2010年02月14日

イコライザの設計 その5

Mikado suspension proposal こんなイコライザはどうだろう。これはヨーロッパのアイデアらしいが、途中の何軸かをイコライザ群から外すという手である。これらは動軸であるので、バネで軸重を十分に掛ける必要はある。この構造は実物にもある。走行安定性だけを考えるなら、パシフィックやミカドなどに使える手である。手持ちの機関車につけてみるつもりである。この図中、オゥヴァハングの起点がイコライザ支点とずれているのは力学的な等価点を考えれば当然である。
E Tank Suspension 国鉄のEタンクの 4110 はこれを採用しているらしい。もし、Eタンクが2軸と3軸のイコライズであれば、非常に不安定になることは明らかだ。
 この方法では前後のオゥヴァハングが小さくできる。途中の二軸の動輪のバネを弱いバネで長くすると圧着力を稼げる。支点が遠く離れるので、走行安定性は素晴らしい。中間軸のバネはストロークを長くせねばならない。このあたりのことは高校の物理の教科書をよく読む必要があるかもしれない。この方法ならば、折れ勾配にはとても強くなる。

 我が国の鉄道模型を見ていると、どうも「実物の写実主義」を前提としているように感じる。本物とは全く異なる折れ勾配、段差、急曲線、緩和曲線なし、緩衝性の無い線路、広いゲージ、太いタイヤ、高いフランジという条件で走らせているのにもかかわらず、である。
 本物通りというのはほとんど意味を持たない。上に述べたような条件下で良く走る模型というのは何かを考えなければならない。筆者が先台車の復元装置の必要性にこだわるのは、そういうことである。

 固定軸距離の大きな機関車、たとえば4-12-2などはこの方法が最も有効であろう。通常のイコライザでは折れ勾配に対応できない。いずれ改装することになる。三気筒で復元装置を含めたイコライザの設計は難しいが、やる価値がありそうだ。

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コメント一覧

1. Posted by ヴェルトロ   2010年02月15日 03:10
 先日、はじめて模型を拝見しました。手作りの重厚感、見えないところに心血を注がれたエンジニアリングと作り手のフィロソフィー、大変勉強になりました。
 トレビシックから連綿と続く、時代のテクノロジーでありつづけた鉄道、それを模型化して世界を形成するという貴族的な趣味の本流において、今後ともこのブログでモノ作りと工学のフィロソフィーをご教授いただけますよう、お願いします。
 これからもご記事を楽しみにしています。
2. Posted by 秋田マン   2010年03月22日 01:42
3 『本物とは全く異なる折れ勾配、段差、急曲線、緩和曲線なし、緩衝性の無い線路、広いゲージ、太いタイヤ、高いフランジという条件で走らせているのにもかかわらず』、どうして、上回りは『実物の写実主義』を前提とするのでしょうか?塗色やロストパーツやパイピングの取り回しやリベットに拘ったりして、「外に見える外皮だけを再現する」のがスケールモデルなのですか?あまり見えない足回りはスケールでは無いですよね。

・・・・見えるところだけスケールモデル(実物の写実主義)にして、実物と同じような挙動をするようにするということが、スケールモデル?では逆に、採寸をスケールにして、挙動を無視するのもスケールモデルですよね?・・・・

どっちもどっちのような気がします・・・。つまり、【挙動が限りなく実物に近く見える(かもしれない=実際は何をしても条件も機構も違うので一目瞭然,挙動も異なる)】v.s.【実物の写実主義の足回りは実物のスケールモデルである(かもしれない=実際,挙動は実物と異なるものになってしまう)】

(((この対比の外側には、実物と「機構だけ」は同じにしようするライブスチームがありますネ)))

そのココロは?=(イコール)「どちらも(すべて)サイズと材質と機構が違う『おもちゃ』だから。」あの人たちも、こちらをわからないのでしょう。こちらと同じように。

(『実物の写実主義』=本物とは全く異なる折れ勾配、段差、急曲線、緩和曲線なし、緩衝性の無い線路、広いゲージ、太いタイヤ、高いフランジという条件、実物のそれより遥かにレベルの低い工学知識・工学経験・エンジニアリング・鉄道工学の実践経験無し・・(独りでできるレベルだもんネ)、なんだか良く分からなくなってきましたが、でも色々考えていると、どれも等しく愚行権ですね。自分が拘っていることをわからない人を、嗤ってはいけないことが解りました。
3. Posted by BBBB   2011年07月12日 19:48
この秋田マン氏のコメントは何度読んでも分からないですね。
愚行権の意味も取り違えているように思うし…。
このブログの筋を読み違えていますね。

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