2007年06月28日

続 1941 

 私の最初のStudent Trip(職業訓練のための体験乗務)は、ただ好奇心によるものであった。しかし、父Richardが、スロットルを開けた瞬間、ハマってしまったのである。
 
 その日のことは、今でも昨日のことのように思い出せる。私は父のことがとても自慢であった。家に居るときは、ただうろうろと歩き回ったり、ゴミを捨てに行けというだけの人であったのに、機関士の席に座った瞬間、その小男が列車のすべてをコントロールする。私はそれに感銘を受けたのである。

 前にも触れたが、その時代の機関士というものは傑出した人ばかりであった。ただ、機関車の右側に座っているだけの人ではない。罐焚きも制動手も敬意を持って接していた。

 機関車を走らせながら、父は罐の焚き方についてのたくさんのアドヴァイスをしてくれた。そのとき習ったことには、間違いは一つもなかった。彼は私に自信を与えてくれたのだ。彼の仕事に対する姿勢は素晴らしかった。

「畏れるな、侮るな。いつも先手必勝だ。正しい方法で機関車に石炭をくべろ。」である。彼の石炭のくべ方のこつは、単純である。ストーカの個別のスティーム・ジェットを触ってはいけない。メイン・ジェットだけを調節せよというものであった。下手な罐焚きは、あちこち触って駄目にする。その通りだ。

 「煙突を見よ。その煙の色がよくなるようにメイン・ジェットを調節するのだ。」全くその通りで、私は罐焚きで失敗したことはほとんどない。



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