2023年09月14日
続々 車輪を作る

Dennisから、早く作れと時々催促があるので、作り始めた。本来は彼から受け取ったロストワックスの輪心と洋白で出来たタイヤを使う筈だったが、あまり気乗りしなかった。すぐに磨り減ってしまいそうだったからだ。それとクイル駆動の輪心が埋もれていて面白くない。この部分は、かなり外に飛び出している。すなわち斜め前方から見ると、その部分の張り出しが見えるのだ。これは1974年に現物を見て確かめてある。
Φ30のLow-D車輪はかなり前に用意してあったので、それに3Dプリントの輪心をエポキシ接着剤で貼り付けた。なかなか勇ましい。透けて見えないと言う人が居るかも知れないが、実物はほとんど向こう側が透けて見えない。大きなギヤボックスがあるからだ。
精度が高いので、滑らかに転がる。この動輪はまだ余分があるから希望者にはお譲りする。
タイヤを絶縁紙を挟んで嵌める。プロではないので、時間を掛けても問題ない。短冊に切った絶縁紙を接着剤で巻いて、固まったところで押し込む。タイヤの内側には微妙なテーパが付けてあるのでよく締まる。念の為に、エポキシ接着剤を塗りこんで、拭き取る。
プロの手法は面白い。絶縁紙(いわゆるファイバー)をかなりふんだんに使っていた。まず、絶縁紙を煮る。柔らかくなるから、それを輪心にかぶせて簡単なプレスで押す。すると浅いカップ状のものが出来る 。それを乾かしてから、輪心に載せて、タイヤを置く。プレス器で押せば自然にタイヤが嵌まる。短冊に切って貼る必要はない。
こうしておいて、車輪を旋盤にかけてタイヤと輪心の外周が同一平面になるようにする。不要な絶縁紙は同時に切り落とされて同一面になる。また、絶縁紙の切れ目が全く見えないところが素晴らしい。
ゴミの量は凄まじい。このあとで、めっきをかけるのだ。めっき液は絶縁紙に多少染み込むので、長く水に漬けて洗わないと錆びて来る。60年代の製品には、これが原因の錆が見られることがある。
ただしこの方法では、絶縁紙の9割以上は捨てられてしまう。昔はこの絶縁紙は安かったのだ。今は貴重品で、売っている店が少ない。