2025年08月21日

ハンダゴテの持ち方

 しょうなんでんしゃのブログでハンダ付けの話題が扱われている。たかなし氏はサイエンティストなので、話は非常に客観的である。要するに思い込みや勘違いがない。書いてあることは全て再現性があるのだ。日本の模型界ではこの種の能力を持つ人はとても少なく、貴重な存在である。
 やってもいないことをさも分はそのことには詳しいという態度で書く人は、模型界には多い。また、その方法がベストの方法でもないのに、こうしなければいけないと講釈を垂れる人も多い。要するに自分が経験の少ないアマチュアであることを忘れて、プロ以上であると信じているのである。筆者は模型以外でも、いろいろな分野のプロの仕事ぶりを見るのが趣味である。素晴らしい仕事をする人たちは何が違うのか、を見たいのだ。


Custom Brass Catalog 以前にも書いたがハンダごてはそのコテ先が小指の方向を向いた状態で握るべきなのである。いわゆる「スリコギ持ち」である。包丁のような持ち方をする人が多いが、そんな持ち方では力が入らないし、先が震えてしまう。若いときはこの持ち方が出来ても、歳を取ると震えて出来なくなる。

 スリコギ持ちで肘を作業卓に付ければ、力を入れても先端はぶれないこれがプロの極意である。要するにハンダ付けは力を入れるのが普通なのだ。コテ先をある程度の面積を持つ平面にして、その面を相手に押し付けると大量の熱を瞬時に伝えることが出来る。その瞬間に 183 ℃を越えれば、ハンダ付けが完了である。先の尖ったコテでちょいちょいとやっていると、どんなに練習してもうまく付けられない。

 電気配線などは小型のコテを鉛筆のように持つことが普通である。その時、手首は何かの上で固定しているはずだ。手首が浮いていると、包丁持ちと同じになり、先端が震えて狙いが定まらない。

 以前、歯科医の手の動きを参考にすべしと書いた。歯科医はかなりの力を入れることがある。その時に手元が狂わないように、またたとえ狂ったとしても大事にならないような持ち方をしていることに注意すべきである。スリコギ持ち以外、しないのだ。 

 筆者は過去に指導を頼まれたことがある。このスリコギ持ちをさせると始めはぎょっとしているが、あとで感謝される。失敗がなくなるのだそうだ。しかも楽で疲れないと言う。筆者の作業卓には右肘の置き場所を作ってある。雑巾を4つに畳んで置いてあるのだ。 

 祖父江氏はハンダゴテの持ち方にはうるさかった。「包丁持ちをしているような奴らのはハンダが付いてねぇよ。 仕事ができねぇくせに俺はうまいと思ってやがんの。」と言った。
 この動画の7:50前後にもスリコギ持ちが出て来る。 

<追記> 読者の方から写真のコピィを送って戴いた。40年以上前のCustom Brassのカタログから、Orion の工場の様子である。昔のカツミの工場の写真を探している。

コメント一覧

1. Posted by 読者   2025年08月25日 06:46
リンクのB29のコピーの話は興奮しました。余分な穴をあけた話は笑いました。
さて、スリコギ持ちの話はTMSには出て来ませんね。おっしゃるようにプロの仕事を参考にしていないからです。
ライブの平岡氏はプロは誰でも成功する方法で確実に作るが、アマチュアはほとんどだれもできない方法で失敗を重ねて作るとかおっしゃってましたね。
今回の記事は大変参考になりました。
2. Posted by dda40x   2025年08月26日 06:48
 B29をコピィした話は噂話程度しか知りませんでしたが、このような記録映画があったとは驚きでした。曲がりなりにもコピィを作れたわけですから大したものではあります。
 平岡氏の言葉はまさにその通りで、模型人はプロの方法を研究すべきだったのです。TMSの記事は勘違いした素人の記事が大半でした。菅原氏の本もその延長上にあり、決して褒められたものではありませんでした。ご本人もそれには気が付いていました。

3. Posted by 愛好家   2025年08月28日 09:59
祖父江氏の言葉は重みがあります。プロとしての誇り、自信が満ち溢れていますね。
手元にある既成品を見てみました。おっしゃる通りで、ハンダが手前にしか付いていず、力を掛けるとめくれて取れそうです。
最近有名人(アマ)の模型を見せてもらいました。どれもハンダが回っていないので、いずれ壊れそうです。TMSの編集者はまともなハンダ付けを見たこともないのでしょう。これは由々しき問題であると認識しました。 

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