2006年12月20日
centerbeam flatcar

一般にフラット・カー(床面が平坦で重いものを載せる貨車)は、積荷に比べて自重が大きい傾向がある。床を平らにすると撓むので、床下を補強せねばならない。結果として骨組みが太くなり重くなる。ゴンドラ・カー(いわゆる無蓋車)は日本と違って側面のあおり戸が動かない。つまり側面を耐力壁として強度を確保している。このため、軽い自重の割にある程度の重量物を載せることができる。
ゴンドラ・カーで動くのは妻板だけである。妻板は大抵内側に倒れる。長尺物はこうして次の貨車にまたがって載せる。
フォークリフトで物を載せるのであるなら、フォークの長さはせいぜい貨車の幅の半分までである。それなら両方から載せればよいわけで、中心部に壁があっても困ることはない。荷台を中心に向かってやや傾けてあるので荷崩れの心配が減少する。ドンと突き当ててフォークを抜けばよいので積むのも簡単である。
積荷は、キルン・ドライ(乾燥炉で処理)の2x4材が大半で、傾いて困るものでもない。
フラット・カーの床下の構造物を壁にして全長に通せば、耐力壁としては最高である。しかも高さがあるのでより丈夫になって長いスパンでも耐えられる。衝撃で積荷が進行方向にずれるのを防ぐために、バルク・ヘッド(隔壁とでも訳すのだろうか)が両端にある。バルクヘッドはセンター・ビームが倒れるのも防いでいて、一石二鳥である。
このような発想でセンタビーム・フラット・カーが開発された。結果として単なるフラットカーより軽くて長く、より重い貨物を積める貨車が出来上がった。
しかも荷物に掛けるワイヤもセンタビームの中に納められていてオペレータ1人で仕事ができるようになっている。
この開発の過程を読んでどうしても欲しくなり、作ろうと思っていたら韓国のメーカが作ったのでその試作品を貰ってきたのがこれである。どういうわけか、極めて重い車輌である。よく考えて作れば、実物同様軽くできるはずなのに、厚い板を使ってあるからだ。仕方がないので、貨車といえどもボールベアリングを入れた台車を使っている。
今の水準ではよくできているとは言い難いが、興味深い車輌ではある。