである。油はすぐに黒い汁になる。がたがたになるのは早かった。筆者はそこに厚板を貼り付け、孔を開け直した。黒い汁はあまり出なくなったから、その部分は解決したのだが、ジャーナル部の抵抗が大きく、効果は見えなかった。


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2021年11月30日

走らないものも鉄道模型か?

 展示会の終わりに、出席者が皆で各1分程度自己紹介をした際、ある方が興味深い発言をした。
「最近のレイアウトコンテストに、模型が走らないものを出して、入賞しているのはおかしなものだ。あんなものはレイアウトではない。」

 筆者は思わず拍手をしてしまった。コンテストの主催者は、とんでもない思い違いをしている。観光地の土産物屋で売っているような、その地の風景の立体的なレリーフに、極端な遠近感を付けただけのものがレイアウトの筈がない。それはある分野の芸術作品であるに過ぎないのだ。模型の世界には入って来てほしくない。
 最近の模型雑誌で、走りについて書いてあるのをご覧になったことがあるだろうか。北海道のレイアウトが大きく採り上げてあったが、その上での走りを動画で拝見したいものだ。

 走りの改善に貢献するために、HO用の3条ウォームとギヤボックスの2次試作品を持っていった。どなたも興味深そうであった。価格は安いので、予約された方が多かった。一月以内に出来てくるであろう。中にはお持ちのすべての機関車を改装したいと言う方もあった。確かに押して動くというのは魅力があるようだ。ただし、Oスケールのように1輌を押すと、もう1輌も動くというのはかなり難しい。機関車、テンダのすべての軸受の摩擦を最小にせねばならないのだ。ボールベアリングを付けても、車輪径が半分ほどのHOでは半径比の問題があり、抵抗は相対的に大きい。

 その点でも、O scaleはこういう動きを再現できるギリギリの大きさなのだろうと思う。 

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2021年11月26日

気が付かない人

 スパーギヤを使った車軸と平行のフライホイールを持つ増速装置は、作ったことがある。一言で言えば音が気になる。効率はあまり良くなかった。もちろんピニオンは15枚歯である。ここはぬかりない。しかし、3条ウォームを使う直角伝動では静粛である。

 10年ほど前、高効率のウォームギヤ・セットを作ることが出来たので、それを使うと、無音で逆駆動でき、効率は非常に高かった。あとはチェイン駆動である。Delrin製のチェインは素晴らしい性能で、十分に静粛である。しかし、テンダを強く押すとチェインが多少伸びるせいか、少し音がする。すなわちチェインの伝達能力の限界ギリギリで使っているのだ。当初はフライホィールが重過ぎて、車輪とレイルとの摩擦力が大きくなり、限界を簡単に超えた。そこでフライホィールの中を中空にして軽くし、摩擦力を減らした。すると慣性モーメントは少し減るので、増速率を上げて補った。
 簡単な経緯を説明すると、「素晴らしい。見事だ。」という感想を戴いた。


 午後には某雑誌社の取材があったが、その質問には失望した。
これってスクラッチですか?」それ以外聞かない。
 その程度の感受性しか無い人が取材しているのだ。
「それ以外の質問はないのですか。なければ取材を受ける必要はなさそうです。」
と答えると、
「FEF3は844までですよね。850というのは想像の産物ですか。」と来た。生産されなかった形式であることを告げるとメモして立ち去ろうとした。放置するつもりだったが、他の人がわいわいと見に来て、慣性の話をしているのを聞いて、慣性増大装置とメモしていたようだ。筆者に詳しく聞けばよいのに、そのまま行ってしまった。理解したかどうかは、しかとは分からない。そのようなことなら、記事にならないほうが良い。

 こういう人が取材しているのでは、まともな記事は期待できない。 この社の人ばかりではない。最近の模型雑誌は、写真映りが良いものしか載っていない。外観だけだ。もう一社来ていたようだが、見に来ることもなかった。外国の雑誌に載ると取材に来るのかもしれない。

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2021年08月22日

TMSの記事

MIXT 21 古いTMSの記事には良いことも書いてある。 
 21号のミキストには、「吊掛け式のユニットを作ると良い」と図まであるが、それっきりである。反トルクの処理がしてないと、このようにジョイントがよじれる様子を描いている。程度の差はあるが、シリコーン・チューブも同様によじれる。

 吊掛け式が良いなら、その理由も含めてしつこく繰り返し書くべきであったが、山崎氏はそれには何回も触れていない。単なる「感じ」で終わっているのは残念だ。
 
 駆動に関する色々な単元の紹介があるが、一回きりという例が多い。それは山崎氏自身がモデルを作っていなかったからであろう。見れば理解したと思っていたようだが、その種の能力はお持ちではなかったようだ。単に、誰かからの受け売りに過ぎない。きちんと頭に入っていないから、説明できていない。だから、TMSが存在しても、駆動方式、懸架方式の進歩はほとんど無かったのではないか。これは合葉氏も指摘していた。
 イコライザの理屈がわからないままに模型を作り、それが掲載されるということを60年以上も続けている。内野氏の4-8-4の記事は、まれな良い例外である。吉岡精一氏の監修が有効であった。ただ、重ね板バネを使っていないのは残念である。

 先のコメントにもあったように、高価な完成品のOゲージ模型の懸架装置が完全に間違っている。作る人が、理屈を何もわかっていないからだ。先台車、従台車ともに無負荷でぶら下がっているような模型がまともに走るわけがないが、それが輸出されている。恥ずかしいことである。理屈の分かっている人が、早い時期にきちんとした記事を書くべきであった。合葉氏はその働きかけをしていたが、山崎氏には、その気がなかったそうだ。

 先台車の心皿上にゴム板を入れるのは筆者のアイデアだが、これは非常によく働き、静粛化に大きく貢献する。動軸はたくさんあるので、たとえバネなしでもあちこちが微妙に撓んで衝撃を吸収するのかもしれないが、先台車はシリンダブロックとボイラに直結しているから、何らかの緩衝機構がないと壊れるし、音がひどい。ある程度の速度でポイントを渡らせると、先台車が通過する瞬間に、かなりの衝撃音を感じる。軸重は動軸の半分程度ではあるが、上部構造物の質量があるので、加速度が与えられると掛かる力は大きい。
 もちろん、そこには重ね板バネを入れるのが筋だが、その場所がないときには小さなゴムのワッシャを挟むだけで、大きな効き目がある。 


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2021年08月14日

続々々 またまたイコライジング

 前半のイコライザはこの図のようなものである。

 近くの工場に、国鉄からの引込線の入換用蒸気機関車があった。小学生のときに下を覗き込んで、左右を繋ぐイコライザに気がついた。家で絵を描いて見たが、理屈はよくわからなかった。高校になって、もう一度見に行き、その模型を作った。うまく作動し、その意味を深く噛み締めた。一緒に見に行った友人は大変感心し、自分のも改造し始めたが、彼は若くして他界した。

 B型機のイコライザ構成はそういうものだと思っていたが、 それから40数年後、鉄道業界にいたある模型人が、
「そんな構成はありえない。」と否定した。
 どんな根拠でそれを否定したのかはわからないが、絶対にありえないと言う。後に、アメリカで現物を見つけたので写真を撮って見せたところ、絶句した。その後彼が何を言っているかは、定かでない。
「あれは間違いです。」などとは言わないと信じたい。 

 先入観というものは恐ろしい。根拠のない自信というのは、その延長上にある。筆者が客観性ということを繰返し強調するのは、それがなければ進歩できないからである。 

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2021年08月12日

続々 またまたイコライジング

 合葉氏正しい鉄道模型という言葉を使った。それが全くと言ってよいほど、通用していないのである。
 先入観が大きい分野なのであろう。最近は「刷り込み」という言葉があるが、よく言い表していると思う。最初に見た模型の印象が強く影響するのだ。それが間違っていても、その間違いに気付けない。たとえ気付いても、「あの方がこうやっていたのだから、それでよいのだ」と考えるらしい。根本原理を考えることができれば、間違いを指摘できる。筆者は経験が少ないので、原理だけからしか考えることができない。しかしその結果は、客観的である。

 業界人は、自分が現場で見てきたことが世の中の全てだと思う人が多いように感じる。根本原理を考えずに、専門用語を散りばめて怪しい論理を展開する。そういうコメントはよく来るが、排除している。
 

 筆者の高校1年の頃の話だ。Bタンク機関車を持っていた。軸は固定で、走りは実に良くなかった。一念発起して、板バネで軸可動に改造した。当時は左右の動輪を抜きたくなかったので、軸箱は樋状のものを作った。
trough type axle bearing 角材の中心に正確に孔をあけてもらい、底の部分を切り取った。U字型断面にしてひっくり返したのだ。油を注すと油膜ができて摩擦が激減し、これは父に褒められた。ギヤボックスを抱かせ、吊掛けにした。
 前の軸バネの前端をイコライザでつないで、中点を台枠から下に引張り、三点支持にした。実によく走り、静かであった。3線式であったので、後に分解して処分したが、下側の写真を撮っておけばよかった。

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2021年08月10日

続 またまたイコライジング

 先回の図の間違いはお分かりになっただろうか。4日間に多くのコメント、メイルを戴いた。
 確かにバネは利いているが、この機関車は転んでしまう。前に傾いて顎を擦るか、後ろに傾いて尻を引きずる。このイコライザ群は、しばらく前に扱った、仮想心皿と同じである。枕木方向に通る、目に見えない1本の回転中心があるから、それを中心に前後に振れる(ピッチング)。
 田中氏の記事では、錘を加減して水平になるようにしたとあるが、全く無意味である。イコライザ周辺の摩擦がかなりあるので、転ばなかったように見えるだけで、潤滑が良ければ、走行中に必ずどちらかの限界まで傾いて、運行不能になる。おそらく走らせた時間が短かっただけであろう。
 バネ付きイコライザの概念は、ここにも書いてある。この図の先台車が支えて、転ばないように働いていることがおわかりになるだろう。
 

 伊藤剛氏のファイルの中で、ある模型同好会の機関紙を綴じたものを見つけた。その記事で、HOのC58キット組みの再生をした話があった。
「イコライザを取り付けたら、機関車が前後にギッコンバッタンして困った。ひどい設計だ。先台車と従台車にバネを付けて転ばないようにした。」というようなことが書いてあったが、これも勘違いしている。設計は間違っていない。その改造者が間違っただけであろう。
 その正解例のひとつとしては、従台車を無荷重にして、弱い線バネで軽く押し付けておく。錘の位置を加減して、重心を第一、第二動軸の間に持っていくことだ。先台車にはゴム板などを介して、機関車前部を載せると良い。このゴムがあるとレイルの突起を乗り越えるときに衝撃を緩和する。先輪の数が少ないので、無いと具合が悪い。

 イコライザに関する記事で、まともなものは、やはり少ない。合葉氏が、正しい鉄道模型ということを力説したのも、無理はない。以来30年以上も経っている。これほど理解されていない分野も、珍しいと思う。イコライジングを正しく理解している人は本当に少ない。

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2021年08月06日

またまたイコライジング

 古いTMSの整理をしている。たまに欠落した号が補充されると、バインダを開いて綴じ直す。その中で気付いた記事があった。

Tanaka 180号に田中長治氏の記事がある。田中氏は京都の方で、病床にあったにもかかわらず、ベッドの脇で様々な工作をされて発表されていた方だそうだ。その中で、イコライズしながらバネを利かせる工夫の図があった。4軸タンク機関車である。

 この頃のTMSには、イコライジング + バネの案はいくつか発表されている。その後、何を間違えたか、イコライズすればバネは要らないという”迷信”が世にはびこるようになってしまった。近代の模型的イコライジングの元祖である井上豊氏の記事が誤解を増幅したように思う。

井上氏は、
バネが要らないはずは無い大型機はバネがないと壊れてしまうだろうね。」
と、勘違いを一生懸命打ち消してはいたが、TMS読者全体には届かなかった。この世にあるイコライズされた機関車の中でバネが装備されているものは0.5%にも満たないであろう。 

Equalizing idea さて、これが田中長治氏のメカニズムである。一見うまい工夫のように見えるが、極めてまずいところがある。Dタンクに付けたという条件で、考えて戴きたい。これはイコライザの落とし穴である。ネジが段付きでない、というのは、ここでは無視されたい。


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2021年08月02日

続 吊掛け駆動

 これは簡単で良いが、シャフトではいささか剛性が足らない。ショックを与えるとパイプが曲がり、修復不能である。自宅のHOレイアウトの上から動かさないなら良いが、クラブに持って行って見せている時に、ゴンと衝撃があるとまずいだろう。分解したものを再度機関車に組み込む時に、引っ掛かりがあっても曲がりそうだし、鞄の中に入れていても心配だ。ご本人は「大丈夫だ」とは言っていたが、移動時には何があるか、わからない。宅配便での配送は、こわくてできないのではないか。これはHOの模型の話である。大きなOスケールならば、脱線した衝撃でさえも、間違いなくアウトだ。大きいものは弱いのである。

 やはり、吊り掛け式の場合は、前回の図のように支持装置に十分な剛性が必要である。先にお見せしたギヤボックスの角は、その剛性のある腕を取り付けるものである。 
吊掛け駆動方式 これは、友人の依頼で作ったOJ蒸機用の吊掛けドライヴである。簡易な支持構造で、ある程度の剛性を確保している。腕は、チャネルを使用しているので剛性は十分だ。駆動軸には小さな伸縮する自在継手を 用いているので、微小な”心ずれ”に対処できる。あまり剛性を大きくすると重くなる。剛性が足らない分、その時に生じる軸のずれはユニヴァーサルジョイントで解決すると、極めて滑らかに回転させることが出来る。ここにゴムジョイントを用いると、押して動かすことは難しい。様々な損失がそこに生じるからだ。鉄道模型からゴムジョイントを排除できれば、かなりの走行改善が望める。

 筆者のOゲージ機関車群と同様の、非常に滑らかな運転ができたので、依頼者は大喜びであった。

 筆者は、OJの蒸機の主台枠の内側がこんなに狭いとは知らなかった。ギヤを薄くし、ボールベアリングを薄いものに取替え、ギヤボックスを新製して、HO並に薄いものを作った。On3のギヤボックスはこれを使えるはずだ。 

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2021年07月31日

吊掛け駆動

吊掛け駆動 非常に明快な、吊掛け駆動のさし絵があった。TMSの100号の記事に8号の絵が再録されていた。これは素晴しい絵だ。モータは自作なのだろう。軸を伸ばして、先にも軸受があれば、言うことはない。いわゆる棒型モータの原型だ。
 8号はあるが、紙が劣化しているので、あまり開きたくない。 早くデジタル化せねばならない。
 
 吊掛け駆動、トルクアーム、トルクチューブの区別が難しいという話を聞くので、新刊にその解説をすることにした。
 要するに、吊掛け式ではモータの重さの一部が車軸に掛かっている。後の2つはいわゆるカルダン駆動である。カルダン駆動では、モータは車体に固定され、ギヤボックスは自由に動く。カルダン軸は、ユニヴァーサル・ジョイントによるトルク伝達軸である。ギヤボックスに発生する反トルクは、いろいろな方法で押さえ込まれて、その結果として牽引力を生み出す。 

チューブはよじれる ゴムチューブによる接続はよく用いられているが、正しいところがない。ギヤボックスの反トルクを、ゴムチューブで承けることは出来ないから、妙なよじれ方をして、効率は下がる。前後進で調子が異なるものが大半だ。雑誌にはこの方法がいまだに載っている。全く進歩していない。

閑林式吊掛けモータ 30年ほど前、閑林氏は面白い吊掛け法を開発した。それはモータ軸を延長して、それをそのまま吊掛けの支持装置にしてしまう方法だった。すなわち、モータ軸を反トルクの伝達に使うわけだ。
 モータ軸にピッタリ嵌まるパイプを用意し、ギヤボックスから生えている駆動軸に挿し込んで、5分間型エポキシ接着剤を流し込む。モータを回転させながらエポキシ樹脂が硬化するのを待つと、心が出たまま固まる。ギヤボックスを台枠に嵌めて、動軸をセットし、軸箱の底蓋を留める。モータの後ろを台枠に半固定すると完成である。シリコーン・シーラントなどを使うと良いらしい。

 この方法には弱点がある。衝撃に弱いのだ。長くて細いものに、折る方向の力が掛かる。

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2021年07月19日

続 クラウンギヤ

 クラウンギヤは、径が十分大きければラックと同等とみなせるが、20枚歯程度では歯型がでたらめである。点接触をしているから、摩耗がひどく、徐々に崩れていく。ピニオンが硬い材料なら、クラウンギヤが適度に減ってそれなりの形で、ある程度の時間使える。しかし、音がするし、効率も良くない。要するに、減ることを前提にしている。

 ところが以前見たものは、大きな40枚歯を硬質クロムめっきしてあった。これはまずい。そもそも、歯車をめっきすると歯型が狂うから、常識的にはしてはいけないことである。光っているから滑らかだと思うのは、勘違いである。顕微鏡で見ると、表面は粗雑だ。(自動車のエンジンのシリンダ内壁はクロムめっきしてから研磨してある。そうすると、その粗雑面の突起が削り落とされ、無数のクロムの金属結晶の隙間に潤滑油が満たされて摩擦を減らしている。)
 
 ところがそれを使っている人は、嬉しそうに「クロムめっきしてあるから減らない」との”効果”を謳うのだ。大ギヤが硬いと、ピニオンがどうなるか、である。そこで見たピニオンは8枚歯のブラスであった。小さいものを軟らかい材料で作れば、たちまち寿命が尽きる。潤滑油が飛び散る開放されたギヤであったから、あっという間であろう。ギヤボックスを付けない人は大半である。密閉式にして油溜まりがあれば、かなり違うはずだ。

 ギヤ比は、8:40=1:5 であった。割り切れるし、ピニオンが小さ過ぎて、歯型がおかしい。走らせるとギャーという音がするが、本人たちは至って無関心で、静かだと言う。重負荷を掛けると音がひどくなるが、そういう走らせ方はしていない。勾配がない線路しか走っていないのだ。また、各動輪が個別に駆動されるから、牽引力が大きいとは思えない。

 こういうことに注意を払わない人は多い。いわゆる腕の良い模型人にも、この種の人はいる。合葉氏の言う「正しい鉄道模型」の実現は遠いと感じる。

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2021年07月17日

クラウンギヤ

 前回紹介した記事ではクラウンギヤが用いてある。これは意外だ。合葉氏に見せてもらったものはすべてウォームギヤであった。作られた時期によって違いがあるのかもしれない。

 合葉氏宅で話をした時、
「貴方はどうしてウォームを使うのか?」
と問われた。答は単純であった。
「静粛であることは、この上ないのです。効率も、工夫すればかなり上げられます。潤滑剤の進歩があり、他のギヤに勝るとも劣らないものができるはずです。」
と言うと、
「それでは、クラウンギヤについてはどう思う?」
と聞かれた。筆者は思い切って挑発的な表現をした。
「クラウンギヤは嘘で固めたギヤです。どこにも正しい部分がない。」
 合葉氏は腹を抱えて笑った。
「その通りなのだけど、そこまで言うかって感じだね。」

 こういうやりとりがあって、合葉氏は筆者のウォームギヤに傾倒していった。合葉氏と会う頃までには、筆者自身もウォーム・ドライヴの歴史については勉強して、実車にも使ってあったことを知っていた。
「初期のPCCカーにも使ってあったのです。」
と言うと、驚かれた。
「よくそんなことを知っているね。伊藤 剛氏は、名古屋市電800型で、それを近代化したのだね。名工大の先生にお願いして、より効率の上がる歯型を計算してもらったのだよ。PCCはその後、グリーソンのハイポイドギヤに切り替わったのだけど、そのギヤが精度高く出来るようになってからだ。」 
「軍用6輪トラックにも多条ウォームが使ってありました。」
と言うと、
「うーん、参った。我々はウォームギヤを再評価せねばならないわけだ。山崎氏は『ウォームは逆駆動出来ない』と、昔のミキストで断言していたので、それは間違いだと指摘したが、わからなかったね。モリコーのギヤも逆駆動できる細い2条ウォームだったのだけど、彼は全く理解しなかった。」
という会話があった。この時点で合葉氏は、
「貴方のウォーム・ドライヴこそOゲージの未来を切り開く。」
と述べた。


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2021年02月17日

キングピンの無い機構

 この機関車も、テンダのキングピン位置にドライヴシャフトが通るのでキングピンが置けない。すなわち、台車の回転は何らかの疑似回転運動をさせる方法(仮想心皿方式)を採ることを考えた。今回は単純に回転するだけなので、面倒な計算はいらない。リンクを付けて前後の位置だけ保持し、左右への振れ止めがあればよい。リンクを快削ブラス板から切り出した。

linkage こんなことを考える人はまずいないだろうと思っていたが、友人から坂本 衛氏が凸型電気機関車に採用していたという情報があった。条件が限られれば、誰しも行きつくところは同じである。これは「鉄道模型工作手帳」という本にあったそうだ。コピィを送って来た。筆者が作りかけたものと全く同じ配置であったのには驚いた。これを見て、やる気が失せ、別方法を探ることにした。誰もやってなければ作ってみたが、すでにあるなら冒険するまでのことはない。

 実を言うと、作り始めて分かったが、この方法では台車はかなり不安定だ。台車は一つ 350gもある。持ち方によっては、リンクが曲がって壊れる可能性があった。それを外れて来ないようにうまく支えるのは意外と難しいし、さらにリンクの邪魔をしないように作らねばならず、かなりの工夫が必要だ。
 熟慮の結果、より堅固な方式を採用することにした。

 あとは時間があるときに作れば、70時間でできるという計算だ。今その時間がない。信号機の工事に時間を掛け過ぎてしまった。まだやることはかなりある。


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