2021年03月11日

続々 double slip mechanism

 軸がずれても、トルクを伝達する方法はいくつかある。高級なものではブフリィ式などがある。先の祖父江ジョイントにおける、ある位相での挙動も同様である。
 簡単で壊れにくい構造は、リンク機構である。これは、例があまり発表されていないように見えるが、蒸気機関車のロッドはまさにこれで、多少の動軸の上下動があっても、問題なく動く。スイスあたりの電気機関車の駆動方式は、さらに大きな動きを許容する。このロッドには垂直に動くスライダがあるからだ。筆者はこれに目を付けた。

 2:1に内分する点に、テコから直角(枕木方向)に張り出した別のテコを付け、長い既存のテコがレイル方向にずれないように長孔で保持してトルクを生み出す、という方法である。文章では分かりにくいので、図示する。

double slip mechanism 3 上の方に伸びたテコにはリンクが付き、左右に振られる。左に行けば、支点は左右には動かないから、リンクが傾き、どちらかの作用点が接触するまで行く。例えば左が接触すれば、右端が接触するまで左に回転するので、支点は少し上に動くだろう。

 支点は、スライダの溝の中を滑るボールベアリングが嵌まった軸である。上下の抵抗は、無視できるほど小さい。この方法の利点は、イコライザとしてのテコの平面上で力が掛かるので、捻りが生じないことである。機構は極めて簡単になる。動く角度が小さい範囲では、3点への力は均等であると見做せる。

 T字型のリンクの根元は補強しておく必要があるが、面積があれば普通のハンダ付けで十分だ。


 本日は東日本大震災から10年目の日である。当日、日本を離れていて、帰国できるかどうか心配していたことを思い出す。テキサスのデニスは「うちに来い。いつまで居ても良い。」と言ってくれた。
 帰国の日、日本に近い太平洋上で、飛行機から親潮と黒潮の潮目が見え、そこに膨大な量の漂流物があるのを見た。建物も船も、おそらく遺体も含まれていただろう。むごいことであった。  

コメント一覧

1. Posted by 読者   2021年03月11日 07:59
これはうまい方法ですね。
水平移動を許容しつつ、トルクを発生させるとは、思いつきませんでした。製作が簡単で、故障せず、確実な作動が期待できますね。
先回の上下に高低差がある状態での反トルク承けなど、できないことはないけど後のメンテが大変です。
いつもながらスマートな解法には敬服します。
 
2. Posted by 物理弱い人   2021年03月11日 17:37
よくわかりました。うまい方法です。スライドさせるというところに驚きました。
ところでリンクのブフリィ式というのはすごくよくできた方法ですね。調べましたらED54という機関車に使われていたとあります。どうして普及しなかったのでしょうね。
3. Posted by dda40x   2021年03月12日 08:49
 なるべく単純になるように、部品数が少なくなるように考えました。いろいろなところに応用できるはずです。
 ブフリィはよく考えられた方法ですが、バランスが取れてはいません。すなわち高速回転は避けるべきです。だから大動輪を必要とします。ED54は動輪径が大きいとは言えません。そのあたりが原因だと思いますね。
 と同時に小径のモータが高性能化し、吊り掛け式が可能になったことです。とは言え、国鉄ゲージでは標準軌に比べて困難さが付きまといました。
4. Posted by Tavata   2021年03月13日 01:42
模型のポイント梃子であれば、板を切り抜いた梃子自体の撓みはほとんど無いので、長穴で支点をルースにする方法で十分機能すると思います。
スイスのクロコダイルの場合、前期形のBe6/8IIは車輪のクランク軸が滑り子でロッド内を上下可能な機構を有していますが、後期形のBe6/8IIIではモータクランク軸から斜めロッドで車輪の連結ロッドを駆動する方式になっています。連続回転を伝達するには、遊びの少ないロッド+ピン式の方が向いています。
5. Posted by dda40x   2021年03月13日 23:22
>>4
クロコダイルの滑り子は騒音の元だったのでしょうか。出来の良さそうな細工だと思いましたが。

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