2024年12月02日

慣性増大装置の tuning

P1190581m この機関車を再度持って行って走らせた。昨年は、前日に完成したばかりで微調整が済んでいなかった。だから、走りが満足の行かない状態だった。(この写真は大之島鉄道氏のサイトからお借りしている。)

 要するに機関車の牽引力とテンダの慣性とのバランスが悪かったのだ。機関車の牽引力が不足して動きにくかった。テンダは最大限に作ってあってそれを減らす必要はなく、機関車の牽引力を増す必要があった。

 モータの出力、伝達効率から計算すると、動輪の軸重を900 gw 増しても良いことになる。とりあえず 720 gの錘を鋳造して取り付けた。材料は活字金である。非常に正確に鋳物ができるので、ボイラ内にきっちり嵌まるように作れた。重心位置も計算通りだ。この後少しずつ補重していく。

 結果は非常に具合が良く、1 Vで起動し、50 mAで走行する。しかもこれが無音で走るのである。
 5 Vで構内を走る程度の速度になるから、3 Vにして逆転を掛けると動輪がロックして滑って行く。これは実物では絶対にやってはいけないことになっている。動輪踏面にフラットができるからだ。
  1 Vを掛けて放置すると、超低速で少しずつ動く。動輪一回転に10秒ほど掛かる。
「『低速コンテスト優勝できる』とありましたが、本当ですね。」とおっしゃった方がいる。お褒め戴くと嬉しいが、その後ろでこんな声も聞こえて来た。
「Oゲージだからできるんだよ。」
それを聞いてある方が、
「失礼なことを言ってはいかんよ。世界中のどこにこんな動きができる模型があるんだ。Oゲージだからできるんじゃないよ。dda40xさんだからできたんだ。」と言ってくれたので、助かった。
 今野氏はお気に召したようで、低速走行をじっくり見ていらした。

 一般によく見る模型の走行は、決して褒められた状態ではない。それを解決する一つの方法が高効率ギヤの採用である。今野氏はそれを見極められたようであり、嬉しく思う。
 非効率な伝動装置では、ヒステリシスが大きく、ガッと動いて、ガクリと止まる。中間速度での滑らかな動き、負荷が掛かった時の速度の落ち方、負荷がなくなった時の加速というものを感じることが出来ないのだ。だから、いわゆるオモチャ的な運転しかできない。

 今回の披露で、「サウンドが付いていると良かったのに」という御意見を戴いたが、実はわざとサウンドなしでお見せしている。無音で走るというところを強調したかったのだ。無音走行ができる機関車は、まれな存在であることを知らせたかったからだ。

 KKCの集会では、最後の会員の個別のスピーチで、高効率ギヤを採用して好結果を得ている旨、何人かから発言があったのは嬉しい。

 HO用は貫名氏が販売して下さっているので、希望される方は連絡されたい。

コメント一覧

1. Posted by 一式陸攻   2024年12月02日 13:44
三条ウォームには様々な嬉しい効能がありますが、当方が今まで使ってきてその静粛性には考えていたよりも大きな意味があることに気がつきました。
当方はサウンドをする人間なのですが、サウンドをする方がむしろ静粛性は活きてきます。
というのも他のギアはもれなく音がするのでその違和感がサウンドがない時よりもむしろ目立つのです。
無音であることによって実物からしない音が消えて実感的になりました。
2. Posted by dda40x   2024年12月04日 08:41
 ウォームギヤは無音駆動できるということを知らない人があまりにも多く困惑します。サウンドを付けても元の音がひどいので、変なものです。
 先日の来客時に、サウンドをOFFにして下り坂を滑走させました。レイルの継ぎ目音が響いて、感動的でした。もちろん車輪とレイルとの転動音はありますが、むしろそれは実感を増大させます。
3. Posted by 一読者   2024年12月04日 18:56
今だに「Oゲージだからできる」などど言い出す方がいるのにはうんざりします。事象を目の当たりにしても、自分に都合の良い解釈を垂れ流す「工作派」の典型でしょうか。(ある店主さんは、「こだわりが強い方々は、良いものでも取り入れたがらない」と言われていました。)
この記事のような適切に言い返せる人(事象を適切にとらえられる人)が少しでも増えれば、高効率・低摩擦を目指す技術が広まる筈なのですが、(撮り鉄志向の)TMSに載せられて喜んでいる方が多いようなので、何処に重きを置いているのかは明白です。
模型蒸機がギヤ音などの不自然な音を出さないことへ着目されない集まりでは「工学系(と言わなくても中学物理が分かる人)の人」は増えないように感じます。

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