2017年10月28日
続 物理的考察
先日博物館に、元国鉄で当時の新型特急の保守に当たっておられた高齢の方の来訪を受けた。現場をお見せすると、列車の規模にかなり驚かれたようだ。アメリカの鉄道には接することが無かったそうなので、それは当然だろう。
最初の質問は、「フランジの摩耗にはどのように対処しているか。」であった。実物はフランジで曲がっているのだ。それは当然だが、この博物館の模型は違う。
「模型の線路の曲率は大きいので、フランジが当たると抵抗が大きくて走れませんし、仰るように磨り減ります。ここではフランジの手前のフィレット部分を大きくして当たらないようにしています。」と答えた。非常に不思議そうであった。
実物関係者はだいたい同じ質問をする。実物と模型は違うのである。遠心力は無視できる。計算をするとすぐ分かるが、フランジに押し付けられることはない。同じだと思う人もいるようだが、実験しなくてもわかることだ。フランジが触るのは、ポイントで尖端レイルによって曲がる瞬間だけである。それも10番以上では、ほとんど触らない。
カント (superelevation) も然りである。これについては以前にも書いた。カントは単に見栄えを良くするだけである。
このように実物と模型は違うのであるが、自説を曲げない人はいる。走るところを見れば一目瞭然なのであるが、見たくないのだ。模型は実物と同じというファンタジィから抜けられないらしい。
ところでRM Models の最新号に、筆者の作品が載っているそうだ。関西合運の記事の右上の方にあるとのことだが、田舎に住んでいるので本屋がなく、まだ見ていない。
最初の質問は、「フランジの摩耗にはどのように対処しているか。」であった。実物はフランジで曲がっているのだ。それは当然だが、この博物館の模型は違う。
「模型の線路の曲率は大きいので、フランジが当たると抵抗が大きくて走れませんし、仰るように磨り減ります。ここではフランジの手前のフィレット部分を大きくして当たらないようにしています。」と答えた。非常に不思議そうであった。
実物関係者はだいたい同じ質問をする。実物と模型は違うのである。遠心力は無視できる。計算をするとすぐ分かるが、フランジに押し付けられることはない。同じだと思う人もいるようだが、実験しなくてもわかることだ。フランジが触るのは、ポイントで尖端レイルによって曲がる瞬間だけである。それも10番以上では、ほとんど触らない。
カント (superelevation) も然りである。これについては以前にも書いた。カントは単に見栄えを良くするだけである。
このように実物と模型は違うのであるが、自説を曲げない人はいる。走るところを見れば一目瞭然なのであるが、見たくないのだ。模型は実物と同じというファンタジィから抜けられないらしい。
ところでRM Models の最新号に、筆者の作品が載っているそうだ。関西合運の記事の右上の方にあるとのことだが、田舎に住んでいるので本屋がなく、まだ見ていない。
コメント一覧
1. Posted by ぱのらま7500 2017年10月28日 14:27
模型はOゲージであっても、曲線において車輪フランジはフィレット0.6R部分で軌条頭頂端まで当たらないという結果が出てます。
車輪の蛇行動は摩擦が小さいので、フィレットまで到達しないと思います。ただし模型的な大きな不整のある軌道では、台車の動きで当たることはあるでしょう。
車体下部に超小型カメラを設置して動画を送信してみると走行中の台車の動き、車輪の状態が良く見えるはずです。やると面白いと思いますが。
車輪の蛇行動は摩擦が小さいので、フィレットまで到達しないと思います。ただし模型的な大きな不整のある軌道では、台車の動きで当たることはあるでしょう。
車体下部に超小型カメラを設置して動画を送信してみると走行中の台車の動き、車輪の状態が良く見えるはずです。やると面白いと思いますが。
2. Posted by dda40x 2017年10月28日 19:05
遠心力は円周速度の2乗で効きます。実物より急曲線で、多少速いけれども、殆ど響きません。
本物の感じというのは、模型では形だけを表しているのですね。
本物の感じというのは、模型では形だけを表しているのですね。
3. Posted by もんたろう0321 2017年10月28日 22:27

最近、電車好きの2歳の息子のために色々調べているうちに、Giants of the Westに出会いました。
そしてdda40xさんの記事に触発され、鉄道模型は単に情景を再現して楽しむだけでなくレイアウト制作を通し歴史を学び、模型製作を通して物理や化学知識にリアルに触れることが出来る、素晴らしい趣味だと気付かされました。
今は息子が好きな新幹線・京急・箱根登山(何故か標準軌ばっかり)を、Oスケール(32mm)で楽しみながら少しずつ模型化したいと思っています。Oスケールにしたのは、HOでは仕組みを再現するには小さすぎると感じたからです。
作成するにあたり、模型の足回りはLow-D車輪で統一したいと思い入手したいのですが、どのようにすれば可能でしょうか?
蛇足:
以前の記事に、小さい子は列車を手で押せないとダメとありましたが、ウチの子に関しても全くその通りです!
手で押せないとイライラして直ぐに捨てちゃいます。
手で押せると、車輪の動きを寝っ転がって熱心に観察します。
4. Posted by dda40x 2017年10月29日 10:21
コメントありがとうございます。
鉄道模型は工学のみならずその基になる理学を理解すればもっと素晴らしいものが出来ます。
鉄道は必要性があって作られるものですから、地政学が大いに関係があり、歴史上の要請があるわけです。それも追及すると楽しいですね。ただ汽車が好きでは、偏った趣味になってしまうでしょう。
Low-D車輪は、別便で連絡差し上げます。
鉄道模型は工学のみならずその基になる理学を理解すればもっと素晴らしいものが出来ます。
鉄道は必要性があって作られるものですから、地政学が大いに関係があり、歴史上の要請があるわけです。それも追及すると楽しいですね。ただ汽車が好きでは、偏った趣味になってしまうでしょう。
Low-D車輪は、別便で連絡差し上げます。
5. Posted by 一式陸攻 2017年10月29日 16:48
分岐器の尖端レイルではフランジが触れることがあるというのは単純に急カーブであるからですか。
ぱのらま7500様
5インチゲージや実物のそのような動画をyoutubeで拝見したことがあります。
ぱのらま7500様
5インチゲージや実物のそのような動画をyoutubeで拝見したことがあります。
6. Posted by dda40x 2017年10月30日 11:18
直線運動していたものに、突然横から加速度を与えるのですから、当たります。あるていどの曲線を走っていたものは、フィレット面を少し登って定常状態になっていますから、当たりにくいでしょうね。