2023年07月

2023年07月30日

大きさの効果

 大きなものは壊れやすいことについてはたびたび触れてきたが、もう一つ書いておきたいことがある。それはTom Harveyからもたらされた情報だ。
 機関車の車軸は中空になっている。もちろんチャレンジャ、FEF以降の話である。一応近代機は中空であるし、古い機関車も車軸を更新すると中空になったものもあるようだ。これは製造上の問題を解決するための手法であるが、Tomは
「別のありがたい点がある」
と言った。

 それは車軸が曲がっていないかがすぐ分かるということである。
 機関車は脱線する。派手な脱線であれば、そのまま工場行きだが、軽微な脱線であれば復線して、そのまま使いたい。ところが 脱線すると、車軸が曲がることがあるのだそうだ。軸重が30トン以上もあるし、標準軌であるから曲げモーメントはかなり大きい。
 以前は試運転して不具合がないか確かめるのが面倒であった。その場所や時間がないときもある。穴があると覗いて一瞬でわかる。これは有り難かったと言った。しかし、そんなことがあるものか、と頭からバカにする人が居る。経験者の言は尊重せねばならない。工学は理論と経験から成っている。

 後で知ったことだが、これは熱処理時の「質量効果防止」なのだそうだ。その質量 (mass)という語は誤訳が多く、筆者の居た世界でもその修正が過去30年くらいで進んだ。質量作用の法則などというくだらない用語に記憶のある人も多いだろう。massを質量としか訳せない人は学術論文を書くべきではないという意見が35年ほど前、飛び交った。”マス”コミ、”マス”ゲームを質量と結びつける人は居まいが、それらのmassや、ここで扱うmassにはどのような言葉を当てはめるべきか、は考えるべきだ。

 機械工学を勉強してもそれが偏った知識であると、このようなことがわからないこともあるだろう。鉄道関係者にはそういう人が多いと感じるのは筆者の偏見だろうか。ちなみにBタンクにはクロスイコライザなどある筈が無いと断言した方も居た。  

2023年07月28日

TMS の Style Book

1947 伊藤英男氏が何の資料を得て、このEA、EBを作られたのか興味があった。偶然、TMS誌の発行したスタイルブックの整理をしていたときにそれが見つかった。


1947 (2) 1947年版の目次ページの小さなカットである。このスタイルブックは1960年代初頭まで発行された。新型車を中心に、国内外の車輌の図面が載っていた。
 当時スタイルブックとは婦人服のデザイン帖を指していた。まさか模型雑誌がそんな言葉を使うとは思わず、非常に斬新な言葉で驚いたと、伊藤 剛氏は述べていた。

TMS Stylebook 剛氏はわざわざその種の雑誌の表紙を切り貼りした表紙の合本を作ってTMSに持って行き、山崎氏たちに見せたらしい。いかにも剛氏らしいエピソードである。



TMS Stylebook 1947 さてそのカットは小さなもので、それを拡大して図面を引き直したものと思われる。おそらく、写真はどこかで手に入れたのであろう。
 それにしても、その形態把握力は素晴らしい。 

2023年07月26日

床板を厚くする

 床板を 1.5 mm厚にすると書いたところ、
「何を言っているのだ。そんな厚くする必要など無い。どうかしている。」と言う人もいるが、
「そうですね、1.5 mmがちょうど良いです。1 mmでは薄過ぎますね。」と言う人もいる。

  前者はHOの人で、後者はOの人である。やったことがないことを、自分の少ない経験だけから間違った推測をし、相手を非難している。
 この種のことはは今までに数多く経験してきた。結果は当然後者が正しい。経験した人でなければわからない。大きなものは壊れ易いのである。突き出している部分の曲げモーメントは単純計算では長さの3乗に比例するので、大きさが半分になると、小さいものは壊れにくいのである。

 客車の側板、屋根が 0.7 mm、妻板が 2 mmの板で出来ている客車は1.5 kgほどある。それが10輌つながって、秒速25 cmで動いているのであるから、衝突などで急停止すると、連結部はめり込む。

 当鉄道では、連結器を留めているブラスのM2のネジ2本が剪断されるようにしたものも多い。そこでエネルギィを吸収するわけだ。
 下から差すネジは全て鋼製にしていたが、最近はロックタイトを使って抜けないようにして、ブラス製ネジを使っているのは、こういう理由である。 

 こういうことは模型を走らせている人でないと実感できない。衝突で壊したことがない人は、ファンタジィの世界に浸っているわけである。物理法則は、あまねく世の中を包んでいる。大きさが違うとどうなるかを考えないと、おもちゃの世界から脱却できない。 

2023年07月24日

ABS樹脂製の車輌

 友人から連絡があった。ABSと言っても、ずいぶん差があるそうだ。彼はヨーロッパ型のコレクタである。
 同じ会社の製品であっても、本国製と某C国製では歴然たる違いがあるそうだ。メルクリンでさえもC国製になった。
 結論から言うとC国製は全部駄目だそうだ。その原因は耐候剤が入っていないからだそうだ。これは某製造業の専門家からの情報である。

 耐候剤とは、紫外線、高い温度、空気(酸素)及び潤滑油への暴露などの影響を受けにくくする薬剤である。一番分かり易いのが、自動車の車内の材料への応用である。自動車は屋外で日光に晒されている。耐候剤がなければ、1週間でヒビが入り、1ヵ月で割れてしまうだろう。それを防ぐために数種類の耐候剤が配合されている。

 模型製造企業では、そういう指示を受けていなければ何も配合しない。これらの薬剤はかなり高価なものであるからだ。その結果、そうしてできた製品を輸入して使っている人たちは、光に当て、暑くなるところに放置して、たちまち駄目になるというわけである。

 殆どは室内であるから、紫外線の影響は限定的であろうが、窓ガラスを多少なりとも透過する波長の紫外線もある。その種の模型を大切にしたければ、窓のない部屋でいつもエアコンを効かせておかねばならない。最近のLED照明は紫外線を出さないはずなので、安心できる。蛍光灯をいまだに使っている人は、模型を破壊していることになることを理解して戴きたい。蛍光灯からは無視できない量の紫外線が出る。 

2023年07月22日

床板を作り直す

床板が短い ジャンクの客車は、その前後に手に入れたものを合わせると10輌ほどある。どれも連結器が車体に付いていて、軽衝突でさえもめり込む構造だ。全て車端部の連結器座を外して作り直しているが、かなり面倒な作業であった。

Matsumoto Mokei's2 参考にと、HOの写真を読者の方が送って下さった。これはマツモト模型の製品だそうだ。筆者の客車と良く似た構造だが、車端部の床板(色がない部分)は、筆者の物にはない。


 たまたま1.5 mm厚のブラス板を大量に手に入れたので、それをシャーリング屋に持ち込んで切ってもらっている。薄い床板を廃し、厚く作り直すのだ。連結器座まで一体にする。 
 厚さが5割増すだけで、剛性は格段に大きくなる。今までは 1 mmの床板から、3 mmの平角棒を延長して付けていたが、1.5 mmの板が全面に張られることになる。単純計算では、1.5倍の3乗で効くので、3倍以上堅くなる。

 床板取り付け位置を微妙に深くする必要があるが、そのような補正は簡単だ。その部分だけ、フライスで彫り込むという手もある。 

 t1.5ブラス板は余分があるので、地金価格でお分けしている。残念ながら快削材ではない。コメントの本文に連絡先を必ず書いて連絡されたい。

2023年07月20日

ABSの劣化

 先月友人宅を訪ねた折に、洗面台の電灯が点かないのに気付いた。友人と相談して直すことにし、後日手伝いをした。

 Pa社の洗面台で、ABS樹脂でできた本体にパーティクル・ボードの裏板が20本ほどのタッピング・ネジで留められている。既存の電灯を外し、LEDの蛍光灯と交換することにした。部品を外し、新しいものをはめ込んで出来上がりだ。電気工事の範疇には入らない気楽な作業である。圧着端子で締めて、熱収縮チューブで絶縁を施せば出来上がりだ。電源に差し込んで点灯するのを確認し、裏板を嵌めようとした。

ABSの変形 ABSの縦80 cm、横60 cmほどの成形品なのだが、取り付け後28年で歪みが出ている。取付けの圧力と重力であちこちが撓み、ネジを外すと二度と合わない。日射のある場所ではないので、その心配はないと思っていたのだが、ひどいものであった。

 2人がかりで押し込んでなんとか留まったが、3本くらいはネジ穴が割れた。奥さんは、
「無理して直さずに新しいものを付けたら…。」
とは仰るが、その価格を知って仰天した。業者なら、このような苦労はしたくないので、その新品を売りつけるのは当然だろう。

 ABSでもこのような状態である。結晶性プラスティック以外は、時間とともに”樹脂内で目に見えない程度の流動がある”ということは明白だ。
 世の中にあるプラスティック製鉄道模型の末路が見えてきた。 

2023年07月18日

続 Horse Express Car 

 この車輌はPennsylvania鉄道のものである。何輌かあったようで、さらに他鉄道にもほとんど同じものがある。塗装はTuscan Redにする予定であったが、UP塗装でもそれほどおかしくないことが分かった。そうすると台車はPullman でも良いことになる。

 車内の写真を見るとパーティションがあり、それは左右に移動できるようだ。2頭用にもなるし、最大4頭を並べることができる。天井にはいくつかの配管があり、給水設備がある。

 排泄物を洗い流したりする水も必要だ。その点は人間より手間が掛かっている。やはり天井に水タンクがある機種もある。
 側線などに長時間留置されていると、水タンクが床下だと、圧力が不足して水が出ないこともあっただろう。そういう点では、天井タンクは心配がないはずだ。

 車端には飼い葉の棚もあるが、世話をする人の休憩所はない。 

2023年07月16日

Horse Express Car

Horse Car この客車(貨車かも)は馬匹輸送車である。日本では窓のない二軸貨車ワムで運んだようで、このようなフルサイズの客車状のものはなかった。

 この模型はしばらく前、ジャンクとして極めて安価で入手した。かなりひどい状態で、修復には時間が掛かった。設計は極めて良くなかった。連結器が車体上廻りに付いていて、床には全く力が掛からない。勢いよく連結しただけでも、妻板がめり込むはずだ。日本製であったので、意外であった。おそらく設計者はHOの車輌の手法を用いたのであろう。丈夫な床板が必要であった。

 床板を外して 3 mm厚、20 mm幅の板を両端に延長した。それを全面にハンダ付けし、連結器がその末端に付くようにした。これで、軽衝突には耐える。台車はとりあえずプルマンの3軸台車を履かせた。いずれコモンウェルス台車に取り替える。

 本物では、片方の妻板は全開するようになっている。そこから馬を引き出すのだ。雨の当たり具合によっては水漏れするので、2重のパッキンを挾んでいる。

 床下には大きな水タンクが付くはずなのだが、図面を見ても載っていない。天井裏にあるのかも知れない。

 この車輌で運ぶ馬は競争馬で、極めて高価なものである。人間より手厚く世話をされて運ばれていたように思う。


2023年07月14日

エンジニアリング・プラスティック

 通称エンプラだそうだ。はっきりと決まった定義はないが、通常のプラスティックより高温に耐え、力学的強度が大きく、長期間の使用においても特性の変化が少ないものを指す。

 POM(ジュラコン、デルリンなど)、ナイロンなどが有名で、製造各社によって仕様が決まっている。これらは結晶性プラスティックであり、常温近辺の温度での使用によって流れてしまうということがない。模型では、歯車、ギヤボックス、台車、自在継手に適する。これら以外のプラスティックは、製造してからしばらくは良さそうに見えるが、時間とともに少しずつ分子間の相対距離が変化し、変形、流動する。
 ただしエンプラとは言え、POMのギヤをシャフトと嵌合させると数年以内に割れる。これは業界ではかなり周知されているのは喜ばしい。

 最近テフロンの話題を出したところ、テフロンで歯車を作れないかという相談があった。結論は言うまでもなく、論外である。軟らかく、擦り減りやすい。摩擦が少ないという長所はあるが、力が掛かれば消滅する。流量計などには使われているが、動力伝達には全く向かないものである。

2023年07月12日

テーパ・ネジを切る

 テーパ・ネジを作るにはダイスを用いる。昔、水道屋は万力の付いた三脚を立て、パイプを取り付けて二人がかりで大きなダイスを廻していた。ダイスは3本あり、所定の順番で取り付けてあった。

  この頃はホームセンタでも水道管、ガス管は適当な長さで売っていて、両端にテーパ・ネジが切ってある。見ると4箇所に刃の跡が残っているので、工場ではダイスで切っている事がわかる。

 機械加工屋と話をしていたら、専用機で簡単にテーパ・ネジを切れるというので、それは当然だろうと思った。汎用機(すなわち筆者の持っているような普通の旋盤)ではできないはずなのだ。このような動画を見つけた。達人が手作業で作っている。
 まず、複合刃物台を傾けてテーパを作るが、その次にネジを切る時にはバイトをわずかに引かなければならない。CNCによるサーボ・モータが必要な仕事である。
 
 この人の左手の動きを見て欲しい。神業的な仕事だ。ネジ溝を何回かに分けて切り分けている。ゲージを廻すと、1回で所定の位置まで入るのは素晴らしい。この道10年以上の達人である。

2023年07月10日

続々 配管工事 

インチの旋盤でメートルネジを切るには、127枚歯の歯車が要る。1インチ = 25.4 mmだから、127という数字を必要とするわけだ。しかし、我々の模型程度の大きさであれば、64枚歯の歯車でも問題ない。ネジの有効深さが小さいからだ。64 X 2 ≒ 127とみなせる。相手が 2 mm程度の板であれば、狂いは無視できる(マイフォードは63枚歯を使っている)。


 ガス、水道配管のネジはテーパ・ネジである。ほんの少し先が細くなっていて、締め込むと密着するようになっている。昔は鉛丹を塗って、麻糸をほぐしたものを巻き、大きなトルクでねじ込んでいた。今はしなやかなテフロンテープを巻いてねじ込む。このテープは簡単に塑性変形して馴染み、浸透性がないから漏れを完全に防ぐ。ガスが漏れないのには感心する。
 先々回の記事のエルボで、小さい方のネジはテーパ・ネジである。大きい方は平行ネジである。この差を一瞬で見分けられないと、水道屋はできないというわけだ。
 水道材料は全て快削ブラスで、気持ちの良い工作である。

 上の記事の2つ目のリンクで紹介されている数式の話は60年ほど前に父から聞いた覚えがある。「つまらない話だ」ということであったが、今考え直すと、なかなかのアイデアであると思う。

2023年07月08日

続 配管工事

 日本の水道システムはアメリカと共通のものが多い。ネジ切りをすることもある。アメリカで買った旋盤なのでインチネジを切るのは極めて簡単である。

 そもそもインチネジは計算が楽である。全て1/8の倍数であり、歯車の切替えは単純そのものである。親ネジのピッチが1/8インチであるから、話は極めて簡単だ。主軸が1回転する間に、1/12,1/16,1/24、1/32、1/40,1/48,1/56、1/72、1/80インチ動けば良いだけのことである。この算数は小学生レヴェルだ。

 昔よそのクラブの例会で、ある人が、
「うちはインチの旋盤だから素人には使えないよ。インチネジを切るのは難しいんだ。」と得意そうに言うのを聞いて、吹き出してしまった。この人はネジを切ったことがないことは明白だ。メートルネジの旋盤のほうがはるかに面倒である。ピッチが何種類もあり、それらが倍数関係になっていないからだ。たとえば、0.5,0.6,0.65,0.7,0.75,0.8,0.9,1.0 mmを作り分けるには何種類の歯車が要るかということである。 

2023年07月06日

配管工事

 マンションの改装工事はほぼ終わり、そろそろ貸し出す予定である。ご興味のある方があれば、連絡願いたい。

省エネ エアコン 場所は名古屋西方の私鉄駅前、徒歩1分の2LDK、60平米強である。省エネルギィ・サッシに全て取替え、全室エアコン付き。18畳LDKのエアコンは最新の省エネルギィ・モデルである。全室LED照明で最新型日本製食器洗い機も付いている。最寄り駅には電車の車庫があり、名古屋からの最終電車はこの駅止で、乗り過ごす心配はない。また一番電車もここから出て、名古屋まで最速12分である。
 先月洗濯乾燥機を差し上げると書いたところ、3時間で譲渡先が決まったので、二匹目のドジョウを狙って、今回もこの場で宣伝することにした。

日本製配管 水道工事をして、すべての配管、水栓を日本製にした。当時の日本製のシングルアーム水栓には、特許の関係でろくなものがなくアメリカ製のものを導入した。しかし今後の修理のことを考えれば、日本製にしておかないと、困ることになると思ったからだ。帰国時にアメリカから、銅配管の材料を大量に持ち帰り、局部電池による電蝕の害を防ぐ継手を使って配管した。大半を取り外して処分したが、銅スクラップの引取り価格が高くて驚いた。当時のアメリカの銅価格は極端に安かったのだ。

elbowMaytag dishwasher 我が家もキッチン周辺には銅配管が多く、食器洗い機への接続等があったが、30年も経つと微妙な漏れが発生し、その原因の銅製可撓継手を取替えるついでに、水栓も日本製に更新した。食器洗い機は例の Maytag である。日本製のステンレス可撓継手に合う継手は 3/8インチと1/2インチを結ぶエルボ(直角曲がり)で、これは日本では手に入れにくい。手持ちの2つの部品を旋盤で挽き、 0.03 mmの隙間を空けて組合わせる。塩化亜鉛ペーストを塗り、ガス火で炙る。そこにこのスズアンチモンハンダを押し付けると一瞬にして終わる。融けたハンダは隙間を均一に満たし、強固な結合ができる。この融点は240 ℃と高く、炙り付けが基本である。40年ほど前にアメリカで買った水道工事用である。健康に影響はないはずであるが、今は含アンチモンハンダは使わないようだ。このハンダの硬さは素晴らしい。快削性がある。


2023年07月04日

機関士の手記

 Tom Harveyの手記を読まれた方から、感想を戴いた。

 鉄道員としての生涯が、実にリアルに記述されていて驚きました。
 特に幼少の頃から晩年までの家族写真が、著者の鉄道人生というものを強く感じさせてくれます。やはり鉄道の現場で実際に働いていた方の手記は胸に迫るものがあります。この本を出そうと思われてから、足掛け40年とはもう果てしなく気が遠くなるような時間ですね。

 実際に日本で蒸気機関車の機関士をされていた方が書いた本を思い出しました。
 ひとつは長谷川宗雄氏の「動輪の響き」です。これは1970年代のキネ旬の「蒸気機関車」誌に連載され、後に単行本になりました。蒸気機関車機関士のいろいろな体験談がまとめられていて、趣味としている人にはとても経験できないことが書いてありました。

 もうひとつは川端新二氏の「ある機関士の回想」イカロス出版2006年。これも、川端氏の鉄道員としての人生が実にいきいきと書かれていて感動します。これには、井上豊氏の写真も何枚か使用されていました。井上氏の写真は同じ機関区で働く仲間の方々への思いやりや、機関車への慈愛といったものを強く感じさせてくれます。


 国が異なっても、機関士のものの考え方には共通するところが多い、ということを再確認した。井上豊氏の写真趣味はかなりのもので、見せて戴いて驚いたものが多かったが、残念なことに筆者の手元には一枚もない。
 川端氏の著作に「15歳の機関助士」がある。これは素晴らしい本だ。電車の中で読むと、降りるべき駅を乗り過ごしてしまうほどの内容である。



2023年07月02日

続 押して動く機関車

 コメントにもあるが、他の多条ウォームの駆動装置は滑らかには動かないそうである。その理由を色々な人に聞かれたが、現物を持っていないのでよく分からない。ただ2つだけは言えることがある。

・歯数が互いに素になっていない場合は、どこかに引っ掛かりがあるとそれが解消されるということがない。すなわち、いつまでも同じところで引っ掛かる。単純な話なのだが、この理屈がわからない人が多いようで、同じ説明を何百回となく、している。すべての歯が相手の異なる歯に当たるようになっていないといけない。極端に高精度の歯車はそういうことを考慮しなくても良いらしいが、ほとんどの実用機械(自動車も含めて)は互いに素になっている。作るとき指定するだけなのだが、これが出来ていないとアウトである。

・ウォーム軸のスラストを正しく承ける様になっていないと引っ掛かる。せっかくスラスト軸受を入れても、ラジアルベアリングと触れているようでは意味がない。これについてはここでも議論されている。
NMB made in Japan HOゲージなら、スラストベアリングを省略してラジアルベアリングでスラストを受け持たせることができる。ギヤボックスは十分精密に出来ていて、無調整で完成する。写真はやや大きな内径 3 mmの溝つき型。許容荷重が大きい。

 あとは先回の記事にあるように、バックラッシを極力減らすことである。潤滑油が回る程度の隙間があれば良く、事実上ガタ無しで良い。開放型ではホコリを巻き込んで駄目になるのだが、こちらの注意を聞かずに開放型にしてしまい、動かなくなったと文句を言ってきた人もある。そういう人には売らないことにするつもりだ。

 I田氏の動画に既存のものとの比較がある。差は大きいようだ。探し出せないが、他の動画では押しつけてガリゴリと逆駆動しているのもあった。  

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