2026年05月
2026年05月09日
続 これも英国製キット
この貨車は十二分な積載能力を持つが、自重は小さい。貨車としての本分を発揮する最も機能的な設計である。以前にも書いたが、一般の flatcar というものは意外と重いものなのである。上に何もないということは撓み易い訳で、床下には補強材が多く入れてある。下廻りが分厚い鋳鋼で出来ているものもあるのだ。
必要な強度部材を薄い材料で作って上の方に付けてしまえば、下廻りは軽く作れる。荷積み、荷降ろしはフォークリフトで行い、崩れないようにワイヤを掛けるだけである。そのワイヤは側面のリールに巻き取ってある。締めるときはハンドルを差し込んで廻す。
非常に賢い設計で、2x4材、合板などの輸送はほとんどこの方法になってしまった。 もう少し数が欲しかったが、意外と高価なものなので我慢せねばならなかった。
今回の組立は 200 W のコテを中心に使った。部品を付けておいたセンタビームを台枠に嵌め、一気に付ける。孫が来たので手伝わせた。体重を掛けて押さえ込ませて、多めのハンダを付けて流し込む。全く隙間なく接合できた。バルクヘッドも同様に押さえ込み、最後に上の部分も押込んで付けた。助手が居ると押さえ込むジグを作らなくても良いので助かる。ハンダがするすると流れ込むのは見ていて気分が良いらしい。途中で嵌まらないところができたのでヤスリを掛けたが、そのヤスリかけをやらせろとうるさい。ワークをクランプして両手でヤスリ全長を使って削らせた。そのコツがわかると妙に納得してしまった。ここでは全長を使うというところがミソである。
余分のハンダは付いているが極めて薄く、ほとんど剥がす必要はない。膨れ上がったところだけ削り取ってそのまま塗装する。Winch(巻取り器)はホワイトメタルの鋳物である。これがよく出来ていて驚いた。ラチェットやラッチが再現されている。スーパーXで接着した。
現実の世界では、この機種が大量に導入されたのでall-door boxcarはたちまち駆逐されて無くなってしまった。筆者はその貨車が好きだったので残念ではある。今その5輌が製作中である。F氏のおかげでディカールのアートワークも出来た。大好きな Weyerhaeuser 塗装 になる予定だ。これは拙宅の材料を購入したボストン郊外の住宅会社の引込線にいくつか入っていた。色も文字も気に入ったので、その組立キットをかなりの数購入してしまったのだ。いずれお見せできる。
2026年05月07日
これも英国製キット
Mike Calvert 氏はなかなかの商売人でこういうものも作って見せに来た。この貨車は筆者の好みで思わず買ってしまった。貨車なのに先回の機関車より高かった。部品数は250くらいもある。説明書の作りは良くない。何度読んでも分からない部分がある。実物の写真をよく見てそれらしく作らねばならない。
本体部分は堅い薄板を使った構成でとても良いのだが、寸法が微妙に合わない。合っているはずなのだが、スロットにタブを差し込むと苦しい。微妙にタブを削るのだが、その削る向きが一定でないと全体のバランスが崩れる。タブは合計350ほどもあり、部品の向きを揃えてダイヤモンドヤスリで削り、その向きを揃えて保管する。ハンダ付けするときは注意して押さえ込んで付ける。そうしないと部品の高さが揃わない。
正直なところ、こんなことやってられるかと思うほど調整が微妙だ。そうしてできた部材を床板に立てると微妙な狂いがあって、もう一度削って付けねばならない。神経衰弱になりそうで、かれこれ15年以上未完成のまま、放置してあった。
アメリカの友人に聞くと、「なーに、多めに削ってガタガタにして順に下から組めば何とかなったよ。」と言う。見せてもらうとそれなりの出来で、あちこちに隙間がある。
こういう模型はタブの片面を基準として、そのタブの反対側はガタを作っておくべきなのだ。そうすれば楽に組める。マイクにそのように伝えると、”Good idea! " とは言ったがそれが反映されたかどうかは分からない。
2026年05月05日
続々 英国製キット
この種の大物のハンダ付けはなかなか楽しい。大きなクランプを用意し、貼り付ける部材を締める。左右2本を同時に締めるのでクランプは6本で足りた。シャシ床板に、部材を2本並べ、その上に厚くて丈夫な板やチャンネルの小片をかませてクランプで締める。もちろんハンダ付けする面は粗目のヤスリで擦ってざらつかせておく。僅かな隙間が要るからだ。この状態で煉瓦の上に置き、ガス火で焙る。
塩酸を含む塩化亜鉛液をたっぷり塗り、ハンダの粒をいくつか置いた。裏から、ガスバーナで全体を少しずつ温めていく。床板は厚いのでよく熱が拡散し、全体がほとんど同じ温度になる。そのうちにどこかが融け始め、あっという間に隙間に吸い込まれる。見る間に全体がハンダを吸い込み、均一なハンダ付けが完成する。塩化水素のガスが出るので、作業は外でやる。
固まったらクランプごと水で洗う。クランプは、外したら水を切って乾かし、油を注しておく。
この骨付きの床板は 400 g ほどある。これに頑丈な連結器座を取り付けるので、衝突時は上廻りには力は掛からず、破損を免れるはずだ。オリジナルの連結器座は、たったの 0.45 mmしか厚みがない板1枚だけでできていたので、普通に連結しただけで壊れてしまいそうだった。
2026年05月03日
続 英国製キット
側面後部の通風孔部分に格子模様のエッチング板を貼るように指定されていたが全て廃棄した。角孔をあけて別部品を付け、裏から金網を張った。要するにここは向こうが透けなければ面白くない。そしてその中に冷却ファンのシャフトがちらりと見えると嬉しい。
英国製の模型によくあるように、white-metalの部品が入っている。薄板を曲げたノーズ部分の天板がそれである。これをハンダ付けせねばならない。この合金の融点は 230 ℃ 近辺なので融かさないようにハンダ付けすることは可能である。63%ハンダを大きなコテ先に付けて短時間で付ける。隙間に完全に沁み込むようにしないと、削ると継ぎ目が見えてしまう。小さなコテではとても熱が足らない。塩化亜鉛は不可欠である。筆者はホワイトメタルのハンダ付けは得意である。
この写真の右の方に、唐竹割りした時の跡が見える。まだ帯で埋めていないところが写ってしまった。
このキットはエッチング板で出来てはいるが、その板は堅い。車体を作る板は焼きなまされていない。快削であってドリルで簡単に穴が開き、ヤスリも良くかかる。日本製のエッチング板とは全く異なる感触である。日本のメーカはこのあたりのことを調査すべきであろう。
<註> white-metalというのはBritish(イギリス英語)である。アメリカではハイフンを入れない人が多い。Babbitt metal と言う人も居る。このBabbitt は人名であるが、diesel engine のように普通名詞化してしまい、babbitt と小文字で書かれることが多い。優秀な軸受合金として200年近く使用されてきた。最後の ”t” がひとつ抜けていることも間々ある。
2026年05月01日
英国製キット

これはアメリカの機関車であるが、英国製のキットである。西海岸の模型ショウに行くようになって、そこで会う英国人 Mike Calvert 氏がアメリカ市場向けのキットを持って来ていた。Gilmaur というメーカで、この Alco-GE U30C のエッチングキットを見せてもらった。薄い15 mil (0.38 mm)と 18 mil (0.45 mm) しかない薄板をハンダ付けする、いかにも英国的なキットであった。組んだものも見せてもらったが、想像以上に軽く、衝突したら原型は留めていないだろうことは想像に難くなかった。下廻りに大きな剛性を持たせる以外方法はない。
寸法は出ているから、厚板で裏打ちして直せそうな気がした。安価なキットであったから注文した。次の年に受け取ったがひどい出来で、寸法が合わない。高さは良いが、U の字に曲げてあったエンジンフッドの屋根部分がどう考えても幅が足らない。途中まで組んだが放置し、そのまま15年以上経った。他の人はどうしたのだろう。
エンジンフッドの部分をカッティング・ディスクで縦割りにし、4 mm 幅の帯を貼れば出来る。持って帰った日のうちに真っ二つに切った。所定の幅に切ったブラス板の小片を裏に載せ、力を掛けると角の丸味で横向きの力が生まれ、幅が正しくなる。そうしておいて塩化亜鉛水溶液を垂らして63%ハンダの粒を置き、200 Wのコテを当てると簡単に直った。しかも板が張り重ねられたので堅く丈夫になった。
キャットウォーク部分もヘロヘロだったので、1 mm 板を貼り重ねて全面的にハンダ付けした。突き合わせただけのイモ付けではなく、2 mm角の棒をすべての接続部に貼った。こうするとボディシェルの質量は2倍以上の 800 g となり、格段に剛性が増した。
裏打ちを貼るときは、Bill Melis の手法を踏襲した。孔をあけておいてそこにハンダを流し込むのだ。ハンダは裏で広がって完全密着する。