2006年09月26日
塗装はがし
塗装してある模型を塗り替えたい場合、日本ではラッカ・シンナにつけるという手が紹介されてきた。それしかないと信じている人も多い。シンナは臭うし、火気厳禁で扱いが面倒である。Billが「自動車のブレーキフルード(液)に漬けるとよい」と教えてくれた。たまたまその月の雑誌にも載っていたが、Billが言うには、「こんなこと常識さ。車の保守を自分でやる人なら誰でも知っているぜ。」と言う。
確かに、ブレーキフルードを入れ替えるとき、こぼすとその辺りの塗料が見事にはがれる。アメリカの中古車屋でエンジンフッドを開けてもらうと、自分で保守してきたであろう車はブレーキのマスタ・シリンダのまわりの塗料がはげて錆が出ている場合が多い。むしろそんな車の方が程度がいい場合がある。ちゃんと手を入れてきた証拠であるからだ。
自動車のブレーキ液は油ではない。「水と油」という言葉にあるように油なら水に溶けない。ブレーキ液はアルコールエーテルという物質で沸点が高く、融点が低い。-80℃から280℃以上まで液体である。化学が進歩しても、これに勝る液体は見つかっていない。
また、水が多少混入しても中に含まれる添加剤が水と反応して沸点の低下を抑える。
さて、ブレーキ液に浸すと、塗料は見る間に膨れ上がりひびが入ってはがれ始める。あとはワイヤ・ブラシでこすって水洗いすればよい。臭いも殆どなく引火もない。これが「有毒」だという誤った情報を流す人もいるので、困っている。もちろん飲めば危ないが、手についても平気である。洗えばよい。もしも触っただけでも毒性があるというのなら、自動車修理工がたくさん死ぬことになる。どなたか、そのようなことを聞かれた人はいるだろうか。
「手につくとひりひりする」という話もまことしやかに流されているが、明らかなウソであり、化学的知識の欠けた人の作り話である。
この物質の仲間はマジックリンという洗剤にも含まれている。だからマジックリンは塗料を侵すのだ。
塗料が溶けたブレーキ液は上澄みを集めて保存し、沈殿は燃えるごみで捨てる。徐々に空気中の水分を吸収するので体積が増えてくるが、効果はさほど変わらぬ。
<追記>
2009年7月24日から三回に亘ってさらに詳しい記事がある。参照されたい。
”教えて!Goo” にとんでもない作り話が書いてあるので、信用しないようにお願いする。
さて今日の問題。この写真の物体は何であろうか。