2006年11月29日
ウォームギヤ と スパーギヤ
筆者がなぜここまでウォームギヤにこだわるのか。他のギヤで「押して動く」のでは満足できないのか。Model Railroaderへの投稿原稿にも書いたが、最大の利点は、食い違い直角伝導であるということだ。ギヤボックスの設計、製作が容易で、小さくできる。
スパーギヤでは歯車は大きく、モータは吊掛け方式にならざるを得ない。佐藤昌武氏の名作C53はスパーギヤが動輪の内側に密着して取り付けられている。ギヤボックスはとても作りにくい。油の飛散を防ぐのは困難だ。また、たとえイコライズしても、軸重の均等化は無理である。モータもあまり大きいのは使えない。一段ではギヤ比が足らないので2段以上にせねばならない。電気機関車のような各軸モータであっても、イコライズの問題以外、それは同じことだ。筆者は、油が飛散するような車輌が自分のレイアウトに進入するのを極端に嫌う。レイルが汚れて集電が悪くなるからだ。
ベベルギヤはギヤボックスの設計が難しい。製作はもっと難しい。目的に合う歯車を製作してくれる工場を探すのも難しい。また、機関車への収まりも、ウォームギヤほどうまくいかない。実は祖父江欣平氏が試作してくれたベベルギヤ･ドライブの機関車もあるが、横から透かして見たときのシルエットが良いとは言えない。
おそらく、スパーギヤ、ベベルギヤの効率は90％近いだろう。二段なら80％だ。ウォームギヤが70％として損失はかなり違うが、その分大きなモータが楽に入るメリットがある。
最後に音の問題がある。ウォームほど静かなギヤはない。理論的にはバックラッシュをゼロにすることもできる。蒸気機関車がわずかでもジコジコとギヤの音をさせて走るのは、興醒めだ。筆者はサウンド装置を搭載しているので、余計に音には敏感である。その点、ディーゼルは多少の音があっても許される。
ところで気になっていることがある。皆さんの模型のギヤボックスには、動輪の駆動に伴う反トルクを受けるトルクアームまたはトルクチューブがついているだろうか。昔からTMSなどに発表される作品でこれがついているのをめったに見ることがない。怪しげなシリコーン・ゴム・チューブで繋いでお仕舞いというのが多い様に思う。これでは前進・後退で調子が違うのも当たり前である。
コメント一覧
1. Posted by HO人 2025年01月26日 16:11
このブログの最初の段階から、静粛性やトルクアーム、シリコーンゴム-チューブの話をされていたのですね。世の中はちっとも変わりません。どうしてなのでしょうか。
2. Posted by 一読者 2025年01月27日 22:54
先ずは、模型メーカーや模型誌の編集者に、現状の走りや音の発生を問題と考える人が居らず、業界として興味を持たなかった事が大きな要因と考えられます。
またユーザー側では
� 崋楕�通り」に付いている細かな外観の作り込みを重視する人が多く、模型を走らせることに主眼を置く人が少なかった。
��伝導用として、設計が正しいとは言えないウォームギヤ、不適切なゴムチューブ、間違ったユニバーサルジョイントのみが供給されていたため、模型から音がするのは当たり前で改善の余地が無いと考える人が多かった。
�Ｋ椒屮蹈阿瞭票圓任癲�Oゲージだから可能だと思い込む人が多く、dda40xさんへ走りを改善する方法について相談する人が少なかった。
等が考えられます。いずれにしても本記事からも既に20年近く経とうとし、真鍮製模型の廃れ方を考えると、この間の損失は取り返しがつかないかもしれません。
またユーザー側では
� 崋楕�通り」に付いている細かな外観の作り込みを重視する人が多く、模型を走らせることに主眼を置く人が少なかった。
��伝導用として、設計が正しいとは言えないウォームギヤ、不適切なゴムチューブ、間違ったユニバーサルジョイントのみが供給されていたため、模型から音がするのは当たり前で改善の余地が無いと考える人が多かった。
�Ｋ椒屮蹈阿瞭票圓任癲�Oゲージだから可能だと思い込む人が多く、dda40xさんへ走りを改善する方法について相談する人が少なかった。
等が考えられます。いずれにしても本記事からも既に20年近く経とうとし、真鍮製模型の廃れ方を考えると、この間の損失は取り返しがつかないかもしれません。
3. Posted by dda40x 2025年01月28日 00:05
確かにもう手遅れの感はありますが、貫名氏はじめ精力的に高効率伝動を広めて下さる方が現れました。先日お会いした方は、高効率を搭載した機関車が起動するところを見て「奇跡だ。」 とおっしゃいました。押したら前照灯が点いたので仰天しました。
このギヤはもう40年も前に発表されているのです。しかも特許をとらずに公開しているのですから、誰でも作れたのです。不思議なのは真似をしたものが発売されたのですが、まともなものが出て来なかったことです。聞けば教えて差し上げたのに、下らぬ工夫をして間違っているのです。もったいないことでした。その不具合を見て「駄目だ」と決めつけた人が多かったように思います。
シリコーン・チューブについては比較実験を誰もしなかったのが原因でしょうね。最近、当ブログ以外でやった人が居ると聞きましたが、無負荷なのだそうです。それは何の価値もありません。
自然科学を理解せず、他人の評価しか判断基準にない人が大半だったということでしょう。残念ながら私はHO模型には知識がなく、改善には取り組まなかったのですが、能力のある方によってその応用がかなりの規模で実現されています。
反トルクを承けるということを殆ど誰も考えもしなかったのはいまだに理解できません。小さくても機械だという認識が無かったのです。
今後模型界はどのようになるのでしょうか。
このギヤはもう40年も前に発表されているのです。しかも特許をとらずに公開しているのですから、誰でも作れたのです。不思議なのは真似をしたものが発売されたのですが、まともなものが出て来なかったことです。聞けば教えて差し上げたのに、下らぬ工夫をして間違っているのです。もったいないことでした。その不具合を見て「駄目だ」と決めつけた人が多かったように思います。
シリコーン・チューブについては比較実験を誰もしなかったのが原因でしょうね。最近、当ブログ以外でやった人が居ると聞きましたが、無負荷なのだそうです。それは何の価値もありません。
自然科学を理解せず、他人の評価しか判断基準にない人が大半だったということでしょう。残念ながら私はHO模型には知識がなく、改善には取り組まなかったのですが、能力のある方によってその応用がかなりの規模で実現されています。
反トルクを承けるということを殆ど誰も考えもしなかったのはいまだに理解できません。小さくても機械だという認識が無かったのです。
今後模型界はどのようになるのでしょうか。
4. Posted by たかひろ 2025年01月28日 10:54
実物含む鉄道趣味界全体に情緒的な人が多く工学的関心を持つ人が少ないのが根本原因ですね
学校の理科教育にも責任の一端は有りそうで保存蒸機を見に来て「何で水を積んでるのか」と訊く人が後を絶たないそうです
模型で言えば実物との僅かな差異を「エラーだ」と騒いでクレーム付ける人も多いとか
かと思うと店頭の試走のみで満足して購入後は化粧箱に詰めたまま何十年も保管（放置）するうちにスポンジが劣化して塗膜にこびり付くなんてコトもまま有るようで
当方は10年前に模型に復帰して中古品再生／加工で楽しんでますので（もちろん走らせてますよ）新品同様の品物が適価で入手できるので嬉しい面も有ったりします
学校の理科教育にも責任の一端は有りそうで保存蒸機を見に来て「何で水を積んでるのか」と訊く人が後を絶たないそうです
模型で言えば実物との僅かな差異を「エラーだ」と騒いでクレーム付ける人も多いとか
かと思うと店頭の試走のみで満足して購入後は化粧箱に詰めたまま何十年も保管（放置）するうちにスポンジが劣化して塗膜にこびり付くなんてコトもまま有るようで
当方は10年前に模型に復帰して中古品再生／加工で楽しんでますので（もちろん走らせてますよ）新品同様の品物が適価で入手できるので嬉しい面も有ったりします
5. Posted by dda40x 2025年01月28日 17:08
蒸気機関車に水が必要ということを学校で教える必要が生じて来たのですか。学校の先生も大変ですね。
電車の架線は何のためにあるのかも教えなければならないとなると、模型の2線式はいったい何だということになりそうです。すごい時代になりましたね。
電車の架線は何のためにあるのかも教えなければならないとなると、模型の2線式はいったい何だということになりそうです。すごい時代になりましたね。
