2006年10月10日

塩が錆を作るが・・・

b8fd30ca.jpg 塩は錆のもとである。塩水を浴びると鉄は錆びやすい。しかしそうでもない場合がありうる。塩化マグネシウム(にがり)を含まない塩水では鉄はかなり錆びにくい。すなわち、塩化ナトリウムだけの岩塩を使う分には錆が少ないことが立証されている。要するに海塩を使うと具合の悪いことが起こるというわけである。
ドイツでは岩塩が取れるのでそれを撒いても鉄が錆びにくいそうだ。日本でよく用いられる塩化カルシウム(冬になると高架橋や交差点に置いてある)は、最近純度が上がったので問題がないが、以前はマグネシウムを含んでいていろんな問題を引き起こしていた。

 塩分濃度が高いとどうなるかという実験結果も出ている。興味深いことに、海水程度の3.5%くらいの塩水中の腐蝕が、一番激しい。どんどん濃くしていくと、錆びにくくなる。酸化剤としての酸素の溶解量が減るからであろう。

 住んでいた町の近くの塩湖に塩田があり、そこに遊びに行くと、ブルドーザがエンジンルームだけ水面から出して塩を押しているのに出くわした。キャタピラが完全に水没する深さで飽和食塩水に浸かっているわけだ。ここの塩田は太陽光の吸収がよくなるように、塩水の中に青緑色の染料を溶かしていた。意外なことに、キャタピラ、スプロケットいずれも錆の痕跡もない。白く塩が析出しているが銀色の鉄の地肌が出ている。

 近くに塩水に浸かったレイルもあったがこれもほとんど錆びていない。しかし少し離れたところにある鉄の杭は錆びていた。
 つまり、塩の濃度が高いと錆は抑えられる。しかし、マグネシウムイオンが多少は入っているので、ある程度薄まると錆が進むというわけである。

 この塩湖の塩分は、当時海水の8倍で、死海ほどではないがかなり濃い塩分を持っていた。
湖岸に簡単なリゾートがあり、泳げた。これは戦前の絵で、竜巻と火災で壊れる前の隆盛を示している。市の中心部から特別列車が出て、一日遊んで帰るということが行われていたそうだ。駅の跡地には客車の残骸もあった。

 1970年代はただ泳ぐだけの場所があった。機械で掘って深くしてある。そうでないと遠浅で、1キロ歩いてもヒザの深さしかないからだ。貸しレンガ屋というのがおもしろかった。1人50セントでヒモの付いたレンガを貸してくれる。それを足首にくくりつけて水に入ると、ちょうど首だけ出る程度に沈む。それを付けないと、バランスが悪く、腹が浮いて頭が沈む。シャワァ用には巨大なタンク車が真水を運んできていた。確か25セントで使い放題だった。

 その後、気候の変動で湖水の水量が増し、せっかく作られた新しいリゾートは水没した。お化け屋敷みたいになった様子が今日の写真である。
 湖水の塩分もかなり減って、塩田は殆どが廃業した。 

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