2016年07月21日

続 ハンダ付け時の押え

「塩化亜鉛水溶液を薄めたものを使っても、撥ねたりしない」と書いて来た人があった。その人は飛沫が飛んでいることに気付いていないだけであって、飛んでいないとは言えない。詳しく伺うと、ピチピチ音がしているそうで、それは撥ねている証拠そのものである。

 中学生のころからハンダ付けは塩化亜鉛を使ってきた。薬品は少量しか手に入らなかったから、薄くして使った。付くには付くが、 細かい飛沫が飛び散って、周りの糸鋸、ヤットコ、ヤスリが錆びた。そんなものだと思っていたが、大学生になると塩化亜鉛が豊富に使えて、その飽和溶液でのハンダ付けは、それまでとは全く異なる様相を示した。

 音もせずハンダがつるりと浸み込むのは、見ていて気持ちが良い。周りに飛び散ることは全くない。試しに、周りにヤスリを並べてハンダ付けしたが、錆発生の痕跡もなかった。

 これは使える、と思った。その後いろいろな人にそれを伝えたのだが、誰も興味を示さなかったので、最近は黙っていた。ところが、今回今野氏のブログでそれがかなりの盛り上がりを見せたので、発言者としては妙な高揚感を得ている。  

 筆者は商売柄、全てのことに疑問を持つ。本に書いてあることなど、ほとんど信用しない。条件を変えてテストし、起こる現象の分析をする。世の中にはずいぶん間違いというものが存在するものだ。高校の化学の教科書ですら、怪しい話が無数に載っているのだ。筆者の指摘で随分と是正されてはいる。

 ハンダ付けはクランプで締めて行うというのも、場合によっては失敗の元になる。締め付け過ぎることがありうるのだ。ハンダ付けの隙間は 0.03 mm程度が具合が良い。クランプで締める前に、何らかの方法で隙間を空けねばならない。先回書いたように、片締めになる惧れもある。そういうことを考えると、3本足の押えはなかなか大したアイデアである。板同士の接着時には、ブラス板に細かい傷をつけて、その「めくれ」で、隙間を確保する。この状態でクランプで締めると、うっかりしてその「めくれ」をつぶしてしまうこともありうるのだ。

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