2023年10月

2023年10月30日

続 installing the flywheel

 前後の蓋を作る。フライホィールの孔に押し込めるように、+0.03 mmに削る。僅かのテーパを付け、先の部分は手で嵌められる程度にする。残りの部分は万力で締めて入れるわけだ。ブラスであるから締めれば入る。ロックタイトを塗って押し込む。フランジ部分から少しはみ出すので、十分に回っていることが確認できる。それを拭き取って、溶剤で湿らせた紙タオルできれいにする。

hollow flywheel シャフトは Φ5である。リーマを通してあるからギリギリで入る。このとき向こう側の孔に命中しないと大変である。こういう時は、相手側の内側を円錐形に凹ませておく。押し込めば一発で通る(この写真を見て角に傷がついていると思ったが、切り粉が載っていただけであった)。


temporary placing 軸にロックタイトを塗ってゴロゴロと廻しながら待つと、固まる。

2023年10月28日

installing the flywheel

flywheel in the tender テンダの床にフライホィールを置いてみる。径を1 mm縮めたので、上廻りをほとんど削らなくても入る。軸をわずかに下げる事により、テンダの天板にも当たらない。可能な最大の径を実現するためには、軸を 2 mm 下げれば良いという計算だ。すなわち床板に孔を開けてフライホィールを沈ませるわけだ。 

disassembled tender floorcutting out for the flywheel 床板に孔の位置をケガいて、糸鋸の#1という荒目の刃で切り抜く。このような形のものの長辺を抜くには、少しテクニックが必要だ。糸鋸の弓を押さえてヤットコで刃を捻じる。少し捻じれば外形と平行に切れる筈だった。ここではその捻じり方が足らなかったようで脱線しているが、全く見えなくなる場所なのでそのまま切った。薄い板なのであとでよく切れるヤスリを 7,8 回掛ければ、修正されることなのだ。当然床面の上が開く形にヤスる。よく切れるヤスリは、刃の面を持つと指に喰い付く感じがする。
「そういう感触がないものはためらわずに捨てよ。切れないヤスリを使うほど時間の無駄はない。また、他のヤスリと接触するような置き方はしてはならない。」とBill Melisは戒めた。

lowering the flywheel center 出来上がった孔にフライホィールを置いてみる。実際には、床板の孔の縁とは 0.5 mmの隙間を空けることになっているので、厚紙を挟んで上廻りをかぶせ、当たっていないことを確かめた。 

2023年10月26日

続 turning a flywheel(心を出す方法)

turning flywheel   6 次は expanding mandrel 太くなるヤトイ)である。この三爪チャックは心を出せる製品であるが、それでも多少の誤差はありうる。この太くなる軸を銜えて、ヤトイ自身を削って心を出すのだ。好きな太さにできる。こうすればチャックの調整無しでも、完璧に心が出た状態になる。この写真は粗削りの状態だ。仕上げ削りをして、サンドペーパでぴかぴかに磨く。このとき、ベッドは必ず保護する

 ワークをかぶせる。中心のネジを軽く締めるだけで完全に固着する。
turning flywheel  7turning flywheel  8turning flywheel 9




・反対側の端面削りをする(左)。
・外面を軽く削るとこの程度の偏心が認められる。外径を Φ51.5 まで削るとこの偏心はなくなったが、さらに削って設計値の Φ51.0とした(中)。
・出来上がり。これで質量は570 gとなり、かなりの減量である(右)。

 表面はきれいにしたいので、この後、細かいサンドペーパで磨く。
 これで内外の同心性が確保された円筒ができた。ある程度の高速回転(最高1000 rpm強)をするものであるから、心が出ていないと激しいビビリ振動が出てしまう。 

2023年10月24日

turning a flywheel(心を出す方法)

 フライホィールを削っている。中外を削って完全に心が出ていなければならない。大きな旋盤で、もっと長い材料を銜えて中外を順に削れば、あっという間にできるだろう。しかし小さな旋盤で、少ない材料を無駄にしないようにするには、工夫が要る。筆者の旋盤の通し穴はΦ19しかない。工場にあるようなΦ64(2インチ半)の通し穴のある機械であれば、Φ52(2インチ)の材料を送り出して作れるが、そんな伝手も材料もない。

 筆者に旋盤のテクニックを授けてくれた先生は何人かあるが、Bill Melisの方法を紹介したい。

turning flywheel 1turning flywheel 2turning flywheel 3turning flywheel  4





・三爪チャックに材料をしっかりと銜え、端面削りをする。送りを小さくしてきれいな面を出す(左)。 
・センタドリルで中心を出す(左中)。
・1/2インチ(12.7 mm)のドリルで貫通させる(右中)。
・次に3/4インチ(19 mm)で拡げる(右)。

turning flywheel  5 中グリバイトで拡げる。このとき「刃物を高せよ」と厳しく仕込まれた。間違って喰い込ませたときに、被害を少なくするためだ。
刃物をよく研ぎ、送りはゆっくり」である。目的の内径まで、丁寧に拡げる。

2023年10月22日

Broadway Limited

 友人から様々な情報を戴いている。この食堂車はブロゥドウェイ特急の食堂車だということが判った。この特急名は複々線区間のある自社路線を誇るものらしい。この路線を走るAmtrakの列車には乗ったことがある。並行する川は、はじめはせせらぎであったが、一日それに沿って走ると最後は大河になった。
 戦前の塗装は難しい。戦後の塗装にするつもりだ。

 ちょうど50年前、筆者はPhiladelphiaでBill Wolfer氏と会っていた。彼はフィラデルフィア警察の殺人課の刑事で、趣味としてPennsylvania鉄道のOゲージ模型を制作・販売していた。電話を掛けて予約し、夜間に会った。東洋から来た若い趣味人に対し、彼は親切であった。地下のレイアウトでブロゥドウェイ特急の編成を走らせてくれたのだ。それはGG1によって牽かれた8輌編成であった。室内まで作られて、点灯すると内部が見えた。彼は得意満面で見せてくれた。
 その時、映画の話題が出たが、「あれはハリウッド映画だからな。車内はセットで撮っている。参考にはならない。本物はもっと良い。」
 機関車は本物を撮っている。その中で流線型のK4から受け継いでHarrisburgの橋
(59:51)を渡る機関車はなんと4-4-0である。これはD16だ。現在博物館に飾ってある機関車そのもののようだ(リンク先のOur Train中、No.1223を探されたい)。 

 Billはその後カリフォルニアに引っ越したが、30年以上の親交を結べた。3条ウォームの開発に関し、いくつか助言を貰ったのはその後の発展に大きく影響を与えた。会うと最大限の歓待をしてくれ、奥さんも「貴方は私の亭主にとって特別な人だ。」と言ってくれた。祖父江氏を案内して訪ねたこともある。 

2023年10月20日

食堂車

PRR Diner (3)PRR Diner (1) この食堂車のジャンクをかなり前に入手したが、これがどこの鉄道の車輌かを長らく特定できなかった。

 おそらく、アメリカ東部の鉄道会社であろうということは見当がついたが、ありとあらゆる写真集を見ても手がかりがつかめなかった。ようやくPRR(ペンシルヴェイニア鉄道)の図面集を見ていて、行き当たった。10年以上掛かったことになる。

PRR Diner (2) 業務用のドアが小さく、低い。食堂部分のテイブルは少なく、ソファが置いてあるのは不思議だ。そこでも食事ができるようにテイブルがあるようだ。BARの前にもソファがある。この内装には興味があるので、写真を探している。それらしく作ってみたい。

 この床板はとても弱く、お話にならない構造であったので、作り替えた。これも縦に床に落としても壊れないはずだ。
 連結器はガタのないMonarchにする。

 ジャンクの客車はまだいくつかある。毎週1輌ずつ仕上げれば、年末までに終わる計算だが、そんな訳にはいかない。何年も掛かるだろう。
 どれも落下痕があり、凹んだり歪んだりしている。それを切って叩き出して直す。鈑金屋になったような感じだ。それを見た友人は驚いた。完成品に色を塗っているだけだと思っていたらしい。
 筆者のコレクションにそういうものは一つもない。全て事故があっても壊れない構造にリビルトしてある。 

2023年10月18日

Climaxの食違い交差軸受 

 F氏から工作の途中の写真をいくつか送って戴いた。

Climax shaft (4) 食違い交差の軸受である。同じ寸法になるように工夫して機械加工している。こういう場合のジグの設計は経験が要る。どうすれば最も簡単で、しかも正確にできるか、を考えねばならない。F氏はいつも巧妙・簡潔な発想で解決している。見習いたい。

Climax shaft (3) 切り込み量を測定している。この種の測定具は使い方次第で大きな威力を発揮する。



Climax shaft (1) この万力は2つのネジで締めるので、アゴの端であっても平行に締める事ができる。これは木製の万力でも同じことである。



Climax shaft (2) できたものを並べたところだ。これをハンダ付け用のジグの上で組む。硬いハンダを使うので壊れることはない。

 フライス作業は楽しいが、頭を使う仕事だ。

2023年10月16日

展示会 2つ

 車で2時間ほどの街で、船舶模型(模型船舶ではない)とプラスティック・モデルの同好会の展示会があった。友人からお誘いを受けて出かけた。

ship models (1)ship models (2)ship models (3) 船の方は 1/200 を主体とし、同じ縮尺のものを並べていた。端の方には 1/350 がちらほらある。同一縮尺のものを並べると相対的な大きさがよくわかって良い。  

 鉄道模型も似たような問題がある。さすがにOとHOを並べることはしないだろうが、ナロゥ・ゲージなどで、同じゲージを使っても縮尺が異なるものがある。これはレイアウトを持っていない人には大した問題ではないようだ。縮尺はレイアウトごとに決まる。一つのレイアウト上で1/87と1/80を混ぜて置くのは、気が退けるはずだ。長さで1割違うということは、体積では2割以上違う。同一の人形は使いにくいはずだ。

plastic models プラスティック・モデルの方は細密性を競っているのが分かる。これでもかという作品ばかりだ。作者が横に居て、詳しく説明してくれるのは良いが、材質その他については説明が怪しいものもある。
 話を聞くと、細密化部品はエッチング部品が市販されているらしい。要するに付け放題のようだ。これらは走らないから良いが、鉄道模型でも同じ傾向があるのはまずい。外観のみを重視しているのだ。走りはどうでも良いらしい。しかし走りは外観の一部である。見れば分かるのだがそれには目をつぶる人が多いと感じている。
 模型鉄道という言葉を再度確認したい。

 細いものを瞬間接着剤で付けたそうなので、
「ハンダ付けすればよいのに」と言うと、
「ハンダ付けはとても難しくて、このクラブの人は殆どできません。」と言う。
 ハンダ付け講習会をすると面白そうである。

 どちらの会場でも気になる表現があった。「1/200スケール」、「1/48スケール」などとあった。これは正しい表現と言えるのだろうか。1/200 scale-sized model なら分かるが、1/200 scaleでは間違いと感じる。しかし、最近はこれを外国でも使っているらしい。本来は「1/200 サイズ」、「1/48 サイズ」と言うべきだろう。欧米では、スケールというのは1 ftを何インチにするかという時に使う表現である。
 1 ftは12インチだから、1/48サイズなら、1/4インチスケールと言うべきであろう。しかし、この言い回しが残っているのは、すでに鉄道模型だけなのかも知れない。

2023年10月14日

慣性増大装置 第2弾

 近々ある集会に慣性増大装置を付けた機関車を持って行かねばならない。いつもの4-8-4では見飽きた人も居るだろうから、思い切ってもう1輌の完成を急いでいる。

momenntum emphasizer この砲金の円柱だけでも 840 gもある。これは重過ぎる。台車のバネが完全につぶれていて、線路からの衝撃が緩和できない。円柱の内部をくり抜いて軽くする。慣性モーメントは半径の2乗に比例するから、中心部は無くてもあまり影響はない。

 この円柱の径は 52 mmである。先回は 46 mmだったから、かなり大きい。外側に傷が付いているので、一皮剥いて51 mmにする予定だ。
 テンダの上廻りにはそのままでは入らないので、幅を多少削って入れる(オレンジ色の部分)ことになりそうだ。高さも微妙に当たるので、床板を少し切り抜いて沈める。そうすると床板の強度が減るので、側面のアングルで持たせている。 

2023年10月12日

鉄道玩具の客車 後日談

 鉄道玩具の床下を改造して耐衝撃性を持たせたのは良いが、線路上に載せてみると妙な感じだ。台車と車体の間が空いている。

 連結器の高さも修正したから良いはずだったが、違和感がある。標準的な客車と並べると、2 mmほど高いではないか。愕然とした。
 この客車は鉄道玩具(ライオネルの系統)であった。フランジが高いのだ。すなわち、縮尺のとおりではフランジが床板に擦る可能性があるから、上げてあったのだ。これに気づかなかったのはうかつであった。台車を捨てた状態で保存していたのが、この失敗の原因である。作業を始める前に新しい3D成形の台車に載せてみてから始めるべきであった。

Hirail passenger cars (2) 本物の図面を元に高さの補正量を決めて、削った。せっかく組み上げた客車を再度全部分解し、フライス盤で1.9 mm削り落とした。連結器座も削り落とし、せっかくのメタルタッチも全て作り直しだ。

Hirail passenger cars (1) つまらぬ客車5輌を修正するのに延べ5日ほど掛かったことになる。こんな客車はそのまま投げ捨てればよかったのだが、塗装が気に入って残してしまったのが間違いのもとであった。この列車は史実に基づいていない仮想の列車である。機関車を一輌塗って、この編成専用とする。
 Daylight塗装の機関車 GS4 はあるが、この編成にはそぐわない。もう一本のスケールの16輌編成に用いる。

2023年10月10日

焼戻しの意義

 焼入れは簡単だ。温度さえ間違わねば良い。ガス火で焙る。温度は色で見るのだ。すなわち暗いところでやればすぐわかる

 焼きの入る鋼材はいくつかあるから、クズを入手しておけば良い。
 扱いやすいのはS45Cである。快削性があり、簡単に整形できる。最後にFなどの文字がついているとより快削性があるが、模型製作ではあまり意味がないだろう。 

 焼入れしただけでは、その工具は硬いが脆い。金床の上に落としただけで欠けてしまうことはよくある。靭性(じんせい)を与えねばならない。靭性は英語で toughness という。要するに脆性(ぜいせい)の逆で、そう簡単には割れないということである。磁器などの焼き物は硬いが、すぐ割れてしまう。これは靭性が無い例である。

 焼入れしたものに靭性を与える操作が焼き戻しである。様々な方法があるが、素人でも失敗しないのが、この低温焼戻しである。天ぷら油の中で煮て戻すという方法が長らく紹介されていたが、燃料が無駄であるし、油に着火すると取り返しがつかない。長時間油を加熱すると、徐々に油の中に過酸化物が蓄積され、着火しやすくなるので避けたい。屋外でオーブントースタというのが一番安全であろう。焼入れから時間が経つと良くないと聞いた。直ちに焼戻しに掛かれるように予熱しておく。

 焼戻しは、繰り返し使う可能性のある工具に施す。一回きりしか使わないなら、欠けないように使って廃棄しても構わない。

2023年10月08日

焼入れ・焼戻し

 径が6 mm以上もあるので、まともにネジを切ろうとすると最初のトッカカリが難しい。ダイスが斜めに入ると悲惨である。旋盤で完全に仕上げても良いが、切り込み深さの決定が面倒だ。旋盤で2回だけ(幅の広い溝を付けるため)切り込んで、そこにダイスをはめると安定化する。労力も激減する。

quenching できたものを煉瓦の上でガスで赤く焼き、水に放り込む。ヤスリが掛からないほどの硬さになる。そのままでは硬過ぎる。ちょっとしたショックでも割れ易いので、焼戻しをすべきだ。工具を硬い床に落とすと割れてしまうのだ。


tempering オーブントースタの古いのを、焼戻し専用機としている。150 ℃から200 ℃で1時間以上だ。太陽光発電が稼働している時にやるとタダでできる。厚い金属板を下に敷き、湯のみ茶碗に入れて空き缶をかぶせる。開放して通電すると、温度ムラができて失敗してしまう。
 このトースタのタイマは15分が最大値なので、13分毎にアラームを設定し、リセットをする必要がある。当然、外でやるのだ。  

2023年10月06日

工具を作る

cone end tool ちょっとしたプレス工具を作った。ピヴォット軸を車輪に圧入する時、軸の先端をつぶさないように押さえたり、抜く時に使う工具だ。ワークの数が少なければ、押すものは軟鋼のシャフトの先に小さな穴をあけたもので十分だ。

 ステンレスのピヴォット軸は十分に硬く、押し込んだ瞬間に穴が広がり、ピヴォットのテーパと馴染む。10本くらいなら、これで難なく仕事ができる。しかし数百となると、押し込み工具は徐々につぶれ、穴は大きくなって最終的には割れる。その前に全体が太くなってしまうこともある。そうなるとピヴォット軸を押し出した後、抜けなくなるし、車輪の穴が大きくなって使えなくなる。 

 こういうときのために、S45C(炭素0.45%を含む鋼材の番号)の材料を用意してある。適当な長さのものを旋削して作る。今回は2つ作り、一つは中型プレスに付け、他方は小型の簡易プレスに付ける。小型機のラム(上下に動く角棒)にはW1/4のネジが切ってあるので、その雄ネジを切らねばならない。  

2023年10月04日

Climax の台車を作る

Climax truck1 クライマックスの伝導方式を示す写真である。ギヤボックスは無いが、2つの軸が正しい位置に来るように、位置関係を保つ部品がある。

 傘歯車には、thrust(軸方向の推力)が発生するので、それを承けねばならない。ギヤボックスがあれば、ラジアル・ベアリング(法線方向の力を支える軸受)で、かなりのスラストを受けられるが、ここにはそれがない。外に独立したスラスト・ベアリングを置かねばならないわけだ。F氏は歯車の噛み合い部以外の摩擦を最小限にするために、あらゆる方策を講じることにしたようだ。

 動輪軸は Φ3 でかなり細い。駆動軸はそれを跨いでいる。歯車はどうしても調子が悪いようで、新規に発注すると言う。
 そのような製作所はどこにあるのかと心配したが、思わぬ方法であった。たくさんのギヤの中からまともなものを探し出し、それを彫金の工房に持ち込むのだそうだ.3次元測定器でデータを取り、それで樹脂型を作る。後に金属で置換をする。どれくらいの価格なのか、ヒヤヒヤしていたが、それほど高いものでもないらしい。 

2023年10月02日

Climax の動輪

Climax drivers F氏から動輪を全部作ったと連絡があった。非常に速い工作で驚いた。 全部で5台の台車であるから、動輪は20枚である。




Climax Drivers(2) 絶縁紙を貼るのにかなり手間取ったようだ。先述の角を斜めに落とすところの手加減が難しかったという。タイヤ内側のテーパ角度は大きくはできない。これが大きいと、入りやすいが、抜けやすい。しかも今回はステンレス鋼なので、塑性変形しやすい。無理に叩き込むと、動輪径が大きくなるはずだ。

 すなわち、絶縁紙をエポキシ接着剤で隙間なく固めて、飛び出したところがないか指先で撫でて確認する必要がある。その上で、嵌まり込む部分をヤスリで角を落とす。45度に削ってタイヤに当てるのだ。間違いなく入りそうであれば、ゆっくり押し込む。
 プレスがあれば良いが、ゴムハンマでまんべんなく叩くと、少しずつ入る。絶縁紙の一部は、削れて押し出されて来るだろう。それが全周に亘って、均一に出て来なければならない。

 難しそうに聞こえるかもしれないが、それほどでもない。6年ほど前に名古屋のクラブで "Old Black Joe" の部品頒布を担当したが、全員が簡単に組めて、車輪の心が出ていて素晴らしいと伝えて来た。

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