2007年01月13日
失職

その脱線事故はBitter Creekの西2マイルほどのところで起きた。川は線路をくぐって流れていた。その日、Richardは機関車2台で牽く、後の機関車を担当していた。重連の補機を運転していたのである。
川の水位が高いという警告は受けていた。土手は水で緩み、機関車が横転して、本務機関車の罐焚きが死亡した。二台目の機関車の運転台からは線路の様子などほとんど見えやしない。しかし、鉄道会社は二台の機関車の機関士の双方に、均等に前方注意義務があるとし、停職とした。ということは、補機の機関士もその土手が緩んでいるかどうかを確認しなければならないことになる。
これは鉄道会社の方針で、機関士には均等に責任を負わせるという先例を作りたかったからであると思われる。これはおかしい。Dispatcher(列車指令)が列車を停め、線路の安全を何らかの方法で確認してから列車を発車させるべきであった。機関車の加減弁を動かして汽車を走らせている時に、「線路が緩んでいることを察知して停めよ」と言えるはずがない。
六ヶ月の後、Dick(Richardの短縮形)は許されて乗務に戻った。溝堀りはつらく、収入は少なかった。Dickは二度と事故を起こして停職になるまいと決心した。
そのお陰で、Dickは安全運転に努め、事故を起こすことはなかった。