2023年09月24日

絶縁車輪を組む

 輪心に、絶縁紙を巻き付けて貼らねばならない。簡単そうに見えても、これにはかなりの骨(コツ)がある。完全な接着がされていないと、タイヤを押し込んだ時にばらばらになる。また、タイヤの内側には微妙なテーパが付けてある。押し込み始めには全周が嵌まっていなければならないのだ。

 瞬間接着剤で貼る手もあるが、全てを均等に密着させて貼るのは、かなり難しいのではないだろうか。筆者は下記の方法で貼る。

pinching insulator 絶縁紙を細く切るが、厳密に幅を合わせる必要はない。長さは、[所定の寸法+5 mm]に切り、末端を折る。
 そこをつまんだ時に、全体に張力が与えられるような位置を折るのだ。エポキシ接着剤を塗り、巻き付けてつまむ。このまま10分置くとほぼ固まる。そこで、外してつまんだところを切り取る。重ならないように長さを正確に決めて切る。その部分を押さえるようにクランプで締める。この時は、接着剤はまだ完全には固まってはいないので、押し込まれて滑らかにつながる。長さが足らなくなって、わずかの隙間が空いても構わない。
 写真左は輪心表側である。クイル駆動のレリーフを貼るために、凹凸をサンダで削り取ってある。右は裏側である。裏のボスは、祖父江氏の手法であり、張り出している。当然、この車軸はその分短い。この写真でも分かるように、絶縁紙は少し裏側にはみ出している。後で切り落とすから、気にする必要はない。 

 接着剤の硬化後、よく切れるナイフで、はみ出した絶縁紙や接着剤を落とす。全体に軽くヤスリをかけて、押し込み側の角を落としておく
 平らな金床(かなとこ)の上に置き、タイヤをゴムハンマで丹念に叩き、少しずつ沈める。裏が面一(ツライチ)になったら出来上がりである。絶縁紙が少しめくれた所があれば、エポキシ接着剤を爪楊枝で押し込み、固まったら削り取る。この作業の時、踏面、フランジにはヤスリ等を当ててはいけない。

 この作業は両手指がエポキシまみれになるので、あまり好きな作業ではない。横に溶剤スプレイを置いて、紙タオルの小さく切ったものを湿らせて拭き取る。とても手間のかかる作業である。

 プロの手法はその点は大したものだ。おそらく、速度が2桁以上違う。

コメント一覧

1. Posted by Tavata   2023年09月25日 19:15
ファイバ紙は湿らせないのですか?
私はファイバ紙を工作で多用する(レーザーカットに好適)のですが、丸める際は湿らせて柔らかくし、近似半径の丸棒に巻きつけて癖をつけ、それを乾かして使います。乾くと元の硬さに戻りますし、濡らしてもほつれることはないので、便利です。
2. Posted by dda40x   2023年09月25日 22:23
 湿らせると柔らかくなりますね。良さそうに見えるのですが、かなり伸びます。その時点で長さを決めて乾かすとつまむ部分が遠くなります。たくさんやればその伸び具合がわかるので問題は解決するでしょうが、6個では見当が付いた頃には終わっています。
 絶縁用ファイバーは、最近は販売元が限られているようで、入手が難しくなりました。昔は秋葉原のガード下で大量に売っていましたが、その店もすでに跡形もありません。


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