2020年03月20日

実感を与える

UP FEF3 久し振りにFEF3が本線上を走った。ここ3年はChallengerの牽くプルマン特急しか走っていなかった。Challengerにはminor problemが発生し、工場入りしている。マイナ・プロブレムというのは大したことのない故障であって、ごまかして使えないこともない程度であるが、完璧を期すために修理している。
 draw bar が外れやすいのである。坂の途中で外れると電気配線のソケットを引き抜いて、機関車だけがどんどん走っていく。当鉄道では機関車だけで両側集電しているから単独走行が可能であるからだ。ボールベアリングを装備しているので、タイヤからの集電ブラシを付けないと走らない。それを2組付けているのだ。サウンドは途切れてしまうから、切れたことはすぐわかる。

 テンダは機関車と同一極性にしてある。こうすれば、機炭間の無用なショートから逃れられる。10年ほど前、それをHOの友人に話したら大変驚いていたが、下らない昔の考えに捉われる必要などないのだ。
 ドロゥ・バァには斜めに切り込みが入れてあって、ワンタッチで連結できるが、その押さえのラッチ・バネが弱いのだ。すぐ直るが、あちこちついでに見ておこうと、休車扱いにした。すべての先輪、従輪、テンダ車輪は、既にLow-Dに替えてある。




 このFEF3は1985年にロールアウトして、おそらく1000キロメートルは走っている。日本で、いや世界で一番長距離を走った模型機関車かもしれない。自宅のレイアウトで、20年ほど、80輌牽かせて毎日1時間くらい走らせていた。山の手線と同じで、同一方向に走らせるとフランジが片減りするので、毎月初めに回転方向を逆にしていた。
 ひっくり返して見ると、従台車、テンダ―の車輪がかなり摩耗している。めっきがはげてブラスが見えている。フランジも形が良くない。直立に近づいている。これらはオリジナルのカツミ仕様であった。Low-Dに取り換える。動輪は一度も交換していないが、十分に持っている。鋼のタイヤだからだ。ボールベアリングはNMB製である。さすが日本製の高級品で、十分性能を保っている。ギヤボックスを開けて見たが、なんの問題もない。二硫化モリブデングリスは健在で、歯形も良い。

signals (5) この機関車を作るにあたって、本物を丹念に観察した。気が付いたのはキャブの下がり方と、除煙板の波うちである。前者についてはしばらく前に触れた。波うちは金床の上で木槌で丹念に打って再現し、内側には骨を付けた。配管も少し歪ませた。
 祖父江氏は、目ざとくそれに気が付いた。「でもねぇ、商品が歪んでいると、お客さんは買ってくんねぇよ。」
 実感的な歪みというものに、かなり興味を持ったようだが、実現には時間が掛かった。例のビッグボーイの配管は、実物の観察から、僅かの歪みを与えている。
「歪ませましたね。」と言うと「わかるかい。たいていの人は気がつかないと思うよ。その程度にしといたよ。」とのことであった。  

コメント一覧

2. Posted by むすこたかなし   2020年03月21日 09:02
お、これも(これが?)27列車ですね。
ヘビー級のプルマンばかりで、実物も編成重量がかなりありそうです。C62の「ニセコ」号とはえらい違いですね。

例の4-8-4がスリップしながら出発するところを見てみたいです。
3. Posted by ゆうえん・こうじ   2020年03月22日 10:13
塗装でウェザリングは市民権を得ましたが、実感的な歪みというのは表現が難しいですね。HOのEF13で実物のように側板を歪ませた表現の製品も発売されましたが、あまり評判がよくなかったようですね。モデルとしての美しさ、端正さと、実物の再現のバランスは、モデルの永遠のテーマだと思います。
4. Posted by dda40x   2020年03月22日 22:28
 27列車はサンフランシスコ行きの列車で、多客時には第一セクションから第三セクションまであったそうです。昔、第一こだま、第二こだまが走っていた時期があります。それと同じ考え方です。これはその第一セクションです。16輌ほどつないでいたので、大抵は重連でした。壮観だったと思います。
 
 歪みは場合に依っては必要なことだと思います。この機関車の除煙板は畳4枚以上の面積を持ち、製品はそれが完全平面でした。妙なものです。特に色を塗るとその奇妙さが増大しました。
 本物はべこべこで、そこまでやると気分が悪くなりそうでした。観察の結果、裏に骨が当っている部分に微妙な折れを入れ、それを叩いて補正しています。

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