2025年03月

2025年03月30日

PRR のカブース群

PRR ND 木造カブースに窓ガラスを入れた。



 これは元は2軸車だったもので、2軸台車を履かせて4軸になった。好ましい形だが、いささか小さい。筆者の持っている機関車の時代には、そぐわないかも知れない。

 構成は例によって木製の枠に溝を切った板を張る方法だ。普通の塗装だけではカビが生える可能性がある。不思議なことに日本の木にはカビが生えないが、アメリカから来たBass Wood(ポプラの一種)の材はカビだらけになる。ラッカー系の塗料では防ぎきれない。表面の皮膜だけでは駄目なのだ。
 必ずオイルステイン(溶剤系のものではなく、樹脂がたくさん入っているもの)の中に漬け込んで気泡が出なくなるまで放置し、それを引き揚げて3日ほど乾燥すると、内部まで固まる。
 この方法を採ればカビに悩まされることは無くなる。

 手摺に色を入れれば完成である。

2025年03月28日

続 今野氏の意見

 細かく作った模型を褒めるという尺度はあるだろう。それはそれで仕方ないが、意味があるかというと少々怪しい。
 
 その昔、もう35年ほど前だが、吉岡精一氏はこう述べた。
本物の図面通りに作りました、って得意そうに言う人は多いが、それが出来るかどうかということは置いといても、そんなに難しいことではない。頭を使わなくても良いのだからね。
 模型は小さいから、縮尺通りに作っても挙動が異なるんだ。そこを考えられるかどうかというのはその模型人の力量そのものなんだよ。
 ヤング率は一定だから小さなバネは相対的に硬くなり、ものは壊れなくなる。しかし模型をひっくり返したりして保持する仕方が本物とは異なるから、逆に壊れやすくなることもある。機関車のキャブなんて本物の通りに作ったら 0.05 mm厚以下になるだろう。でも手で持つのだからある程度の剛性は必要だよね。」

 要するに、軽々しく「本物通りに作ったと言うなよ。」ということなのである。
 
 しかし今回の記事を見ると、「本物通り」という言葉が聞こえてくるような気がする。そんな筈はないのだけども・・・。

2025年03月26日

今野氏の意見

 久しぶりに今野氏が噛み付いている。TMSに発表された機関車についてである。

 筆者は機関車のディテールはあまり気にしない。全体を見た時のシルエット、補機類の配管がおかしくないこと、窓や手摺、車輌限界やステップの相対的な位置(掴めない握り棒は意味がない)に問題が無ければ十分だ。
 しかしメカニズムは最深の注意を払って見る。いわゆるイコライザ付きの機関車も、根本的に間違っているものがままある。機関車全体が2点支持になっていて、前後に揺れるものが多い。理解していないことを理解していない人(ややこしい表現だがこれ以外の表現が見つからない)が作るとこうなる。
 ギヤボックスが浮動していても反トルク承けがなく、前後進で調子が異なるもの、吊り掛けてあっても駆動軸が一直線上になく、ゴムチューブでズレをごまかしてあるものに遭遇することがある。これでは走らない。

 いずれにせよ、筆者はジャンクしか買わないし、下廻りを全部ばらして作り直すので全く構わないが、こういう製品を大枚をはたいて買わされる人はたまったものではない。
 ろくに走らない模型でも我慢してしまうのだろう。  

2025年03月24日

饋電

 アメリカでレイアウトを見学するときには、饋電(きでん)の手法を興味深く観察する。最近の傾向としては全てのレイル一本ごとに饋電している例が大半だ。レイルジョイナは通電の目的ではなく、物理的なレイルの保持をさせているだけである。すなわち、レイルの相対的な位置を決めているだけで、通電についてはほとんど考えていないから他の確実な方法によらねばならない。
 垂直に饋電線をハンダ付けする方法では、レイルの匐進を確実に止める効果もある。レイルの寒暖の差による伸縮は継目板の中で解決されるから保線も楽である。

饋電 レイルごとに饋電線をハンダ付けしている例が多い。それで良いのだが、あまりにも数が多いので少し減らしたかった。筆者はこの写真のような方法を採っている。
 二つのレイルをレイルボンドでつなぐと同時に饋電線としているのだ。これで饋電線の数は半減する。

Feeder 道床を貫通して饋電線はぶら下がり、その先で太い被覆銅線(3.5 ㎟)に圧着端子で付けてある。銅線にはあらかじめ饋電線の数だけチューブ状の圧着端子を通してある。部分的に被覆を剥がして圧着端子を移動させる。そこにレイルからの饋電線を差して締めるだけで、完全な接続が完了する。たまたま 3.5 ㎟ が大量にあったので使っただけで、小規模なレイアウトであればもっと細くて良い。
 レイル・ジョイナによる接続部の接触抵抗は無視できないのだ。
 とにかく饋電線から来た電流はレイル一本の長さ以下しか流さないという原則を守ると通電不良は起こらない。 

2025年03月22日

来訪者

 博物館にあったかなりの数のプラスティック車輌を譲渡したので、ヤードに余裕が生まれた。あと20輌ほど譲渡したいと考えている。価格はかなり低廉であったようで、喜んで引き取って戴けた。
 
 何人かの譲渡希望者がいらした。どなたもLow-D車輪の威力を目のあたりにして愕然とした。と同時にレイアウトの平面の部分の線路が本当に完全な平面であることにも驚いたようだ。
 レーザを使って平面を出しているから、Low-Dであっても、どこでも止まっていられる。ある方が家に持ち帰ってテイブルの上に置いたら、あわや転落させるところだったそうだ。目に見えない傾きでもLow-Dは動き出すのだ。あわてて床に置いたら、そこでも走り出したそうだ。並の水準器より高精度で傾きを検出できたと驚いたようだ。これは平岡幸三氏も同じことをおっしゃった。  

 曲線上での抵抗の小ささにも驚かれたようだ。FEF3 の牽くプルマンの急行列車が上り坂はあえぎあえぎ登るが、下り坂では位置エネルギィが運動エネルギィに変化して 100 マイル/時以上を出すと、興奮した。

 感想を聞かせてもらった。彼は模型づくりはお父上から受け継いでいるので、経験が深い。しかし、効率とか低摩擦を前面に打ち出している模型というものは見たことがなく、ブログで知って興味を持ったそうだ。静岡の催しで慣性増大装置の実演を見て感動されたようで、車輌を購入するのを兼ねて博物館への来訪を希望されたのだ。どれを見ても感動されていたようで、こちらとしても嬉しい来訪者であった。
 今後の模型作りの指針を得たとおっしゃる。まず良い工具を揃えてスクラッチ・ビルディングをより高い次元で取り組みたいとおっしゃる。筆者の工作機械、ハンダ付け装置、組立ジグなどを細かく見て行かれた。期待できる。金属材料は潤沢に持っているので提供することになりそうだ。

2025年03月20日

HOギヤボックスの問題点

gb_gata ゆうえん氏から戴いたコメントによると、かなりの種類の市販のHOギヤボックスは設計が正しくなく、ガタがあって音がするということだ。
 要するに、設計の段階でガタを無くするということを全く考えていなかったということである(図はゆうえん氏による)。

 ウォームギヤの特質として、バックラッシをゼロにすることが出来るということがある。ゼロにすると、ギヤの精度のばらつきによって引っ掛かって廻らないことがありうるので、ほんの少し隙間が必要かもしれない。潤滑油が通るだけの隙間という表現が当たっていると思う。

 この図では黒い部分が隙間で、動軸は上下するから、ウォームホィールの歯のどこにウォームの歯が当たるかは全く見当もつかない。その結果ガリガリゴリゴリという音が出るのだ。

 図の赤線部分を削り取って動軸を寄せるとかなり良くなるそうである。しかし、それが設計時の位置なのかは不明だろう。また、反トルクをどこで承けるかを考慮してない場合も多いように見受けられる。トルクアームなどの簡単な装置を付けるネジ孔すらないというのは設計の不備であろう。

 高効率ギヤは静かであるという定評を戴いているが、それはこの嚙み合わせ距離が正確に再現されているということなのである。まともなボールベアリング支給された軸、正しい工具(リーマ)、ロックタイトを使えばだれでも所定の性能が出る。ここまで書いても、言うことを聞きたくない人がいるそうだ。本当に不思議だ。

2025年03月18日

続々々 走行音を小さくする

5. については過去に何度も扱っている。
 レイルは鉄に限らず錆びやすいものだ。目に見えない錆はどこにでも発生しうる。鉄(鋼)レイルは洋白レイルに比べて錆びやすいと考えられているようだ。しかし、この博物館の中では実際にはほとんど錆びていない。

 鉄合金の表面の錆は2つの要因で発生する。
・ 空気中に浮遊する塩化物、硫酸が鉄の表面に吸着される。
・ それが水蒸気を呼び寄せて水滴を作り、その下の不働態膜を壊して酸素の働きにより酸化を進行させる。
 これらの片方、出来れば両方をなくすれば、鉄は錆びない。

 重化学工業地帯では鉄は極めて錆びやすかった時代がある。硫酸、亜硫酸のミストが浮遊していたからだ。海の近くであったこともファクタの一つだ。ということは塩化亜鉛によるハンダ付けは、同室での作業は避けねばならない。工作室がレイアウトと同室であれば、強力な排気装置あるいは空気清浄機が必要であり、ハンダ付け時のミストは全て吸着させなければならない。
 窓も開けてはならない。特に海からの風が吹く天気の時は厳禁である。これは意外と誰も気が付いていないことであるようだ。空気清浄機は年中無休で働かせている。

 湿度を下げるべきである。湿度を55%以下にすると錆びないという文献がある。本四架橋のケーブルはそのような条件に保ってあるそうだ。もちろん塩の粒子を取り除いた上の処置である。


2025年03月16日

続々 走行音を小さくする

3. については過去に述べたが、これも非常に大きな効果がある。Oゲージの市販の線路はコード148〜157あたりのレールを使っている。筆者は既存の太いものを抜き取って、コード138のレイルを入れた。レイルの締結が緩いと音が路盤に伝わりにくい。鋼製レイルを差し込んだので剛性は大きく、また電気伝導度は3倍くらい良くなる。鉄はブラスの2倍程度の電気抵抗があるが、ニッケル合金と比べると格段に小さいのだ。

 ニッケル合金というのはその種類を問わず電気伝導度が低い。細くなっても鉄合金の方がはるかに低抵抗なのだ。抜いたレイルは貨車の積み荷にした。残りは融かしてインゴットにし、機械部品を作る材料になった。

4. については、ここで繰り返し書いたことだが、メッキ面はあばた面で全く平滑性に欠ける。#1200以上のサンドペイパで研ぐとかなり良くなるが、快削ステンレスを高精度の旋盤で挽いたものには、まったく敵わない。最近Low-D車輪付きの車輌を譲渡したところ、音についての感想を聞かせて戴いたのは嬉しい。  

2025年03月14日

続 走行音を小さくする

1. については、角スタッドの効果が大きい。極めて剛性の高い骨組みを作ることが出来るし、かつ、安価である。現在材木は異常に高い。昔安かった2x4材は、既に過去の価格の4倍ほどになった。
18 mm lumber-core テイブルトップは15 mm以上の厚さのランバーコアを使っている例では静かである。プライウッドではやかましい。これは面積当たりの質量と構成材の物理的な性質の違いによるものだろう。この写真はTM氏によるHOでの作例で、ランバーコアを使っている。
 梁を木製にすると経年変化で撓む。筆者の実験では最初の1年半で大幅に撓み、以下の変化は少ない。しかし不思議なことにその種のレイアウトの所有者は撓んでいることに気が付いていないのが大半だ。その理由は二つあって、路盤面が60 cm程度と低く、上からしか見ることがないのと、車輌の転がりが悪く、走行速度にむらが出ることがないからだ。この角スタッドを使う工法では撓みは無視できる
 
2. についてはここで何度も扱ったことだが、いまだに効果を信じない人が居るようだ。サンプルを進呈するとその効果に驚いてすぐに採用するが、Youtubeなどの怪しい”実験”と称するでたらめな情報に踊らされている人は多いとみている。フレクシブル線路を路盤に打ち付ける人が大半だろうが、その釘穴を大きくしたり、バラストを固着するのをやめれば極めて静かになるはずだ。せっかく固定レイアウトを作るのだから、バラストはばら撒くだけにすると良いのに、と思う。気に入らなければ何度でも掃除機で吸って撒き直しができる。 
 軟質ポリ塩化ビニルまたはゴムのシートは、厚くないものでも効果はある。薄いのを二枚重ねた人からは、「驚異的な効果」とお知らせ戴いた。

2025年03月12日

走行音を小さくする

 最近、クラブの知人に会うとレイアウト製作を始めたという話を聞くことが多くなった。路盤をどのように作るべきかという質問を受ける。同時に音の問題を聞かれる。

 当博物館の来訪者は、ゲージには無関係に「静かだ」と驚いて質問する。
「何が違うのですか?」と聞かれるのだが、それには答えにくい。あえて言えば、「すべてが違うのです。」である。

1. 路盤とそれを載せている骨組みとテイブルトップの剛性が大きいこと
2. 線路を載せる道床にゴムまたは軟質ポリ塩化ビニルの遮音材を貼ってあること
3. フレクシブル線路のレイルを抜いて少し細いレイルに入れ替えてあること
4. 車輪は市販のめっきした車輪ではなく、ステンレス鋼を高精度の旋盤で削ったものであること
5. レイル面が滑面であるように、錆びさせないこと。それには空調で湿度を下げると同時に、外気に含まれる海塩を遮断せねばならない。

 これらをすべて実行するときわめて静かな運転ができることは確かめられている。


2025年03月10日

ポイントを作る

 最近HOの人と会うと必ずポイントの話題が出る。手に入りにくいのだそうだ。車輪との相性の話も出る。ずいぶんひどい時代になったようだ。車輪の規格を決めずに(決まっているのだけど勝手に変更して?)商売しているらしい。HOの盟主の山崎氏は何をしていたのだろう。

 市販品のポイントのフログで落ち込むのが嫌だという話も聞く。どうすれば良いかと聞かれる。答えは単純でフランジウェイを狭くすることである。ウィングレイルを太くするのが簡単だ。ノーズレイルを伸ばすのも忘れずにやるべきだ。筆者の非対称フランジウェイの記事を見せると、意外にも興奮する人が多い。すぐやってみて、うまく行ったと聞く。 

 その人に「ポイントを自作すれば良いのに」と言うと、ご機嫌が悪くなる。
「そんな難しいことは出来ない」のだそうである。
 
 筆者は中学生のころから線路は自分で敷き、ポイントを作っていた。難しい仕事ではない。NMRA規格は決まっているので、そこだけ気を付けるべきだが、あとはごく適当に作っても脱線はしない。

IMG_4910 TM氏のHO線路を紹介しよう。この美しい線路はすべてハンドスパイクだそうだ。フログの部分は狭く、はまり込まない。ダブルスリップも自作である。筆者以外にダブルスリップを作って走行に供している人を他に知らない。単純なポイントを作るくらい、簡単なことのはずだ。

HO  (6) 昔はこんな本が出ていた。松沢正二氏が丁寧な図と共に解説を書いていた。筆者は小中学生の時にこの種の本を見てポイントを作った。拙い工作ではあったが、脱線せずに走った。大人になってもこれを作れないというのはおかしなものだと思う。今では材料は木の枕木ではなく、プリント基板の材料を使うのが主流だろう。この動画でのハンダ付けはあまりお上手ではない。こちらの方が良いかもしれない。

2025年03月08日

歯車の無い蒸気機関車

 歯車の無い機関車を高校生の時に作った。2つのシリンダの中にコイルを2つずつ入れてソレノイドとし、鉄心を前後に動かすのだ。Bタンクにそれを付け、4つの端子に順に電流を通すと廻った。要するに、ポイントマシンを両側面に付けたようなものである。バチャバチャとかなりひどい音がしたが、廻ったことは間違いない。

 前後進ができるようにしようと思うと、その通電シークェンスを逆にせねばならず、それをどうやって切り替えるかを議論した。中に制御用のモータを入れ、シークェンサを廻すことにした。そのモータを逆転すればよいわけだ。出力は電流値で決まる。コイルの抵抗は決まっているので、電圧に応じてトルクが変化する。友人とそれで盛り上がったが、それ以上の進展はなかった。残念ながら、その友人Y君若くして他界した。

 それから25年後、UP9000 のジャンクを手に入れた時、またもその夢が想い起された。3気筒だから、動きはより滑らかになるはずだ。当時話題になったリニアモータの小さいものを3つ入れて、コンピュータによるシークェンス制御で順にサインカーヴに似た曲線で動かせばよいはずだ。中央シリンダの持ち上がっている角度も計算に入れなければならない。リニアモータの専門家に聞いてみると、当時はシリンダに入るほど小さなものはまだ開発されていないとのことだった。
 仕方が無いのでボイラの中に3つの大型リニアモータを入れ、ロッドでピストン・ロッドを動かすということを、当時は大真面目で考えていた。

 今はかなり小さいものがあるようだ。こういうことを考えるのは楽しい。3気筒の機関車はもう1輌あるので、まだあきらめてはいない。  

2025年03月06日

Mr.James Tangney

 この人の名前は1970年代の NMRA の Bulletin(会報)に出て来る。NMRAの選んだ Master Model Railroader(達人)に選ばれている。筆者は会ったことはないが、友人から評判を聞いたことがある。すごい腕の持ち主であったようだ。

Nov 1990 Bulletin  date もともとは飛行機の模型の世界の人だったそうだが、鉄道模型に急にはまってしまったという。深い工学の知識と凄まじい実践力の持ち主で、誰もできなかったことを成し遂げるのが趣味だったそうだ。1980年代に、HO貨車のブレーキハンドルを巻き上げると実物通りにリンクが作動しブレーキが掛かる模型を発表したのは記憶にある。
 歯車、モータは自分で作り、自家鋳造で細かいものを作るのが趣味だったという。

CB&Q Pacific この写真はNMRAの会報1990年11月号から複写したものだ。 CB&Q の機関車であるが、裏から見ても歯車が見えない。シリンダの側面は外されて中のピストンが見える。すなわち、主台枠内部からピストン棒を駆動しているのだ。残念ながら、その解説記事がいまだに見つからない。

 例の機構で、日本型でなく米国型の機関車のシリンダの内部から駆動したものと同様のものである。こちらの方が時期的に早い。山崎喜陽氏が、それよりも早い時期にD51の記事が出ているので、「D51の記事を送ってみる」と勢い込んで書いていたが、その後それに関する記事はないようだ。ということは不発に終わったと思われる。もしTMSの記事の方が早かったのであれば、意気揚々と何か書いたに違いない。ということはどんなやり取りがあったのだろう。

 筆者の疑問点はもう一つある。これが Tangney 氏自身の発想なのか、ある日本人の発想が彼の友人の NMRA の有力会員を経て伝えられ、本来の開発者の偉業を称える形で発表されたのか、である。
 筆者はその開発者から日本での理不尽な発表のされ方を聞いていたので、Tangney 氏に直接会って経緯を聞きたかったが、残念ながらそれは叶わなかった。 
 その頃のBulletinを順に見ているのだが、なかなかそれに関する記述が見つからない。この件に関して何か情報があればありがたい。

 筆者もギヤが見えない機関車を作ったことがある。

2025年03月04日

PRR M1

PRR M1 (2) Pennsylvania 鉄道のM1は2輌ある。これはパイロットを鋳鋼製に作り替えたものだ。下廻りにはほとんど手を加えていない。高効率ギヤに改装する。実はOゲージ蒸機機関車用のギヤボックスが枯渇したので、新たに作っている。いろいろな点で改良すべき点があり、新規設計した。
 KTMのK4の火室部が太いという話題は過去に出した。その点では、このM1はまずまずである。 


 40年前、吉岡精一氏がもう一輌のM1を徹底的に作り替え、フル・イコライジングとした。素晴らしい工作であったが、レイルの継ぎ目音がカツカツと響いた。その音が良いということだったが、筆者は好きではない。重ね板バネを付ければ一挙に解決なのだが、OJの人たちはバネをハンダで固めるのが習わしである。 
 もう20年以上昔、筆者が重ね板バネを装荷してイコライズされた機関車を持ってOJの集まりに行ったところ、
「アイツは分かっていない。」と言われたことがある。それ以降OJの集まりには行かないことにしている。これは宗教の一種であって、話合いでは解決しないのだ。
 
 筆者の機関車はポイントのフログでドスドスという軽い音をさせて通過する。ハンダで固めたものはコツコツ、カチャカチャという感じである。どちらが長持ちするかは自明である。彼らは長距離を重負荷で走らせていないのだろう。

PRR6919 16-wheel tender テンダは長いものを用意してある。6軸もあるし、8軸のも用意してある。8軸は他機種からの流用だろう。"coast to coast" tender という大げさな名前が付いている。


2025年03月02日

折込んだタップの処理

rusted out 1 うっかりタップを折ってしまった。ガラしか使わなくなったので、ここ数年タップを折らずに来た。トルクしかかからないから、M1.4でも折ることはない。今回は M2 を切っていたので折れるはずはなかった。ところが作業中に電話が掛かり、片手で保持したままポケットの電話を探っていたところ、ぽきりとやってしまったのだ。作業中は電話を遮断すべきだった。
 タッピング用の潤滑剤を塗っているので、極めて簡単にネジが切れる。この潤滑剤を使わない人が居るというのは理解できない。クラブの会合で、小容器に入れたものを50円で販売するが、飛ぶように売れる。実はその容器が50円なので、実質的にタダで頒布しているわけだ。
 折れた断片が入ったまま放置してあったが、今回思い立ってステンレス・食塩水による除去作業をした。

rusted out 2 まず溶剤を使って潤滑剤を取り、強力な洗剤で良く洗う。完全に油気を取らねばこの方法は機能しない。ステンレス板(磁石に付かないもの)の小片を紐で縛り付ける。今回は長いものを入れるので、牛乳パックを使う。海水程度の食塩水を必要量入れて1週間ほど放置するだけだ。水が蒸発するので時々足す。適当な形状のステンレス容器があれば良いのだが、今回の主台枠を入れるためには大きなものが必要になり、水溶液もたくさん要る。
 作業後、ステンレス容器に錆が付いたのを洗うのはかなり面倒であるが、このような牛乳パックならそのまま捨ててしまっても良い。

rusted out 3 ステンレス片が密着していることが肝要である。要するに、銅合金にステンレスの何かが付着していれば、食い込んだ鋼の工具は溶けていく。すなわちステンレスのネジをねじ込んでおいても、同じ結果が得られるわけだ。


 油は完全に取れていたようで、1週間でタップは見事にサビの粉になっていた。歯ブラシでよく擦って砲金の面を清掃した。


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