2022年12月28日

続 塩化亜鉛を作る

 全ての金属固体が反応を助けるわけではない。積極的に阻害するもの(昔は逆触媒と言った)も、いくつかある。鉛、亜鉛、カドミウム、水銀などである。よく考えてみると、これらは全て電池の負極構成物質である。電池を休ませている時に、負極物質が電解液と勝手に反応(要するに電池を作動させていないときに亜鉛極が溶けてしまう)しては困るので、これらを用いていれば電極が反応せず、保存ができる。すなわち実用電池にはこれらを使わざるを得ないのだ。

 話は元に戻る。亜鉛はこれらの阻害剤の一つである。すなわち、亜鉛表面では水素ガスが発生しにくいので、結果として亜鉛は酸には溶けないのだ。そうでなければボルタ電池は成立しない。このあたりのことが、日本の高等学校の教科書ではかなりいい加減に扱われているので、混乱を引き起こしている。
 亜鉛を酸に溶かすには、触媒として何かが必要である。プラチナの指輪があれば、放り込めば良い。溶けることはない。(昔、それをネタにして笑いを誘う、傑作な入試問題があった。)

高純度亜鉛 と 銅線銅線を入れる あるいは製品でも良い。少し能力が落ちるが線でも構わない。筆者は、左の写真のように銅の撚り線の一端を捻り、他方を開いて放り込む。表面積が大きいので効果は大きい。右の写真は、塩酸はまだ入れていない状態で容器を覗き込んだ様子。亜鉛は微粉末で溶解速度が大きい。


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