2006年10月22日
湯口

鋳型の一番高いところから注ぎ込んで、製品にならなかった部分がそこに残る。
湯口にはもろもろの不純物が濃縮される。ブラスの場合は埋没材と反応して、亜鉛分の少ない部分が残ることになる。スラグ(ノロ)も含まれている。
一般的に言えば、湯口は捨てるのが賢明だ。しかし、ベリ銅はそのまま何度でも使える。これが非常に大きな利点で、今まで述べてきた諸事情を考慮すると、ベリ銅による鋳物が最も簡単かつ経済的で高品質であることになる。
最近戴いたメイルによると、日本製のロストワックス部品にも赤い材質の物があり、やや硬いのでベリ銅ではないかと言う指摘である。現物を見ていないのでなんともいえないが、その可能性は高い。
亜鉛を含む鋳物はダイカストのような高圧をかけるもの以外はうまくいかないと考えるべきであろう。事実、見掛けはよくても拡大してみると、細かい気泡がある鋳物が多い。
最近、日本国内の工業的な規模でのベリ銅の消費量はいちぢるしく伸びが大きい。プラスティック成型用型材としての利点が分かってきたからであろう。アメリカに遅れること20年である。
模型材料として、色の点を除けばよいことばかりである。しかし、「ブラス模型は全て金色でなければならない」というのはおかしな思い込みである。部分的に洋白を使うのはよくても「銅の色は許せない」と言うのはおかしい。洋白の色は鋼の色とは違うので玩具っぽく見える、と筆者は感じる。
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コメント一覧
1. Posted by 森井 義博 2006年10月22日 23:09

私は、22年程前にばね用の素材としてベリリウム銅を知りました。
ベリリウム銅の板はばね性が非常に優れています。
0.08mm厚のベリリウム銅板を集電シューとして使用したら、今までの集電不良が嘘のように改善されたことがあります。
また、強度の強い直線が欲しかったのでΦ0.6のベリリウム丸線を特注した事があります。
ベリリウム銅の大きな欠点は、高価な事ですね。
2. Posted by dda40x 2006年10月23日 10:15
森井様 コメントありがとうございます。
ベリ銅板を集電ブラシに使う件はina様も発表されています。ベリ銅が模型材料として大いに利用されるように、啓発運動をしていきたいと思います。
ベリ銅は、自動車工場等の自動溶接ロボットの電極として使われています。クロム銅の時代もありましたが、今はベリ銅が主流です。中が中空になっていて冷却用の水が通るようになっています。近くの工場でそれを作っています。切り粉が金色になり異常な硬さを示します。まさに熱処理をしているわけですね。
ベリ銅板を集電ブラシに使う件はina様も発表されています。ベリ銅が模型材料として大いに利用されるように、啓発運動をしていきたいと思います。
ベリ銅は、自動車工場等の自動溶接ロボットの電極として使われています。クロム銅の時代もありましたが、今はベリ銅が主流です。中が中空になっていて冷却用の水が通るようになっています。近くの工場でそれを作っています。切り粉が金色になり異常な硬さを示します。まさに熱処理をしているわけですね。