2023年05月29日
プロの大工
アメリカで、汽車の友達に大工の棟梁がいた。週に1回現場に行って手伝わせてもらった。仕事を覚えるためで、もちろん無給である。保険は自分で入った。ケガもなく、ある程度のことは覚えられたので、いつか自分で家を建ててみたいと思った。
ある時、その友人に質問をぶつけた。
「プロの大工とアマチュアとは何が異なるのだろう。」
友人は笑って答えた。
「単純なことさ。プロはプロの道具を持っている。プロの道具を持てば、お前だって家を建てられるさ。」
「いや、僕は1年しか、しかも週1日しか手伝ってないよ。」
「十分だ。お前はなかなか優秀だ。道具さえ持っていれば大工で稼げるぜ。」
そんなバカな、とは思ったが、そのプロの道具のリストを作ってもらった。20品目くらいで、総額6000ドルくらいだった。いつの日か、全部揃えようと決意した。銘柄はマキタ、日立、Milwaukeeが多かった。また、日本のあるメーカのものは、買うべきでないと釘を差された。
その4年後、その時がやって来た。ボストンから住宅のキットを輸入することになった。ある程度は買い揃えていたが、足らない分を一挙に買った。一人ではできないので、4人の大工を雇った。ほとんど手ぶらで来て、こちらで揃えた道具を使ってもらった。
彼らを雇うときは苦労した。大工の棟梁を何人か呼んで面接し、麻薬をやってないかを問い質した。
「日本では、マリファナでさえも持っているだけで捕まる。3年は帰れないだろうな。」と言うと、次回の面接には誰も来なかった。仕方がないので、ある宗派のキリスト教徒で、酒もタバコもやらない人を紹介してもらえたので、雇うことになった。
そのプロの道具とは、直角を含む所定の角度に正確に切ることのできる丸鋸、いわゆる丸鋸盤、60 mmの板を縦割りすることのできる強力丸鋸、ここまではいずれも、1.5馬力以上の出力があるものだ。刃渡り200 mmくらいのレシプロ・ソウ、手持ちのジグソウ、ラウタ盤、強力なベルトサンダ2種、大小様々なクランプ20本くらい、電気ドリル3種、インパクト・レンチ、釘打機3種などが主なもので、その他は小物であった。不思議なのはカンナとかノミが無いことだ。彼らはそういうものはほとんど使わない。一度ノミを準備する場面に遭遇して、絶句した。ベルトサンダで刃先を”削って”いた。研いでいるとは言えない。それで叩き切る、という感じである。
これらの道具で、自宅の内装はほとんど一人で仕上げることができ、投資額の数倍を稼ぎ出したことになる。また、その後の色々な場面で役に立っている。
ある時、その友人に質問をぶつけた。
「プロの大工とアマチュアとは何が異なるのだろう。」
友人は笑って答えた。
「単純なことさ。プロはプロの道具を持っている。プロの道具を持てば、お前だって家を建てられるさ。」
「いや、僕は1年しか、しかも週1日しか手伝ってないよ。」
「十分だ。お前はなかなか優秀だ。道具さえ持っていれば大工で稼げるぜ。」
そんなバカな、とは思ったが、そのプロの道具のリストを作ってもらった。20品目くらいで、総額6000ドルくらいだった。いつの日か、全部揃えようと決意した。銘柄はマキタ、日立、Milwaukeeが多かった。また、日本のあるメーカのものは、買うべきでないと釘を差された。
その4年後、その時がやって来た。ボストンから住宅のキットを輸入することになった。ある程度は買い揃えていたが、足らない分を一挙に買った。一人ではできないので、4人の大工を雇った。ほとんど手ぶらで来て、こちらで揃えた道具を使ってもらった。
彼らを雇うときは苦労した。大工の棟梁を何人か呼んで面接し、麻薬をやってないかを問い質した。
「日本では、マリファナでさえも持っているだけで捕まる。3年は帰れないだろうな。」と言うと、次回の面接には誰も来なかった。仕方がないので、ある宗派のキリスト教徒で、酒もタバコもやらない人を紹介してもらえたので、雇うことになった。
そのプロの道具とは、直角を含む所定の角度に正確に切ることのできる丸鋸、いわゆる丸鋸盤、60 mmの板を縦割りすることのできる強力丸鋸、ここまではいずれも、1.5馬力以上の出力があるものだ。刃渡り200 mmくらいのレシプロ・ソウ、手持ちのジグソウ、ラウタ盤、強力なベルトサンダ2種、大小様々なクランプ20本くらい、電気ドリル3種、インパクト・レンチ、釘打機3種などが主なもので、その他は小物であった。不思議なのはカンナとかノミが無いことだ。彼らはそういうものはほとんど使わない。一度ノミを準備する場面に遭遇して、絶句した。ベルトサンダで刃先を”削って”いた。研いでいるとは言えない。それで叩き切る、という感じである。
これらの道具で、自宅の内装はほとんど一人で仕上げることができ、投資額の数倍を稼ぎ出したことになる。また、その後の色々な場面で役に立っている。
コメント一覧
1. Posted by 読者 2023年05月29日 09:39
木工もお上手なのはそういうことでしたか。とても素人とは思えない部分がありましたが、納得がいきました。
やはり、プロの職人に付いて習うというのは効果があるのですね。
しかし、普通の人はそういうわけには行かないので、独りよがりになってしまうのでしょう。
このブログは、私の唯一の師匠です。
やはり、プロの職人に付いて習うというのは効果があるのですね。
しかし、普通の人はそういうわけには行かないので、独りよがりになってしまうのでしょう。
このブログは、私の唯一の師匠です。
2. Posted by dda40x 2023年05月29日 20:10
元々大工仕事が好きでしたが、アメリカ流の仕事を近くで見たいということで、友人に無理を言って、現場に入りました。数多くの同じ部品を作る作業があり、機械化の理由が分かりました。ノミとカンナは使用頻度が極めて低く、ラウタとサンダがよく使われました。塗装のテクニックも日本とは随分異なります。
友人の指導のおかげで増築は簡単にできました。プロに頼む1/5の価格でした。
ブラスの工作はある程度はできましたが、やはりプロのテクニックを知るということは大きな進歩をもたらします。祖父江氏にはお世話になりました。
友人の指導のおかげで増築は簡単にできました。プロに頼む1/5の価格でした。
ブラスの工作はある程度はできましたが、やはりプロのテクニックを知るということは大きな進歩をもたらします。祖父江氏にはお世話になりました。