2006年12月08日
ショック・アブソーバ付き車輌

80輌もあると、連結器が本当に伸びるのが分かる。この伸びというのは、スプリングが伸びるのを指しているのではない。『ナックルの材料が撓む量を158倍すれば目に見える』ことを指している。列車の最後尾を手で引くと、そのたわみが実感できるのだ。約3 mm程度伸びる。
逆に、減速時は連結器の遊間が縮むのでガチャガチャと音を立てる。実に楽しい音で、それを聞きたさに運転するといっても過言ではない。加速に比べて減速は加速度が大きくなりやすい。運転上の問題で急停止することがあるからである。そんな時、長い編成の後ろの方から大きな力で押されることになる。カーヴに差し掛かっていると、数輌の貨車が押し出されることがある。
貨車の数が増えてきたとき、ショック・アブソーバつきの車輌を作るべきだと気が付いた。ストロークを大きくして、エネルギを吸収すれば事故は減らせるはずであると確信した。
いろいろな工夫の後、ブラスの角パイプに密着して滑り込む、もう一つの角パイプをピストンにした「エア・ダンパ」を設計した。押し込むときの空気の逃げ場所は細い穴とし、それを薄いリン青銅板で押さえて、リード・バルブとした。戻るときに吸い込む空気は、角パイプの隙間からの吸気である。この構造は、学生時代に乗っていたスズキのバイクのダンパを参考にした。角パイプにしたのは回転させないためである。
5つほど作って、調子の良い物を選んで、残りは捨てた。エア・ダンパはオイル・ダンパーに比べ、メンテナンスが楽である。油が漏れることもない。今はR/C用のオイル・ダンパが安く手に入る時代である。多分信頼性も高いだろう。
貨物列車の中に20輌に1輌くらいの割合で紛れ込ませておくと、よほどのことがない限り脱線はしなくなった。
もちろん機関車が押して動くギヤを採用しているから、停電時に機関車がつんのめることがないというのも大きなファクタである。