ハンダ付け
2026年04月11日
Alco RS2 by Kemtron
博物館で整理をしていたら出て来た 。1輌目は30年ほど前に西海岸で買った。ロストワックスと厚板を組合わせる典型的な Kemtron のキットである。台枠は 0.8 mmほどの板に 3.2 x 12.7 mm の角材を貼る凄まじく重い製品である。床から上だけで 1 kgもあるのだ。厳密にはこれはキットではない。素材と説明書の詰め合わせだ。様々なパーツを自作して取り付けねばならない。孔は自分であけ、ネジを切る。そのネジも自分で調達し、場合によっては切って短くする。現代のキットのような至れり尽くせりではない。駆動装置は直ちに外して始末し、台車は韓国製を完全にリビルトして取り付けた。Ajin の台車はとても弱く、こんな重い機関車には負けてしまう。台車ボルスタは補強し、へたらないようにしている。軸箱にはボールベアリングを入れ、軸方向のガタを無くした。これは機関車の性能を上げる重要なポイントである。台車内で車軸がその長手方向に動くような車輌がまともに走る筈がない。
駆動は3条ウォームとチェインである。今思えば小さなモータを使って直接駆動し、チェインを省くこともできたと反省している。押すとするすると動く。極めて高い伝達効率を持っている。おそらく50%以上である。
この組立で大切なのは、手摺の取付けである。4 mmもある床板に孔をあけ、ロストワックスのスタンションをハンダ付けせねばならない。ハンダごてでは難しい。炭素棒ハンダ付け機の新世代型である 40-Amp 型を用いた。ハンダは63%を用い、塩酸を含む強力なフラックスを塗った。さすがによく付いたので、安心できる。塗装後に部品が外れると大変気分が悪いからだ。 床下のタンク類は作らねばならない。薄いエッチング板で作るようになっていたがそれは捨てた。もう少ししっかりした材料で作る予定だ。エアタンクは重いロストワックス鋳物であった。それを厚い床板に止まりネジを立てて留めねばならない。不完全ネジ部を少なくするのだ。厚さが 4 mm近いので難しくはない。タップの先を削り落とし、2山掛かれば良しとする。
2026年03月08日
handrail knob
タンク車の組立でハンドレイル・ナブをかなりの数付けた。60年前の日本製の部品である。中には孔のない不良品もあったが、数輌の貨車を完成させることができた。残りの数を数えるとあと数輌分で、無駄使いは出来ない。
部品箱を丁寧に探すと、Lobaughの部品も見つかった。これは日本製とは異なり、孔ではなく溝が切ってある。針金を入れてハンダを盛るわけだ。こういう時は63%を使うと必ず失敗する。盛ることが出来ないからだ。
孔のないものはこの方法で溝を切って使った。残り少ないので有効に使用した。孔をあけようと思うとジグを作らねばならず、簡単な方法を試してみた。ハンダは硬い銀ハンダを用いた。うまく表面張力で丸くなった。
同社製だが孔のあるタイプもある。写真下に示す。孔をあけた後、バリ取りがしてない。
根元にはネジが切ってある。1-72というネジである。蒸気機関車のボイラにタップを立ててねじ込む。ボイラが分厚いLobaughならではの方法だ。
ネジが根元まで切れていないので、最後の方は無理やりにネジ込むことになる。日本製にはこういう設計はないようだ。
部品箱を丁寧に探すと、Lobaughの部品も見つかった。これは日本製とは異なり、孔ではなく溝が切ってある。針金を入れてハンダを盛るわけだ。こういう時は63%を使うと必ず失敗する。盛ることが出来ないからだ。孔のないものはこの方法で溝を切って使った。残り少ないので有効に使用した。孔をあけようと思うとジグを作らねばならず、簡単な方法を試してみた。ハンダは硬い銀ハンダを用いた。うまく表面張力で丸くなった。
同社製だが孔のあるタイプもある。写真下に示す。孔をあけた後、バリ取りがしてない。
根元にはネジが切ってある。1-72というネジである。蒸気機関車のボイラにタップを立ててねじ込む。ボイラが分厚いLobaughならではの方法だ。
ネジが根元まで切れていないので、最後の方は無理やりにネジ込むことになる。日本製にはこういう設計はないようだ。
2026年02月26日
ブラス工作の伝承
拙ブログに連載のハンダ付け記事に関して、あるHOゲージャーから投稿戴いた。非常に良いところを衝いていると感じた。掲載の許可を得たので紹介したい。
あくまでもHOゲージについての私見ですが、モデラーの世代交代の時期は10-20年前に過ぎてしまった感があります。ちょうど昨年が昭和100年、戦後からHOが広まったと仮定するならば80年経ちました。昭和18年生まれの父親を見ていると、私が生まれ育った昭和40〜50年代がモデラー的にも市場的にもHOの絶頂期だった気がします。ブリキやブラス製品が当たり前、今オークション・サイトに出品されているバラキットもこの時代の商品が多く見られます。 私が小中学校の頃は9ミリゲージ、今のNゲージが爆発的に流行し始めました。大人はHO、子供はNという棲み分けが発生したように感じられました。我が家はHOしかありませんでしたが、学校の鉄研に入部するとほとんどの部員は小遣いで入手できるNゲージでした。一度手にしたサイズを変えるのは困難ですね。私もHO のまま、Nゲージ派はHOに手を出すことも無く、誰もがそのまま進級・進学・就職したことと思います。
その頃、HOでもプラスチック製のスケールモデルが発売されて話題となりました。その細密感は今までのツンツルテンでオモチャ然とした金属製品を一気に陳腐化してしまい、今までは天賞堂と一部のカスタムビルダーのみであった細密至上主義が、瞬く間に広まってしまった瞬間です。
それからもう40年近く経とうとしています。結局NからHOに手を伸ばす人は稀で、私の父親のようなHOを盛り上げた世代は内装も無いオモチャ然とした金属製車輌をこれまたインサイドギヤ丸出しの重たい機関車でゴリゴリ走らせています。一方、若者から中年層は新発売のプラ製の編成物を自慢げにシャーシャー走らせています。その中で知識と興味がある人は3Dプリンターを駆使して車輌や部品を作り、そして中古市場は鬼籍入りされた方々の遺品整理で賑わっているという現状です。
ビギナーが入門用にと年代物のブリキやダイキャストの貨車を買うことはまず無いでしょう。同様にブラス車輌メーカーが発売している入門用のブラス製キットから始める学生がいるのでしょうか? 結局、NモデラーはNのままです。HOモデラーもプラ製品で育った世代は金属製車輌に興味が無く、ブラス製キットを組むノウハウが継承されないまま、10-20年前あたりからあまたの先達が旅立たれてしまった ように思えてなりません。プラ製品しか持ってない人が、キハの一輌でも、客車や貨車の一輌でもブラスキットを組立・塗装して走らせていたならば、金属工作の技術もしっかり継承されて望ましい形で世代交代がされていたように思いますが、実際には興味の外のようです。
しかし、TMSをはじめとする鉄道模型雑誌が、ブラス工作の基礎中の基礎である「ハンダ付け」の原理や正しい手順すら掲載せず 、さらにはメーカーのハンダ付け講座の動画も間違いだらけですから困ったものです。
あくまでもHOゲージについての私見ですが、
その頃、HOでもプラスチック製のスケールモデルが発売されて
それからもう40年近く経とうとしています。結局NからHOに手
しかし、TMSをはじめとする鉄道模型雑誌が、
2026年02月20日
tank car
このタンク車はWeaver製のプラスティック製である。アメリカのジャンク市で素人が塗装して Dow Chemicalにしたものを5ドルくらいで買った。15年程放置されていたが、その青色の彩度が低くて見るたびに腹が立ったので、別物に仕上げることにした。そのきっかけはこのディカールである。Walthersの製品で、新しくて貼り易そうであった。それを友人から譲られたので半艶の黒を吹いて貼った。
タンクボディ自体には何の不満もなかったが、上のデッキの手摺が太かったのだ。むしり取って穴をあけ、柱を立てた。こういう仕事はスーパーXに限る。耐熱性があるからだ。
そうしておいて別の針金を曲げて孔に差込み高さを調節する。針金がT字に付くところは端面に目立てヤスリで丸い溝を付けて、形よくハンダ付けできるようにするのがコツだ。適当に突き合わせてハンダをぼってり付けるのではなく、合金層だけで付けるようにすると丈夫になるわけだ。コテは30 Wで十分である。塩化亜鉛液を塗ればスズ63%ハンダで一瞬で付けられる。そのまま水洗いすればよい。スーパーXという接着剤は耐熱性があるから何の心配もない。加えた熱量が小さいから、本体のプラスティックも融けることはない。しかし、もたもたしていると失敗することはありうる。
この程度の工作をしただけで、誰もプラスティック製であることが分からなかった。要は細いものを細く作るだけのことである。先輩の仰った「華奢に見えるようにする。」というのがすべてを表していると思う。
2026年02月06日
続々 またまた炭素棒ハンダ付けについて
炭素棒を赤熱させると約 800 ℃になる。この温度では一酸化炭素が大量に出るからやってはいけない。それは当然だが、もう一つは穴があく可能性があるからだ。薄い板だと一瞬で穴があく。厚いものでもそこに凹みができる可能性もある。
洋白であると、より簡単に穴があいてしまう。それは洋白の熱伝導度が極端に低いからである。熱が逃げないということは温度が上がりやすい。その結果融けやすいわけだ。
筆者は洋白を使うときは電圧を下げて電流を制限する。熱の伝わる範囲は狭く、やや使いにくい。こういう時は大きいハンダコテを使うほうが楽である。
ハンダコテの先がハンダでぬれるようにして、そのハンダを熱媒体として使うべきであるという論調によく接するがそうでもない場合がある。筆者はハンダが付いていない真っ黒に錆びたハンダゴテを、強く熱して押し付けるという手を使うことがある。これは炭素棒ハンダ付けとそれほど変わらない。違いは先端が細くないことだ。先に軸に対して垂直に近い大き目の平面(3x10 mm程度)を持たせて、そこが全面的に接触するようにする。
コテに溜まった熱は一気にワークになだれ込んでハンダを融かす。問題はその後で、炭素棒のように電流を切れば冷えるということはないので、細い棒でワークを押えながらコテを放す。
これはプロの手法で、祖父江氏は「ハンダは力で付けるんだ。」という名言を残している。その意味もあって、ハンダコテの握り方はスリコギ持ちであるべきだ。この持ち方以外では力は入らないし、先が安定しない。
冷めるまで数秒以上保持せねばならない。これを厚いブラス板の上でやると、熱の発生速度は炭素棒ほど大きくないので、熱は下に逃げてしまい温度が上がらない。すなわち失敗する。
コテによるハンダ付けは名人芸でもあるのだ。炭素棒はその難しいところをうまく避ける方法である。片方だけでうまく行くわけではない。どちらも利点、欠点があるのでそれをうまく使い分けることが成功への近道である。
洋白であると、より簡単に穴があいてしまう。それは洋白の熱伝導度が極端に低いからである。熱が逃げないということは温度が上がりやすい。その結果融けやすいわけだ。
筆者は洋白を使うときは電圧を下げて電流を制限する。熱の伝わる範囲は狭く、やや使いにくい。こういう時は大きいハンダコテを使うほうが楽である。
ハンダコテの先がハンダでぬれるようにして、そのハンダを熱媒体として使うべきであるという論調によく接するがそうでもない場合がある。筆者はハンダが付いていない真っ黒に錆びたハンダゴテを、強く熱して押し付けるという手を使うことがある。これは炭素棒ハンダ付けとそれほど変わらない。違いは先端が細くないことだ。先に軸に対して垂直に近い大き目の平面(3x10 mm程度)を持たせて、そこが全面的に接触するようにする。
コテに溜まった熱は一気にワークになだれ込んでハンダを融かす。問題はその後で、炭素棒のように電流を切れば冷えるということはないので、細い棒でワークを押えながらコテを放す。
これはプロの手法で、祖父江氏は「ハンダは力で付けるんだ。」という名言を残している。その意味もあって、ハンダコテの握り方はスリコギ持ちであるべきだ。この持ち方以外では力は入らないし、先が安定しない。
冷めるまで数秒以上保持せねばならない。これを厚いブラス板の上でやると、熱の発生速度は炭素棒ほど大きくないので、熱は下に逃げてしまい温度が上がらない。すなわち失敗する。
コテによるハンダ付けは名人芸でもあるのだ。炭素棒はその難しいところをうまく避ける方法である。片方だけでうまく行くわけではない。どちらも利点、欠点があるのでそれをうまく使い分けることが成功への近道である。
2026年02月04日
続 またまた炭素棒ハンダ付けについて
この種の電源装置はDCを出力するものが普通で、大きなDC電流計が付いている。それを使わないのはもったいないので、主電流をポラライズして直流区間を作り、それをDC電流計に通すと交流電流を読み取ることが出来る。
理屈は単純である。このリンクの記事にある回路図の界磁部分がDC電流計になれば良い。
元の配線の2本だけを外して付け替えた。配線変更の数を最小にするのはちょっとしたパズルであったが、要するにこのようになれば良いのだ。
この種の工夫を見せると、「そんな面倒なことをしなくても直流でハンダ付けすればよいのに。」という意見が必ず出て来る。
それは決してやってはいけない。塩化亜鉛水溶液を使っているので+極から塩素のガスが発生する。これは第一次世界大戦で使われた毒ガスであり、肺が壊れる。即死しなくても度重なれば癌になるだろう。
中米でこの操作を鉛バッテリィで行っているのを見たが、極めて危険である。屋外でやっていたのが救いであるが、絶対にやるべきでないのだ。
炭素棒ハンダ付けは交流でと覚えておいて戴きたい。
電圧計も読めるようにしたければ、適当なダイオードを介してつなげば良いだろう。これは単純な話だから誰でもできるはずだ。
理屈は単純である。このリンクの記事にある回路図の界磁部分がDC電流計になれば良い。
元の配線の2本だけを外して付け替えた。配線変更の数を最小にするのはちょっとしたパズルであったが、要するにこのようになれば良いのだ。この種の工夫を見せると、「そんな面倒なことをしなくても直流でハンダ付けすればよいのに。」という意見が必ず出て来る。
それは決してやってはいけない。塩化亜鉛水溶液を使っているので+極から塩素のガスが発生する。これは第一次世界大戦で使われた毒ガスであり、肺が壊れる。即死しなくても度重なれば癌になるだろう。
中米でこの操作を鉛バッテリィで行っているのを見たが、極めて危険である。屋外でやっていたのが救いであるが、絶対にやるべきでないのだ。
炭素棒ハンダ付けは交流でと覚えておいて戴きたい。
電圧計も読めるようにしたければ、適当なダイオードを介してつなげば良いだろう。これは単純な話だから誰でもできるはずだ。
2026年02月02日
またまた炭素棒ハンダ付けについて
炭素棒ハンダ付けについての質問が多い。見るからに熱量不足のハンダ付けを見ると黙っていられなくなり、トランスを探しプローブを作ってお世話することもある。
最近はこの種の二次側の線が太い電源装置(要するに 20 Amps流せるもの)がバッタ屋で手に入りやすい。世の中が省電力に向かったからなのだろうか。ケース入りで 2000円程度で買えることがある。メータも付いている。
迷わず買ってしまう。中を開け、配線を捨てて単純な回路にする。欲しい人に連絡すると喜んで持って行く。簡単な説明をすれば、足踏みSWを買うだけで完成できる。
炭素棒は赤熱させてはいけない。その瞬間に 800 ℃に達し、一酸化炭素がまき散らされる。また、炭素が一部昇華し、消耗が激しくなる。スウィッチを細かく踏み、500 ℃程度にするのがコツだ。
母材に接触している部分から半径 2 mmほどは 400 ℃程度になり、ハンダは一瞬で融解する。通電をやめればたちまち温度は下がる。
筆者は厚いブラスあるいは銅の板をアースとし、その上で作業する。熱が逃げてしまうと思う人は多いだろうが、その方が良いのである。炭素棒に接触しているところだけが熱くなり、その熱は急速に厚板の方に逃げる。熱が集中しているので目的の範囲だけを確実に融かす。その後熱が逃げ易いからすぐ冷めて固まり、押さえている時間が短くて良い。
要するに、コテではワークが温まるまで時間が掛かり、全体を熱くせねばならない。その間に他の部品が外れないかという心配がある。炭素棒なら、目的の箇所だけが熱くなり、瞬時にハンダ付けが終わる。ハンダは完全に融け、冷える時は脆いこしあん状態を急速に通過して堅い固体になる。
この種のブラス板(t 1.5)は大量に確保しているのでご希望の方には廉価でお譲りする。
最近はこの種の二次側の線が太い電源装置(要するに 20 Amps流せるもの)がバッタ屋で手に入りやすい。世の中が省電力に向かったからなのだろうか。ケース入りで 2000円程度で買えることがある。メータも付いている。
迷わず買ってしまう。中を開け、配線を捨てて単純な回路にする。欲しい人に連絡すると喜んで持って行く。簡単な説明をすれば、足踏みSWを買うだけで完成できる。
炭素棒は赤熱させてはいけない。その瞬間に 800 ℃に達し、一酸化炭素がまき散らされる。また、炭素が一部昇華し、消耗が激しくなる。スウィッチを細かく踏み、500 ℃程度にするのがコツだ。母材に接触している部分から半径 2 mmほどは 400 ℃程度になり、ハンダは一瞬で融解する。通電をやめればたちまち温度は下がる。
筆者は厚いブラスあるいは銅の板をアースとし、その上で作業する。熱が逃げてしまうと思う人は多いだろうが、その方が良いのである。炭素棒に接触しているところだけが熱くなり、その熱は急速に厚板の方に逃げる。熱が集中しているので目的の範囲だけを確実に融かす。その後熱が逃げ易いからすぐ冷めて固まり、押さえている時間が短くて良い。
要するに、コテではワークが温まるまで時間が掛かり、全体を熱くせねばならない。その間に他の部品が外れないかという心配がある。炭素棒なら、目的の箇所だけが熱くなり、瞬時にハンダ付けが終わる。ハンダは完全に融け、冷える時は脆いこしあん状態を急速に通過して堅い固体になる。
この種のブラス板(t 1.5)は大量に確保しているのでご希望の方には廉価でお譲りする。
2026年01月31日
再度 ハンダ付けについて
先日のハンダ付けの記事で感想を知らせてくれた方が何人かあった。継ぎ目に完全にハンダが満たされているのに感動したそうだ。
そもそもハンダ付けというのはこういうものである。筆者は幼稚園児の頃から近くの板金屋(樋や風呂釜を銅で作る)の仕事を見ていたので、ハンダが全面に沁み込むのをハンダ付けと言うのだと納得していた。ところがTMSに出て来るものにはハンダが見えないということを売り物にしているのがあって、それには大きな違和感を感じた。
それと、HOの製品で車体の妻部分が外れて壊れるのを見た。これはまずい。ハンダが金属疲労するのだ。 接触面積が小さく、しかも無理やり曲げて付けているのだろう。また長年の間には、車体を握る力が何回も掛かるはずだ。これは接合部分の内側に角棒を貼るだけで解決する可能性が高い。イモ付けでは駄目なのだ。筆者は出来る限り大きなアングルを貼り付け、その接着面には完全にハンダが廻るようにする。
そもそも、ハンダは母材に比べてはるかに弱い材料である。力が掛かれば金属疲労が集中する。接合面を大きくし、妙な力が集中しないようにするべきだ。見かけ上、接着剤より強く感じるので点付けで終わる人を見かけるが、そのうち壊れてしまうのは明白だ。
そもそもハンダ付けというのはこういうものである。筆者は幼稚園児の頃から近くの板金屋(樋や風呂釜を銅で作る)の仕事を見ていたので、ハンダが全面に沁み込むのをハンダ付けと言うのだと納得していた。ところがTMSに出て来るものにはハンダが見えないということを売り物にしているのがあって、それには大きな違和感を感じた。
それと、HOの製品で車体の妻部分が外れて壊れるのを見た。これはまずい。ハンダが金属疲労するのだ。 接触面積が小さく、しかも無理やり曲げて付けているのだろう。また長年の間には、車体を握る力が何回も掛かるはずだ。これは接合部分の内側に角棒を貼るだけで解決する可能性が高い。イモ付けでは駄目なのだ。筆者は出来る限り大きなアングルを貼り付け、その接着面には完全にハンダが廻るようにする。
そもそも、ハンダは母材に比べてはるかに弱い材料である。力が掛かれば金属疲労が集中する。接合面を大きくし、妙な力が集中しないようにするべきだ。見かけ上、接着剤より強く感じるので点付けで終わる人を見かけるが、そのうち壊れてしまうのは明白だ。
2026年01月19日
ステップの脱落
友人がKTM製 Big Boyを持って来訪した。パイロットのステップが折れて落ちている。他にも曲がっているところなどを直して差し上げたが、この小さな部品は無くなると困るので最初に片付けた。このパイロットはブラスの砂鋳物をヤスリ仕上して作られている。肉は厚く 3 mmもあり、極めて丈夫でかなりの衝突にも堪えられる。
別件だが、このパイロットを付けた機関車が落下したが、衝撃でフレイムに取り付けている鉄製のM3ネジが剪断寸前でもパイロット本体は変形しなかったほどだ。さすがは祖父江氏の設計だ。
肉厚の本体に、薄い(t 0.5)の板を曲げたステップが付いている。取れた部分を見ると一応は全部の接触部にハンダが付いているが、下側から付けていて板厚の半分程度が付いているだけだ。すなわち上からの力が掛かるとメリッと逝ってしまう。このハンダ付けは祖父江氏ではない。KTMの工場内で作業したものだろう。
ハンダをすべて削り取りステップを垂直に立てる工夫をする。フラックスを少し塗り、63%ハンダの細片を上側に置いて、炭素棒を下側から当てる。足踏みスウィッチを小刻みに速く踏む。赤熱させてはいけない。その部分が183 ℃を超えるまで待つ。ハンダがきらりと光り、沁み込んで終了である。すべての接合面に入り、僅かにはみ出してフィレット(接合部を包む曲面)を見せている。この後細かい金属ブラシでこするとぴかぴかになる。厚板で出来たワークでも、炭素棒の周りの半径 2 mmほどの範囲は容易に温度を上げられる。この種の修理は炭素棒の独擅場である。
1970年頃、「ハンダが見えないのが良い」と無知な山崎氏は奇妙な意見を表明し、それに多くの人が迎合した。ハンダ付けというものはそういうものではない。諸外国のハンダ付け製品を見るがよい。例外なく、僅かにハンダが見え、滑らかな曲面で埋められている。
Bill Melis氏、Kleinschmidt氏の両氏が存命中に、独立にその話を出すと、彼らは鼻で笑った。
「壊れないものを作ろうという気持ちがないんだな。」
日本にも正しいハンダ付けが広まる日は来るのだろうか。
2025年12月19日
続 UP U50C
主台枠は自作した。写真で見る限り、既製品の主台枠は極めて弱そうなコの字断面で、それに薄い床板が付いていた。ちょっとした衝突で修理不能になる可能性があった。
とりあえず 1 mm 板を切り抜いてそれに幅の広いチャネルを2本縦に貼り付けた。そうするとモータが入る分は切り捨てねばならない。切り取って弱くなったのを補強するために太い角パイプを床上に貼り付けた。これは廃金属商で手に入れたものだ。
19 mm角で厚さは 1 mm である。密着させるとハンダが廻らないので深い傷を付け、”めくれ”を作ってから軽くネジ留めした。フラックスを十分沁み込ませ、ガスバーナで予熱したのち 200 Wのコテで片方から加熱する。
これは祖父江氏に習った手法で、両側から加熱すると中心にハンダの廻らない部分ができる可能性があるわけだ。
「必ず片側から加熱して向こう側に出るのを待て」とのことであった。出来たものは完全に密着し、極端に剛性が高い。ある程度の正面衝突にも堪えるだろう。
台車はガスタービン機関車を分解したものを有効利用する。強力な両軸モータを持っているのでそれを床下に置き、直接駆動する。燃料タンクが大きいので、モータは余裕を持って収められる。この方式は伝達効率が良いので強力な機関車になる予定だ。
まだ問題点がある。中央部のラジエータ部分の下は金網で透けて向こうが見えている。そこにはファン・モータとダイナミック・ブレーキの抵抗器が置いてあるが、横から丸見えなのである。ある程度は作りたいが、その写真が見つからない。他機種の写真から類推するしかないのだろう。
実はそれがこの機種を完成させるに当たっての最大の障壁となっていたのだが、上記の角パイプに何か付ければできそうな気がしてきた。
めちゃくちゃに壊れた残骸2輌分からなんとか1輌をひねり出した。金額的には安いものだが、その労力、時間を考えるとスクラッチから作った方が安かったような気がする。
「必ず片側から加熱して向こう側に出るのを待て」とのことであった。出来たものは完全に密着し、極端に剛性が高い。ある程度の正面衝突にも堪えるだろう。
台車はガスタービン機関車を分解したものを有効利用する。強力な両軸モータを持っているのでそれを床下に置き、直接駆動する。燃料タンクが大きいので、モータは余裕を持って収められる。この方式は伝達効率が良いので強力な機関車になる予定だ。
まだ問題点がある。中央部のラジエータ部分の下は金網で透けて向こうが見えている。そこにはファン・モータとダイナミック・ブレーキの抵抗器が置いてあるが、横から丸見えなのである。ある程度は作りたいが、その写真が見つからない。他機種の写真から類推するしかないのだろう。
実はそれがこの機種を完成させるに当たっての最大の障壁となっていたのだが、上記の角パイプに何か付ければできそうな気がしてきた。
2025年12月13日
主台枠の補強
GTELの主台枠が弱かったので補強した話を書いたところ、いくつか問い合わせがあった。詳しく手順を教えて欲しいとのことだったが、何も難しいことはしていない。
元の台枠の断面はこんなものだ。t 1の板を高さ6 mm、幅40 mmのコの字に曲げたものである。一本ものではなく、曲げた三つの部材を継いである。ハンダは完全には廻っていない。ということは何かの間違いで外れることもありそうだ。
そこでこのように側面に貼り足すわけだ。コテは先を斜めに少し削って、コテ幅 25 mm 全体が接触するようにする。
ワークを組み立て、木製の洗濯バサミで 3 cmごとに挟む。塩酸を含む塩化亜鉛を沁み込ませ、よく焼けたコテを移動させながら63%ハンダを当てる。
ハンダは融けて沁み込み、向こう側まで出る。それを確認しなければ意味がない。毎秒 5 mm程度の速度で移動し、糸ハンダを供給し続ける。ハンダを付ける部分はクランプを順次外す。これで1分少々で片側のハンダ付けが終わる。隙間なく完全に付いている。
コツは、
・200 W のコテを使うこと
・コテ先を削って幅 3 mm程度の平面を作っておくこと
・スズ63%ハンダを使うこと
・向こう側(この図では下側)からハンダが見えるようになること
・ハンダ付けするところをクランプで正しく締めること
・塩化亜鉛を使うこと(できれば塩酸入りのものが良い)
・終わったら直ちに流水で洗い落とすこと
である。くたくたでいかにも弱そうな主台枠がガツンとした剛性を持ち、5 kgを載せても殆ど曲がらない。
丈夫な台枠を持っていると安心して運転できる。連結時に100輌の貨車にガシャンとつないでも壊れることはない。韓国製のオリジナルは開口部のあたりで座屈する気配があった。台枠が潰れるとそれにネジ留めしてあるボディは悲惨な変形を受けるだろう。
塩酸入りのフラックスを使う場合は屋外でやるべきである。また、このような熱容量の大きいものを付ける時にスズ50%ハンダを使うと熱量不足で温度が上がらないため、失敗する可能性が高い。
使用後のハンダゴテの先は水洗して塩化亜鉛を完全に取っておくことが寿命を延ばすことにつながる。塩化亜鉛は潮解性なので、いつまでも先が湿り、腐食が進行するのだ。
元の台枠の断面はこんなものだ。t 1の板を高さ6 mm、幅40 mmのコの字に曲げたものである。一本ものではなく、曲げた三つの部材を継いである。ハンダは完全には廻っていない。ということは何かの間違いで外れることもありそうだ。そこでこのように側面に貼り足すわけだ。コテは先を斜めに少し削って、コテ幅 25 mm 全体が接触するようにする。
ワークを組み立て、木製の洗濯バサミで 3 cmごとに挟む。塩酸を含む塩化亜鉛を沁み込ませ、よく焼けたコテを移動させながら63%ハンダを当てる。
ハンダは融けて沁み込み、向こう側まで出る。それを確認しなければ意味がない。毎秒 5 mm程度の速度で移動し、糸ハンダを供給し続ける。ハンダを付ける部分はクランプを順次外す。これで1分少々で片側のハンダ付けが終わる。隙間なく完全に付いている。
コツは、
・200 W のコテを使うこと
・コテ先を削って幅 3 mm程度の平面を作っておくこと
・スズ63%ハンダを使うこと
・向こう側(この図では下側)からハンダが見えるようになること
・ハンダ付けするところをクランプで正しく締めること
・塩化亜鉛を使うこと(できれば塩酸入りのものが良い)
・終わったら直ちに流水で洗い落とすこと
である。くたくたでいかにも弱そうな主台枠がガツンとした剛性を持ち、5 kgを載せても殆ど曲がらない。
丈夫な台枠を持っていると安心して運転できる。連結時に100輌の貨車にガシャンとつないでも壊れることはない。韓国製のオリジナルは開口部のあたりで座屈する気配があった。台枠が潰れるとそれにネジ留めしてあるボディは悲惨な変形を受けるだろう。
塩酸入りのフラックスを使う場合は屋外でやるべきである。また、このような熱容量の大きいものを付ける時にスズ50%ハンダを使うと熱量不足で温度が上がらないため、失敗する可能性が高い。
使用後のハンダゴテの先は水洗して塩化亜鉛を完全に取っておくことが寿命を延ばすことにつながる。塩化亜鉛は潮解性なので、いつまでも先が湿り、腐食が進行するのだ。
2025年11月29日
タンク車群を完成させる
完成したものと完成間近のものをとりあえず10輌並べた。仕上がりを揃えたいので、完成品も手近にないと具合が悪い。左上の3輌はドームを大きく改造したもので、滑り止め塗装の面積比が適当な値になった。左の4番目は完成間近のUP タンク車で5番目はSPである。これら二つはスクラッチ・ビルトである。UPの方はより詳しい図面が手に入ったので、少し出来が良くなった。右はドームの多い群で、右下の4輌はTEXACO になる予定だ。これでTEXACO は17輌になる。3Dプリントの部品が使えるようになったので完成が早まった。この中の2輌は、”made in occupied Japan" の銘版が貼ってある。シカゴの大先輩の Mike Hill氏から戴いたものだ。
2025年10月22日
剛性のある車体を作る
カヴァドホッパの車体の下側をめくり取ると側板は支持を失い、単にぶら下がっているだけになった。肋骨を入れねばならない。t 1.0の板を所定の長さに切り、左右を結び付ける。その時、太い背骨とハンダ付けすると強度が確保される。
肋骨に相当する板を背骨と直交させ、クランプで密着させる。200 Wのコテを用い、1.5 mm角の角線を当ててハンダを流す。一瞬でハンダがきらりと光り固着する。広い面積で付くので丈夫である。
両側が付いたら、太い背骨と肋骨とを結合させる。背骨は断面が 3 x10 mmもある上に長いので熱容量が大きい。塩化亜鉛飽和溶液を沁み込ませ、ハンダの粒を置く。矢印の方向からコテを押し当てるとこちら側は融けても反対側にはハンダが出て来ない。待つこと4秒、向こう側にハンダがきらりと筋になって見える。ハンダ付け完了である。
熱が計 4 mmの板の10 mm先まで伝わってハンダの融点以上にならねばならないのだ。熱は前方のみならず左右にも大量に逃げるから、この仕事は小さなコテでは出来ない。熱い大きなコテが必要だ。しかもそのコテの先は平らで広い面積でワークに当たらねばならない。コテに溜まった熱が迅速にワークに伝わるようにするのだ。
3本の肋骨を付けた。真ん中を最初に付け、左右は一度水冷してから付ける。こうしないと背骨の熱膨張で、出来上がりが反ってしまうことがある。大きな熱いコテは局所的な加熱を可能にするから、伸びを限定的にすることができる。
「ハンダを向こう側に出せ」というのは祖父江氏の教えだ。大きなコテで力を入れて押すと良く熱が伝わって、大きな部品でも熱がよく沁み込む。
「部品の向こう側までハンダが廻らないようじゃぁ、失格だよぉ。」
ハンダが向こう側から浸み出して銀色に光る瞬間は何度見ても気分が良い。これこそが完全なハンダ付けなのだ。最近は拙ブログの記事の影響か、ハンダが見えない方が良いという人は減って来た。良いことではあるが、さらに、向こう側までハンダを廻す必要があることを強調しておきたい。こうしてできた車体は、握ると”ガツン”という剛性を感じる。その堅さが気持ち良い。
持つと側板がぐわぐわとする模型がある。数回持つとハンダが疲労して剥がれ、悲惨な状況になるのがは目に見えている。先日OJの車体を見せて貰ったが、ハンダ付けの箇所が少なく、妙に柔らかい。怖くなって手を離した。
「これでは駄目ですよ。」と教えて差し上げたが、聞く耳持たずであった。
塗装済みではさらに悲惨なことになる。市販の模型はそういうものが多い。模型は握られる可能性があるということを考えておかねばならない。
肋骨に相当する板を背骨と直交させ、クランプで密着させる。200 Wのコテを用い、1.5 mm角の角線を当ててハンダを流す。一瞬でハンダがきらりと光り固着する。広い面積で付くので丈夫である。両側が付いたら、太い背骨と肋骨とを結合させる。背骨は断面が 3 x10 mmもある上に長いので熱容量が大きい。塩化亜鉛飽和溶液を沁み込ませ、ハンダの粒を置く。矢印の方向からコテを押し当てるとこちら側は融けても反対側にはハンダが出て来ない。待つこと4秒、向こう側にハンダがきらりと筋になって見える。ハンダ付け完了である。
熱が計 4 mmの板の10 mm先まで伝わってハンダの融点以上にならねばならないのだ。熱は前方のみならず左右にも大量に逃げるから、この仕事は小さなコテでは出来ない。熱い大きなコテが必要だ。しかもそのコテの先は平らで広い面積でワークに当たらねばならない。コテに溜まった熱が迅速にワークに伝わるようにするのだ。3本の肋骨を付けた。真ん中を最初に付け、左右は一度水冷してから付ける。こうしないと背骨の熱膨張で、出来上がりが反ってしまうことがある。大きな熱いコテは局所的な加熱を可能にするから、伸びを限定的にすることができる。
「ハンダを向こう側に出せ」というのは祖父江氏の教えだ。大きなコテで力を入れて押すと良く熱が伝わって、大きな部品でも熱がよく沁み込む。
「部品の向こう側までハンダが廻らないようじゃぁ、失格だよぉ。」
ハンダが向こう側から浸み出して銀色に光る瞬間は何度見ても気分が良い。これこそが完全なハンダ付けなのだ。最近は拙ブログの記事の影響か、ハンダが見えない方が良いという人は減って来た。良いことではあるが、さらに、向こう側までハンダを廻す必要があることを強調しておきたい。こうしてできた車体は、握ると”ガツン”という剛性を感じる。その堅さが気持ち良い。
持つと側板がぐわぐわとする模型がある。数回持つとハンダが疲労して剥がれ、悲惨な状況になるのがは目に見えている。先日OJの車体を見せて貰ったが、ハンダ付けの箇所が少なく、妙に柔らかい。怖くなって手を離した。
「これでは駄目ですよ。」と教えて差し上げたが、聞く耳持たずであった。
塗装済みではさらに悲惨なことになる。市販の模型はそういうものが多い。模型は握られる可能性があるということを考えておかねばならない。
2025年10月10日
boxcar の製作
かねてより工事中の boxcar群が完成に近づいて来た。ハンダの使用量が尋常でなく多い。オリジナルは木製の箱を作ってその上に金属板を貼る方法であったので、外被の金属板は飾りに過ぎなかった。全金属製にしたからにはそれ自身で強度を保つようにせねばならない。
側板の厚さが無いので内部に細かくリブを入れて強度を確保した。また屋根を押すと簡単に凹むから、レイルを切った骨を2本付けて丈夫にした。塗装してから潰れると悲惨なので、それを回避するためである。
さらに床板も薄いと連結時に潰れそうなので、ジャンクの 1 mm板を使った。
車重の標準の 355 gを100 gも上回った。材料がふんだんにあるとこうなる。走りは重厚である。こういう車輌群を20輌ほどつないで、連結作業をすると、質量が大きいので衝撃で台枠が弱いとめり込んでしまう。連結器はKadeeの金属製以外の製品は耐えられない。
5輌の作りが全て異なるので共通部品はほとんどない。全て現物合わせで作るので効率が悪い。ボルスタ高さをジグに合わせて調整し、ハンダ付けする。穴をあけネジを切って台車を付ける。連結器を付けると生地完成だ。ブラスの色が美しい。
他の貨車とあわせて15輌ほど同時に作っているので、台車が足らなくなってきた。3Dプリントで増産せねばらない。
最近は廃品回収業の店にあまり行っていない。銅、ブラスの価格が今まで聞いたこともないような水準で推移している。比較的綺麗な板をよく世話して貰っていたが、品薄のようだ。
1.5 x 4、2.5x2.5、1x2.5 などの角線を大量に持っている。ご希望の方には廉価でお譲りする。最近はこの種の材料が手に入りにくいそうで、クラブの会員にお分けしている。
側板の厚さが無いので内部に細かくリブを入れて強度を確保した。また屋根を押すと簡単に凹むから、レイルを切った骨を2本付けて丈夫にした。塗装してから潰れると悲惨なので、それを回避するためである。
さらに床板も薄いと連結時に潰れそうなので、ジャンクの 1 mm板を使った。
車重の標準の 355 gを100 gも上回った。材料がふんだんにあるとこうなる。走りは重厚である。こういう車輌群を20輌ほどつないで、連結作業をすると、質量が大きいので衝撃で台枠が弱いとめり込んでしまう。連結器はKadeeの金属製以外の製品は耐えられない。
5輌の作りが全て異なるので共通部品はほとんどない。全て現物合わせで作るので効率が悪い。ボルスタ高さをジグに合わせて調整し、ハンダ付けする。穴をあけネジを切って台車を付ける。連結器を付けると生地完成だ。ブラスの色が美しい。
他の貨車とあわせて15輌ほど同時に作っているので、台車が足らなくなってきた。3Dプリントで増産せねばらない。
最近は廃品回収業の店にあまり行っていない。銅、ブラスの価格が今まで聞いたこともないような水準で推移している。比較的綺麗な板をよく世話して貰っていたが、品薄のようだ。
1.5 x 4、2.5x2.5、1x2.5 などの角線を大量に持っている。ご希望の方には廉価でお譲りする。最近はこの種の材料が手に入りにくいそうで、クラブの会員にお分けしている。
2025年09月24日
続 ハンダの「粘度」?
もし内野氏がスズ63%の共晶ハンダを使っていたなら、ハンダが薄い膜になって付着していただろう。しかし、隙間が埋まらずその対応に苦慮したに違いない。
のちに内野氏はハンダ付けの達人になった。その秘密は大きなコテである。内野氏の使っていた工作台から150 Wと200 Wのコテが出て来た。それらのコテ先の形は異なる。
十分に熱くして、大量の熱を供給したからこそスズ50%のハンダでもうまく付いたのだ。このようにスズ50%のハンダ付けでは大きなコテを使うか否かですべてが決まる。HOサイズ以下ではその差に気が付きにくいが、大物は大きなコテを使うと驚くほどの違いが出る。ハンダごては最低限、大小2本を持つべきである。
発熱量の大きな炭素棒を使うとうまく行くのは、まさにこの点をクリアできるからである。泥状のハンダを小さなコテで捏ねていてはダメなのだ。
ハンダ付けをしているときにハンダの表面が鏡のようになってキラリと光り(すなわち完全に融けて液体になり)、そのまま固まらねばならない。固まる瞬間に少しでも動かすと、表面がささくれ立つ。それは生じた鉛の粒子が重なり合って飛び出したのだ。この状態のハンダは非常に脆い。これを避けるには、ハンダ付けは手で保持することを避けるべきである。適当なクランプ、押さえを使う必要がある。
あるいは63%スズハンダを使う必要がある。これは固体であるか、液体かの二つの状態しか持たないので固まれば完全なハンダ付けが出来る。たとえ動いていても、瞬時に固まるのが実感できる。
これらの注意点さえ解決できれば、ハンダ付けは完璧である。
繰返すが、塩化亜鉛はその液体がワークをぬらす助けをするだけであり、表面張力を小さくしたり、ハンダ液体の粘度を下げたりしているのではない。そういう説明をする人の模型は評価できない。
のちに内野氏はハンダ付けの達人になった。その秘密は大きなコテである。内野氏の使っていた工作台から150 Wと200 Wのコテが出て来た。それらのコテ先の形は異なる。
十分に熱くして、大量の熱を供給したからこそスズ50%のハンダでもうまく付いたのだ。このようにスズ50%のハンダ付けでは大きなコテを使うか否かですべてが決まる。HOサイズ以下ではその差に気が付きにくいが、大物は大きなコテを使うと驚くほどの違いが出る。ハンダごては最低限、大小2本を持つべきである。
発熱量の大きな炭素棒を使うとうまく行くのは、まさにこの点をクリアできるからである。泥状のハンダを小さなコテで捏ねていてはダメなのだ。
ハンダ付けをしているときにハンダの表面が鏡のようになってキラリと光り(すなわち完全に融けて液体になり)、そのまま固まらねばならない。固まる瞬間に少しでも動かすと、表面がささくれ立つ。それは生じた鉛の粒子が重なり合って飛び出したのだ。この状態のハンダは非常に脆い。これを避けるには、ハンダ付けは手で保持することを避けるべきである。適当なクランプ、押さえを使う必要がある。
あるいは63%スズハンダを使う必要がある。これは固体であるか、液体かの二つの状態しか持たないので固まれば完全なハンダ付けが出来る。たとえ動いていても、瞬時に固まるのが実感できる。
これらの注意点さえ解決できれば、ハンダ付けは完璧である。
繰返すが、塩化亜鉛はその液体がワークをぬらす助けをするだけであり、表面張力を小さくしたり、ハンダ液体の粘度を下げたりしているのではない。そういう説明をする人の模型は評価できない。
2025年09月22日
ハンダの「粘度」?
今野氏のブログで、達人であった内野氏の若かりし頃の作品をレストアする記事が連載された。その中でハンダが流れていないのは塩化亜鉛を使っていず、ペーストではないかという推測があった。
写真を見る限り、ハンダは間違いなくブラスをぬらしているから、塩化亜鉛を使っているように思う。内野氏はTHO(東京HOクラブ)に入っていたから、塩化亜鉛を使用するという情報は得ていたはずである。それではどうして流れていないかが今回の本題である。
よく聞く言い回しに「ハンダの粘性」、「粘度」というものがある。完全に融けたハンダは、粘り気は無いと言って良いほど流動しやすいものである。水の数分の1ほどの粘度しかない極めて流れやすい液体なのである。これを勘違いしている人は多い。
内野氏が当時使ったハンダは50%-50%ハンダである。これはその色からも推測できる。流れていないように見えるのは、全てが液体になっていず、その中に粒子があるからだ。鉛の粒子である。要するに生コンクリートのようなものでさらさらとは流れて行かない。
ハンダの温度を高くしていくとその粒子は小さくなり、その組成に応じた温度で完全に融けて液体になる。以前からこのブログでは「こしあん」という言葉を使っているが、要するに泥状である。泥は流れにくい。だからゴテゴテと盛り上がる。逆にこれを利用して盛り上げることが出来る。隙間を埋めるにはこれを利用する。
63%スズを含む共晶ハンダでは、これは無理である。固体であるか液体であるかの二つの状態しかないので、融ければ隙間に沁み込む。すなわち完全なハンダ付けが出来る。共晶ハンダはよく流動し、塩化亜鉛があれば石鹸水の様に沁み込んでしまう。
要するに、50%ハンダでは完全に融ける温度まで上げないとまともなハンダ付けは出来ないということだ。加熱装置が不完全では泥をこねた状態にしかならない。ハンダが完全に融ければその瞬間に表面が鏡のようになるのが見える。それが見えないような加熱は不完全だということである。
写真を見る限り、ハンダは間違いなくブラスをぬらしているから、塩化亜鉛を使っているように思う。内野氏はTHO(東京HOクラブ)に入っていたから、塩化亜鉛を使用するという情報は得ていたはずである。それではどうして流れていないかが今回の本題である。
よく聞く言い回しに「ハンダの粘性」、「粘度」というものがある。完全に融けたハンダは、粘り気は無いと言って良いほど流動しやすいものである。水の数分の1ほどの粘度しかない極めて流れやすい液体なのである。これを勘違いしている人は多い。
内野氏が当時使ったハンダは50%-50%ハンダである。これはその色からも推測できる。流れていないように見えるのは、全てが液体になっていず、その中に粒子があるからだ。鉛の粒子である。要するに生コンクリートのようなものでさらさらとは流れて行かない。
ハンダの温度を高くしていくとその粒子は小さくなり、その組成に応じた温度で完全に融けて液体になる。以前からこのブログでは「こしあん」という言葉を使っているが、要するに泥状である。泥は流れにくい。だからゴテゴテと盛り上がる。逆にこれを利用して盛り上げることが出来る。隙間を埋めるにはこれを利用する。
63%スズを含む共晶ハンダでは、これは無理である。固体であるか液体であるかの二つの状態しかないので、融ければ隙間に沁み込む。すなわち完全なハンダ付けが出来る。共晶ハンダはよく流動し、塩化亜鉛があれば石鹸水の様に沁み込んでしまう。
要するに、50%ハンダでは完全に融ける温度まで上げないとまともなハンダ付けは出来ないということだ。加熱装置が不完全では泥をこねた状態にしかならない。ハンダが完全に融ければその瞬間に表面が鏡のようになるのが見える。それが見えないような加熱は不完全だということである。
2025年09月20日
続々々 塩化亜鉛
いわゆるペーストは植物性である。松脂から作る。その匂いからも由来はすぐわかる。これは腐食性が少なく、ハンダ付けした後そのまま放置してもさほど問題がない。電気配線などはアルコール等で拭くこともあった。
問題は酸性ペーストだ。中学生の頃に良く使った。放置すると必ず錆びて来る。温水で洗い、歯ブラシでこすった。それは無色であり、どこに付いているか分からないので、風呂場で湯を掛けて全体を洗った。成分はワセリンと塩化亜鉛だった。これは電気配線に使ってはいけない。
数年前、酸性ペーストでパワーパックの電気配線をした人が居た。見せてもらった瞬間に、「どんなハンダ付けをしたの?」と聞いた。
「これを使った。」と見せてもらったのは板金用と書いてある酸性ペーストであった。すべての接合部から緑青が吹き、めちゃくちゃな状態であった。
「一週間も経ってないのにこんなに錆びるんだね。」と彼は意気消沈した。電線は撚り線なので中まで沁み込んでいる。すべてばらして配線を捨て、スイッチ、LED類を洗って再度組み直した。接合部をよく磨き、ヤニ入りハンダを使えば一瞬で終わる。その時、ロジンのフラックスを刷毛で塗っておけば完璧だ。これは洗わなくても問題ない。
アメリカでは温水用の銅配管に用いていたのを見たが、それは褐色でどこに塗ったかよくわかった。接合作業が終わったら濡れ雑巾で拭取る。これは水に溶けやすいペーストのようだった。
模型ではこれを完全に取るには全体を洗うしかなかった。内部は取りにくいのでBill Melis氏は鍋で煮ると言っていた。
これらは塩化亜鉛を含んでいる。塩化亜鉛を見付けた人は偉い。刺激臭がなくて、塩酸と同様の効果を得られるからだ。筆者は塩酸を使うことがある。臭いので、風のある日に外でやる。酸化被膜が溶けるのが良くわかる。ハンダが非常に良く流れ、ワークをよくぬらす。ハンダの量がすぐに見当が付くのではみ出しも少ない。
最近は見ないが、アメリカでは ”acid core"という糸ハンダがあった。内部に塩化亜鉛ペーストが入っている。もうすでに使い尽くして無いが、板金のハンダ付けには便利であった。これも後で水洗いを完全に行わないとひどく錆びて来た。
最近久保田氏の記事がTMSに載り、ペースト使用に意義があるような錯覚が生まれているがやめるべきだ。理屈がすべて分かっている人なら良いが、ほとんどの人はそうではない。
ロジン系のペーストは酸化物を溶かす力が弱く、完全に金属面が露出していないとハンダでぬらすことが出来ない。そういう観点で見ると、内野氏のハンダ付けはペーストではないと思われる。ゴテゴテとは付いているが、良くぬれているのである。ということは…。
問題は酸性ペーストだ。中学生の頃に良く使った。放置すると必ず錆びて来る。温水で洗い、歯ブラシでこすった。それは無色であり、どこに付いているか分からないので、風呂場で湯を掛けて全体を洗った。成分はワセリンと塩化亜鉛だった。これは電気配線に使ってはいけない。
数年前、酸性ペーストでパワーパックの電気配線をした人が居た。見せてもらった瞬間に、「どんなハンダ付けをしたの?」と聞いた。
「これを使った。」と見せてもらったのは板金用と書いてある酸性ペーストであった。すべての接合部から緑青が吹き、めちゃくちゃな状態であった。
「一週間も経ってないのにこんなに錆びるんだね。」と彼は意気消沈した。電線は撚り線なので中まで沁み込んでいる。すべてばらして配線を捨て、スイッチ、LED類を洗って再度組み直した。接合部をよく磨き、ヤニ入りハンダを使えば一瞬で終わる。その時、ロジンのフラックスを刷毛で塗っておけば完璧だ。これは洗わなくても問題ない。
アメリカでは温水用の銅配管に用いていたのを見たが、それは褐色でどこに塗ったかよくわかった。接合作業が終わったら濡れ雑巾で拭取る。これは水に溶けやすいペーストのようだった。
模型ではこれを完全に取るには全体を洗うしかなかった。内部は取りにくいのでBill Melis氏は鍋で煮ると言っていた。
これらは塩化亜鉛を含んでいる。塩化亜鉛を見付けた人は偉い。刺激臭がなくて、塩酸と同様の効果を得られるからだ。筆者は塩酸を使うことがある。臭いので、風のある日に外でやる。酸化被膜が溶けるのが良くわかる。ハンダが非常に良く流れ、ワークをよくぬらす。ハンダの量がすぐに見当が付くのではみ出しも少ない。
最近は見ないが、アメリカでは ”acid core"という糸ハンダがあった。内部に塩化亜鉛ペーストが入っている。もうすでに使い尽くして無いが、板金のハンダ付けには便利であった。これも後で水洗いを完全に行わないとひどく錆びて来た。
最近久保田氏の記事がTMSに載り、ペースト使用に意義があるような錯覚が生まれているがやめるべきだ。理屈がすべて分かっている人なら良いが、ほとんどの人はそうではない。
ロジン系のペーストは酸化物を溶かす力が弱く、完全に金属面が露出していないとハンダでぬらすことが出来ない。そういう観点で見ると、内野氏のハンダ付けはペーストではないと思われる。ゴテゴテとは付いているが、良くぬれているのである。ということは…。
2025年09月18日
続々 塩化亜鉛
塩化亜鉛は臭わない塩酸であると考えて良い。その飽和水溶液は320 ℃ まで沸騰しないから、ハンダ付けには十分である。コテは500 ℃前後あるだろうから、触らせるとジュッという。それは必要のないことである。これをやりたい人が多いが、単にコテ先を消耗させるだけで何の意味もない。飛んだ飛沫が何をしでかすか、ということにも興味がない人が多い。
コテ先は高価だ。筆者は自作するが面倒な作業である。太くて大きなコテ先は大物を付ける時に役に立つ。高めの温度に保ち、保持した熱量を一気に流し込むのだ。コテ先には平面が必要なのだが、相も変わらず電気配線用の尖ったコテしか持っていない人が多い。
熱をその平面を通してワークに伝える。尖ったコテでハンダを介して熱を伝えると効率が良くないし、そのハンダをどのように回収するかという問題も無視できない。
最近の例は見ていないが、昔はコテ先は銅の鋳物で鬆(す)が多かった。炭火で軽く焼いて鈍し、金床の上で丹念に叩いて空洞を無くした。これをしないとすぐに消耗する。 ここで炭を使うのがミソだ。ガスバーナで焼くと酸化被膜ができて穴がふさがらない。炭が燃えて生じる一酸化炭素で銅が還元された状態で叩くのである。火から出した瞬間に酸化が始まるので、大きな鬆は火の中でヤットコで潰しておかないと無くせない。長く火の中にあるとヤットコが焼き戻される。一瞬でできるから難しいことではない。ヤットコは毎回水冷する。
コテ先は銅のブスバァを切ったものを古いコテ先にロウ付けする。こうすれば好きな形にできる。ヒータはよく切れるので、予備をいくつか持っている。
<写真説明>
左から 市販の 60 W用 鋳物の鋳肌が見える
2本目 ブスバァから自作の150W用 あまり減っていない
3本目 市販の150 W用の使用済 多孔質で消耗しやすい ロウ付けして修理する前の状態
右の3本 6 mmの銅板から切り出した150 W用
4番目の形は車体の隅を内側から付けるのに適する。上端の面を斜めに削いで使う。
コテ先は高価だ。筆者は自作するが面倒な作業である。太くて大きなコテ先は大物を付ける時に役に立つ。高めの温度に保ち、保持した熱量を一気に流し込むのだ。コテ先には平面が必要なのだが、相も変わらず電気配線用の尖ったコテしか持っていない人が多い。熱をその平面を通してワークに伝える。尖ったコテでハンダを介して熱を伝えると効率が良くないし、そのハンダをどのように回収するかという問題も無視できない。
最近の例は見ていないが、昔はコテ先は銅の鋳物で鬆(す)が多かった。炭火で軽く焼いて鈍し、金床の上で丹念に叩いて空洞を無くした。これをしないとすぐに消耗する。 ここで炭を使うのがミソだ。ガスバーナで焼くと酸化被膜ができて穴がふさがらない。炭が燃えて生じる一酸化炭素で銅が還元された状態で叩くのである。火から出した瞬間に酸化が始まるので、大きな鬆は火の中でヤットコで潰しておかないと無くせない。長く火の中にあるとヤットコが焼き戻される。一瞬でできるから難しいことではない。ヤットコは毎回水冷する。
コテ先は銅のブスバァを切ったものを古いコテ先にロウ付けする。こうすれば好きな形にできる。ヒータはよく切れるので、予備をいくつか持っている。
<写真説明>
左から 市販の 60 W用 鋳物の鋳肌が見える
2本目 ブスバァから自作の150W用 あまり減っていない
3本目 市販の150 W用の使用済 多孔質で消耗しやすい ロウ付けして修理する前の状態
右の3本 6 mmの銅板から切り出した150 W用
4番目の形は車体の隅を内側から付けるのに適する。上端の面を斜めに削いで使う。
2025年09月16日
続 塩化亜鉛
塩酸は刺激臭があるが、塩化亜鉛は不揮発性で臭わない。塩化亜鉛は水溶液中で加水分解し、微量の塩酸と平衡になる。その塩酸ががワークの表面の酸化被膜を溶かして消耗すると補う方向に平衡が移動する。こうして露出したワークの金属面を融けたハンダがぬらすわけだ。この「ぬれ」という概念が理解できないとハンダ付けはうまく行かない。ハンダの中のスズは他の金属と常温でもぬれ合う不思議な性質を持つ。ただし、母材の酸化被膜が無いときに限る。この世の中で、スズ、水銀、インジウムくらいしかそのような性質を持つ金属は無い。水銀は危険であるしインジウムは高価だ。その昔、スズを低い温度で融かすために鉛を配合すると良いと気付いた人はたいしたものだと思う。
要するに、塩化亜鉛は塩酸と同等に働くが臭わないというわけだ。これに気付いた人は素晴らしい。ただし薄い水溶液ではコテの熱で沸騰し、ピチピチと飛ぶ。その飛沫は周りの工具類を錆びさせるし、潮解性があり机に沁み込むといつも湿っていて気分が良くない。さらに木材に沁み込んだ塩化亜鉛は木材の中のセルロースの水素結合を緩め、可塑性を生じさせる。すなわち、木材の机は凹む。これに気付いている人はほとんどいないが、友人宅で軟らかくなった机はよく見る。いつも湿っていて、そこに工具を置くとたちまち錆びてしまう。
この可塑化を利用した商品が絶縁材に用いられるいわゆる「ファイバー」であるが、これに気付いている人には会ったことがない。
ハンダコテを突っ込んでジューッとやると、煙霧が出る。これは塩化亜鉛を含む水滴で、どこかに流れていき室内の電気器具には致命的な損傷を与える。作業台の前には空気清浄機を置くべきだ。筆者は3台並べて完全に吸い込ませている。もっとも、筆者は音がしないハンダ付けを心がけているから、心配する必要はないのだ。むしろハンダ付けよりも、紙やすりの削りカスの粉塵対策である。
要するに、塩化亜鉛は塩酸と同等に働くが臭わないというわけだ。これに気付いた人は素晴らしい。ただし薄い水溶液ではコテの熱で沸騰し、ピチピチと飛ぶ。その飛沫は周りの工具類を錆びさせるし、潮解性があり机に沁み込むといつも湿っていて気分が良くない。さらに木材に沁み込んだ塩化亜鉛は木材の中のセルロースの水素結合を緩め、可塑性を生じさせる。すなわち、木材の机は凹む。これに気付いている人はほとんどいないが、友人宅で軟らかくなった机はよく見る。いつも湿っていて、そこに工具を置くとたちまち錆びてしまう。
この可塑化を利用した商品が絶縁材に用いられるいわゆる「ファイバー」であるが、これに気付いている人には会ったことがない。
ハンダコテを突っ込んでジューッとやると、煙霧が出る。これは塩化亜鉛を含む水滴で、どこかに流れていき室内の電気器具には致命的な損傷を与える。作業台の前には空気清浄機を置くべきだ。筆者は3台並べて完全に吸い込ませている。もっとも、筆者は音がしないハンダ付けを心がけているから、心配する必要はないのだ。むしろハンダ付けよりも、紙やすりの削りカスの粉塵対策である。
2025年09月14日
塩化亜鉛
今野氏のブログで、達人だった内野氏の若かりし頃の作品紹介で、ハンダ付けのフラックスについて書かれている。
塩化亜鉛をフラックスとして使うようになったのはいつ頃だろうかという問いかけがあった。それは明治時代であろうということは間違いない。
日本ではロウ付けも千年以上の歴史がある。ロウ付けはいわゆる硬ロウである銀ロウで、軟ロウとしてのハンダもそれと同等以上の歴史がある。そのフラックスとして梅酢を使うという記述も見つかる。
銅の樋を作ったりするときにハンダ付けをするのは、大きな焼きゴテを使う。模型工作をするときも同じであったはずだ。

博物館所蔵の一番古そうな文献は昭和5年の本間氏の本である。この本は伊藤 剛氏が愛読していた 「電車と電氣機關車の作り方」という本である。当時からプロは塩酸を使っていたのである。塩酸は揮発性で臭いので、亜鉛(トタン板を入れるとイオン化傾向の差で局部電池が出来、亜鉛だけが溶けて行く。この時、母材の鉄は触媒として機能する。)を入れると薦めている。入れると塩酸がほとんど反応するので、臭いが少なくなるわけだ。
筆者が小学校の帰りに見ていた銅で樋を作る職人は塩酸を用いていた。時々そのおじいさんは手ほどきをしてくれた。その延長上に現在の自分がある。筆者のハンダ付けを孫に見せると感動する。
祖父江氏と知り合って、塩化亜鉛飽和溶液を試すように現物を持って行ったが、彼は塩酸以外使わなかった。濃塩酸を3倍程度に薄めたものを竹串の先を崩したもので塗っていた。
本間氏の文章にもあるように隙間に沁み込ませて少量のハンダで仕上げるというのが極意である。
塩化亜鉛をフラックスとして使うようになったのはいつ頃だろうかという問いかけがあった。それは明治時代であろうということは間違いない。
日本ではロウ付けも千年以上の歴史がある。ロウ付けはいわゆる硬ロウである銀ロウで、軟ロウとしてのハンダもそれと同等以上の歴史がある。そのフラックスとして梅酢を使うという記述も見つかる。
銅の樋を作ったりするときにハンダ付けをするのは、大きな焼きゴテを使う。模型工作をするときも同じであったはずだ。

博物館所蔵の一番古そうな文献は昭和5年の本間氏の本である。この本は伊藤 剛氏が愛読していた 「電車と電氣機關車の作り方」という本である。当時からプロは塩酸を使っていたのである。塩酸は揮発性で臭いので、亜鉛(トタン板を入れるとイオン化傾向の差で局部電池が出来、亜鉛だけが溶けて行く。この時、母材の鉄は触媒として機能する。)を入れると薦めている。入れると塩酸がほとんど反応するので、臭いが少なくなるわけだ。筆者が小学校の帰りに見ていた銅で樋を作る職人は塩酸を用いていた。時々そのおじいさんは手ほどきをしてくれた。その延長上に現在の自分がある。筆者のハンダ付けを孫に見せると感動する。
祖父江氏と知り合って、塩化亜鉛飽和溶液を試すように現物を持って行ったが、彼は塩酸以外使わなかった。濃塩酸を3倍程度に薄めたものを竹串の先を崩したもので塗っていた。
本間氏の文章にもあるように隙間に沁み込ませて少量のハンダで仕上げるというのが極意である。
2025年09月10日
hat section
友人にハンダ付けしたばかりの床板を見せた。連結器の部分は座屈しないように厚く貼り足し、背骨部分とは噛み合わせてある。
背骨部分にハット・セクションを使いたかったが、その部品がない。仕方が無いから、それらしく見えるようにチャネルを貼った。床板に接触している部分は真横から見ても全く見えない。下の部分だけが外側に曲がっているのが見える。そのようなアングルを探したが良いものが見つからない。たまたまチャネルを見つけて、当ててみると長さも高さもぴったりだった。背骨の2x4角材も見つかった。これらを t 1の床板に隙間なくハンダ付けをせねばならない。初めに角材に50%でチョン付けして位置を決め、クランプで動かないようにする。200 Wのコテでチャネルを押し当て、加熱する。塩化亜鉛の飽和溶液を垂らしてあっても音はしない。 63%ハンダのワイヤを当てるとつるりと沁み込む。全長に亘って沁み込ませて、次は反対側を付けて出来上がりだ。
この種の仕事にガスバーナを使うと全体が反ってしまう。大きなコテは伝熱面積が大きいので炭素棒より都合が良い。炭素棒では局部的な加熱で微妙な歪みが残る。
全面ハンダ付けをしたので極端に剛性の大きな床板になった。長編成を連結しても大丈夫だ。筆者の貨車はこのような構成のものが多い。
2025年08月27日
炭素棒ハンダ付け装置
Resistance Soldering Unit(炭素棒ハンダ付け装置)に関する質問が急に多くなってきた。
「どこで手に入るのか?」
「いくらぐらいなのか?」
「自作は難しいのか?」などである。
筆者がキットを頒布してから10年以上経つ。おそらくもう使っていない(お亡くなりになった等)機械がある筈なので、それを譲渡してくれるとありがたい。
一部のおかしな人は「未開封でそのまま置いてある。将来値が上がる。」と言っているが、それは無理である。高梨氏が安価にできる方法を紹介されたので、値上がりを期待するのは絶望的である。そういう方からは筆者が未組キットを買い戻して希望者に譲りたい。
それを持ちかけたことがあるが、「絶対に渡さない。」と言った。救い難い人である。
先述の自作には旋盤工作が必要なので、ある程度の数がまとまれば作って差し上げる。一つだけでは大変だ。電線は超柔軟線があるのでそれを使いたい。
筆者の頒布したものは長年Oゲージ車輌を作り続けて得られた知見を基に作っているので、HO以下では強過ぎるという意見があるようだ。高梨氏が低電圧化の工夫を紹介されているが、 むしろ足踏スウィッチをいかに速く断続して踏むかということの方が大切であると感じる。筆者がカチカチと踏むのを見て驚く人は多い。かかとを付けてつま先で踏む。それだけのことなのだがあまりやっている人が居ないようだ。
スウィッチを踏みっ放しにすると薄板は熔けてしまう可能性がある。先端を赤くさせないようにするのが唯一のコツである。
「どこで手に入るのか?」
「いくらぐらいなのか?」
「自作は難しいのか?」などである。
筆者がキットを頒布してから10年以上経つ。おそらくもう使っていない(お亡くなりになった等)機械がある筈なので、それを譲渡してくれるとありがたい。
一部のおかしな人は「未開封でそのまま置いてある。将来値が上がる。」と言っているが、それは無理である。高梨氏が安価にできる方法を紹介されたので、値上がりを期待するのは絶望的である。そういう方からは筆者が未組キットを買い戻して希望者に譲りたい。
それを持ちかけたことがあるが、「絶対に渡さない。」と言った。救い難い人である。
先述の自作には旋盤工作が必要なので、ある程度の数がまとまれば作って差し上げる。一つだけでは大変だ。電線は超柔軟線があるのでそれを使いたい。
筆者の頒布したものは長年Oゲージ車輌を作り続けて得られた知見を基に作っているので、HO以下では強過ぎるという意見があるようだ。高梨氏が低電圧化の工夫を紹介されているが、 むしろ足踏スウィッチをいかに速く断続して踏むかということの方が大切であると感じる。筆者がカチカチと踏むのを見て驚く人は多い。かかとを付けてつま先で踏む。それだけのことなのだがあまりやっている人が居ないようだ。
スウィッチを踏みっ放しにすると薄板は熔けてしまう可能性がある。先端を赤くさせないようにするのが唯一のコツである。
2025年08月25日
塩化亜鉛水溶液の誤謬
コテ先を塩化亜鉛水溶液にジュッと浸す場面をよく見るが、あれは百害あって一利なしである。コテ先が消耗し、塩化亜鉛が飛び散って周りの工具が錆びるだけである。絶対にやるべきでない。
面白いのは、「薄めて使ってジュッと音がしているが、飛び散っていない。何の問題もない。」と言う人の存在である。自分に観察力がないことを公言しているわけである。またこの分野の知見を総動員して、こうすると飛ばないという話題を出しているわけだから、飛んでも良いという話を持ち出すのは筋が違う。
塩化亜鉛の飽和溶液の沸点が 320 ℃ 以上ということを覚えておくべきだ。ハンダ付けの最中にフラックスが沸騰するのはおかしい。最初から飽和であれば、ハンダ付けが終わるまでフラックスは沸騰しない。
筆者のハンダ付けを見ていた人が言った。
「全然ジュッという音がしませんね。」
音がするのは塩化亜鉛の濃度が足らないのと直接塩化亜鉛水溶液がコテに触っているから、である。
飽和溶液の作り方で昔の理科の問題を思い出して得々と解説する人が居るが無駄なことだ。瓶に多めに結晶を入れて少量の水を入れると、自然に飽和溶液になる。あるいは、結晶は潮解性なので瓶に入れて蓋を開けて放置すれば、自然に結晶の残った飽和溶液になる。つまらないことに頭を使うべきではない。
ワークに対するコテ先の大きさ、角度をよく考える。コテ先の密着も大きなポイントである。
こういうことを厳密に考えると、コテによるハンダ付けは名人芸の中に入るかも知れない。その意味では炭素棒による加熱は単純で、頭が要らない。ただし炭素棒はコテの補完であって、両方使えないと意味がない。
面白いのは、「薄めて使ってジュッと音がしているが、飛び散っていない。何の問題もない。」と言う人の存在である。自分に観察力がないことを公言しているわけである。またこの分野の知見を総動員して、こうすると飛ばないという話題を出しているわけだから、飛んでも良いという話を持ち出すのは筋が違う。
塩化亜鉛の飽和溶液の沸点が 320 ℃ 以上ということを覚えておくべきだ。ハンダ付けの最中にフラックスが沸騰するのはおかしい。最初から飽和であれば、ハンダ付けが終わるまでフラックスは沸騰しない。
筆者のハンダ付けを見ていた人が言った。
「全然ジュッという音がしませんね。」
音がするのは塩化亜鉛の濃度が足らないのと直接塩化亜鉛水溶液がコテに触っているから、である。
飽和溶液の作り方で昔の理科の問題を思い出して得々と解説する人が居るが無駄なことだ。瓶に多めに結晶を入れて少量の水を入れると、自然に飽和溶液になる。あるいは、結晶は潮解性なので瓶に入れて蓋を開けて放置すれば、自然に結晶の残った飽和溶液になる。つまらないことに頭を使うべきではない。
ワークに対するコテ先の大きさ、角度をよく考える。コテ先の密着も大きなポイントである。
こういうことを厳密に考えると、コテによるハンダ付けは名人芸の中に入るかも知れない。その意味では炭素棒による加熱は単純で、頭が要らない。ただし炭素棒はコテの補完であって、両方使えないと意味がない。
2025年08月23日
ハンダゴテの先

筆者の板金工作用の3種のコテの先である。左から150 W、100〜150 W、60 Wである。先が尖ったものは電気配線にしか使わない。先端が平型が模型工作には適する。
この状態では先端はハンダめっきが不完全である。作業が終わった時、熱いままで先端を流水で洗う。塩化亜鉛を落とすためである。そのとき銅の上の酸化被膜が一部剥がれている。ハンダは付いてはいるが、ぴかっとは光っていない。これで良いのだ。
使い始める前に大きなヤスリで形を整える。通電してハンダが融ける温度になる直前に塩化亜鉛の飽和溶液を塗る。以前にも書いたが、塩化亜鉛の飽和溶液の沸点は 320 ℃以上であるから、ピチピチとは音を立てない。そこにハンダを当てると、削って銅の面が出た部分の全体にハンダが廻り、いわゆるハンダめっきがなされる。
焼けた状態でヤスリを掛ける人が多いが、それは間違いである。瞬時に銅の表面が黒くなるのが分かる。熱くなる前に塩化亜鉛飽和溶液で濡らしておき、ハンダが融ける温度になった瞬間にハンダめっきを掛けるわけである。
このハンダめっきについてはおかしな記事があった。発刊当時のとれいん誌で前里氏が書いていたが、コテ全体をハンダめっきすべしというのである。まったく無意味である。そのめっきはすぐに酸化されて剥がれる。一体何が言いたくてあんなことを書いたのだろう。今でもやっているか、聞いてみたいものだ。
コテが熱くなったら、直ちにハンダ付け作業に入って連続して使う。段取りをよく考えて、休ませないように使うのがコツである。作業の「間」が空く時は電圧を下げてコテ先の過熱を避ける。ハンダが付かないという人は、ほとんどこの過熱によってコテ先のハンダが酸化された状態なのだ。その状態では付くわけがない。ハンダコテを熱くしている時間をなるべく短くするべきだ。コテ先、ヒータの寿命は意外と短いものなのだ。
最近は温度を自動制御でうまくコントロールできるコテもあるが、大きなワークには適さない。大きなものは素手では触れない温度(約 80 ℃ )にヘヤ・ドライヤで全体を温めておいて 150〜200 W程度のコテを使うと、完璧なハンダ付けが可能である。しかし、大きなワークはガスバーナで加熱するのが最適であろう。しかし普通のガスでは局所的に加熱することは出来ない。酸素・アセチレンを使える人はその種のバーナを入手すると良い。長さが 2 mm程度の極めて高温の炎が出来る。アセチレンの燃焼速度は水素の次に大きいからである。これがあると大きなワークでも予熱なしで局所加熱が出来る。炭素棒をはるかに上廻る発熱が、極めて狭い範囲で起こるからである。
2025年08月21日
ハンダゴテの持ち方
しょうなんでんしゃのブログでハンダ付けの話題が扱われている。たかなし氏はサイエンティストなので、話は非常に客観的である。要するに思い込みや勘違いがない。書いてあることは全て再現性があるのだ。日本の模型界ではこの種の能力を持つ人はとても少なく、貴重な存在である。
やってもいないことをさも自分はそのことには詳しいという態度で書く人は、模型界には多い。また、その方法がベストの方法でもないのに、こうしなければいけないと講釈を垂れる人も多い。要するに自分が経験の少ないアマチュアであることを忘れて、プロ以上であると信じているのである。筆者は模型以外でも、いろいろな分野のプロの仕事ぶりを見るのが趣味である。素晴らしい仕事をする人たちは何が違うのか、を見たいのだ。
以前にも書いたがハンダごてはそのコテ先が小指の方向を向いた状態で握るべきなのである。いわゆる「スリコギ持ち」である。包丁のような持ち方をする人が多いが、そんな持ち方では力が入らないし、先が震えてしまう。若いときはこの持ち方が出来ても、歳を取ると震えて出来なくなる。
スリコギ持ちで肘を作業卓に付ければ、力を入れても先端はぶれない。これがプロの極意である。要するにハンダ付けは力を入れるのが普通なのだ。コテ先をある程度の面積を持つ平面にして、その面を相手に押し付けると大量の熱を瞬時に伝えることが出来る。その瞬間に 183 ℃を越えれば、ハンダ付けが完了である。先の尖ったコテでちょいちょいとやっていると、どんなに練習してもうまく付けられない。
電気配線などは小型のコテを鉛筆のように持つことが普通である。その時、手首は何かの上で固定しているはずだ。手首が浮いていると、包丁持ちと同じになり、先端が震えて狙いが定まらない。
以前、歯科医の手の動きを参考にすべしと書いた。歯科医はかなりの力を入れることがある。その時に手元が狂わないように、またたとえ狂ったとしても大事にならないような持ち方をしていることに注意すべきである。スリコギ持ち以外、しないのだ。
筆者は過去に指導を頼まれたことがある。このスリコギ持ちをさせると始めはぎょっとしているが、あとで感謝される。失敗がなくなるのだそうだ。しかも楽で疲れないと言う。筆者の作業卓には右肘の置き場所を作ってある。雑巾を4つに畳んで置いてあるのだ。
祖父江氏はハンダゴテの持ち方にはうるさかった。「包丁持ちをしているような奴らのはハンダが付いてねぇよ。 仕事ができねぇくせに俺はうまいと思ってやがんの。」と言った。
この動画の7:50前後にもスリコギ持ちが出て来る。
<追記> 読者の方から写真のコピィを送って戴いた。40年以上前のCustom Brassのカタログから、Orion の工場の様子である。昔のカツミの工場の写真を探している。
やってもいないことをさも自分はそのことには詳しいという態度で書く人は、模型界には多い。また、その方法がベストの方法でもないのに、こうしなければいけないと講釈を垂れる人も多い。要するに自分が経験の少ないアマチュアであることを忘れて、プロ以上であると信じているのである。筆者は模型以外でも、いろいろな分野のプロの仕事ぶりを見るのが趣味である。素晴らしい仕事をする人たちは何が違うのか、を見たいのだ。
以前にも書いたがハンダごてはそのコテ先が小指の方向を向いた状態で握るべきなのである。いわゆる「スリコギ持ち」である。包丁のような持ち方をする人が多いが、そんな持ち方では力が入らないし、先が震えてしまう。若いときはこの持ち方が出来ても、歳を取ると震えて出来なくなる。スリコギ持ちで肘を作業卓に付ければ、力を入れても先端はぶれない。これがプロの極意である。要するにハンダ付けは力を入れるのが普通なのだ。コテ先をある程度の面積を持つ平面にして、その面を相手に押し付けると大量の熱を瞬時に伝えることが出来る。その瞬間に 183 ℃を越えれば、ハンダ付けが完了である。先の尖ったコテでちょいちょいとやっていると、どんなに練習してもうまく付けられない。
電気配線などは小型のコテを鉛筆のように持つことが普通である。その時、手首は何かの上で固定しているはずだ。手首が浮いていると、包丁持ちと同じになり、先端が震えて狙いが定まらない。
以前、歯科医の手の動きを参考にすべしと書いた。歯科医はかなりの力を入れることがある。その時に手元が狂わないように、またたとえ狂ったとしても大事にならないような持ち方をしていることに注意すべきである。スリコギ持ち以外、しないのだ。
筆者は過去に指導を頼まれたことがある。このスリコギ持ちをさせると始めはぎょっとしているが、あとで感謝される。失敗がなくなるのだそうだ。しかも楽で疲れないと言う。筆者の作業卓には右肘の置き場所を作ってある。雑巾を4つに畳んで置いてあるのだ。
祖父江氏はハンダゴテの持ち方にはうるさかった。「包丁持ちをしているような奴らのはハンダが付いてねぇよ。 仕事ができねぇくせに俺はうまいと思ってやがんの。」と言った。
この動画の7:50前後にもスリコギ持ちが出て来る。
<追記> 読者の方から写真のコピィを送って戴いた。40年以上前のCustom Brassのカタログから、Orion の工場の様子である。昔のカツミの工場の写真を探している。
2025年08月17日
covered hopperを完成させる
このカヴァド・ホッパは安達製作所からのジャンクを組んだものであり、完成まで45年も掛かっている。ホッパの下部の部品がなかったためだ。
塗装には悩んだ。あまりピンとくる塗色がなかったのだ。最近よく助けて下さる F氏が筆者の好みのディカール・セットを下さったので、それを貼るべく薄い灰色に塗ることにした。会社名を書いた板が側板のリブの上にある。薄板だから下手にハンダ付けすると伸び切ってしまうので、何らかの工夫をせねばならなかった。思い切って接着するという手も考えたが、ここはハンダ付けで片付けたかった。
接着するところに両面とも薄くハンダを塗って板を置き、上から熱い炭素棒で押すことにした。熱くなれば伸びるので、一回ごとに冷やして縮ませてから次をハンダ付けした。水を含ませた紙タオルを置いて一瞬で付ける。紙タオルは熱くなるので、水に付けて冷やす。それを再度置いて熱を吸収させるわけだ。
板が薄いので熱が逃げずハンダが融けた。こういう時には、スズ63%の共晶ハンダは実に優秀な接着剤である。
塗装には悩んだ。あまりピンとくる塗色がなかったのだ。最近よく助けて下さる F氏が筆者の好みのディカール・セットを下さったので、それを貼るべく薄い灰色に塗ることにした。会社名を書いた板が側板のリブの上にある。薄板だから下手にハンダ付けすると伸び切ってしまうので、何らかの工夫をせねばならなかった。思い切って接着するという手も考えたが、ここはハンダ付けで片付けたかった。
接着するところに両面とも薄くハンダを塗って板を置き、上から熱い炭素棒で押すことにした。熱くなれば伸びるので、一回ごとに冷やして縮ませてから次をハンダ付けした。水を含ませた紙タオルを置いて一瞬で付ける。紙タオルは熱くなるので、水に付けて冷やす。それを再度置いて熱を吸収させるわけだ。板が薄いので熱が逃げずハンダが融けた。こういう時には、スズ63%の共晶ハンダは実に優秀な接着剤である。
2025年08月13日
続 boxcar を作る
40 ftの boxcar がまだいくつか出来る材料がある。この側板は例によって0.25 mmの厚さで、まったく強度が無い。しかもこの板はリヴェットを押し出してあるので、見事に湾曲している。この反りを補正するのはとても困難だ。この貨車は、木箱を作っておいて側板などを釘で留めて作るのが本来の作り方だ。だから、側板が反っていても関係ないし、強度も不要だった。
アメリカでジャンクをいくつか買ったが、それらは木箱の組立てが緩くなり、金属板が剥がれて分解寸前というものが多い。現地でバラして、金属板だけ持って帰った。塗装を剥がすと塗膜の下はピカピカであった。
実物の貨車は板をリヴェットで骨組に張り付けてあるので、べこべこである。模型は妙にのっぺりしている。下手に凹ませるとみっともない。最近のTMSにその例が出ているとのことだが、不自然だそうだ。今回、試しにその反った裏側に細いアングルを全面にハンダ付けしてみた。なかなか良い具合だ。スズ63%ではその歪みが少ない。50%ハンダを持って来て、大きなコテで加熱した。ハンダはじゅるりと融け、隙間に完全に沁み込んだ。その時アングルを押さえつけて、すべての隙間にハンダが入ったことを確かめる。
この調子で片面の半分をハンダ付けして表から見たところ、反りは抑えられ、実感的な歪み具合で平面に近くなった。その後、側板の上下にアングルを全面にハンダ付けし、妻板と組み合わせた。角の内側はアングルを貼り付けて補強した。
床板は 1 mmのジャンク板から切り出した。長さが微妙に足らないので、連結器部分には同じ厚さの板で貼り足した。そこに背骨の角材を貼り、それにはアングル等を貼り足して、ハット・セクションの形にする。
どの部分にも隙間なくハンダが沁み込んでいる。これでそう簡単には壊れない。ヤード内で長い編成同士をぶつけても安心だ。
2025年07月22日
続 ハンダ付け
炭素棒方式であれば、すぐに温度が上がり、ハンダが融ける。出力が大きく、 200 Wほど出るからである。ガス火による加熱も良いが、下手をすると反ってしまう。筆者は予熱用にしか使わない。素手では触れないほどの温度に加熱しておいて、コテで付けるのが手軽だ。
横には水を入れたバケツを用意し、終わった瞬間に投げ込む。水は頻繁に替える。筆者は卓上に水を入れたコップを置く。急速に冷やしたいときは口に含んでおいて、終わった瞬間に吹き掛ける。
筆者は塩酸を入れた塩化亜鉛水溶液を好んで使うので、ハンダ付け作業は外で行う。室内でやると、家じゅうの刃物が錆びてしまう。塩酸の湯気は刺激があるが、毒ではない。塩酸は体内にもある。微量であるから問題ない。
床板のような見かけを問わない部分では、ハンダは必要量の2割増し程度を置き、加熱する。そうすると融けたハンダは目的部分に富士山の裾野のように付き、優美であると同時にきわめて強固である。先回の写真では、付けた後で位置を動かしたりしているので派手にはみ出しているが、薄い膜なので気にする必要はない。
この種のはみ出しハンダを削ってブラスの地肌を出すことに価値を認めている人が多いが、根本的に間違っている。薄い銀色の膜はハンダとブラスとの合金であり、それを無くするということは地金のブラスを削ることだ。すなわち凹んでしまう。
ハンダが見えない工作が素晴らしいという誤謬を無くしたい。
横には水を入れたバケツを用意し、終わった瞬間に投げ込む。水は頻繁に替える。筆者は卓上に水を入れたコップを置く。急速に冷やしたいときは口に含んでおいて、終わった瞬間に吹き掛ける。
筆者は塩酸を入れた塩化亜鉛水溶液を好んで使うので、ハンダ付け作業は外で行う。室内でやると、家じゅうの刃物が錆びてしまう。塩酸の湯気は刺激があるが、毒ではない。塩酸は体内にもある。微量であるから問題ない。
床板のような見かけを問わない部分では、ハンダは必要量の2割増し程度を置き、加熱する。そうすると融けたハンダは目的部分に富士山の裾野のように付き、優美であると同時にきわめて強固である。先回の写真では、付けた後で位置を動かしたりしているので派手にはみ出しているが、薄い膜なので気にする必要はない。
この種のはみ出しハンダを削ってブラスの地肌を出すことに価値を認めている人が多いが、根本的に間違っている。薄い銀色の膜はハンダとブラスとの合金であり、それを無くするということは地金のブラスを削ることだ。すなわち凹んでしまう。
ハンダが見えない工作が素晴らしいという誤謬を無くしたい。
2025年07月20日
ハンダ付け
「ハンダ付けがすごい」
ということであった。
これは決して、綺麗に付けてあるとかハンダが見えないという意味ではない。ハンダは接合部周辺の車体表面に広がり、薄い膜になっている。すべての部品が隙間なく付けられ、浮いているところはない。力の掛かるところは厚い板を組合わせて必要量のハンダが継ぎ目を埋めているということである。一見ハンダだらけであるが、必要な個所に確実に入っている。しかも接合部は良く密着しているので、ハンダと銅、亜鉛の合金が出来て強力に接着されている。
今後鉄道模型界がどの方向に進んで行くのかはよく分からないところがあるが、ブラスの板材、棒材を切ってハンダ付けする技能は不可欠のことであろう。最近の雑誌記事に、ペースト礼賛記事があったが、あれがその進むべき方向を誤らせるのではないかと心配する向きは多い。
大きなコテ、塩化亜鉛(できれば塩酸を含むと良い)、63%ハンダを用意し、事前の清掃、正しい隙間、十分な加熱、適切な洗浄があれば、ハンダ付けは完璧にできる。某模型店のハンダ付けに関するvideo を見たが、正しいとは言えない部分が多々ある。
ハンダ付けした部分が外れる原因は沁み込んでいないこと以外に、ハンダの種類の問題がある。スズ63%の共晶ハンダを使えば、融けたものが一瞬で全部固まるので、こしあん状態になることはない。すなわちどの部分も同じ組成になる。どうしてこれを使わないのかが理解できない。強度などという言葉を出す人が居るが、正しく付いていればはるかに強度がある。浮いていたり、こしあん状態のハンダでは駄目なのである。
いろいろな場面でそのこしあん状態を見ることがある。「スズ63%を使うべきだ」と言うだけでは駄目なので、小さなサンプルを渡すようにしている。すぐに感想が来る。
「素晴らしい。どうしてこれが一般化しないのだろう。」
「出版社には大きな責任がある。」と皆が言う。
TMSの300号近辺にこのスズ63%ハンダの件は1回だけ載っていたように記憶している。その後は全く見なかったし、菅原氏も興味がなさそうだった。その辺りが大きな問題だ。
先述のBill Melis氏、祖父江氏、内野氏は全く同じことを言った。
「どの部品を持って機関車をぶら下げても取れてはいけない。」
「ハンダは外に見えているのが正常」
しかし、いつのころからか、TMS誌上ではハンダが見えない模型を礼賛する記事が目立つようになった。とんでもない間違いである。
筆者の車輌群は全て上述の方針で作られている。
「板を貼り合わせるときは、ハンダが向こう側から出なければいけない。」
加熱方式はコテでも良いが、大きなコテ先を用意すること。できれば銅の塊をコテ先にロウ付けして熱容量を稼ぐと良い。そうすれば、100 Wのコテでも十分な予熱により、厚板を付けることが出来る。
2025年07月08日
続 タンク車を組む

一方、ダイキャストのタンクの方はブラスで新製した台枠に付けることにすれば軽くなる。これは簡単な工作である。背骨には太いチャネルを使って、衝突に耐えるようにした。ダイキャストの下廻りには、Made in the United States of America 1950と陽刻してあった。このころのダイキャストは割れることはない。アメリカ製でも戦前のものには駄目なものがある。
硫黄は密度が大きくはないから、容積が大きい。水蒸気を注入して120 ℃ほどにすれば融けて簡単に取り出せる。作業用のステップの位置を迷っていたが、高いほど作業が楽そうである。ディカールはなかなか決まらないが、タイヤの Firestone にする予定である。
もう1輌は過酸化水素用のアルミニウム製タンク車である。これは簡単にできたが、軽過ぎた。錘を入れるのは台枠に取り付けるアンカー部分の箱状部分にしようと思う。Du Pont のロゴのディカールは見つかったが、その他はどうするか悩んでいる。
2025年07月02日
boxcar を完成させる
ブラス製の仕掛かり品の入った箱をすべて出して眺めた。boxcarの箱には半完成品が2輌あった。部品箱から必要なものを拾い出して並べるとすぐ出来そうだ。ディカールは各鉄道の物がたくさんある。
面白いのはLobaughの屋根板である。良く出来ている。AとC を合わせると40-ftの貨車用で、間にスペーサの B を挟むと50-ft用になる。重なる部分はヤスリで少し削って薄くすると目立たない。押さえ込んでハンダ付けすると、継ぎ目があることが分からない。
このATSFの側板はブリキ製で、再生品である。裏にはCoca-Colaの印刷がある。アメリカ製の物で再生材料が使ってあるものは稀で、Athearnの1940年代の物しかない。表面の塗装が傷むのを覚悟するなら、裏にアングルをハンダ付けすればよい。塗装を温存したければ、裏の塗料を丁寧に剥がしてエポキシ接着剤でアングルを貼ることになる。あとは頭を使えば、ネジ留めで組めるだろう。
屋根は細かく出来たプラスティック製もあるが、金属製には敵わない。ドアはプレスしたものもあるが、鉛合金の鋳造品もなかなか良い。ウェイト代わりに貼っておくという手もある。
側面はアングルを貼って剛性を持たせ、床板をネジ留めする。既製品は、塗装時にバラすとどれでも合ってしまうから、後で苦労する。この時の穴の位置はランダムにすると、特定の組み合わせしか組めなくなるから具合が良い。いわゆる fool proof である。
妻板はどこの製品か不明のものがたくさんあるので、ごく適当に付ける。ドアは鉛合金の鋳造品があるのでそれを貼り付ければ出来上がりだ。
問題点は扉のレイルである。ハンダ付けすれば大丈夫だが、接着では取れてしまう。
一番苦労するのはラニングボードだ。鋼製でない時代の物は木製である。これは意外と厚い。1インチ(25.4 mm)以上ある。薄ければ貫通して割れてしまうからだろう。Tom Harvey の話によると、鋼製スパイクの付いた靴があって、それで凍った板の上を歩いて行ったそうである。だからこそ木の板でなければならなかったのだ。そんな危険なことをいつまでやっていたのかは知らないが、凄い話ではある。
追記 Coca-Cola の写真を追加掲載した。
2025年06月30日
4-bay covered hopper のその後

この2輌の貨車は13年前、ジャンクで購入したものだ。オリジナルはLocomotive Workshop で、経営者が亡くなってその息子が在庫を売りに来ていたのであった。安かったので買ったが、組立は大変であった。設計がまともではなく、強度がないので補強材をハンダ付けする必要があった。鉛合金の部品はすべて外して捨て、ブラスまたは洋白のアングル、チャネルと置き換えた。その後ほとんど完成したところで落下させてしまい、片方のエンドが壊滅した。上の左の写真で向こう側のエンドの造作が無くなっている。
再度作り直した。これは修復後の写真だ。ブラス工作はこういう時の修復は早い。切り離して、新しくアングル、チャンネルおよびハシゴで作るだけである。まだ細かい部品は付いていない。
実のところ、これらを Southern鉄道の Big John だと思い込んで買ったのだ。そのディカールを持っていたし、その形が好きだったからだ。ところが家でじっくり点検すると、これは全く異なる設計であった。どうやら、この写真のタイプは PS-2の4-bayというかなり珍しいタイプであることが分かった。
屋根上のハッチは左の形のようだ。Erie-Lackawanna 鉄道のものが Conrail に引き取られたのだ。上の写真に写っている左側の車輌が Big John の系統でそれに比べるとずっと小さい。旧型のカヴァドホッパを単に引伸ばしただけであると言って良い。右のハッチは "trough"型と呼ばれる。発音はイギリスでもアメリカでもトローフに近く、「飼い葉桶」の意味である。飼い葉と言っても意味が分からない人が多い時代になった。牛馬の餌で、それを入れる長い容器である。イエス・キリストはこの中で生まれたことになっている。最近よく聞く「南海トラフ」とはこのことである。溝状の地形を言う。ドイツ語では Trog という筈。
今さら、南海トローフに言い替えてくれと言っても変わらないだろう。
2025年06月18日
gondola を完成させる
このゴンドラは、しばらく前にジャンクとして極端に安く手に入れた。おそらく1950年頃のIMP向けの製品で、極めて出来が良くない。
ブラス製だが、設計が稚拙で実感がない。ハンダの量が足らないので、部品が外れやすい。また長さ方向の強度が不足し、連結するとめり込みそうである。この貨車はYahooオークションにもよく出ているようだ。自分で改良するなら、安い投資かも知れない。
背骨部分に 3 x 8 mmの太い骨を入れたので、これで衝突時に潰れることはないはずだ。台車取付け位置は例によって 間違っていて気分が悪かった。直ちに外側にずらした。肋骨に相当する部分の台枠をハンダ付けし、端梁を角材から削製し、下廻りは良しとした。
上廻りの見かけは全く良くない。サイドパネルのフランジがほとんど無かったのである。実物は、立ち上がった側板にアングルがリヴェットで付けてある。これが強度を与えているのだから、付けないわけにはいかない。この模型は上端の 1.2 mm程度の部分を外に曲げてごまかしてあった。強度がないし、何よりも見かけが良くない。角の部分には別部品が付けてなければならない。削り落として3x3 のリヴェットを打ったアングルを貼った。この写真はアングルを付けた様子で、コーナに貼る金具は一つ付けてその状態を見せている。
2025年04月25日
NYC wood caboose
このNYC(New York Central)のカブースは数年前に完成させたのだが、ガラスケースに入っていて、窓ガラスの一部が張ってなかったことに気付かなかった。NYCは建築限界が小さいので、キュポラは低い。蒸気機関車ナイアガラもその大きさに比べて煙突、砂箱などが異常に低く、奇妙な感じを受けるのはこの建築限界があるからである。このカブースは土屋氏のコレクションから来たもので、製造は横浜のパイオニアである。博物館に来た時には部品がかなり落ちていた。ハンダ付けが不確実で、窓枠どころかキュポラまで浮き上がっていた。台車が無かったので、Lobaugh の台車を整形して Low-D 化し、ボールベアリングを入れた。とても滑らかに走る。
パイオニアの工場では、小さなハンダ鏝を使っていたらしく、ハンダが沁み込んでいない。困ったことにクリア・ラッカが塗ってあるので、周りを薄く剥がした。塩化亜鉛+塩酸を沁み込ませて炭素棒で加熱して、結局全部のハンダを融かしてやり直しをしたに近い状態だ。
塗装をしたのが数年前で、窓ガラスをすべて嵌めたと思ったのだが、材料不足で一部が未完であった。
木製を表しているのだがエッチングが浅く、のっぺりしている。
当鉄道にはNYCの貨物機がいないので出番は少なそうだ。
2025年04月23日
UP caboose の修正
窓の間違いを修正するために窓枠を外して捨て、周りのリヴェットを打った部分を削り取った。その部分は別部品を貼り付けたのではなく、全体をプレスで押し出し、さらにリヴェットを押し出してある。この写真はオリジナルの状態だ。
リヴェットのピッチを測定し、1.45 mmのようだったので、送り装置を使って打ち出した。それを切り取って嵌めてみた。裏側に小さな板を支えに貼ってある。前回はリヴェットがとがり過ぎていたので、少し甘くした。いずれ削って低くなるはずだ。
周りの隙間を50%ハンダで埋める。ぼてぼてに盛って削るのだ。こういう時は63%を使うべきでない。共晶ハンダは全て沁み込み、重力で裏側に垂れてしまう。このハンダを丁寧に削り取る。リヴェットの周りはキサゲ刷毛でこすり取ると、リヴェットの頭が丸くなってちょうど良くなる筈だ。
微妙な傷は光硬化パテで埋められる時代になったから、気楽である。
2024年07月05日
またまた C&O coal hopper
これも C&O の peaked end hopper である。前回紹介のものとは微妙に異なる。前回紹介したものは、間違いなくUS Hobbies(Levon Kemalyan氏がインポータ)の製品である。板は 0.4 mm で、ある程度の丈夫さが担保されている。ボルスタは黒いフェノ−ル樹脂で、台車から絶縁されていた。
今回のものは板が薄く、また寸法も微妙に違う。やや細いのだ。しかし製作手法はほぼ同じだ。おそらく、Max Gray以前の輸入品(International 製)だろう。もちろん製造は安達製作所のはずだ。1957年頃だろう。この写真で手前は少し上部の幅が狭いのが分かる。側板上の部分の傾斜が急だからだ。ボルスタは t 0.6 ブラス板で、それに殆ど効かない M3 のJISネジが立ててあった。ピッチが荒いので、ほとんど効き目がない。めくり取って 1 mmの板で作り直し、その中心部にさらに t 1.5 のブラス板を貼り重ねて ISO ネジの穴を作った。台車が絶縁材料だから、金属製で良いのだ。ブレーキシリンダ、エアタンクなども無かったから、それらしいものを探して付けた。。
連結器付近は弱いので、例によって t 1.5で作り直し、衝突に耐えるようにした。ホッパ下部は何も付いていず、寂しいのでアングルで小部品を付けた。
ミッチャクロンで下塗りして、艶を出す塗装をした。ディカールを貼り易くするためだ。石炭を積まねばならない。夕張炭を10 kgほど持っているので、砕いて積む予定だ。
2024年06月27日
続 焙り付け
「あれは違うんだ。あれは『ぬれ』を良くしただけなんだよ。」と言うと不思議そうだ。これは4年生には難しいようなので、簡単な実験を見せた。
洗面器に水を汲み、多少の油気がある手の平(CRCを吹いた)に垂らした。水は弾かれて、指の隙間が透けて見えていても落ちない。これは「ザルで水をすくうことができるか」という問題と同じだ。次に石鹸で手を良く洗ってから、水を垂らした。水は指の隙間をすり抜けた。
「石鹸は油を取り除いて手をぬれやすくしただけなんだ。さっき塗ったペーストも同じ働きをしたのだよ。金属の表面の錆とか邪魔になるものを溶かしてしまう力があるんだ。でもペーストはハンダには何もしていないんだよ。
ハンダの中のスズという金属はどんな金属とも簡単に融け合おうとするんだ。たとえ常温であってもなんだ。こういう金属は珍しい。」と言うと、納得したような顔をした。後で純粋なスズの塊を触らせた。
ここで石鹸水を用いてしまうと、それは表面張力の小さな液体であることも同時に説明せざるを得ないので、水を使ったのだ。ハンダにはフラックスが溶けないが、水には石鹸が溶けるということを理解させればよいのだが、4年生にはかなり難しいだろう。
4輌のハンダ付けが終わってから居間に戻った。彼がいつも遊ぶレゴブロックには手垢がついているから、水を掛けると水は弾かれる。それを確認してから、洗剤を吹き掛けてブラシでこすった。するとブロックは水でよくぬれるようになり、隙間に沁み込んだ。次にそのブロックを2個、皿の上に置き、わずかの隙間を空けた。その上に水を垂らすと、2つのブロックは動いて密着した。
孫は「さっきとおんなじだ。」と妙に感動していた。水によくぬれるようになったブロックの間の水は、表面積を減らす方向に作用したのが分かったのだ。もしここで石鹸水を垂らしても、ブロックは動きにくい。石鹸水の表面張力は小さいからだ。
小4では本質的な理解は難しいだろうが、「ぬれ」というものに興味を向かせることはできた。「何か他の例を探して教えてね。」と言うと「うん、調べてみる。」と言ったので多少は期待できる。
その後糸鋸作業をやりたがったので、万力のところに行った。2 mmの板を切り抜いて、その後彼にも実際に切らせたら、かなり興奮していた。
彼は、次回から汽車の作り方を習いたいと言う。社交辞令でないことを祈りたい。
洗面器に水を汲み、多少の油気がある手の平(CRCを吹いた)に垂らした。水は弾かれて、指の隙間が透けて見えていても落ちない。これは「ザルで水をすくうことができるか」という問題と同じだ。次に石鹸で手を良く洗ってから、水を垂らした。水は指の隙間をすり抜けた。
「石鹸は油を取り除いて手をぬれやすくしただけなんだ。さっき塗ったペーストも同じ働きをしたのだよ。金属の表面の錆とか邪魔になるものを溶かしてしまう力があるんだ。でもペーストはハンダには何もしていないんだよ。
ハンダの中のスズという金属はどんな金属とも簡単に融け合おうとするんだ。たとえ常温であってもなんだ。こういう金属は珍しい。」と言うと、納得したような顔をした。後で純粋なスズの塊を触らせた。
ここで石鹸水を用いてしまうと、それは表面張力の小さな液体であることも同時に説明せざるを得ないので、水を使ったのだ。ハンダにはフラックスが溶けないが、水には石鹸が溶けるということを理解させればよいのだが、4年生にはかなり難しいだろう。
4輌のハンダ付けが終わってから居間に戻った。彼がいつも遊ぶレゴブロックには手垢がついているから、水を掛けると水は弾かれる。それを確認してから、洗剤を吹き掛けてブラシでこすった。するとブロックは水でよくぬれるようになり、隙間に沁み込んだ。次にそのブロックを2個、皿の上に置き、わずかの隙間を空けた。その上に水を垂らすと、2つのブロックは動いて密着した。
孫は「さっきとおんなじだ。」と妙に感動していた。水によくぬれるようになったブロックの間の水は、表面積を減らす方向に作用したのが分かったのだ。もしここで石鹸水を垂らしても、ブロックは動きにくい。石鹸水の表面張力は小さいからだ。
小4では本質的な理解は難しいだろうが、「ぬれ」というものに興味を向かせることはできた。「何か他の例を探して教えてね。」と言うと「うん、調べてみる。」と言ったので多少は期待できる。
その後糸鋸作業をやりたがったので、万力のところに行った。2 mmの板を切り抜いて、その後彼にも実際に切らせたら、かなり興奮していた。
彼は、次回から汽車の作り方を習いたいと言う。社交辞令でないことを祈りたい。
2024年06月25日
焙り付け
客車の妻板をハンダ付けしようとしていた時に、たまたま9歳の孫が来た。興味を示したので手伝わせてみることにした。
庭のデッキの上での作業だ。妻板に側板、屋根が一体になったものをかぶせ、隙間なく接するようにジグを設定する。塩化亜鉛の入ったペースト(これは35年前にアメリカで入手した銅配管用)を塗り付ける。彼はこれを塗らせてくれとせがむ。この作業は面倒なので助かった。ガスバーナの炎を細くして加熱を始める。
ペーストが融け始めると特有の臭いがする。ハンダを細かく(2 mm角)に切ったものを10 mmおきに並べて、さらに加熱する。ハンダが融けて玉になるのを見て彼は興奮した。「これは表面張力が大きいからだよ。」と説明すると「水玉みたいだね。」と言う。
「うーん、水より力がうんと強いからまん丸だろう?」と言うと、「そうだね。水玉はつぶれている。」と言う。なかなか良い観察眼だ。
「ちっとも付かないね。」と言うので、もう少しガスの炎を近付けた瞬間、ハンダの粒は一斉に隙間に沁み込んだ
彼は「あっ、ハンダが消えた!」と叫んだ。
「消えたわけじゃないよ。よく見てごらん。沁み込んでいるから。」と見せるとずいぶん驚いた。そこに磨いた角線を、ペーストを塗って置いた。再度加熱すると、角線は角の部分に吸い寄せられ一体になった。写真はその後にもう2粒ハンダを足した状態である。この写真は分かりにくい角度で申し訳ないが、車体の内側から妻板の方を見ている。2箇所ハンダが飛び出しているところに追加のハンダ粒を置いて再加熱したのだ。
「どうして吸い付けられるの?」と聞くので「これも表面張力だよ。なるべく表面の面積を小さくしたいのだ。」と答えると、「さっき、ハンダが吸い込まれたのも、表面張力なの?」と聞く。残念ながらそれは違う。
庭のデッキの上での作業だ。妻板に側板、屋根が一体になったものをかぶせ、隙間なく接するようにジグを設定する。塩化亜鉛の入ったペースト(これは35年前にアメリカで入手した銅配管用)を塗り付ける。彼はこれを塗らせてくれとせがむ。この作業は面倒なので助かった。ガスバーナの炎を細くして加熱を始める。
ペーストが融け始めると特有の臭いがする。ハンダを細かく(2 mm角)に切ったものを10 mmおきに並べて、さらに加熱する。ハンダが融けて玉になるのを見て彼は興奮した。「これは表面張力が大きいからだよ。」と説明すると「水玉みたいだね。」と言う。
「うーん、水より力がうんと強いからまん丸だろう?」と言うと、「そうだね。水玉はつぶれている。」と言う。なかなか良い観察眼だ。
「ちっとも付かないね。」と言うので、もう少しガスの炎を近付けた瞬間、ハンダの粒は一斉に隙間に沁み込んだ彼は「あっ、ハンダが消えた!」と叫んだ。
「消えたわけじゃないよ。よく見てごらん。沁み込んでいるから。」と見せるとずいぶん驚いた。そこに磨いた角線を、ペーストを塗って置いた。再度加熱すると、角線は角の部分に吸い寄せられ一体になった。写真はその後にもう2粒ハンダを足した状態である。この写真は分かりにくい角度で申し訳ないが、車体の内側から妻板の方を見ている。2箇所ハンダが飛び出しているところに追加のハンダ粒を置いて再加熱したのだ。
「どうして吸い付けられるの?」と聞くので「これも表面張力だよ。なるべく表面の面積を小さくしたいのだ。」と答えると、「さっき、ハンダが吸い込まれたのも、表面張力なの?」と聞く。残念ながらそれは違う。
2024年05月12日
resistance soldering
Dennis の工房には工夫が満ち溢れている。炭素棒の保持具は面白い。筆者の作例では、握りの軸の延長上に炭素棒がある。それでも良いのだが、曲がっていると楽だろうな、とたまに感じることがある。
これを見て戴きたい。厚いブラスの板に貫通孔をあけ、それをスリ割フライスで切ってある。炭素棒を差し込み、ネジを締めるのだ。下の板はアースとなるブラス板だ。
簡単にして確実な保持方式であり、力も入れやすい。握りは熱くなるので、熱絶縁が必要である。ベークライトの板と管で作った握りである。電流は20 A程度で、スライダックで一次側を調節している。
Dennisはこの種の工夫をする能力に長けている。ありとあらゆる工具を使いやすい形に改良している。 これを見習って作ってみたい。握りは木製にするのが簡単そうだ。ヤスリの握りで大きなものがあるがそれを少し加工すればできそうだ。
これを見て戴きたい。厚いブラスの板に貫通孔をあけ、それをスリ割フライスで切ってある。炭素棒を差し込み、ネジを締めるのだ。下の板はアースとなるブラス板だ。
簡単にして確実な保持方式であり、力も入れやすい。握りは熱くなるので、熱絶縁が必要である。ベークライトの板と管で作った握りである。電流は20 A程度で、スライダックで一次側を調節している。
Dennisはこの種の工夫をする能力に長けている。ありとあらゆる工具を使いやすい形に改良している。 これを見習って作ってみたい。握りは木製にするのが簡単そうだ。ヤスリの握りで大きなものがあるがそれを少し加工すればできそうだ。2024年04月20日
signal bridges
持って行ったのは例の信号機のキットである。4線用と2線用の予備を作ってあったのでそれらを進呈した。体積は小さいので、スーツケースに簡単に入り、土産としては最適であった。
Dennisはその設計の妙に非常に感動した。すべてがぱちぱちと収まり、ヤットコでつまむだけで形ができる。それをハンダ付けするだけなのだが、それには大変手こずった。ステンレスをハンダ付けしたことが無いのである。要はフラックスなのだが、塩酸の入ったタイプが無い。ロジン系のものは全てダメで、どんなに磨いてあっても全く流れない。ハンダは玉になっていた。
(この写真のハシゴの上部の不要な凹みはすでにプログラムを改良し、滑らかになっている。)
棚を探し廻り、ようやく酸性タイプを見つけたが、それはリン酸系のもので、これまた機能しない。街の工具屋で銅配管用のフラックスを探したが、最近は酸性のものが無い。というよりも、銅配管でハンダ付けをしなくなったようだ。ワンタッチで抜けなくなる巧妙な接手があり、それで100年以上持つという話だ。
Dennisの知り合いの工場で塩酸を持っているところがあるというので、それを貰いに行ったが、どうも薄いようだ。臭いがほとんどない。筆者が塩化亜鉛と塩酸を少し持って行くべきであった。
大変な苦労をして多少は流れるようにはなったが、筆者が参考用に持って行った写真のようにはならない。その写真では、すべての接合面に石鹸水のように沁み込んでいる様子が写っていた。Dennisは「これはうまいなあ」と感嘆していた。ステンレスは熱伝導率が極端に小さいので、小さなコテで付き、素手でワークを持っていられることを示すと、感心した。
写真のハンダゴテはピストルタイプで、出力は150 Wである。引金を引くと、3秒くらいでかなり熱くなる。ハンダはボテッと付いている。こうしておいて、あとで塩酸を塗って炭素棒で加熱すると沁み込む。
先回、筆者は1本あたり40分程度でハンダ付けが完了したが、フラックスが無いというだけで、2日もかかった。この写真を見せて同等品を探すように伝えた。おそらく水道屋の友人を訪ねて探してもらうだろう。
Dennisはその設計の妙に非常に感動した。すべてがぱちぱちと収まり、ヤットコでつまむだけで形ができる。それをハンダ付けするだけなのだが、それには大変手こずった。ステンレスをハンダ付けしたことが無いのである。要はフラックスなのだが、塩酸の入ったタイプが無い。ロジン系のものは全てダメで、どんなに磨いてあっても全く流れない。ハンダは玉になっていた。(この写真のハシゴの上部の不要な凹みはすでにプログラムを改良し、滑らかになっている。)
棚を探し廻り、ようやく酸性タイプを見つけたが、それはリン酸系のもので、これまた機能しない。街の工具屋で銅配管用のフラックスを探したが、最近は酸性のものが無い。というよりも、銅配管でハンダ付けをしなくなったようだ。ワンタッチで抜けなくなる巧妙な接手があり、それで100年以上持つという話だ。
Dennisの知り合いの工場で塩酸を持っているところがあるというので、それを貰いに行ったが、どうも薄いようだ。臭いがほとんどない。筆者が塩化亜鉛と塩酸を少し持って行くべきであった。
大変な苦労をして多少は流れるようにはなったが、筆者が参考用に持って行った写真のようにはならない。その写真では、すべての接合面に石鹸水のように沁み込んでいる様子が写っていた。Dennisは「これはうまいなあ」と感嘆していた。ステンレスは熱伝導率が極端に小さいので、小さなコテで付き、素手でワークを持っていられることを示すと、感心した。
写真のハンダゴテはピストルタイプで、出力は150 Wである。引金を引くと、3秒くらいでかなり熱くなる。ハンダはボテッと付いている。こうしておいて、あとで塩酸を塗って炭素棒で加熱すると沁み込む。
先回、筆者は1本あたり40分程度でハンダ付けが完了したが、フラックスが無いというだけで、2日もかかった。この写真を見せて同等品を探すように伝えた。おそらく水道屋の友人を訪ねて探してもらうだろう。
2024年03月28日
surface tension
先日の記事で、Tavata氏がコメントを投稿された。それには「微小パーツがコテに吸い付けられて動いてしまう」とあった。これはまさしく表面張力の影響である。
この趣味をやっていて初めて、正しい表面張力に関する意見を戴いたことになる。 今までは例によって、ハンダが融けて沁み込む時に「表面張力が小さくなっている」などの間違った表現を書いているのが普通であったのだ。
それに対する筆者のコメントをお読み戴けただろうか。コメントにしては珍しく、「いいね」のような印がたくさんついている。
この動画はいつも見ているイチケン氏のエレクトロニクス講座で、筆者の好きな動画だ。練りハンダを置いて、そこに微小部品を並べる。下からヒータでハンダの融点付近までゆっくり加熱すると、ハンダが融けて上に載っている部品は吸い付けられる。多少ずれていても、所定の方向に整列してハンダ付けが完了する。これが表面張力の威力である。融けた金属の表面張力はきわめて大きいということを実感できる。
中学校までの理科で大まかな知識は得られる。観察は大事だ。持っている知識と照らし合わせて、どの理論が適用されるとこの現象が説明できるかということを考えねばならない。
最初から考えるのを放棄して、人の言うことを鵜呑みにする人があまりにも多い。また、「理屈はそれが好きな人が考えれば良いことで自分は関係ない」と公言する人も居る。しかし間違った理論を広めて良いはずはない。
この趣味をやっていて初めて、正しい表面張力に関する意見を戴いたことになる。 今までは例によって、ハンダが融けて沁み込む時に「表面張力が小さくなっている」などの間違った表現を書いているのが普通であったのだ。
それに対する筆者のコメントをお読み戴けただろうか。コメントにしては珍しく、「いいね」のような印がたくさんついている。
この動画はいつも見ているイチケン氏のエレクトロニクス講座で、筆者の好きな動画だ。練りハンダを置いて、そこに微小部品を並べる。下からヒータでハンダの融点付近までゆっくり加熱すると、ハンダが融けて上に載っている部品は吸い付けられる。多少ずれていても、所定の方向に整列してハンダ付けが完了する。これが表面張力の威力である。融けた金属の表面張力はきわめて大きいということを実感できる。
中学校までの理科で大まかな知識は得られる。観察は大事だ。持っている知識と照らし合わせて、どの理論が適用されるとこの現象が説明できるかということを考えねばならない。
最初から考えるのを放棄して、人の言うことを鵜呑みにする人があまりにも多い。また、「理屈はそれが好きな人が考えれば良いことで自分は関係ない」と公言する人も居る。しかし間違った理論を広めて良いはずはない。
2024年03月16日
soldering technic
最近はあちこちでハンダ付けの作品を見せてもらうチャンスが多くなった。どういうわけか、筆者に意見を求める人が増えてきたのだ。筆者は、長年ハンダ付けについて「世の中の常識」とは異なることを言って来たのだが、ようやくその「常識」がおかしいことに気づき始めた人が居るということなのかもしれない。
先日見た作品(HOではない)は悲惨であった。外見はそこそこに良いのだが、すべてのハンダ付けが点付けである。強く握るとその部分は良いのだが他の部分は浮いているから変形する。元に戻ればよいがそうは行かないだろう。
先日博物館に来訪したHOの方達は、機関車が重いのには驚いた。持ち上げるのは特定の場所を掴まないと壊れるということを実感した。脱線するだけでも壊れることがあると言うと、そうかも知れないという顔をした。連結時に壊れることもあると言うと、貨車や客車の車体の中心を貫く骨の太さを確認して驚いた。
ハンダ付けでハンダが外に出ていないのを称賛したのは山崎氏である。昭和40年代の作品だったと思う。あの頃から模型界が変な方向に向かって行った。筆者は幸いにも達人の指導を受けたので、丈夫で長持ちする模型を作ることが出来た。今回のペースト事件で、またおかしな方向に行かねばよいがと思う。
要するに、自分でものを作れない(作らない)人が、そのテクニックについて書くべきではないのだ。口先だけでものを作れると思っている人は多いと感じている。 旋盤も「持っているから自分はできる」と思っている人は多い。やってみれば「そんな筈ではなかった」ということが多いのだそうだ。筆者のところに指南を受けに来る人が増えてきた。やって見せると「なるほど」と思うことがあるようだ。
筆者は中学生の頃にプロの指導を受けた。今となっては得難い経験であった。教科書を読むだけでは決して得られぬノウハウがたくさんあった。
先日見た作品(HOではない)は悲惨であった。外見はそこそこに良いのだが、すべてのハンダ付けが点付けである。強く握るとその部分は良いのだが他の部分は浮いているから変形する。元に戻ればよいがそうは行かないだろう。
先日博物館に来訪したHOの方達は、機関車が重いのには驚いた。持ち上げるのは特定の場所を掴まないと壊れるということを実感した。脱線するだけでも壊れることがあると言うと、そうかも知れないという顔をした。連結時に壊れることもあると言うと、貨車や客車の車体の中心を貫く骨の太さを確認して驚いた。
ハンダ付けでハンダが外に出ていないのを称賛したのは山崎氏である。昭和40年代の作品だったと思う。あの頃から模型界が変な方向に向かって行った。筆者は幸いにも達人の指導を受けたので、丈夫で長持ちする模型を作ることが出来た。今回のペースト事件で、またおかしな方向に行かねばよいがと思う。
要するに、自分でものを作れない(作らない)人が、そのテクニックについて書くべきではないのだ。口先だけでものを作れると思っている人は多いと感じている。 旋盤も「持っているから自分はできる」と思っている人は多い。やってみれば「そんな筈ではなかった」ということが多いのだそうだ。筆者のところに指南を受けに来る人が増えてきた。やって見せると「なるほど」と思うことがあるようだ。
筆者は中学生の頃にプロの指導を受けた。今となっては得難い経験であった。教科書を読むだけでは決して得られぬノウハウがたくさんあった。
2024年03月14日
amalgamation
再度アマルガメイションについて説明せねばならない。元々は金属学用語なのだが、現在では社会科学的な話題や金融機関でよく用いられるようになった。もちろん英語圏での話である。
日本語では混汞法(こんこうほう)と言っていたが、もはや誰もそんな言葉を知らない時代になった。水銀は常温でほとんどの金属との合金を作る。例えば銅線に水銀を付けると水銀は流動しにくくなる。生じる合金中の銅が多いからである。それにもう一滴水銀を足すと流動するようになる。
融けたハンダが清浄な銅板またはブラス板に接触すると、驚くべき速さで合金化が進む。酸素の無い環境(真空が良いのだが、装置を作るのがが面倒なので、窒素を満たしたテントの中)で物理的に磨いて、ハンダ付けをするとよく付く。隙間にも沁み込む。
その昔、伊藤剛氏が名古屋のクラブの会報のマンガで紹介していた。宇宙服を着て、月面でハンダ付けしていると、後ろから誰かが「こんな所まで来てやることはないのに。」と言う場面がそれである。
フラックスは塩化亜鉛に限らず、ある程度の高温で蒸発せず、金属酸化物を溶かすものが効果を持つ。そういう点では松ヤニの効果を見つけた人は偉いと思う。日本では梅酢を用いていた。果実から得られた酸は蒸発せず、ある程度の酸性を示すので効果があったのだ。筆者は文献に書いてあるすべての物質で、効果があることを確かめている。
日本では工業的には昔から塩酸を用いてきた。塩化亜鉛はそれほど昔から使われているわけではない。大正時代からであろう。驚いたことに、昭和40年代までの自動車工場ではボディのリア・クォータの継ぎ目を塞ぐのに塩酸をフラックスとして鉛ハンダを流していた。その後は当然ヤスリで削り取るのである。
酸で金属面を洗うと新しい金属面が露出し、ハンダのスズがそれと合金を作る。この速さは驚くほど早い。それを見て、表面張力が小さくなったと勘違いするわけだ。繰り返すが、表面張力は関係ない。単に、母材がハンダと馴染みが良く、急速に合金化するからである。これはまさに磨いた銅板に水銀を一滴落としたときと同じである。
ハンダ付けの後でハンダが見えないようにするために、キサゲで削って銀色部分をなくすのは賢明とは言い難い。母材との合金が出来ているわけだから、ブラス色が見えるようになるとすでに母材はかなり削られている。すなわち平面性は失われる。 このことはかなり前からここで述べているが、理解している人は少ないと感じる。
日本でも、そろそろハンダが滲んだ模型を美しいと感じる時代になるべきだ。
日本語では混汞法(こんこうほう)と言っていたが、もはや誰もそんな言葉を知らない時代になった。水銀は常温でほとんどの金属との合金を作る。例えば銅線に水銀を付けると水銀は流動しにくくなる。生じる合金中の銅が多いからである。それにもう一滴水銀を足すと流動するようになる。
融けたハンダが清浄な銅板またはブラス板に接触すると、驚くべき速さで合金化が進む。酸素の無い環境(真空が良いのだが、装置を作るのがが面倒なので、窒素を満たしたテントの中)で物理的に磨いて、ハンダ付けをするとよく付く。隙間にも沁み込む。
その昔、伊藤剛氏が名古屋のクラブの会報のマンガで紹介していた。宇宙服を着て、月面でハンダ付けしていると、後ろから誰かが「こんな所まで来てやることはないのに。」と言う場面がそれである。
フラックスは塩化亜鉛に限らず、ある程度の高温で蒸発せず、金属酸化物を溶かすものが効果を持つ。そういう点では松ヤニの効果を見つけた人は偉いと思う。日本では梅酢を用いていた。果実から得られた酸は蒸発せず、ある程度の酸性を示すので効果があったのだ。筆者は文献に書いてあるすべての物質で、効果があることを確かめている。
日本では工業的には昔から塩酸を用いてきた。塩化亜鉛はそれほど昔から使われているわけではない。大正時代からであろう。驚いたことに、昭和40年代までの自動車工場ではボディのリア・クォータの継ぎ目を塞ぐのに塩酸をフラックスとして鉛ハンダを流していた。その後は当然ヤスリで削り取るのである。
酸で金属面を洗うと新しい金属面が露出し、ハンダのスズがそれと合金を作る。この速さは驚くほど早い。それを見て、表面張力が小さくなったと勘違いするわけだ。繰り返すが、表面張力は関係ない。単に、母材がハンダと馴染みが良く、急速に合金化するからである。これはまさに磨いた銅板に水銀を一滴落としたときと同じである。
ハンダ付けの後でハンダが見えないようにするために、キサゲで削って銀色部分をなくすのは賢明とは言い難い。母材との合金が出来ているわけだから、ブラス色が見えるようになるとすでに母材はかなり削られている。すなわち平面性は失われる。 このことはかなり前からここで述べているが、理解している人は少ないと感じる。
日本でも、そろそろハンダが滲んだ模型を美しいと感じる時代になるべきだ。
2024年03月12日
soldering paste
昨夏に久保田富広氏による講演があった。著名な模型人であり、その講演を聞くためだけにJAMに行ったという人もいる。
その後、何人かの人から質問を受けた。久保田氏は塩化亜鉛を使わずにペーストを使ったそうで、それが残留していても錆を生じないというのは本当か、というものであった。
まずこの話は、ペーストとは何かというところから始めねばならない。ペーストはワセリン(半固形の炭化水素の混合物)あるいは獣脂に松脂などを練り込んだものだ。茶褐色である。現在市販されているペーストと称するものの組成とは、かなり異なる。松脂は熱分解して各種の有機酸を生じ、それが金属表面の酸化被膜を溶かしてスズによるぬれを助ける。これだけで終わるのなら、ペーストが残っていてもまず錆びたりしない。しかし模型は空気中にあるから、酸素の影響を受けていることを忘れてはいけない。ここで問題になっているペーストであっても反応速度は遅いが錆を生じる。
ペーストを使ってハンダ付けするときは、接合面をよく磨いて酸化被膜を取り除いておくことが不可欠である。塩化亜鉛なら、多少の被膜は溶けてしまうから、とても楽である。
現在市販されている塩化亜鉛入りペーストは全く別問題であって、同列に論じることは出来ない。これを洗わずに放置すると、一週間で酷い錆を生じる。拭けば取れると思っている人が居るようだが、それほど簡単な話ではない。
筆者のところにはBill Melisの作品がある。彼はペーストをよく使った。場合によって、作品の車体裏にはべっとりとペーストが付いていることがある。錆びないだろうと思って放置したものの、40年も経つと裏側に緑色の錆がびっしり付いている。酸素が働くのである。酸素から逃れることは出来ないから、反応しそこないの有機酸はブラスを侵す。
このプロセスを厳密に説明すると、
1. 酸素が金属を酸化し酸化物を作る。
2. その錆が有機酸と結合して色の付いた塩を生じる。
3. 有機酸は酸化物を消費することになるので平衡がずれる。
4. その結果、酸化は起こり易くなり、結果として錆を生じる。
ただし、この錆の発生は塩化亜鉛を用いた時と比べると極めて遅く、10年以上掛かって目に見えるようになるだろう。面白いことに薄くついている部分は錆びやすく、こってりついているとその部分の中心部は錆びにくい。これは酸素透過の起こりやすさと関係があることを示している。
筆者は他の作者のペーストを用いてハンダ付けしたブラス製品をいくつか持っていたがどれもかなり錆びて緑色になっていた。
錆びないわけはないのだ。錆びる速度がかなり小さいというだけである。熱湯を掛け、洗剤を付けて歯ブラシでこするべきだ。場合によっては熱湯で煮ると良い。
我々は塩化亜鉛を使うことに慣れている。水洗いで済むというのはとてもありがたいことなのだ。この講演を聞いて、ペーストは素晴らしいものだと勘違いする人が増えねばよいがと思う。
その後、何人かの人から質問を受けた。久保田氏は塩化亜鉛を使わずにペーストを使ったそうで、それが残留していても錆を生じないというのは本当か、というものであった。
まずこの話は、ペーストとは何かというところから始めねばならない。ペーストはワセリン(半固形の炭化水素の混合物)あるいは獣脂に松脂などを練り込んだものだ。茶褐色である。現在市販されているペーストと称するものの組成とは、かなり異なる。松脂は熱分解して各種の有機酸を生じ、それが金属表面の酸化被膜を溶かしてスズによるぬれを助ける。これだけで終わるのなら、ペーストが残っていてもまず錆びたりしない。しかし模型は空気中にあるから、酸素の影響を受けていることを忘れてはいけない。ここで問題になっているペーストであっても反応速度は遅いが錆を生じる。
ペーストを使ってハンダ付けするときは、接合面をよく磨いて酸化被膜を取り除いておくことが不可欠である。塩化亜鉛なら、多少の被膜は溶けてしまうから、とても楽である。
現在市販されている塩化亜鉛入りペーストは全く別問題であって、同列に論じることは出来ない。これを洗わずに放置すると、一週間で酷い錆を生じる。拭けば取れると思っている人が居るようだが、それほど簡単な話ではない。
筆者のところにはBill Melisの作品がある。彼はペーストをよく使った。場合によって、作品の車体裏にはべっとりとペーストが付いていることがある。錆びないだろうと思って放置したものの、40年も経つと裏側に緑色の錆がびっしり付いている。酸素が働くのである。酸素から逃れることは出来ないから、反応しそこないの有機酸はブラスを侵す。
このプロセスを厳密に説明すると、
1. 酸素が金属を酸化し酸化物を作る。
2. その錆が有機酸と結合して色の付いた塩を生じる。
3. 有機酸は酸化物を消費することになるので平衡がずれる。
4. その結果、酸化は起こり易くなり、結果として錆を生じる。
ただし、この錆の発生は塩化亜鉛を用いた時と比べると極めて遅く、10年以上掛かって目に見えるようになるだろう。面白いことに薄くついている部分は錆びやすく、こってりついているとその部分の中心部は錆びにくい。これは酸素透過の起こりやすさと関係があることを示している。
筆者は他の作者のペーストを用いてハンダ付けしたブラス製品をいくつか持っていたがどれもかなり錆びて緑色になっていた。
錆びないわけはないのだ。錆びる速度がかなり小さいというだけである。熱湯を掛け、洗剤を付けて歯ブラシでこするべきだ。場合によっては熱湯で煮ると良い。
我々は塩化亜鉛を使うことに慣れている。水洗いで済むというのはとてもありがたいことなのだ。この講演を聞いて、ペーストは素晴らしいものだと勘違いする人が増えねばよいがと思う。
2024年03月10日
surface tension??
その種の違いがわからない人の文章に、必ずと言って良いほど登場するのが、この表面張力という言葉であるという。最近はその種の文章を読むことに拒否反応が出るようになってしまったので、伝聞の情報ではあるが、複数の人が同じことを言っているので確実なのだろう。それをまとめて言うと、表面張力という言葉が出てくるハンダ付けの記事は怪しいものが多いということだ。
「塩化亜鉛を使うと融けたハンダの表面張力が小さくなるので沁み込む」とあるらしい。これはとんでもない間違いである。
融けた金属の表面張力はとても大きい。水銀の玉を見れば分かる。液体の銅(約1100 ℃)で水の18倍というデータがある。常温の水銀で5倍だそうだ。ハンダもその程度であろう。
表面張力を測る物理実験を学生の時にしたことがあるが、純水の値を求めてから界面活性剤を一滴落とすとその値は二桁ほど小さくなった。これは界面活性剤が水に溶けるからである。
塩化亜鉛は融けたハンダの液体に溶ける、とでも言い張るつもりなのだろうか。塩化亜鉛はハンダには溶けない。塩化亜鉛は金属表面の酸化物を溶かして新しい金属面を出しているだけである。そこにハンダの有効成分であるスズが接触するとアマルガメイションが起きて「ぬれ」を生じるのである。ここでは表面張力は全く小さくなっていない。塩化亜鉛水溶液に界面活性剤を足してあるものもあるが、それは多少の油気がある金属面であっても、塩化亜鉛水溶液がその表面をよくぬらすようにする工夫である。これは筆者も時々やる。サンポールなどを一滴足せば良いだけである。これでハンダ融液の表面張力が小さくなるわけではない。ここで起こっていることは、塩化亜鉛水溶液がワークをぬらし易くなり、その結果、露出された金属面をハンダがぬらすのである。
この種の間違った情報を面白半分に流されると、この趣味の発展には害があるような気がする。見つけたら削除を求めたほうが良いかもしれない。しかしそういう人はそれが間違いだとは認識しない可能性が高いと見ている。
「塩化亜鉛を使うと融けたハンダの表面張力が小さくなるので沁み込む」とあるらしい。これはとんでもない間違いである。
融けた金属の表面張力はとても大きい。水銀の玉を見れば分かる。液体の銅(約1100 ℃)で水の18倍というデータがある。常温の水銀で5倍だそうだ。ハンダもその程度であろう。
表面張力を測る物理実験を学生の時にしたことがあるが、純水の値を求めてから界面活性剤を一滴落とすとその値は二桁ほど小さくなった。これは界面活性剤が水に溶けるからである。
塩化亜鉛は融けたハンダの液体に溶ける、とでも言い張るつもりなのだろうか。塩化亜鉛はハンダには溶けない。塩化亜鉛は金属表面の酸化物を溶かして新しい金属面を出しているだけである。そこにハンダの有効成分であるスズが接触するとアマルガメイションが起きて「ぬれ」を生じるのである。ここでは表面張力は全く小さくなっていない。塩化亜鉛水溶液に界面活性剤を足してあるものもあるが、それは多少の油気がある金属面であっても、塩化亜鉛水溶液がその表面をよくぬらすようにする工夫である。これは筆者も時々やる。サンポールなどを一滴足せば良いだけである。これでハンダ融液の表面張力が小さくなるわけではない。ここで起こっていることは、塩化亜鉛水溶液がワークをぬらし易くなり、その結果、露出された金属面をハンダがぬらすのである。
この種の間違った情報を面白半分に流されると、この趣味の発展には害があるような気がする。見つけたら削除を求めたほうが良いかもしれない。しかしそういう人はそれが間違いだとは認識しない可能性が高いと見ている。
2024年03月08日
続 Sn 63% - Pb37% solder
今でも 63% ハンダは60%ハンダと使い心地が違うのですか、という質問が多い。ウェブ上では、「違いがない」とわざわざ書いている人まで居るそうだから、救いがない。
これは実際に使ってみればすぐ分かることである。使った上でも分からない人は、付けるものが小さくてコテからの熱が全体に行き渡る様な条件だろう。要するに「違いが分からない条件」を作っているのだ。ある程度の大きさのものを小型のガストーチあるいは炭素棒などで加熱してハンダを廻さねばならないときは、その違いを顕著に感じることができる。
63%ハンダはどこに行けば買えるのですか、という質問も多い。専門店に行かなくても、近くのホームセンタで買えるはずである。
ステンレス用と書いてあるものはどういうわけか63%である。その理由はよく分からない。昔、板金屋のおじいさんはごく普通の50%ハンダで上手に付けていた。もちろんコテは焼ゴテである。ステンレスは熱伝導が良くないので、付き易い。
これは実際に使ってみればすぐ分かることである。使った上でも分からない人は、付けるものが小さくてコテからの熱が全体に行き渡る様な条件だろう。要するに「違いが分からない条件」を作っているのだ。ある程度の大きさのものを小型のガストーチあるいは炭素棒などで加熱してハンダを廻さねばならないときは、その違いを顕著に感じることができる。
63%ハンダはどこに行けば買えるのですか、という質問も多い。専門店に行かなくても、近くのホームセンタで買えるはずである。
ステンレス用と書いてあるものはどういうわけか63%である。その理由はよく分からない。昔、板金屋のおじいさんはごく普通の50%ハンダで上手に付けていた。もちろんコテは焼ゴテである。ステンレスは熱伝導が良くないので、付き易い。
2024年03月06日
Sn 63% - Pb37% solder
63%ハンダの使用量が多く、余分な60%ハンダから作っておくことにした。母体となる60%ハンダには、どういうわけか70という番号が打ってある。
これが 210 gある。それにスズを何 g 足すと63%ハンダになるか…という中学1年生の数学である。
スズはかなり前に手に入れたものだ。たまたま東急ハンズで見かけて買ったような気がする。昔はこんなものまで売っていたのだ。
棒状のスズを大きなハサミで切って、所定の質量を量り取る。それをるつぼの中で融かしたハンダに足せば良い。針金で掻き回して均一にする。温度が高くないので、ダンボール箱を傾けた溝に流して三角の断面にすれば良い。あっという間に固まって出来上がりだ。これが鉛であると、300 ℃以上でダンボールは燃え上がってしまうことがある。燃えなくても焦げてしまうだろう。屋外のデッキの上でやっているが、こぼれたとしても火事になる心配はない。
加熱すると瞬時に必要な範囲が完全に融け、加熱をやめて息を吹きかけると、瞬時に固まる。
50% や 60% のハンダとは全く異なる世界である。63%ハンダは白い。固まるときにはこしあん状態にはならないので、失敗することもない。このこしあんの状態で少しでも動かすとハンダにヒビが入って失敗である。
これが 210 gある。それにスズを何 g 足すと63%ハンダになるか…という中学1年生の数学である。
スズはかなり前に手に入れたものだ。たまたま東急ハンズで見かけて買ったような気がする。昔はこんなものまで売っていたのだ。
棒状のスズを大きなハサミで切って、所定の質量を量り取る。それをるつぼの中で融かしたハンダに足せば良い。針金で掻き回して均一にする。温度が高くないので、ダンボール箱を傾けた溝に流して三角の断面にすれば良い。あっという間に固まって出来上がりだ。これが鉛であると、300 ℃以上でダンボールは燃え上がってしまうことがある。燃えなくても焦げてしまうだろう。屋外のデッキの上でやっているが、こぼれたとしても火事になる心配はない。加熱すると瞬時に必要な範囲が完全に融け、加熱をやめて息を吹きかけると、瞬時に固まる。
50% や 60% のハンダとは全く異なる世界である。63%ハンダは白い。固まるときにはこしあん状態にはならないので、失敗することもない。このこしあんの状態で少しでも動かすとハンダにヒビが入って失敗である。
2023年09月16日
center sill
鉄道玩具の床板を分解し、余分なものをすべて外した。先回作ったcenter sill(背骨)は10 mm角であって、 重過ぎた。
高さがあれば良いので、5 mm角に、9.5 mm(3/8インチ)x0.8 mm(1/32インチ)の平角棒を左右に貼った。
さすがにこのハンダ付けは、炭素棒では難しい。出来ないことは無いが、連続使用すると電源が焼ける虞れがある。30秒以内の使用に限らねばならない。
複数のクランプで締め、ガス火で炙る。薄板は温度が上がり易く、膨れ上がるから、クランプを順に緩めながらハンダを流す。全体が温まれば、膨れ上がりは収まる。63%ハンダを使えば、全面ハンダ付けは簡単だ。この状態で質量は 93 g とかなり軽くなった。剛性は十分にある。(写真左は細い背骨だけを示す。右3つは細い背骨を置いてみただけである。まだメタルタッチになっていない。薄い床板にはプレスで膨らみが作られ、照明部品などを差し込むようになっていた。それらを全て切り取らないと背骨が密着しない。)
背骨の裏をベルトサンダで研磨して平面を出し、鉄板の薄い床板にネジで締め付ける。連結器座の高さまで到達しないので、別部品を作ってハンダ付けし、持ち上げる。それをフライスで正確に削って、連結器座とメタルタッチさせるわけだ。
ここで気が付いたのは、荷物車の床板高さは他車の床板高さより 3 mmも低いことだ。すなわち、押出しの型が違うということである。そうするメリットがあるとは思えない。車輌外形は全く同一である。妻板は同じなので、妻板の取り付けには妙なスペイサを挟まねばならない。理解不能だ。
その床板が低かったので、ムクの背骨は、まだ細くて済んだわけだ。そうでなければ、13 mm角を使わざるを得ず、諦めて別の方法を採ったであろう。
高さがあれば良いので、5 mm角に、9.5 mm(3/8インチ)x0.8 mm(1/32インチ)の平角棒を左右に貼った。
さすがにこのハンダ付けは、炭素棒では難しい。出来ないことは無いが、連続使用すると電源が焼ける虞れがある。30秒以内の使用に限らねばならない。複数のクランプで締め、ガス火で炙る。薄板は温度が上がり易く、膨れ上がるから、クランプを順に緩めながらハンダを流す。全体が温まれば、膨れ上がりは収まる。63%ハンダを使えば、全面ハンダ付けは簡単だ。この状態で質量は 93 g とかなり軽くなった。剛性は十分にある。(写真左は細い背骨だけを示す。右3つは細い背骨を置いてみただけである。まだメタルタッチになっていない。薄い床板にはプレスで膨らみが作られ、照明部品などを差し込むようになっていた。それらを全て切り取らないと背骨が密着しない。)
背骨の裏をベルトサンダで研磨して平面を出し、鉄板の薄い床板にネジで締め付ける。連結器座の高さまで到達しないので、別部品を作ってハンダ付けし、持ち上げる。それをフライスで正確に削って、連結器座とメタルタッチさせるわけだ。
ここで気が付いたのは、荷物車の床板高さは他車の床板高さより 3 mmも低いことだ。すなわち、押出しの型が違うということである。そうするメリットがあるとは思えない。車輌外形は全く同一である。妻板は同じなので、妻板の取り付けには妙なスペイサを挟まねばならない。理解不能だ。
その床板が低かったので、ムクの背骨は、まだ細くて済んだわけだ。そうでなければ、13 mm角を使わざるを得ず、諦めて別の方法を採ったであろう。
2023年07月06日
配管工事
マンションの改装工事はほぼ終わり、そろそろ貸し出す。
2LDK、60平米強である。省エネルギィ・サッシに全て取替え、全室エアコン付き。18畳LDKのエアコンは最新の省エネルギィ・モデルである。全室LED照明で最新型日本製食器洗い機も付いている。最寄り駅には電車の車庫があり、最終電車はこの駅止で、乗り過ごす心配はない。また一番電車もここから出て、ターミナル駅まで最速12分である。
先月洗濯乾燥機を差し上げると書いたところ、3時間で譲渡先が決まった。
水道工事をして、すべての配管、水栓を日本製にした。当時の日本製のシングルアーム水栓には、特許の関係でろくなものがなくアメリカ製のものを導入した。しかし今後の修理のことを考えれば、日本製にしておかないと、困ることになると思ったからだ。帰国時にアメリカから、銅配管の材料を大量に持ち帰り、局部電池による電蝕の害を防ぐ継手を使って配管した。大半を取り外して処分したが、銅スクラップの引取り価格が高くて驚いた。当時のアメリカの銅価格は極端に安かったのだ。

我が家もキッチン周辺には銅配管が多く、食器洗い機への接続等があったが、30年も経つと微妙な漏れが発生し、その原因の銅製可撓継手を取替えるついでに、水栓も日本製に更新した。食器洗い機は例の Maytag である。日本製のステンレス可撓継手に合う継手は 3/8インチと1/2インチを結ぶエルボ(直角曲がり)で、これは日本では手に入れにくい。手持ちの2つの部品を旋盤で挽き、 0.03 mmの隙間を空けて組合わせる。塩化亜鉛ペーストを塗り、ガス火で炙る。そこにこのスズ−アンチモンハンダを押し付けると一瞬にして終わる。融けたハンダは隙間を均一に満たし、強固な結合ができる。この融点は240 ℃と高く、炙り付けが基本である。40年ほど前にアメリカで買った水道工事用である。健康に影響はないはずであるが、今は含アンチモンハンダは使わないようだ。このハンダの硬さは素晴らしい。快削性がある。
2LDK、60平米強である。省エネルギィ・サッシに全て取替え、全室エアコン付き。18畳LDKのエアコンは最新の省エネルギィ・モデルである。全室LED照明で最新型日本製食器洗い機も付いている。最寄り駅には電車の車庫があり、最終電車はこの駅止で、乗り過ごす心配はない。また一番電車もここから出て、ターミナル駅まで最速12分である。先月洗濯乾燥機を差し上げると書いたところ、3時間で譲渡先が決まった。
水道工事をして、すべての配管、水栓を日本製にした。当時の日本製のシングルアーム水栓には、特許の関係でろくなものがなくアメリカ製のものを導入した。しかし今後の修理のことを考えれば、日本製にしておかないと、困ることになると思ったからだ。帰国時にアメリカから、銅配管の材料を大量に持ち帰り、局部電池による電蝕の害を防ぐ継手を使って配管した。大半を取り外して処分したが、銅スクラップの引取り価格が高くて驚いた。当時のアメリカの銅価格は極端に安かったのだ。
我が家もキッチン周辺には銅配管が多く、食器洗い機への接続等があったが、30年も経つと微妙な漏れが発生し、その原因の銅製可撓継手を取替えるついでに、水栓も日本製に更新した。食器洗い機は例の Maytag である。日本製のステンレス可撓継手に合う継手は 3/8インチと1/2インチを結ぶエルボ(直角曲がり)で、これは日本では手に入れにくい。手持ちの2つの部品を旋盤で挽き、 0.03 mmの隙間を空けて組合わせる。塩化亜鉛ペーストを塗り、ガス火で炙る。そこにこのスズ−アンチモンハンダを押し付けると一瞬にして終わる。融けたハンダは隙間を均一に満たし、強固な結合ができる。この融点は240 ℃と高く、炙り付けが基本である。40年ほど前にアメリカで買った水道工事用である。健康に影響はないはずであるが、今は含アンチモンハンダは使わないようだ。このハンダの硬さは素晴らしい。快削性がある。2023年05月09日
続 伊藤英男氏のハンダ付け
この写真を
ご覧戴きたい。屋根は側板の上から 1/3 と一体である。曲げる時に万力の幅を超えない程度の長さにしているのだ。それをネジで接合している。
床板を留めるL字の部品もネジ留めしてから、ハンダ付けしてある。もちろんネジの先は削り落としてある。ドアなども全てハンダ付けの前にネジで締めてある。
これが伊藤氏のやり方だ。頑丈であることは比類ない。
前頭部の接合部を再度見ていこう。t1.0の板を叩き出して丸みを付け、それを側板と組合わせている。この接合なら、正面衝突しても生き残る可能性が高い。衝突相手も同程度の剛性を持っていれば、スカートは交換せねばならないだろうが、上廻りは無傷だろう。
当然のことながら、接続はネジを介している。こういうところにこだわるのは、頑丈さを求めているからである。この1輌に使われたネジは120 本 ほどである。
ご覧戴きたい。屋根は側板の上から 1/3 と一体である。曲げる時に万力の幅を超えない程度の長さにしているのだ。それをネジで接合している。床板を留めるL字の部品もネジ留めしてから、ハンダ付けしてある。もちろんネジの先は削り落としてある。ドアなども全てハンダ付けの前にネジで締めてある。
これが伊藤氏のやり方だ。頑丈であることは比類ない。
前頭部の接合部を再度見ていこう。t1.0の板を叩き出して丸みを付け、それを側板と組合わせている。この接合なら、正面衝突しても生き残る可能性が高い。衝突相手も同程度の剛性を持っていれば、スカートは交換せねばならないだろうが、上廻りは無傷だろう。当然のことながら、接続はネジを介している。こういうところにこだわるのは、頑丈さを求めているからである。この1輌に使われたネジは120 本 ほどである。