2023年12月01日
不可思議なブレイス
Atlas 社の製品で、H21という70トン積みホッパ貨車がある。ペンシルヴェイニア鉄道で石炭を運ぶものだ。この貨車のブラス製品は、かれこれ40年のうちに3輌集まり、塗装してディカール貼りを施すばかりだ。このプラスティック模型は上から見るとよくないということを書いたのだが、その端梁のブレイス(筋交い)は不可思議であることは書かなかった。あまりにも衝撃が大きく、うろたえてしまったのだ。
石炭を表す黒い板は少し沈めたが、縁取りが太いのは隠しようがない。いずれ削り落とす。
端梁にはポーリング・ポケットがあるから、そこを突いたときに端梁が曲がらないように支えているはずだ。ところがこの模型はそうではない。連結器座を支えている。これは単純な間違いなのか、それとも本物がこのような構造であるのかは、この10年で随分調べたが分からない。
一般的にはこの図面のようになっている。これはCar Cyclopedia 1936年版である。これはHTで、H21の進化版の90トン積みである。H21は1920年代の設計のはずだ。端梁は外に向かって斜めに支えられている。極めて順当な設計である。
ところがカーサイクロを片っ端から見ていくと、たまにはこういうのもある。筋交いが逆方向である。どすんと突かれたときに壊れないものか、筆者にはよくわからない。側面の梁は厚いとは言えない。このような図面はこの例しか見つからない。
上のH21の写真を見ると端梁は異常に厚く、そう簡単には曲がらないだろうが、裏から支えてあれば設計は楽であるはずだ。
気分が良くないのでしばらく見ないことにしていたが、ディカールを貼るための資料として出して来て、見てしまった。しばらく寝付きが悪くなるだろう。
石炭を表す黒い板は少し沈めたが、縁取りが太いのは隠しようがない。いずれ削り落とす。



上のH21の写真を見ると端梁は異常に厚く、そう簡単には曲がらないだろうが、裏から支えてあれば設計は楽であるはずだ。
気分が良くないのでしばらく見ないことにしていたが、ディカールを貼るための資料として出して来て、見てしまった。しばらく寝付きが悪くなるだろう。
コメント一覧
1. Posted by brass_solder 2023年12月01日 17:39
設計思想までは判りませんが、
実車はこのようになっていたようです。
General arrangement drawings - H21A
という図面と、斜め上から見た当該部分の写真が手元の本に掲載されていました。
"Pennsylvania railroad Steel open hopper cars"
ISBN 0-780695 536547
PRRのコールホッパーは長い編成で運転されることが多いので、ドラフトギアを重視したのではないかと想像します。
ポーリングする機会は多くなかったのかもしれませんし、押す場合でも速度は低かったのだと思います。
実車はこのようになっていたようです。
General arrangement drawings - H21A
という図面と、斜め上から見た当該部分の写真が手元の本に掲載されていました。
"Pennsylvania railroad Steel open hopper cars"
ISBN 0-780695 536547
PRRのコールホッパーは長い編成で運転されることが多いので、ドラフトギアを重視したのではないかと想像します。
ポーリングする機会は多くなかったのかもしれませんし、押す場合でも速度は低かったのだと思います。
2. Posted by dda40x 2023年12月01日 20:21
的確な情報を戴き、ありがとうございます。H21の端梁はとても太く、これほどのものは他には例がないです。石炭列車は分割することもないので、ポーリングの意味が薄いのかもしれませんね。
Max Grayの発注時の資料が十分になかったことが悔やまれます。
Max Grayの発注時の資料が十分になかったことが悔やまれます。