2024年07月17日

Fruit Growers Express

Fruit Growers Express insulated boscar Fruit Growers Expressは、ワシントンDCに本社を置く企業であった。フロリダの果物を東部の大都市、中西部に運ぶのが目的の会社だった。

 先回扱ったPFEは西部の山脈を越えて3日以上も掛かって運んでくるので、途中で氷を足さねばならなかった。山間部には天然氷を取り込む備蓄設備も持っていたし、大きな製氷装置を約20箇所稼働させていた。季節によっては車端の氷室の天蓋を開けて通風させた。のちには機械式冷蔵車を大量に発注した。

Railroad_Museum_of_Pennsylvania FGEの運行は上手くいけば一日半で到着できる範囲なので、この会社の冷蔵車はやや異なる方向に発達したようだ。断熱性の良い貨車を作り、予め良く冷やした貨物を入れると2日は十分に冷たさを保つのだそうだ。
 のちに機械式冷蔵車も導入されたが、断熱を主流としたようだ。

 さらにはGreat Northern鉄道と組んで、ワシントン州から、リンゴ列車を仕立てて、東部に運んでいた。山間部を通るときには凍結から守るために、ヒータを装備したものもある。

 PFEは冬季に商品が凍結するのを守るために、当初は木炭を使った。のちに石油ヒータによる保温を行っていた。はじめは気が付かなかったが、青いオレンジを積んで目的地に到着すると、程よく熟成し食べごろになっていたのでそれが当然だと思っていた。ところがそれを電熱保温に切り替えたとたんに、オレンジが青いまま目的地に到着することが判明した。

 科学者による詳しい調査の結果、燃焼時にわずかに生じるエチレンのガスが、果実の完熟を促進することが解明されたのだ。以後、この技術は出荷調整の方法として広く行われるようになった。このガスは腐った果実からも出るので、リンゴ箱の中に一つでも傷んだものがあると、全体が傷んでしまうことはよく遭遇する事故である。

コメント一覧

1. Posted by YUNO   2024年07月17日 19:56
地域にもよるでしょうが、日本だとリンゴよりはミカンの腐敗の方が馴染みがあるように思います。
テレビドラマの影響で「腐ったミカン」なんて言い方が昭和時代に流行したのを思い出します。
2. Posted by dda40x   2024年07月18日 13:10
「腐ったミカン」という言葉がテレビで流れた時代があったのですね。初めて知りました。
 子供の頃、近くにバナナの倉庫があり、青いものを室(むろ)に入れておくと黄色になるのを知りました。当時はバナナは貴重品でした。青いものは固く、それが熟すと軟らかくなるのは不思議でした。のちにインドネシアを訪ねた時、木の枝から直接外したのを食べましたが、味に特に差が無かったので驚いたことがあります。すなわち人工的な熟成法は素晴らしい方法です。

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