2020年12月01日
カビのこと
木製キットを組んで塗装したものが、カビ始めた。不思議なことにガラスケースに入っているものがひどい。
当博物館は24時間空調をかけているので、湿度は60%以下を保っている。かなり乾いているはずだ。それなのに、一部の車輌がカビだらけになった。分析すると、次のようなことになる。
1. Quality Craftのようなバスウッド(シナノキの亜種)に細い溝を切ったものの、溝の中からカビ始める。それは木造貨車を再現する縦溝が細かく切られたものが多い。
2. 滑面の塗装は大丈夫である。塗膜が薄く、木材に薄く浸み込んだだけの部分はカビ易い。
3. オイルステインを浸み込ませて固めたものは、その上に塗膜が無くても、全く大丈夫である。
レイアウトの線路上を走っているものは全くカビていない。どうやら空気が循環していると良いらしい。空気清浄機が設置してあり、カビ防止に寄与するオゾンを発生するからかもしれない。
対策としては殺菌剤の次亜塩素酸ナトリウム(キッチンハイターの類)を含む洗剤液を噴霧して、歯ブラシでこすり落とす。次は、よく水洗して乾かす。エアコンが効いているので、扇風機で良く乾く。カビは塗膜を明らかに侵す。一部はタッチアップが必要だった。組立の接着剤はエポキシが多いので、水で洗っても問題ない。
外に持って行って、カビ止めスプレイを噴霧する。アルコールベースの薬剤であるから、濡れているうちに触ると塗料が傷む可能性があるので気を付ける。乾くとわずかに風合いが変化した。微妙に艶が増したような気がする。
以前気が付いたオイルステインは、大変効果がある。中まで浸み込んで固まっているので、カビの胞子が取り付く場所がないのだろう。現在組立て中のものはすべてオイルステイン漬けにした。どうせ塗るのだから、下地に色がついていても何ら問題ない。
ガラスケースの中も、何らかの対策が必要だろう。それまではガラス戸を開放しておかねばならない。置いておくだけでカビ止めになる薬剤があれば試してみたい。昔は臭素を含む薬剤があったが、最近はある理由で売っていない。
Bass Woodはアメリカの東部、中西部にいくらでも生えている木で、日本では榀(シナ)と呼ばれる。ヨーロッパではリンデンバウム(菩提樹)である。
軟かく、木目のほとんどない材が採れる。木彫り、家具その他の安価な工作材として使われる。模型材料としての適性があり、床板、屋根板などに使われている。
当博物館は24時間空調をかけているので、湿度は60%以下を保っている。かなり乾いているはずだ。それなのに、一部の車輌がカビだらけになった。分析すると、次のようなことになる。
1. Quality Craftのようなバスウッド(シナノキの亜種)に細い溝を切ったものの、溝の中からカビ始める。それは木造貨車を再現する縦溝が細かく切られたものが多い。
2. 滑面の塗装は大丈夫である。塗膜が薄く、木材に薄く浸み込んだだけの部分はカビ易い。
3. オイルステインを浸み込ませて固めたものは、その上に塗膜が無くても、全く大丈夫である。
レイアウトの線路上を走っているものは全くカビていない。どうやら空気が循環していると良いらしい。空気清浄機が設置してあり、カビ防止に寄与するオゾンを発生するからかもしれない。
対策としては殺菌剤の次亜塩素酸ナトリウム(キッチンハイターの類)を含む洗剤液を噴霧して、歯ブラシでこすり落とす。次は、よく水洗して乾かす。エアコンが効いているので、扇風機で良く乾く。カビは塗膜を明らかに侵す。一部はタッチアップが必要だった。組立の接着剤はエポキシが多いので、水で洗っても問題ない。
外に持って行って、カビ止めスプレイを噴霧する。アルコールベースの薬剤であるから、濡れているうちに触ると塗料が傷む可能性があるので気を付ける。乾くとわずかに風合いが変化した。微妙に艶が増したような気がする。
以前気が付いたオイルステインは、大変効果がある。中まで浸み込んで固まっているので、カビの胞子が取り付く場所がないのだろう。現在組立て中のものはすべてオイルステイン漬けにした。どうせ塗るのだから、下地に色がついていても何ら問題ない。
ガラスケースの中も、何らかの対策が必要だろう。それまではガラス戸を開放しておかねばならない。置いておくだけでカビ止めになる薬剤があれば試してみたい。昔は臭素を含む薬剤があったが、最近はある理由で売っていない。
Bass Woodはアメリカの東部、中西部にいくらでも生えている木で、日本では榀(シナ)と呼ばれる。ヨーロッパではリンデンバウム(菩提樹)である。
軟かく、木目のほとんどない材が採れる。木彫り、家具その他の安価な工作材として使われる。模型材料としての適性があり、床板、屋根板などに使われている。
コメント一覧
1. Posted by YUNO 2020年12月01日 13:08
カビは酸素がないと死んでしまうので、脱酸素剤が効きます。
具体的には、使い捨てカイロを棚の端や奥にそのまま置いておくだけです。もっとも安全で安価にできるカビ対策の1つだと思います。酸素濃度が低いと虫の侵入も防げます。農産物の貯蔵などにも使われる方法です。
棚の容積から酸素量を計算すると良いでしょう。
ただしガラスケースは完全に密封されているわけではありませんから、定期的に交換して酸素濃度を低く保つ努力が必要です。戸を開けて車両を出し入れした時にも交換した方が良いでしょう。
具体的には、使い捨てカイロを棚の端や奥にそのまま置いておくだけです。もっとも安全で安価にできるカビ対策の1つだと思います。酸素濃度が低いと虫の侵入も防げます。農産物の貯蔵などにも使われる方法です。
棚の容積から酸素量を計算すると良いでしょう。
ただしガラスケースは完全に密封されているわけではありませんから、定期的に交換して酸素濃度を低く保つ努力が必要です。戸を開けて車両を出し入れした時にも交換した方が良いでしょう。
2. Posted by dda40x 2020年12月03日 10:52
確かにそうなのですが、ガラスケースは全く気密性に欠けた構造です。横に窒素ボンベでも置いて少しずつ吹き込むようなことをしない限り、酸素分圧を下げることは出来ません。
やはり何かの揮発性の防カビ剤を置くしかなさそうです。ものによってはプラスティックや塗料に影響を与えるものもあるようで、慎重に行きたいと思っています。
空気清浄機は確かに機能しているように思います。60坪に小型のものが一つしか置いてないのですが、プラズマクラスタ発生とかいう怪しい機能(実はオゾン発生器)ですが、それが出ているとカビは繁殖しにくいようです。
やはり何かの揮発性の防カビ剤を置くしかなさそうです。ものによってはプラスティックや塗料に影響を与えるものもあるようで、慎重に行きたいと思っています。
空気清浄機は確かに機能しているように思います。60坪に小型のものが一つしか置いてないのですが、プラズマクラスタ発生とかいう怪しい機能(実はオゾン発生器)ですが、それが出ているとカビは繁殖しにくいようです。
3. Posted by むすこたかなし 2020年12月03日 19:47
現実に、多くの博物館において文化財のカビ対策が検討されているようです。
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sonota/001/toushin/07051008/003.htm
カビと言えば「湿気の多い所」を連想しますが、乾燥した場所でも生育する「ドライ型」と、湿気を好む「ウェット型」のカビがいるのは初めて知りました。(全国の博物館で問題となっているのはドライ型とのこと…)
私の場合、車輌が入った化粧箱にカビが生えることが問題です。特に黒や茶色の化粧紙がボール紙に糊付けされた箱は良く目立ちます。いわゆる“銀箱”は中の車輌も高いだけあって上手いこと目立ちません(笑)。湿気とデンプン糊が原因とも考えましたが「ドライ型」のカビを知ってガッカリです。
ちなみに米櫃へ唐辛子を入れるカビ対策はよく聞きますが、辛味成分カプサイシンには防カビ効果無しとの報告があります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk1962/9/2/9_2_69/_pdf
木製やペーパー車輌に「食品照射(ガンマ線)で防カビ!」なんて記事が出てきたら笑えますね。
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sonota/001/toushin/07051008/003.htm
カビと言えば「湿気の多い所」を連想しますが、乾燥した場所でも生育する「ドライ型」と、湿気を好む「ウェット型」のカビがいるのは初めて知りました。(全国の博物館で問題となっているのはドライ型とのこと…)
私の場合、車輌が入った化粧箱にカビが生えることが問題です。特に黒や茶色の化粧紙がボール紙に糊付けされた箱は良く目立ちます。いわゆる“銀箱”は中の車輌も高いだけあって上手いこと目立ちません(笑)。湿気とデンプン糊が原因とも考えましたが「ドライ型」のカビを知ってガッカリです。
ちなみに米櫃へ唐辛子を入れるカビ対策はよく聞きますが、辛味成分カプサイシンには防カビ効果無しとの報告があります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk1962/9/2/9_2_69/_pdf
木製やペーパー車輌に「食品照射(ガンマ線)で防カビ!」なんて記事が出てきたら笑えますね。
4. Posted by 米びつ 2020年12月06日 01:19
むすこたかなし様
ドライ型のカビのお話はとても興味深いです。
ところで、米びつへの唐辛子は、カビ対策というよりコクゾウムシ対策ではないでしょうか?
今年の夏にサボって唐辛子を入れずにコクゾウムシをわかせてしまいましたゆえ。
ドライ型のカビのお話はとても興味深いです。
ところで、米びつへの唐辛子は、カビ対策というよりコクゾウムシ対策ではないでしょうか?
今年の夏にサボって唐辛子を入れずにコクゾウムシをわかせてしまいましたゆえ。
5. Posted by むすこたかなし 2020年12月06日 20:28
米びつ様、
なるほど、防カビではなく防虫効果を狙っている訳ですね。
https://products.st-c.co.jp/plus/question/answer/88.html
私は時々、精米を補充する際にキッチンハイター(次亜塩素酸ナトリウム)の希薄水溶液で米櫃を拭き掃除して乾かしています。
なるほど、防カビではなく防虫効果を狙っている訳ですね。
https://products.st-c.co.jp/plus/question/answer/88.html
私は時々、精米を補充する際にキッチンハイター(次亜塩素酸ナトリウム)の希薄水溶液で米櫃を拭き掃除して乾かしています。