2022年03月14日

express reefer

express reefers 一部の旅客列車にはexpress reefer(急行冷蔵車と訳すのも変なものだ)がつながれていた。これらは、冷暖房用のスティーム・パイプを持ち、機関車の次位に連結された。スティームは後ろの客車に送られたのだ。都市への牛乳、果物の配送に使われていた。
 田舎の方では、旅客車1輛にこの冷蔵車8輛という列車の写真もある。かなり昔にアメリカで買った木製キットを組んだが、基準となる寸法、特に高さがわからないので、ボルスタ高さを決めかねていた。
 仮に台車を付けて、機関車の次位に置き、客車との高さが不都合でないようにしたが、しっくり来なかったのだ。微妙な差があるように思えた。

express reefers2 しばらく前、この白い完成ボディを参考のために入手した。ありがたいことに連結器座も付いている。ということは連結器を付けて台車に載せ、連結器の高さが合うようにすれば、ボルスタ高さが出るわけだ。この方法で既存の車体の高さも合わせた。客車の前に連結すると実感的な高さであった。ようやく、高さを合わせることができたのだ。 

 貨物列車の reefer 冷蔵貨車を持ってきてつなぐと、屋根面の高さが同じになった。これには驚いたが、考えてみれば、当然であろう。icing platform(氷を入れる施設)で、高さが合っていなければ、仕事はやりにくいはずだ。
 そうだろうとは思ったが、実はその考えを否定するような写真があったのだ。一つが80ポンド(36 kg強)の氷塊を氷ハサミで片手で下げ、梯子を登って入れている写真を見た。力自慢の男が軽々と入れていたのだ。それを見ていなければ、このexpress reeferは40年前に完成していただろう。

 車輪は客車用の36インチである。床面はその分高く、屋根高が先述の理由で抑えられているので、車体の内部の有効体積は比較的小さい。普通の貨車の車輪は33インチである。
 重い車体なので、ボールベアリングを仕込んだ台車に載っている。Lobaugh のぼてっとした砲金鋳物の台車をヤスリがけして整形し、形だけのバネを入れている。こうするだけで、本当にバネが利いているかのように感じるのは、面白い。人間は目で見ているのではなく、脳で見ているのだ。
 まだ仕掛かり品であるので、屋根高さだけをご覧戴きたい。直接台車に車体を付けると継目音がうるさいので、薄いゴムシートを挟んでいる。極めて静かになった。HOゲージでも、試されるべきことだと思う。


コメント一覧

1. Posted by railtruck   2022年03月14日 16:25
ご存じかもしれませんが、Car Builder's Dictionary 1916にNPの図面が載っていますね。Fig.351,352です。ご参考まで。
https://archive.org/details/cu31924032183216/page/344/mode/2up

2. Posted by dda40x   2022年03月14日 19:03
 ありがとうございます。
 紙の本ばかり調べていて、なかなか屋根高さを知るチャンスに恵まれませんでした。これは良い図ですね。
 20年代の本にはない図がたくさんあります。
5. Posted by 読者   2022年03月14日 21:20
>人間は目で見ているのではなく、脳で見ているのだ。

全くその通りですね。いわゆる錯視も脳がなければ起こりませんね。しばらく前、錯視を猫に見せる動画がありました。最初は見事に引っ掛かったのには驚きました。
6. Posted by dda40x   2022年03月14日 23:33
 その動画、私も見たような記憶があります。床に深い穴があいているように見えるものではありませんでしたか。猫の挙動に笑ってしまいました。

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