2025年04月21日
電気式慣性増大装置

実は、発表していないが筆者もそれを作ったことがある。かれこれ12,3年ほど前のことである。結果は全く思わしいものではなかった。
作ってみる前から分かっていたことなのだが、低回転(出発時)の発電量はゼロから始まるので、抵抗(動きにくさ)が事実上ない。すなわち、起動するときのスリップは見込めないのだ。要するに回転しないと発電量はゼロで、力学的な抵抗もゼロだ。機械式なら、静止時でも力は掛かっている。
巡航速度で走っているものが止まるまでには相当の時間が掛かり、それだけは成功だったが、止まる寸前の逆回転ブレーキなどは全くダメである。
モータの特性の効率の悪い領域を2回エネルギィが通過するのと、その電流が極めて小さいので効き目が見えない。この件は筆者にとってはあまり良い思い出ではなく、A氏と知り合ってからもそれは話題に出さなかった。
A氏も「 起動時の慣性の剛性感とでも言うのでしょうか、
動画も送って戴いたので参考になればと思う。
筆者はモータに2回もエネルギィを通過させるのではなく、低回転でもショートに近い状態を保てれば良いと思い、大容量の電解コンデンサを付け、無理やり充電させてみることも試みた。なんとなくうまく行くような感じはするが、スリップまでは行かなかった。
またそれを放電させるときはほぼ一瞬で終わってしまう。この充放電をコンピュータ制御で面白く出来ないかと考えてはいたが、諦めた。機械的な工夫の方がはるかに面白い動きをすることは、それまでの基礎実験で分かっていたからだ。しかも、DCCによる電気的擬似慣性のほうが、まだましな動きをしたのだ。
しかし、機械式伝達装置をどうやってテンダの中に落とし込むかということには、それからかなりの時間が掛かったのだ。新開発の3条ウォームのギヤボックスを使うと、実にうまく実現することができた。
この種の工夫を祖父江氏に見せたら何と言っただろうと、いつも考える。
コメント一覧
1. Posted by Tavata 2025年04月22日 12:57
エネルギー変換効率が限りなく100%に近く、かつ発電電圧の立ち上がりが正確に原点を通る線形の関数なら、回転数が0からそれなりのトルクが必要になり、電気式でも効果が得られるかもしれません。
ただ、現実には回転数が低い時のコンマ数ボルト程度の発電では、負荷はほぼ無いのでしょう。
HO以下では、フライホイールを駆動する増速メカニズムの配置は頭を悩ませるものなので、電気式が上手く使えればとても有用なのですが、そう上手くはいきませんね。(DCCの疑似慣性が一番現実的です。)
ただ、現実には回転数が低い時のコンマ数ボルト程度の発電では、負荷はほぼ無いのでしょう。
HO以下では、フライホイールを駆動する増速メカニズムの配置は頭を悩ませるものなので、電気式が上手く使えればとても有用なのですが、そう上手くはいきませんね。(DCCの疑似慣性が一番現実的です。)
2. Posted by 愛読者 2025年04月22日 17:55
いや、回転数が無い状態(止まっている状態)でも動きにくくないと駄目ではないでしょうか。
発電は動かないと意味がないでしょうから。
発電は動かないと意味がないでしょうから。
3. Posted by Tavata 2025年04月23日 18:53
列車が発車するときは、最初に静止摩擦に打ち勝つことで起動し、その後、並進方向 (前進または後進)の力(牽引力)によって加速していきます。
電気式慣性増大装置でも理想的な変換効率が速度0から実現できるなら、加速時の重量感の表現自体は可能なはずです。しかし、実際は低回転での発電とフライホイール駆動の変換効率は低い(線形の領域に達しない)ので低速域での振る舞いは「スカスカ」になって重量感は望めませんし、起動時においての静止摩擦は、機械式と違って何らかの別の手段で表現する必要があるでしょう。
なお、実物の電車でも低速では電気ブレーキが「スカスカ」になってしまうので、純電気ブレーキの電車では逆電圧による一種の逆行制動を行っているそうです。
電気式慣性増大装置の場合、静止摩擦の再現は、発車時に発電用の車輪に逆電圧による逆回転トルクを与える回路を組めば可能だとは思いますが、そこまでするならDCCの疑似慣性で十分に思います。
電気式慣性増大装置でも理想的な変換効率が速度0から実現できるなら、加速時の重量感の表現自体は可能なはずです。しかし、実際は低回転での発電とフライホイール駆動の変換効率は低い(線形の領域に達しない)ので低速域での振る舞いは「スカスカ」になって重量感は望めませんし、起動時においての静止摩擦は、機械式と違って何らかの別の手段で表現する必要があるでしょう。
なお、実物の電車でも低速では電気ブレーキが「スカスカ」になってしまうので、純電気ブレーキの電車では逆電圧による一種の逆行制動を行っているそうです。
電気式慣性増大装置の場合、静止摩擦の再現は、発車時に発電用の車輪に逆電圧による逆回転トルクを与える回路を組めば可能だとは思いますが、そこまでするならDCCの疑似慣性で十分に思います。
4. Posted by dda40x 2025年04月24日 11:08
>>2
Tavata氏のおっしゃりたいことはグラフの原点を直線で通るということです。現実の話とは違って、理想的な話をしているのです。それが現実には無理なので、出発時にスカスカになるということです。
起動時に本物のような慣性を感じさせようと思えば、電気ブレーキのお話にも出て来ましたように、逆電圧を掛けて踏ん張らせる必要があります。
私がそれを採用しなかったのは、機械式で十二分の効果が簡単に得られたからです。
Tavata氏のおっしゃりたいことはグラフの原点を直線で通るということです。現実の話とは違って、理想的な話をしているのです。それが現実には無理なので、出発時にスカスカになるということです。
起動時に本物のような慣性を感じさせようと思えば、電気ブレーキのお話にも出て来ましたように、逆電圧を掛けて踏ん張らせる必要があります。
私がそれを採用しなかったのは、機械式で十二分の効果が簡単に得られたからです。