2025年09月22日

ハンダの「粘度」?

 今野氏のブログで、達人であった内野氏の若かりし頃の作品をレストアする記事が連載された。その中でハンダが流れていないのは塩化亜鉛を使っていず、ペーストではないかという推測があった。
 写真を見る限り、ハンダは間違いなくブラスをぬらしているから、塩化亜鉛を使っているように思う。内野氏はTHO(東京HOクラブ)に入っていたから、塩化亜鉛を使用するという情報は得ていたはずである。それではどうして流れていないかが今回の本題である。

 よく聞く言い回しに「ハンダの粘性」、「粘度」というものがある。完全に融けたハンダは、粘り気は無いと言って良いほど流動しやすいものである。水の数分の1ほどの粘度しかない極めて流れやすい液体なのである。これを勘違いしている人は多い。

 内野氏が当時使ったハンダは50%-50%ハンダである。これはその色からも推測できる。流れていないように見えるのは、全てが液体になっていず、その中に粒子があるからだ。鉛の粒子である。要するに生コンクリートのようなものでさらさらとは流れて行かない。
 ハンダの温度を高くしていくとその粒子は小さくなり、その組成に応じた温度で完全に融けて液体になる。以前からこのブログでは「こしあん」という言葉を使っているが、要するに泥状である。泥は流れにくい。だからゴテゴテと盛り上がる。逆にこれを利用して盛り上げることが出来る。隙間を埋めるにはこれを利用する。

 63%スズを含む共晶ハンダでは、これは無理である。固体であるか液体であるかの二つの状態しかないので、融ければ隙間に沁み込む。すなわち完全なハンダ付けが出来る。共晶ハンダの液体はよく流動し、塩化亜鉛があれば石鹸水の様に沁み込んでしまう

 要するに、50%ハンダでは完全に融ける温度まで上げないとまともなハンダ付けは出来ないということだ。加熱装置が不完全では泥をこねた状態にしかならない。ハンダが完全に融ければその瞬間に表面が鏡のようになるのが見える。それが見えないような加熱は不完全だということである。

コメント一覧

1. Posted by 今野   2025年09月23日 20:10
 解説ありがとうございました。50/50ハンダということで納得しました。まだ錫63%は登場していなかったにでしょうね。

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
Recent Comments
Archives
categories