2021年03月15日

続 アメリカ製の切断機

shear 1 もう一つ、根本的なミスがあった。
 刃当たりを調整する送りネジがある()。それはステンレスネジであった。筆者はステンレスネジは原則として使わない。伸びたりつぶれたりするからだ。ネジ穴から抜けなくなることがありうる。この写真の()は先回の面取りの足らない部分である。
 今回の送りネジは、締め込んで相手の鋼製ブロックを押すのだが、馬鹿力で締めた跡があり、先端がわずかにつぶれて太くなっていた。ネジがつぶれると太くなると同時に、ピッチが狂うから始末に負えない。こうなると緩ませて抜くことは不可能だ。こういうところには、鋼製ネジを使わねばならない。仕方がないから、時間を掛けて先端のネジ溝をヤスリで削って拡げ、抜き取った。ひどい話だ。

 このステンレスはオーステナイトと云う状態で、塑性変形が起こりやすい。力を掛けてはいけないものなのだ。ステンレス・ボルトで締めると時間が経つと緩むのはこのせいだが、日本ではそんなことはお構いなしで、あちこちで使われて事故を起こしている。
 近所で上水道の大規模水漏れ事故があった。交通を遮断して掘り返すことになり、自治会としての立ち合いを求められた。見るとおバカなことに、このステンレスボルトが使われていた。水道事務所の工事担当者は、
「緩んでいるのは不思議だ。締め付けトルクの記録もあるのに。」
と言うので、このことを教えたら大変驚いた。
 後日上司から感謝の電話があった。今後すべてのステンレスボルトを、順次高張力ボルトに切り替えると言っていた。ついでに濡れるところではステンレスと鋼とを混用しないように釘を刺した。今まで税金をドブに捨てていたのだ。世の中こんなものらしい。

 アメリカ製の物で、間違って使われているのを見るのは初めてだ。アメリカ人はステンレスボルトを使うのに、ためらうことが多い。いろいろな弊害を知っているのだ。これはおそらく、指示間違いであろう。

dda40x at 03:15コメント(2)材料 | 工具 この記事をクリップ!

コメント一覧

1. Posted by なるほど   2021年03月15日 23:51
これは重大なことですね。小さな模型しか触ったことが無い人にはわからないことです。
ちょっと大きめの機械にもステンレスネジは使われています。以前腐食の話題が出ましたが、このような伸びについては知りませんでした。クリープということも分かりました。職場で改善提案します。
貴重な情報ありがとうございました。
2. Posted by dda40x   2021年03月16日 09:35
 ステンレスは流し台に使われます。1枚の板を冷間で数回に分けて押し出し、あのような深絞りを可能とします。
 そのような材料をボルトとして使おうとするのですから、不合理な話です。ステンレスは高価なので、「高価≒高品質」という勘違いが生じやすいと思います。錆の問題とは別の見地からも、ステンレスボルトは排除すべきものだと思っています。


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