2025年05月05日

続々々 Bill Melis氏の GTEL

 この機関車はある中古屋から来たリストの中から見付けた。その店はこの機関車の素性がわからなかったのだ。ただ、UP 3-unit gas turbine built from scratch とだけ書いてあった。
 電話してみると裏にBMという刻印があることが判明し、その情報だけで買う決心をしたのだ。価格は韓国製の1/2以下であった。ちょうど内野日出男氏を案内してアメリカに行った時に、筆者の友人宅を送り先に指定して受け取った。

 内野氏はこの細工を見て唸った。「『俺にはできない。』とは言わないが、大した腕だ。」と感心したことを覚えている。
 どのような経緯でこの模型が売りに出されたのかは知る由もないが、運良く博物館に収蔵することが出来たのは本当に嬉しいことだった。

B unit & tenderamerican-rails.com gtel テンダは機関車より幅が広い。なぜかということは文献から見付け出すことはできなかったが、廃車になった蒸機用テンダに保温用のジャケットをかぶせた分だけ幅が広いのである。Melis氏は実測している。右の実物の写真はこのウェブサイトからお借りしている。
UP 3-unit GTEL's wide tender ごく一部の例を除き、大半の既製品はここが間違っていて機関車と同じ幅だ。この模型はAlco Models という会社の製品で、珍しく正しいテンダを付けている。
 

Bill Melis' turbine 8 この天井の歩み板は全て Melis氏の手で作り出されたものだ。実物より多少粗いピッチになっているが、それほど気にならない。 
 
 この種の工作は日本ではまず見ない。3Dプリントができる世の中になったので、さらにやる人は居なくなっただろう。

コメント一覧

1. Posted by テクニック太郎   2025年05月05日 08:47
3Dプリントができる世の中にはなったが、材料の耐久性等を考えると、このような『細工が生きてくる』価値が判る人は少なくなった。
やはり手を掛けた作品は、無言であっても素晴らしい表現をしている!。
2. Posted by YUNO   2025年05月05日 10:38
3Dプリンタでパーツそのものを作るのではなく、正確な治具を作るのに使えば、工作の精度が格段に向上できそうだと考えています。
設計の手間は増えますが、ハンダ付けでも接着でも、3D治具の利用で正確な位置に部品を保持するのに苦労する場面は減らせると思います。
3. Posted by 若輩模型人   2025年05月05日 18:20
模型クラブの例会で3Dプリンタで正確な治具を作ったと見せてくれた。ところが3Dプリンタで使用する材料よりも、金属類の方が硬いのを気が付いていない。こういう事例を見ると3Dプリンタでのジグ製作が、万能でない事に気が付いた。やはり設計能力の問題なのでしょうね。
4. Posted by 愛読者   2025年05月06日 00:35
特定の模型を収集する執念と言うかその熱意には頭が下がります。
その本人を知っている、だけではとてもできないことです。
貴博物館の展示品はその種のものが多いと聞いております。ブログでの説明をお聞きするだけでもワクワクします。 
ところでこの工作のやり方の説明はして下さるのでしょうか。 
5. Posted by dda40x   2025年05月06日 09:25
 皆さん、コメントありがとうございます。
 他にもいろいろなご意見を受けております。いずれこの技法について書きましょう。計算し尽くされた非常に合理的な方法です。
 最近は3Dプリントでいろいろなアイデアが出ていますが、鉄砲鍛冶を代表とする金属工作の達人の方法は素晴らしいものです。

 当時からGTELの模型は少なく、スクラッチから作った人など私以外ほとんどいませんでした。ですからピンと来たのです。電話を掛けて何か書いてないか調べて貰いました。店の人が言うには、もっぱら韓国製の模型への問い合わせばかりで、この模型について私以外の問い合わせはなかったそうです。運が良かったと思っています。
 ミズーリ州のコレクタのP氏が触手を伸ばして来ると思っていましたが、来ませんでした。あとで聞くと入院中だったようです。彼はMelis氏関連のものは、私の作った物まで欲しがりました。 

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