2020年11月15日
Sofue Joint
このジョイントには参った。常識では考えられない構造だ。二つの向き合った円板が、たった一本のピンで引っ掛かって回っている。相手は長溝で、ピンの太さより微妙に幅が広い。Φ1.6のピンに対し、2.0 mmのスリットである。ピンは硬く、スリットは軟らかい。このジョイントで、軸の心ずれ、軸長手方向の伸縮、微妙な傾きを全て吸収する。オレンジ色の矢印はピンである。バランスは取れていないが、軽く半径も小さいから、影響は少ない。幾何学的には問題がある。しかし、比較的低トルクで、回転数も知れている。磨り減ったらスリット側を取り替えれば良いのだが、ほとんど減る気配はない。モリブデングリスを少しだけ塗ってある。沢山塗ると飛び散るだろう。
初めはこんな子供だましの方法ではだめだと思ったが、走らせているうちに、これは無視できない方法であると評価した。筆者の8軸ディーゼル電気機関車の半分ほどに装荷されている。どの機関車も、複数のモータ搭載であっても全部の軸が連動し、同時に回転する。こうしないと牽引力は稼げないが、この理屈に興味を示さない人は多い。
「インチキみてぇに見えるかも知んねぇけど、これでもいいんだぁ。軸重が大きいから問題ねぇよ。レイルがあるから上下動はねぇってわけだし、台車は左右にゃ動かねぇんだから、トルクは伝達されるさ。昔からアイデアはあったんだけどねぇ、付けたのは初めてだよ。」と言った。そんな馬鹿な、と言いたくなる設計であるが、問題なく作動する。オルダム継手は摩擦損失が大きいがこれは少ない。面白い設計だ。これは3条ウォーム、ボールベアリング装荷だからこそ通用する工夫で、ドライヴそのものの損失が大きいと振り回されて、振動の元になってしまうはずだ。駆動軸でトルクが小さいから問題が目立たなくなるということもあろう。
また、Oスケールの大きさだからこそ、うまく行くのだろう。HOの大きさでは、径が小さい割に変位が大きく、難しいだろう。
角速度変化はないとは言えないが、全く検知できない。重負荷でも音は聞こえないのだ。その後、かなりの文献を調査したが、これに関するものはまだ見付けられない。祖父江氏のオリジナルなのだろうか。1987年に取り付けられている。
先例を見付けられた方は、お知らせ願いたい。
この頃は祖父江氏がチェイン・ドライヴで様々な試行をしていた頃だ。ありとあらゆるところに使ってその音と耐久性を調べていた。
コメント一覧
1. Posted by 妙高電鉄 2020年11月15日 19:02
こういう機構的なものに関してはかなり疎いので稚拙な質問となりますが、ご容赦願います。
「祖父江ジョイント」のイメージがうまく浮かばないのです。そこで思い出したのが「ED54のブーフリ式駆動装置の模型化する」です。
TMS1980年6月388号に掲載されていた井上豊氏の製作記事です。二つの円盤を2本ずつのピンでそれぞれ相手の円盤のスリットに差し込み、回転を伝えるような感じになっていました。
祖父江ジョイントはこれに近い構造なのでしょうか?
ピンが1本なので違うような気もするのですが。
「祖父江ジョイント」のイメージがうまく浮かばないのです。そこで思い出したのが「ED54のブーフリ式駆動装置の模型化する」です。
TMS1980年6月388号に掲載されていた井上豊氏の製作記事です。二つの円盤を2本ずつのピンでそれぞれ相手の円盤のスリットに差し込み、回転を伝えるような感じになっていました。
祖父江ジョイントはこれに近い構造なのでしょうか?
ピンが1本なので違うような気もするのですが。
2. Posted by dda40x 2020年11月15日 22:25
その記事をまだ見ていませんが、おそらくそれはオルダム継手だと思います。一般的なオルダム継手は擦れ合う凹凸の溝を持ちますが、その摩擦が無視できないので、井上氏はピン2本にしたのではないかと思います。
【確認しました。やはりオルダム継手でブーフリ風の動きをさせるものでした。第一、第四動輪が首を振るのが意外でした。少し無理をしています。】
【確認しました。やはりオルダム継手でブーフリ風の動きをさせるものでした。第一、第四動輪が首を振るのが意外でした。少し無理をしています。】
4. Posted by brass_solder 2020年11月16日 06:36
TMS516 1989年7月号に製品の紹介があります。
5. Posted by Tavata 2020年11月16日 09:05
祖父江ジョイントは金属製模型ならではの工夫ですね。
一見して分かるのが、ピンを中心に、相互の軸中心を食い違わせるモーメントが働くことです。
普通のジョイントならば反トルクにさえ対応すれば良い(つまり各軸が相互に捻れない構造ならば良い←トルクチューブなど)のですが、
このジョイントでは各軸の中心が相対的に変位しないような剛性に(つまりモーターやチェーンタワーの位置がズレないように)しなければなりません。
写真をみる限りモーターブラケット→床板→チェーンタワー基部→チェーン軸というコの字型の力の伝達で剛性を保つためにかなりの厚板を使われているように思えます。
ABSなどのプラのフレームではクリープしてしまって無理かと思いますが、Nや量産HOのようなダイキャストブロック式ならできるかもしれません。(が、この手の製品では、プラのジョイントで事足りるので、やらないでしょうね)
一見して分かるのが、ピンを中心に、相互の軸中心を食い違わせるモーメントが働くことです。
普通のジョイントならば反トルクにさえ対応すれば良い(つまり各軸が相互に捻れない構造ならば良い←トルクチューブなど)のですが、
このジョイントでは各軸の中心が相対的に変位しないような剛性に(つまりモーターやチェーンタワーの位置がズレないように)しなければなりません。
写真をみる限りモーターブラケット→床板→チェーンタワー基部→チェーン軸というコの字型の力の伝達で剛性を保つためにかなりの厚板を使われているように思えます。
ABSなどのプラのフレームではクリープしてしまって無理かと思いますが、Nや量産HOのようなダイキャストブロック式ならできるかもしれません。(が、この手の製品では、プラのジョイントで事足りるので、やらないでしょうね)
6. Posted by 一式陸攻 2020年11月16日 11:19
カツミのOjのC51でこの継ぎ手がモーターギヤボックス間に採用されているのを見たことがあります。
7. Posted by dda40x 2020年11月16日 22:20
brass-solder様
TMSの紹介記事を見ました。ズバリですね。フライホィールから生えたピンなど、全く同じでした。
あの頃は、まだ祖父江氏もKTMの仕事をしていましたから、こうすると良いよって教えたのでしょうね。一式陸攻さんの話も時期的に符合します。 やはりこれは祖父江氏のオリジナルと考えるのが妥当でしょう。
Tavata様
記事にも書きましたように軸重が大きな機関車でないと具合が悪いと思います。フレイムもリジッドでないと歪みが発生し、とんでもないことになるでしょうね。
TMSの紹介記事を見ました。ズバリですね。フライホィールから生えたピンなど、全く同じでした。
あの頃は、まだ祖父江氏もKTMの仕事をしていましたから、こうすると良いよって教えたのでしょうね。一式陸攻さんの話も時期的に符合します。 やはりこれは祖父江氏のオリジナルと考えるのが妥当でしょう。
Tavata様
記事にも書きましたように軸重が大きな機関車でないと具合が悪いと思います。フレイムもリジッドでないと歪みが発生し、とんでもないことになるでしょうね。
8. Posted by YUNO 2020年11月17日 04:52
ピンが2本あった方が回転バランスが取れやすいように錯覚しますが、工作の精度が悪かったり偏摩耗して2本のピンにかかる力が均等でないと、ピンが1本しかないのと同じ結果になるんですね。
これを見るまで気付きませんでした。
これを見るまで気付きませんでした。
9. Posted by YUNO 2020年11月17日 04:55
2枚目の写真でブレーキシューが独特の形をしていますが、これは実物も同じ構造なのでしょうか?
10. Posted by dda40x 2020年11月17日 21:56
1本で廻すということは振り回す力が働いているわけです。通常の継手とは全く異なる概念ですが、勘違いしている人は多いと感じました。
ブレーキシュウは実物もこのような形をしています。軽量化を図っているのでしょう。ただ、擦れる面はもう少し厚くなっています。今、本物の図面を探しています。
ブレーキシュウは実物もこのような形をしています。軽量化を図っているのでしょう。ただ、擦れる面はもう少し厚くなっています。今、本物の図面を探しています。