2006年09月09日
ステップ・コレット

Billは「旋盤を持っているか」と聞いた。
「旋盤を持っていないと鉄道模型は作れない。小さいのでいいから買うんだな。」と勧めた。
それからしばらくBillの旋盤で練習をさせてもらった。
三爪チャックで締めると多少の心振れが出る。それを修正するわけだが時間が掛かる。「コレットを使うのだ」と言って、見せてくれたその数の多いことには驚いた。1/32インチ(0.8mm)ごとに全寸法を持っていた。六角や四角のコレットもあった。
日本で見た旋盤の教科書には、コレットのことはあまりたくさん書いてなかったように思う。コレットは、その構造上、心が完全に出る。その代わり、つかめる範囲はきわめて狭く、±1/64インチぐらいの余裕しかない。
錆びるといけないので油で湿らせたぼろきれに包んであった。蒸気機関車の動輪のように大きくまた、クランクピンが飛び出しているものを心を出してつかむには、特製のコレットを用意する。
今日の写真がそれである。これはまだ未加工のものでスリ割の幅の広い部分に同じ厚さのものをはさんで引き、絞り上げる。その状態で、くわえたいものの大きさまでコレットを削る。車輪の踏面にはテーパがついているのでそれもつける。フランジのフィレット(丸み)を面取りで逃げて、フランジの斜面で当たるようにしておく。クランクピンの逃げは最初から大きくえぐり取っておく。
このようなコレットは、Dish Collet とか、Step Colletと呼ばれる。どうしてステップなのかというと、削り取る穴を階段状にすると各種の大きさの物がつかめるからである。Billは、あたかも階段教室の如く、深く加工したものをたくさん持っていた。
このようなブランクのコレットはそれほど高価ではないので、まとめ買いをしておく。