2006年12月25日
Acoustics

吉岡氏はオーディオの趣味もお持ちで、音にはたいへんうるさい方である。たくさんの試作品のなかから、天然ゴムの薄板が効果があることを見つけ出された。写真は天然ゴムの板の上にフレクシブル・トラックを置いたタイプである。カントがついて持ち上がっている様子がお分かり戴けよう。
レイルをゴムでくるんでみたり、スポンジの上に張ったりして工夫されたそうである。しかし、ゴムの板の上にフレクシブル・トラックを置いたものがベストであったそうだ。
しかし、天然ゴムを道床の砂利型に切るのは至難の業である。これは押し出し成型以外ない。
そんな時、土屋巌氏が助け舟を出して下さった。土屋氏は自動車業界にいらっしゃる方で、天然ゴムと同等の性質を持つ、軟質ポリ塩化ビニル PVC の押し出し品を提供して下さったのだ。
ポリ塩化ビニルは耐光性に優れ、直射日光下でも20年以上持つ。また、寸法精度もよく、我々としては願ったり叶ったりであった。そんな訳で、土屋氏も仲間に入って戴き、4人で300本くらいの道床を発注した。
組み上がって納品されたものには直ちに塗料を塗り、安定化させた。ジグによりレイルの位置を合わせて作れば、どの部材も必ず合うようになる。即ち、組み立て時に番号順に組合わせるということから解放される。緩和曲線だけ長さが違うので識別は容易である。
組み立てるときは箱から出して、適当ににつなげば完成だ。収納はもっと簡単で、抜いて積み重ねれば終わりである。この積み重ねにも工夫がある。カントが付いていると、片方のレイルが高い。接続金具に当たるといけないので、金具を取り付けるネジは皿ネジを用いて沈めてある。
机の上に並べると道床の高さがほどほどで見栄えがする。また、庭の芝の上に敷くと適度に沈んでなかなか良い感じである。
音は低周波がよく聞こえて、鉄道模型をよく知らない方からも、「いい音がしますね。」と言われた。
魚田氏と筆者は二人で複線になるように発注したのに、あの地震でそれも叶わなくなった。