工具

2024年06月11日

客車の屋根を曲げる

 仕掛かりで6年も放置されていたものだ。邪魔になるし、せっかく切った材料を紛失することにもなりかねないので、組んでしまうことにした 。  
 窓の少ない機種で、あっという間に切り抜きは終わりだ。ドアをオフセットして取り付ける。例によって十二分にハンダ付けし、耐衝撃性を持たせる。

 屋根は例の丸金床で曲げる。この金床は仲間に頒けたが、皆さん使っているのだろうかと心配になる。友人宅で見かけたのには錆が出ていた。使われていないのだろう。上部以外はさびどめ塗料を塗っておくべきだ。

IMG_4234 屋根材は厚い方が細工はしやすいので t 0.7 を用いた。まず端の部分を小さい半径の金床で曲げる。ゴムハンマで順に送りながら叩く。



IMG_4235 両端を強く曲げてから、大きな半径の金床で少し戻すと、所定の半径になる。




IMG_4236 失敗しても再度強く丸めて戻せばよい。中間部分の大Rはごく適当に手で握って丸める。本物も曲げているのは両端の小R部分だけで、中間は自重で骨に合わせて曲がる。模型はそうはいかないので、手で握って曲げるわけだ。曲がりが足らない程度にしておき、大半径の金床の上でゴムハンマで軽く叩くと少しずつ丸味が付く。

 筆者はこの方法で客車を10輌ほど作っている。実に簡単であり、気楽な製法である。厚い材料を使えるので、丈夫で安心して扱える。しかも多少加工硬化しているので丈夫である。

 金床の跡が見えるようなら叩き過ぎである。最終的には表面を800番程度のサンドペーパで仕上げると凸凹はなくなる。板が厚いので、木片に巻いたサンドペーパで凸部だけを落とすことになる。屋根は艶消し塗装なので、全く問題ない仕上がりとなる。本物もかなり凸凹しているものなのだ。
 総型をつくって押すのは高くつく。ほんの15分くらいで簡単に曲がるので、お勧めしたい。

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2024年05月14日

ヤスリの柄

IMG_4173 ヤスリをたくさん持っている。最近大きなものが増えた。それらに付ける柄を購入した。こういうものを扱う店は少ないので、見つけ次第大量に購入する。


 ヤスリに柄を付けないと、狙いが決まらない。すなわち平面が出しにくい。このことを友人に話したところ、
「そんなことはないですよ。」
という話だったが、彼は試しに一つ購入して使ってみたようだ。

「使いやすくなりました。力も入りますし、必要なものですね。」
ということだった。10個ほど購入したようだ。

 ヤスリ掛けは奥が深い。柄の付いていないものではどちらに傾いているのか分からない。すなわち丸く削れてしまう。
 このあたりのことは友人の仕上げ工経験者から詳しく聞いている。祖父江氏 Bill Melisからも厳しく仕込まれた。

 金属工作では、糸鋸、ヤスリ、孔あけ、ハンダ付けは大切な単元である。先回のプレスもそうだが、このような技能をきちんと習得するチャンスの無いまま模型作りをしている人はとても多いと思う。誰からも指導が無いと、それで良いのだと思い込んでしまうから進歩はない。菅原氏の「技法」の本を読んでも、残念ながらプロの目から見た記述はほとんどない。

 例の真ん中を凹ませる話も、「そんなこと、できるわけがない。」と鼻で笑う人が居る。こういう人は進歩しない。
 そういう意味でも基礎単元の習得を狙った講座を開く意味は大きいはずだ。


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2024年05月10日

続 Dennis' workshop

IMG_4045 (1) このように広い工作室を持つことは、わが国ではかなり難しい点もあるが、その中に置いてあるいくつかの工具は日本でも買えるので、それについて説明していきたい。


IMG_4010 まずこのプレスである。何度も紹介しているが、プレスを持っている模型人は少ない。相も変わらずコンコン改軌をしているらしい。この大きさ程度のプレスを持つだけで、精度の高い車輛ができるということを認識してほしい。プレスは高価なものではない。


IMG_4011 これはシァ、ベンダ、3本ローラが一つになったものである。中国製で使い心地は今一つであるが、整備次第でもう少し良くなるであろう。本当は単能機3つある方が、はるかに使い心地は良い。


IMG_4014 これはハンダ付け専用のテイブルである。各種のジグがあり、押さえ付けて炭素棒でハンダを融かす。直角ジグはいくつか作ってある。フレキシブル・シャフトの回転工具もある。


IMG_4022 (1) クランクピンを作っているところである。快削鋼で作るので、つるつるに仕上がる。M2のネジを切るタップが必要となり、持って行った。彼の地ではメートルネジの工具は手に入れにくい。 

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2024年02月03日

correct method to assemble gearboxes

 HO用のギヤボックスを作り、一部の顧客向けに発売を始めた頃の話である。簡単な組立マニュアルを書いて、添えた。これだけは守らないと作動しないということだけを箇条書きで書いた。

・Φ5のリーマを使ってボールベアリングの入る部分を削る。
・ウォームをシャフトに通してロックタイトで固着する。
・ボールベアリングを軸に通す時は油を塗ってからにする。
・動輪を外すときに叩いてはいけない。

 この種の単純なことが、あと数項目書いてあった。ところがとんでもないことをする人が居るものである。
「ちょうど良い太さのヤスリがあったから、それで削ってベアリングをはめたが、動かない。」
「シャフトにニッパで傷を付けてウォームに叩き込んだら、調子が悪い。」

などなど、呆れ返ることをする人が居るものだ。マニュアル通りにしなかった理由を聞くと、「今までこれでうまく行っていた。」と言う。

 今までのものとは全く異なるレヴェルの工業製品である、と説明しても理解しようとしないのには参った。
「ずっとこの方法でやってきたが、今まで問題はなかった。」と不満そうである。最後の叩いてはいけない、の意味が全くわからないらしい。これは例のコンコン改軌が広く行われているという証左だ。叩くのは避けるべきだ。どうしても叩く必要があるときは、ブラスあるいは銅の棒を介して叩くべきである。

 模型は精密機械であるはずなのだが、プラレールと同様の扱いを受けているような気がしてきた。 

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2023年11月29日

旋盤上で回転砥石を使う

 先日のコン氏の記事で、焼き鈍しの話があった。先方には伝えたが、温度が低すぎる。焼鈍はもっと温度が高くなければならない。
 その後で苦労して削ってチューブに挿しているが、もう少し楽にできる方法がある。

Dremel holder (1) この道具はアメリカの友人が作ったもので、20年ほど前に10ドルほどで頒けてもらった。硬いアルミ合金をレーザ?で切ってサンドブラストを掛けてある。とても便利なものだ。ドレメルの先端キャップのネジを外してそこにねじ込む。これを刃物台に付けて、ワークに近付ける。
 要するに高速回転する砥石を回転するワークに当てて、硬いものでも正確に削り落とす工夫だ。これがあれば焼鈍する必要が無くなる。 

Dremel holder (2) 砥石も擦り減るから、初めは粗い物を用いて大まかに削り取る。最終的に細かい砥石に取り替えて平行度を確保する。この時、砥粒が飛ぶので、ベッドは保護するのは当然であるが、筆者は電気掃除機を近づける。ボール紙でコーンを付ければ、ほとんど100%吸い込める。
 写真のように、カッタの幅を調節するときなどには便利に使える。焼きの入った材料でも簡単に処理できる。その時ダイヤモンド砥石は使うべきでない高温ではダイヤモンドは容易に鋼と反応し、急速に消耗する

 ネジは、3/4インチ 16 TPIである。このネジを切るのは大変であるから、既存のものがあれば利用したい。ホームセンタのネジを一個売りしているところで、この3/4インチ(通称6分)のナットが見つかれば良いが、この16TPIはそう簡単には見つからないだろう。買う前に、売り場でよく確認願いたい。それに角材を熔接すれば出来上がりだ。大した力が掛かるわけでもないので、ロウ付けでも良い。構造をよく考えればハンダ付けでも問題ない。ネジの通販会社でなら見つかるだろう。

 たくさんの市販品があるようだ。筆者のものとそっくりのもある。ドレメルのネジは、最近のは粗いネジらしい。上の16 TPIは古いタイプ用の数字であるから、最近買われた方はご注意願いたい。最近の先が細いドレメルはやや粗い12 TPIらしい

 TPIとは "threads per inch" であり、25.4 mmをこの数字で割ればピッチが出る。


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2023年11月13日

thread gauge

M5-P0.9 コン氏から連絡があって、M5-P0.9という今となっては極めて珍しいキャップボルトを譲って戴いた。友人が「30年以上昔、コン氏から貰ったんだけど。」と知らせてくれたのだ。友人はそのネジを実測して、ピッチが 0.9 mmであることを突き止めた。
 コン氏ご本人もお忘れになっていたようだが、それを伝えると探し出してくださり、ドンピシャリと嵌った。ありがたいことである。
 実は、筆者はほとんど諦めていて、この M5 の穴を拡げて M6 に作り変える予定であった。寸法的には可能であるという判断だったが、何もしなくてもよくなったのはありがたい。
 40年ほど前、モデル8の澤田節夫氏から蝶ネジを捨てて改造したと聞いた。ネジは合うのがないから切り直したようなことをおっしゃった。どうされたのか、詳しいことは聞いていない。

thread gauge これは筆者の持っている各種のネジゲージである。大抵のものはこれで判別できる。インチとメートルが混在している環境なので、これは必需品なのである。細かく言えばネジ山の角度も異なるが、そこまでは見えない。  

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2023年11月03日

糸鋸弓の故障

 最近糸鋸を使うことが多い。客車の改装で、厚い床板、妻板を荒目の糸鋸でガシガシと切っている。

 この弓は50年以上前にクラブのM氏から購入した。M氏は、工具は「イギリス製が一番」という信念の持ち主で、ありとあらゆる工具を個人輸入して適価でクラブ員に頒布していた。工具屋にも卸していたほどだった。
coping saw (2) その弓は、Eclipse(日食、月食などの意)というブランドであった。比較的軽く、剛性が大きな使いやすい弓であった。他にも3種類くらい持っているが、これをかなり頻度高く使ってきた。


coping saw (1) 先日、糸鋸刃が折れたと思い、取り替えようとしたが、握りに近い方から抜けているだけであることに気付いた。その直前にしっかりと締めたはずなのに…。ネジを緩める時、妙な感触があった。緩める瞬間に抵抗がゼロであったのだ。すなわち、ネジ山が潰れたと覚った。

coping saw (3) 抜いてみるとこんな状態である。完全に逝ってしまっている。筆者の人生の中で、ネジが擦り切れたのを見たのはこれが初めてだ。
 60年も昔、父との会話の中で、雄ネジと雌ネジのどちらが先に磨り減るかという話題が出た。父は「雄ネジに決まっている。」と言った。その理由を聞くと、「径が小さいからだ。」軸と軸受も同様で、「材質が同じなら、必ず軸が先に磨り減る。」と言ったが、当時の筆者には理解できず、差はなさそうに思えた。

 今回の事故は径の大小以外に別のファクタがある。 


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2023年10月10日

焼戻しの意義

 焼入れは簡単だ。温度さえ間違わねば良い。ガス火で焙る。温度は色で見るのだ。すなわち暗いところでやればすぐわかる

 焼きの入る鋼材はいくつかあるから、クズを入手しておけば良い。
 扱いやすいのはS45Cである。快削性があり、簡単に整形できる。最後にFなどの文字がついているとより快削性があるが、模型製作ではあまり意味がないだろう。 

 焼入れしただけでは、その工具は硬いが脆い。金床の上に落としただけで欠けてしまうことはよくある。靭性(じんせい)を与えねばならない。靭性は英語で toughness という。要するに脆性(ぜいせい)の逆で、そう簡単には割れないということである。磁器などの焼き物は硬いが、すぐ割れてしまう。これは靭性が無い例である。

 焼入れしたものに靭性を与える操作が焼き戻しである。様々な方法があるが、素人でも失敗しないのが、この低温焼戻しである。天ぷら油の中で煮て戻すという方法が長らく紹介されていたが、燃料が無駄であるし、油に着火すると取り返しがつかない。長時間油を加熱すると、徐々に油の中に過酸化物が蓄積され、着火しやすくなるので避けたい。屋外でオーブントースタというのが一番安全であろう。焼入れから時間が経つと良くないと聞いた。直ちに焼戻しに掛かれるように予熱しておく。

 焼戻しは、繰り返し使う可能性のある工具に施す。一回きりしか使わないなら、欠けないように使って廃棄しても構わない。

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2023年10月08日

焼入れ・焼戻し

 径が6 mm以上もあるので、まともにネジを切ろうとすると最初のトッカカリが難しい。ダイスが斜めに入ると悲惨である。旋盤で完全に仕上げても良いが、切り込み深さの決定が面倒だ。旋盤で2回だけ(幅の広い溝を付けるため)切り込んで、そこにダイスをはめると安定化する。労力も激減する。

quenching できたものを煉瓦の上でガスで赤く焼き、水に放り込む。ヤスリが掛からないほどの硬さになる。そのままでは硬過ぎる。ちょっとしたショックでも割れ易いので、焼戻しをすべきだ。工具を硬い床に落とすと割れてしまうのだ。


tempering オーブントースタの古いのを、焼戻し専用機としている。150 ℃から200 ℃で1時間以上だ。太陽光発電が稼働している時にやるとタダでできる。厚い金属板を下に敷き、湯のみ茶碗に入れて空き缶をかぶせる。開放して通電すると、温度ムラができて失敗してしまう。
 このトースタのタイマは15分が最大値なので、13分毎にアラームを設定し、リセットをする必要がある。当然、外でやるのだ。  

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2023年10月06日

工具を作る

cone end tool ちょっとしたプレス工具を作った。ピヴォット軸を車輪に圧入する時、軸の先端をつぶさないように押さえたり、抜く時に使う工具だ。ワークの数が少なければ、押すものは軟鋼のシャフトの先に小さな穴をあけたもので十分だ。

 ステンレスのピヴォット軸は十分に硬く、押し込んだ瞬間に穴が広がり、ピヴォットのテーパと馴染む。10本くらいなら、これで難なく仕事ができる。しかし数百となると、押し込み工具は徐々につぶれ、穴は大きくなって最終的には割れる。その前に全体が太くなってしまうこともある。そうなるとピヴォット軸を押し出した後、抜けなくなるし、車輪の穴が大きくなって使えなくなる。 

 こういうときのために、S45C(炭素0.45%を含む鋼材の番号)の材料を用意してある。適当な長さのものを旋削して作る。今回は2つ作り、一つは中型プレスに付け、他方は小型の簡易プレスに付ける。小型機のラム(上下に動く角棒)にはW1/4のネジが切ってあるので、その雄ネジを切らねばならない。  

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2023年05月21日

Powernailer

Power Nailer 意外なことに、床についての問い合わせがたくさん来た。釘打機の写真を見たいとのことで、自宅の地下室から発掘してきた。30年ぶりに取り出したが、傷んでは居なかった。


 タイルの大きさが 30 cm角であるから、大きさの見当は付くであろう。 ハンマは900 gである。かなり重い。ゴムの付いている方で、叩き込む。反対側の尖っている部分は、床材を叩いて密着させる時に使う。自宅を建てる時に雇った大工のBenは 2 mの大男で、一発で叩き込んだが、普通の人は2回叩かないと入らない。叩く力が強過ぎると、その部分の板が強く寄せられてまっすぐにならない。Ben が絶妙の力で一回で打ったのには感心した。

floor nails 左に飛び出している銀色部分に釘を入れる。釘は接着剤で固めてあり、この写真の4倍くらいの量を収容する。オークは極めて硬く、普通の釘を手で打つことはできない。釘が折れ曲がる。このL字の釘は厚さ1/16インチ(1.6 mm)の鋼板を打ち抜いたもので、加工硬化して極めて硬い。打ち込まれて先端が入ると、その後は鋸状のギザギザがあって、オークを粉砕しながら貫通する。そして最後のL字の頭が喰い込んで止まる。このあたりの設計は巧妙で、実にうまく留まる。と同時に床材は相手に固く喰い付いて、隙間は出来ない。

 この床材を日本で購入して使う人がたまに居るようだ。ウェブ上でその結果を披露している人も居るが、大抵は隙間が空いて埃が溜まってしまうと不満をこぼしている。それは本質を理解しないで、うわべだけを真似したからだろう。

 床材は入荷してすぐに釘を打ってはいけない。一年中でもっとも乾いた時期に打ち付けるのだ。そんなに待っては居られない場合は、エアコンを利用する。床材の封を切り、床一面にばらまいて、エアコンで除湿する。2週間乾かして張るのだ。そうすれば、隙間は空かない。そういうことは床材の説明書にちゃんと書いてある。それを無視して、「隙間が空いた」という不満を書くのはいかがなものか。急いで作りたい人は、化粧合板の床材を使うべきだろう。

 大工仕事は経験上の裏付けがあって確立されている。素人の浅い知識だけではできないこともあることを知るべきだ。 

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2023年05月15日

近頃あれこれ

 勘の鋭い人が居るものだ。電話を掛けてきて、こう言った。
「最近、車輌工作をしてないんじゃないのか。」

 これには参った。その通りなのである。筆者は、何かで忙しくてもそういうことを文面に出すのは避けたい。ブログは、工作とは直接関係ない話題でつないでいたのだが、バレてしまった。経緯を話すと、そのほうが面白いから書けということになった。

 正直に言うと3月から、この2ヶ月ほど、原寸大のストラクチュアの工作をしている。昔住んでいたマンションを修理しているのだ。長く貸してあった人が退去したのだが、廃墟のようになってしまっていた。長く病気であったようで、全くメンテナンスがしてなかった。天井は落ち、壁紙は剥がれ、電気系統のトラブルがあったので、全て一新した。外注するととんでもない金額だそうだが、自分でやると数分の一でできる。 

 このマンションは和室もある普通の間取りであったが、30数年前、アメリカから帰る時、内装材料、家具、電気器具を送り、完全にアメリカ仕様に改装した。間仕切りを取り払い、LDKを18畳にした。当時はアメリカの経済が最低で、ドルが安く、厚いオークの床板、家具を廉価で買えた。一部を120 Vにして、大型家電はアメリカ製であった。キッチン家具は、友人の家具職人に作ってもらった柾目オーク製のかなり重厚なものである。それは汚れを落としただけで元に戻った。厚さが21 mmもあるムクの扉は、日本ではまず見かけない。 

 帰国して半年間は時間の余裕があったので、その間に改装工事を自力でやった。アメリカの大工の友人のところで修行させてもらった時に、彼が指定した電動工具を、ある程度買い揃えていた。そのおかげで訳なく出来た。壁紙もアメリカの仕様で貼った。

leaking 何年か前の台風で上階が浸水し、その水が天井に入って一部が剥がれ落ちた。また床の塗料も部分的に浮き上がっていた。そのときにすぐ言えば保険で賄えたのに、借り主が入院していたようで、そのチャンスを逃したのだ。 


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2023年03月28日

続々 ナンセンス集

 ・糸鋸は0番でも000番でも切れる速度は全く等しい。

 これも意味不明だ。粗い刃の鋸は確実に速く切れる。切り粉が大きいからだ。もちろん刃数が少ないが、一粒あたりの質量が数倍以上あるだろう。大きな鋳物を切ったりする時は#1あたりを使う。ザクザクと切り粉が出て楽しい。


 ・丸い円板を作る時は四角の板の角を落として八角にし、ヤスリを掛けると速く出来る。
 
 これは一理あるかもしれない。内野氏は鼻歌を歌いながら一発で抜いて、完璧な円板を作ったが、これは誰にでも出来るわけではない。八角、十六角と切ってヤスリを掛ける手もあるだろう。しかし速度は糸鋸には全く敵わない。 


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2023年03月26日

続 ナンセンス集

 ・ハンダ付けをするときは、ワークを斜めに立てかけて、上からハンダを付けると全体に流れやすい。ハンダが流れ始めたら、一旦コテを離すと、ハンダがしみこむ。
 これも何を言っているのか全く理解できない。ハンダは「ぬれ」によってしみこむので、下からでも入り込む。隙間は狭くても入り込むが、タガネ等で傷を付けてわずかに隙間をあけた上で締め 、加熱すると良い。秘訣は、フラックスを十分に塗ることだ。圧力を掛けているコテを離すと、隙間があいてハンダ層の厚みが異なる部分ができ、仕上がりが極めて良くない。

私は折らない ・糸鋸の刃は、私は折らない。刃が半分くらいになるまで使う。

 これには参った。実際にそうやっているのかどうかもわからない。刃の先端に焼きが入っているはずである。それが無くなるというのはどのような状態だろう。なにかの勘違いだろうが、それを人に言うという状況が理解しがたい。
 糸鋸の刃の寿命は12分だそうだ。これは何万本も消費したプロが言っていることだから、間違いないだろう。


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2023年03月04日

louver を作る

 内野日出男氏の工具を整理している。こまごました手作りの工具の中にそれが見つかった。

louver cutter1 これはプレスによるルーヴァである。本物は総型で一発だろうが、模型の場合は1つづつ送りながら抜く。左は下から見ている状態で、右は上からである。


 模型を見ているので、やり方はそれしかないことは分かる。しかし、その工具を作り、実際にやるにはかなりの困難がある。筆者は自分で作らざるを得なくなったときにできるかどうか、かなり怪しい。オス型が回転してはいけないのだ。しかも剪断するわけだから、刃の位置は極めて正確に決まらなければならない。

louver cutter2 このメス型は作るルーヴァの大きさに合わせて作ってある。その細い孔の一辺が刃物になっているのだ。最初に抜いたワークを当てて位置決めするわけだ。細い孔の一面だけが、刃になっている。

 
 少し錆びているので、刃を傷めないようにサビを取る必要がある。うまく出来ている型なので、しばし見とれていた。

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2023年03月02日

続 Benderの破損

Bender プレスで押すというのはこのような状態である。上のネジ部分を外し、押す刃の部分が自由になるようにした。
 プレスのラム(上下する棒)で押し付けるだけのことである。とても使いやすい。以前のネジを廻す方法は、決して楽な方法ではない。この写真でも分かるが、ネジの当たる部分には派手に傷がついている。筆者も拇指の問題があり、手術はしたがあまり無理はしたくないので、ネジを廻すことは避けたい。

 外してみて分かったが、この上の刃の部分の出来は非常に良くない。砥石で擦ってなめらかにした。製品では縦フライスでさっと削っただけで丸い切削痕が付いていた。材質はおそらくS45Cあたりだろう。一度熱処理して、再度研ぎ直すつもりだ。 

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2023年02月28日

Benderの破損

 この Bender を長年使ってきた。これは30年以上前にアメリカで買った。NorthWest Short Lineという会社が作っていたが、今は中国製になったようだ。
 数年前にネジを取り替えた。以前のネジは、廻す部分が小さく、しかも長期間使っているうちに、つまみが欠けてきたのだ。要するに厚いものや、幅の広いものを曲げるのは、過大な負荷だったということなのだろう。日本製のインチねじの頭にプラスティックの大きな握りを付け、調子良く使っていた。 

bendeer 今回はホッパの排出口のゲートを作るために t 0.5の板を曲げた。間口は 36 mmである。この程度の厚みなら行けると思ったが、これも過大な負荷であったようだ。
 この種の工具はブレーキと呼ばれている。工場では油圧で動く型で曲げている。

Bender 2本の押しネジがねじ曲がった。ネジが熱処理されていなかったからだろう。以前のネジは表面が黒かったのだ。
 ネジを糸鋸で切り落とし、外した。さてどうするか、である。また同様のネジを使っても同じことになる。また、インチサイズのネジは日本では買いにくい。

 こうなったら別の方式を考えるべきだろう。幸いにも、プレス機がある。上の刃をプレスのラム(垂直に動く押棒)で押せばよいのだ。 

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2023年01月19日

続々 突切りバイトを作る

むすこたかなし氏のブログで連続的に掲載されている記事が面白い。先入観に捉われることなく、客観的な事実だけからやり方を導き出している。実にサイエンティフィックである。

 60年ほど前までは、この種のテクニックは職場ごとに存在し、互いによそが何をやっているかということは、うかがい知ることがなかった。職工はテクニックを「盗んで覚える」以外なく、それは工学的な知識が元になっているわけではないから、見当外れのものもあった。
 ただ言えることは、うまくいかないものは使わなくなるから、使える方法だけが生き残っていたわけだ。筆者はその最後の時代にそれを見るチャンスが有った。

 しかしながら、自分でやってもいないのに、頭ごなしに「そんな方法は間違いだ。」と言って、鼻で笑う人も居た。こういう人は今でもたくさん居る。
 筆者は各種のバイトをその方法で作ったが、ハンダが剥がれるようなことは一回たりともなかった。すなわち、むすこたかなし氏も言われるように、正しくハンダ付けができれば大丈夫なのだ。 
 今回 Φ12 の快削黄銅棒を切断しているが、なんの問題もない。筆者はもっと太いものも切る。これは刃先が細く抵抗が小さいから、可能なのだ。

 SKS材は日本刀の材料である。実際には日本刀は天然の合金鋼で、マンガン、バナジウムなどを含む。カミソリも同じである。硬く焼入れが出来て、切先を鋭くできる。これはハイスには出来ない芸当である。ただ、焼きが鈍るとダメになるから、鋼を削るときは、低速で油漬けでの仕事をせねばならない。(ハイスはHi-Speedの略である)

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2022年10月07日

続 内野日出男氏の工作

side rods これはDM&IR鉄道の2-8-8-4サイドロッドである。厚さ 3 mmのステンレス板を糸鋸で切り抜いている。穴あけして概略を切ってからヤスリがけして正確な外形にする。それをフライスで削って薄くし、スリットを入れ、相手と組み合わせて関節とする。

side rods (2) 余分にいくつか作って、良いものを選んだのだろうが、余っているものも素晴らしい出来である。
 ロッドにステンレスを選んだのは、単純に色の問題である。内野氏も、洋白の色は好きではなかった。

 このステンレスは、SUS430であろうと思う。磁石に付く。それほど硬くないから、糸鋸で切れる。多少の油を付けると切り易いが、ブラスの2倍ほどの時間がかかる。切り粉は磁石で完全に集められる。

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2022年03月28日

続 糸鋸盤

 古いベルトは、ウレタンのオレンジ色の丸ベルトだったようだ。「ようだ」というのは、よく分からないからである。痕跡を留めないほど、劣化している。
 硬い消しゴムかと思ったが、多少粘り付く。そういう塊がいくつか見つかるが、ベルトの形はしていない。一度融けて液状になり、それが表面張力で丸くなり、重力との兼ね合いでまんじゅうのようになったのだろう。
 やはりウレタンは使うべきではない。

NBR belt-drive 今回買ってきたのはNBR(ニトリルゴム)である。これは耐油性で、そう簡単には変化しない。ホームセンタで、様々なサイズを手に入れることが出来る。紐を巻いて円周の長さを知り、そのサイズを買えば良い。円周長で10 mm刻みで売っている。安いものである。

 これで、3台の機械が専用機となった。博物館の作業台は十分に広いので、便利に使える。

 切り粉が飛ぶので、その処理を考える必要がある。また、ストロークが30 mm程度なので、刃の使ってないところがもったいない。折れたら、未使用部分を、ブラスの針金をハンダ付けして再利用するというのも現実的アイデアだろう。   

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2022年03月26日

糸鋸盤

coping saw attachment (2)coping saw attachment (3) 糸鋸アタッチメントを組んで、取り付けた。バランスウェイトが付いたクランクがあって、クロスヘッドで上下動に変換している。クランク部にはボールベアリングがあるので、摩擦が少ない。また振動も感じられない。モータの回転を、3段のベルトで減速して、元の1/16ほどにしている。我々が手で糸鋸を動かすのと同程度の速さだ。この程度の速度であるから、バランスが多少狂っていたとしても、ほとんど影響はない。 

coping saw attachment (1) 滑らかである。音がしない。こんなに静かに動くとは思わなかった。よく出来た機械だ。糸鋸の上半分を保持する部分は、弓をかなり切り捨てた。硬いバネをt 0.8のリン青銅板から切り出し、長く保持して取り付ける。先端の固定部(赤で示す)の設計中である。普通に保持すると、バネの曲がりで、鋸刃の付け根は疲労する可能性がある。そうすると、折れやすい。
 また、この種の板バネには、疲労しにくい材料が必要だ。リン青銅は、その点では最高の材料である。優秀なバネ鋼は手に入れにくいからだ。

coping saw bow 熱処理した薬研(やげん)型の溝を作り、ナイフエッジで承けて、多少の傾きがあっても張力だけが掛かるようにするのが理想だが、その必要もないかも知れない。伊藤英男氏の仰ったように12分持てば良いので、実験して差がなければ、簡易型で良いだろう。


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2022年03月24日

またまた Unimat SLの到来

 最近、遺品の始末について、ご遺族から問い合わせが多い。あまり関わりたくないが、「是非に」と指名して来られると、お断りするのは難しい。いよいよ應迎寺住職として永代供養をせねばならない時期が来たのかも知れない。

 先日も呼ばれて、かなり遠方に行った。故人は金工職人だったので、趣味で作られたものとは言え、素晴らしい作品があった。その行き先を探して差し上げるわけだが、機械、工具類も素晴らしい。どれもピカピカに磨き上げられ、50年以上使っていたとは思えないものばかりだった。素晴らしいマイフォードの旋盤と500 mmベッド のフライス盤(約200 kg)があった。どなたか興味のある方は、連絡されたい。筆者も20歳若ければ、手を挙げたかも知れない。条件としては、自力で土間から運び出して、トラックに積み込めることである。チェイン・ブロックが必要である。

 小さな工具類はどうぞお持ち下さい、とのことで、戴いて来たものがある。小物を作るのにユニマットSLを愛用していたそうだ。このユニマットは、最近は人気がなく、引き取り手が見つけにくいことはお伝えした。 
 かなりの改造が加えられ、使いやすくなっている。また、切り粉受けが付けられている。この機械はかなり古い。極めて初期のものである。ネジ切り装置を移植できればと思った。

unnamed 移植後の姿がこれである。簡単に組み換え出来た。ハンドルはアルミ合金で作ってある。プラスティック製は劣化するが、これは変化しない。初期型だけである。引き出しは、自作である。とても手際よく作ってある。

 チャックやライヴ・センタは防錆油漬けになっていたので、新品同様に輝いている。

 ネジ切りを外した機械は、とりあえず、糸鋸盤に改装してみる。オリジナルの設計では役に立たないので、少々工夫をせねばならない。


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2022年02月08日

切断機の整備

 遠藤機械の切断機の出入りが多い。最近はこの機械のディーラになったような気分になる。立て続けに古いものが持ち込まれ、処分を依頼される。ほとんど切れなくなったものもあるが、鉄クズで捨てるには忍びないので、再生させる。再生品はクラブ員などに世話することになる。

 刃がガタガタのものがある。全部分解して、刃を研ぐ。この種の刃は、当たり面を触ってはいけない。材料に接する面だけを研ぐ。荒砥、中砥と来て最後はアーカンソーで研ぐ。最初の二段はダイヤモンド砥石で研いだ。無茶な使い方をしていたらしく、刃こぼれがひどい。長時間研がねばならず、結局、ダイヤモンド砥石がタダの鉄板になってしまった。
 当たり面のカエリだけを擦り落とし、研ぎは完成だ。SK鋼の鈍い輝きはなかなか良い。

 刃が上下に滑る溝には薄い鉄板が入っていて、その厚さが切れ味を決めている。先回到来したのは、限界まで刃をせり出していた。しかし、その鉄板に当たって、それ以上刃の隙間を小さく出来なかった。 切れるようにするには、その鉄板を薄くする以外ないのだ。0.2 mm削って研いだ。組み直すと素晴らしい切れ味になった。こういう作業は、工作機械があればこそだ。 

 この切断機の駆動シャフトはΦ16であった。これもシャフトが軟らかく、ネジを締めると変形してハンドルが抜けなかったり、カムがあらぬ位相にまで廻り始めていた。
 こういうものは、工具なのだから、分解できなければいけない。分解整備できないようなものは、工具とは言えない。これも前回と同じで、普通の分解を諦めて、鋸で切断した

 硬いS45Cのシャフトを磨棒鋼屋で取り寄せてもらい、縦フライスで加工して、カムの取り付けネジの座を作った。また、折れないハンドルを付けるには、少し細くしなければならない。径を15.87 mm(5/8インチ)まで削って、キィ溝を彫った。磨棒鋼屋は、同じ材を何度も買いに行くので不思議そうな顔をしていた。 
 このS45Cという材はかなり快削で、旋削は気持ちが良い。あっという間に作業は終わった。ハンドルを付け、キィを入れた。キィはスルスルと入り、ハンドルは微動もしない。カムには派手な打痕があり、油が固まって汚いので、全周を研磨した。こういう作業は楽しい。

 出来たものを発送するに当たり、少々考えた。完全に衝撃から防護すると同時に、他への影響も小さくせねばならない。ダンボール箱の中でこんな重いものが踊ると、箱を突き破って周りのものを傷つける可能性もある。

Packing Shears (1)Packing Shears (2) 15 mmの合板を切って、ずれないように縁取りを接着剤と木ネジで付ける。切断機をはめて、ずれ留めをねじ込む。上からは、これも大きな合板を切って押さえを作り、載せる。こうしておけば、かなりのショックに耐えられる。一番上の合板が箱の内法と一致しているところが、ミソである。やや厚い合板の切れ端を大量にもらったので、ふんだんに使っている。

Packing Shears (3)Packing Shears (4) 箱に入れて押さえを載せ、蓋を閉めてテープ貼りをする。重いので、持ちにくい。太めのロープで2重に縛れば、運び易い。これで 24 kg強であった。
 重心位置を書いておいた。郵便局はあまりの重さに驚いたが、25 kg以下なので、文句はない。発送先には重い箱が届く旨、知らせておいた。先方は、この梱包を随分お気に召したようだ。  

 工具の整備は楽しい。切れ味が戻ると感動する。        

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2022年01月21日

大型のシァが到来

 全く予想もしていなかったのだが、よくコメントを戴く某氏から連絡が入った。
「24インチ(620 mm)のシァを買ってしまったのだが、家に持ち込むのを家族に拒否されている。博物館に置かせてもらえないか。」
 とのことだった。場所はあるが、重そうだ。130 kg位ある。切れ味は極めて良く、ティシュがスパリと切れることは確認した。

unnamed 軽トラックに積んできたのを降ろす工夫に頭を絞った。軽トラの荷台高さは600 mmだ。フォークリフトは無い。
 450 mmの頑丈な台を作って、荷台から半分ずらした。次は300 mm、150 mmという具合に片方ずつ下ろした。3人がかりで30分の作業だ。

 刃渡り620 mmは、Oスケールには便利な大きさである。86 ftの客車の側板も一発で切れる。今まではこのシァを持っている工場まで行って、切ってもらっていた。

 希望者は、長物を切ることができる。その時、某氏には寸志をお渡ししたいので、募金箱を置く。ご協力をお願いする。

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2022年01月15日

改良済 切断機

shear improved2 この遠藤機械の切断機は、ある方から委託されたものである。錆びて使いにくいものであった。古い製品を、完全に分解し、錆取り、再構築した。

 オリジナルの折れるかもしれないハンドルは捨て、レーザ切り抜きの新ハンドル、新たに硬いS45Cを削ったシャフト鋼板製テイブル、刃物用ステンレスから作った定規19 mm鋼板からレーザで抜いた足を組合わせた。現在考えられる最高の組合せである。

shear improved 4 mmの鋼板製テイブルであるから、材料をクランプで留めやすい。すなわち、定規で直角を合わせた状態で、間違いなく切断できる。1 mmのブラス板を切っても、確実に直角に切れる。切れ味は最高である。また、テイブルの角は、押し込んだ際、手を怪我しないように切り取ってある

 大切に使って下さる方にお譲りした。 

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2021年12月20日

コレット と 割出盤

 コレットが2つ付いていた。Φ4 と Φ6 を掴むものだ。ERコレットに似たサイズだが、取り外し用の溝がない。
 試しにERを嵌めてみたが、しっくり来ない。少し長いのだ。この旋盤専用のコレットを売っていたようだ。売れた数が多いので、その種の中古市場で手に入れたい。


Indexingindex teeth 割出装置があった。どういうわけか48分割一つしかない。奇数、素数のインデックス・プレートが欲しい。



 レーザで切り出して 、割り出し板を作ってみたくなった。17分割とか23分割のインデックスがあると面白そうだ。問題はホブである。インヴォリュートのホブを手に入れたい。
 おそらく、まともな刃物屋で作ると、17枚用と23枚用は歯形が異なるはずだ。高そうである。

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2021年12月18日

糸鋸、剣鋸盤

coping saw さらに戴いた部品を調べると、糸鋸盤がある。大きな剛性のある弓がついているので、それが上下するのかと思いきや、そうではなかった。堅く曲がりにくい糸鋸が、弓に取り付けられた鞘の中を上下する。要するに片持ちの糸鋸である。これは果たしてうまくいくのだろうか。鋸刃にはいつも曲げ応力が掛かる。少しずつ曲がるだろう。そうすると鞘からはみ出そうとする。鞘には丸い筒が嵌っていて、刃がはみ出さないようになっている。 付属の刃は、いわゆる木工用のものと同じ太さである。もちろん、材質・熱処理はずっと高級だ。
coping saw mechanism 後には弓の上端に板バネを付け、その弾力の範囲で、ぴょこぴょこと動くものがあったようだ。
 それよりも、最近、他社のものでよく見るコイル・スプリングのほうが安定するだろう。


sabresaw どうするか迷っているうちに、もう一つの付属品があることに気が付いた。それは剣鋸盤の部品であった。糸鋸盤のメカニズムを利用して短い剣状の鋸 sabre saw が出入りする。市販のジグソウを裏返したような物が、できるわけだ。これは使えるかもしれないが、その用途の剣鋸の供給は、すでに無いだろう。
 市販のボッシュなどの刃の根本を切り取って、試してみたい。うまく行けば活用できる。 

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2021年12月16日

丸鋸盤

circular saw 実は当博物館にはもう一つユニマットが来ている。伊藤剛氏の遺品である。これはよく使ってあり、心押台は磨り減り、ハンドルは欠けている。ハンドルを新たに挽き出して改装する計画があったが、手を付けてなかった。今回到着した部品の中に丸鋸盤コンヴァージョン・キットがあったので、とりあえず取り付けてみた。

 組立図を見ると、Φ60 または Φ90 の鋸刃が使えるようだ。中心の孔径はΦ16.0である。この孔径16 mmという規格はヨーロッパには多いが、アメリカ、日本ではまず見ない。近いものは15.87 mmである。すなわち、5/8インチである。これなら、高級な国産品が簡単に手に入る。

 それを採用するには、鋸のアーバ arbor(軸)径を少し削るだけであるから、簡単である。スピンドルに取り付けた状態で削るのだから、心も自然に出る。

 手持ちのプロクソンの丸鋸は、出力が小さく、2 mmのブラス板が切れなかった。これは出力が100 Wなので、楽勝のはずである。
 この機械は鋸盤としての専用機になりそうな気配だ。   

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2021年12月14日

ユニマットの品質

 1960年代から、ユニマットは雑誌に載っていた。子供の小遣いではとても買えないものではあったが、いつかは手に入れようと思った。    
 1970年代になり、Myfordを持っていた人が薦めたので、イギリス製を買うつもりであったが、思わぬことでオーストラリア製の小さな Sherlineを買ってしまった。アメリカに代理店を持っていたためだ。それには、いくつかのアタッチメントを付けて補助機として便利に使っていたが、貸出し先の神戸の友人宅で地震により壊滅した。

 80年代にアメリカでMyfordと同じ大きさの小型旋盤を手に入れ、Bill Melis氏の指導のもと、様々なものを作って楽しんだ。その後、日本に持ち帰って部品を取り替え、現在に至っている。

 その後ユニマットを見ることもなく過ごしてきたが、吉岡精一氏の遺品のユニマットを動かしてみて、その精度には驚いた。スピンドルの振れの無さ、各部のガタの少なさ、チャックの締り具合が最高である。
 その頃には粗悪な中国製の旋盤が上陸していたが、それらは比較の対象にもならない。国産品、米国製と比べても上回る精度であった。中でも、付属していたフライス用万力には驚いた。ガタはなく、鋼材は熱処理が完全で、とても硬い。 

 精密機械とはかくあるべき、という信念を持った人が作っている事がよく分かる。酒井のMLシリーズと比べても、一段上である。 


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2021年10月17日

続 マキタ・スライド丸鋸の安全部品

Makita LS1012 新型機のカヴァを外してみると、なんと旧型機と同じ形の部品でつながっているではないか。嵌め替えができるかもしれないと思い、やってみたら全く問題なく作動した。旧型機ではオレンジ部分が初めから無い設計であった。バネで戻していたが、新型の部品をはめると、より重くなっているので、自重で下がりやすく、都合が良い。(この写真は新型)

 営業所で聞いたときには、「供給打ち切りで部品がない」の一点張りで、取り付く島もない状態であったが、「簡単に解決できた」とメイルを送ると、営業所長が来て詫びるとともに礼を言った。
「驚きました。まさか嵌るとは思いませんでした。この方法は使えますね。」
と言う。マキタの本社にもメイルを送り、このことを知らせた。全国の営業所に、
「古い機種の壊れたカヴァを、新型の部品で交換できます。」
という掲示を出すように求めた。わずか1000円弱で買えて、今までよりずっと調子の良いカヴァである。

 機番が変わると、共通点はないと思ってしまうのだろう。しかし設計者は、新型になっても使える構造はそのまま使いたいはずだ。今回は見かけも変わっていたので、共通使用ができるとは思わなかったのも、多少は理解できる。しかし、労働災害を防ぐという観点から見ると、古い機械を使っている大工も多いだろうから、少しは頭を使うべきであった。

 この道具は、正確に木材を直角に切るときには不可欠であるから、クラブの会員が使いに来る。鋸刃は常に目立てに出して、切れ味を最高に保っている。あまりにも簡単に正確な仕事ができるので皆驚く。筆者の木製の貨車は、全てこれで直角を出している。

 下手な道具で悩むより、良い道具を持ちたい。最近は旧形式がヤフオクなどで非常に安く手に入る。刃は、新品を買うと極めて高い。目立てに出すべきである。近くにお値打ちにやってくれるところがあるので、頻繁に出している。鋭い刃で切ると、かんなを掛けたようにツルツルになる。

 引金から手を離すと、自動ブレーキが掛かって安全だが、ブレーキの効きが甘くなったときは、カーボンブラシの摩耗である。取替部品がある。似た部品をヤスリで削ってサイズを合わせて使ったことがあるが、問題はなかった。 


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2021年10月15日

マキタ・スライド丸鋸の安全部品

 sliding compound miter sawと言うらしい。1980年代に生まれた木工機である。

 それまでは、垂直に立った軸に直角のアームがついて、その腕にレイルがあって鋸刃が水平移動するものしかなかった。アームを廻せば斜め切りが出来る上に、鋸刃を傾けることも可能で、便利な道具であったが、持ち運びは不便で、重かった。それは、radial arm sawと呼ばれた。
 アメリカではよく使わせて貰い、便利なものなので、それを買おうと思っていた。そこに、このコンパクトなスライド・ソウが売り出された。日立とマキタから出た。小さくて軽いが、幅の広い材を一発切断できるばかりか、鋸刃を傾けることができるので便利である。ラジアル・アーム・ソウには負けない性能を持っていたので、アメリカでは大人気であった。営業所が近くにあったのでマキタを買った。

Makita LS1011 家を建てるときには大いに活躍し、その後、友人にこの道具を貸したので、都合3軒建てることに貢献したことになる。その後、塀を作り、デッキを整備した。自宅のレイアウトの建設、家の増築その他に大活躍をした。ところが使い過ぎて透明な保護カヴァが疲労して欠け、危ない状態になった。緑の部分が欠けてなくなってしまい、そこは握りに近いので危なくて使えない。注意力が低下すると指が無くなる可能性があったので、使用を中止し、新型機を手に入れた。新型は更に性能が向上し、使いやすくなっていて、博物館建設に大活躍した。

 旧型機の安全カヴァが手に入らないかと営業所に持っていったが、2008年に部品供給が終了して、修理不能だと言う。それは仕方がないが、この部分にカヴァがないのは、現在は違法らしい。安全基準を満たさないから、建設現場では使ってはいけないのだ。しかし、本体は全くヘタっていないので、もう少し使いたい。

 写真の下にあるバネは、当初のカヴァの復元バネだ。押し切るときはリンクで押されて開き、戻すと強制的に降りて閉まるようになっていた。

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2021年09月27日

補強板を作る

 先回の ”girth” を作るときは、シアとリヴェット打出し機を使った。先頃導入のシアは、このような同じ幅の板を切り出すのに便利である。あっという間に出来る。

riveting machine2riveting machine リヴェットはこの器械で打出した。最初は x,y の座標で位置決めする大掛かりな機械(英国製)で打出し始めたが、何回か間違えたので、それは断念した。この器械では奥行きを制限しているが、左右は手で滑らせる。金属板にケガいても見えにくいので、ガイドの上にテープを貼り、それに目盛りを描いた。実に簡単で、あっという間に4本できた。

 リヴェットを打出すと、t 0.3のブラスの板は反るので、金床に置いてゴムハンマで凸部の上から叩く。数回叩くと真っ直ぐになる。
 45度切りは、シアのテーブル上に引かれた線を使った。極めて楽である。 

 接着はエポキシを用い、錘を載せた。その時、位置がずれるのを防ぐために、マスキングテープで仮留めした。わずかに反った状態で、中心付近をブロックで押さえて錘を積み、5分待てば出来上がりだ。
 この状態で点検し、はみ出した接着剤があれば取り除く。まだ軟らかいので、可能である。 

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2021年04月20日

truck tuner

 新しく作った焼結ナイロンの台車の軸受内部は、ざらついている。この部分をさらって、新しいナイロン面を出さないと摩擦が大きい。表面は染色してあるが、内部は白く、緻密である。削って滑面を出す必要があるのだ。精密に作られたステンレス製ピヴォット・コーンとの摩擦は非常に少ない。また、ナイロンは硬いので軸重を増やせる。以前の基準ではPOM(ポリアセタール、デルリン、ジュラコンなど)では軸重100 gを限度としていたが、150 gまで認めることにしている。

truck tuner2 この工具は以前にも紹介している。最近いくつか製作依頼があって、作った。この種のものは一つだけ作ると、大変な手間がかかる。綾目ローレットを掛けた材料がなくなったので、作らねばならなかった。買えばよいのだが、量が少ないと買いにくい。丸棒から作るのは楽しいので、たまにやる分には気分転換になる。

truck tuner 下のものは、以前紹介したHO用を延長したものである。テーパを削ってつるつるに研磨する。コレットで逆に銜えてセンタ穴をあけ、 ドリルで穴をあける。リーマを入れて内部を滑らかにし、ガラスドリルの軸を切って差し込む。先は少し削っておかないと、リーマの喰い付き部分のテーパで引っかかる。長さを確認して、必要ならば調整する。

 よく洗って油気を取り、エポキシ接着剤を入れ、ドリルの軸を差し込む。簡単そうに見えるが、精密に作ってあると、ここで引っかかる。内部の空気が出ないのだ。ドリル軸にダイヤモンド・ヤスリで縦溝を付けるのを忘れたからだ。横から細孔をあけておくのも良い。四苦八苦して所定の深さまで押し込み、1昼夜保持して完成だ。

 このガラスドリルは切れ味が良く、アッという間に彫り込める。また角度が良く、摩擦が少ないと同時に、寿命も長い。


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2021年03月29日

続々 ER collet

 ERコレットの精度の高いものは、所定の軸を入れると抜けて来ないようになっている。よくできている。
 例えば、Φ6 のコレットに Φ6 のエンドミルを差し込んでも、落ちて来ない。すなわち抜け落ちた時、万力に当たってしまって刃が欠けるということが無いのだ。

 振れが大きいものは、当然不良品だ。それ以外に駄目なものがある。クランプナットの偏心した留め輪にひっかからず、ナットを緩めても抜くことができないものがある。これでは話にならない。これは、コレットよりもナットに問題がある場合が多い。

 いくつかの販売サイトで買ってみたが、アメリカの店経由で買うと、変なものにはまず当たらない。台湾の店も良い。ところが、中国から直接送って来るのは、ハズレが多い。
 これにはいろいろなファクタがあるだろうが、一つだけ言えることは、アメリカ人は駄目なものには駄目と言って、返金を要求する。ところが日本人は、駄目でも簡単に諦めてしまうことが多いからだと思う。おかしな商品が来たら、直ちに抗議して交換を求めるべきである。クレジット会社に言って支払いを止めるのが効果的であろう。

 最近は、中国のサイトは全て日本語表示で、怪しい日本語のオンパレードだ。その中に、”春コレット”と書いてあるものがあったそうだ。間違っていたのは、訳だけであったかどうかは分からない。

 ER コレットは使い易く、精度が高いが、切り粉を噛みやすい。外したら、歯ブラシで丁寧に内外を払い、注意して組み直すようにしたい。また、コレット、コレットホルダー、クランプナットには適宜注油しておく必要がある。 

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2021年03月25日

ER collet

 旋盤でいつも心を出して掴もうと思うと、コレットで掴むしかない。コレットは各種あるが、特定の径の物しか掴めないので各種の径の物を多数持たねばならない。
 ERコレットはいわゆる spring collet であり、多少の誤差があっても平均して収縮するので、1 mm程度のピッチで揃えていれば、いかなる径の物でも掴むことができることになる。この8度、30度のテーパによって平均的に縮みながらワークを把持する。パイプも潰さず掴めるところが有難い。

 模型人が使う頻度の高い軸を掴むのなら、ER11(Φ7まで)、あるいはER25(Φ16まで)のセットを持っていると良いだろう。コレットはクランプナットに斜めに押し込まれると、内部の偏心した留め輪に引っ掛かり、抜けて来ない。これは卓抜したアイデアである。

 コレットの嵌め替え時に、探すのは時間の無駄であるし、無くす可能性もある。コレットは一覧できるようにすべきである。

collet turret for ER25collet holder  ER32 筆者はER25用のセットを回転するホルダに入れてある。大きなER32は、堅木で傾けて作ったホルダに入れ、取り出し易くしている。 

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2021年03月21日

続々々々 アメリカ製の切断機

 実のところ、到着時にはすでに刃は傷付いていた。固定刃に乗り上げてしまって降りない状態なのに、無理に押し下げて、"Shipped tested"(検査して出荷)と称している。どうしようもない組立工がいるのだ。
 定盤上で、1200番のサンドペーパで研いで平面を出し、2000番の砥石で擦った。この作業で2/100ミリ強薄くなった。刃物を研ぐのは好きであるから、時間を掛けて行った。
 これらの刃を取り付け、きっちりと位置合わせをすると、素晴らしい切れ味である。

back stopper この切断機の特長の一つに、可動刃の裏側のストッパがある。そこまで(緑の線の高さで)材料を突き当てて(黄色矢印の深さまで)切り落とすと、同じ幅のものが大量に簡単にできる。深さ寸法は0から始められるところが優秀である。
 ストッパの回転軸の高さ(オレンジの線)が絶妙で、押しても逃げないが、刃を下ろすと逃げるようになっている。バネで逃げるのだ。うまい工夫だが、可動刃は斜めに降りるのだから、ストッパがプラットフォーム方向から見て水平であってもよいのか、詳しく調べてみたい。回転軸にはわずかのガタがある。それには害があるのか、それともそのガタが有効に作用している可能性があるのか、まだ判断できていない。
 深さの目盛りは、ミリとインチの併用であるのは有難い。

 リン青銅板を正確な幅に切り落とせるから、重ね板バネが簡単にできる。窓枠の部材切断なども簡単だ。

slide 切り落とした小さなものが奥に入ってしまうと取り出しにくいので、滑り台を付けた。滑りの良い洋白の板を、少し曲げて貼り付けただけである。切ったものが滑り出して来るのを見るのは面白い。         


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2021年03月19日

続々々 アメリカ製の切断機

slack 可動刃のブロックである。本体のスロットにはめ込むと微妙なガタがある。矢印がそのガタである。その分だけ刃が前に出る(この写真では左に行く)と、固定刃に当たる。乗り上がって自壊するのだ。 
 可動刃が、上下するスロットの中で一番奥(右へ)に押し込まれて、手前に出て来られないようにする必要がある。
  
wavy shim 薄い洋白の板を短冊にして、はさんでみた。0.1 mm厚では足らない。0.15 mmでは少し苦しい。こういう時は、0.10 mmを波状に細かく折ってから、平らな金床上でゴムハンマで叩き伸ばす。折ったところは微妙に曲げ跡が見えるが、押せば凹む。すなわち極めて薄いバネを作ることができる。これを隙間に押し込んだらぴったりで、何もしなくても固定されてしまい、なおかつズレて出て来ることもなかった。刃は滑らかに降りる。

 次に、刃当たり調節ネジを少しずつ締め、刃が無理なく降りて剪断するかどうか確認する。祖父江氏の言うように、ティッシュをはがした1枚を置き、それがスパッと切れるようにするのだ。クラインシュミット氏も同じことを言っていた。
 今度は反対側を締めるが、こちらでは固定刃により、可動刃はスロットの中で後ろ側に押し付けられているから、洋白の短冊を押し込む必要はない。すでに刃は降りているので、コジることが無いようにするだけである。少しずつ締めて様子を見る。この締めネジはつぶれていて困ったが、M6ネジであることが判明した。鋼製に取り替えれば安心だ。アメリカでもメートルネジが増えてきたのだ。車の影響だろう。

ネジ山破損 H氏からお知らせ戴いたが、ネジを切り忘れたところがあり、それにネジ込まれていたので、外すのにも苦労したそうだ。写真を送ってくれた。M6のタップでネジを切ったという。ネジ切りの深さが足らないところもあったそうである。

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2021年03月17日

続々 アメリカ製の切断機

 バリではないが、キサゲを掛けていないので、刃の固定が怪しいということもあった。可動、固定の両方の刃が鋼製ブロックにはめ込まれ、ネジで固定されるが、その接触面は機械で削っただけである。手仕上げはなく、フライスの刃が切った面そのものを黒染めして刃を締めてある。これでは、メクレで微妙な浮き上がりが生じ、ネジを締付けても、刃の平面性が保証されない。おそらく微妙にすり鉢状に締まるはずだ。

hand scraping 台に固定し、バイトに”のみ”のような握りを付けたキサゲで時間を掛けて仕上げた。部分的に虹のように光る。こういう仕事は、昔見せてもらったことがある。油を付けて撫で、違和感を感じなくする。刃を置くと吸い付いて取れなくなる。好きな作業でもあるから、時々やる。概略の平面は機械が出しているので、微細なメクレを取ることが目的だ。サンドぺーパを当てるとそこが凹んでしまう。あくまでも出ている部分を無くすことに傾注する。
 プロは、1/100ミリの凹凸でも指先で感じるそうだ。筆者は3/100ミリ程度しかわからないだろうと思う。 

 刃を外し、丁寧に研いで取り付けた。彼らが使っている機械の精度は素晴らしいと思う。しかし、わずかの手仕上げが足らない。キサゲでなくても、砥石で擦るだけでも良かったのだが。

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2021年03月15日

続 アメリカ製の切断機

shear 1 もう一つ、根本的なミスがあった。
 刃当たりを調整する送りネジがある()。それはステンレスネジであった。筆者はステンレスネジは原則として使わない。伸びたりつぶれたりするからだ。ネジ穴から抜けなくなることがありうる。この写真の()は先回の面取りの足らない部分である。
 今回の送りネジは、締め込んで相手の鋼製ブロックを押すのだが、馬鹿力で締めた跡があり、先端がわずかにつぶれて太くなっていた。ネジがつぶれると太くなると同時に、ピッチが狂うから始末に負えない。こうなると緩ませて抜くことは不可能だ。こういうところには、鋼製ネジを使わねばならない。仕方がないから、時間を掛けて先端のネジ溝をヤスリで削って拡げ、抜き取った。ひどい話だ。

 このステンレスはオーステナイトと云う状態で、塑性変形が起こりやすい。力を掛けてはいけないものなのだ。ステンレス・ボルトで締めると時間が経つと緩むのはこのせいだが、日本ではそんなことはお構いなしで、あちこちで使われて事故を起こしている。
 近所で上水道の大規模水漏れ事故があった。交通を遮断して掘り返すことになり、自治会としての立ち合いを求められた。見るとおバカなことに、このステンレスボルトが使われていた。水道事務所の工事担当者は、
「緩んでいるのは不思議だ。締め付けトルクの記録もあるのに。」
と言うので、このことを教えたら大変驚いた。
 後日上司から感謝の電話があった。今後すべてのステンレスボルトを、順次高張力ボルトに切り替えると言っていた。ついでに濡れるところではステンレスと鋼とを混用しないように釘を刺した。今まで税金をドブに捨てていたのだ。世の中こんなものらしい。

 アメリカ製の物で、間違って使われているのを見るのは初めてだ。アメリカ人はステンレスボルトを使うのに、ためらうことが多い。いろいろな弊害を知っているのだ。これはおそらく、指示間違いであろう。

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2021年03月13日

アメリカ製の切断機

 複数人でアメリカから取り寄せた切断機について書きたい。動画を見て、設計の妙に驚き、注文した。日本製のものにはない工夫が凝らされ、どうしても使ってみたかった。過去に遠藤機械製の切断機を改良する工夫はしたが、根本的に異なる発想から出てきた製品を見たかったこともある。
 消費税の10%を逃れる術はなかったが、たまたまセールで割安であったのと、多人数で運賃を割って大幅に節約できたのは有難かった。今回の幹事は、このブログにもよく登場するF氏である。

 生産地のオクラホマは、未曾有の大雪で交通が1週間ほど遮断され、発送には時間が掛かったが、無事に到着し、F氏の献身的な努力で無事配送された。一つだけ部品が足らなかったが、電話を掛けてすぐに解決してくれたのは有難かった。

Shear1 鋼製の本体に、硬いアルミ合金製のプラットフォームと足が付いている。黒染め処理で美しいが、作動状況は芳しいものではなかった。可動刃が微妙にせり出しやすく、固定刃の上に乗ってしまう。そのまま押し込むと刃がへたり、修復が難しい。上の可動刃を安定させ、一定の位置で降ろすようにせねばならない。何度も分解して検討した。この写真では乗り上げていない。ちらりと四角の金属板が見えているのは、後述するバネを兼ねたシムである。 

 問題点はいくつかあった。
 設計は素晴らしいと思う。しかし、クラフツマンシップには大きな疑問点があった。良いものを作って、客を喜ばせようと考えているようには、見えない。工員の質が悪いのである。
「言われた通りに組んだから、これでいいだろ?」と言わんばかりだ。

 分解して気が付いたのは、バリが取ってないところがあることだ。面取りが不完全だから、直角に仕上げた入隅に押し付けても、隙間から光が透けて見える。密着させるためには、双方の面を良く仕上げるのみならず、出隅の角の面取りを念入りに行う必要があるのは常識だ。また、削りクズが残っていて、はさまっている。


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2021年01月30日

圧着工具

 最近は電気工事ばかりしている。信号機周りはハンダ付けが多いが、路盤下の配線は圧着端子が多い。
 以前、この工具が原因で拇指の脱臼が始まった。それ以来なるべく使わないようにしていたが、使わざるを得ない時がある。そういう時は床に立てて、体重を利用して押していた。そうすると、不安定でなかなか難しい。

crimping tool 台を付けてハンドルを太くすれば楽に押せるし、体重を掛けても問題ないだろう。自分で熔接しようと思ったが、体重を掛けるものを下手に熔接すると、外れたときに大けがをする。ここはプロの腕に頼ろうと、友人の鉄工所に行き、図面を渡してお願いした。
 すぐにやってくれたので、さび止めの黒い塗料を塗っておいた。

 安定が良く、使いやすい。どうしてもっと早く、こうしなかったのだろうかと、悔やまれる。整形外科の先生は、工具の現物を見て、
「これは良くない。こんなに手を開いて力を入れれば、関節が壊れるのは当たり前だ。」
と言った。圧着工具はもう一つあるので、それは小物を付けるときに使う。どうしても手に持ってやらねばならないこともあるからだ。細い端子なら取っ手の開きも少なく、安全な範囲にある。

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2020年09月28日

車輪を抜く

custommade 動輪などを抜く台は、錆びやすいので油を塗ってポリ袋に入れてある。それを見て、欲しいという人が居たので、鉄工所に注文して作ってもらった。右は既存のもので、チャネル材を平板に伏せた形である。左が今回作ったものである。上の板を薄くしている。さすがはプロの熔接で完璧である。

custommade2 寸法は似ているが、「軸箱フランジを大きくし、表の板を薄くしてほしい」と言うので、t4.5の板の裏側を一部えぐり取った。この写真では、左だけを裏返している。
 面板が比較的薄い板であるので硬い材料にしたかったが、工場で手持ちがなかったそうで、SS(普通鋼)にした。撓むといけないので、僅かではあるが支えを入れた。この支えは効く。単に側面だけを熔接したのでは凹んでしまうのだ。

 この種の補助具を用意せずに車輪を外したりする人が多いが、フレの元である。例の”コンコン改軌”などは決して褒められたものではない。HO用でもある程度まとまれば作れる。希望があれば、皆さんで相談して寸法を統一されると良い。クラブなどで数をまとめて戴くと有難い。

 プレスをお持ちの方は少ない。完成品を買う金があったらプレスを買うべきである。一度使えば、他の方法など考えられなくなる。便利なものである。


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2020年04月21日

切断機のカスタマイジング 追補

 むすこたかなし氏が切断機のテイブルで手を切る可能性があることを示唆された。なるほど、ハンドルに丸い握りゴムを付けている人にとっては、無視できない話だ。筆者は電車の断面のようなカマボコ型にしたので、握らずに手の平で押し切っていた。
 
metal cutting saw (5) テイブルの 4 mm鋼板を糸鋸で切るのは体力的に避けたい。思い付くのは丸鋸である。最近はチップソウというものが安くなってきて、超硬の刃(チップ)を付けた金属用丸鋸が廉価で手に入るようになった。鉄筋などを簡単に切ることができるので、工事現場ではよく見る。

metal cutting saw (4)metal cutting saw (1) 鉄骨を熔接したものをばらす必要があって、この刃を買ってあった。30 mmのアングルならあっという間に切れる。この程度の鋼板もすぐ切れる。実際3秒弱で切れてしまった。角度が悪かったのでもう一度切り、計15秒ほどである。近所の人が見ていたが、その速度にはとても驚いた。
 切粉は焼けたのが飛ぶので、下に敷いたポリエチレンシートに喰い込み、穴だらけになった。

metal cutting saw (3)metal cutting saw (2) 刃の設計は巧妙で、押し込んでも一回に切れる量は変化しない。サーメットのチップを使っている。驚くべき切れ味である。もっと薄い歯であればブラスも切るのだが。切粉は箒と磁石で集めた。フィリピンで日本企業が作っている。
 切り口の鋭った角はディスク・グラインダで落とした。

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2020年01月30日

ボールベアリング

 重いフライホィールを確実に支え、摩擦を少なくするにはボールベアリングを取り付けねばならない。この大きさからすると 5 mm軸はやや細いが、なるべく小径にしたい。静止しているものではなく、走る車輛だから事故を起こす時もあるだろう。その時に壊れてはならない。丈夫な軸受にスラストベアリングと共に取り付け、ラジアル方向だけの力だけを受け持つようにした。

stopper 基礎になる1.5 mm厚の板に、厚さ6 mmのブラスの板をハンダ付けしたものを、前の軸受にした。本体の床板と合わせて、底面の厚みは2.5 mmとなるから、十分な剛性である。支えも付けて、耐衝撃性を持たせた。この支えの材料は廃金属商で買ったブラスの円盤で、直径は75 mmあった。あいていた穴には、 6 mmの棒を通してハンダ付けして埋めた。
 メタル・ソウで円盤を平行に切って生じるかけらを、支えにしたのだ。ハンダ付けは銀ハンダで確実に付けている。こういう仕事はガスバーナーで念入りに行う。ハンダは完全に浸み込み、合金層は薄いからとても強い。ロウ付けと同等の強度だろう。母材が焼きなまされないから、結果としてはこちらの方が強いであろう。後ろの支えは、支えを付けたものをネジ留めした。スラストベアリングを挿んで取り付ける。

installing ball bearing ボールベアリングは、専用工具で埋め込み、予圧を掛けてスペーサを固定する。これは日本製のベアリングであって、極めて静粛である。某国製のベアリングには、シャーと音がするものがある。こういう高回転で重負荷の物には、とても使えない。

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2019年12月29日

リーマ

reams reamer と綴るが、アメリカ人の大半はreamと言う。なぜだろう。

 先日博物館に来てくれた友人(日本人)にリーマを見せたら、「始めて見た」と言った。これには驚いた。
 今までドリルで孔をあけて、軸を通したと言う。それではいけない。リーマを通さなければ、軸受にならない。油膜が切れてしまうからだ。

 筆者は1 mmから12.7 mmまで、かなりたくさんのリーマを持っている。シャフトを通すところには全て必要だ。傷をつけないよう、大切に保管している。
 継手など旋盤で作っても、その内側を平滑にしないとシャフトが通らない。ミシン油を塗って組む。油膜が必要である。

 ドリル寸法が公称値よりわずかに細いことは、知られている。即ち、ドリルで孔をあけてもシャフトは通らない。リーマを通す前提になっている。使っているシャフトの寸法のリーマは持つべきだ。

 ロックタイトを使うときも、リーマを通して滑り込みにし、そこに浸み込ませると世話が無い。その程度の隙間に入るように設計されているからだ。

 圧入する時は微妙に細いリーマを使う。リーマは 1/100 mmピッチで揃っているし、特注寸法も買える。ドリルであけただけではダメなのである。
 昔何かの記事で、ドリル孔をそのまま使えば、細いリーマを使ったのと同じ効果で圧入に使える、と書いてあった。これはとんでもない間違いで、拡大鏡で孔の内側を見れば、あまりにも違うので驚くだろう。2枚刃のドリルではまっすぐ正確な孔があく訳がない。細密工作が自慢の方達なのが、基本的なことをおろそかにしている。
 圧入用の少し細いリーマは、特注しても3、4千円程度で買えるものである。

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2019年11月23日

続 遠藤機械の切断機ハンドルを取り替える

recipro saw 2台目の修理は、まず回転軸を切断することから始まる。砥石で切るつもりだったが、埃が出るのと、火花で火災を引き起こす可能性がある。レシプロ・ソウで切ることにした。たまたま良く切れる刃を入手してある。写真の軸の下に敷いてある合板は、切断した瞬間に刃が下に落ちて、傷をつけるのを防ぐための保護板である。 
 相手は軟鋼だから、30秒ほどで切れる。もちろん切削油はふんだんに注す。

 2箇所切って、カムを取る。片方は簡単に取れたが、他方は動かない。しょうがないから、12トンプレスで押し抜いた。2.5トンほど掛けたら、取れた。これでは、叩いても動かないわけだ。

619_1462 取り出した軸を見てびっくりした。押しネジが少しずつずれて軸が塑性変形している。軸が軟らかいからだ。このように軟らかいものに押しネジを使う時は、縦フライスで十分な平面を作る必要がある。ところが、浅い穴をドリルで掘っただけだから、ずれていくことがある。筆者のように1mmを大量に切る人は傷みやすい。この写真で、片方は数年前に縦フライスで修理した痕が分かるだろう。
 
 今頃になって思い出したが、その時も抜くのに苦労した。ついでに両方やればよかったのに、片方しか加工しなかったバチが当った。軸が膨らんでいるので、プレスで押し抜いた時に、カムに ”めくれ” が生じたのが見える。

Finished! 新しいハンドルは、すぽっと嵌まり、キィを入れると固くなる。うまく行った。これもハンドルの、手に当たるところは削っておいた。テーブル上のものは切り落としたシャフトだ。軟らかいから叩く台にもならない。切り刻んでウェイトにするしかない。


Finished!! これで2台完成だ。この2台の仕様は、すべての点で異なる。カムの留めネジの角度まで違うから、部品の流用はできない。互換性ということを一切考えていないのだ。一台は自宅に持って帰る。

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2019年11月20日

遠藤機械の切断機ハンドルを取り替える

 頒布元が仮組でもたついている間に、早速組み立てた人がいらしゃる。二日遅れで、筆者も組み立てた。

 ハンドルの孔の内側を仕上げるのは簡単だったが、回転軸を外すのは大変だ。材料がナマクラで、抜こうと思って叩くと太くなる。
 もちろんブラスの塊を当ててから、sledgehammer(大ハンマー)で叩く。そうしないと軸は変形する。助っ人にブラス塊を保持してもらって、10ポンド(4.5 kg)のでゴンとやるのだ。
 
 ある程度まではズレるが、その後が動かない。逆方向に叩いたりしているうちに、軸の先端が太くなってきたことに気が付いた。軟らかい金属塊を当てているのに、である。ひどい話だ。この材料はごく普通の軟鋼である。S45Cではない。修理ができないような材料を使っているのは、だめだ。
 仕方がないから、大きなヤスリで軸端を少し削り、軟らかい材料のボルトを差して叩いて、それで押し抜きした。12トン油圧プレスがあるのでそれで抜くつもりだったが、ふところがあと 30 mm足らず、その方法は諦めた。

 S45C の 5/8 インチの丸棒を注文するつもりだ。今のままでは、押しネジの当たっているところが、徐々に変形してまた抜けなくなる可能性が高い。現在のは、ディスクグラインダで真ん中から切って分割すれば、抜き取れるだろう。ご希望の方があれば、同時に注文すると割安だ。

 ハンドルはちょうど良い大きさの孔に調整できた。軸に縦フライスで5mmの溝を切った。細いエンドミルで中心を削り、両側をゆっくり送って削り、滑らかに仕上げた。

tapping with mallet 組立ては木槌でコンコンと叩いた。ハンドルもキィも、そこそこの固さで入り、軽く納まった。
ということは、抜くことも難しくない。



finished ハンドルはある程度、ディスク・グラインダで削ってみたところ、手に優しい感じである。面積が大きいので圧力が少ないためであろう。丸棒よりずっと気分よく切れる。ちょうど裾の絞ってある電車のような断面になった。黒い箱はLED照明の電池箱である。
 
 とりあえず、ペンキを塗ってみる。その上に何を被せるかは思案中だ。被せなくても構わないような気もしてきた。
 1台完成だ。あと1台が難物なのだ。どうしても抜けないのである。軸を切り刻んでバラすしかない。


 ハンドル購入者から連絡があった。なんと、その方の回転軸はΦ16だったという。5/8インチより 0.13 mm太いのだ。ハンドルの穴を拡げねばならないが、大変だ。軸を旋盤で挽いて、細くすることができるから、それをやってみよう。
 申し訳ないことをした。まさかそんなヴァージョンがあるとは知らなかった。この会社の製品には、一体何種類のヴァリエイションがあるのだろう。



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2019年11月18日

工作機械とジグ

 先日来訪した友人が一通り見て、質問した。
「一体何輌あるのか?」
「ざっと機関車が40輌、客貨車が400輌位だろうか。ここにある機関車の大半は土屋氏から来たものだけどね。家には自分の機関車が40輌位あるかな。未完のものもかなりある。」
 この数字には驚いたらしい。

「20代から、機関車は年に1輌、貨車などは月に1輌という目標でやってきたから、そんなものだよ。」
「どれも、みな押して動くようになっているのか。」
「動くよ、ほら。」と何輌かの機関車を押した。
「やらせて貰って良いか。」と聞くので、
「どうぞ。」と許可した。
 UP9000を押して、彼は仰天した。
「こんなに軽く動くの?ギヤが外れているみたいだ。」

 120輌の貨物列車を牽いている時に、登り坂で停まると滑り落ちてくるのには興奮した。
「三条ウォームは逆駆動できるとは知っているけど、こんなに軽く動くとは思わなかった。」
歯型潤滑剤が大切なのだ。歯数も考慮しないとだめだ。手で廻して軽く回るから満足するようではいけない。十分な負荷の掛かった時に、本当に等速運動できないと意味がない。」と言うと、
「そこまで考えないと、この性能は出ないのか!」 と感慨しきりであった。それと走行音がほとんど無いのにも、驚いたようだ。機関車は事実上無音で走る。車輪とレイルの転動接触音だけである。ギヤ比が小さいことも貢献している。伝達効率が良ければ、低ギヤ比に出来る。高ギヤ比は様々な点で損である。

 工作機械、ジグをたくさん用意している事について説明した。
「TMSの100号から300号あたりに沢山の記事があるけど、あの凄い記事に出て来る機関車を走らせても、真っ直ぐ走るのは少ないよ。」と言うと、
「そうかもしれないね。当時は旋盤を使っていないからね。」と納得した。

 ジグの大切さには共感してくれた。quartering jigを使わないで組まれた動輪が、うまく作動するはずがないのだ。
 プロは手間がかかっても、必ずうまく行く方法を採る。素人は、殆どうまく行くはずの無い方法で作って、泣きを見る。そういう意味では、この種のジグを持っている人が仕事を有償で請け負うことは、模型界のためになるはずだ。決して自分だけのために秘匿すべきではない。
 但し、すべてのジグが正確に90度を出せるか、ということは別問題だ。つまり、あるジグで組んだ動軸を、他の物と混ぜると、具合が悪くなることもあるだろう。それぞれのジグによって、何らかの印を付けるべきかもしれない。そうしておけば、”X氏のジグによって組まれた動輪は、Y氏のとは互換性がある”、などということも分かるようになる。


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2019年10月29日

Driver Quartering Jig

MR quartering 崖製作のお手伝いに来て戴いた F氏から、quartering のアイデアが古いModel Railroader '61 10月号 に載っていると、連絡があった。
 
 この手法では、HOの機関車加工を考えている。クランクピンをネジで締める方式でないとできないから、Oスケールでは使えない。クランク角を90度にするよりも、むしろすべての動輪のクランク角を等しくすることに重きを置くべきである。

 抄訳(筆者の注釈付)を載せると、
 ‘偉悗離丱奪ゲージの長さの丸棒を用意する。
  直径はフランジ径よりも大きくなければならない。
  輪心部分は少し凹ませておく。
◆90度にケガキ線を入れる。それを他方にまで延長する。
 反対側にも同じ位相でケガく。
ぁ―住線は、異なるクランク半径の動輪のために余分に描いておくと良い。
ァヾ殍世房崋瓦同じ太さの孔を貫通させる。 
Α‘偉惻憾把衢僂離優弦Δ鮑遒襦動輪軸より太い留めネジを使うこと。
А‘偉惻瓦鮹γ緲僂垢襪燭瓩旅造鯢佞韻襦
  糸鋸、ヤスリで削っても良いが、フライスで削り取るのが楽。
➇ 動輪のクランクピンのネジ孔位置にドリルで穴をあける。 
  ネジ山に当らない太さのドリルを使うこと。
 反対側にも穴をあける。
以降はどうでも良いことだが、孔を貫通させておくと便利(ジグのAB線上の孔を貫通させておくと、目視でクォータリングができるし、動輪にクランク孔がない場合に新たにネジ孔を作るガイドとしてのジグにもなる)とある。

 発案者は機械工らしく、簡単にできるように書いてある。しかし、これを間違いなく作るのは、かなりの腕前と設備とが必要である。ジグは丸棒を切った物を正確に加工して作る。大きなコレットがないと難しそうだ。卓上旋盤の四爪では、切れ目を入れてからは、どうやって掴んでもうまく行かないような気がする。

 腕に自信のある方は挑戦して戴きたい。ここで一番問題となるのは、ネジ穴の中の山の部分にちょうど接触するが、ガタの無い寸法のドリルがあるかということである。僅かに太いものを使って、ネジ山が削れるのは良いかもしれない。その代わりすべての動輪のクランク穴にそのドリルを通しておく必要がある。

 この技法を見ていて感じるのは、垂直に削り、垂直にドリルで孔をあけられる技量を持つまでには、かなりの修練が必要であるということだ。筆者は、二回くらいは失敗せねば、出来ないような気がする。

 このジグを持つと、組立てた動輪の踏面の切削にも使える、とある。その場合は、ジグごとコレットで掴むことになる。あるいは、心を出して掴むための他の工夫が必要である。大きな旋盤でないと難しそうだ。Δ離優犬2本以上あれば、四爪チャックでも掴めるかもしれない。ネジが1本では、片方の端を強く掴むと歪んでしまう可能性がある。

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2019年10月21日

quartering jig 2

quartering jig USA2 アメリカで入手したジグはこれである。作者はクラインシュミット氏ではない。彼の家で同じようなものを見たがそれはスティール製であった。これとは出来がかなり違う。
 スライドバァがあって、それに沿って滑らせる。へそはバネで支えられていて、出入りする。2枚のブラス厚板は、平行に動く万力で締める。本当は縦に動くプレスで締めるべきだ。

quartering jig USA この写真は上下を逆にして写している。クランクピンの入る溝は妙に長い。HOでも使えるかもしれない。ただし、そうするにはクランクピンにはパイプを被せて、太くせねばならない。
 また、右先行と左先行の2種類に適合する。アメリカにも左先行があったのだろうか。120度クランクには適合しない。
 以前は軸箱を支える構造のものを作ったが、ややこしい割に精度が良くなかった。やはりセンタを支える方が良いのだ。

quartering jig USA3 これも上下を逆で、反対側から見たものである。スライドバァの中心は、伸縮ピンから外れたところにあるので、万力で締めればうまくいくはずである。しかし、万力の精度によっては傾いて締められる可能性もある。口が開き気味の万力では、何の意味もない。
 大きな万力の口金を整備して、直角を出して使ったが、やはり専用機が欲しかった。
 手持ちのすべての機関車を調査して、どの大きさにすると最大径の動輪を締められるか調べた。あまり大きな装置だと、移動させるのも難しい。それで津田駒の100 mmを入手したのだ。もちろん、125 mmの方が余裕があって、設計がより楽であった。


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