2023年11月11日

機能美

ore cars ジャンクの貨車の再生が進んでいる。たくさんあったブラス製オア・カーの下廻りを更新し、衝突、落下に耐えるようにした。オリジナルは何も考えていない薄板の構成で、 連結時のショックでもめり込みそうであった。
 例によって t 1.5の板を、背骨のチャネルに食い込ませてハンダ付けし、連結器を付けた。台車のキングピンの位置が少しおかしい。構造を考えれば、縦の部材の奥になければならないのだが、少し中心寄りにある。これでは、わざわざ金属疲労を進ませるための設計である。構造設計の専門家は、
「正しい設計のものは、単純な構造で丈夫さを作り出すから美しいのさ。」と言う。

Max Gray ore car 寸法を順に当たっていくと、台車のホィールベースが長いのが原因であることに気付いた。要するに、短いアーチバーであればオリジナルの設計にできるが、ベッテンドルフでは無理ということだ。この写真ではホィールベースが短いアーチバーを使っているので、非常に素直な感じがする。車輪は端梁から外に出るのが普通である。「列車長あたりの積載量が全て」の世界であるから必然的にそうなったのであろう。
 このブラスのオア・カーは、程度の悪いジャンクで、かなり手を入れてある。古いデザインにしたので、アーチバー台車でも良いわけだ。

Atlas ore car ところで Atlas のプラ製品は一見しただけで何か違和感を感じる。構造設計屋の友人と話したら、それは「機能美がないからだよ。」と言う。「間違った部品(台車)を使って間違った設計にすれば、変だと気が付くのが普通さ。」
 側枠の四角の部分は上下を噛み合わせるときのラッチで、無い方が良い。この写真を見れば、右のAtlasの製品はキングピンが内側に入っている。正しい位置に付けると、車輪が端梁に当たってしまう。端梁も奇妙に伸ばしてある。台車の型を新たに作るのをサボって、既存のベッテンドルフを無理やり押し込んだのだ。
 実はもう一つの無視できないファクタもある。これらの貨車は鉄道玩具としてアメリカに導入されたのだ。フランジ高さが2.5 mmもある車輪を使ったので、正しい位置にキングピンを置くと、端梁にフランジが当たってしまう。遠ざけざるを得なかった。こういう模型を世界中に何十万とばらまいたのは罪が大きい。
 上の写真の左側のアーチバー台車は正しい位置に付いていて気分が良い 。かねてより、このAtlasの貨車には何とも言えない気持ち悪さを感じていた。ようやくその原因が判明したが、かれこれ40年ほど掛かったことになる。
 70年代のMRにこの貨車の端梁を短く切る記事があったが、それは固定連結器を付けるための方便であった。根本的なところは放置されていたから、何の解決にもなっていない。

 プラ製品のAtlasは10輌ほどあるので、どうやって処分するか考えている。

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