2012年01月10日
GP30


GP30は印象深い機関車である。それまでのGP20番代の機関車に比べ、意匠が大きく異なる。
前面が空気を切り裂くように斜めになった(slanted)キャブ、それからエンジンフッドまでつながる意匠を凝らした造形に強く惹きつけられた。あたかもライオンのたてがみのような感じがした。
このデザインはこの機種だけであり、EMDの標準キャブとなったGP35以降とは大きく異なる。このデザインは、明らかに自動車のデザイナが関与している。当時の自動車のデザインと相通ずるところがある。
1973年に初めてこの機関車と対面した。その時はGP35が標準機としてかなり走っていたが、この独特の形がはっきり眼の奥に焼き付いた。市販品があったようだが、数が少なく手に入りにくかった。いずれ入手しようと思っていたが、難しかった。自分で作ることも考えたが、この形を再現しようと思うと、かなり正確な図面が必要で、その敷居の高さに二の足を踏んでいた。もう実物の保存機も少ないから、写真を取りに行くのも難しい。
しばらく前、e-bayオークションで見つけたのは上廻りだけであった。筆者としてはそれで十分であった。下廻りはUS Hobbies時代のGP35のものがたくさんある。それに載せて少々加工すればよいと思って、競り落とした。数が少ないものは競争が厳しく、決して安くはなかったが、手に入れて久しぶりに幸福感があった。
売主はカナダ人で、日本に送ってもらうのはとても高かった。アメリカへなら安いので、テキサスの友人宅に送ってもらい、それを持ち帰った。
模型は韓国のAjinの製造で、インポータは Overland Models であった。時代としては1990年頃であろう。出来が良いとは期待していなかったが、手に取ってみると愕然とすることがある。
外観はさほどおかしくない。たぶん多数の図面、写真を手に入れて作業を始めたのであろう。それなりに良くできている。板が薄いのは残念だが、許せる範囲にある。
問題はキャブの中である。伊藤剛氏は、「室内は室外である。」という名言を残されている。外から見えてしまうところはそれなりに作れよ、ということなのである。