2012年01月24日
またまたGP30



この平面図をみるとキャブの中の配置がよくわかる。件の配電盤はやはり飛び出していて、斜めにはなっていない。
これはUP仕様で、左右が非対称である。 助手席側に二席設けてある。これはRoad Foremanを乗せる席である。今はどうなっているか分からないが、蒸気機関車の時代から、その線区に詳しい人間を乗せている。側線の長さとか、信号の位置を熟知している人である。場合によってはBrakemanでもある。ディーゼル電気機関車であるから、機関助士は要らないのだが、組合の要求で乗せていた。
Brakemanというのは日本人には分かりにくい概念で、列車の切り離しなどを行った人達である。駅や信号場には最低限の人しかいないので機関車を切り離したり、列車が側線に入った時ポイントを切り替えて本線を開通させるのが仕事である。 戦後はCTCが装備されたので意味を失った。Big Boyの時代には、キャブに4人乗っていたことが多い。この1980年代はUPにとって大きな変動があった。カブースを廃して、機関車に多人数を乗せるようになったのだ。
このキャブの平面図を見ると、二席あってもまだ余裕がある。椅子は多少動かせるようになっているのだろうが、少々空きスペイスが大き過ぎるように感じる。しかもこの側の後ろのキャット・ウォークに出ることは、扉が無いからできない。何か予備の椅子でも置いたのだろうか。
キャット・ウォーク下のモータ冷却用のダクトであるが、Fireman's Sideは上から押し込むダクトが見えるので問題ない。はたして機関助士側から機関士側へと通じるダクトがあったのだろうか。機関士からの見通しの問題で、送風機の張り出し(bulge)は助士側に付けたはずだ。
筆者は、Engineer's Sideのダクトはダミィと見ている。単に意匠上の問題で、左右を対称にしたのではないかと思っている。GP35以降はダクトは片側だけである。対称性を良くしようと思うのなら、キャット・ウォークの非対称も避けるべきことの一つではないかとも思えるのである。
キャブの非対称は、左右を同時に見ることができないので、許せる範囲にあるのだろう。