レイアウト

2026年01月25日

続 金属製角パイプによるレイアウトの支持

 T氏は走行性能を上げることにも熱心である。線路の水平面を確保しないと客貨車が勝手に走って行ってしまうことも考えられる。
安価なレーザ墨出し機 レーザ墨出し器を購入された。それは安価で使い易いものであった。それを見て筆者も早速購入した。以前の製品は、重く大きかった。この10年間の進歩には驚く。



 T氏はナロゥゲージがお好きである。スケールは1/48,1/87が同居している。線路はOn3があってKodama-PSCのK27が走っていて、その後ろには数輌の貨車が引張られている。 
T氏のOHOレイアウト その線路は注目に値する。On3は19.05 mmゲージであるが、3線で16.5 mmの線路も同時にある。機関車は19.05 mmの上を走っているが、貨車はHOの線路を走っているのだ。すなわち、市販のOn30の車輌をそのまま使っている。連結器は微妙にずれるかもしれないが、問題は起きなかった。市販のOn30とは、最近アメリカで人気のHO線路を走るOナロゥである。

 非常に面白い発想で驚いた。線路は3線とは言え、護輪軌条のような感じである。内側が2本あるので、ますますそう見える。 

<註> On30とはOn2-1/2のことであり、30インチ(762 mm)ゲージを1/48としたものである。模型のゲージはHOゲージを用いるので、OHOという人が多かった。
 アメリカのナロゥゲージは3フィートすなわち 914 mm が大半であり、それを1/48にすると3/4インチ19.05 mm軌間となる。 

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2026年01月23日

金属製角パイプによるレイアウトの支持

角スタッドによる支持 T氏が建設中のレイアウトを披露された。角スタッドランバーコアの組合せを採用している。

 この組合せを拙ブログで紹介してからどの程度の方が採用されたのか、は分からない。極めて少ないのではないかと推察する。一度問合せがあったので詳しくお伝えしたが、その後の連絡はなくなった。また、ある方にはお勧めしたのだが、採用されなかった。

 T氏は当博物館に何度も来訪して、その構造をつぶさに見て行かれた。レーザによる平面性の確保にも興味を持たれた。
 その後、自宅を新築される際にレイアウトルームを確保し、当鉄道のノウハウをすべて採用された。

 路盤高さも1100 mmとされた。高さが良いとのことである。工事が簡単で剛性が高いのは素晴らしいとおっしゃる。

 レイアウトは一生ものであるから、どうすれば経年変化が少なく、また走行性能が良くなるかということを考えるべきである。
 せっかく作っても路盤が撓み、波打っているのを見ると悲しい。しかし驚いたことに、そのレイアウト所有者は路盤の撓みに気が付いていない。視点が高く路盤が低いからである。
 視点を下げてみるととんでもないことになっているが、ご本人は気が付いていない。車輌を走らせると速くなったり遅くなったりするから気が付きそうなものだと思ったが、彼は気が付いていない。車輛はどれも摩擦が大きく、機関車の性能もあまり感心しないのでいつもかなりの速度でモータが廻り、ガリゴリと走る。これでは気が付かないのは仕方ない。 

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2025年03月24日

饋電

 アメリカでレイアウトを見学するときには、饋電(きでん)の手法を興味深く観察する。最近の傾向としては全てのレイル一本ごとに饋電している例が大半だ。レイルジョイナは通電の目的ではなく、物理的なレイルの保持をさせているだけである。すなわち、レイルの相対的な位置を決めているだけで、通電についてはほとんど考えていないから他の確実な方法によらねばならない。
 垂直に饋電線をハンダ付けする方法では、レイルの匐進を確実に止める効果もある。レイルの寒暖の差による伸縮は継目板の中で解決されるから保線も楽である。

饋電 レイルごとに饋電線をハンダ付けしている例が多い。それで良いのだが、あまりにも数が多いので少し減らしたかった。筆者はこの写真のような方法を採っている。
 二つのレイルをレイルボンドでつなぐと同時に饋電線としているのだ。これで饋電線の数は半減する。

Feeder 道床を貫通して饋電線はぶら下がり、その先で太い被覆銅線(3.5 ㎟)に圧着端子で付けてある。銅線にはあらかじめ饋電線の数だけチューブ状の圧着端子を通してある。部分的に被覆を剥がして圧着端子を移動させる。そこにレイルからの饋電線を差して締めるだけで、完全な接続が完了する。たまたま 3.5 ㎟ が大量にあったので使っただけで、小規模なレイアウトであればもっと細くて良い。
 レイル・ジョイナによる接続部の接触抵抗は無視できないのだ。
 とにかく饋電線から来た電流はレイル一本の長さ以下しか流さないという原則を守ると通電不良は起こらない。 

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2025年03月16日

続々 走行音を小さくする

3. については過去に述べたが、これも非常に大きな効果がある。Oゲージの市販の線路はコード148〜157あたりのレールを使っている。筆者は既存の太いものを抜き取って、コード138のレイルを入れた。レイルの締結が緩いと音が路盤に伝わりにくい。鋼製レイルを差し込んだので剛性は大きく、また電気伝導度は3倍くらい良くなる。鉄はブラスの2倍程度の電気抵抗があるが、ニッケル合金と比べると格段に小さいのだ。

 ニッケル合金というのはその種類を問わず電気伝導度が低い。細くなっても鉄合金の方がはるかに低抵抗なのだ。抜いたレイルは貨車の積み荷にした。残りは融かしてインゴットにし、機械部品を作る材料になった。

4. については、ここで繰り返し書いたことだが、メッキ面はあばた面で全く平滑性に欠ける。#1200以上のサンドペイパで研ぐとかなり良くなるが、快削ステンレスを高精度の旋盤で挽いたものには、まったく敵わない。最近Low-D車輪付きの車輌を譲渡したところ、音についての感想を聞かせて戴いたのは嬉しい。  

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2025年03月14日

続 走行音を小さくする

1. については、角スタッドの効果が大きい。極めて剛性の高い骨組みを作ることが出来るし、かつ、安価である。現在材木は異常に高い。昔安かった2x4材は、既に過去の価格の4倍ほどになった。
18 mm lumber-core テイブルトップは15 mm以上の厚さのランバーコアを使っている例では静かである。プライウッドではやかましい。これは面積当たりの質量と構成材の物理的な性質の違いによるものだろう。この写真はTM氏によるHOでの作例で、ランバーコアを使っている。
 梁を木製にすると経年変化で撓む。筆者の実験では最初の1年半で大幅に撓み、以下の変化は少ない。しかし不思議なことにその種のレイアウトの所有者は撓んでいることに気が付いていないのが大半だ。その理由は二つあって、路盤面が60 cm程度と低く、上からしか見ることがないのと、車輌の転がりが悪く、走行速度にむらが出ることがないからだ。この角スタッドを使う工法では撓みは無視できる
 
2. についてはここで何度も扱ったことだが、いまだに効果を信じない人が居るようだ。サンプルを進呈するとその効果に驚いてすぐに採用するが、Youtubeなどの怪しい”実験”と称するでたらめな情報に踊らされている人は多いとみている。フレクシブル線路を路盤に打ち付ける人が大半だろうが、その釘穴を大きくしたり、バラストを固着するのをやめれば極めて静かになるはずだ。せっかく固定レイアウトを作るのだから、バラストはばら撒くだけにすると良いのに、と思う。気に入らなければ何度でも掃除機で吸って撒き直しができる。 
 軟質ポリ塩化ビニルまたはゴムのシートは、厚くないものでも効果はある。薄いのを二枚重ねた人からは、「驚異的な効果」とお知らせ戴いた。

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2025年03月12日

走行音を小さくする

 最近、クラブの知人に会うとレイアウト製作を始めたという話を聞くことが多くなった。路盤をどのように作るべきかという質問を受ける。同時に音の問題を聞かれる。

 当博物館の来訪者は、ゲージには無関係に「静かだ」と驚いて質問する。
「何が違うのですか?」と聞かれるのだが、それには答えにくい。あえて言えば、「すべてが違うのです。」である。

1. 路盤とそれを載せている骨組みとテイブルトップの剛性が大きいこと
2. 線路を載せる道床にゴムまたは軟質ポリ塩化ビニルの遮音材を貼ってあること
3. フレクシブル線路のレイルを抜いて少し細いレイルに入れ替えてあること
4. 車輪は市販のめっきした車輪ではなく、ステンレス鋼を高精度の旋盤で削ったものであること
5. レイル面が滑面であるように、錆びさせないこと。それには空調で湿度を下げると同時に、外気に含まれる海塩を遮断せねばならない。

 これらをすべて実行するときわめて静かな運転ができることは確かめられている。


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2025年01月03日

続 新設レイアウト

 レイアウトの骨組は鉄骨を使う。棚の廃棄品を大量に貰って来たので、それをある程度組んで高さが決まれば熔接してしまう。そうすればそう簡単には壊れない路盤ができる。

 その部屋は正方形に近く、長さが取れないので、対角線方向に長さを取る。13 m 程度はある。しかし、階段室があってそれが邪魔になる。階段室の角の二つの壁を貫通させて斜めに通す必要がある。

 階段室の一部を壊すことも考えたが、線路の高さで壁に孔をあけ、中空を走るようにする。もちろん空気の流通を無くすようにトンネル状になるが、長さが 2 m 近いので、事故時にも取り出し易いように内部の高さを300 mm程度にする。要するに合板で300 mm角の筒を作り、補強材を入れて撓まないようにして、階段室の壁にあけた孔に突っ込むというわけだ。階段室の中ではかなり高いところにあるので、支障はない。見かけは多少なりとも考えて、みっともないことは避けたい。

 エンドレスの内側はデッド・スペイスであるから、有効利用する。ロストワックスの工房を置くのだ。床がコンクリートだから、熔湯が落ちても良い。贅沢にグレーチング(すのこ)で浮かしてやることができれば、熔湯はこぼし放題だ。
 遠心鋳造機と真空鋳造機がある。  

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2025年01月01日

新設レイアウト

 かねてからクラブ員に頼まれていたのは、試験走行ができる簡易レイアウトが欲しいというものであった。Oゲージだけでなく、OJの線路も必要であった。作った作品がどの程度の実力を持つのかを確認するにはある程度の広さのレイアウトで、勾配がなければならない。最急半径は 1400 mm程度にしておくと、曲線通過試験にもなる。ギヤボックスを付けていない車輛も入線が可能なやや緩い入線規格を持つレイアウトである。しかしこのような非常識なことをする人は入場を断る。 

bucket truck (2) 資材はかなり集めてある。各種の厚さの合板の端材(と言っても幅 300 mm、長さ2400 mmもある)が300 kg以上ある。その下の骨組みは、鉄骨の棚(奥行 600 mm、幅1800 mm)を約250 kgほど貰って来たので、それを運び上げた。
 路盤は吉岡氏設計のモジュールを 200 kg程度保管しているのでそれを有効利用する。その他の資材100 kgも含めて一気に運び込んだ。
 さすがに手で持ち上げるとどうかなりそうだったので、高所作業車を借りてきて一回100 kg程度を持ち上げた。この作業をF氏が手伝って下さったのだ。

 フレクシブル線路は O, OJとも 100 mほどあり、ハンドスパイクをして補う。

 このレイアウト建設は、場所、資材は筆者が提供できるが、建設にはクラブ員の労力提供を前提としている。やる気のある人たちが居るので、仕事は進み易いとみている。 

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2024年10月21日

続々 レイアウト分類学の連載を終えて

 クラブレイアウト建設についての意見が複数あった。代表的なものを2つ紹介する。


 どうして日本にはクラブレイアウトが無いのでしょうか。歴史あるクラブにもクラブハウスがありません。大都市ならいざ知らず、地方都市なら、そのような目的の建物を手に入れることは決して難しいことではありません。
 このブログでも紹介されていたように、田舎にある廃業したホテルなど、20台以上駐められる駐車場がある大きな建物が数百万円で手に入ります。雨漏りさえしていなければ大きなレイアウトを作れますし、泊まり込んで楽しむこともできるでしょう。
 組立式の勾配の無いレイアウトでぐるぐる巡りをさせているようでは、牽引力という概念さえ無くなっていきますよ。  
 最近はNPO法人が比較的簡単に設立できるので、法人格を持ったクラブができると良いなと思います。クラブハウスを持ち、普段はそこで楽しんで、年に数回、公民館などで公開運転をすれば新規会員の募集もできるでしょう。  


 社会学を学びたいと考えます。それには大きなレイアウトが必要ですが、そのようなレイアウトはどこにもありません。個人宅で遊ばせて戴くわけにもいかないでしょう。クラブレイアウトが不可欠と思います。どうして日本にはないのでしょう。法人格を持ったクラブができないのはなぜなのでしょう。どのクラブでも勾配の無い平坦線の組立線路です。dda40xさんのような勾配のあるレイアウトで長大編成を走らせたいのです。また、昔の特急のように機関車がフル編成の客車を牽く場面を見たいのです。

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2024年10月19日

続 レイアウト分類学の連載を終えて

 時々このブログに登場するY氏から、長文の意見を戴いたので紹介したい。



 過去に日本人が作ってきた多くのレイアウトは上記分類の「美術を楽しむ」に近く、風景の中を走行する列車を眺める事を目指しているように思います。ここではコントロールする事より、自動運転を含めスムーズに走り続ける事が必要になります。 

「レイアウト」周辺の概念として scenery section dioramaがあります。小さく切り取った風景の中に置かれた動かない車両、草生(む)した線路のみを鑑賞するscenery section dioramaはまるで「盆栽」であり、「日本人のDNAに刻まれた趣味」であるように感じます。本来「レイアウト」は車両の走行が目的で、車輌が動かない小規模な情景模型を scenery section diorama と呼ぶはずのものが、博物館などでは多数の車両が動く大規模なレイアウトを dioramaと呼ぶ場合も多々見られます。これら曖昧さを許す現象を含め、私は日本のレイアウトを「美術を楽しむ」と言うより「鉄道のある風景を楽しむ」と解釈します。日本のDCCが音に価値を求めるのも同じ理由だと思います。  

社会学を楽しむ」は、広いスペースを用意できるごく一部の方を除き、日本の住宅事情と生活習慣では困難だと思います。日本人が思い浮かべるレイアウトは、運転するのは自分一人か、例外的に多くても2〜3人でしょう。日本人の性格がアメリカ人ほど社交的ではない事、ホームパーティの習慣が無い事も影響している様に思います。  

 TMSは紙媒体であるため動きと音を表現できず、写真で勝負するしかないため、機能を伴わない精密さや視覚的驚きに偏った記事が数多くありました。この点ではscenery section diorama は良い記事になります。もちろん編集者の「動きに対する意識」が不足していたと思いますが、そのTMS編集者もTMSで育ったのでしょう。同じくTMSで育った読者にとって「額縁レイアウト」も鉄道模型であることは何の疑問も無いと思います。今はTMS以外にも鉄道模型に関する雑誌も増え、ネットの発展もあり、さらにYouTube addressを雑誌に掲載する例も見られるので、動きを重視するモデラーが増えることが期待できます。  

 以上の様な日本の鉄道模型界の特徴を否定してみても意味が無く、むしろ「物理学を楽しむ」「数学を楽しむ」「社会学を楽しむ」がこんなに楽しいのだよと笑顔で示し、今までにない新たな楽しみ方に気付かせる事が重要だと思います。今後レイアウトを作ろうとする人に新しい視点を提供する意味において、これらの分類学は有意義です。皆が心の中に持つ現状のレイアウトへのモヤモヤとした不全感・不満に対し、明確な概念を提示する事が新たな思想のレイアウトを作るきっかけになれば面白いと思います。
 今の時代、「物理学を楽しむ」「数学を楽しむ」「社会学を楽しむ」で成功した人はネット上に発表するでしょうし、そうすればその楽しさが伝染していくと思います。



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2024年10月17日

レイアウト分類学の連載を終えて

 今回の連載中、多くの方から連絡を受けた。毎回加速度的に興味が湧く話で興奮したそうである。戴いた原稿は文体を修正した程度で、内容には一切手を加えていない。

 著者はいったいどういう経験をした人なのか、と気になったそうだ。彼は非常に広い視野をお持ちの方である。筆者のレイアウト建設に際しても、様々な分野で助力戴いた。


 実のところ、筆者は博物館のレイアウトをもう少し凝った作りにするつもりだった。当初は寸法を少し勘違いしていて、建物にもう少し奥行きがあると思っていた。そうすると85輌編成がすべて勾配に載り、単機では牽けなくなる。補機を付けての登坂になり、ふもとには補機のための機関車だまりが必要になる。頂上には補機を外して一時退避する線路が必要になり、渡り線を通って回送することとなる。UPのシャーマン・ヒルで実際に行われていたことをやるつもりだった。
 この操作を3人で行うことを考えていたのだが、勾配が短くなりその必要がなくなってしまった。補機は3輌用意し、連結器を遠隔開放するメカニズムもいくつか試してあった。
 Union Pacific 鉄道ではカブースを補機の後ろに付けることにしていた。巨大な機関車で押すので、何かの事故で脱線があった時カブースが潰されないようにする配慮だ。そうするとそのカブースを一旦外して補機だけ抜き取るわけで、その操作は意外と面倒である。この操作を最適化する方法も含めて、線路配置を考えていた。さらに後押しの推進力で貨車が脱線しないように様々なデータを採り、準備していたのだが実現できなかった。

 日本では珍しい ”社会学の楽しみがあるレイアウト” になる予定だったのだが、長さ不足で実現できず、残念であった。 

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2024年10月15日

続々 レイアウトを作ろうとする人へ 

 2バイ材の話では、初めてこの木材寸法の意味が分かったとおっしゃる方があった。鋸の間隔を2インチにしている。切ると鋸の厚み分薄くなり、さらにカンナを掛けると厚さが両側で減る。結果として1/8インチずつ薄くなれば、厚さは1‐3/4インチ(44.5 mm)となるわけだ。要するに、2インチピッチで鋸を多数並べた製材機械に通したものを乾燥炉に入れてから選り分け、各種の高さに切り分けているわけである。

 材の縦の高さが増すと、撓みにくいから梁に使える。我が家の床は 2x10材を用いて支えている。スパンは 3.2 m、ピッチは 305 mmで、床は19 mm合板 + 19 mmのオーク・プランクである。歩くとその剛性が感じられる。撓みは実測できないほど小さいから、転ぶと痛い。
 だから、レイアウトの場合には主梁として短い 2 x 8 を用い、長手方向のジョイスト(小梁)として角スタッドを置く。さらに15 mmのランバーコアを敷けば、非常に剛性の大きな平面を作ることができる。しかも安価である。最近の木材の価格は、信じられないほど上昇している。

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2024年10月13日

続 レイアウトを作ろうとする人へ

 撓まない梁を使って「平面度の高い路盤を作ること」の価値を見出された方々が増えて来たのは、心強い。

 確実に言えることは、わが国ではレイアウトを作った人の絶対数が少ない。過去の事例を遠くで見ただけで、その剛性を実感していないのだ。台枠に乗ってみればいかにそれが脆弱なものかわかるはずだ。工事中には上に乗る必要がある。完全に復帰する撓みならば問題ないが、その時すでに不可逆的な変形があれば、その台枠は廃棄するべきである。(乗ってミシッと音がすると、一部が壊れた音である。完全には元に戻らないと考えて良い。木ネジだけで組んであると、この音がするが、接着剤が使用してあればかなり持つ。)
 
「『それは dda40xさんのようなOゲージをやっている人の話で、HOやNには関係ないでしょう』と言った人が居る」という話が出て来たが、「それはおかしい」と言ってくれたのには救われた。
「だってさ、同じように撓んでもHOなら、相対的に2倍、Nなら4倍近く、大きく感じるわけだろう?」
 その通りなのである。小ゲージなら、より精密に水平を出す工夫が必要なのだ。こういうことが分からないのは、自分で手を動かしてレイアウトを作ったことが無いからだ。本を見て、自分もそれを作った気分になっているからだろう。

 さらに本音も聞けた。
「あの人はうるさい人で、言っていることは理想論であって僕らには関係ない。」と言う人がいるらしい。決してそうではない。
 上と重複するが、
「ラフでも構わないOゲージで精密な路盤を作らねば結果が出ないのだから、より細かいゲージであればもっと精密に作るべきなのだよね。」と言ってくれた方が何人かあったので少し安心した。


「貴方は鉄レイルを使っていて錆びないか?」という質問も多かった。これについては、窓から入る空気の中の塩の話をすると非常に興奮する人が多い。
 海岸から100 kmまでは風送塩がある。日本でそれ以上の距離がある地域は極めて限られている。長野県の茅野辺りの直径15 kmほどの範囲だけである。「その地域に日本の精密機械産業が集積している。」と言うと、みな膝を打つ。先人は、よくぞこの地域を探り当てたものだ。
 レイアウトの場合は窓を開けず、エアコンで湿度を55%以下に保ち、空気清浄機を24時間動かせば、錆びさせないことは可能である。塩化亜鉛を使ったハンダ付けは外でやるべきだ。


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2024年10月11日

レイアウトを作ろうとする人へ

 合運の会場では多くの友人と会った。どなたもこのブログでのレイアウトに関連する記事についての感想を聞かせてくれた。

「今までのレイアウトの作り方で良い、と思っている人が多いのは問題だね。もう60年くらい同じことをやっているじゃないか。」
 たしかにその通りだが、TMSの特集シリーズくらいしか参考書がないから、進歩が無いのだ。材料や施工について知識のある人がほとんど居なかったわけだ。

「Model Railroaderに紹介された L-girder は剛性が足らないよ。」
 これも、他に比べる対象が無いのでその弱さに気付かないということだろう。この発言の方は実際に作って確かめている。

「路盤が波打っているのはよく見るね。著名なレイアウトなんだが、行くとそこが気になるよ。最近、高効率ギヤを付けた機関車を持って行くと、波打っているのが極端によく分かるんだ。今まではガリゴリ走る機関車ばかりだったので、それに気が付かなかったのだよね。」

 これは高効率ギヤの実力をよく把握された方のご意見である。低速で負荷を掛けて滑らかに走っていると、僅かな走行抵抗の変化が速度変化として現れるというわけだ。 

路盤の高さも高い方が良いということに気付いたよ。今からでも少し持ち上げてみる。実はね、僕の友人がdda40xさんのレイアウトは『Oゲージだから高くしてある。』と言うんだ。それはおかしいよね。HOはさらに高くすべきだし、Nはもっと上げなきゃね。」と言う。
 この人はよく分かっていらっしゃると感じた。”鑑賞距離”という概念が身に付いている人である。HOはOより近くで見るはずだ。
 また、実際に鉄道を見る角度を思い出すべきであろう。せいぜい跨線橋の高さからしか見ていない。

 電車の模型で屋根に凝っている人が多いのはなぜか、ということを話題にする人も居た。どうやらこの辺に答がありそうだ。

 実際にレイアウトを持ち上げた人の話をした。下にものを置くスペイスが増えるのは良いことだと感じる人は多い。


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2024年10月05日

レイアウト分類学 まとめ

「鉄道模型」と「模型鉄道」

この国でこの趣味を「鉄道模型」と呼ぶのはなぜか、といつも思う。この趣味の黎明期にあった「模型鉄道」という呼び方の方が、この趣味の本質を伝えているように感じている。

「鉄道模型」と言ってしまうと、車輌やレイアウトの「もの」の側面だけが強調されてしまい、「動き」の側面が薄まってしまうのではないだろうか。日本でレイアウトの建設例が少ないのは、住宅事情の問題もあろうが、実はこの名称がこの趣味の楽しみ方に制約を加えてしまったのではないか、とさえ思うことがある。

実物の鉄道の「動き」を模型の世界において再現する、ということこそがこの趣味の主眼であるべきだと強く思う。例えばアメリカ型HOなら、実物の 1/87 の世界を作るのではなく、「16.5 mmの線路幅の鉄道を作る」という前提で、車輌やレイアウトを作る、という発想が根底にあるべきだと思う。これが「模型鉄道」と呼んだ方がしっくり来る、と考える理由だ。

アメリカではこの趣味の名称は model railroading である。railroad、つまり鉄道が主体となっていることに加えて ”ing” が付いていることで、組織運営や経営までも含む様々な鉄道の運行に関する活動を広く楽しむことを意図している、と感じる。

 連載記事はこれで終わった。私信により多くのご意見を戴いているので、後日まとめて発表したい。また、コメントは随時掲載しているのでご投稿願う。



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2024年10月03日

レイアウト分類学 6

 社会学を楽しむ

数学を楽しむ」のところで書いた通り、アメリカの多くのレイアウトが入換を楽しむことを目的としている。大規模なレイアウトになると、多人数で運転会を開催し、複数の列車を同時に走らせる。そこでは、列車を運転する人、列車の位置を把握して通行権を的確に管理する人、複雑なヤード部分の列車の出入りを管理・操作する人など、多くの人が関与する。

Silicon Valley Lines 簡略化されているとはいえ、これらの役割は本物の鉄道会社と同じである。模型の世界の鉄道の一員として、自分がその運営に参加しているのだ、という意識を持ってそれぞれの役割を楽しむことができる。参加者一人一人がそれぞれの役割を果たし、お互いを信頼して円滑なコミュニケーションを図った上で、全員が一つのチームとして機能する必要がある。このような楽しみ方を志向するレイアウトを、「社会学を楽しむ」と分類する。


DCC throttles 上述したRick Fortin氏のレイアウトは、個人所有ではあるが、同好の志が集まり、運転会を開催している。これは運転会に参加するメンバー用のDCCスロットルが格納されている様子である。


 余談とはなるが、日本では自動運転を志向する人が多いように感じる。技術的にはチャレンジングで、大変興味深いテーマではあるが、上記のアメリカ式の運転会のようにチームで運転をするという楽しみを知らずに、そちらを先に志向するのはいかがなものか、と思う。

 物議を醸しそうなことをさらに書くと、アメリカでDCCが普及しているのは、このような「多人数で複数の列車を同時に走らせる」ことがDCに比べてはるかに簡単にできるからである。実感的なサウンドからDCCに入る人も多いが、それはDCCの大きな魅力の一つではあるが、本質ではないと思う。    

 極論を言えば、DCCの本質は2つの列車が正面衝突する可能性のある運転ができること」である、と私は思っている。そういう可能性があるからこそ、本物の鉄道のように列車の運行を考え、レイアウトでの運転の仕方を考えることができる、というのがDCCの最も重要な意義だと思うのだ。  



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2024年10月01日

レイアウト分類学 5

 交通工学・都市工学を楽しむ

アメリカには、“protolancing”もしくは“proto-freelancing”と呼ばれる分類のレイアウトが多数存在ある。実物の鉄道のプラクティスに従ってフリーランスのレイアウトを構築するもので、よくあるのは、現存する(した)鉄道の支線を新たに建設するとの想定のもと、時代をいつごろにするか、沿線のどの街を通すか、地理的にどこに線路を配置するか、などを考証して作るものである。

上述の「歴史学を楽しむ」レイアウトに通ずる点もあるが、新たな鉄道を建設する訳だから、その社会的・経済的な意味合い、どのような列車を走らせるかの妥当性を、自分が鉄道会社を経営する立場で構想することに面白さがあるのだ。このようなレイアウトを「交通工学・都市工学を楽しむ」と分類する。

I-5 under constructionmainlineRick Fortin氏のレイアウトは、AT&SFがサンフランシスコ・ベイエリアからポートランドまで線路を延長したとの想定の下、カリフォルニア州のチーコChico)という街からマクラウド(McCloud)という街までをモデル化したものだ。建設にあたり、実際に沿線のいくつかの場所に行って現地調査もしたそうだ。

cosmetic-curve 基本は運転を楽しむ display layout であるが、沿線の様子に合わせたストラクチャが配置されている。



hot-pants lady and policemen 最後の写真は、当時建設が進んでいたInterstate 5で、スポーツカーを運転していた女性が速度超過で警察に捕まっている風景だ。女性の進出が本格的になってきたころを再現している。服装はホットパンツで、物珍しいので警官がぞろぞろと出て来たという想定である。



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2024年09月29日

レイアウト分類学 4

 歴史学を楽しむ

特定番号の機関車をとことん追求する人がいるように、特定の年代の特定の鉄道や沿線を追求する人もいる。自分が生きた特定の年代、あるいは自分が興味を持った過去の特定の年代、に思いを馳せ、その時代の鉄道を再現するという観点では、このようなレイアウトを「歴史学を楽しむ」と分類できる。

 この種のレイアウトの建設には、徹底的な資料集めや考証が重要となるので、その観点でも大いに楽しめる。

MercedEl Portalこの分類に入る代表的なレイアウトとして、Jack Burgess氏の“Yosemite Valley Railroad”を挙げる。カリフォルニアのマーセドMerced)から、有名なヨセミテ国立公園の入り口のエル・ポータル(El Portal)までをつないでいた同名の鉄道を、1939年の夏、という特定の年・季節に絞って、20フィート(約6.1m)四方の空間に見事に再現している。
Trains to Yosemite 驚異的なのは氏の調査能力と執念とで、このレイアウトを建設するために調査した結果が、350ページを超える”Trains to Yosemite”という本にまとめられている。


1plan Walter Schedler
氏は、SPのシャスタ・ルートの難所であるダンスミュアDunsmuir)の魅力に取りつかれ、40年代後半から50年代前半ごろのダンスミュアの駅やヤードを再現するレイアウトを建設中である。当時の写真やSPのヤードの図面を入手してレイアウトを建設していた。

注)地名の読みは、Google Mapsのカタカナ表記に拠る。



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2024年09月27日

レイアウト分類学 3

 美術を楽しむ

鉄道の写真を撮影することが趣味の方は多い。彼らは、自分の好きな鉄道が現実世界の風景の中で活躍する様を美しく記録したいのだ。同様に、風景の中で活躍する鉄道を模型の世界で美しく再現したいから、レイアウトを作りたいという人も多いはずだ。このような楽しみ方を「美術を楽しむ」ためのレイアウトと分類したい。

 絵画でも写実主義から印象派まで様々な流儀があるように、現実世界をレイアウトに再現しようというアプローチもあれば、自分のイメージをレイアウトとして実現しようというアプローチもある。

日本のレイアウトは、このモチベーションだけから建設を始める人が多いような気がする。他のモチベーションを組合わせてレイアウトを作れば、もっと深く楽しめるレイアウトができるように思う。
  
 なお、特定場所の特定年代の再現を目指す、ということになると、またそれは別の楽しみとなると考えられるので、次の「歴史学を楽しむ」として分類した。



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2024年09月25日

レイアウト分類学 2

 数学を楽しむ

数学には、代数、解析、幾何等、様々な分野があるが、レイアウトに関係するのは「組合せ論」だ。高校で習う「順列・組合せ」を発展させた分野である。
 いったい何のことかと思われる方も多いと思うが、この「組合せ論」は貨物列車の運行に深く関わって来る。貨物列車は、多くの宛先の貨車を一本の列車に仕立て、行く先々の操車場で「入換」を行う。ある操車場に到着すると、その操車場宛ての貨車を切り離して所定の線路に移動させ、新たな目的地に向かう貨車を操車場のあちこちから集めて連結する、ということを行うのだ。
 この入換は手順をよく考えないと、時間が掛かってしまう。現実の鉄道では列車の出発が遅れ、運行コストに直接跳ね返る。模型の世界だから関係ないとはいかず、後述するような複数人数の運転会では、全体の進行に影響を与え迷惑をかけることもある。
 現在の貨車の並びを見ながら、最終的な貨車の並びに至る道筋を戦略的に組立てる数学的な思考が必要となるので、このようなレイアウトを「数学を楽しむ」と分類してみた。
 アメリカの多くの大きなレイアウトは、このような入換を楽しむものことを目的としている。


Silicon Valleyindustry これは、Silicon Valley Linesというクラブのレイアウトのメインのヤードとインダストリィである。メインのヤードで編成した貨物列車を、途中何カ所かのインダストリィで入換しながら運転する。

David Griffybig helix これは、入換を楽しむことを主眼にした
David Griffy氏の個人レイアウトである。ガレージの半分(10×20フィート:約3m×6m)程度の大きさで、メインのヤードと2つのヤードを、巨大なhelix(ループ線)で繋いでいる。helixで高低差を設けることで、入換の終わった列車を走行させる時間を長くし、メインのヤードでの入換の時間を十分に確保する、という設計思想となっている。

summit terminal 高い位置にあるヤード。列車の終点なので、直接見えなくてもよく、鏡で停止位置を確認するようにしている。




 日本ではこのような入換に関する記事をあまり見たことがないし、そのような楽しみ方をしている方のことも聞いたことがない。日本の雑誌編集者
も、この点についてはほとんど紹介しなかったと言える。日本での鉄道模型の楽しみ方の選択肢が拡がらなかったということで、残念なことである。

(編者註 TMSの二桁号にはこの入換についてちらりと書いてあったように記憶する。その後の記事にはなかったようだ。また、とれいん誌の1984年10月号に記事があることをお知らせ戴いた。



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2024年09月23日

レイアウト分類学 1

レイアウトを建設する目的は各人各様で、100人がレイアウトを建設すれば、100通りの楽しみ方があるとは思うが、ここでは多様なレイアウトの楽しみ方を「学問」を切り口として分類してみたい。

 

物理学を楽しむ

鉄道模型の本質は「動く」ということにある。そして、「動く」ものは物理学の法則から逃れることはできない。
 供給した電力(エネルギィ)をモータで動力に変換し、ギヤで伝達して駆動輪に伝え、貨車や客車を牽引する、という一連の流れで列車を運転するわけであるが、その際にモータの出力、動力機構の伝達効率、牽引されるものの抵抗、慣性、勾配がある場合は重力、曲線においては摩擦等が絡み合って来る。

これらの物理学に沿った列車の動きを見せる場を提供するレイアウトの存在がある。近年の工作機械の精度の向上、モータの進歩等により、模型の走行性能は大きく向上してきたので、重い列車をゆっくり引き出すなどの実物の動きを再現して楽しむことができるようになった。列車という役者の魅力を最大限引き出す舞台を提供するレイアウトというものが存在する。このような楽しみ方を目指すレイアウトを、「物理学を楽しむレイアウト」と分類してみたい。 

 dda40x氏のレイアウトは、この「物理学を楽しむレイアウトの代表例であり、世界をリードしていると感じる。



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2024年09月21日

レイアウトの楽しみを分類する

 レイアウト建設に関する記事を続けている。最近のアクセス数は非常に多くなり、様々な方から連絡を戴いている。
 どなたも現在の状況はおかしいと感じているようだ。特に「静止画」の件は「その通りです」という御意見ばかりだ。「我々が目指すのは模型鉄道であり、鉄道模型ではない」という御意見を戴くのは心強い。

 勾配のありかたについても「おっしゃる通り」という意見ばかりだ。6%の件は「あれはプラレールの世界を引き摺っている。」という意見が来た。
「急勾配でもすいすい登れるおもちゃで遊ぶとそれが出来るはずと思うのでしょう。」とあった。そうかも知れない。鉄道はどのように走っているかという根本原理についての考察が足らないと言う。


 その中で興味深い長文の御意見を戴いている。掲載許可を得たので、連載したい。投稿者はアメリカでの在住経験があり、日本には伝わっていない部分を紹介して下さっている。
 題して、「鉄道模型を学問の分野で分けると・・・」 

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2024年09月15日

続 レイアウトに勾配は要らない?!

 レイアウトには勾配があると運転が楽しくなると感じる人と、牽かないから面白くないと感じる人がある。後者は少ないと思っていたが、今回は無視できない数の人が居ると感じた。そういう人が「勾配は付けない方が良い。」と言うのはやめて欲しいものだ。それは間違った結論で、自分たちが失敗したから他の人も失敗するに決まっているという誤った推論だ。これではTMSのパターナリズムの再生産であり、酸っぱい葡萄だと決めつけることでもある。

 勾配があると何が起こるかを検討し、それを共有すべきであると考える。もちろん牽引輌数の問題もあるし、勾配の設計方針もある。

 立体交差を作るには、単に持ち上げる以外に、一部を下げて他方を半分上げるという方法もある。列車のうちでは機関車の質量が大きい。勾配を短くし、機関車を先に上の平坦線まで上げてしまうと残りが楽に上がるという物理的な考察もできる。要するに列車の全長が勾配上に載るのを避けるわけだ。
 したがって、一部を上げてある部分を下げることによる立体交差の方法を採れば、見かけ上牽引力が増大するのである。この種の思考実験は吉岡精一氏と30年以上前に積み重ねた。

 一方、筆者の博物館のレイアウトの勾配はかなり長い。それはその区間にある列車の滑り落ちようとする力を、なるべく多く機関車に掛けたいからだ。機関車の持つ牽引力を限界まで発揮させたいのだ。これは異端であることは承知している。 40 ft の標準貨車70輌弱がこの勾配に載る。機関車は多少スリップする。サウンド装置があるのでその程度もよくわかる。
 レイアウトを作るということは、見かけ上の細かさをこれでもかと並べるだけではないのだ。そういう意味でも勾配を付けない方が良いというのは実に面白くない話だ。

「花火大会の様子とか単に長大橋を列車が通る”写真”を見せて『すごいだろう』と言うのはおかしくないか」と感じる人がどの程度居るか、が知りたいものだ。静止画を見て感動する、というのは模型鉄道を楽しむ者としては理解しがたい


 数年前、Model Railroader の動画で素晴らしいレイアウト・セクションがあった。既に探し出せないが、数メートル以上の長さであって、それを岸辺に持って行き借景として利用して長大編成を走らせた。裏側に仮設のエンドレスを敷いている。すばらしい情景だ。実感的に走るというのは「最高の外観」なのだ。これこそが”模型鉄道”なのだ。「静止画では取るに足らない」ということを認識できない人が日本の雑誌の編集をしているように見える。

 先日たまに行く大きな本屋に行った。TMSが売れ残っていた。これは偶然だろうか。いつもは、すぐ売れてなくなってしまうのだが。 

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2024年09月13日

レイアウトに勾配は要らない?!

 最近はクラブ内でレイアウトの建設思想についての議論が盛り上がっている。
 「勾配を付けるべき」か「付けざるべき」かという2つの方向で討論したい人が居るように見える。本来この2つは異なる次元である。すなわち「勾配を付ける」の逆方向が「付けない」ではない。

 30年ほど前だろうか、TMS誌によく登場していた水野良太郎氏という漫画家が居た。彼の生家は四日市だったそうで、椙山氏のレイアウト・ルームで会ったことがある。彼は工作する人ではないから、買って来たものを動かして楽しむというタイプの人だ。彼の記事によく登場した文言に、「レイアウトには勾配は不要」というのがあった。手放し運転を楽しむのが醍醐味のような文言もあった。こういう不見識な文章を載せるTMSの編集方針に、我々は呆れた。出来の悪い車輌を基準にして、上限を抑えている。以前紹介した行き過ぎたパターナリズムである。こういうことを話題に出すのは間違いだ。
 勾配があると走らないなら平坦線を走らせればよいだけのことで、それは個人の自由である。見せ方を工夫すれば勾配の代わりになる方法もあるだろう。しかし、それと「勾配線を無くすべき」というのは異なる次元の話だ。

 また最近の話だが、「6%の勾配で2輌を牽かないからユーレイで解決した」ということを当たり前に言う人がいる、ということは理解しがたい。中学生でもわかるだろう。さらにそれを記事として出してしまう出版社には呆れる。いったい日本のどこに6%の勾配があるというのだ。3.3%が最大値(高野山は特例である)のはずである。 

 また、曲線上では直線より抵抗が大きくなって速度が落ちるのは当然で、覚悟せねばならない。DCCであればそんなことはお構いなしだが、それが良いことなのかは筆者には判断できかねる。


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2024年09月11日

続々 角スタッドを用いたレイアウトの骨組み

なぜ金属製の台枠を推奨するのか。」という質問が来た。

 答は簡単である。木製の台枠では10年以内に撓みが目で見えるようになる。これはどんな策を講じても避けられない。60 cmのスパンであっても途中は撓む。また普通の合板では、梁の間が必ず撓んで垂れ下がる。日本の鉄道模型人はこのような実例を見ることがほとんどないのであろう。筆者は数多く見ている。それを克服するにはこうすればよいというのが今回の提案である。
 
 読者の方から興味深い事例を教えて戴いた。某レイアウトでは路盤の撓みで客車の床下機器がレイルを擦ったそうである。ありうることだ。また、建物自体も木造住宅では経年変化で水平が失われることもある。機関車牽引の列車では勾配の変化を敏感に感じられるのだ。

 水平確認は大変重要なことである。駅構内などは完全に水平でなければならないので、レーザによる水平面の創出には最大限の努力をした。現在、レーザによる墨出機は決して高価なものではない。レンタルも一日数百円で見つかるはずだ。
 
 筆者の博物館に来た人は、路盤に目を近付けて見る。完全な水平面であることに驚く。「凄いね!」とは言うが。どうやってやったのだと聞く人は稀だ。路盤の骨組みを撓みの無い材料で作れば可能なのだが、そこまで追求する人は極めて少ない。

 博物館のレイアウトを見せても、路盤について質問した人はほとんどいない。わが国ではレイアウトを作ろうとする人はとても少ない。しかし、これはレイアウトを作ろうとする人には避けて通れないことなのである。教科書が昔のTMSでは、結局は同じ間違いを繰返すことになりかねない。
 コルク道床を売っていないので、わざわざ特注で作って張り、やかましい線路になったという報告すらある。自動車のどこにコルクが防音材・制震材として使ってあるというのだろう。ポリ塩化ビニルあるいはゴムのシートが張ってあるはずだ。遮音は質量で効く。重い材料を使わないと駄目なのだ。

 レイアウト建設はわが国では例が少ないので、失敗例を踏襲してしまうことが多いと見ている。当博物館に来訪する方々は静粛性に驚く。長い列車が走るとき、レイルの継ぎ目の音が聞こえることに驚くのだ。こちらは当たり前だと思っているが、来訪者たちは驚異的であると言う。また、極めて軽く動く車輌が、ヤードのどこにでも止まっていられるということも信じられないそうだ。

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2024年09月09日

続 角スタッドを用いたレイアウトの骨組み

 角スタッドは継ぎ足せない。接続金具を使ったとしても継ぎ目は弱く、曲げには耐えられない。
 ホームセンタでは各種の長さで売っているので、設計をよく考えて無駄のない長さの購入をお勧めする。
 
直角に継ぐ 直角に繋ぎたい時があるかも知れない。その部分の曲げ強度は保証できないが、ずれを防ぐことは簡単にできる。
 この直角金具両方に当てて、インパクト・レンチでタッピング・ビスを8本ずつ打つと完了だ。かなり頑丈に付く。タッピングビスの下穴は不要で、直接ねじ込めばよい。3秒で終わる。

 インパクト・レンチは不可欠だ。ドリルで孔をあけてビスを手でねじ込んでいると、腱鞘炎を起こしてしまうだろう。この道具を使うと1箇所3秒だ。

鋼アングルによる支え ややこしい形をしていて木材では強度が出せないところは鋼材で作ったが、木製の棚にネジ留めしてある。もちろん接着剤を塗って取り付けた。
 アングルなどの鋼材に角スタッドを取り付けるときは、取り付け面の反対側の面にたけのこ状のステップドリルでドリルビスのネジ頭が通るほどの孔をあけ、インパクト・レンチに長いビットを付けて締める。10秒足らずで完了する。この時ネジが落ちないように、磁化したビットを使うか、ネジが落ちないようにテープで巻く必要がある。

角スタッド工法 普通のレイアウトなら、撓みが生じないように2x8材を立てて水平に置き、その上に直角に角スタッドをコース・スレッドで留めれば出来上がりだ。足は2x2材で十分だ。甲板のランバーコアは、角スタッドに直接コーススレッドで留める。こうすれば、非常に堅固な路盤が出来る。甲板の継ぎ目には裏から継ぎ目板補強の合板を接着剤とコーススレッドで貼ると丈夫になる。
 角スタッドのスパンは 90 cm程度にすると角スタッドの敷設密度が減らせる。

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2024年09月07日

角スタッドを用いたレイアウトの骨組み

 この表題を見ると、台枠を熔接して作るのでは…と早とちりする人が居そうだが、その必要はない。また、Oゲージの話でHOには関係ないと思う人も居るかもしれないが、ゲージには関係ないのですべての方に読んで戴きたい
  
 もちろん筆者の作ったレイアウトでは、材料費の節約と経年変化を最小にするためにかなりの鉄骨材料を採用している。コンクリートの床にアンカを打ち、直立させた鉄柱にアングル材の横梁を載せ、鉄筋でブレイスを作って熔接した。これは規模が大きいからである。家庭での小規模のものであるなら、垂直材は木製で良い。この作業はインパクトレンチがあれば容易である。

 一般家庭内でHOクラスのレイアウトを作るのなら、縦方向は木材で十分で、根太(一般建築での用語)を角スタッドにするだけのことである。スパンを変えながら体重を掛け、撓みを測定されると良い。非常に剛性が高い。しかし、木材と異なり耐荷重以上を掛けると曲がって元に戻らない。筆者のレイアウトには1か所その失敗箇所がある。

 設計荷重は 150 kgに決め、本線上であれば壊れない筈だったのだ。撓んでも復元するはずである。ところが…。

 手伝ってくれた体格の良い友人が路盤上を歩いて来た。重い工具を手渡すために近付いてきたのである。「それ以上近寄ってはいけない!」と叫んだが遅かった。我々の載っていた部分は15 mm程度凹んだ。二人の体重と工具の総和は150 kgをかなり越えていたのだ。
 仕方がないのでジャッキで持ち上げ、裏側に30x30のアングル材をネジ留めしておいてブレイスを熔接した。運よくこの補修はうまく行き、レーザ水準器で見ても完全と言える修復が出来たので、ほっとした。修復できなければその部分を壊してすべて取り換えるつもりでいたのだ。
 このようなことは小規模のレイアウトでは起こらないだろうから安心されたい。しかし、人間が一人載る状況は考えておかねばならない
 
 勾配線もこの手法で作ってあるので撓みはなく、均一な勾配ができる。こういうところにアルミ材を使う人を散見するが、失敗を招く。アルミのヤング率は鋼材の4分の1強しかないから、剛性が足らず、波打った路盤になる。

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2024年09月05日

レイアウト路盤で平面を出す

 所属クラブでレイアウトの路盤作りについて討論されている。

one-main 殆どのレイアウトは木造である。この数十年は Model Railroader で推奨された L-girder という1x4材を組み合わせた骨組みに、合板を載せるという構造が多くなった。また、日本風の床下地のような組み方の作例もある。後者は大工に発注して作らせた場合だろう。筆者はアメリカの友人の使った手法を元に、より合理的な試作品を作った。木ネジだけではなく接着剤を使って、より剛性を高めている。

 木製の路盤は撓(たわ)む。10年もするとスパンが 60 cmしかなくても垂れて来る。目を近付けて透かして見ると、無視できないほどの撓みがある場合が多い。スパンが 90 cmになるとまず駄目である。日本のように湿度が高い国ではこれは顕著である。

img56997597 これは木材の持つ特性で、撓まないようにすることはできない。材料の縦の寸法を大きくし、スパンを小さくする以外ないが、条件が厳しいことが多い。2x8材を使えばかなり良いがそんなことをする人はいないだろう。

 そこで筆者が採用したのは軽天材料である。これは厚さ 0.5 mm 強の亜鉛引き鉄板を曲げて角パイプにしたもので、角スタッドと呼ばれる。実に軽く、剛性が高い。その表面にはシボ加工がしてあり、加工硬化している。何よりも優れているのは、経年変化が事実上ないことである。45x65 の材が使い易い。
 切断はディスク・グラインダでも良いが、慣れれば角から金バサミで切り込める。ネジ留めは実に簡単で、専用の金具をタッピング・ビスで瞬時に留められる。価格は木材の 1/3 程度である。ホームセンタで簡単に入手できる。

 これを横に寝かせ、その上に合板(プライウッド)ではなくランバーコアを張ると良い。これは剛性が大きく、波打つことが無いし経年変化が少ない。15 mm以上の厚さである。角パイプにはコーススレッドで簡単にネジ留めができる。

 レイアウトの足は木材で構わない。木材は縦の圧縮方向には強い。角パイプを数本並べてその支えの梁を2x8材で作り、足は2x2でも良い。壁に取り付けることもできる。

 この方法は質量が小さくなり、住宅への負担が少なくなるし、出来上がったものの平面度が極端に良くなる。レーザを用いた水準器で測ると、完全な平面と言って良いことが分かる。経済的であるところも大きな利点である。

 線路が水平でないと、その上にある勾配は一定でなくなる。せっかく計算して牽くはずの列車がスリップしてしまうことになるのだ。木製に拘る人は多いが、10年先を考えているとは思えない。


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2024年09月03日

性能策定

 所属クラブからレイアウト(の建設)はどのようにあるべきかという趣旨のアンケートが来た。それについて友人たちと様々な討論をしている。その中で非常に面白い意見が来たので紹介したい。その要点を示す。

1. 我が国のレイアウトはシーナリィ(情景)付きのものしかないというところが問題だ。TMSに紹介されるようなレイアウトは、構想通りに車輌が動かせなくて、単に情景写真撮影用になっているように感じる。だから、車輌、情景ともにあまり意味のない細密化が優先されているのではないか。

2. これらの情景付きレイアウトで構想通り運転に活用している人がどの程度存在するかが知りたい。うまく動かないからユーレイが必要になるということもありそうだ。

3. 機関車の能力、牽かれるものの性能を検証し、それに見合ったレイアウトの設計をしている例がどの程度あるのか。
 このブログ (Giants of the West) で紹介されているディスプレイ・レイアウトでは最初からその計算がされているので、長大編成の運転でも破綻が無いのだと思う。monchige氏のレイアウトもこの手順を踏んでいるように思う。 


 なかなか鋭い方である。
 筆者はアメリカで延べ200近くのレイアウトを見学し、自宅でいくつかのレイアウトを作り、現在の形にたどり着いた。着工時にほとんどすべてのことが決定されていたので、工程は順調に進んだ。
 車輌の性能策定、設計、改良に対してある程度熱心にやっておかないと、いくらレイアウトを作っても飾り物にしかならないと思う。これは本線上をある程度の規模の列車を走らせる場合であっても、小規模列車であっても根本的には同じことだ。  

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2024年04月18日

visiting Texas

 5年ぶりにアメリカに行った。いくつかの用事が溜まっていたのと、「ちょうど日食もあるので来ないか」とDennis が誘ってくれたのだ。
 今回は天気が良くなく、日食は薄雲の隙間から見えただけで、星が輝くのは見られなかった。前回快晴であったのは、運が良かったとしか言いようがない。

a swicher works Dennisはレイアウトでの運転を完全にするために努力している。すべての機関車、貨車の連結器を整備し、全く手を触れないで列車の解結作業を行えるようにした。また、DCCサウンドを更新し、実感的な運転ができるようにしている。

IMG_4006 ストラクチュアは整然と並び、街路を構成しているのは素晴らしい。大きなレイアウトではないが、運転を楽しむ(operation first) ことに注力している。こういう楽しみ方は日本ではまず見ることができない。

 いつもなら、DFW ダラス・フォートワースまで300 kmを迎えに来てもらうが、彼は体調が良くなく運転を避けているようなので、近くまで飛行機を乗り継いで行った。この頃は国際線とは異なる路線に乗り継ぐと手荷物料金を取る。スーツケース1個で30ドルも取るのには参った。ドルが高いのでさらに驚く。

 持って行ったお土産を開くと、彼は歓声を上げた。彼が一番気に入っているものであったようだ。彼は筆者のブログを丹念に見ている。最近の表題が英語表示になったのは、彼の識別を助けるためである。彼は気に入った記事を自動翻訳で読んでいるのだ。

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2024年02月11日

続々 Freelance

MR Jun '21 比較的近年のModel Railroaderを見ていたら、表紙に載っているものがあった。2つのレイアウトで、ナロゥゲージのレイアウトと、UP支線から小型機関車が乗り入れる閑散路線を想定したHOのレイアウトである。

 現実には無いものを作っているのだから、フリーランスというわけで、private road というのは当たっている。どちらも比較的大きなレイアウトである。

 前者はともかく、後者はUPを扱っているので、本線の描写となると大変な規模になってしまう。ある部分を切り取って自分の好きな表現をしている。なかなか良い雰囲気で、これをOスケールで作ると好ましいとさえ思う。  

 MRを見ていると夢が膨らむ。日本の雑誌とどこが違うのか、ということを考え始めたところに、ある友人からの連絡があった。
 彼は長年購読してきたTMSをやめることにしたという。毎号ワクワクしながら読んできたけど、最近はそのワクワク感がなくなったと言うのだ。

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2024年01月18日

ceiling tile rocks

 博物館のレイアウトの崖を作るにあたって、天井材の破断面を見せているということを書いた。これは筆者のアイデアではない。アメリカでそれをやった人の実例を見たことが元になっている。

 1980年代に近所のレイアウトを見せてもらった時、HOなのだが崖の高さが1 mもあるのに驚いた。触らせてもらうと天井材であることがすぐ分かった。
 それはなるほどとは思ったが、すべての積層が水平であったので、実感味は乏しかった。ある程度斜めになっていると良かったと思った。

ceiling tile 天井材を使うのは良いアイデアだと伝えると、
「なーに、Model Railroaderの記事を見たからやってみただけだよ。」と答えた。
 その号がいつだったのかは、なかなか探し出せなかったが、ついに見つけた。HOではかなり荒い感じがする。

 まだ材料がかなり残っているので、ご希望の方には差し上げる。比較的新しいものだから、アスベストは含まれていないはずだ。 

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2023年08月23日

続々々 山川 眞氏の死去

connecting DC 山川氏のレイアウトは畳の部屋に敷いてある。離れの12畳、8畳、廊下、納戸を経由して戻ってくる。側線は数本あり、客車列車が置いてある。電源は古いバッテリィ充電器とスライダックを組み合わせたもので、逆転スウィッチは露出型の大きなナイフ・スウィッチであった。
 
 あるとき、内部で断線したらしく、助けを求めていらした。手元にあった直流安定化電源(0volts が出るように改良済)を進呈すると、大変喜ばれた。

 この簡易レイアウトは床面にあるので、寝転がって鑑賞する。子供の頃を思い出す。なめらかな走行で、うっとりする。よその運転会場でのあのガラガラ走行とは異なる。ただ、枕木と路盤との間の緩衝材が無いので、甲高い音がするのは否めない。分岐の結線部は十分狭く、落ち込んだりしない。

 訪問すると毎回二人で寝転がって運転を鑑賞した。実に楽しい時間であった。のちに当博物館にいらしたのは、どの程度の静かさなのかを確認するためであった。 
 静かでよく走ったのでご満足を得た。3階が空いているので、そこをOJの展示室にするようお願いされた。実は、先月からそのプロジェクトが動き始めていたのだ。 

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2023年06月22日

饋電線

 クラブの大先輩のH氏から電話があって、工事の手伝いに行った。以前からの懸案であった側線へのポイントマシンの取り付け、配線の依頼であった。H氏は片手の自由がきかないので、この種の下に潜り込んでの作業はできない。その種の仕事のお手伝いは、喜んでさせて戴いている。H氏の様々な工夫を見せて戴くのが楽しみだからだ。

Mr.H's layout (1) 今回は裏側をよく見せて戴いた。裏には裸銅線が張り巡らせてある。レイル1本毎にフィーダ線がハンダ付けしてあり、それは路盤下でこのようにハンダ付けされている。

 低電圧であるから、被覆の必要はない。複線線路の順に設置してあるから、間違うこともない。その部分を磨いて銅線を巻き付け、フラックスを塗ってハンダ付けをする。あっという間の仕事である。
 ポイントは筆者が作成したもので、トングレイルの方向によってフログの極性が変化する。ポイントマシンの接点にフログをつないで完成である。

Mr.H's layout (2) 試運転の結果は上々で、今後が楽しみだ。このレイアウトは電車主体の運転を楽しむもので、曲線の半径は小さい。直線部が長いので、気分が良い。近鉄電車の6連が軽快に走る。 

 右下の部分は跳ね上げ式の橋で、出入りが楽である。持ち上げると橋のかなり手前から給電が遮断されるので、安全は確保される。 

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2023年05月27日

walk-around layout

 32年前に取り壊したレイアウトの解説を希望されているが、写真が見当たらない。引越し時にどこかに紛れてしまったようだ。

walk around sectional layout 記憶をたどるとこういうことになる。右端の戸棚は自作で、350 mm高、1800 mm幅の扉が手前に倒れて、平面になる。それには、さらに左へ展開できる路盤があって広げていたが、キッチンカウンタの高さが少し上がったので、一部を切り落とさねばならなかった。というのは蝶番で線路が畳まれて、重ねて戸棚の中に収納されていたからだ。蝶番の高さが上がれば、跳ね上げられた部分は天井に当たるのは当然だった。
 その延長は3つのセクションに分かれ、軽く作ったが、ポリ塩化ビニルの路床で音が軽減された。あちこちに下駄を履かせ、高さを整えた。下駄には番号を振り、組立の時間を節約した。

 転車台は簡便な作りで手動である。径は570 mmで、大きな機関車は載らないが十分楽しめた。この動きを楽しむには、高さが大きなファクタであることがよく分かった。 

 赤の矢印は、SWAC のジャック位置である。引抜いて次のところに挿せば、問題なく制御できる。これは魚田氏が大変気に入った。
 後に、右下の方へと仮設の線路を延長して、緩和曲線のデータを取ったが、それは短期間だ。 

LDK2LDK 図だけでは分かりにくいので写真を添えるが、低い戸棚は全く別のものが置いてある。これは貸す直前の状態で、エアコン、ガスヒータ、ガス台、食洗機、壁紙などは当時のものである。 

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2023年05月17日

改装工事

 キッチンのカウンタ・トップは36インチ(915 mm)であり、そこに下駄を履かせた路盤を置き、高さ1 mの線路を作った。これは1978年ころから作ってあったが、改装前の高さは850 mmであった。少しでも持ち上げると見やすくて具合が良いことがわかった。
 
 ポイントを5つと小さな転車台を設置して、機関車の入換ができるようにした。長さ 7 mほどで、なかお・ゆたか氏製作の機関庫界隈の拡大版のようなものであった。最終的には少し曲線を作って10 m強の長さにしたが、マンション住まいではそれが限界であった。神戸の魚田真一郎氏がたびたび来訪して、高効率ギヤの運転を堪能していた。しばらくすると魚田氏は同じような線路(13 m長)を作って、楽しむようになった。そのポイントは、筆者が作った。
 発車後手元のスロットルのプラグを抜き取っても、電源がその電圧を保持するので走って行き、先方で差し込むとそのままコントロールが出来た。これらは日本初のウォーク・アラウンド方式であったことは間違いない。

 その4年後、現在の家の地下室にレイアウトを作ったが、設計する時のポイントの条件、緩和曲線などの基本的なデータはここで得た。それが32年前である。

new window sash and oak floor 国が補助金を出しているので、窓は断熱ガラスの窓枠に取り替えた。例の二酸化炭素による気温上昇の話だ。  
 断熱性の向上により、化石燃料の使用量を減らす事ができるので、外国に流れていく金を減らして内需に向けるわけだ。怪しい話に乗せられて、多額の国富を流出させている。一番得をしている国はロシアなのだが、誰もそれを言わないのは理解しがたい。要するに国土が狭くて人口が多く、工業が発展している国は二酸化炭素排出権を買わねばならないのだ。
 価値のないものを買うということを少しでも減らすために補助金を出したらしいが、根本的解決ではない。
 1億7000万年前、地球上の二酸化炭素は今の2倍以上あったことが確かめられている。その時の気温は今より7度も低かったのだ。さてこれをどう説明するのか。
 太陽の活動は一定ではないから、その影響としか考えられないのだ。地球人にとっては自らの活動で改善できることではない。おそらくあと数年で小氷河期がやってくるだろうが、二酸化炭素をばらまいても効果はない。

 新しいサッシは素晴らしい遮音性能があるので、国道からの騒音がなくなり、住みやすくなる。エアコンを最新型にしたら、とてもよく効くようになり、電気代を節約できる。

 傷んだ床の一部は削って研ぎ直し、再度塗り直した。3/4インチ(19 mm)の厚さがあるので、1 mmほど削ってもなんら問題ない。

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2022年10月15日

「私たちの立ち位置」

 仙台の今野氏が率いるKKC会報のコラムに、今野氏が表題の件について書かれている。
 概略を書くとこのようなことである。(著者承諾済) 

 我々は金属工作によって車輌を作り、それが模型としての唯一の最高峰であると思ってきた。最近のTMSのアニバーサリー・チャレンジの結果を見ると、それが通用しないことに気が付く。スクラッチから機関車を作るということはこの趣味の本筋ではなくなったのだ。
 機関車を作る人はそれを走らせるレイアウトを作るところまで行く人は稀である。また、レイアウトを作る人は、機関車を作ることは少ない。
 KKCでは、走りの追求をしようとする方向に向かいつつある。伊藤 剛 模型鉄道館のような、簡易なシーナリィではあるが高精度な線路を持つ運転場
(ディスプレイ・レイアウトと呼んで欲しかった)を作ろうではないか。

というものである。
 今連載中の内野氏の工作は、すでに過去のものとなってしまったのであろうか。そうではないはずだ。偉大な模型人のテクニックは、語り伝えなければならない。

 高効率ギヤが普及すると、どうしても長編成を走らせて勾配を登らせてみたくなるものである。さて、これでいくつかのディスプレイ・レイアウトが、日本にも出現するであろうか。  

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2022年09月30日

レイアウトの高さについて

 友人に会うたびに、表題の話題が出る。どなたも今月号のTMSを見ての感想である。

・広いことになっているが、広さが感じられない。
・通路と背景ばかりが気になって、良さを感じる余地がない。
・俯瞰撮影なら、少しは工夫したアングルで撮るべきである。
・高さが低いようだ。

 筆者はそのレイアウトの現物を見たわけではないので、雑誌の誌面だけからの感想を述べる。一言で言えば、視点が高過ぎる、である。”設定した視点”からの眺望を考えるべきであった。

 TMSのレイアウトの記事を、過去20年分ざっと見ての感想であるが、どれも視点が高い。すなわちレイアウトの高さが足らない。TMS 968号のNゲージレイアウトに橋を見上げる場面がある。とても良いのだが、1枚だけである。 
 先のコメントでTMS439号の記事が話題になっているが、他にはとても少ない。その記事では椅子に座って目の高さということである。1100 mmほどであろう。

train watching 当博物館のレイアウトのグラウンド・レヴェルの標高は1230 mmである。勾配があるので、最高地点では標高は1500 mm近い。
「そこで待ち受けて、通過するのを見ると興奮する。」
と言う人は多い。

 視点を標高1510 mmにしたのがこの写真である。重い列車が継ぎ目の音を響かせて走るのだから、鉄道ファンなら誰しも興奮するだろう。
 もう一つ、走行音が極端に静かであるということである。転動音は殆どしないので、分岐を渡るときのフログの音がよく聞こえる。もちろんギヤ音は全く無い。蒸気機関車なのであるから、そこも大事なポイントである。 

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2022年08月23日

TMS 968号

 鉄道模型趣味(TMS) 9月号献本が届いた。8ページの記事である。色調が普段見慣れたものとは微妙に異なるのは、照明のせいであろう。現場は電球色LEDであるから、誌面では補正が強めにかかっているのではないかと思う。
 ともあれ、Anniversary Challengeは終了し、一昨日までの東京のショウでもパネルと動画が展示されたそうだ。

 思わぬ方からたくさんの連絡を受け、驚いている。高校時代の友人や先輩、後輩、古い知人が電話をくれる。TMSはかなりの固定客を持っているものと推測される。

 その電話の中で一番面白かったのは、
「たくさん機関車を持っているからずいぶん買い込んだのだなと思っていたが、ほとんどジャンクから組んだのだね。」というものだ。
 筆者の数ある機関車群の中で、新品を模型店で購入したものは無い。全て、様々なルートで破損品、事故品などを入手している。どうせバラして組み替えるのだから、新品完成品を購入する意味はないからだ。組み替えるのならば、カツミ製(祖父江製)が一番やりやすい。頑丈であるから、下廻りを全部作り直しても全く問題ない。Lobaughも下廻りが砲金の鋳物なので、どんな加工もできる。

 レイアウトの構造についての話題もたくさん来た。一人でできる、大きなものを精密に作るための工法を考えたのだ。それが鉄骨造りであり、「レーザ・ビームによる水平出しと熔接」工法である。主たる骨は、熟練の熔接工に作ってもらい、組立てはほとんど一人でやったが、たまにお手伝いに来て戴くと、速度は3倍になる。
 熔接機は出力 7 kW と3 kWを用いた。 路盤の高さは1230 mm(1200 mm + 30 mm)であり、当初はかなりの反発を受けたが、出来上がってみると、実に良いという意見ばかりだ。観覧者の視点は、相対的になるべく低いほうが良いのである。

 車輪を独自に製作していることに関する話題も多かった。
「昔から車輪の形にはうるさかったよね。」
ということだったが、それよりも、「既存の車輪では牽けない」というのが、そもそもの原動力になったと答えた。いくつかのやる気のある旋盤工場に仕事をしてもらい、数を捌かなければならないので、アメリカで売ったのだ。安くて高性能だったから、猛烈な勢いで売れ、数千軸をスーツケースに入れて運び屋をやっていたこともある。今は枯渇状態だが、いずれ再生産できる。 

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2021年12月30日

続々 走らないものも鉄道模型か?

 今野氏の記事中、走らないレイアウトとあったが、それが何を意味しているのかは、よく分からない。この号には無いようだ。

 当ブログで扱ったのは、北海道のレイアウトについてである。雄大な景色を作られたようだが、実物通りの列車を牽けないらしい。これは悲しい。勾配を作るときは、ある程度の計算をして、可能な範囲を掴むはずだ。そして実験をして確かめる、という手順を踏むのが普通だ。被牽引車の抵抗も当然測定してみなければならない。
 高校1年夏休み前程度の初歩の物理であり、難しいことを言っているのではない。自分でやる自信がなければ、友人に手伝ってもらうのも、恥ずかしいことではないはずだ。それをしていないということは、理解し難い。


 たかが模型といえども、物理法則はあまねく適用される。作ってみて駄目だったというのは、中学生の工作までであろう。気分だけで作るというのは避けるべきことだ。

 筆者が博物館のレイアウトを作るに当たって留意したのは、絶対に躓かない運転を確保することであった。
 過去の実験データから確実に実現できる範囲のものを作ったわけで、難しいことをしたわけではない。オペレイションを見せるディスプレイ・レイアウトであるから、走り以外考えることはなかった。

 TMSは、レイアウトの紹介については、大きなミスを犯している。それはディスプレイ・レイアウトという概念を紹介して来なかったことだ。走りを確保しないレイアウトは、存在価値がないということを周知してこなかった。シーナリィ付きのレイアウトの紹介ばかりだ。しかも最近は異常に細かく、綺麗なレイアウトの紹介ばかりである。
 音の問題動き(緩和曲線も含めて)については、ほとんど見ない。それで良いのだろうか。 

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2020年10月18日

続 最短の鉄道

 椅子は、バッタ屋で極端に安価で手に入れたものだが、有名なデザイナの製品らしい。足を切って台車に熔接したのだが、それを見て「ああもったいない。本物なのに。」と友人が漏らした。

 角度を考えて取り付けてあったのだが、評判が良くない。座ると嵌まり込んで、立ち上がりにくいと言う。この椅子は、腰が嵌まり込むように設計されていたのだ。そこで、少しバネを利かせて持ち上がるようにしてみた。それは単なるバネでは意味がない。行きと戻りで速度が異なるべきだ。

moving chair (3) 友人の鉄工所に図面を持って行って相談すると、「それは面白い」とすぐに作ってくれた。自動車のリア・ハッチを支えるガス・スプリングを付けると、体重を掛ければ静かに沈み、立ち上がるときはかなり早く追随するので、立ち上がりやすい。沈む速度よりも復帰する速度の方がはるかに大きいので、少し体を持ち上げて体勢を立て直すときには沈まない。だから楽に立ち上がれる。もちろん頭上にあるハンドル(グラブアイアン)を掴んで体を持ち上げるのだ。何回かやってみると、なかなか具合が良い。
 椅子の前の鉄骨には足を載せる。足で床を蹴って移動するのは難しい。上にあるつかみ棒を握って移動するのだ。ボールベアリングのお陰で、極めて小さい力で動かせる。


moving chair (2) 設計に際しては、絶対に指を挟まない構造にした。挟みそうな部分に手が届かないようにすれば良いのである。
 ガス・スプリングに掛かる力は、想定体重の1/2にするべきだ。当初、テコにより約2倍の距離にあることを失念してしまった。手元の 420 N(約43 kg重)のものを嵌めたが、相撲取りほどの体重を掛けないと縮まなかった。そこで240 Nのものを購入して取り換えたところ、実に調子よく作動する。
 屋外で塗装する時に写真を撮った。

「世界で一番短い鉄道だ」と言うと、納得する。電動にしてくれという要望もあるが、さすがにそれは難しい。

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2020年10月16日

最短の鉄道

moving chair (4)moving chair (1) 博物館のレイアウトの周回線路をくぐって内側に入る時、頭とか背中を打つ人が出て来た。筆者は慣れているから問題ないが、初めての人はかなり困るようだ。床から1080 mmだからそれほど低くはないが、歩いて通るのにはやや問題がある。
 当初はくぐって行く距離が短かったので、低いところに掴み棒があれば、それを支えにして簡単に入れた。ところが、留置線を増設したので、くぐって行く距離が長くなり、下を3歩、歩くことになった。屈んで3歩というのは、意外に大変な距離だ。背中を打つ人が続出したが、路盤の骨組みが堅固なので、当たると痛い。そのショックで留置線の車輛が脱線する可能性はないが、それだけ痛いということだ。

 30x30のアングルを伏せた線路を作り、その逆V型に合うボールベアリングの車輪を付けた椅子を作ってみた。熔接で簡単に作れるのだが、座って貰うと評判が今一つである。

 Vレイルに合うボールべアリングの台車のようなものは、レールコマという商品である。昔本棚があまりにも多くなり、スペイスの節約のために可動式としたときのものである。まだいくつかある。本来は製材所で、原木を載せた送材車が直線上を往復するようにする車輪である。片方はアングルをレイルとして鋸との距離を保つが、他方は平板を張ってある。


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2020年07月26日

Blue Star Pacific RR の移設

 椙山 満氏のBlue Star Pacific RRが解体、移動された。

Blue Star Pacific RR  (3)Blue Star Pacific RR  (2)Blue Star Pacific RR  (1) レイアウトの甲板の厚さには驚いた。約32 mmもあった。古くなって多少膨らんでいるようなので正確な厚さはわからないが、26 mm程度の厚さのパーティクル・ボードの上に5.5 mmの合板を全面に接着剤で貼り、その上に線路を敷いている。筆者が手伝ったのは、その甲板が完成した後であったので、構造はよくわからなかった。この甲板部分はすさまじく重い。

 たいていのレイアウトでは薄っぺらな音がしたが、ここの走行音は重々しかった。椙山氏が、「合板が薄いのはいけません」とおっしゃっていたのはこれだったのだ。ようやく合点がいった。過去に数回の小規模レイアウトを製作した経験から、厚さを決められたのだろう。

 甲板の切り離しには電動レシプロソウを用いた。ジャッキで2 mmほど持ち上げて隙間を作り、鋸刃を差し込んで、ホゾごと釘を切った。直径が3mmもある釘が3本づつ打ってあったので、手間取ったが、切り外すことに成功した。梁には細い釘しか刺さっていなかったので、それは一瞬で切り落とせた。延数百本の釘を切り外して甲板を持ち上げた。アメリカ製1種、日本製3種の鉄鋼用刃物を使って切れ味を比較したところ、日立の特殊鋼で出来た刃が一番よく切れた。

moving the layouttenon その下部構造は想像を絶するものであった。家を建てるような太さの柱を6本立てた上で、小柱を20本立て、梁を載せている。梁はほぞを組んで、さらに釘で抜け留めをしている。上で相撲を取っても大丈夫な構造である。分解するのに大変苦労した。腕の良い大工に、十分な手間賃を取らせて作ったことが分かる。全く狂いが無いので、嵌めたガラス戸は、滑らかに動いた。

helperson the truck bed 若い助っ人が何人か来てくれたので、土台から切り離した重いレイアウト本体を運び出してトラックに載せることができた。これで約1/4 である。トラックが2台あったので、2往復である。 
 上物だけで約120 kg、土台は360 kgほどあった。

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2020年07月02日

椙山 満氏のレイアウトの移設

レイアウト移設 かねてより告知していた椙山氏のレイアウトが移設されることになった。K氏と共に、引き受けて下さる方に会った。その方は四日市市内の方であった。
 1日昼頃に現場で落ち合い、打ち合わせをした。レイアウトには10年前の断層あとがある。それは活断層で、今回もそこから切り離す予定だ。
 事前に、電源やいくつかの車輛も付属品としてお渡しした。今後大切に使われるはずだ。


 K氏は椙山氏より8歳若く、戦後すぐからの椙山氏の片腕であった。知り合ったきっかけは、電柱に貼ってあった一枚の紙切れの広告であった。椙山氏の字で、「鉄道模型の運転を楽しみましょう」とあったそうだ。それを見て会場に行って知り合ったのが始まりであったそうだ。
 椙山氏は中学生のK氏を、付きまとうチンピラどもから、身を挺して守ってくれこともあったそうで、「椙山先生がいなければ、自分はどうなっていたかわからない」と述懐する。
 鉄道趣味、8mm映画、シトロエンを共通の趣味としていた。古いTMSを探すとK氏の近鉄2200の紹介記事が見つかるだろう。シトロエンは走行可能なDSをお持ちであり、いろいろなところから声が掛かるそうで、貸し出している。
 工作はとてもお上手である。今でもその2200は走行可能である。この動画の2分23秒あたりには、若き日の椙山 満氏も写っている。

  思えばちょうど50年前、椙山氏が駐車場の上に、看護婦の寮を建てるのがきっかけだった。ついでに3階を載せてしまえばレイアウト室になると思い付いたのだ。設計は椙山氏だが、当時国鉄に勤めていた電気技師のH氏が製作を陣頭指揮し、筆者もお手伝いした。完成時には慰労会を開いて戴いた。
 このレイアウトにはPECOのフレクシブル線路が全面的に採用されている。事前のテストで各種の線路を直列につなぎ、高速で長時間の試運転をしたのだ。一月ほど連続で走らせると、PECO以外はレイルヘッドが磨滅して脱線するようになったのだ。

 耐久性について筆者の目を開かせてくれたのは、椙山氏である。以来筆者は”Ready to Run”でなければならない、”Durability"を持たないものは模型ではない、という信念を持つに至った。
 塗装済みであること、窓ガラスが入っていること、ディカールが貼ってあることは大切な要素である。これも椙山氏の教えである。

 椙山氏のレイアウトは運転本位で平面上に作られているが、一箇所5%の急勾配があり、本線を乗り越している。これは勾配がなければ性能が分からないということと、内側から最も外の線に移行できるようにして、各種ポイントをくねくねと渡る長距離の走行試験ができるようにしたものである。外部の人が得意げに持って来た車輛を走らせると9割以上はどこかで引っ掛かる。一発で無事故で周回したのは井上豊氏の機関車くらいのものである
 若かった筆者はそれを見て、よく走る機関車製作を目標とすべしと心に誓ったのであった。

 その後Model Railroader への投稿をすることになり、筆者もお手伝いした。 

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2020年03月26日

続々 Texasからのメイル

 もう一人のMike Rは糖尿病の医者である。こちらも週2日しか、仕事に行っていないという。レイアウト漬けになっている。静電気で芝を植える装置を改良して、猛烈な速度で緑化したようだ。
 知らない間に橋を架けた。トラス橋は韓国製のブラス製である。ガーダ橋は Atlas の製品だそうだ。本体は金属製で、上のデッキ部分は耐候性のあるABS樹脂である。屋外での使用を考えた製品らしい。
 このレイアウトも線路はすべてハンドスパイクである。ここまで来るのに20年以上掛かっている。生きているうちにはできないと言っているが、もったいないから早く作れ、とけしかけてある。

 

「Tad が来てくれると出来る。航空運賃を払うから一月ほど来ないか。」と言ってきたが、こちらは信号機と転車台で忙しいから断っている。
 逆にこちらへも来たいという。彼は48年前に横須賀の海軍病院に赴任していた。当時はまだ蒸気機関車が沢山いた時代なので、日本中写真を撮りに歩いていた。コダクロームのスライドが数千枚あるそうなので、それを日本で出版したいとも言っていた。それもあって日本に来たいのだ。その時はうちに居候する予定だ。博物館の工事を手伝ってもらう。

 彼のところにはLow-D車輪が沢山ある。先日それを付けたタンク車を線路に置いて振り向いたら、それが消えていた。猛烈な速度で1%の勾配を下り降り、レイアウトをほぼ半周して目の前に止まった。事故はなかった。「壊れないで良かったけど、ひやひやしたぜ」と言う。この動画を送ったら、全く同じ走りだったそうで、喜んで見ていた。


 彼はFEF4のメカニズムに非常に興味がある。驚異的なメカニズムだと言っている。テンダの先台車の首振りリンクもやりたいようだ。 

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2020年03月10日

信号橋

signal bridges 1月から殆ど信号機に掛かりきりである。信号橋はそこそこの細かさで完成したが、時間が掛かったのはそれに付く信号機そのものと、手摺り、歩み板である。
 この場所に置くのではないが、たくさん並べて写真を撮った。これらは、まだ未完成の状態であることをお断りしておく。まだ手摺りが付けてない。下にある独立型は完成している。

 日本語では、手摺りは縦横両方の部材を指す場合が多いが、英語では手に触れる棒が hand rail, 縦の柱は stanchion という。
 
cantilever signal bridge (3)cantilever signal bridge (2) 片持ちの信号橋は完成した。手摺りが付いていると立派に見える。これは、重心が偏っているので、”L”の字の針金を裏にハンダ付けし、台枠にあけた孔に挿してある。下手に接着すると収拾がつかないこともあるので、抜き差しできるように配慮した。人形と比べると、かなり大きなものである。. 

 いよいよ信号機の配線に掛かる。問題は細い電線であった。パイプの中を電線が通るのだが、絶縁が強く、ある程度しなやかな線を探していたが、なかなか見つからなかった。クラブの会員が提供を申し出てくれたので助かった。

 信号機ができれば、あとはポイントマシンの配線だ。これはDCCだから簡単である。連動のパターンを検討している。

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2019年12月09日

続 HOゲージャの訪問

 夫人は転車台が見たいと仰る。案内すると、その大きさに愕然とされた。亭主は、「うちには面積がないから難しい。」と言うと、ご不満そうであった。
 その後ろの岩壁を見て「凄い!」と褒めて戴いた。よくある例には、線路の上に山を被せてトンネルを作ったようなものが多い。
 実際の鉄道は山を避けて作られる。実際にある山沿いの鉄道を見ればよく分かるのだが、そうでない模型は多い。

「この山は、本当はこの辺まであったのですけど、線路を敷く必要があって削らなければならなかったのです。半分は発破を掛けて崩し、残りは岩が軟らかかったので擁壁で抑えてあります。」とストーリィを説明すると、なるほどと感心された。色については不思議そうだ。この色のままか、それとも茶色に塗るのかと聞かれた。
 そこでディスプレイ・レイアウトという概念について説明した。色が無くても不自然でない、と仰ったので安心した。逆に実際のレイアウトでは、色が不自然なものが多いのは残念だとのこと。

 転車台のメカニズムを遠隔操作で動かしてお見せした。適当な位置まで廻して、アラインメントをあとで合わせるのを見せたところ、亭主の方が非常に感心した。
「どちらから来ても、必ず合うのだね。凄い!」
と興奮した。シャフトの太さについても正しい認識を持つ方であったので、殆ど説明することなく理解戴けた。細いシャフトはダメなのである。また、必ず回転橋の両端が線路の高さと合うことも理解戴けた。大きさがあるから、外の線路と高さが合うと、自然に橋の質量による捻りで馴染んで、もう一方も合う。剛性を少なくした設計にはなるほどと納得してくれた。

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2019年11月02日

display layout

 このブログでは過去に何回かディスプレイ・レイアウト話題を出している。

 景色が付いているレイアウトのことをscenery layout 、走行を見せるレイアウトをdisplay layout と呼ぶ。わが国には前者をレイアウトと呼ぶことだけが紹介されてきた。後者の好例がペンシルヴェイニア州の友人宅にある。色は薄い白に近いグレイであった。

 そのレイアウトは 30 mx15 mほどあり、高架でのベント・ドッグボーンと平坦線の同様の線路があり、渡り線で行き来できた。一周10分弱掛かった。景色がないのは物足りないようにも思えたが、長い列車の走行を見ると満足できる。渡り線の操作で、上下を自由に走らせられるのも面白かった。
 
 シーナリィがないとは言え、築堤部分はそれなりの形をしている。トンネルもあるが、ストラクチュアがない。彼のレイアウトはよく整備されていて、いろいろな人が列車を持ち込んできて楽しむ。勾配があるので、動力機構を改良したものでないとモータが焼ける。

 線路にはバラストが敷いてある。これはゴム製の粒子で、ただ撒いてあるだけである。所定の幅に敷けるように簡単なジグで撒き、刷毛で整えてある。地震がなく、完全な空調が効いているから、砂ぼこり、綿ぼこりもない。気に入らないところは、掃除機で吸って撒き直す。このバラストの視覚的効果は大きい。 

 貨車の車輪はLow-Dになったので、さらに長大な列車を牽けるようになった。土屋氏と訪ねたことがある。土屋氏はとても気に入ったようだ。そこでレイアウト高さの考察もした。
 彼らは背が高いので、テイブルの面は、52インチ(約1320 mm)もあった。高架部の最高地点は、64インチ(約1620mm)であった。15‰の長い勾配を登って行く様子は、実に素晴らしかった。もちろんDCCでサウンド付きである。
 観客はストラクチュアのないことなど忘れている。 

 勾配、サウンド、長編成が、ここでの大切なポイントである。
 
 博物館の崖の完成した様子をお見せする。岩山に沿って線路を敷き、一部を崩してヤードを作ったという感じがするだろうか。
rock wall (2)rock wall (1)rock wall





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2019年10月25日

続 崖を作る

 ただ天井材を積んだだけでは、隙間がたくさんある。そこに天井材のかけらを自然に見えるように詰め、ワイヤブラシでこすってなめらかにつなぐ。パテも少し詰めた。助っ人が来てくれたので、お手伝い戴いた。遠くから見て、修正箇所を教えて貰ったので、ほとんどの穴が塞がった。

Rock (1) 新聞紙、マスキングテープ、マスキングフィルムを使って、周りを養生し、ペンキが飛んでも問題ないようにする。そうして、天井に塗った白い水性塗料を塗る。毛の長いブラシを左右に刷毛を動かし、たっぷりと浸み込ませる。
 要するに、この塗料はプライマとして使っている。そうでないと、油性塗料がいくらでも浸み込んで仕舞う。また、水性塗料を浸み込ませるときに、刷毛の動きで、天井材のちくちくした断面が多少丸くなるので、風化したように見えて具合が良い。

 次の日の油性塗料を塗るための準備をした。他にもある塗らねばならないものを全て並べ、段取りを良くしておく。油性塗料は、缶の蓋を開けている時間をできる限り短くするべきである。酸素が入って反応すると、少々粘くなると同時に、固まりにくくなるからである。これは、部分的に重合し、硬化するのに必要な腕の数が減るからであろう。


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2019年10月23日

崖を作る

 崖を完成させることにした。天井材を割って貼り重ねた状態で、1年ほど放置してあった。残りの部分を完成させ、塗装する。岩は重なっているが、ある程度の傾斜を持っている。全体を通じて、その傾斜の辻妻が合わなければならない。

 要するに、大きな岩山があって、その岩を避けて線路が敷かれたことになっていなければならない。必要があってどうしても崩さなければならなかった部分は、それなりの形に修整する必要がある。そうすれば、全体を見た時に歴史的な変化が分かる。

 以前写真をお見せしたものは「背斜」の部分で、その続きが必要であった。傾斜は少しずつ緩やかになり、水平に近くなる。こうすれば、全体を見た時、自然な感じがするはずだ。

trimmed rock wall この部分はドリルで深く掘って、小規模な発破をかけ、崖の傾斜を垂直に近くしたものを模している。岩が堅ければ良いのだが、脆い場合は擁壁を作らねばならない。これは下塗りの状態である。 
 土木の専門家に聞くと、擁壁は垂直でも何ら問題ないのだが、少し角度を付けたほうが安定感があるとのことであった。80° 程度にした。

 擁壁のデザインはあちこち見たが、昔 New York州 Albany付近で見たものが気に入っていたので、それらしきものを作った。


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