2024年05月18日

続 Tom の娘

 TomとはGreen Riverの駅で偶然会い、その後複数回訪ねたが、不思議なことにPaulaとは一度も会っていない。次女の Linda には何度も会っている。

 Tomは筆者のことを非常に気に入って、”very much intelligent" と褒めちぎり、Paulaに会うように仕向けたが、タイミングが合わず会えなかった。彼女は化学を専攻していたこともあって、会わせたかったのだ。 
 筆者に向かって、「日本に帰るな。アメリカにいてくれ。」と言った。最終的には「息子になって欲しい。Paula と結婚しろ。あの子はいい子だから。」と来た。
 会ってもいない娘と結婚の約束などできるわけもなく、そのままになったが、彼とは20年ほど文通していた。

 日本からの手紙は赤と青の縁取りの付いた航空便の封筒であった。Tomはその手紙が待ち遠しく、来るといろいろな人に見せびらかしていたようだ。外国人が英語で手紙を書けることに驚いたそうだ。当時あの地方 Wyoming では外国人は珍しく、ほとんどの人は地元から動いたこともなかった時代だった。”Howdy、palses!”で始まる会話しかなかったのだ。

 すべての手紙が保存してあるそうで、今思えば少々恥ずかしい。当時はタイプライタで手紙を打っていた。手動の機械で、指が痛くなった。インクテープがすぐ駄目になり、何度も替えた。
 当時の日本では英文タイプを打つ人は少なく、筆者が猛烈な速度で打つのを見た人が、とても驚いたことを思い出す。今はほとんどの人がパソコンを使うので、キーボードを打てない人の方が少ないだろう。 

コメント一覧

1. Posted by 読者   2024年05月18日 19:15
婿になれと言われたのですね。すごい話ですね。よほど優秀でなければ、そんな事を言う親はいないでしょう。ましてや、東洋から来た人に。
当時はワイオミングには外国人はいなかったのですか。
2. Posted by dda40x   2024年05月19日 08:59
 70年代まではワイオミング、モンタナ州には外国人は少なかったのです。黒人もわずかでした。当時、彼らにとっての外国人はメキシコから来た連中で、英語の読み書きはできず、牧場での下働きだけでした。
 仮定法を使った丁寧な言い回しの手紙に驚いたのでしょう。日本でも、外国人が警護を正しく使った文章を書いてきたら驚くのではないでしょうか。その程度のことですから、大げさに考えないでください。
3. Posted by Tavata   2024年05月19日 14:18
日本人は自称「英語ができない」人が多いですが、アメリカやイギリスに行くと、日本人の中学生英語以下で自称「英語ができる」移民が沢山います。
そういう環境にいる現地人に対してアカデミックで本格的な英語を日本人が使うと、かなりのリスペクト(ないしは翻って、妬み)を受けると思います。
当時のワイオミングはどの程度の移民が居たのかは分かりませんが、機関士という叩き上げながら知的な方には、キチンとした英語を使う外国人として敬意が払われたのでしょう。
4. Posted by dda40x   2024年05月19日 19:19
 Tomは知識人です。大学で法学を修め、弁護士の資格も取りました。封筒には”Attorney at Law”と書いてありました。
「ずいぶん前に期限が切れて、更新してないけどな。」と言っていました。鉄道会社の中では組合活動に熱心で、交渉が上手だったようです。地域の代表を長くしていました。
 当時、ドイツ語の教師だった祖父が、「仮定法はよく練習しておけ。必ず役に立つ。」と言ってくれたのでそれを実践しました。
 大学の先生に何かの礼状を書いたとき、仮定法過去完了で、丁寧な手紙を書いたところ、
「誰に書いてもらった?」と聞かれました。「いや、自分で書きました。日本の高校で習いましたから。」と答えると、「すると、日本人は誰でもこのような手紙が書けるのか?」と聞くのです。
「いやほとんど誰も書けません。」と言うと大笑いでした。
「アメリカ人でもこういう表現は書けない奴が大半だ。君は優秀だ。」と、ずいぶん目を掛けてもらいました。
 仮定法を使えると、相手に何か訴えるものがある、ということがよくわかりました。
 日本の英語教育でも、きちんと使えると得なことがあるということを教えるべきだと思いますね。

<前の筆者のコメント中、警護は敬語の間違いです。申し訳ない。>
5. Posted by とか   2024年05月19日 20:27
5 仮定法、仮定法過去完了
又一つ素晴らしい事を御教示賜わりました。
有難うございました。
6. Posted by Tavata   2024年05月19日 22:46
なるほど、知識人ですね!
叩き上げという認識はちょっと間違っていました。
なお、私は川端新二さんとお会いしたとき、ご本人が謙遜して「私は小学校卒の無学」と仰るのですが、読書量や数値で語る話し方から、その聡明さに大変感銘を受けました。

なお、英語で丁寧に表現する方法は相手に「できないかもしれない」という配慮(つまり仮定法)で示すことだと教わりました。
7. Posted by 読者   2024年05月20日 21:41
いずれにしてもすごい話です。我々は英語の時間に仮定法を習うのですが、受験のために勉強することになるわけです。それを使う場面など想像もできません。見事に使いこなして相手を味方にしてしまったというのは素晴らしいですよ。詳しい言い回しを知りたいものです。

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
Recent Comments
Archives
Categories