2009年07月20日

すくい角

Rake Angle 刃物が被切削物(ワーク)に当てる時、「すくい角」(Rake Angle)を何度にするかはワークの材質によって異なる。今回の座グリドリルは0°である。これは祖父江氏の指定による。

 相手がブラスのときはすくい角を0°付近に持っていくと良い。すくい角を大きくすると食い込んで刃物を折ることがある。筆者のドリルビットはすべてブラス用にすくい角を小さく加工してある。これは友人の機械加工屋さんの助言による。ダイヤモンドの工具で刃先をほんの少し垂直に削ってある。ブラスはよく切れるが、それで鋼板に穴をあけるのは非常に難しい。

 相手がアルミのときは、「すくい角」をマイナス(要するにこの図では左に倒す)にするとよいらしい。こうすると切り粉が刃物の先にこびりついて切れ味を悪くする(構成刃先という)ことからのがれられる。

 「逃げ角」(Clearance Angle または Relief Angle)は3°である。これがないと切れ味が悪い。

 発注先の工場は、不思議そうな顔をしていたが、できた製品を使ってみて、使いやすく良く切れるドリルだと感心していた。
 材料は刃物を作る鋼材で、焼きが入ると極端に硬くなる。カミソリを思い浮かべて戴けばよい。ハイスよりも硬い。ブラスを削るときは、油は必要ない。
 ただし、焼きが戻らない範囲でしか使えないことは承知していなければならない。つまり、軟鋼板を削るときには切削油を流しながらでないと、一瞬で鈍って(なまって)しまう。 

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