2021年09月09日

木製貨車をブラスで作る

 木の板を隙間なく張った側面を再現するには、ブラスの板に細かい溝を彫らねばならない。そのための専用の工具もあるので、簡単ではある。しかし、その後の処理をどうするかについては、説明を見たことが無いように思う。
 圧延された金属板には、目には見えないが、表面には残留応力がある。それを溝彫りによって断ち切ると、反りくり返ってしまう。その補正は難しい。エッチングも同じことである。片面に模様がつくと、反りくり返る。模様のとおりに、裏から見ても分かる凹凸が残る。また、腐食の速度も場所によって異なるので、表面の彫りの状態が不均一となる。
 これを防ぐために、エッチングを施す前にブラスの板は、焼き鈍される。だから、エッチングされた板は腰がなく、くたくたである。以前にも述べたように、細いアングルは縦溝をエッチングして曲げてあるので、話にならないほど、くたくたである。きちんとしたプレス型上で曲げて加工硬化させたものとは、比較できないほど駄目である。

Look inside さて、最近よく登場するF氏は、金属加工には深い造詣のある方で、次のような手法で解決している。木板張りを表現するために、裏表に同様な溝を彫ってある。こうすれば打ち消し合って、板は曲がらない。もちろんすべての溝が同程度の深さでなければならないのは言うまでもない。この方法で、腰が強く、扱いやすい側板ができる。
 伊藤 剛氏の遺作の修理は、F氏により、この板を使ってなされた。

 サンドブラストを掛けても、残留応力で反ることがある。日本のメーカで、サンドブラストを導入した頃、テンダの表面をそれで綺麗にしたのだそうだ。すると全て反ってしまって、作り直さざるを得なくなった。本当はハンダ付けが上手な人が作って、キサゲでわずかに余分なハンダを削って仕上げる程度が良かったのだ。しかしサンドブラストで梨地になると高級感があったのだそうだ。韓国製はエッチングした板を使っているから、反らない。その代わり、剛性がなく、重いものを鷲掴みにすると歪んでしまう。

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